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2012年1月31日

カメラマンは鳥!? バイオロギング展

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 東京の上野にある、国立科学博物館に、行ってまいりました。現在、ここでは、「動物目線の行動学 バイオロギング」という企画展が開かれています。
 バイオロギングとは、聞き慣れない言葉ですね。これは、最近、作られた言葉です。バイオbio=生き物、ロギングlogging=記録すること、という意味です。ヒト以外の生き物が、自分の行動を、自ら記録することです。なぜ、そんなことができるんでしょうか?
 もちろん、これには、人間が関わっています。生き物を研究する手段の一つとして、出てきました。具体的な例を挙げてみましょう。
 マユグロアホウドリという鳥がいます。名のとおり、アホウドリの一種の海鳥です。
 マユグロアホウドリには、謎がありました。それは、彼らの食べ物のことです。
 海鳥の彼らは、当然、海の魚などを食べています。これまでの調査で、彼らの食べ物には、深海魚が含まれることがわかっていました。
 ところが、マユグロアホウドリは、深海魚が獲れるほど、深く潜ることはできません。なのに、なぜ、深海魚を得られるのでしょうか?
 この謎を解くために、バイオロギングが使われました。マユグロアホウドリの背中に、小型のカメラを取り付けたのです。このカメラは、自動的に、写真を撮り続けられるようになっていました。つまり、「鳥目線」で見た世界を、写した写真です。
 数日後、カメラが回収されました。撮られた写真を調べると、中に、複数のマユグロアホウドリが、シャチを追って飛んでいる写真がありました。
 これにより、マユグロアホウドリが食べ物を得るのに、シャチを利用しているらしいことが、わかりました。シャチは、深海まで潜ることができます。そこで、深海魚を捕まえます。獲物を食べるのは、海面近くに浮上してからです。
 シャチが、海面近くで食べ散らかした深海魚を、マユグロアホウドリが取ってゆくのだろうと考えられています。バイオロギングのおかげで、初めてわかったことです。バイオロギング展に行くと、このような興味深い例を、いくつも見ることができます。

図鑑↓↓↓↓↓には、バイオロギング展で紹介されているシャチ、マンボウ、カブトガニなどが掲載されています。
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国立科学博物館のバイオロギング展のページ


過去の記事でも、生き物に関する博物館の展示を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
世界のクジラ模型展(2012/1/18)


2012年1月16日

コトクラゲは、深海生物か?

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 今回は、海の珍しい生き物を紹介しましょう。コトクラゲです。
 クラゲといえば、普通は、海を泳ぐものですよね。ところが、コトクラゲは、泳ぎません。海底の岩などに付いています。形も、普通のクラゲと違い、笠形ではありません。古代ギリシャの竪琴【たてごと】に似た形です。だから、「琴クラゲ」です。
 コトクラゲが珍しい理由は、二つあります。一つは、めったに捕獲できないからです。もう一つは、分類が、多くのクラゲと違うからです。
 めったに捕獲できないのは、数が少ないからでしょうか? そうではないかも知れません。たまたま、ヒトが行きにくい場所にいるだけで、数は、さほど少なくないかも知れません。どのような場所に多くいるのか、まだ、わかっていないのです。
 コトクラゲは、深海生物だと報じられることがあります。それは、間違いではありません。実際に、水深200mを越える海で、見つかっています。
 けれども、深海にしか、いないわけではなさそうです。コトクラゲ、もしくは、コトクラゲに近縁な種が、ダイバーが行ける、浅い海でも見つかっています。
 分類の話をしましょう。コトクラゲは、有櫛動物門【ゆうしつどうぶつもん】というグループに属します。お馴染みのミズクラゲや、カツオノエボシなどのクラゲは、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】に属します。門という、大きなレベルで、分類が違います。
 有櫛動物門の中でも、コトクラゲは、変わった部類に入ります。多くの有櫛動物たちは、刺胞動物のクラゲと同じように、海中を泳ぎます。でも、コトクラゲは、泳ぎません。
 コトクラゲは、有櫛動物門の中の、扁櫛目【へんしつもく】というグループに属します。扁櫛目は、クシヒラムシ目【もく】とも呼ばれます。このグループは、多くの種が、海底の物に付いて暮らします。他の生き物に付くこともあります。
 コトクラゲについては、わかっていないことだらけです。深海にいるものと、浅海にいるものとが、同一種なのかどうかも、不明です。そもそも、見ることが難しいために、研究が進みません。研究が進めば、扁櫛目の中から、新種が見つかりそうです。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、コトクラゲは載っていません。けれども、同じ有櫛動物【ゆうしつどうぶつ】のツノクラゲが掲載されています。
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過去の記事でも、コトクラゲと同じ有櫛動物【ゆうしつどうぶつ】を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海中の透明で長いもの、な~んだ?(2010/04/01)
クラゲは刺胞【しほう】動物? 腔腸【こうちょう】動物?(2007/08/24)
新種のクシクラゲ? 発見(2007/06/13)
クラゲと付いてもクラゲでない? ツノクラゲ(2006/07/29)
などです。

2012年1月 6日

一種ではない? アオリイカ

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 日本人は、海産物が好きですね。魚以外で、よく食べられる海の生き物に、イカの仲間がいます。スルメイカ、コウイカ、ヤリイカなどの種名を、聞いたことがおありでしょう。
 中で、高級なイカとして知られるものに、アオリイカがいます。日本各地の漁港で、水揚げされています。土地ごとに、さまざまな方言名で呼ばれます。ミズイカ、モイカ、シロイカ、アカイカ、バショウイカなどです。
 方言名を使うのは、悪いことではありません。それぞれの土地では、親しみのある名でしょう。けれども、学術的に研究する場合には、方言名は、悩みのタネになります。同じ種なのに、違う名で呼ばれたら、混乱しますよね。
 このために、標準和名というものが決められています。アオリイカの場合は、「アオリイカ」が標準和名です。ラテン語の学名は、Sepioteuthis lessonianaとされます。
 「アオリイカ」は、北海道から沖縄までの、広い範囲の海に、分布するとされています。土地ごとに方言名があるのは、分布が広いためですね。
 ところが、近年、困った事態が起きています。「アオリイカ」と呼ばれるイカの中には、複数の種があるのでは?というのです。明らかに、外見や生態の違うものが、混じっているからです。少なくとも、三種には分けられるだろうといわれています。
 最終的には、きちんと種名が分けられて、おのおの「○○アオリイカ」といった種名が付くでしょう。もちろん、ラテン語の学名も、それぞれ、違ったものが付くはずです。
 しかし、現在のところは、まだ、標準和名も、ラテン語の学名も、分けられていません。もう少し研究が進まないと、ちゃんと命名できないようです。
 でも、違いがあるなら、それを示す名前が必要ですね。研究者のあいだでは、仮の名前が付けられて、三種が区別されていると聞きます。「アオリイカの中の通称:白イカ」、「アオリイカの中の通称:赤イカ」、「アオリイカの中の通称:クァイカ」という具合です。
 この中で、通称:赤イカと、通称:クァイカは、南方系です。沖縄や小笠原に多いです。本州以北にいるのは、通称:白イカだろうといわれています。

図鑑↓↓↓↓↓には、アオリイカが掲載されています。
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過去の記事でも、イカの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
モンゴウイカ(紋甲イカ)というイカは、いない?(2009/12/28)
光るイカは、ホタルイカだけじゃない?(2009/06/22)
海中を泳ぐ槍【やり】? ヤリイカ(2008/02/18)
世界最大のイカは、ダイオウイカではない?(2007/02/23)
コウイカとヤリイカはどう違う?(2006/11/10)
などです。

2011年11月25日

地球を制覇? ワラジムシの仲間たち

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 子どもの頃、ワラジムシやダンゴムシと遊んだことが、ありませんか? 地面の落ち葉などをどけると、下から、ぞろぞろ出てきますね。小さくて、脚がたくさんある虫です。
 ワラジムシとダンゴムシとは、外見がそっくりです。見分け方は、以前、このブログで取り上げました(ワラジムシとダンゴムシとは、どう違う?(2008/11/3))。
 ワラジムシやダンゴムシにそっくりな生き物は、海にも棲んでいます。グソクムシ(具足虫)の仲間です。ワラジムシやダンゴムシと同じく、節足動物門【せっそくどうぶつもん】軟甲綱【なんこうこう】等脚目【とうきゃくもく】に属するグループです。
 大昔、等脚目が地球に現われたばかりの頃は、どの種も、海に棲んでいたと考えられています。グソクムシの仲間は、そのまま、何億年も経っても、海に棲み続けています。
 いっぽう、同じ等脚目から、陸へ進出するものも現われました。現在のワラジムシやダンゴムシは、そのグループです。海から陸へ、生活を大転換したわけです。今では、とてもそうとは信じられないほど、陸で普通に見られますね。
 中には、陸の岩に、穴を開けて棲むものまで現われました。以前、ブログで紹介したとおりです(虫が島を壊す? ナナツバコツブムシ(2007/06/28))。また、フナムシ―海辺の陸に棲みますね―も、同じ等脚目です。そういえば、ワラジムシに似ていますよね。
 海に棲む仲間も、負けていません。グソクムシの仲間には、深海に棲むものがいます。500mから700mくらいの海底に多いと聞きます。時には、4000mを越える深海でも見られます。陸の地中から深海まで、なんと多様な環境にいるのでしょう!
 かけ離れた環境に棲むもの同士でも、共通点があります。例えば、陸のダンゴムシでも、海のグソクムシでも、歩くための脚の数は、七対(十四本)です。これが、等脚目の特徴なのですね。全長1cmほどの種でも、30cmになる種でも、同じ数です。
 他にも、共通する特徴があります。彼らは、大きくなるために、脱皮をします。その時、体の前半分と後ろ半分と、半分ずつ脱皮します。どの種でも、このやり方が同じです。
 七対の脚で、どこにでも進出した彼らは、地球の覇者かも知れませんね。

図鑑↓↓↓↓↓には、等脚目【とうきゃくもく】のオカダンゴムシ、フナムシ、ワラジムシが掲載されています。
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過去の記事でも、等脚目の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ワラジムシとダンゴムシとは、どう違う?(2008/11/03)
オーストラリアのサンゴ礁で、数百の新種を発見(2008/09/25)
新種・珍種がざっくざく、南硫黄島【みなみいおうとう】(2008/06/10)
虫が島を壊す? ナナツバコツブムシ(2007/06/28)
などです。

2011年11月 7日

魚の養殖を支えるワムシ(輪虫)

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 ヒトにとって重要でも、存在が知られない生き物は、多いものです。今回は、そういう生き物を取り上げましょう。ワムシです。
 大部分の方は、ワムシという生き物の名を、聞いたこともないでしょう。水産業に携わる方なら、聞いたことがあるかも知れませんね。
 ワムシは、水中に棲む生物です。淡水中に多いです。海中にも、少数の種がいます。とても小さくて、普通、肉眼では見えません。いわゆるプランクトンの仲間です。淡水の動物性プランクトンとしては、ミジンコと並んで、最も平凡なものの一つです。
 ミジンコは、よく、魚の餌になりますね。ワムシも同じです。淡水魚を養殖する場合には、餌にするために、ワムシも養殖することがあります。
 特に、ワムシは、稚魚の餌として重要です。小さいからですね。体の小さい稚魚は、小さい餌しか食べられません。ワムシがいなかったら、自然界でも、養殖の場合でも、稚魚たちは、深刻な餌不足になるでしょう。淡水魚がいなくなります。
 ワムシは、淡水の生態系を支える存在です。私たちの食卓を、底辺で支えてくれています。そんなワムシは、何の仲間でしょうか? ミジンコと近縁なのでしょうか?
 違います。ミジンコは、節足動物門【せっそくどうぶつもん】というグループに属します。ワムシは、輪形動物門【りんけいどうぶつもん】というグループに属します。門というのは、とても大きな分類単位です。大きく分類が異なる、ということです。
 ワムシとは、輪形動物門に属する種の総称です。ワムシという種名の種は、ありません。主な種として、ツボワムシ、ドロワムシ、スジワムシ、ヒルガタワムシなどがいます。
 ワムシ(輪虫)や、輪形動物という名は、なぜ、付いたのでしょうか? 文字どおり、体の一部が、輪のように見えるからです(種によっては、例外もあります)。
 平均的なワムシの姿は、釣鐘を逆さにしたような形です。その「釣鐘」の口の部分に、細かい毛がたくさん付いています。毛が動くと、口の部分が、くるくると回転する輪のように見えます。顕微鏡で観察すると、なかなか愛らしいと感じますね。

図鑑↓↓↓↓↓には、アツボワムシが掲載されています。
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過去の記事でも、水中のプランクトンを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
産み分け自在? ミジンコの繁殖事情(2010/07/05)
サルパとは、どんな生き物?(2007/05/31)
豊作の妖精ホウネンエビ(2006/05/15)
などです。

2011年10月17日

宿主をあやつる、フクロムシの驚異

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 寄生生物という名の響きは、ちょっと怪しげですよね。実際、寄生生物には、私たちの想像を絶する生活ぶりのものが多いです。
 今回は、そのような寄生生物の仲間を紹介しましょう。フクロムシです。
 磯で、カニやヤドカリの腹部に、袋状のものが付いているのを、見たことがありませんか? それは、フクロムシの一種かも知れません。
 フクロムシの仲間は、海に棲みます。カニ、エビ、ヤドカリなどの節足動物に寄生します。最も目にする可能性が高いのは、おそらく、ウンモンフクロムシという種でしょう。この種は、磯によくいるイソガニ、イワガニ、ヒライソガニに寄生するからです。
 ウンモンフクロムシは、一見、カニの卵のように見えます。カニの腹部から、フクロムシの体の一部がはみ出して見えるため、「卵を抱いている」と勘違いされやすいです。
 カニの卵のように見える部分は、フクロムシの体の一部です。エキステルナと呼ばれます。この部分には、フクロムシ自身の卵が、いっぱい詰まっています。
 フクロムシの本体は、カニの体内にあります。こちらは、インテルナと呼ばれます。インテルナは、植物の根のように、カニの体中に張り巡らされています。この部分が、カニから栄養を奪います。カニにとっては、災難ですね。
 災難は、他にもあります。寄生された宿主は、繁殖ができなくなるのです。
 なぜ、そうなるのでしょうか? 繁殖とは、とてもエネルギーを使う行為だからです。フクロムシにとっては、宿主から取れる栄養が、減ることになります。「そんな行為は許せない」とばかりに、フクロムシは、宿主の繁殖能力を奪います。
 ウンモンフクロムシに寄生されたカニが、雄だった場合は、さらに悲劇的なことになります。雄なのに、雌のようにふるまうカニになります。まるで卵を抱く雌のように、カニは、フクロムシのエキステルナの世話をします。
 宿主のカニは、結局、フクロムシの繁殖の手伝いまでさせられます。外見からは、袋のようにしか見えない生き物が、ここまでするとは、自然の驚異の一つですね。

図鑑↓↓↓↓↓には、ウンモンフクロムシの宿主となるイソガニ、イワガニ、ヒライソガニが掲載されています。
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過去の記事でも、寄生生物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ススキの下で、何を思う? ナンバンギセル(2010/09/10)
恐るべき?社会寄生、トゲアリ(2010/07/12)
年に二回、花が咲く? エゴノキ(2010/05/28)
ハリガネムシ(針金虫)は、ヒトに寄生する?(2008/08/27)
キチョウの雄(オス)が雌(メス)になる?(2007/09/03)
などです。

2011年9月19日

命名の傑作、ツキヒガイ(月日貝)

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 生き物の種名は、種の特徴を、はっきり表わした名がいいですね。加えて、覚えやすければ、なお、いいです。けれども、そんな名を思いつくのは、難しいです。
 私が知る範囲で、良い種名だと感じるものを、挙げてみましょう。ツキヒガイです。二枚貝の一種です。ホタテガイや、イタヤガイと近縁です。イタヤガイ科に属します。
 二枚貝の殻の模様は、普通、二枚とも同じですね。ところが、ツキヒガイは、片方が赤一色、もう片方が白一色と、くっきり分かれています。この殻の様子を、日(太陽)と月にたとえて、ツキヒガイという種名になりました。命名者は、センスのある人ですね。
 二枚貝の殻は、体の左右に沿って付いています。つまり、片方が右の殻で、もう片方が左の殻です。ツキヒガイの場合、白いほうが右の殻で、赤いほうが左の殻、と決まっています。普段は、赤いほう(左殻)を上にして、海底に横たわっています。
 先述のとおり、ツキヒガイは、ホタテガイと近縁です。ということは、ホタテガイと同じように、殻をぱくぱくして、泳げるのでしょうか? そのとおりです。
 ツキヒガイも、泳ぎます。けっこう速いです。この特技のおかげで、ツキヒガイは、海底に無防備に転がっていられます。危険が迫ったら、泳いで逃げればいいわけです。
 ツキヒガイには、似た種名の違う種が、いくつかあります。クラゲツキヒガイ、ワタゾコツキヒガイなどです。これら二種は、ツキヒガイとは、あまり近縁ではありません。どちらの種も、二枚貝の仲間です。ワタゾコツキヒガイ科に属します。
 ツキヒガイ(月日貝)から「日」を取ったツキガイ(月貝)という種もいます。ツキガイも、二枚貝ですが、ツキヒガイとは遠縁です。ツキガイ科に属します。この種は、二枚の殻が白くて円いです。それを月にたとえたのでしょう。
 では、ヒガイという種はいるのでしょうか? います。しかし、漢字で書くと、「日貝」ではありません。「杼貝」です。杼【ひ】とは、機織りに使う道具の一種です。
 ヒガイ(杼貝)は、ツキヒガイとは、ずいぶん遠縁です。二枚貝ではなく、巻貝です。巻いた殻の形が、杼に似るために、杼貝と名づけられました。

図鑑↓↓↓↓↓には、ツキヒガイが掲載されています。
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過去の記事でも、二枚貝の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海の中にも、ウグイスがいる?(2011/05/02)
ムール貝やパーナ貝とは、どんな貝?(2008/12/12)
新種のシャコガイ発見(2008/09/04)
安物から高級食材へ、アカガイ(赤貝)(2008/05/02)
四百年、生きた貝がいる?(2007/11/01)
などです。

2011年8月15日

鬼も美女もいる? オニグモの仲間たち

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 生き物には、「オニ○○」という種名のものが、よくいますね。大型の種に、よく付けられます。今回は、その一種を取り上げましょう。オニグモです。クモの一種です。
 オニグモは、確かに、日本産のクモの中では、大きいほうです。けれども、最大種ではありません。日本最大のクモといわれるのは、オオジョロウグモという種です。
 オニグモは、日本全国で、普通に見られるクモです。家の軒下などにも多いです。いかにもクモらしい、大きな円形の網を張ります。網を張るのは、夜だけです。夜行性なのですね。毎日、夕方に張った網を、朝には片づけてしまいます。
 人家の近くで、夜、円形の網を張っている、灰色っぽい大きなクモがいたら、それは、オニグモの可能性が高いです。必ずそうであるとは限りません。
 ややこしいのは、「オニグモ」と呼ばれるクモが、正式な種名オニグモでない場合があることです。方言で、他種のクモを「オニグモ」と呼ぶことがあります。逆に、正式な種名オニグモを、方言で、別の名で呼ぶこともあります。ますます、ややこしいですね。
 正式な種名オニグモは、コガネグモ科オニグモ属に属します。このグループに属する種は、ほとんどみな、「○○オニグモ」という種名が付きます。
 中に、アカオニグモという種と、アオオニグモという種がいます。赤鬼と青鬼とが、揃っているところが、面白いですね。これら二種の種名は、体色から付いています。アカオニグモは、腹部が赤く、アオオニグモは、腹部が薄青いです。
 ただし、アカオニグモの雄(オス)は、腹部が赤くありません。黄色っぽいです。大きさも、雌(メス)よりずっと小さく、別種のように見えます。
 じつは、クモの仲間は、みなそうです。雌のほうが、雄よりずっと大きく、種の特徴がわかりやすいです。例えば、アオオニグモの場合も、雄は、雌よりずっと小さいです。腹部も目立たず、青いクモというよりは、緑色のクモに見えます。
 オニグモ属には、ビジョオニグモという種もいます。「鬼」に「美女」とは、思いきった種名ですね。クモ好きの方に言わせると、この種の雌は、「美女」揃いなのだそうです。


図鑑↓↓↓↓↓には、正式な種名オニグモが掲載されています。
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過去の記事でも、クモの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
クモの中の目利き? ハエトリグモ(2010/10/29)
人面グモ? いえ、ハナグモです(2009/04/10)
女武者の闘い? コガネグモのクモ合戦(2007/06/04)
ジョロウグモの理【ことわり】(2006/10/19)
人家の頼もしい用心棒、アシダカグモ(2006/08/25)
などです。

2011年8月 1日

海中の植物園? サンゴの仲間たち

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 海の生き物には、「ウミ○○」といった種名が付くものが、多いですね。「○○」には、陸の生き物の名が入ります。私たちが、陸の生き物のほうを、見慣れているためでしょう。中には、動物なのに、植物の名が付くものもあります。例えば、サンゴの仲間です。
 サンゴの仲間は、脚がありません。まるで陸上の植物のように、移動しないで暮らします。そのうえ、ひらひらした触手が、葉や花びらを連想させます。
 けれども、サンゴは、植物ではありません。動物です。刺胞動物門【しほうどうぶつもん】花虫綱【はなむしこう、または、かちゅうこう】というグループに属します。
 今回は、植物の名が付いたサンゴの仲間を、紹介しましょう。
 ハナヤサイサンゴというサンゴの一種があります。ハナヤサイとは、カリフラワーの日本語名です。群体の様子が、カリフラワーに似るために、こんな名になりました。
 ハナヤサイサンゴは、花虫綱の中の、イシサンゴ目【もく】ハナヤサイサンゴ科に属します。同じ科には、ショウガサンゴ(生姜サンゴ)という種名のものもいます。
 イシサンゴ目といえば、熱帯の海のサンゴ礁を形成する、主なグループです。このグループでは、ミドリイシ科が有名ですね。スギノキミドリイシ、サボテンミドリイシなどの種があります。やはり、群体の様子から、種名が付いています。
 他に、イシサンゴ目には、ウミバラ科というグループもあります。スジウミバラ、レースウミバラなどの種があります。どんな美しいサンゴだろうと思いますよね。でも、私が見た限りでは、「海の薔薇」という名は、ちょっと大げさだと思います(笑)
 ウミバラ科には、キッカサンゴという種もあります。菊花サンゴという意味の種名です。こちらも、菊の花に見えるかと言われれば、難しいかも知れません。
 イシサンゴ目のビワガライシ科には、アザミサンゴという種があります。ふさふさと触手を伸ばす様子が、アザミの花に見えたようです。
 前記の種は、どれも、熱帯のサンゴ礁で見られるものです。種名は、やや牽強付会でも、健康なサンゴは美しいです。熱帯の海へ行ったら、ぜひ観察してみて下さい。

図鑑↓↓↓↓↓には、ハナヤサイサンゴ、ミドリイシの一種などのサンゴが掲載されています。
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過去の記事でも、サンゴの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海の生き物と遊ぼう、よしもとおもしろ水族館(2011/04/09)
世界最長寿のサンゴが発見される?(2009/04/04)
白保【しらほ】のサンゴは普通と違う? アオサンゴ(2008/11/17)
宝石の珊瑚【さんご】はサンゴ礁のサンゴか?(2007/03/05)
サンゴ礁と台風の関係(2005/09/02)
などです。

2011年7月25日

眼も脚もない? カイガラムシの不思議

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 皆さんは、「昆虫の特徴は?」と訊かれて、答えることができますか?
 脚が六本ある。そうですね、正しいです。体が、頭と胸と腹との三つに分かれている。これも正しいです。複眼【ふくがん】という眼を持つ。これも、昆虫の特徴です。
 ところが、例外があります。前記の特徴がない昆虫も、いるのです。
 その例外の一つが、カイガラムシの仲間です。カメムシ目【もく】カイガラムシ上科【じょうか】に属する昆虫たちです。カイガラムシという名でも、貝の仲間ではありません。
 農業や園芸をやる方なら、カイガラムシは、御存知でしょう。この仲間は、農作物や園芸植物の害虫として知られます。彼らは、みな、植物食です。口を植物に突き刺して、栄養のある液を吸います。吸われ過ぎれば、植物が弱ってしまいます。
 カイガラムシは、植物の上で一生を過ごします。食べ物の上で、一生、暮らすわけです。これなら、食べ物を探して、動き回る必要はありませんね。このために、多くのカイガラムシの種は、脚をなくしてしまいました。
 ずっと動かずにいるなら、眼も必要ありません。脚をなくしたカイガラムシの多くは、複眼もなくしました。さらには、頭・胸・腹という、体の区分まで、なくした種が多いです。そのような動きやすい体は、必要ない、ということでしょう。
 でも、敵に襲われたら、どうするのでしょうか? 脚がないのでは、逃げようがありませんよね。彼らの多くは、逃げるより、隠れることを選んでいます。
 カイガラムシの多くの種は、体の上に、綿【わた】状のものや、蝋【ろう】状のものを背負っています。おかげで、彼らは、まるで昆虫には見えません。植物に付いたごみくずのように見えます。「昆虫」を食べるつもりの動物には、見つかりにくそうです。
 先に、カイガラムシは、害虫として有名だと書きましたね。このような昆虫は、研究が進んでいるのが普通です。けれども、カイガラムシは、この点でも例外です。分類さえ、定まっていません。カイガラムシ上科の中で、どの種が、どの科に入るのか、研究者によって意見が違います。身近な昆虫でも、謎が多いことの例ですね。

図鑑↓↓↓↓↓には、カイガラムシの一種、ツノロウムシが掲載されています。
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過去の記事で、カイガラムシと同じように、植物の害虫といわれる昆虫を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
冬越しは木の中で、カミキリムシたち(2011/02/07)
実盛虫【さねもりむし】の正体は、ウンカ?(2008/08/06)
謎の円盤UFO? いえ、カメノコハムシです(2008/03/10)
横に歩くのは何のため? ヨコバイ(2008/02/25)
イネクロカメムシは福田【ふくだ】の虫?(2007/10/08)
などです。

2011年7月11日

謎の生物、ブンブクチャガマ

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 ブンブクチャガマという生き物の名を、聞いたことがおありでしょうか? 漢字では、分福茶釜、または、文福茶釜と書かれます。冗談みたいな名ですね。でも、これが、正式な日本語名(標準和名)です。
 こんな面白い名が付いたのは、どんな生物でしょうか? ウニの一種です。専門的に言えば、棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】ウニ綱【こう】に属します。
 彼らは、他のウニと同じく、海に棲みます。全身、棘だらけです。けれども、恐ろしい生き物ではありません。普段は、海底の砂や泥にもぐって生活しています。
 普通のウニは、球形の体に、棘がありますね。ところが、ブンブクチャガマの体は、球形ではありません。なんと、ハート形です。なぜ、こんな形なのでしょうか?
 それは、彼らの生態と関係がある、と考えられています。球形より、ハート形のほうが、砂や泥の中を進むのに、都合の良い形のようです。
 ブンブクチャガマには、近縁な種が何種もいます。ネズミブンブク、セイタカブンブク、オカメブンブク、ヒラタブンブクなどの種です。どれも、ウニ綱ブンブク目【もく】に属する種です。ブンブク目の種は、おおむね、姿も生態も似ています。
 中には、深海に棲むブンブク目の種もいます。ウルトラブンブクという種です。怪獣の名前みたいですが、これが標準和名です。
 「ウルトラ」ブンブクの名が付いたのは、ブンブク目の中で、とても大きい種だからです。とはいえ、10cmから15cmくらいです。普通のブンブクチャガマは、5cmくらいです。もともと、この仲間は、そんなに大きくないのですね。
 ウルトラブンブクは、大きさ以外にも、変わった点があります。ブンブク目なのに、普段、海底にもぐっていないらしいのです。なぜそうなのかは、わかっていません。
 ブンブク目のウニは、研究があまり進んでいません。砂や泥にもぐっていて、観察しにくいためでしょう。それにしては、面白い名を付けたものだと思います。ウニの研究者には、独創的な方が多いのでしょうか?(笑)

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ブンブクチャガマは載っていません。かわりに、日本近海のウニの仲間が、十種ほど掲載されています。
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過去の記事でも、ウニの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
タコノマクラの花びら模様は、いったい何?(2008/01/25)
突然の人気者? スカシカシパン(2008/01/10)
海中のオブジェ? パイプウニ(2007/11/16)
棘だけでは足りない? ウニの防御作戦(2007/08/11)
などです。

2011年6月20日

イソギンチャクは、闘う?

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 イソギンチャクは、日本の海で、普通に見られる生き物ですね。日本の磯に多いのは、ウメボシイソギンチャクや、ミドリイソギンチャクといった種です。
 水中でひらひらしているイソギンチャクは、平和的な生き物に見えます。ところが、そうとは限りません。隣同士のイソギンチャクで、「闘う」ことがあります。
 ウメボシイソギンチャクを、例に取ってみましょう。この種は、よく、いくつかの個体が集まって、岩などに付いています。その場合、あまり、隣同士で喧嘩しているようには見えません。実際、平和に共存していることも多いです。
 では、「闘う」のは、どんな場合でしょうか? どうやって「闘う」のでしょう?
 イソギンチャクが闘うか否かは、彼らの繁殖と関わっています。同じ遺伝子を持つイソギンチャク同士は、闘いません。それは、「自分と同じもの」だからです。
 ウメボシイソギンチャクなどの種は、クローン繁殖を行なうことができます。クローンとは、「ある個体と、まったく同じ遺伝子を持つ個体」です。いわば、コピーですね。こういったクローン同士では、闘うことはありません。
 闘いになるのは、遺伝子が違う個体同士が、隣になった場合です。互いに、相手を「自分とは違うもの」とみなすからですね。
 遺伝子が違うイソギンチャク同士が、隣り合うと、「闘う」ための、特別な器官を発達させます。どんな器官かは、種によって違います。
 ウメボシイソギンチャクの場合は、周辺球【しゅうへんきゅう】と呼ばれる器官です。触手の周辺に付く、球状の器官です。ナゲナワイソギンチャクなどの場合は、キャッチ触手という、特別な触手が発達します。普通の触手より、太くて長い触手です。
 これらの器官には、相手を突き刺す刺胞【しほう】細胞が、びっしりと付いています。これで、互いに攻撃し合います。たいていは、どちらかがその場から退却して(イソギンチャクは、場所を移動することができます)、闘いが終わります。
 平和そうに見えても、イソギンチャクの世界も、大変だとわかりますね。

図鑑↓↓↓↓↓には、ウメボシイソギンチャク、ミドリイソギンチャクが掲載されています。
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過去の記事でも、イソギンチャクの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
刺すイソギンチャクがいる?(2010/02/22)
どっちがどっち? スナイソギンチャクと、スナギンチャク(2009/10/05)
管の中の花? ハナギンチャク(2009/04/27)
イソギンチャクは逆さのクラゲ?(2008/04/21)
などです。

2011年5月30日

アンモナイトが生きている?

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 アンモナイトといえば、有名な絶滅動物ですね。恐竜が栄えたのと同じ時代に、繁栄しました。タコやイカの親類に当たる生き物です。海に、たくさん棲んでいました。
 誰でも、一度くらい、アンモナイトの復元図を見ているのではないでしょうか? ぐるぐると、ヒツジの角のように巻いた殻を背負い、多くの触手を生やしています。
 恐竜が滅びたのと同じ時期―白亜紀の終わり、約六千五百万年前―に、アンモナイトも、絶滅したといわれます。ところが、一説によれば、アンモナイトの生き残りが、現代にもいるといいます。その生き残りとは、トグロコウイカだとされます。
 トグロコウイカは、深海に棲みます。そのため、普通は、人目に触れることはありません。食用に漁獲されることもありません。ほとんど知られない生き物です。
 トグロコウイカの外見は、普通のイカにそっくりです。復元図のアンモナイトとは、まるで似ていません。なのに、なぜ、「アンモナイトの生き残り」説が出るのでしょう?
 その秘密は、トグロコウイカの胴体部分にあります。胴体には、少し、膨らんだところがあります。その膨らみの中に、ぐるぐると巻いた殻が入っています。この殻の外見も、構造も、アンモナイトの殻に似ています。
 さらに、トグロコウイカには、興味深い特徴があります。頭部(眼のある部分)と触手とを、胴体の中に引っ込めることができるのです。この特徴は、アンモナイトと共通するといわれます。アンモナイトは、殻の中の胴に、頭部と触手を引っ込めました。
 アンモナイトの栄えた期間は、長いです。中には、多様な種が、含まれます。後期の種の中には、外見が、現在のイカに似るものがあったかも知れないといわれます。殻がむきだしではなくて、イカのような肉質で覆われていた、という訳です。
 ぐるぐる巻いた殻が、肉質に覆われていたら......その姿は、まさに、トグロコウイカそのものでしょう。「アンモナイトの生き残り」といわれる理由が、わかりますね。
 トグロコウイカが、アンモナイトの生き残りなのかどうかは、確定していません。もし、そうだとしたら、やはり、深海には、古代のロマンがあると言えますね。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、トグロコウイカは載っていません。トグロコウイカに似たコウイカ、シシイカ、スジコウイカ、ヒメコウイカなどが掲載されています。
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過去の記事でも、深海に棲む古代的な生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
日本初の大発見、セイスイガイ(勢水貝)(2010/06/21)
貝類は、昔、ミミズだった? カセミミズ(2009/09/25)
ウミユリ(海百合)は、海底に咲く花?(2008/08/25)
シーラカンスの新種?発見(2007/11/15)
ラブカはなぜ「生きている化石」か?(2007/01/27)
などです。

2011年5月 2日

海の中にも、ウグイスがいる?

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 春深い季節ですね。ウグイスの声にも、深みが増してきたようです。
 ところで、海の中にもウグイスがいると、御存知でしょうか? そればかりか、ツバメも、ホトトギスも、ヒバリも、クジャクもいます。
 じつは、これらは、貝の名前です。ウグイスガイや、ホトトギスガイという種名の貝がいるのですね。ツバメガイ、ヒバリガイ、クジャクガイもいます。これらは、みな、正式な日本語の種名(標準和名)です。ここに挙げた種は、どれも、二枚貝です。
 ウグイスガイは、二枚貝綱【にまいがいこう】ウグイスガイ目【もく】ウグイスガイ科ウグイスガイ属に属します。ツバメガイも、属名まで、同じ分類です。
 同じウグイスガイ科ウグイスガイ属には、マベガイも属します。属は違いますが、アコヤガイも、ウグイスガイ科に属します。アコヤガイは、アコヤガイ属です。
 マベガイや、アコヤガイは、「真珠ができる貝」として、知られますね。真珠貝といえば、普通は、アコヤガイを指します。他にも、ウグイスガイ科には、真珠の養殖に使われる種があります。鳥でも貝でも、「ウグイス」は、人間に好まれるようですね(笑)
 ホトトギスガイは、ウグイスガイとは遠縁です。二枚貝綱イガイ目【もく】イガイ科ホトトギスガイ属に属します。同じイガイ科に、ヒバリガイとクジャクガイも属します。ただし、属は違います。ヒバリガイはヒバリガイ属、クジャクガイはクジャクガイ属です。
 イガイ科という名で、ぴんと来た方がいるかも知れませんね。イガイ科には、ムラサキイガイが属します。通称、ムール貝といえば、おわかりでしょう。食用になる貝ですね。
 イガイ科には、他にも、食用になる種があります。イガイ、ミドリイガイ、モエギイガイなどです。これらの「○○イガイ」は、イガイ科イガイ属に属します。
 なぜ、海に棲む貝に、水鳥でもない鳥の名が付けられたのでしょうか?
 ウグイスガイ科の場合は、「貝殻の形が、鳥に似る」ためです。ホトトギスガイは、「殻の模様が、ホトトギスの羽毛の模様に似る」ためです。クジャクガイは、「殻の内側の光沢が、クジャクの羽毛に似る」ためです。ヒバリガイについては、わかりませんでした。

図鑑↓↓↓↓↓には、ウグイスガイ科のアコヤガイ、マベ(ガイ)が載っています。イガイ科のイガイも掲載されています。
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過去の記事でも、ウグイスガイ科に属する貝や、イガイ科に属する貝を取り上げています。また、鳥のウグイス、ツバメ、ホトトギスなども取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ムール貝やパーナ貝とは、どんな貝?(2008/12/12)※イガイ科の貝を取り上げています。
ホトトギスは鳥? それとも植物?(2007/10/05)※植物にも、「ホトトギス」があります。
真珠貝【しんじゅがい】の秘密(2006/06/16)※ウグイスガイ科の貝を取り上げています。
渡るツバメ、越冬するツバメ(2005/10/17)
などです。

2011年4月23日

深海の宝物、宝石サンゴ展

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 上野の国立科学博物館に行ってまいりました。『宝石サンゴ展』を見るためです。
 宝石サンゴとは、何でしょうか? 文字どおり、宝石になるサンゴを指します。じつは、熱帯の海で普通に見られるサンゴは、宝石になりません。このことは、以前、このブログで取り上げましたね(宝石の珊瑚【さんご】はサンゴ礁のサンゴか?(2007/3/5))。
 宝石になるサンゴは、種が限られています。ほとんどが、深海に棲む種です。このために、宝石サンゴの生きた姿を見るのは、難しいです。展覧会では、その貴重な映像を見ることができます。深海探査艇【しんかいたんさてい】が撮ったものです。
 宝石サンゴの中で、ほぼ唯一、浅い海に棲む種があります。ベニサンゴという種です。この種は、地中海の浅い海に分布します。このため、古くから人間に利用されてきました。十八世紀以前の宝飾品に使われたサンゴは、ほぼすべて、この種です。
 ベニサンゴが使われたアンティークジュエリーが、この展覧会に展示されています。
 十九世紀になると、日本の近海で、宝石サンゴが発見されました。その時から、現在に至るまで、日本は、宝石サンゴの大産地です。展覧会では、深海にある宝石サンゴを、どのようにして採ってきたのか、その歴史が紹介されています。
 会場は、全体的に照明が落とされていて、深海のイメージです。その中で見る実物のサンゴの標本や、映像は、神秘的です。深海生物が好きな方に、お勧めです。
 多くの宝石サンゴは、白か、ピンクか、赤色です。けれども、黒色や金色の宝石サンゴもあります。これらの宝石サンゴは、白~ピンク~赤系の宝石サンゴとは、分類が違います。遠縁なのに、不思議と同じく宝石になり、同じように深海に棲みます。
 展覧会では、これらの珍しい黒サンゴや金サンゴも、標本を展示しています。
 また、会場では、素晴らしい珊瑚の宝飾品が、たくさん見られます。名工が作った超絶的な技巧の作品や、ジュエリーデザインを学ぶ学生さんたちが作った、清新な作品です。宝飾品が好きな方も、観に行って損はありません。
 宝石サンゴは、深海で、何百年もかけて育ちます。竜宮城の宝物のようですね(笑)


図鑑↓↓↓↓↓には、アオサンゴ、イボヤギ、ハナヤサイサンゴ、ミドリイシなどのサンゴの仲間がたくさん載っています。
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宝石サンゴ展は、以下に公式のページがあります。
宝石サンゴ展(国立科学博物館の公式サイト内)
過去の記事でも、サンゴの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
世界最長寿のサンゴが発見される(2009/04/04)※黒サンゴと金サンゴが取り上げられています。
白保のサンゴは普通と違う? アオサンゴ(2008/11/17)
国際サンゴ礁年とは、どんなもの?(2007/12/24)
などです。

2011年4月 9日

海の生き物と遊ぼう、よしもとおもしろ水族館

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 水族館へ行ってまいりました。横浜中華街にある、よしもとおもしろ水族館です。
 ここは、あのお笑いのよしもとが経営しています。ですから、普通の水族館とは、一味、違います。「魚博士」のタレント、さかなクンが、解説板に登場しています。
 面積は、そんなに広くありません。そのかわり、水槽ごとに、工夫が凝らされています。中華街の散策ついでに、ぶらりと寄るのに、いいですね。
 多くの水槽には、クイズが付いています。クイズには、正解を答えたいですよね? それには、水槽の生き物たちを、よく観察しなければいけません。そうしているうちに、生き物の知識が付いてしまいます。楽しいお勉強です。
 サンゴ礁に棲む、きれいな魚が、たくさんいます。映画で有名になったカクレクマノミや、ナンヨウハギなどです。サンゴの仲間も、何種もいます。
 ヒトにとって御馳走になる、イセエビや、アワビや、サザエもいます。ヒラメとカレイとが、一緒に入っている水槽もあります。どちらがどうなのか、比べることができますね。
 変わった姿の魚もいます。例えば、オニダルマオコゼは、海底の岩にそっくりです。水槽の中には、置き物の「にせオニダルマオコゼ」もあります。どれが生きている魚で、どれが置き物か、見分けられるでしょうか?(笑)
 クラゲたちの水槽もあります。ふわふわと漂うように泳ぐクラゲには、癒されますね。
 個人的には、カブトクラゲの水槽と、ケヤリムシの水槽が気に入りました。
 カブトクラゲは、クラゲと付いても、普通のクラゲとは、遠縁のグループです。泳ぐ時、体の一部が、虹のように光ります。この種を飼う水族館は、珍しいです。
 ケヤリムシは、釣り餌にするゴカイの仲間です。頭部に、ふさふさした鰓冠【さいかん】というものが付いています。それが、水中で、花のように開きます。とても美しいです。
 現在、ここの水族館では、「NO UMA【ノーユーマ】展」という企画もやっています。UMAとは、未確認動物のことです。例えば、人魚や、ドラゴンも、UMAといえます。そんな不思議な生き物が、水族館に!? どんなものかは、観に行ってみて下さい(笑)


図鑑↓↓↓↓↓には、日本の近海に分布する魚類や、無脊椎動物がたくさん載っています。
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よしもとおもしろ水族館の公式サイトは、以下にあります。
よしもとおもしろ水族館

2011年3月21日

ウミウシ? いえ、ヒラムシです

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 近年、海の生き物では、ウミウシが人気だと聞きます。カラフルで、面白い形のものが多いからでしょう。しかも、動きが遅いので、ゆっくり観察できます。
 ところが、海には、ウミウシと似て異なる生き物もいます。ヒラムシの仲間です。
 ヒラムシとは、名のとおり、とても平たい生き物です。厚みがなく、細長い楕円形をしています。長いところで、2~4cmくらいの大きさです。多くの種は、海底を這って生活します。一部に、泳いだり、他の生き物に寄生したりするものがいます。
 ヒラムシの体には、硬い部分がありません。全体が軟らかく、海底を這うところが、ウミウシと似ます。けれども、ウミウシとは、とても遠縁です。
 ヒラムシは、扁形動物門【へんけいどうぶつもん】渦虫綱【うずむしこう】に属します。ウミウシは、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】腹足綱【ふくそくこう】に属します。「門」という大きいレベルで、分類が違います。
 扁形動物【へんけいどうぶつ】などといわれても、普通の人には、何の仲間なのか、ぴんと来ないでしょう。プラナリアの仲間と言えば、おわかりでしょうか。
 あの、生物実験に使われるプラナリアは、正確には、ナミウズムシという種です。ナミウズムシも、平たいですね。これは、扁形動物の特徴です。
 ナミウズムシは、淡水に棲みますが、ヒラムシの仲間は、海水に棲みます。カラフルな種が多いのは、ヒラムシの特徴です。この点が、ウミウシと紛らわしいのですね。
 じつは、「カラフルなヒラムシは、ウミウシに擬態【ぎたい】しているのでは?」といわれます。わざとウミウシに似ているわけです。なぜでしょうか?
 それは、おそらく、有毒なウミウシが多いからです。ウミウシがカラフルなのは、「私を食べると、毒にあたるよ」と、周囲の生き物に警告しているのですね。ヒラムシは、それをまねて、自分が食べられないようにしているようです。
 もしかしたら、ヒラムシにも、毒があるのかも知れません。彼らについては、わかっていないことが多いです。これからの研究が、楽しみな生き物です。
図鑑↓↓↓↓↓には、ヒラムシは載っていませんが、ウミウシの仲間が掲載されています。
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過去の記事でも、扁形動物【へんけいどうぶつ】を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
プラナリアは、美術モデル?(2010/01/18)
梅雨時のエイリアン? コウガイビル(2008/05/30)

2011年3月 7日

泳ぐナマコがいる?

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 日本人にとって、ナマコは、お馴染みの生き物ですね。食用にされるからです。日本で食用にされるのは、ほとんどが、マナマコという種です。
 魚屋で見るナマコ(マナマコ)は、水底でごろんとしていますね。軽快な生き物には見えません。ところが、ナマコの仲間には、泳げる種も存在します。
 それは、深海に棲むナマコたちです。分類学的にいえば、棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】ナマコ綱【こう】板足目【ばんそくもく】に属する種が多いです。
 泳ぐナマコとして有名なのは、ユメナマコです。深海探査艇が撮影した映像のおかげで、有名になりました。半透明の紅色をした、美しい種です。板足目のクラゲナマコ科に属します。体に、ひれが付いていて、踊るように泳ぎます。
 オケサナマコという種もいます。泳ぐ姿が、「おけさ」を踊るように見えることから、名づけられました。板足目のクマナマコ科に属します。体は、やはり半透明の紅色です。ひれが付いていることも、ユメナマコと同じです。
 深海のナマコが、すべて泳ぐわけではありません。泳がない種もいます。センジュナマコ、エボシナマコなどです。けれども、深海に、泳ぐナマコが多いことは、確かです。
 例えば、ユメナマコの場合、食べ物は、海底の砂や泥です。より正確には、砂や泥に含まれる有機物を食べます。ですから、食べ物は、海底にあるわけです。泳ぐ必要はありません。ならば、なぜ、泳ぐのでしょうか? いくつかの説があります。
 そのうちの一つの説が、「海底の土砂崩れから、逃れるためでは」というものです。
 ユメナマコが多く棲む海に、駿河湾【するがわん】や相模湾【さがみわん】があります。どちらの湾も、海底に急斜面が多いです。このため、時おり、土砂崩れが起きます。海底を這うだけでは、土砂崩れから逃れられません。泳げれば、圧倒的に有利ですね。
 海底の土砂崩れには、良い面もあります。食べ物の少ない深海に、浅い海から、食べ物を運んでくれます。だから、土砂崩れが多い海に、ユメナマコが多いのですね。厳しい環境の深海に、適応した結果でしょう。

図鑑↓↓↓↓↓には、トラフナマコ、バイカナマコ、マナマコが掲載されています。
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過去の記事でも、ナマコの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
トラフナマコは、虎縞【とらじま】のナマコ?(2009/11/27)
食用ナマコはどんなナマコか?(2007/01/22)
サンゴ礁の海を守るナマコ(2006/07/22)
などです。

2011年2月14日

泳ぐゴカイがいる?

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 深海には、思いもかけない生き物が、たくさんいます。浅い海に棲むものの仲間でも、姿や生態が違うものが、多いですね。例として、ゴカイの仲間を挙げてみましょう
 ゴカイを御存知でしょうか? 海釣りをする方なら、よく御存知でしょう。釣り餌として、一般的に使われますね。細長い体をして、脚がたくさんあります。
 ゴカイとは、多くの場合、環形動物門【かんけいどうぶつもん】多毛綱【たもうこう】に属する生き物の総称です。この仲間は、たいへん種の数が多いです。現在わかっているだけでも、八千種以上いるといわれます。
 釣り餌にされるのは、浅い海に棲むゴカイです。それらのゴカイは、通常、海底の砂や泥の中に棲みます。岩の間や、ヤドカリの殻の中(!)などにいる場合もあります。いずれにしろ、どこかに隠れて棲むのが普通です。
 ところが、深海に棲むゴカイには、海中をゆうゆうと泳ぐものが、珍しくありません。
 二〇一〇年に、新種として、話題になったゴカイがいました。インドネシアとフィリピンの間の深海に分布します。このゴカイは、とても長い脚を持ちます。その脚を、櫂【かい】のように使って、泳ぎます。頭には、長い触手があります。
 このゴカイには、Teuthidodrilus samae【テウティドドリルス・サマエ】というラテン語の学名が付けられました。日本語名は、付いていません。
 この種以外にも、深海では、泳ぐゴカイが見つかっています。それらの中には、まだ、種名が付いていないものも多いです。日本の深海探査艇「しんかい6500」が撮影した中にも、泳ぐゴカイが写っています。
 なぜ、深海には、泳ぐゴカイが多いのでしょうか? 私の考えですが、おそらく、深海には魚が少ないことと関係があります。泳いでいても、魚に見つかる可能性が低いのですね。襲って食べられることがなければ、泳いでも平気、ということでしょう。
 浅い海のゴカイは、特別な防御策を持つ種でない限り、大っぴらに泳いだり、歩いたりできません。そんなことをすれば、たちまち、魚に食べられてしまうでしょう。

図鑑↓↓↓↓↓には、ゴカイの仲間のウミケムシ、イバラカンザシゴカイが掲載されています。
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二〇一〇年に発見された、新種のゴカイTeuthidodrilus samae【テウティドドリルス・サマエ】のニュースは、以下にあります。
イカのような虫のような?セレベス海で新種環形動物を発見(AFPBBニュース、2010/11/25)
'Squid worm' sucked up by sub is new to science(guardian.co.uk,2010/11/24)
過去の記事でも、ゴカイの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海の毛虫も蝶(チョウ)になる? ウミケムシ(2010/03/15)
オーストラリアのサンゴ礁で、数百の新種を発見(2008/09/25)
海中のクリスマスツリー? イバラカンザシゴカイ(2005/12/09)

2011年1月14日

ウミウシは、海のナメクジか?

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 海に棲む生き物の中に、ウミウシと呼ばれるものがいますね。殻のない巻貝の仲間です。
 殻のない貝といえば、ナメクジを思い出しますね。実際、ウミウシは、英語でsea slug(海のナメクジ)と呼ばれます。ウミウシは、海に棲むナメクジの仲間なのでしょうか?
 この答えは、「そうだ」とも、「そうでない」とも言えます。なぜなら、ウミウシには、分類上、多様なグループが含まれることがわかってきたからです。
 少し前まで、ウミウシとは、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】腹足綱【ふくそくこう】後鰓亜綱【こうさいあこう】に属する生き物だ、と考えられていました。ところが、近年、この分類は、採用されなくなりつつあります。
 どんな研究者でも、「ウミウシが、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】腹足綱【ふくそくこう】に属する」ところまでは、一致しています。問題は、その先です。
 じつは、腹足綱の分類は、大きく見直されている最中です。腹足綱とは、簡単に言えば、巻貝の仲間すべてです。ナメクジも、カタツムリも、サザエも、アワビも、ホラガイも、みんな入ります。つまり、巻貝の分類自体が、見直されています。
 二〇一一年現在では、後鰓亜綱というグループ名は、ほとんど使われなくなりました。
 どうやら、ウミウシと呼ばれるものには、「巻貝の仲間で、海に棲んでいて、殻が(見え)ない」こと以外には、共通点がないようです。少なくとも、分類上の共通点は、ありません。ウミウシとは、前記の条件を満たす生き物の、通称と考えてよいでしょう。
 例えば、アメフラシという「殻の退化した貝」がいます。日本の磯で、普通に見られます。腹足綱の中の、アメフラシ科に属します。目【もく】の分類は、決まっていません。
 同じアメフラシ科に属する種に、ウミナメクジという種名のものがいます。名のとおり、外見は、緑のナメクジという感じです。でも、陸のナメクジとは、遠縁です。
 逆に、ナメクジに似ないのに、ナメクジに近縁な「ウミウシ」もいます。イソアワモチという種です。普通のウミウシと違い、空気呼吸します。ナメクジと同じですね。最近の分類では、イソアワモチの仲間は、ナメクジと同じ目【もく】にされています。

図鑑↓↓↓↓↓には、ウミウシの仲間のアオウミウシ、シロウミウシ、ミノウミウシ、アメフラシが掲載されています。
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過去の記事でも、ウミウシの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ウミウシは何の仲間?(2008/12/29)
いじめると雨が降る? アメフラシ(2007/04/23)

2011年1月 7日

不老不死のクラゲがいる?

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 お正月ですので、おめでたい話をしましょうか。不老不死の話です。
 古くから、不老不死は、ヒトの夢ですね。今のところ、「不老不死のヒトがいる」確実な証拠はありません。他の生き物では、どうでしょうか?
 「不老不死の生き物」は、実在します。ベニクラゲという、クラゲの仲間です。一時期、マスコミで騒がれましたから、御存知の方もいるでしょう。二〇〇四年には、ヤワラクラゲというクラゲも、不老不死であることが発見されました。
 クラゲの仲間は、みな、不老不死なのでしょうか? そんなことはありません。非常に短い寿命が確認されているクラゲもいます。
 クラゲの仲間は、成長段階が、はっきりわかっている種のほうが少ないです。ですから、今後も、不老不死のクラゲが見つかる可能性はあります。もしかしたら、日本近海で、とても平凡に見られるクラゲも、不老不死かも知れません。
 例えば、ミズクラゲです。日本の海水浴場に、よく現われますね。生物の教科書にも、よく載っています。成長段階が、はっきりわかっているからです。
 ミズクラゲは、卵から生まれて、成長段階ごとに、姿を変えます。それぞれの成長段階には、名前が付いています。卵→プラヌラ→ポリプ→ストロビラ→エフィラ→親のクラゲ、という順番です。これらのうち、ストロビラの段階に、秘密があります。
 ストロビラは、体に、いくつものくびれができた状態です。やがて、くびれの部分から体が分かれて泳ぎだします。泳ぎだしたのが、エフィラです。後には、エフィラにならなかった部分が、海底にくっついて残っています。
 この残りの部分が、「不老不死」である可能性があります。残りの部分は死なずに、再び成長することがあるからです。残りの部分が、またストロビラになって、エフィラを生みます。それを繰り返せば、「不老不死」ですよね。
 ミズクラゲが、本当に不老不死なのかどうかは、確認されていません。確認されたとしても、私は驚きません。自然の驚異には、限りがないと思っているからです。


図鑑↓↓↓↓↓には、ミズクラゲが掲載されています。
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過去の記事でも、クラゲの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
刺す海藻? いえ、クラゲです(2010/8/02) 

海中の透明で長いもの、な~んだ?(2010/04/01)
泳がないクラゲがいる?(2009/07/27)
美しい日本固有種、カミクラゲ(2009/03/13)
生物学で大活躍、オワンクラゲ(2008/08/04)
などです。

2010年12月20日

幸せな共生の形、ドロバチとダニ

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 ダニといえば、普通は嫌われ者ですね。他の動物の血を吸ったり、アレルギーの原因になったりするからです。
 ところが、最近、他の動物の役に立つダニが発見されました。二〇〇八年のことです。
 そのダニは、キタドロバチヤドリコナダニという種名です。名のとおり、キタドロバチというハチ(蜂)の巣に棲みます。
 キタドロバチは、ミツバチなどと違い、集団生活をしません。単独で暮らします。母親になるハチが、独力で、子のために巣を作ります。このハチの巣に、キタドロバチヤドリコナダニが棲むことは、以前から知られていました。
 ダニは、巣の中で、キタドロバチの幼虫の体液を吸って育ちます。これでは、ただの寄生虫に見えますね? でも、通常、体液を吸われても、キタドロバチの幼虫には害はありません。逆に、ダニは、幼虫を守る働きをするとわかりました。
 キタドロバチには、恐ろしい敵がいます。その敵を、ダニが退治してくれるのです。
 キタドロバチの敵とは、クロヒラタコバチという別の種のハチです。このハチは、キタドロバチの巣に侵入して、キタドロバチの幼虫に卵を産みつけます。クロヒラタコバチの幼虫が孵化【ふか】すると、キタドロバチの幼虫を食べてしまいます。
 ここで、ダニの出番です。ダニは、押し入ってきたクロヒラタコバチを攻撃します。おおむね、七匹以上のダニがいればクロヒラタコバチを殺せるそうです。
 ダニは、いわば、キタドロバチの用心棒です。キタドロバチの幼虫は、守ってもらうかわりに、自分の体液を与えるわけです。ギブ・アンド・テイクが成り立っていますね。
 ダニは、昆虫に似ていますが、昆虫の仲間(昆虫綱【こんちゅうこう】)ではありません。クモ綱【こう】ダニ目【もく】に属するものを、ダニと総称します。
 ダニの仲間は、二万種以上いるといわれます。数が多いだけに、暮らし方も多様です。キタドロバチヤドリコナダニのように、他の生き物の役に立つダニは、他にもいるでしょう。こんな面白い生態は、解明が進んで欲しいですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、ハチの仲間が、十種以上掲載されています。
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キタドロバチと、キタドロバチヤドリコナダニとの関係は、以下のページに詳しく載っています。
ダニを用心棒にするハチがいた! ~アトボシキタドロバチとキタドロバチヤドリコナダニとの相利関係~(森林総合研究所のサイト内ページ)
過去の記事でも、共生する生き物同士を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
光るイカは、ホタルイカだけじゃない?(2009/6/22) ※イカと細菌の共生です。
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キチョウの雄(オス)が雌(メス)になる?(2007/09/03) 
※キチョウ(チョウの一種)と細菌との共生です。
腸内細菌が進化の決め手? マルカメムシ(2007/06/21) 
※マルカメムシ(カメムシの一種)と細菌との共生です。
海中のサンタクロースはエビ?(2006/12/10) ※エビの一種と魚との共生です。
花が咲かないのに実がなる? イチジク(2006/10/06) 
※イチジクとイチジクコバチ(ハチの一種)との共生です。
などです。

2010年12月10日

ウミサソリは、サソリの祖先か?

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 生き物の名前は、棲む場所を反映することが多いです。例えば、海の生き物で陸上生物に似るものは、「ウミ○○」と名付けられることがありますね。
 けれども、たいていの「ウミ○○」は、名の由来となった陸上生物とは遠縁です。まったく違う生き物であることが、珍しくありません。
 例を挙げてみますと「ウミシダ」などがいます。陸上生物のシダは植物ですね。ところが、ウミシダは動物です。棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】に属します。
 珍しい例として、陸上生物と関係がある「ウミ○○」もいます。ウミサソリです。
 ウミサソリは、はるか昔に絶滅した生き物です。名のとおり、海に棲んでいました。現在、陸に棲むサソリの直接の祖先ではないか、といわれます。
 ただし、この説には異論もあります。ウミサソリは、サソリの直接の祖先ではなく、カブトガニに近縁だという説などがあります。
 ウミサソリが、サソリの祖先ではないとしても同じ節足動物門【せっそくどうぶつもん】に属することは間違いありません。また、姿に共通性があることも確かです。ウミサソリには、尾に毒針を持つ種が多いです。
 もしも、ウミサソリがサソリの祖先だとするとサソリは、「最も早い時期に、陸を歩いた動物」かも知れません。シルル紀末期(四億一千万年前ごろ)の地層から、ウミサソリが海岸を歩いた跡が見つかっています。海から陸へ進出したのですね。
 現生のサソリには、書肺【しょはい】と呼ばれる器官があります。呼吸するための器官です。ウミサソリの化石を調べたところ、サソリの書肺に似た器官が見つかりました。このことなどから、「ウミサソリは、サソリの祖先」説が唱えられています。
 節足動物の中で、サソリが原始的なものであることには異論はありません。四億年以上前に、地球に現われました。昆虫さえ、現われる前のことです。
 その頃の陸は、植物が進出して間もないです。陸を歩く動物は、まだ現われていません。サソリは、空白の大地に第一歩を踏み出しました。陸上動物の先達ですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、マダラサソリが掲載されています。
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過去の記事でも、サソリを取り上げています。また、サソリに似たサソリモドキや、ウミサソリと近縁かも知れないカブトガニも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
サソリ? いえサソリモドキです(2006/09/29)
生きている化石は背泳ぎ上手、カブトガニ(2005/11/23)
サソリの毒はどんな毒?(2005/10/11)
などです。

2010年10月29日

クモの中の目利き? ハエトリグモ

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 クモといえば、「網を張るもの」と思う方が多いでしょうね。実際には、網を作らないクモがたくさんいます。中で、最もヒトに身近なのは、ハエトリグモの仲間でしょう。
 ハエトリグモは、人家でもよく見られますね。小さなクモです。たいていは、体長が1cmもありません。床や壁を、ぴょんぴょん跳ねながら歩いています。
 名のとおりハエトリグモは、ハエを捕って食べます。ハエ以外のものを、食べないわけではありません。自分に捕まえられる大きさの昆虫なら、何でも食べます。人家にいる場合は、ハエのような害虫を捕ってくれることが多いです。ありがたいクモですね。
 ハエトリグモとは、ハエトリグモ科に属するクモの総称です。多くの種があります。有名な種は、ネコハエトリ、チャスジハエトリなどです。人家に棲むものばかりではありません。野外にもいます。多くの種が、網を作りません。自由に歩いて、餌を探します。
 網を作らなくても、糸を出せないわけではありません。他のクモと同じように、お尻から糸を出します。網を作らないなら、糸を何に使うのでしょうか?
 主な用途は、命綱【いのちづな】のようです。彼らは歩く時、常に細い糸を、後ろに出しています。細すぎる糸のため、ヒトの目には、見えにくいです。
 私は、この命綱の用途を、目撃したことがあります。一頭のハエトリグモが、物干し竿【ざお】を歩いていました。そのクモが、飛ぶハエを捕るために、竿からジャンプしたのです。ハエをつかんだまま、クモはお尻の糸で、竿にぶら下がっていました。
 ハエトリグモが、こんな芸当ができるのには秘密があります。彼らは、クモの中では、抜群に眼が良いのです。眼で獲物の位置を知り、距離を測って、飛びかかります。
 網を張るクモ、例えばジョロウグモなどは、眼が良くありません。彼らは、獲物が網にかかったことを、眼で見て知るのではないのです。震動で知ります。触ってみるまで、それが本当に獲物かどうか、網を張るクモにはわからないようです。
 ハエトリグモの場合は、そんなことはありません。高性能な眼のおかげです。その性能については、研究途上です。私たちの姿は、どんなふうに見えているのでしょうね。


図鑑↓↓↓↓↓には、ハエトリグモの一種、ネコハエトリが掲載されています。
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過去の記事でも、クモの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
人面グモ? いえ、ハナグモです(2009/04/10)
女武者の闘い? コガネグモのクモ合戦(2007/06/04)
ジョロウグモの理【ことわり】(2006/10/19)
などです。

2010年10月20日

ジョロウグモ

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ジョロウグモ 画像
和名:ジョロウグモ
学名:Nephila clavata
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

東京都 新宿【2010.09.29】

図鑑↓↓↓↓↓には、ジョロウグモが掲載されています。
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2010年9月27日

ヒトデとクモヒトデとは、どう違う?

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 ヒトデは、多くの人に知られている生き物ですね。磯へ行けば、わりと簡単に見られます。釣りの時、お目にかかった人も多いでしょう。
 名前も姿もヒトデと似た生き物として、クモヒトデがいます。クモヒトデは、ヒトデと近縁なのでしょうか? どこが、どう違うのでしょうか?
 専門的に言えば、ヒトデとは、棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】ヒトデ綱【こう】に属する生き物の総称です。クモヒトデとは、同じ棘皮動物門ですが、クモヒトデ綱【こう】に属する生き物の総称です。分類の「門」が同じでも、「綱」が違いますね。
 この分類を、わかりやすく、たとえてみましょうか。私たちヒトは、
脊索動物門【せきさくどうぶつもん】
哺乳綱【ほにゅうこう】に属します。
カエルの仲間は、同じ脊索動物門ですが、
両生綱【りょうせいこう】に属します。
「門」が同じで、「綱」が違いますね。
 つまり、ヒトデとクモヒトデとは、ヒトとカエルくらいの差があります。
 ヒトデも、クモヒトデも、海でたいへん栄えています。そのわりに、クモヒトデの実物を見た人は、少ないでしょう。それは、クモヒトデが、ヒトに見つかりにくいからです。
 クモヒトデは、多くの種が、深海に棲みます。当然、人目にはつきませんね。でも、浅い海に棲む種も、たくさんいます。ならば、なぜ、目につかないのでしょう?
 一つは、クモヒトデが、海底の石や、砂の下に隠れていることが多いからです。もう一つは、クモヒトデの動きが、すばやいからです。すぐに見失ってしまいます。
 クモヒトデと、ヒトデとの違いが、ここにあります。ヒトデの動きは、遅いですね。ヒトの目で、確実に動きを追える程度です。クモヒトデは、もっとずっと速いです。五本の腕を振り動かして、しゃしゃっと動きます。あっという間に、また隠れてしまいます。
 磯へ行ったら、潮だまりの石を、そっと、どかしてみましょう。クモヒトデが見られるかも知れません。磯にいるのは、イソコモチクモヒトデなどの種です。
 ダイビングをやる方なら、多くのクモヒトデを、見る機会があるでしょう。クモヒトデの研究は、進んでいません。観察すれば、思わぬ発見につながる可能性があります。


図鑑↓↓↓↓↓には、ヒトデの仲間(ヒトデ綱【こう】の生き物)が八種掲載されています。
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過去の記事でも、ヒトデ、ナマコ、ウミシダなどの棘皮動物【きょくひどうぶつ】を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
トラフナマコは、虎縞【とらじま】のナマコ?(2009/11/27)
タスマニア沖で、二百以上の新種を発見(2008/10/14)
ウミユリ(海百合)は、海底に咲く花?(2008/8/25)
オニヒトデは、サンゴ礁の悪役?(2008/7/18)
などです。

2010年9月13日

パウルくんは、マダコ(真蛸)か?

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 今年は、サッカーのW杯の年でした。今年のW杯で、最も有名になったのは、選手でも監督でもないでしょう。タコのパウルです(笑)。 ドイツの水族館のタコですね。
 パウルは、雄のマダコだといわれます。マダコという種は、日本の近海にもいます。世界で最も普通に食用にされるタコが、マダコです。ヨーロッパ近海にいるマダコも、日本近海にいるマダコと、同じ種、ということになっています。
 ところが、この分類が、怪しいという説があります。「マダコの分布が広すぎる」というのです。確かに、マダコは、世界中の温帯の海に分布するといわれます。これほどの広い範囲に、同一種が分布するのは不自然だという主張は、無理もありません。
 じつは、タコの分類は、学者泣かせです。とても難しいからです。まず、何を基準に種を決めるべきかが、悩ましいです。
 例えば、ヒトのような脊椎動物には、骨がありますね。また、貝類には、貝殻があります。このように、体に硬い部分がある生き物は、標本を作りやすいです。その標本を、詳しく調べることもしやすいです。そうして、分類を決めることができます。
 タコには、骨も、殻もありません。体には、一切、硬い部分がありません。ですから、標本を作りにくいです。タコのような、軟らかい生き物を、長く保存できる標本は、近年になって、開発されたばかりです。
 加えて、タコは、外見が変幻自在です。テレビなどで、見た方もいるでしょう。色も、模様も、形も、くるくると変わります。岩や、海藻や、魚など、さまざまなものに擬態【ぎたい】できます。これでは、模様などで分類することも、難しいですね。
 中には、特徴的な模様を持つ種もいます。ヒョウモンダコや、シマダコなどです。おかげで、これらのタコは、種を決めやすいです。
 マダコには、これといった特徴がありません。けれども、少しずつ、研究が進んできました。近い将来、日本近海の「マダコ」と、ヨーロッパ近海などの「マダコ」とは、別の種にされる可能性が高いです。パウル君は、「マダコ」でなくなるかも知れません。


図鑑↓↓↓↓↓には、マダコをはじめ、五種のタコが掲載されています。
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過去の記事でも、タコの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
タコ(蛸)にも「手足」がある?(2009/07/20)
六本脚【あし】のタコ(蛸)がいる?(2008/03/08)
シマダコは、縞ダコか島ダコか?(2008/03/03)
タコ(蛸)の旬【しゅん】は冬か夏か?(2007/02/19)
などです。

2010年8月23日

海の毒まんじゅう? イイジマフクロウニ

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 ウニといえば、とげとげの姿でおなじみですね。ウニの仲間は、海藻を食べるおとなしい動物です。そのために、あんな防御方法が必要なのでしょう。
 中には、棘【とげ】だけでなく、毒まで持つウニがいます。例えば、フクロウニ目【もく】に属する種が、そうです。フクロウニ目の種は、主に、深海に棲んでいます。ですから普通は、ヒトの害になることはありません。
 一種だけ、ダイバーに恐れられる種がいます。イイジマフクロウニという種です。この種は、浅い海にいるからです。フクロウニ目には珍しいことです。
 イイジマフクロウニは、日本近海に分布するウニの中では大型です。赤紫のような、独特の色をしています。動く時に、ふにゃふにゃと、少しずつ形がゆがみます。これらの特徴があるため、他種のウニと間違えることは、まずありません。
 イイジマフクロウニがふにゃふにゃしているのは、体が軟らかいためです。普通のウニは、棘の下に、硬い殻があります。フクロウニ目の種は、この殻がまるで袋のように、軟らかいのですね。だから、「フクロ」ウニです。
 殻が軟らかいかわりでしょうか、フクロウニ目の種は、棘に毒を持ちます。イイジマフクロウニの場合、ヒトが刺されると、時に失神するほど痛いそうです。決して、触ってはいけません。ヒトに対して、本当に危険な種の一つです。
 こんなに強力な武器があるなら、イイジマフクロウニは無敵に見えますね。ところが、彼らにも、敵はいます。意外なことに、それは、小さなカニの仲間です。
 海中のイイジマフクロウニを観察すると、縞【しま】模様のカニが載っていることがあります。ゼブラガニというカニの一種です。彼らは、毒棘を持つウニの上で、生活します。イイジマフクロウニ、ラッパウニなどです。
 ゼブラガニは、ウニの毒棘に守ってもらっています。なのに、彼らは、毒棘をむしって、食べてしまいます。このため、「はげ頭」や「モヒカン」状にされているウニが、少なくありません。ウニにとっては、災難ですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、イイジマフクロウニが掲載されています。
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過去の記事でも、ウニの仲間を取り上げています。ウニと同じ棘皮動物【きょくひどうぶつ】のヒトデなども、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
オニヒトデは、サンゴ礁の悪役?(2008/07/18)
突然の人気者? スカシカシパン(2008/01/10)
棘だけでは足りない? ウニの防御作戦(2007/08/11)
などです。

2010年8月 2日

刺す海藻? いえ、クラゲです

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 海水浴の季節ですね。今回は、海水浴の時注意すべき生き物を紹介しましょう。
 岩場の周りを泳いだ後で、皮膚が痛んだり、みみず腫れのようになったりしたことはありませんか? 「クラゲに刺された」と思うかも知れませんね。でも、海中を見ても、クラゲらしきものがいないとします。では、何に刺されたのでしょうか?
 クラゲの仲間には、一見、クラゲに見えない種もいます。岩場をよく見てみましょう。鳥の羽根のようなものが、生えていないでしょうか? だとしたら、それに刺された可能性があります。「羽根のようなそれ」は、おそらくクラゲの仲間です。
 羽根に似たクラゲの仲間には、「○○ガヤ」という種名のものが多いです。シロガヤ、クロガヤ、フトガヤなどです。ここに挙げた三種は、どれもヒトを刺します。
 「○○ガヤ」の多くは、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】ヒドロ虫綱【ひどろちゅうこう】軟クラゲ目【もく】ハネガヤ科に属します。この仲間は、みなクラゲらしくない姿です。同じヒドロ虫綱には、刺すクラゲとして有名な、カツオノエボシが属します。
 ヒドロ虫綱に属する種が、すべて刺すわけではありません。ヒドロ虫綱には、ノーベル賞で有名になったオワンクラゲも属します。オワンクラゲが刺すとは聞きませんね。
 ハネガヤ科の「○○ガヤ」とオワンクラゲとは、比較的近縁です。ヒドロ虫綱の中で、同じ軟クラゲ目に属するからです。それにしては、ハネガヤ科の種とオワンクラゲとは、似ても似つきませんね。オワンクラゲは、クラゲらしい形です。
 「海藻に似た、刺すクラゲ」については、以前も、このコラムで取り上げています(海藻【かいそう】? いいえ、イラモはクラゲです(2007/07/16))。イラモとハネガヤ科の種とは、近縁のように見えますね。ところが、そうではありません。
 イラモは、刺胞動物門の中の、鉢虫綱【はちむしこう】に属します。ハネガヤ科の種とは、綱【こう】のレベルで分類が違います。たいへん大きな違いです。
 分類の違いはさておき、「刺す」点では、イラモもハネガヤ科の種も、注意すべき生き物です。海中の岩場で、それらしいものを見つけたら触らないほうがいいですね。

図鑑↓↓↓↓↓には、シロガヤが掲載されています。
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過去の記事でも、ヒトを刺す刺胞動物【しほうどうぶつ】を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海藻【かいそう】? いいえ、イラモはクラゲです(2007/07/16)
鰹(カツオ)を連れてくるクラゲがいる?(2007/05/14)
電気クラゲとはどんなクラゲ?(2006/08/01)
などです。

2010年7月 5日

産み分け自在? ミジンコの繁殖事情

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 科学技術はどんどん進んでいますね。最近は、ある程度、子供の性別を産み分けられると聞いています。真偽のほどは定かではありません。
 ヒト以外の生き物では、事情が違います。生き物によっては、はるか昔から、雄(オス)・雌(メス)の産み分けをしています。どんな生き物が、産み分けをするのでしょうか?
 例えば、ミジンコがそうです。学校の理科に登場しますね。淡水にいる、小さなプランクトンです。中には海に棲む仲間もいます。
 ミジンコと呼ばれる生き物には、たくさんの種がいます。ここでは、正式な種名をミジンコという種の話をしましょう。淡水に棲む、平凡なプランクトンです。
 種名ミジンコは、卵で繁殖します。けれども、普段は「卵を産む」ことはありません。体内で、卵を孵化【ふか】させて、子供の状態で産みます。
 産まれる子供は普通、すべて雌(メス)です。母親と、まったく同じ遺伝子を持つ「娘」です。生物学的には、クローンと呼ばれるものですね。親の複製です。
 ところが、たまに、雄(オス)が産まれることがあります。どのような仕組みでそうなるのか、完全にはわかっていません。「生息条件が悪くなった場合に、そうなることが多い」のはわかっています。
 仕組みはわからなくても、理由は、はっきりしています。雄が産まれるのは、「遺伝子のプールをかき混ぜて、多様な個体を生みだすため」です。
 生息条件が悪くなったら、それまでと同じ生き方では、生き残れないかも知れません。親の複製では、「それまでと同じ生き方」になる可能性が高いです。それを避けて、多様な生き方の個体を産むなら、多様な遺伝子を持つ子を産むのが早道です。
 雄と雌とがいれば、遺伝子を混ぜ合わせて、多様な遺伝子を持つ子が産まれます。結果として、どの子かは生き残るでしょう。
 ミジンコには、ヒトのような頭脳はありません。なのに遠い昔から、産み分けをしてきました。生き残るためです。小さな体にも、生命の神秘が詰まっていますね。
図鑑↓↓↓↓↓には、ミジンコが掲載されています。
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 ミジンコは、小さいながらも、節足動物【せっそくどうぶつ】の仲間です。過去の記事でも、同じように、淡水に棲む節足動物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
そっくりさんがいっぱい、スジエビ(2010/02/01)
田んぼの生きている化石、カブトエビ(2007/06/08)
豊作の妖精ホウネンエビ(2006/05/15)
などです。

2010年6月21日

日本初の大発見、セイスイガイ(勢水貝)

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 二〇一〇年の四月、日本の近海で、新種の貝が発見されたという報道がありました。これは、たいへん珍しいグループに属する種です。貝類の進化を知るために、重要です。大発見なのに、あまり話題にされませんでした。ここで紹介しましょう。
 発見された貝は、正式な日本語名(標準和名)を、セイスイガイと名づけられました。この貝が採集された時、使われた船の名「勢水丸」にちなんだそうです。
 セイスイガイは、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】単板綱【たんばんこう】に分類されます。普通の貝も、同じ軟体動物門に属します。が、その下の綱【こう】のレベルで、分類が違います。二枚貝なら、二枚貝綱【にまいがいこう】に分類されます。巻貝なら、腹足綱【ふくそくこう】に分類されます。
 これまで、日本近海では、単板綱に属する種は未発見でした。セイスイガイが、どのくらいの大発見なのか、私たちヒトの例でたとえてみましょう。
 ヒトは、脊索動物門【せきさくどうぶつもん】哺乳綱【ほにゅうこう】に属します。通称、哺乳類と呼ばれるグループですね。たとえて言えば「日本列島に一種も哺乳類がいなかったのに、初めて、哺乳類に属する種が見つかった」というのと同じレベルです。
 セイスイガイの外見は、カサガイという巻貝の仲間にそっくりです。けれども、カサガイは、腹足綱に属します。単板綱とは、体の構造がまったく違います。カサガイについては、「所属はどこですか? カサガイたち」(2010/4/19)を参照して下さい。
 セイスイガイは、なぜ、今まで見つからなかったのでしょうか? 深海に棲むからです。約800mの水深から採集されました。三重県の志摩半島沖です。
 単板綱の種は、世界中で三十種ほどしか見つかっていません。じつは、生きている種より、化石のほうが先に発見されました。単板綱は、絶滅したグループだと思われてきたのです。それが、一九五〇年代に、生きている種が発見されました。
 つまり、単板綱の種は、生きている化石です。三億年以上前に栄えて、ごくわずかが生き残ったと考えられています。こんな新種が、まだ見つかるのは楽しいことですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、セイスイガイは載っていません。かわりに、セイスイガイと同じ軟体動物門【なんたいどうぶつもん】の生き物が、七十種以上載っています。
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新発見のセイスイガイのニュースは、以下に載っています。
志摩沖に新種の貝 三重大研究員ら日本近海で(中日新聞 2010/04/10)
「生きた化石」新種貝発見 三重大研究員ら(西日本新聞 2010/04/09)
3億年前に絶滅の新種貝を公開 三重大研究 グループが発見(西日本新聞 2010/04/10)※セイスイガイの画像があります。

2010年5月24日

貝の執念、岩をも削る? ヒザラガイ

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 海の光景を見て不思議に感じたことがありませんか?
 例えば、海辺や海中にある岩です。それらの中には、キノコのような形をしたものがありますね。下側が細くて上が太い形です。なぜ、こんな形になるのでしょうか?
 一般的にはこれは、「波が削ったのだ」といわれます。「波の届く範囲だけ削れるので、下側だけが細くなった」というわけです。
 これは、間違いではありません。けれども、波以外に他の原因でも岩が削られることがあります。生き物の力によってです。
 岩を削るなんて、どんなに強い生き物かと思いますね。ところが、その正体は、小さな貝です。一種ではなく、多種の貝が「岩を削る」のに、参加しているようです。
 中でも、強力な「岩削り貝」と考えられているのがヒザラガイの仲間です。
 多くの方は、ヒザラガイという名を、聞いたことがないでしょう。しかし、おそらく、ほとんどの方が見ているはずです。
 海辺の岩に、楕円形の奇妙な生き物が貼り付いているのを見たことがありませんか? 背に、七、八枚に分かれた、小さな貝殻を背負っています。それが、ヒザラガイの仲間です。海岸では、とても平凡な生き物です。日本にも全国的に分布します。
 ヒザラガイの仲間は、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】に属します。普通の巻貝や二枚貝と同じです。でも、巻貝や二枚貝とは、あまり近縁ではありません。
 軟体動物門の中の、多板綱【たばんこう】というグループのものを、まとめてヒザラガイと呼びます。中に、単に「ヒザラガイ」という種名の種もいます。ややこしいですね。
 海岸にいるヒザラガイは、多くが、岩に付く藻などを食べています。彼らは、口に、歯舌【しぜつ】という器官を持ちます。これで、岩の表面ごと食べ物をなめ取ります。
 長い間、たくさんのヒザラガイがそうすると......岩の形が変わります。硬い歯舌で、削られるからです。そのような岩は、もろくなって、波にも削られやすくなります。その結果、岩がまるごと崩れることもあります。小さな貝の大きな力ですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、ヒザラガイが載っています。
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過去の記事でも、ヒザラガイのように海岸の岩に貼り付く生き物を取り上げています。また、海岸の岩に穴を開けるナナツバコツブムシも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ペルセベスとは、どんな生き物?(2009/11/30)
フジツボは富士壷? 藤壷?(2008/09/29)
虫が島を壊す? ナナツバコツブムシ(2007/06/28)
牡蠣(カキ)はなぜ寒い時期が旬か?(2006/02/04)
などです。

2010年5月18日

ツノメガニ

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ツノメガニ 画像
和名:ツノメガニ
学名:Ocypode ceratophthalma
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

沖縄県 読谷村 【2010.04.24】

図鑑↓↓↓↓↓には、ツノメガニが掲載されています。
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2010年4月19日

所属はどこですか? カサガイたち

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 春は、潮干狩りの季節です。娯楽と実益を兼ねて、海辺へ行く方もいるでしょう。今回は海岸でよく見られる生き物を紹介します。
 海辺の岩に、小さな円錐【えんすい】形の貝殻が、貼り付いているのを見たことがありませんか? ちょっと見たところでは、フジツボに似ています。
 これらの「円錐形の貝」は、フジツボの仲間ではありません。見た目どおり、貝の仲間です。フジツボは、貝よりもエビやカニに近縁です。
 これら円錐形の貝たちは、カサガイ(笠貝)と総称されます。昔の人がかぶった笠に似るからです。よく見ればフジツボとは、形が違います。時おり位置を動くのも、フジツボとの違いです。フジツボは、一度、付いた場所から離れられません。
 貝には、二枚貝と巻貝とがありますね。カサガイは、巻貝の仲間です。専門的には、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】腹足綱【ふくそくこう】というグループに属します。
 巻貝の仲間なのにカサガイの殻は、巻いていませんね。なぜでしょう?
 じつは、カサガイと呼ばれる種は、すべてが同じグループに分類されるのではありません。いくつもの遠縁なグループにカサガイ型の種がいます。ただし、どの種も、腹足綱に含まれるのは同じです。腹足綱の中で、どのグループに属するかが違います。
 おそらく、最も多く「カサガイ」型の種が含まれるのは、腹足綱カサガイ目【もく】というグループです。このグループは、原始的な形の巻貝と考えられています。「巻貝が、巻くようになる前の姿」を残しているわけです。
 他に、例えば、有肺目【ゆうはいもく】カラマツガイ科の「カサガイ」たちがいます。このグループは、「普通の巻貝のはずが、巻かなくなった」と考えられています。
 カサガイ目の「カサガイ」も、有肺目の「カサガイ」も、外見はそっくりです。すみかも、同じ海岸です。同じように見えても体の構造は違います。
 「カサガイ」の分類はまだ途上です。腹足綱の分類自体が、組み替えの最中だからです。前記の分類も変わる可能性があります。小さな貝の分類も難しいのですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、カサガイ目【もく】のウノアシ、マツバガイ、ヨメガカサが載っています。
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過去の記事で、「カサガイ」と紛らわしいフジツボ、カメノテを取り上げています。また、「カサガイ」と同じく海の岩場に棲む巻貝(アワビなど)や、有肺目の巻貝(カタツムリ)も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
フジツボは富士壷? 藤壷?(2008/09/29)
アワビという種名の貝はいない?(2008/01/14)
カタツムリの殻は右巻き? 左巻き?(2007/06/18)
などです。

2010年4月 1日

海中の透明で長いもの、な~んだ?

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 二十一世紀になっても、海では謎の生物が目撃されますね。シーサーペント(大海蛇)の伝説をほうふつとさせます。今回は、シーサーペントに間違えられそうな生き物を紹介しましょう。海にいて、長い体を持つものたちです。多くは、透明な体です。
 第一は、刺胞動物【しほうどうぶつ】のグループです。クラゲの仲間ですね。クラゲといえば普通は、笠のような形を思い浮かべるでしょう。そうではないクラゲもいます。
 特に、クダクラゲ目【もく】に属する種は、透明な紐【ひも】に見えます。アイオイクラゲ、ボウズニラなどの種は、長さが数m~数十mになることがあります。彼らの紐状の体からは、触手がたくさん垂れています。透明で細長いシャンデリアのようです。
 第二は、有櫛動物【ゆうしつどうぶつ】のグループです。クシクラゲと呼ばれる仲間です。クダクラゲと紛らわしいですね。でも、刺胞動物のクラゲとは違います。
 有櫛動物の中に、オビクラゲという種がいます。名のとおり、透明な帯【おび】状です。刺胞動物のボウズニラなどに比べると、幅が広く、薄べったいです。たくさんの触手もありません。こちらも、長さが1mを越えることがあります。
 第三は、脊索動物【せきさくどうぶつ】のグループです。ホヤやサルパの仲間です。
 脊索動物の中で長くなるのは、ヒカリボヤ目【もく】に属する種と、サルパ目【もく】に属する種です。時には、長さが数十mにもなります。
 ヒカリボヤは、透明な筒状の体です。真ん中に穴があります。「泳ぐ筒」という表現がぴったりです。この特徴を知れば、他のものと間違えないでしょう。
 サルパのほうは小さな樽【たる】状のものが、いくつもつながっているように見えます。一見、刺胞動物のクダクラゲ目に似ます。しかし、よく見れば、触手はありません。
 第四に、軟体動物のグループにも「長くて透明なもの」がいます。ソデイカなど、一部のイカの卵塊【らんかい】(卵のかたまり)です。透明な筒状なので、ヒカリボヤと紛らわしいです。が、こちらは自力で泳ぎません。流れに漂うだけです。
 こんなにいろいろな生き物がいるとはやはり、海は神秘の宝庫ですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、未確認生物と紛らわしいヒカリボヤや、オオサルパが載っています。
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過去の記事でも、「透明で長い海の生き物」を取り上げています。また、謎の生物についても取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
チュパカブラ? ニホンオオカミ? 謎の生物の正体は(2009/03/30)

海中のイルミネーション? ヒカリボヤ(2007/12/10)
サルパとは、どんな生き物?(2007/05/31)
などです。

2010年3月22日

絶滅種に、再発見の可能性はあるか?

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 ある種の生き物が、絶滅したか、そうでないかは、どのようにして判断されるのでしょうか? 一般的には、「五十年間、観察されなければ絶滅」とみなされます。
 けれども、五十年以上観察されなくても、再発見された「絶滅種」もあります。近年では、オオハシヨシキリの例が有名です。鳥の一種です。
 オオハシヨシキリは、ウグイス科に属します。最初に発見されたのは、一八六七年です。十九世紀ですね。それ以来、二十一世紀になるまで観察されませんでした。
 このため、当然のように「絶滅した」と考えられました。そもそも、この種の存在を疑う意見すらありました。「別種の鳥と間違えたのでは?」というわけです。
 ところが、二〇〇六年になって、再発見されました。約百四十年ぶりです。
 オオハシヨシキリの分布域はわかっていません。おそらく、南アジア地域です。日本には分布しません。狭い日本では、このような例は望めないのでしょうか?
 そんなことはありません。例えば、二〇〇九年に日本で「五十九年ぶりの再発見」というニュースがありました。鳥ではなく、貝類の一種です。
 再発見されたのは、サタミサキゴマガイという種です。陸に棲む巻貝です。カタツムリの一種といえます。ゴマガイ科に属します。
 サタミサキゴマガイは、成体になっても殻の長さが2.2mmほどしかありません。小さくても、種の重要さに変わりはありません。
 日本のように、開発が進んだ国では、大型の生き物が再発見される余地は少ないでしょう。でも、小さい生き物ならば、可能性は大いにあります。
 多少、大きくても鳥類ならば、再発見の余地がありそうです。彼らは、空を飛べるからです。飛べる動物は、行動範囲が広いですね。人目に付かないところへ、避難している可能性があります。日本本土にいなくても、付近の大陸や島にいるかも知れません。
 日本には「近年に絶滅した」といわれる鳥が何種かいます。オガサワラガビチョウ、カンムリツクシガモなどです。彼らの再発見といった奇跡はないものでしょうか。

オオハシヨシキリ再発見のニュースは、以下にあります。
幻の鳥、140年ぶりタイで確認 DNA検査で特定(asahi.com 2007/3/9)

日本で五十九年ぶりに再発見された貝のニュースは、以下にあります。
絶滅種「サタミサキゴマガイ」59年ぶりに発見/南大隅町(南日本新聞 2009/9/11)


図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する珍しい生き物トウキョウサンショウウオ、オガサワラヤモリ、イリオモテヤマネコなど何種も載っています。
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 過去の記事でも、再発見された「絶滅種」について取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヒヨケザルの新発見、メガネザルの再発見(2008/11/20)
絶滅種?のシカとカエルが、再発見される(2008/10/14)
新種・珍種がざっくざく、南硫黄島【みなみいおうとう】(2008/06/10)
ダイトウウグイス復活!(2008/05/29)
などです。

2010年3月15日

海の毛虫も蝶(チョウ)になる? ウミケムシ

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 海の生き物には、「ウミ○○」という種名のものが多いですね。陸上生物の中で、姿が似るものにたとえてこのような名が付けられます。
 似ていても、近縁とは限りません。むしろ、遠縁であるほうが普通です。
 ウミケムシ(海毛虫)も、そういう生き物の一種です。海釣りをやる方なら、ウミケムシに会ったことがあるかも知れませんね。キス釣りなどの外道としてかかります。
 ウミケムシは、ゴカイの仲間です。専門的にいえば、環形動物門【かんけいどうぶつもん】多毛綱【たもうこう】ウミケムシ目【もく】ウミケムシ科の一種です(分類には、異説があります)。ウミケムシ科に属する種をまとめて、ウミケムシと呼ぶこともあります。
 いっぽう、陸の毛虫はどうでしょう? こちらは、もちろん昆虫ですね。専門的には、節足動物門【せっそくどうぶつもん】昆虫綱【こんちゅうこう】に属します。ウミケムシとは、門【もん】のレベルで分類が違います。
 それにしても、実物を見た方なら「ウミケムシ」という種名に納得するでしょう。本当に、毛虫にそっくりです。毛に毒があり、刺すところまで似ています。
 毒があるのは、身を守るためです。毒のおかげで、ウミケムシは海底を、堂々と歩くことができます。彼らを襲うものは少ないです。
 ゴカイの仲間は、一般的に魚の好物です。釣り餌にされるくらいです。ですから、海底の砂や岩の中に、隠れて棲んでいます。ウミケムシは、隠れる必要がありません。
 ウミケムシの類を除けば、ほとんどのゴカイには、毒はありません。ヒトには無害です。なのに「外見が気持ち悪い」と、嫌われることが多いです。
 ところが、ゴカイの仲間の学名を知ると驚きです。ラテン語の学名では、美女ぞろいなのです。主に、ギリシャ神話に登場する美女たちです。
 例えば、オトヒメゴカイの学名は、トロイアの王女ヘーシオネーHesioneに由来します。オニイソメの学名エウニーケーEuniceは、ギリシャ神話の海の妖精から取られています。ゴカイの仲間も、よく見ると独特の美しさがあるからでしょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、ウミケムシが掲載されています。
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 過去の記事でも、環形動物【かんけいどうぶつ】の仲間を取り上げています。また、美女の名から取った学名についても取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
チョウ(蝶)の学名は、美女だらけ?(2010/01/11)
海中のクリスマスツリー? イバラカンザシゴカイ(2005/12/09)
などです。

2010年2月22日

刺すイソギンチャクがいる?

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 今回は、ちょっと危険な生き物の話をしましょう。海で刺す生き物です。
 海で刺すものといえばクラゲが思い浮かびますね。クラゲは、刺胞動物【しほうどうぶつ】というグループに属します。同じグループに、イソギンチャクも属します。
 イソギンチャクが刺すなんて聞いたことがない人が多いでしょう。すべてのイソギンチャクが刺すわけではありません。海水浴で、よく会う種―ウメボシイソギンチャク、ミドリイソギンチャクなど―は、刺しません。安心して下さい。
 けれども中には、刺すイソギンチャクがいます。そういったイソギンチャクは、熱帯の海に多いです。また、ダイビングでなければ行けない程度の深さにいることが多いです。熱帯の海に行く方やダイビングをやる方は、注意が必要です。
 日本近海に、普通に分布する種としては、スナイソギンチャクがいます。この種は、以前、このブログで取り上げましたね(どっちがどっち? スナイソギンチャクと、スナギンチャク(2009/10/5))。スナイソギンチャクは、ヒトを刺します。
 以前に書いたとおり、スナイソギンチャクは、とても美しいです。でも、触らないようにしましょう。観賞用には、良い生き物です。
 ダイバーの方は、カザリイソギンチャクに注意しましょう。この種は、おおむね、水深20m以上のところに棲みます。ですから、海水浴で会うおそれは、まず、ありません。
 カザリイソギンチャクは、昼と夜とで、まったく違う姿になります。昼は、触手を縮めています。イソギンチャクに見えません。全体が、房状のもので覆われています。この房状のものが、ヒトを刺します。素手で触ってはいけません。
 夜のカザリイソギンチャクは、触手を伸ばします。触手だけでなく、体全体も、伸び上がるように大きくなります。イソギンチャクらしい姿です。房状のものは、目立たなくなります。しかし、刺すことに変わりはありません。触らず、見るだけにしましょう。
 夜のカザリイソギンチャクの姿は、神秘的です。英語名に、night anemone(夜のアネモネ)とあるのに納得します。ナイトダイビングをやる方には楽しみとなるでしょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、カザリイソギンチャク、スナイソギンチャク、ミドリイソギンチャクなどが掲載されています。
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 過去の記事でも、イソギンチャクの仲間や、刺す海の生物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
管の中の花? ハナギンチャク(2009/04/27)
イソギンチャクは逆さのクラゲ?(2008/04/21)
海藻【かいそう】? いいえ、イラモはクラゲです(2007/07/16)
などです。

2010年2月 8日

天然記念物なのに、絶滅しそうなのは、なぜ?

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 天然記念物という言葉を聞いたことがおありでしょう。貴重な動物や植物、鉱物が指定されます。有名なものには、ツシマヤマネコ、ヤンバルクイナなどがいます。
 天然記念物に指定されると捕獲・採集などが禁止されます。保護されるわけですね。
 ここで、不思議に思った人はいませんか? 保護されているのなら、なぜ、ツシマヤマネコやヤンバルクイナは「絶滅しそうだ」と騒がれるのでしょうか?
 じつは、日本の「天然記念物」という制度には不備が多いのです。できた時代が、古いためです。もちろん、良いところもありますが。
 天然記念物には、国が指定するものと地方自治体が指定するものとがあります。ここでは、国が指定するものについて説明します。
 天然記念物は「文化財保護法」という法律に基づく制度です。法律の名に、注目して下さい。「文化財」です。「生き物」や「動植物」ではありません。
 「文化財」とは、人間が手を入れたものですね。そもそも、この法律は「人間が手を入れたものを保護する」のが目的です。自然の生き物を保護する目的にはそぐいません。
 この法律ができたのは、一九五〇年です。この法律の前身となる法律が、一九一九年にできています。じつに、大正九年のことです。この頃の古い考えを法律は引きずっています。現在の考えでは「天然」とは言いがたいものが、天然記念物に含まれます。
 例えば、「日本犬」が天然記念物に指定されています。普通にいる柴犬も天然記念物です。捕獲禁止のはずの天然記念物が、飼われているなんてびっくりですね。
 昔は、家畜であろうと野生動物であろうと「生き物」は、一くくりにされたのでしょう。家畜は家畜で、保護するべきだと思います。けれども、野生動物と家畜とを同じ基準で保護するのは無理がありますね。今のままの法律では不自由です。
 法律を変えるのは、大変なことです。国民の同意がなければ、変えてはいけないものでしょう。でも、良い方向へ変えるなら、国民の同意が得られるのではないでしょうか。


図鑑↓↓↓↓↓には、ツシマヤマネコ、ヤンバルクイナなどたくさんの天然記念物が掲載されています。
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 過去の記事で、天然記念物に指定された生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
カメの腹筋? セマルハコガメ(2009/09/28)
貝に卵を産む? 不思議な魚たち(2007/03/30)※国指定の天然記念物のミヤコタナゴを取り上げています。
ヤンバルクイナは絶滅寸前?(2006/10/2)
天然記念物というものはどういうものですか?(2006/03/28)
などです。

2010年2月 1日

そっくりさんがいっぱい、スジエビ

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 スジエビという種名のエビがいます。日本の淡水域で、普通に見られます。透明の体に、筋【すじ】模様があるから、スジエビです。5cmくらいの、かわいいエビです。
 スジエビには、たくさんの別名があります。カワエビ、モエビ、コエビなどです。スジエビという名を知らなくても、これらの名で知っている方も、いるでしょう。
 別名が多いのは、人に親しまれている証拠です。スジエビは、食用や、釣り餌用に捕られます。小さいので、まとめて佃煮などにされることが、多いです。
 日本の淡水域には、スジエビと似た小型のエビが、他にもいます。ヌマエビ、ヌカエビ、ミゾレヌマエビ、ヤマトヌマエビなどです。これらの種は、ヌマエビ科に属します。けれども、スジエビは、ヌマエビ科ではありません。テナガエビ科です。
 ヌマエビ科には、スジエビのような筋模様の種は、いません。とはいえ、水中でぱっと見ただけでは、区別は難しいでしょう。
 スジエビには、他にも、そっくりさんがいます。スジエビと同じく、透明な体に、筋模様があるエビたちです。イソスジエビ、スジエビモドキなどの種です。
 「イソ」スジエビは、名のとおり、磯に棲みます。スジエビモドキも、海に棲む種です。生息場所が違うので、スジエビとは区別できます。イソスジエビのほうが、スジエビモドキより、筋模様の数が多いです。
 棲む場所が違っても、スジエビと、イソスジエビ、スジエビモドキは、互いに近縁です。三種とも、テナガエビ科スジエビ属に属します。
 スジエビ属は、ラテン語の学名をPalaemonといいます。これは、ギリシャ神話の海の神、パライモーンの名にちなみます。パライモーンは、元は人間でした。
 ギリシャ神話の海神といえば、ポセイドーンが有名ですね。パライモーンは、最初から神だったポセイドーンより、人に近しい存在でした。古代の水夫に人気だったようです。
 イソスジエビなどのスジエビ属は、沿岸の海で、人に親しまれています。海神の中でも、パライモーンの名が付けられたのは、そのためではないでしょうか。


図鑑↓↓↓↓↓には、スジエビ、イソスジエビが掲載されています。
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過去の記事でも、エビの仲間を取り上げています。また、ギリシャ神話の海の神の名を持つ生き物も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
平たい体は何のため? ウチワエビ(2008/12/19)
おせち料理の海老【えび】はクルマエビ?(2007/01/11)
海中のサンタクロースはエビ?(2006/12/10)
などです。

2010年1月18日

プラナリアは、美術モデル?

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 プラナリアという生き物を、御存知ですか? 水中に棲む生き物です。小さくて、平たい体をしています。大きさは2cmくらいしかありません。
 「それなら、教科書で見たよ」という方が、多いのではないでしょうか? たいていの生物の教科書には、プラナリアが載ります。実験動物として、よく使われるからです。
 プラナリアには、驚異的な再生能力があります。一頭のプラナリアを半分に切っても、死にません。半分ずつが、それぞれ完全な一個体にまで再生します。
 実験に使われる理由は、再生能力の高さばかりではありません。他に、いくつもの理由があります。なかで注目すべきは、「脳」を持つことです。
 脊椎動物【せきついどうぶつ】は、みな、脳を持ちますね。ヒトや、ニワトリ、トカゲ、カエル、サメ、マグロなどです。けれども、動物全体を見ると、「脳」を持つものは、限られます。例えば、クラゲや、カイメン(海綿)は、脳を持ちません。
 動物が、進化のどの段階から「脳」を持ったのかは重要な問題です。これを調べるには、動物の中で、最初に「脳」を持ったものがどれか知る必要があります。
 プラナリアには、かろうじて「脳」と呼べそうなものがあります。プラナリアの仲間を調べれば、「脳」の起源について得ることがあるでしょう。
 プラナリアの仲間とは、扁形動物門【へんけいどうぶつもん】渦虫綱【うずむしこう】三岐腸目【さんきちょうもく】というグループのことです(分類には、異論があります)。
 じつは、プラナリアとは、一種の動物だけを指す言葉ではありません。前記のグループ全体を指します。一般的には、このグループ内のナミウズムシという種を指すことが多いです。実験動物にされるのも、教科書に載るのも、多くはナミウズムシです。
 プラナリアは、理科の教科書に載るだけとは限りません。ひょっとすると、美術の教科書で、会えるかも知れません。彼らは、ある絵画で立派にモデルを務めています。
 その絵画は、M.C.エッシャーという画家が描いたものです。『偏平虫類』とか『扁虫たち』などと訳される題です。とてもかわいいですよ。ぜひ、画集などで見てみて下さい。


図鑑↓↓↓↓↓には、プラナリア(ナミウズムシ)が掲載されています。
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 過去の記事でも、プラナリアと近縁な生き物(扁形動物【へんけいどうぶつ】)を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
梅雨時のエイリアン? コウガイビル(笄蛭)(2008/05/30)

2009年12月28日

モンゴウイカ(紋甲イカ)というイカは、いない?

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 冬は食べ物が美味しい季節ですね。けれども、近年は食べ物の旬【しゅん】が、わかりにくくなりました。輸入物や栽培・養殖物が増えたためです。
 それ自体は、いけないとは言えません。おおぜいの人を養うには、避けられないことです。でも、せめて「自分たちが、どんな物を食べているか」は知りたいですよね。
 例えば、スーパーでイカを買うとします。ラベルを見てみましょう。「モンゴウイカ」とあるかも知れません。これは、どんなイカでしょうか?
 じつは、正式には「モンゴウイカ」という種名のイカはいません。「モンゴウイカ」には、複数の種が含まれます。中でも、カミナリイカ、トラフコウイカ、ヨーロッパコウイカの三種が多いようです。他の種も、混じっていないとは限りません。
 これら三種は、どれも、コウイカ目【もく】コウイカ科に属します。体内に、プラスチックのような甲【こう】を持つグループです。だから「甲イカ」です。
 モンゴウイカとは「紋様のあるコウイカ」の意味です。前記の三種には、みな縞【しま】模様があります。トラフ(虎斑)コウイカなど、そのものずばりの種名です。
 最初に、モンゴウイカと呼ばれたのは、カミナリイカでした。カミナリイカは、東京湾以西の海に分布します。かつては、日本近海で、たくさん漁獲されました。
 ところが、近年、需要をまかなうほど、捕れなくなってきました。このため、カミナリイカに似た他種が、輸入されるようになりました。それが、トラフコウイカやヨーロッパコウイカです。似た種をまとめて、モンゴウイカと呼ぶようになりました。
 トラフコウイカは、主に、東南アジアで漁獲されます。ですから、ラベルに「モンゴウイカ(マレーシア産)」などとあったら、トラフコウイカの可能性が高いです。
 ヨーロッパコウイカは、名のとおり、地中海を中心に分布します。日本に輸入されるのは、アフリカ西岸産のものが多いです。ラベルに「モンゴウイカ(モーリタニア産)」などとあれば、それはきっと、ヨーロッパコウイカでしょう。
 日本の食卓は、世界につながっています。これを忘れてはいけませんね。


図鑑↓↓↓↓↓には、コウイカ目【もく】コウイカ科のコウイカ、コブシメ、シシイカ、スジコウイカ、ヒメコウイカが掲載されています。
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 過去の記事でも、イカの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海中を泳ぐ槍【やり】? ヤリイカ(2008/02/18)
世界最大のイカは、ダイオウイカではない?(2007/02/23)
コウイカとヤリイカはどう違う?(2006/11/10)
などです。

2009年11月30日

ペルセベスとは、どんな生き物?

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 年末に向けて、御馳走を食べる機会が多くなりますね。近年は、日本にいながら世界各国の料理を食べられるようになりました。
 クリスマスの料理として、ペルセベ【Percebe】を食べた人はいませんか? スペイン料理に登場するものです。ペルセベスとかペルセベ貝などと呼ばれることもあります。海産物の一種です。貝というからには、貝の仲間なのでしょうか?
 違います。ペルセベは貝の仲間ではありません。エビやカニの仲間です。専門的にいえば、節足動物【せっそくどうぶつ】です。日本人に馴染みがある生き物のうちで、近縁なものを挙げるなら、フジツボの仲間といえます。
 フジツボは、以前このコラムで取り上げましたね(ムール貝やパーナ貝とは、どんな貝?(2008/12/12))。フジツボの外見は、まるで貝のようです。けれども、節足動物(エビやカニの仲間)です。節足動物の中には、このように貝に似たグループがいます。
 より正確に言えばペルセベは、フジツボよりもカメノテに近縁です。カメノテも、日本の海岸に、たくさんいます。フジツボと同じく、岩などにくっついて生きるものです。「亀の手」に姿が似るところから、こんな名が付きました。
 日本のカメノテと、スペインのペルセベとは、同種ではありません。が、かなり近縁なのは、確かです。どちらも、節足動物門【せっそくどうぶつもん】顎脚綱【がっきゃくこう】有柄目【ゆうへいもく】ミョウガガイ科に属します。
 フジツボのほうは、顎脚綱のうち、無柄目【むへいもく】に属する種を指します。これは、外見に基づく分類です。柄【え】のあるものとないものとで分けています。
 市場などで、ペルセベを見る機会があればわかるでしょう。ペルセベには、長い柄があります。フジツボには、ありませんね。殻の部分で直接、岩などに付きます。
 日本のカメノテにも、柄があります。ペルセベのものより短めです。
 ペルセベは、誤って、エボシガイと翻訳されることがあります。エボシガイとペルセベとは別種です。エボシガイのほうは、有柄目のエボシガイ科に属します。


図鑑↓↓↓↓↓には、ペルセベと近縁なカメノテが掲載されています。
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 過去の記事で、ペルセベの仲間であるフジツボや、エボシガイを取り上げています。また、ペルセベと似て異なるムール貝なども取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
フジツボは富士壷? 藤壷?(2008/09/29)
殻があっても貝じゃない、エボシガイ(2007/10/22)

2009年11月27日

トラフナマコは、虎縞【とらじま】のナマコ?

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 トラ(虎)は、勇ましい動物の代表ですね。けれども、勇ましいとは言いにくい生き物にも、トラの名が付いています。例えば、トラフナマコです。
 トラフナマコは、名のとおりナマコの一種です。他のナマコと同じく、海底でごろりとしています。食べ物は、海中の砂や泥です。これも、多くのナマコと同じです。
 トラフ(虎斑)ナマコという種名は、体の模様から付きました。確かに、体はまだら模様です。とはいえこの種の模様は、縞【しま】模様とはいえません。雲形【くもがた】模様といったほうがふさわしいです。ちょっと名前負けしています(笑)
 ナマコといえば、日本人は「食べられるかどうか?」が、気になりますね。私の知る限り、トラフナマコを食べたという話はありません。少なくとも、食用に漁獲されてはいません。普通に食用にされるのはマナマコという種です。
 名前に反してトラフナマコは、ちっとも強くなさそうですね。無防備に海底に横たわっているようです。どうやって、敵を防ぐのでしょうか?
 じつは、多くのナマコは体に毒を含みます。トラフナマコにも毒成分があります。道理で、食べられないわけです。食用のマナマコには、ほとんど毒がありません。
 毒があるにしては、どの種のナマコも地味です。有毒生物は、よく派手な色をしていますよね。あれは、「毒があるから食べるな」と、敵に知らせているわけです。
 ナマコのように、外見で有毒だとわからないのは損なはずです。かじられてから吐き出されるより、最初からかじられないほうがいいでしょう。
 ナマコ自身も、そう考えたのでしょうか?(笑) トラフナマコをはじめ、多くのナマコには、毒以外の武器もあります。キュビエ器官というものです。
 キュビエ器官の外見は、白い糸のかたまりのようです。普段は、体の中にあります。
 つつかれたりすると、ナマコは肛門から、キュビエ器官を出します。これは、べたべたとくっついて不快なものです。毒成分も、多く含まれます。これで、たいがいの敵は、退散するようです。トラフナマコは、案外強いのかも知れません。


図鑑↓↓↓↓↓には、トラフナマコが掲載されています。
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 過去の記事でも、ナマコの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
食用ナマコはどんなナマコか?(2007/01/22)
サンゴ礁の海を守るナマコ(2006/07/22)
などです。

2009年11月15日

ジョロウグモ

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ジョロウグモ 画像
和名:ジョロウグモ
学名:Nephila clavata
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

東京都 新宿区【2009.10.16】

図鑑↓↓↓↓↓には、ジョロウグモが掲載されています。
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2009年11月13日

カイメン(海綿)は、多細胞動物の祖先?

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 熱帯の海には、サンゴ礁がありますね。サンゴは、起源が古い動物です。植物ではありません。恐竜が現れるずっと前から、サンゴ礁はありました。
 海の中に、多様な動物が現われたのは、六億年ほど前(エディアカラ紀)だと考えられています。その頃から、サンゴ礁はあったのでしょうか? いえ、ありませんでした。
 けれども、サンゴより前に「サンゴ礁のようなもの」を作った動物がいます。それが、カイメンです。カイメンの大ざっぱな説明は、「カイメン(海綿)とは、どんな生き物?(2007/07/20)」をお読み下さい。
 最近の学説によれば、カイメンは、六億三千五百万年以上前(エディアカラ紀より前)に、すでに現れていました。その頃は、多細胞動物が現われて、間もない時代です。すばやく泳ぐ動物や、強力な武器(触手など)を持つ動物は、ほとんどいませんでした。
 この時代、カイメンは、大繁栄したと考えられています。彼らを襲う動物が、いないに等しかったからです。当時は、サンゴ礁ならぬ「カイメン礁」がありました。地球の動物で、最初に「礁」といえるものを作ったのは、カイメンではないか、といわれます。
 その後、カイメンを食べたり、カイメンと競合したりする生き物が、たくさん現われました。このため、今では大規模な「カイメン礁」は見られません。
 それでも、カイメンは今なお栄えています。熱帯から南極まで、カイメンの棲まない海はまずありません。中には、ヒト一人分ほどの大きさのカイメンもいます。六億年以上もの間、こんなに栄え続ける動物が、他にいるでしょうか? おそらくいません。
 カイメンは、地球上で最初期に現われた、多細胞動物です。かつては、カイメンに似た多細胞動物がいました。カンブリア紀の古杯動物【こはいどうぶつ】です。カイメンと同じく、大規模な「礁」を作り栄えました。しかし、五億年以上前に絶滅しました。
 このように、多くの動物が滅びてもカイメンは生き残ってきました。
 「多細胞動物の祖先とカイメンとは、近縁ではないか」という説があります(異説もあります)。カイメンは、私たちの祖先の姿を残しているのかも知れません。
 カイメンに関する最近の学説は、以下に紹介されています。

動物進化の起源は海綿動物?(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/02/06)

図鑑↓↓↓↓↓には、ザラカイメン、ダイダイイソカイメン、ツノマタカイメン、ワタトリカイメンが掲載されています。
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 過去の記事でも、カイメンを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
オーストラリアの深海で、新種発見(2009/01/22)
ウミウシは何の仲間?(2008/12/29)※ウミウシの中には、カイメンを食べるものがいます。
鼈甲【べっこう】になるだけじゃない、タイマイ(2008/06/20)※タイマイの食べ物は、カイメンです。
などです。

2009年10月 9日

ミミズは、土中の働き者

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 秋は、落ち葉の季節ですね。落ち葉は、やがて朽ちて、土になります。その過程に、ある動物が、強く関わっていることを、御存知ですか?
 農業をやっている方なら、御存知でしょう。その動物とは、ミミズです。
 ミミズは、土中に棲む生き物ですね。土の中で、何を食べているのでしょう? 落ち葉や朽ち木、小動物の遺体などです。ミミズには、口がないように見えますね。でも、ちゃんと、体の前端部分に、口があります。その口で、ぱくぱくと物を食べます。
 食べた後には、当然、糞をします。この糞が、良い腐葉土になります。繊維などがこなれて、粒が細かくなっているのですね。
 良い腐葉土があるところでは、植物がよく育ちます。植物が育てば、いろいろな動物も育ちます。ミミズがいなかったら、多くの動植物が、暮らしに困ることでしょう。
 もちろん、ヒトも、ミミズの恩恵をこうむっています。良い土がなければ、農作物ができません。「ミミズが出たら、土ができてきた証拠」と、農家の方から聞いたことがあります。ミミズは、釣りの餌になるばかりでは、ありません。
 釣りの餌にされるのは、多くが、シマミミズという種です。「ミミズに、種なんてあるの?」と、驚く人がいるかも知れませんね。実際には、たくさんの種があります。
 中でも、シマミミズは、平凡な種です。普通の人が、「ミミズ」といわれて思い浮かべる、ミミズらしい姿のミミズです。野生でも多いですが、釣り餌用に、養殖もされています。
 時おり、異様な姿のミミズが、騒がれることがありますね。「異様に長い」とか、「異様な色」といったミミズです。種によって、ミミズの姿は、いろいろです。普通の人が「異様」と感じても、それが正常な姿、という種もいます。
 例えば、シーボルトミミズという種がいます。この種の体色は、青いです。光が当たると、青緑色に輝いて見えます。しかも、体長が30cmを越えるほどになります。「大きくて、異様な色」なので、嫌いな人は、卒倒しそうになるでしょう。
 異様に見えてもミミズは、ヒトに害をなしません。御安心下さい。

図鑑↓↓↓↓↓には、シマミミズが掲載されています。
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 過去の記事でも、ミミズと同じ環形動物門【かんけいどうぶつもん】に属する生き物を取り上げています。また、ミミズと同じく土中に棲む生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ワラジムシとダンゴムシとは、どう違う?(2008/11/03)
オーストラリアのサンゴ礁で、数百の新種を発見(2008/09/25)
虫が島を壊す? ナナツバコツブムシ(2007/6/28)

2009年10月 5日

どっちがどっち? スナイソギンチャクと、スナギンチャク

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 イソギンチャク(磯巾着)は、海でよく見られる生き物ですね。
 イソギンチャクの仲間は、海の岩場に棲むことが多いです。けれども、砂や泥の海底に、いないわけではありません。例えば、スナイソギンチャク(砂磯巾着)という種は、砂底の海底に棲みます。海岸近くの浅いところでも、見ることがあります。
 スナイソギンチャクに似たものとして、ハナギンチャクの仲間があります。ハナギンチャク(花巾着)は、以前、このブログで取り上げましたね(管の中の花? ハナギンチャク(2009/4/27))スナイソギンチャクと同じく、砂や泥の海底に棲むものです。
 ハナギンチャクと、スナイソギンチャクとは、縁が遠いです。その証拠に、体の仕組みが、大きく違います。スナイソギンチャクは、体の末端に吸盤があります。それで、砂の中の石などにくっついています。ハナギンチャクには、吸盤はありません。
 スナイソギンチャクと紛らわしい生き物は、他にもいます。スナギンチャク(砂巾着)です。よーく見て下さい。スナ「イソ」ギンチャクとは、違う名前です。
 スナギンチャクも、スナイソギンチャクとは、縁が遠いです。スナギンチャクのほうは、基本的に、群体性です。サンゴのように、たくさんの個体が、集まって暮らします。
 スナギンチャクの仲間には、体に砂粒を埋め込んで、補強するものが多いです。だから、「スナ」ギンチャクです。スナ「イソ」ギンチャクと、紛らわし過ぎますよね(笑)
 スナ「イソ」ギンチャクは、イソギンチャク目【もく】に属する一種です。スナギンチャクは、スナギンチャク目【もく】に属する種の総称です。ハナギンチャクは、ハナギンチャク目【もく】に属する種の総称です。目【もく】のレベルで、分類が違います。
 普通の人は、水族館で、スナ「イソ」ギンチャクと会う機会が、多いかも知れません。スナイソギンチャクには、美しい個体が多いからです(個体ごとに、色に変異があります)。水族館では、見栄えがするのですね。私も、水族館で、見たことがあります。
 私が見た個体は、見事な蛍光ピンクでした。まるで人工物みたいでしたが、自然な色だそうです。機会があれば、ぜひ、この生物の実物を、御覧になって下さい。

図鑑には、スナイソギンチャク、スナイソギンチャクと紛らわしいヒメハナギンチャクムラサキハナギンチャクが掲載されています。ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、イソギンチャクや、イソギンチャクに似た生き物を取り上げています。また、イソギンチャクと共生するので有名なクマノミも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
管の中の花? ハナギンチャク(2009/04/27)
世界最長寿のサンゴが発見される(2009/04/04)
イソギンチャクは逆さのクラゲ?(2008/04/21)
などです。

2009年9月30日

楽しい樹洞【じゅどう】の展覧会

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 秋の行楽シーズンですね。たとえ天気が悪くても、楽しめる催しがあります。神奈川県小田原市で開催中の『木の洞【うろ】をのぞいてみたら』も、その一つです。
 これは、生命の星・地球博物館で開催されている特別展です。『樹洞の生きものたち』という副題が付いています。
 樹洞【じゅどう】とは、木に開いた穴のことです。木が病気になったり、動物に掘られたりして開いたものです。木の洞【うろ】とも呼ばれます。
 樹洞には、思われている以上に、たくさんの生き物が棲みます。この展覧会では、その様子を、わかりやすく紹介しています。
 まず、博物館の入口に、大きな材木が置かれています。会場の真ん中にも、大きい材木があります。これは、本物の樹洞そのものを展示しています。
 会場内の材木には、触ることができます。実物の樹洞を、覗【のぞ】きこむこともできます。ぜひ、触って、覗いて、樹洞がどんなものか実感して下さい。
 会場の展示ケースは、なんと、多くの部分が覆われていて見えません(!)少しだけ、ガラスケースが見える部分があります。ちょうど、樹洞を覗くように、展示ケースを覗くためです。樹洞で暮らす生き物を、覗いている気分になれます。
 樹洞を利用する生き物のうち、あまり知られないものも紹介されています。
 例えば、アイフィンガーガエルというカエルです。このカエルは、樹洞にたまった水たまりにしか、産卵しません。幼生(おたまじゃくし)は、みな樹洞で育ちます。
 また、コブナシコブスジコガネという、昆虫の一種がいます。「コブナシ(瘤無し)」なのに「コブスジ(瘤筋)」の「コガネ」ムシという、名前からしておかしいですね。コブスジコガネ科の一種で、瘤【こぶ】がないことから、こんな種名が付きました。
 コブナシコブスジコガネは、つい最近まで、どこに棲むのかわかっていませんでした。じつは、「ある条件の樹洞に棲む」とわかったそうです。その樹洞とは......ぜひ、展覧会へ行って、確かめてみて下さい。

 特別展『木の洞【うろ】をのぞいてみたら』の情報は、以下のページに載っています。
木の洞をのぞいてみたら―樹洞のいきものたち―(生命の星・地球博物館のサイト内)


図鑑↓↓↓↓↓には、リスの仲間、キツツキの仲間など樹洞に棲む生き物が掲載されています。
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2009年9月25日

貝類は、昔、ミミズだった? カセミミズ

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 海の生き物の中で、貝類は、ヒトと関わりが深いですね。二枚貝も、巻貝も、たくさんの種が、食用にされます。日本人で、アサリやアワビを知らない人は、いないでしょう。
 貝類は、進化の最初の段階から、貝殻を持っていたのでしょうか? どうやら、違うようです。貝類の祖先は、殻を持たなかったと考えられています。
 「貝類の祖先に、姿が似るのでは」とされる生き物がいます。カセミミズの仲間です。カセミミズは、以前、このブログで取り上げましたね(海中のミミズ? カセミミズ(2006/8/8)) 名のとおり、外見は、ミミズに似ます。細長い体を持ちます。
 カセミミズの分類には、変遷があります。ずっと昔は、本物のミミズなどと一緒くたにされていました。その後、貝類と共通点があることがわかり、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】に入れられました。
 軟体動物門は、とても大きなグループです。カセミミズや、二枚貝、巻貝の他に、イカやタコの仲間も入ります。あまりにも多様な種が属するので、分類が混乱しがちです。
 軟体動物門の中に、ケハダウミヒモと呼ばれる生き物がいます。カセミミズと同じく、殻を持たないミミズ状です。軟体動物の中でも、ケハダウミヒモとカセミミズとは、近縁だと思われてきました。そのため、同じ無板綱【むばんこう】というグループに、入れられてきました。ところが、最近、「この分類は違うらしい」と、わかってきました。
 現在では、両者は、違う綱【こう】に分類されることが多いです。カセミミズは、軟体動物門の中の溝腹綱【こうふくこう】です。ケハダウミヒモは、軟体動物門の中の尾腔綱【びこうこう】です。綱という上位のレベルで、分類が違うのですね。
 カセミミズと、ケハダウミヒモと、どちらがより軟体動物の祖先に近いのかは、わかっていません。どちらのグループも、研究が進んでいないからです。どこにどれだけ棲むのかを調べるのさえ、難しいです。海底の砂や泥に、潜っている種が多いためです。
 二〇〇八年に、尾腔綱としては、世界最大と思われる種が発表されました。メキシコ湾の深海産です。尾腔綱や溝腹綱の秘密は、深海にあるかも知れませんね。

 世界最大の尾腔綱【びこうこう】のニュースは、以下に載っています。(ニュース記事では、尾腔亜綱【びこうあこう】となっています。この分類は、ケハダウミヒモの仲間を、無板綱【むばんこう】尾腔亜綱に分類した学説によったのでしょう)
深海生物の新種――世界最大の尾腔亜綱(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/11/10)


図鑑↓↓↓↓↓には、カセミミズ―最近の分類では、溝腹綱【こうふくこう】とされます―掲載されています。
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 過去の記事でも、カセミミズや、生物の分類について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
亜目や亜科の「亜」とは、なに?(2009/08/28)
生物分類の、目【もく】や科とは、なに?(2009/08/12)
海中のミミズ? カセミミズ(2006/08/08)
などです。

2009年9月13日

トゲモミジガイ

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トゲモミジガイ 画像
和名:トゲモミジガイ 
学名:Astropecten polyacanthus
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神奈川県 三浦半島【2009.08】

図鑑↓↓↓↓↓には、トゲモミジガイが掲載されています。
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2009年8月28日

亜目や亜科の「亜」とは、なに?

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 以前、このブログで、生物の分類について、説明しましたね(生物分類の、目【もく】や科とは、なに?(09/08/12))。今回は、その時、説明しきれなかった部分を説明しましょう。
 生物を調べていると、時おり、亜目【あもく】や亜科【あか】といった分類単位が出てきます。下目【かもく】、上目【じょうもく】、上科【じょうか】などが、出てくることもあります。これらは、どういう分類単位でしょうか? 
 まず、「亜」を説明しましょう。例えば、亜目といった場合、「目【もく】を分けるほどの差はないけれど、複数の科を含むグループ」です。要するに、「一つ下の分類単位より、少しだけ大きい分類単位」に、「亜」が付くと思って下さい。
 次に、「下」です。例えば、「下目」は、「目【もく】を分けるほどの差はないけれど、複数の科を含んでいて、亜目より小さいグループ」です。大きさ順に並べれば、亜目>下目です。「亜」と「下」は、紛らわしいですね。正直に言えば、私も、「亜」と「下」の差は、よくわかりません(笑)
 では、「上」は? 例えば「上科」といった場合は、「複数の科をまとめたグループで、目【もく】を分けるほどの差がないもの」です。
 これだと、一つ上の分類単位と、重なりそうですね。例えば、「上科」と「下目」があったら、どちらが大きいグループでしょうか?
 答えは、「下目のほうが、上科より大きい」です。実例を挙げてみましょう。
 セミエビというエビの一種がいます。この種の分類を、詳しく書くとこうなります。

節足動物門【せっそくどうぶつもん】
 甲殻亜門【こうかくあもん】
  軟甲綱【なんこうこう】
   真軟甲亜綱【しんなんこうあこう】
    ホンエビ上目【じょうもく】
     十脚目【じっきゃくもく】
      抱卵亜目【ほうらんあもく】
       イセエビ下目【かもく】
        イセエビ上科【じょうか】
         セミエビ科
          セミエビ亜科【あか】
           セミエビ属
            セミエビ

 こんなややこしい分類なのは、節足動物門に、たいへん多様な種が含まれるためです。落語の『寿限無【じゅげむ】』みたいですね(笑)



図鑑↓↓↓↓↓では、目【もく】や科【か】などの分類単位でも、生物を検索することができます。例に挙げたセミエビも掲載されています。
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 過去の記事でも、生物の分類について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
学名で分類がわかるって、本当?(20009/08/17)
チョウ(蝶)はチョウ目【もく】? 鱗翅目【りんしもく】?(2008/07/22)
ホヤは脊索【せきさく】動物? 原索【げんさく】動物?(2007/08/28)
などです。

2009年8月21日

イソガニとイワガニ、どっちがどっち?

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 生き物の中には、紛らわしい名前のものがいますね。例えば、カニの仲間に、イソガニ(磯蟹)という種とイワガニ(岩蟹)という種がいます。
 この二種は、棲む場所もほぼ同じです。どちらも、岩の多い海岸に棲みます。岩礁や磯などと呼ばれる場所ですね。水中から出て歩くことがあるのも、同じです。両種とも、日本では平凡な種です。カニの中では、海水浴で会う可能性が高いです。
 おまけに、この二種は、姿も似ています。どちらも、普通のカニらしい姿です。大きさは、両種とも、甲長(甲羅の幅)3cm~5cmくらいです。体色は、どちらの種も、緑がかった褐色です。イソガニのほうが、明るい色合いのことが、多いです。
 イソガニとイワガニは、近縁なのでしょうか? 生物の世界では、外見がそっくりでも、遠縁のものがよくいますね。
 この二種は実際に近縁です。両種とも、イワガニ科に属します。イソガニは、イワガニ科の中のイソガニ属に、イワガニは、イワガニ科のイワガニ属に属します。
 こんなに似たところだらけでは、区別ができませんね。普通の人が区別するには、図鑑と首っぴきになる必要があるでしょう。
 この二種には、一つ決定的な差があります。外見のことではありません。分布のことです。じつは、イワガニのほうは、後から日本に来ました。外来種です。
 日本のイワガニの故郷は、北米と考えられています。今では、イワガニは、日本中の磯で見られます。日本在来種のイソガニと、仲良く?やっているようです。
 面白いことに、北米では、イソガニとイワガニの立場が逆転しています。もともと、イワガニがいたところへ日本から、イソガニが入りました。今のところは、北米の海岸でも、あまり問題なく、共存しているようです。
 日本のイワガニも北米のイソガニもたくましいですね。ここまで広まってしまうと、外来種として駆除するのは、無理だと思います。駆除を考えるより、彼らの生態を観察するほうが有意義でしょう。夏休みの自由研究にも、ちょうどいいですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、イソガニもイワガニも、掲載されています。
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 過去の記事でも、カニの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
シオマネキは、潮を招く?(2009/06/01)
スベスベマンジュウガニの名の由来は?(2008/8/18)
毛蟹【けがに】は、なぜ毛だらけ?(2007/11/30)
夫婦なのに名が違う?ズワイガニとコウバコガニ(2005/11/11)
などです。

2009年8月20日

地球と宇宙の環境科学展、お知らせ

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 夏休みの催しを、また一つ、見に行ってきました。『消えた生き物の謎と秘密』というものです。『地球と宇宙の環境科学展』という副題が付いています。東京のお台場近くの、日本科学未来館で、開催中です。
 この展覧会は、まず、地球の歴史をざっと振り返ります。その過程で、これまで地球に繁栄した生き物をいくつか紹介しています。
 古いところでは、今から六億年ほども昔の生物が解説されています。エディアカラ生物群と呼ばれる生物たちです。これの少し後に、有名なバージェス動物群が登場します。カンブリア紀(約五億四千五百万年前~約五億五百万年前)最強の動物とされるアノマロカリスが、巨大なロボットになって再現されています。
 その後には、海にしかいなかった生物が陸に上がったことが解説されています。そして、恐竜の登場と絶滅です。恐竜の代表として、ヴェロキラプトルとティラノサウルスのロボットが、迫力ある姿を見せてくれます。触れる化石もあります。
 現代に生きる生物たちも、たくさん紹介されています。アマミノクロウサギやツシマヤマネコの剥製【はくせい】標本があります。これらは、生きた姿を見るのが難しいですね。標本でも見られるのは幸運です。
 会場には、たくさんの解説板があります。すべての解説を読むと、かなり時間がかかります。解説をじっくり読みたい方は、時間に余裕を持って行きましょう。
 また、会場では、映像も多用されています。どれも興味深いので、つい、足を止めてしまいます。でも、これらの映像は、一つ一つが長いです。こちらも、うっかりすると時間が足りなくなります。「解説は苦手、映像だけ見たい」という方も、やはり時間には余裕を持ちましょう。
 個人的には、ヒトが滅ぼした生物の紹介に心を打たれました。「もう、彼らには会えないのか」と思うと、悲しくなります。絶滅鳥のドードーの模型など、よくできているだけに悲劇が際立ちます。「こんな悲劇を繰り返してはいけない」と、考えさせられました。

 展覧会『消えた生き物の謎と秘密』は、以下に公式サイトがあります。
~地球と宇宙の環境科学展~ 消えた生き物の謎と秘密

 過去の記事でも、夏休みのイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
写真展、昆虫4億年の旅(2009/07/22)

図鑑↓↓↓↓↓には、日本の生き物が、千八百種以上掲載されています。
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2009年8月 9日

ヒダリマキマイマイとセイヨウミツバチ

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ヒダリマキマイマイとセイヨウミツバチ 画像
和名:ヒダリマキマイマイ
学名:Euhadra quaesita
和名:セイヨウミツバチ
学名:Apis mellifera
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

東京 新宿区 【2006.08.25】

図鑑↓↓↓↓↓には、ヒダリマキマイマイとセイヨウミツバチが掲載されています。
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2009年7月27日

泳がないクラゲがいる?

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 クラゲといえば、普通は、「海を漂うもの」ですね。正確には、漂うように見えても、ちゃんと泳いでいます。意外に、遊泳力は強いです。
 ところが、中には、泳がないクラゲもいます。では、どうするのでしょう? たいていの「泳がないクラゲ」は、海藻などにしがみつきます。海底に横たわるものもいます。
 泳がないクラゲの代表は、十文字クラゲ綱【こう】十文字クラゲ目【もく】の種です。ササキクラゲ、ジュウモンジクラゲ、ヒガサクラゲ、ムシクラゲなどの種がいます。
 この仲間は、泳ぎたくても泳げません。柄【え】に当たる部分があって、そこで海藻などに付きます。種名にもあるとおり、日傘や、植物の花のように見えます。ただし、大きさは、小さいです。ほとんどの種が、1cmか2cmしかありません。
 以前、十文字クラゲ目【もく】は、鉢虫綱【はちむしこう】に属するとされました。しかし、その特殊さから、独自の十文字クラゲ綱【こう】に分類されるようになりました。
 泳がないクラゲは、十文字クラゲ綱以外にもいます。例えば、ヒドロ虫綱【こう】の種です。エダアシクラゲ、カギノテクラゲ、ハイクラゲなどです。
 これらの種のうち、エダアシクラゲと、カギノテクラゲは、泳ぐことができます。両種とも、普段は、海藻などに付いています。ハイクラゲは、這うだけで、泳げません。
 けれども、分類上は、エダアシクラゲとハイクラゲとが近縁です。同じヒドロ虫綱【こう】花クラゲ目【もく】に属します。カギノテクラゲは、ヒドロ虫綱【こう】淡水クラゲ目【もく】に属します。淡水クラゲという名ですが、海に棲みます。
 カギノテクラゲは、ヒトを刺します。厄介なことに、毒は強烈です。海中で「ちくり」とした後、咳、鼻水、筋肉痛、悪寒などの症状が出たら、このクラゲに刺されたのかも知れません。そうなったら、すぐ水から出て下さいね。
 カギノテクラゲを、恐れすぎることはありません。彼らは、普段は泳がないからです。海藻の茂みなどには、素肌のまま、入らないようにしましょう。
 多くのクラゲは、ヒトには無害です。夏には、ぜひ、海の自然に親しんで下さい。


図鑑↓↓↓↓↓には、泳がないクラゲの一種、カギノテクラゲが掲載されています。
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ぜひご利用下さい。

 過去の記事でも、クラゲを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
美しい日本固有種、カミクラゲ(2009/03/13)
生物学で大活躍、オワンクラゲ(2008/08/04)
淡水にもクラゲがいる?(2007/08/06)
などです。

2009年7月22日

写真展、昆虫4億年の旅

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 夏休みは、生き物関係のイベントがいっぱいですね。そんなイベントの一つに、行ってまいりました。写真家の今森光彦さんの写真展です。静岡市の静岡アートギャラリーで開催中の、『昆虫4億年の旅』です。
 今森さんは、昆虫の写真を撮らせたら、世界でも五指に入る写真家ではないでしょうか。
 今森光彦というお名前を知らなくても、日本人なら、今森さんのフンコロガシ(タマオシコガネ)の写真を、一度は見ていると思います。たいへん克明に、わかりやすく、生態を写した写真だからです。今森さんの写真集『スカラベ』は、衝撃的でした。
 他にも、今森さんは、多くの写真集を発表してらっしゃいます。今回の展覧会では、主に、『昆虫記』と『世界昆虫記』と二つの写真集からの作品を紹介しています。
 展覧会で見る写真は、写真集で見るものとは一味違います。何しろ、大きさが違います。普通は、縦横の長さが1mを越える写真なんて、見る機会がありませんよね?
 大画面で見る昆虫たちは、大迫力です。昆虫たちが、いかに巧みに自然環境に溶け込んでいるかよくわかります。私のお気に入りの作品を、いくつか挙げてみますね。
 一つは、ラフレシアという花の内側から撮った写真です。自分が昆虫になって、花の内側から外を覗いているかのようです。ラフレシアは、世界最大の花といわれる植物です。が、それでも、花の内側に入った視点は、写真ならではですね。
 もう一つは、鳥のハチドリと昆虫のアシナガバチが、並んで飛んでいる写真です。これは、花の蜜を取り合っている状態なのだそうです。ヘリコニアという花の蜜です。
 ハチドリは、最小の鳥類といわれますね。とはいえ、アシナガバチよりは、一回り大きいです。でも、花の蜜という食物は、同じです。まったく類縁の離れた生き物同士が、同じ場所で、同じ食物を争っています。その様子に、自然の妙味を感じました。
 そのほか、奇妙な姿をしたクモの写真や背景に紛れて見つけるのに苦労するバッタなど、面白い写真がたくさんあります。大人が見ても、子供が見ても、楽しめる展覧会です。お近くの方は、ぜひお運び下さい。


図鑑↓↓↓↓↓には、日本の昆虫が、四百種ほど掲載されています。
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 展覧会の様子は、以下のページに載っています。
今森光彦写真展 昆虫4億年の旅(静岡アートギャラリーのサイト内)

 今森さんの公式ウェブサイトもあります。
今森光彦ワールド

2009年7月20日

タコ(蛸)にも「手足」がある?

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 海開きの季節ですね。海水浴は、自然に親しめる、良い遊びだと思います。
 岩礁のある海岸では、タコに会えるかも知れません。タコは、岩陰などに隠れて棲むのが、普通だからです。もしも会えたら、そっと観察してみましょう。
 日本では、タコは、よく食用にされますね。そのわりに、謎が多い生き物です。例えば、最近、「タコは二本脚【にほんあし】だった」という研究結果が、発表されました。
 タコといえば、八本脚【はっぽんあし】が常識ですね。専門的には、タコのあの触手は、腕【うで】と呼ばれます。なぜ、それが「二本脚」なのでしょうか?
 じつは、タコは、八本の腕を、すべて同じように使うのではありません。八本のうち、主に二本だけを使って、海底を歩きます。残りの六本は、ヒトの手のように使います。「手足」を使い分けるのですね。だから、「二本脚」です。
 この研究は、ヨーロッパのいくつかの水族館が、共同で行ないました。飼育されているタコを、2000例も、観察した結果だそうです。
 海や水族館で、タコに会えたら、どのように腕を使うのか、観察してみたいですね。運が良ければ、「二本脚」で歩くところが、見られるかも知れません。
 観察する際には、あまり触らないようにしましょう。タコが驚いてしまうからです。もう一つ、触らないほうがいい理由があります。種によっては、危険だからです。
 ほとんどのタコは、ヒトには無害です。やたらに恐れる必要は、ありません。けれども、中には、危険な種がいます。有名なのは、ヒョウモンダコという種です。
 ヒョウモンダコは、積極的には、ヒトを襲いません。防御のために、毒を使います。この毒が、ヒトを倒すほど、強力です。この仲間のタコには、決して触らないことです。
 ヒョウモンダコの仲間は、日本の近海にも分布します。他のタコとの区別は、容易です。特徴的な模様があるためです。その模様とは、青い輪の模様です。
 普段のヒョウモンダコは、目立たない色です。危険を感じると、青い輪の模様が、輝くように現われます。このようなタコを見たら、手を出さないようにしましょう。


 「二本脚で歩くタコ」のニュースは、以下にあります。
タコは実際には2本足? 残りの6本は手だった(technobahn 2008/08/17)



図鑑↓↓↓↓↓には、ヒョウモンダコをはじめ、五種のタコが掲載されています。
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 過去の記事でも、タコを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
六本脚【あし】のタコ(蛸)がいる?(2008/03/08)
シマダコは、縞ダコか島ダコか?(2008/03/03)
タコ(蛸)の旬【しゅん】は冬か夏か?(2007/02/19)
などです。

2009年6月22日

光るイカは、ホタルイカだけじゃない?

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 深海生物には、光るものが多いですね。深海では、光ると、良いことがあるからです。以前、このブログで書きましたね(ホタルイカはなぜ光る?(2007/04/12)
 海の生き物には、深海に棲まないのに、光るものもいます。それらの中から、今回は、ミミイカを取り上げてみましょう。浅い海に棲むのに、光るイカ(烏賊)です。
 ミミイカの体長は、5cmほどしかありません。でも、食べられます。日本近海で、漁獲されています。けれども、魚屋さんでは、あまり見ません。
 ミミイカは、胴体に付くひれ(えんぺら)が、耳のようです。だから「耳イカ」です。胴体は、丸っこいです。その外見から、ダンゴ(団子)イカと呼ばれることがあります。
 しかし、ミミイカとは別に、正式名称を「ダンゴイカ」というイカがいます。ミミイカと、外見がそっくりです。しかも、同じダンゴイカ目【もく】ダンゴイカ科に属します。ただし、ミミイカはダンゴイカ科ミミイカ属で、ダンゴイカはダンゴイカ属です。
 前記のとおり、ミミイカは、光ります。ホタルイカとは違い、自力で光るのではありません。光るバクテリア(細菌)の力を借りています。体の中に、光るバクテリアを棲ませています。ホタルイカは、自力で発光する器官を持っています。
 ミミイカが光るのは、「自分の影を消して、敵から逃れるため」と考えられています。
 ミミイカの仲間は、重要な生物の研究に使われています。ラテン語の学名を、Euprymna scolopesという種です。この種の日本語名は、ありません。日本近海のミミイカと同じく、ダンゴイカ科ミミイカ属に属します。ハワイ近海などに分布します。
 Euprymna scolopesは、ラテン語の学名をVibrio fischeriというバクテリアと、共生します。このバクテリアは、光るかわりに、イカから栄養をもらっています。
 この二者が、どのように共生しているのかを知れば、人間の役に立つ可能性があります。ヒトに害をなすバクテリアを、無害化する方法が、わかるかも知れないからです。
 光る生物の研究では、オワンクラゲが有名になりましたね。直接、役に立たないとしても、光る生物の研究には、夢があると思います。


 ハワイ近海のミミイカの一種Euprymna scolopesについては、以下のニュースに載っています。
発光するイカ、特効薬のカギを握るか(AFPBBニュース 2009/02/03)


図鑑↓↓↓↓↓には、ミミイカが掲載されています。
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 過去の記事でも、イカの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海中を泳ぐ槍【やり】? ヤリイカ(2008/02/18)
深海のイカ、続々と生態を解明中(2007/02/23)
コウイカとヤリイカはどう違う?(2006/11/10)
などです。

2009年6月 1日

シオマネキは、潮を招く?

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 外遊びに、良い気候になりましたね。海や山へ、お出かけする方もいるでしょう。今回は、海で見かける生き物を、取り上げますね。
 シオマネキと呼ばれるカニがいます。カニ(蟹)の仲間で、スナガニ科シオマネキ属に属する種が、シオマネキと総称されます。砂浜や、泥の干潟に棲むカニです。
 ややこしいことに、単に「シオマネキ」という種名のカニもいます。シオマネキ属の代表といえる種です。この種は、中部地方以南の海岸に、広く分布します。
 シオマネキを、漢字で書けば「潮招き」です。なぜ、こんな名が付いたのでしょうか?
 シオマネキ属のカニが、潮を招くような動作をするからです。この動作は、雄(オス)だけが行ないます。「おいでおいで」をするように、片方のはさみを振ります。
 シオマネキ属の雄は、片方のはさみだけが、異常に大きくなります。大きいほうのはさみを、振ります。これは、雄が、雌(メス)に求愛する動作です。
 招くのは、潮ではなくて、雌なのですね。雌のはさみは、両方とも普通の大きさです。このような特徴があるため、シオマネキ属は、雄と雌との区別が簡単です。
 雄のはさみは、右と左と、どちらが大きくなるのでしょうか? これは、決まっていないようです。同じ種の中でも、右のものと左のものとがいます。
 じつは、シオマネキ属の雄にとって、大きなはさみは、厄介【やっかい】ものです。大き過ぎて、器用に使えないからです。普段、餌を食べる時などは、小さいほうのはさみだけを使います。大きなはさみは、雌にアピールするためだけに、発達しています。
 これは、クジャクの雄の飾り羽根などと、同じですね。雌への求愛のため、普通なら邪魔なものを、発達させました。それだけ、求愛とは、大事なことなのでしょう。
 シオマネキ属の中に、ハクセンシオマネキ(白扇潮招き)という種がいます。「白い扇で潮を招く」という意味です。白いはさみを振る様子を、扇に見立てたわけです。
 ちょっと長いですが、優雅な名前ですよね。生物の特徴も、ちゃんと表わしています。これが正式な種名なんて、素敵です。こんな種名が増えたらいいのに、と思います。



図鑑↓↓↓↓↓には、シオマネキ属のシオマネキとハクセンシオマネキが掲載されています。
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 過去の記事でも、カニの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
タカアシガニは、世界最大のカニ?(2009/01/30)
目高蟹【めだかがに】とは、ツノメガニ?(2008/7/7)
バトル【ハクセンシオマネキ】(2007/06/03)
夫婦なのに名が違う?ズワイガニとコウバコガニ(2005/11/11)
などです。

2009年4月27日

管の中の花? ハナギンチャク

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 陸では、花が一番多い季節ですね。海の中にも、「花」が咲いています。
 海中の「花」は、ハナギンチャクという生き物です。漢字で書けば、「花巾着」です。名前から想像されるとおり、イソギンチャク(磯巾着)の仲間です。
 海中のイソギンチャクは、植物の花のようですね。触手が、花びらのようで、美しいです。英語で、イソギンチャクを、sea anemone(海のアネモネ)と呼ぶほどです。
 けれども、イソギンチャクの仲間は、植物ではなく、動物です。おおむね、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】花虫綱【はなむしこう、または、かちゅうこう】イソギンチャク目【もく】に属するものを、イソギンチャクと呼びます。
 ハナギンチャクの外見は、イソギンチャクにそっくりです。しかし、分類上は、意外に遠縁です。花虫綱のハナギンチャク目【もく】に属します。
 ハナギンチャクと、イソギンチャクとは、どう違うのでしょう?
 主な違いは、ハナギンチャクが、「管の中に棲む」ことです。このために、ハナギンチャクは、英語で、tube anemone(管のアネモネ)などと呼ばれます。
 ハナギンチャクは、泥や砂の海底に棲みます。泥や砂に穴を掘り、そこに管を作ります。その管から、花のように、触手を出します。驚くと、管の中に引っ込みます。
 イソギンチャクは、管を持ちませんね。海底の石など、硬い所に、直接くっつきます。くっつくために、イソギンチャクの体には、吸盤があります。触手のあるのとは反対側の、体の後端が、吸盤です。ハナギンチャクには、この吸盤がありません。
 日本の近海には、ムラサキハナギンチャクと、ヒメハナギンチャクという、二種のハナギンチャクが多いです。どちらも、色彩の変異が多く、華やかな種です。
 紛らわしいことに、イソギンチャクにも、泥底や砂底に棲むものがいます。スナイソギンチャクなどです。それらのイソギンチャクは、泥や砂の中の小石などに、吸盤でくっついています。「管がない」ことが、ハナギンチャクとの違いです。
 イソギンチャクの仲間の分類は、難しいです。この話は、別の機会にしましょう。



図鑑↓↓↓↓↓には、ヒメハナギンチャク、ムラサキハナギンチャクが掲載されています。また、ハナギンチャクと紛らわしいスナイソギンチャクも載っています。
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 過去の記事でも、イソギンチャクの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 イソギンチャクは逆さのクラゲ?(2008/04/21)
 クラゲは刺胞【しほう】動物? 腔腸【こうちょう】動物?(2007/08/24)
 海藻【かいそう】? いいえ、イラモはクラゲです(2007/07/16)などです。


2009年4月 4日

世界最長寿のサンゴが発見される

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 海中生物のびっくりニュースが届きました。ハワイの深海からです。そこに棲むサンゴの一種が、四千年以上も生きているらしい、とわかりました。
 そこは、約366mの深さです。この深さでは、太陽の光は、あまり届きません。ですから、そこに棲むサンゴは、明るい浅海に棲むのとは、違う種です。
 調査チームは、そのサンゴの一部を、研究のために引き揚げました。引き揚げられたのは、レイオパテスLeiopathes属の一種と、ゲラルディアGerardia属の一種です。
 調査チームが、両種の年齢を調べました。その結果、レイオパテス属のほうは、なんと4265歳だと判明しました。ゲラルディア属のほうは、2742歳だそうです。
 レイオパテス属のほうは、海中生物としては、知られる限り、最長寿です。ただし、サンゴは、一個体ではなく、たくさんの個体がつながった群体生物です。このため、一個体として最長寿とは、言えません。「群体として最長寿」です。
 レイオパテス属も、ゲラルディア属も、研究があまり進んでいません。どのグループに分類されるのかにも、議論があります。
 レイオパテス属のほうは、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】花虫綱【はなむしこう】六放サンゴ亜綱【ろっぽうさんごあこう】ツノサンゴ目【もく】に属するようです。ゲラルディア属のほうは、六放サンゴ亜綱までは、レイオパテス属と同じです。しかし、目【もく】以下の分類は、違います。スナギンチャク目【もく】というのが、有力な説です。
 厳密に言えば、ゲラルディア属は、サンゴではありません。かといって、イソギンチャクでもありません。「スナギンチャク」という、独自のグループです。
 レイオパテス属と、ゲラルディア属は、どちらも、宝石のサンゴとして使われることがあります。レイオパテス属のほうは、通称、黒サンゴと呼ばれます。ゲラルディア属のほうは、通称、金サンゴです。両方とも、ハワイの深海から、捕られています。
 ということは、数千年も生き延びたものが、宝石にされた可能性もありますね。人間は、少し、欲を控えたほうが、いいかも知れません。

 「最長寿のサンゴ」のニュースは、以下にあります。載っている画像は、通称gold coralと呼ばれるゲラルディア属のものです。 
調べてみたらなんと4000歳、ハワイで長寿世界一の海中生物を発見(technobahn 2009/03/30)
 より詳しいニュース記事が、以下にあります。ただし、英文です。
Oldest Sea Creatures Have Been Alive 4,000 Years(LiveScience 2009/ 3/23)

2009年3月27日

パプア・ニューギニアで、五十以上の新種を発見か?




 またもや、新種発見のニュースです。今度は、パプア・ニューギニアが舞台です。大ざっぱに見積もって、50以上の新種が発見されました。
 新種の数は、まだはっきりしません。調査が途中だからです。
 以下に、新種と思われる生物を挙げましょう。どの種も日本語名はありません。以下に示すアルファベットの種名はすべて、ラテン語の学名です。
 無脊椎動物でハエトリグモの仲間が、何種か発見されています。中には、変わった姿の種もいます。アリ(蟻)にそっくりなのです。Cucudeta zabkaiという種です。
 Cucudeta zabkaiは、新種というだけでなく、新属でもあります。属とは、種より一段階、上の分類グループです。分類グループそのものが、生物学上、知られていなかったということですね。クモの中のハエトリグモ科では、Cucudeta属以外に、Tabuina属とYamangalea属も新たに発見されました。
 両生類では、カエルの仲間が発見されています。アマガエル科のアミメアマガエル属やミナミアマガエル属(アメガエル属)で、新種らしき種が見つかりました。ヒメアマガエル科のOreophryne属(コノマヒメアマガエル属)でも、新種が見つかりました。
 Oreophryne属のカエルは、独特の生態で知られます。卵から、いきなりカエルの姿で産まれます。おたまじゃくしになりません。今回の新種も、そうだと考えられます。
 爬虫類では、ヤモリの新種らしき種が発見されました。ヤモリ科ホソユビヤモリ属の一種です。この種には、鋭い爪があるそうです。ヤモリとしては、珍しい特徴です。普通のヤモリには、鋭い爪のかわりに、指下板【しかばん】という吸盤状のものがあります。
 植物では、Hypserpa calcicolaや、Kairoa endressianaが発見されました。Hypserpaのほうは、ツヅラフジ科Hypserpa属の新種です。つる植物です。Kairoaのほうは、モニミア科Kairoa属に属します。低木になる植物です。
 ここに挙げた種名や分類は、今後、変わる可能性もあります。調査が進めば、新しいことがわかってくるからです。この後の報告が楽しみですね。


 パプア・ニューギニアの新種のニュースは、以下にあります。
パプアニューギニア、アマガエルの新種(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/03/25) ※アミメアマガエル属の新種の画像があります。
パプアニューギニア、クモの新種(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/03/25) ※Orthrus属のハエトリグモの新種の画像があります。
新種生物56種、パプアニューギニアの原生林で発見(AFPBBニュース 2009/03/26) ※Oreophryne属の新種カエルの画像付きです。
新種生物56種、パプアニューギニアの原生林で発見(AFPBBニュース 2009/03/26) ※ホソユビヤモリ属の新種の画像付きです。


 新種の画像をもっと見たい方は、以下のページを御覧下さい。※解説は英語です。
新属新種のハエトリグモTabuina varirata(コンサベーション・インターナショナル)
新属新種のハエトリグモTabuina rufa(コンサベーション・インターナショナル)
Uroballus属の新種のハエトリグモ(コンサベーション・インターナショナル)
新属新種のハエトリグモCucudeta zabkai(コンサベーション・インターナショナル)
新属新種のハエトリグモYamangalea frewana(コンサベーション・インターナショナル)
ミナミアマガエル属(アメガエル属)の新種(コンサベーション・インターナショナル)
ツヅラフジ科の新種の植物Hypserpa calcicola(コンサベーション・インターナショナル)
モニミア科の新種の植物Kairoa endressiana(コンサベーション・インターナショナル)


図鑑↓↓↓↓↓には、動物・植物約1,800種が掲載されています。
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 過去の記事でも、パプア・ニューギニアで発見された新種を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ネットで、知りたいことを上手に知るには? 上級編(2008/07/28)
楽園の鳥の楽園? インドネシアのパプア州とパプア・ニューギニア(2006/02/9)


2009年3月25日

オーストラリアで、十九の新種を発見

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 新種発見のニュースです。オーストラリアで、昆虫を含む無脊椎動物の新種が、まとめて発見されました。その多くが、西オーストラリア州に産します。
 発見された種の分類グループは、以下のとおりです。クモとそれに近縁な節足動物【せっそくどうぶつ】が11種、甲殻類【こうかくるい】(エビやカニの仲間)が3種、昆虫が2種、軟体動物【なんたいどうぶつ】が1種、蠕虫【ぜんちゅう】が1種、海綿動物【かいめんどうぶつ】が1種です。
 軟体動物と蠕虫と海綿動物については、詳しい報道がありません。ここでは、残りの節足動物と甲殻類と昆虫について書きましょう。
 今回、発見された種には、どれも、日本語名は付いていません。ラテン語の学名が付いています。以下に挙げるアルファベットの種名は、ラテン語の学名です。
 クモでは、Hickmanolobus linnaeiMicropholcomma linnaeiといった種が、見つかっています。この二種は、どちらもとても小さなクモです。
 クモに近縁な節足動物では、カニムシの仲間が、見つかりました。クモ綱【こう】のうち、カニムシ目【もく】に属する生き物です。この仲間は、一見、サソリに似ます。サソリのような鋏【はさみ】を持ちます。けれども、毒針のある尾を持ちません。
 甲殻類では、ヨコエビの仲間が発見されました。ヨコ「エビ」といっても、普通のエビとは違います。甲殻亜門【こうかくあもん】軟甲綱【なんこうこう】端脚目【たんきゃくもく】に属する生き物です。普通のエビは、軟甲綱の十脚目【じっきゃくもく】です。
 新種のヨコエビには、眼がありません。地下の川に棲むからです。
 昆虫では、ベッコウバチの仲間とヨコバイの仲間が発見されています。ベッコウバチは、クモを狩るハチとして有名ですね。ヨコバイの仲間は、植物食です。植物の上で、横に歩いたり、跳ねたりするので、ヨコバイと名づけられました。
 このようなニュースに接すると、「生物の世界は無限だな」と思います。まだまだ、多様な生き物が発見されずにいるのでしょうね。


 オーストラリアの新種のニュースは、以下にあります。新種のベッコウバチの画像付きです。
西オーストラリアで19種の新種を発見(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/03/10)
 以下のページで、新種の画像がいくつか見られます。※解説は英語です。
新種のクモHickmanolobus linnaeiの画像(National Geographic News)
新種のクモMicropholcomma linnaeiの画像(National Geographic News)
新種のカニムシの画像(National Geographic News)
新種のヨコエビ(甲殻類)の画像(National Geographic News)
新種のヨコバイ(昆虫)の画像(National Geographic News)



図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布するクモが九種ほど掲載されています。ベッコウバチ科やヨコバイ科の昆虫も、載っています。
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 過去の記事でも、オーストラリアの新種を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
オーストラリアの深海で、新種発見(2009/01/22)
百種を越える魚類が発見される(2008/09/30)
オーストラリアのサンゴ礁で、数百の新種を発見(2008/09/25)
などです。

2009年3月13日

美しい日本固有種、カミクラゲ

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 風はまだ冷たくても、春ですね。海の中にも、春が来ています。
 春、日本近海で、よく見られるクラゲがいます。カミクラゲという種です。
 「春にクラゲ?」と思う方がいるでしょう。クラゲは、夏に出現するものばかりではありません。どこの海域でも、一年中、何がしかのクラゲがいます。
 現われるクラゲの種は、海域や、季節により違います。カミクラゲは、日本近海に固有の種だといわれます。主に、春に見られます。夏には、消えてしまいます。
 カミクラゲの形は、笠のような、いわゆる「クラゲ型」ではありません。やや細長い球形です。ゼリー状で、軟らかく、透明なところは、他のクラゲと同じです。
 カミクラゲの特徴は、その触手です。体の下側から、たくさん生えています。これがたなびく様子が、ヒトの髪に似るため、カミクラゲという名が付きました。
 今のところ、カミクラゲがヒトを刺したという報告は、聞きません。ヒトには無害なクラゲです。小さなプランクトンを、触手でとらえて、食べるといいます。
 カミクラゲは、よく動きます。「髪」をなびかせて、ぽんぽんと、浮き沈みします。光に反応するようです。
 クラゲには、眼があるようには見えませんね。どうやって、光を感じるのでしょう?
 カミクラゲの場合は、眼点と呼ばれる器官があります。この器官で、光を感じます。カミクラゲの触手の付け根に、小さな赤い点が、ずらりと並んでいます。これが眼点です。
 眼点がないクラゲは、どうしているのでしょう? これについては、わかっていません。クラゲの仲間は、わからないことのほうが多いです。
 カミクラゲについても、大きな謎があります。カミクラゲは、ポリプが見つかっていません。ポリプとは、クラゲの成長段階の一つです。つまり、カミクラゲが、どこで、どのように成長するのか、不明なのですね。ポリプが見つかれば、重要な研究成果です。
 二〇〇八年のノーベル賞受賞で、下村脩さんのオワンクラゲ研究が、有名になりましたね。日本固有種のカミクラゲも、ぜひ、日本人に研究してもらいたいですね。
  


図鑑↓↓↓↓↓には、カミクラゲが掲載されています。
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 過去の記事でも、クラゲの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 生物学で大活躍、オワンクラゲ(2008/08/04)
 ビゼンクラゲと同じ? 違う? スナイロクラゲ(2007/10/12)などです。


2009年2月23日

ツブ貝とは、どんな貝?

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 北海道や東北では、魚屋でよく「ツブ」という貝を売っています。「ツブ貝」と呼ばれることもあります。巻貝ですね。正式な種名は、何というのでしょうか?
 これは、難しい問題です。「ツブ」と呼ばれる貝には、たくさんの種が含まれるからです。
 中でも多いのは、エゾバイ科に分類される種です。エゾバイ、エゾボラ、ヒメエゾボラなどです。似た種名が多くてややこしいですね。
 ここでは、ヒメエゾボラを取り上げてみましょう。この種は、代表的な「ツブ」の一種です。東北地方以北の海に分布します。
 ヒメエゾボラの殻は、典型的な巻貝の形です。けれども、よく見ると個体ごとに少しずつ形が違います。模様も、個体ごとにさまざまです。別種のように見えるものもいます。このため、同じヒメエゾボラでも違う名で呼ばれることがあります。
 ヒメエゾボラは、美味しい貝です。でも、食べ過ぎないように御注意下さい。この貝を食べ過ぎると、酔ったような状態になることがあります。
 これは、テトラミンという物質のしわざです。ヒメエゾボラの、唾液腺【だえきせん】という部分に含まれます。調理されて売っているものでは、唾液腺を除いてあるのが普通です。除いてあれば、たくさん食べても大丈夫です。
 ヒメエゾボラには、ネムリツブという別名があります。これは、テトラミン中毒の症状から来ています。酔ってふらふらしたり、眠くなったりした状態に似るのですね。
 ヒメエゾボラ以外にも、エゾバイ科の種は多くテトラミンを持ちます。ですから、ネムリツブという名は、他の種にも用いられます。
 英語では、ヒメエゾボラの仲間(エゾバイ科エゾボラ属の種)を、ネプチューンneptuneと呼びます。これは、エゾボラ属のラテン語の学名Neptuneaに由来します。Neptuneaとは、ローマ神話の海の神、ネプトゥーヌスNeptunusにちなんだ名です。
 ヒメエゾボラの仲間に、テトラミンがあるのは、ネプトゥーヌスの戒めかも知れません。「海の恵みを、むさぼり過ぎるな」というわけでしょうか。
  


図鑑↓↓↓↓↓には、ヒメエゾボラが掲載されています。
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 過去の記事でも、巻貝の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 「越中バイ」はバイじゃない?(2009/01/26)
 マガキと付いてもカキじゃない、マガキガイ(2008/10/20) 
 ヒトデ退治は法螺【ほら】じゃない? ホラガイ(20080/7/25)
 カワニナ(川蜷)は一種じゃない?(2008/06/02)などです。


2009年2月21日

北極と南極には、同じ生き物がいる?

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 北極と南極とは、似ているようで違いますね。北極にはホッキョクグマがいますが、南極にはいません。南極にはペンギンがいますが、北極にはいません。
 ところがこのほど「北極と南極では、多くの生き物が共通している」という調査結果が出ました。なんと、二百種以上が、北極と南極、両方に分布するそうです。
 ただし、これらが本当に同種であるのかはまだわかりません。今回、見つかった生き物には、研究が進んでいないものが多いからです。ほとんどが、無脊椎動物です。小さくて、種が見分けにくいものばかりです。中には、似た別種が含まれるでしょう。
 今回、両極で発見された種を、いくつか挙げてみますね。
 例えば、カイアシの仲間が、見つかっています。カイアシとは、小さな甲殻類です。エビやカニの仲間ですね。専門的には、節足動物門【せっそくどうぶつもん】甲殻亜門【こうかくあもん】顎脚綱【がっきゃくこう】カイアシ亜綱【あこう】に属する生き物を、カイアシと総称します。このグループには、一万種以上もの種が含まれます。
 カイアシ類は、北極でも南極でも重要な生き物です。彼らが、多くの生き物の餌になるからです。クジラや魚類やペンギンなどが、カイアシ類を食べます。
 ハダカカメガイも、北極・南極の両方で見つかっています。「ハダカカメガイなんて知らない」という方が多いでしょうね。では、クリオネは? ハダカカメガイとは、クリオネの正式な種名です。貝殻を持たない巻貝の一種です。以前、このブログで取り上げましたね(ハダカカメガイ(クリオネ)は流氷の天使か?(2006/01/09))。
 今回の調査は、「海洋生物のセンサスCensus of Marine Life」という国際プロジェクトの一環です。このプロジェクトは、二〇〇〇年から二〇一〇年までの、十年計画です。
 このプロジェクトにより、これまでに、たくさんの新種が発見されました。今回のように、新種の発見でなくとも、興味深い発見も、たくさんありました。
 今後も、このような発見が相次ぐでしょう。海について、人類が、いかに知らないか、痛感します。私たちは、もっと謙虚になるべきでしょうね。
 「北極と南極と、両方で発見された生物」は、以下に載っています。
 南北両極の海にすむ生物――浮遊性巻貝(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/02/15)
 南北両極の海にすむ生物――カイアシ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/02/15)
 南北両極の海にすむ生物――クリオネ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/02/15)
 「海洋生物のセンサス」プロジェクトでは、他にも、以下のような新種の生き物が、発見されています。
 深海生物の新種――ロブスター(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/11/10)
 深海生物の新種――エビと寄生虫(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/11/10)
 深海生物の新種――世界最大の尾腔亜綱(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/11/10)
 深海生物の新種――コブシガニ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/11/11)



図鑑↓↓↓↓↓には、ハダカカメガイ(クリオネ)など、無脊椎動物が、百種以上載っています。
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2009年1月30日

タカアシガニは、世界最大のカニ?

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 世界で最も大きなカニを御存知ですか? タカアシガニという種です。甲羅の長さだけで30cmを越えます。はさみを広げればなんと2mを越えるものもいます。
 タカアシガニは、主に日本沿岸の深海に分布します。相模湾【さがみわん】や駿河湾【するがわん】に多いです。おおむね、水深200mから300m付近にいるようです。
 以前、タカアシガニは、日本沿岸の固有種だと思われていました。ところが、近年台湾の近海でもタカアシガニが見つかりました。日本の沿岸から東シナ海にかけて分布するようです。駿河湾(静岡県)では、食用に漁獲されています。
 カニの中で、タカアシガニの大きさはズバ抜けています。カニに近縁なエビを含めても、こんなに大きい種はいません。現在、生きている節足動物【せっそくどうぶつ】の中で最大です。節足動物とはカニ、エビ、昆虫、サソリ、クモなどを含む無脊椎動物のグループです。日本の沿岸には、世界に誇れるカニが棲むのですね。
 タカアシガニは、なぜこんなに大きくなったのでしょうか? 理由はわかっていません。海中に棲むことが有利に働いたのは確かです。海中には浮力があるからです。カニの細い脚では、陸上で巨体を支えることはできないでしょう。
 タカアシガニが深海に棲むことも謎の一つです。深海は食べ物が乏しいからです。このため、大型の生き物は暮らしにくいです。深海生物は、ほとんどが小型の生き物です。タカアシガニや、ダイオウイカ、メガマウスなどは例外的な存在です。
 タカアシガニは、クモガニ科に属します。同じクモガニ科には、ズワイガニも属します。ズワイガニは、高級食材として有名ですね。クモガニ科のカニは脚が長いのが特徴です。その脚を食用にする種が多いです。
 食用以外に、タカアシガニには面白い利用法があります。大きな甲羅をお面にします。甲羅のみぞを筆などでなぞって鬼の顔を描きます。西伊豆で、節分などの魔除けに使われると聞いたことがあります。今でも、この風習は残っているでしょうか?
 もうじき節分ですね。地方色豊かな風習は、長く残って欲しいです。



図鑑↓↓↓↓↓には、タカアシガニが掲載されています。
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 過去の記事で、タカアシガニに近縁なズワイガニを取り上げています。また、タカアシガニと同様の、大型の深海生物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 希少なサメ(鮫)、メガマウスの撮影に成功(2007/06/12)
 世界最大のイカは、ダイオウイカではない?(2007/02/23)
 カニでないカニがいる?(2006/10/17) 
などです。



2009年1月26日

「越中バイ」は、バイじゃない?

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 バイという種名の巻貝がいます。食用になるので有名ですね。寒い時期が旬【しゅん】です。現在は、日本海で主に漁獲されます。
 「越中【えっちゅう】バイ」などという名を、聞いたことがありませんか? 越中とは、昔の富山県の呼び名ですね。日本海側で捕れるバイをこう呼ぶことがあります。
 ところが、正式な種名バイ以外にエッチュウバイという種名の貝がいます。しかも、エッチュウバイも食用になります。ややこしいですね。
 巻貝には、他にも「○○バイ」という種名のものがいます。オオエッチュウバイ、エゾバイ、ツバイなどです。これらの「○○バイ」には、食用になるものが多いです。
 「バイ」とは、もともと巻貝全般を指す言葉でした。それらのうち、たくさん捕れて、味が良い種が、正式な種名「バイ」にされたようです。
 正式な種名バイは、砂底の海に棲みます。彼らは、海の掃除屋さんです。海中で、魚の死骸などを食べます。彼らのおかげで、海底が、きれいになるのですね。
 この性質を利用して、人間は、バイを捕ります。魚肉を入れた籠【かご】を、海に沈めると、バイが寄ってきます。「バイ籠」と呼ばれる漁法です。
 昔は、日本の沿岸の海に、バイがたくさんいました。巻貝の代表として、「バイ」と名づけられたほどです。けれども、現在は、とても減ってしまいました。そのため、本物のバイとは違う種が、バイと呼ばれて、売られることが多いです。
 バイが減ったのは、捕り過ぎたから、だけではありません。海洋汚染が、深刻な影響を及ぼしました。有機スズという化合物が、海を汚しています。有機スズが、巻貝の体に入ると、正常な繁殖ができなくなります。
 有機スズは、かつて、船の塗料に使われました。今では、船の塗料に有機スズを使うことは、禁止されています。有機スズが、海の生き物に悪いことがわかったからです。おかげで、バイなどの生き物が、復活しつつある海域もあるようです。
 こんなふうに、他の生き物への思いやりが進むといいですね。



図鑑↓↓↓↓↓には、正式な種名バイが掲載されています。
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 過去の記事でも、巻貝の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 マガキと付いてもカキじゃない、マガキガイ(2008/10/20) 
 ヒトデ退治は法螺じゃない、ホラガイ(2008/07/25)
 カワニナ(川蜷)は一種じゃない?(2008/6/2) 
 アワビという種名の貝はいない?(2008/1/14)
などです。


2009年1月22日

オーストラリアの深海で、新種発見

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 タスマニア島の南部沖から、いくつもの新種が発見されたニュースがありました。
 正確には、いくつの新種が発見されたのかはわかりません。私の知る限り、三つの新種の画像が公開されています。どれも、深海に棲むものです。
 一つは、ホヤの一種です。脊索動物門【せきさくどうぶつもん】尾索動物亜門【びさくどうぶつあもん】ホヤ綱【こう】に属します。植物に似ますが動物です。
 ホヤの成体は、海底の一箇所にくっついています。移動しません。普通のホヤは、海水中の小さな有機物を濾【こ】して食べます。おとなしい生き物です。
 ところが、今回の新種は肉食性です。魚などを、捕らえて食べるようです。体の前部が、漏斗【ろうと】状の罠【わな】になっていて、そこで、獲物を捕らえる仕組みです。このホヤは、なぜこんなふうになったのでしょう?
 そのヒントは、別種のホヤにあります。オオグチボヤという種です。日本の富山湾に棲みます。オオグチボヤも肉食性です。深海に棲むのも同じです。
 肉食性になったのは、深海に棲むことと関係するようです。食べ物の少ない深海で、生きる工夫でしょう。ただし、今回の新種のほうがずっと深くに棲みます。なんと、4000mを越える深海です。オオグチボヤが棲むのは、700mほどの深さです。
 他に、海綿動物【かいめんどうぶつ】らしきものと、サンゴの一種の画像が公開されています。サンゴのほうは、熱帯のサンゴ礁に多いイシサンゴとは違います。画像を見る限りでは、八放【はっぽう】サンゴの一種のようです。八放サンゴについては、過去の記事 「白保のサンゴは普通と違う? アオサンゴ」(2008/11/17)を参照して下さい。
 カイメン(海綿)らしきものは、本当にカイメンなのかどうかまだわかりません。情報が少ないからです。今のところ「おそらく、カイメンの新種」とされています。
 カイメンの仲間は、潮が引くと海上に出るようなところから、深海の海底まで広く分布します。形もたいへん多様です。画像だけでは、正体の判別は難しいです。
 今年も、続々と新種が発見されるのでしょうね。楽しみです。


 タスマニア沖深海の新種のニュースは、以下にあります。
 豪、深海で新種発見――罠をかけるホヤ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/01/18)
 豪、深海で新種発見――巨大海綿(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/01/18)
 豪、深海で新種発見――ヘビ頭のサンゴ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/01/18)
  


図鑑↓↓↓↓↓には、ホヤの仲間やカイメンの仲間、サンゴの仲間が掲載されています。
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2008年12月29日

ウミウシは何の仲間?

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 二〇〇九年は、丑年【うしどし】ですね。それにちなんで、「ウシ」の名が付いた生き物を紹介しましょう。ウミウシ(海牛)です。
 ウミウシは、牛の仲間ではありません。それどころか、哺乳類でさえありません。巻貝の仲間です。専門的にいえば、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】腹足綱【ふくそくこう】というグループに属します。名のとおり海中に棲みます。
 まったく違う生き物なのに、なぜ、ウミ「ウシ」なのでしょうか? 角のような触角【しょっかく】があるからです。このため、「海の牛」に見立てられたのですね。
 巻貝とはいえ、ウミウシは、貝殻を持ちません。軟らかい体だけで、海底を這っています。しかも、ウミウシには、派手な体色の種が多いです。これでは、すぐに、敵に見つかってしまいそうですね?
 じつは、多くのウミウシが、毒を持ちます。おかげで、他の生き物に、食べられません。体色が派手なのも、毒と関係するようです。「毒があるぞ」と周囲に警告することで、身を守っているのでしょう。警戒色というものですね。
 ウミウシは、「自分では、毒を作らない」といわれます。では、どうやって、毒を持つのでしょうか? 食べ物から得ます。毒のある生き物を食べて、その毒を流用します。
 実際には、何を食べるのか、解明されているウミウシは、少ないです。知られる範囲では、有毒の海綿動物【かいめんどうぶつ】(カイメン)や、刺胞動物【しほうどうぶつ】(クラゲなど)を食べる種がいます。これらの種は、食べたものの毒を、利用します。
 何を食べるのか、知られないウミウシが多いのは、研究が進んでいないからです。ウミウシは、ヒトの生活に、直接、関わりませんね。そのため、研究が進んでいません。種の分類さえ、定かでないものが多いです。
 けれども、近年、状況が変わってきました。ダイビングをやる人が、増えたためです。きれいなウミウシは、良い観察対象です。新しいことが、少しずつ、わかってきました。いずれ、ウミウシの毒の秘密も、わかるのではないでしょうか。



図鑑↓↓↓↓↓には、アオウミウシやシロウミウシ、ミノウミウシが掲載されています。
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 過去の記事でも、ウミウシのように、「殻を持たない巻貝」を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 いじめると雨が降る? アメフラシ(2007/04/23)
 ナメクジは塩をかけると溶ける?(2006/06/23)
 ハダカカメガイ(クリオネ)は流氷の天使か?(2006/01/09)
などです。


2008年12月19日

平たい体は何のため? ウチワエビ

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 エビ(海老)は、日本人に好まれる食べ物ですね。縁起が良いものとしても、喜ばれます。姿がかっこいいものが、多いためでしょう。
 けれども、中には、奇妙な姿のエビもいます。例えば、ウチワエビです。
 名のとおり、ウチワエビは、団扇【うちわ】にそっくりです。全体的に、平たいです。体の前半分が、円くて上下に平たいため、団扇のように見えるのですね。
 ウチワエビは、なぜ、こんな姿なのでしょうか? 平たい体でぱたぱた泳ぐ、わけではありません。少なくとも、成体のウチワエビは、泳げないようです。移動する時は、海底を歩きます。普段は、海底の砂や泥に、潜っていることが、多いようです。
 「ようです」と書いたのは、ウチワエビの暮らしが、よくわかっていないからです。彼らは、比較的、深い海に棲みます。ダイバーが行ける範囲には、いないことが多いのですね。ですから、自然の状態を、なかなか、観察できません。
 海底で暮らす生き物は、体が平たいことが、よくあります。魚のアンコウなどが、そうですね。海底に、うまく紛れるためです。そうすれば、敵から逃れたり、獲物に忍び寄ったりできます。ウチワエビが平たいのも、そういう理由ではないでしょうか。
 ウチワエビは、食用に、漁獲されています。主に、西日本で食べられます。日本の各地に、ウチワエビの方言名があります。ヒッパタキ、ヒラエビなどです。どれも、その印象的な姿から、名づけられています。
 方言名には、注意すべきことがあります。一つの方言名が、必ず、一つの種を指すとは、限りません。複数の種を、含むことが多いです。
 ウチワエビには、オオバウチワエビという、外見が似た別種がいます。ヒラエビといった方言名は、ウチワエビと、オオバウチワエビを、まとめて呼ぶ名です。市場で呼ぶ場合には、それで不自由はないのでしょう。この二種は、同じように美味だそうです。
 ウチワエビの仲間(セミエビ科ウチワエビ属)は、暖かい海に、広く分布します。東南アジアなどでも、食べられています。美味しいものに、国境はないのでしょう。



図鑑↓↓↓↓↓には、ウチワエビが掲載されています。
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 過去の記事でも、エビの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 おせち料理の海老【えび】はクルマエビ?(2007/01/11)
 海中のサンタクロースはエビ?(2006/12/10)
などです。


2008年12月18日

メコン川の流域で、千種以上の新種を発見

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 今年も、たくさんの新種が発見されましたね。ここへ来て再び、大量の新種発見の報告がありました。東南アジアの、メコン川流域からの報告です。
 メコン川の流域とは、国名でいえばミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムです。この地域は、多くの「未確認の種」がいることで知られます。
 過去十年間で、この地域からは少なくとも1068種(!)の新種が報告されたそうです。これまで、いかに調査されなかったかがわかりますね。調査が進むにつれ、さらに多くの新種が発見されるでしょう。
 新種といっても、地元の人には馴染みのある生き物かも知れません。けれども、ただ目撃されているだけでは「新種発見」ではありません。たとえ、捕まえて食べているとしてもそれだけではやはり「新種発見」ではありません。
 新種を発見するには、まず標本を採取することが必要です。次に、その標本を他の標本と比較します。これが膨大な作業になります。「どの標本とも違う」とわかって、やっと「新種発見」です。
 「発見」してもそれを公表しなければ世界の人々に知られませんね。公式には、新種のことを書いた論文が発表された時点で「新種発見」となります。
 この時点で新種には、ラテン語の学名が付けられます。これを「記載された」といいます。学名がない生き物は「記載されていない」状態です。「記載されていない」生き物は、公式には「未確認」の状態といえます。
 今回の「記載された」新種には、
 ハブに近縁なヘビ【学名:Trimeresurus gumprechti
 ショッキングピンクのヤスデ【学名:Desmoxytes purpurosea
 ウーリーコウモリ属のコウモリ【学名:Kerivoula kachinensis
などが含まれます。どの種も生態はよくわかっていません。見つかったばかりだからです。
 メコン川の流域は、開発が激しく進んでいる地域です。発見されて早々に、絶滅の危機にある種も少なくないでしょう。彼らと共存する方法を見出したいですね。


 メコン川流域の新種の画像は、以下のページで見られます。
 大メコンの新種――ピットバイパー(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース、2008/12/15) 
 大メコンの新種――ピンクの毒ヤスデ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース、2008/12/15)
 大メコンの新種――ウーリーコウモリ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース、2008/12/15)
 大メコンの新種――カワリアシダカグモ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース、2008/12/15) 
 大メコンの新種――ウデナガガエル(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース、2008/12/15)
 大メコンの新種――巨大アシダカグモ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース、2008/12/15)
 


図鑑↓↓↓↓↓には、今回発見されたヘビに近縁なハブや新発見のクモに近縁なアシダカグモが掲載されています。
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 過去の記事でも、新種の発見を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ヒヨケザルの新発見、メガネザルの再発見(2008/11/20)
 絶滅種?のシカとカエルが、再発見される(2008/10/14)
 タスマニア沖で、二百以上の新種を発見(2008/10/14)などです。

2008年12月12日

ムール貝やパーナ貝とは、どんな貝?

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 忘年会の季節ですね。今の日本では、世界中の食べ物が食卓に上ります。
 最近、普及したのが、ムールガイと呼ばれる貝ですね。パエリアや、ブイヤベースの材料にされます。殻が黒っぽく、細長い貝です。これは何の仲間でしょうか?
 ムールガイの正式な日本語名は、ムラサキイガイです。ムラサキガイではありません。ムラサキ「イ」ガイです。漢字では、「紫貽貝」と書きます。
 ムラサキイガイは、イガイ(貽貝)という二枚貝の仲間です。どちらの種も、イガイ目イガイ科に属します。イガイ科の種は、みな、外見や生活ぶりが似ています。そのため、区別が付けにくいです。どの種も、海岸の岩や杭などにくっついて暮らします。
 イガイも、食用になります。じつは、昔から日本でイガイは食べられていました。セトガイ、シュウリ、ニタリガイなどという方言でも、呼ばれます。
 ムラサキイガイのほうは元は、日本にいませんでした。原産地は、ヨーロッパの海です。ところが、昭和の初期くらいから日本でも見られるようになりました。船に付いてきたものが増えたと考えられています。
 ムラサキイガイと同じく、近年日本に棲みついたイガイ科がいます。ミドリイガイ(緑貽貝)という種です。ミドリガイではなく、ミドリ「イ」ガイです。こちらは、東南アジアの原産です。ムールガイと呼ばれる中にこの種が混じることもあります。
 ムールガイと似た貝で「パーナガイ」というのが売られることがありますね。これも、イガイ科の種です。正式な日本語名を、モエギイガイ(萌葱貽貝)といいます。モエギガイではありません。ニュージーランドで大量に養殖されています。
 イガイの仲間は、有害だといわれることもあります。船や港湾施設などにびっしり付くからです。特に、ムラサキイガイは、邪魔ものとされることが多いです。この種は、繁殖力が強いようですね。世界中に分布を広げてしまいました。
 イガイの仲間が分布を広げたのは人間のせいです。一方的に悪者にするのは気の毒でしょう。食用にしておきながら、「有害」というヒトのほうが勝手だと思います。



図鑑↓↓↓↓↓には、ムール貝やパーナ貝の仲間で、日本在来種のイガイ(貽貝)が掲載されています。
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 過去の記事でも、二枚貝の仲間を取り上げています。また、貝に似て、違う生物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。  
 フジツボは富士壷? 藤壷?(2008/09/29) 
 新種のシャコガイ発見(2008/09/04)
 安物から高級食材へ、アカガイ(赤貝)(2008/05/02)
 真珠貝【しんじゅがい】の秘密(2006/06/16)
牡蠣(カキ)はなぜ寒い時期が旬か?(2006/02/04)
などです。


2008年12月 9日

ハクセンシオマネキ

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 ハクセンシオマネキ画像
和名:ハクセンシオマネキ
学名:Uca lactea
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

沖縄県 東村  【2008.11.15】



図鑑↓↓↓↓↓には、ハクセンシオマネキが掲載されています。
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2008年11月17日

白保【しらほ】のサンゴは普通と違う? アオサンゴ

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 サンゴ礁といえば、皆さんは、どこの海を思い浮かべますか? オーストラリアのグレートバリアリーフでしょうか? それとも、南太平洋のパラオ? インド洋のモルジブ?
 じつは、この日本に、世界的に有名なサンゴ礁があります。沖縄のサンゴ礁です。沖縄の海は、世界のどこと比べても恥ずかしくない、豊かな海です。
 中で、ユニークなのは、石垣島の白保【しらほ】地区にあるサンゴ礁です。ここは、世界有数の大きさの、アオサンゴの群落があることで、知られます。
 アオサンゴとは、どういうサンゴでしょうか? どこが、ユニークなのでしょうか?
 サンゴ礁を作るサンゴ(造礁サンゴ)には、たくさんの種があります。アオサンゴは、その中の一種です。数だけでいえば、サンゴ礁に、普通にある種です。
 多くのサンゴ礁では、ミドリイシと呼ばれるサンゴのグループが、大勢を占めます。ミドリイシは、イシサンゴ類という、さらに大きなグループに含まれます。石のように硬い骨格を持つため、イシサンゴと呼ばれます。
 アオサンゴも、硬い骨格を持ちます。けれども、イシサンゴ類ではありません。一つ一つのサンゴ虫(ポリプ)を見ると、イシサンゴ類とは、形が違います。
 アオサンゴは、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】花虫綱【かちゅうこう】八放【はっぽう】サンゴ亜綱【あこう】に属します。「八放サンゴ」の名のとおり、ポリプの触手が、必ず八本です。なお、花虫綱は、「はなむしこう」と読むこともあります。
 ミドリイシなどのイシサンゴ類は、触手の数が、六本、または、六の倍数です。このため、六放【ろっぽう】サンゴと呼ばれます。正確には、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】花虫綱【かちゅうこう】六放サンゴ亜綱【あこう】に属します。
 アオサンゴも、ミドリイシ類も、同じ「サンゴ」には、違いありません。が、分類のうえでは、遠縁です。おおよそ、「カンガルーと、ヒトくらい違う」と言えるでしょう。
 白保のアオサンゴは、世界でも珍しい「八放サンゴの大群落」なのですね。これは、日本だけでなく、世界の宝です。守ってゆきたいですね。
  


図鑑↓↓↓↓↓には、アオサンゴが掲載されています。ミドリイシの仲間も載っています。
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 過去の記事でも、サンゴ(珊瑚)の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 オニヒトデは、サンゴ礁の悪役?(2008/07/18)
 国際サンゴ礁年とは、どんなもの?(2007/12/24)
 宝石の珊瑚【さんご】はサンゴ礁のサンゴか?(2007/03/05)
 サンゴ礁の海を守るナマコ(2006/07/22)
 サンゴ礁と台風の関係(2005/09/02)
などです。



2008年11月 3日

ワラジムシとダンゴムシとは、どう違う?

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 秋は、落ち葉の季節ですね。たくさんの葉が、地面に落ちてゆきます。
 落ち葉を、ずっと片付けないでいたら、どうなるでしょう? 土に還ります。そうなるまでに、多くの生き物が、関わります。落ち葉を食べて、分解する生き物たちです。
 そのような分解者の中で、有名なのが、ワラジムシや、ダンゴムシでしょう。ワラジムシは、わらじ(草鞋)に似た姿の虫ですね。ダンゴムシは、団子のように丸くなる虫です。
 ワラジムシと、ダンゴムシは、外見がそっくりです。分類の上でも、近縁です。どちらも、昆虫ではありません。昆虫よりは、エビやカニに近縁です。専門的にいえば、節足動物門【せっそくどうぶつもん】軟甲綱【なんこうこう】等脚目【とうきゃくもく】に属します。等脚目は、ワラジムシ目ともいいます。
 ワラジムシとは、等脚目の中の、ワラジムシ亜目【あもく】に属する種の、総称です。一種だけを、指すのではありません。ところが、ややこしいことに、ワラジムシ亜目ワラジムシ科の中に、正式な種名が「ワラジムシ」というものがいます。
 ダンゴムシとは、等脚目ワラジムシ亜目の中の、オカダンゴムシ科、ハマダンゴムシ科、コシビロダンゴムシ科に属する種の、総称です。
 ダンゴムシも、広い意味では、ワラジムシに入ります。「ワラジムシ亜目の中で、丸くなれるものを、『ダンゴムシ』と呼ぶ」と考えて、間違いではないでしょう。
 ワラジムシとダンゴムシとの、簡単な見分け方は、「つついてみること」です。丸くなったら、ダンゴムシです。おおむね、ダンゴムシのほうが、丸みのある体型をしています。
 ワラジムシや、ダンゴムシの仲間は、研究が進んでいません。全部で何種いるのかも、不明です。現在のところ、ワラジムシ亜目の種は、五千種ほど(!)も見つかっています。これでも、まだ、「発見されていない種が多い」と考えられています。
 ワラジムシや、ダンゴムシは、人間の役に立つように見えませんね。研究が進まないのは、そのためです。けれども、本当は、とても重要な生き物たちです。彼らは、植物が生える土を、作るからです。農作物ができるのは、彼らのおかげとも言えます。



図鑑↓↓↓↓↓には、ワラジムシと、オカダンゴムシが掲載されています。
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 過去の記事でも、ワラジムシやダンゴムシの仲間(等脚目【とうきゃくもく】)を、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 新種・珍種がざっくざく、南硫黄島【みなみいおうとう】(2008/06/10)
 虫が島を壊す? ナナツバコツブムシ(2007/06/28)



2008年10月20日

マガキと付いてもカキじゃない、マガキガイ

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 日本では、多くの貝が、食用にされますね。アサリ、アカガイ、マテガイ、ホタテガイ、トリガイ、カキ(マガキ)などが、お馴染みです。
 前記の貝の名前を見て、気づいたことがありませんか? 名前に「カイ(貝)」が付くものと、付かないものとが、ありますね。
 マテガイや、ホタテガイは、「カイ」を略して、呼ばれることもあります。けれども、アカガイや、トリガイは、略されませんね。「アカ」や「トリ」だけでは、貝を指すことが、わからないからでしょう。逆に、アサリや、カキ(マガキ)は、「カイ」を付けることが、ありません。有名な貝のため、付ける必要がないのでしょう。
 マガキの場合は、「カイ」を付けると、まずいことが起こります。「マガキガイ」という名の、別種の貝がいるのです。マガキと同じく、海に棲む貝です。
 マガキガイは、漢字で書くと、「籬貝」です。籬【まがき】とは、垣根の一種のことです。おそらく、貝殻の模様が、籬に似て見えたのでしょう。対して、カイの付かないマガキは、漢字で書けば、「真牡蠣」です。「本物のカキ(牡蠣)」という意味ですね。
 マガキガイと、マガキとは、縁が遠いです。マガキ(カキ)は、二枚貝ですね。マガキガイのほうは、巻貝です。外見は、似ても似つきません。
 マガキガイには、面白い特徴があります。歩き方が、普通の巻貝と、違います。
 普通の巻貝は、腹部をべったりと地面に付けて、這い歩きますね。腹部が足なので、腹足【ふくそく】と呼びます。ところが、マガキガイは、腹足が、あまり発達していません。普通の巻貝のように、這えないのですね。そこで、「杖【つえ】」を使います。
 マガキガイには、尖った形の蓋【ふた】があります。これを、海底に突き刺しながら、進みます。まるで、杖を突きながら、歩くようです。この歩き方は、砂地の海底では、都合がいいです。マガキガイは、そのような海底に棲みます。よくできていますね。
 マガキガイと、マガキが似た点が、一つだけあります。どちらも、食用になることです。私は食べたことがありませんが、マガキガイも、美味しいそうです。



図鑑↓↓↓↓↓には、マガキガイ(籬貝)も、マガキ(真牡蠣)も掲載されています。
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 過去の記事でも、貝の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ヒトデ退治は法螺【ほら】じゃない? ホラガイ(2008/07/25)
 カワニナ(川蜷)は一種じゃない?(2008/06/02) 
 安物から高級食材へ、アカガイ(赤貝)(2008/05/02)
潮干狩りの主役、アサリ(2006/04/27)
牡蠣(カキ)はなぜ寒い時期が旬か?(2006/02/04)
などです。

2008年10月14日

タスマニア沖で、二百以上の新種を発見




 またまた、オーストラリアから大量に新種発見のニュースです。タスマニア島の沖の海で、274もの新種が発見されました。そこは、水深2000mの深海です。
 これらの新種には、以下のグループに属するものがいます。魚類、棘皮動物【きょくひどうぶつ】、節足動物【せっそくどうぶつ】、刺胞動物【しほうどうぶつ】、海綿動物【かいめんどうぶつ】などです。魚類の他は、無脊椎動物ですね。
 発見された中には、ヒトデや、クモヒトデの仲間が、多いようです。ヒトデとクモヒトデは、棘皮動物に含まれます。ヒトデは、棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】ヒトデ綱【こう】に属します。クモヒトデは、棘皮動物門クモヒトデ綱【こう】に属します。
 ヒトデ綱では、Marginaster属の新種などが見つかっています。Marginasterとは、ラテン語の学名です。一部で、Marginastersea属とされているのは、つづり間違いです。
 クモヒトデ綱では、トゲナガクモヒトデ科の新種やOphiomitrella属の新種、Amphioplus属の新種などが見つかりました。OphiomitrellaやAmphioplusというのも、ラテン語の学名です。日本語名がないグループが多いですね。
 節足動物では、カニやエビの新種が発見されました。カニでは、クリガニ科のTrichopeltarion属の新種などが見つかっています。日本の駿河湾などにいる、オオツノクリガニの近縁種です。Trichopeltarionという名もラテン語の学名です。
 エビでは、タラバエビ科ジンケンエビ属の新種などが見つかりました。ジンケンエビ属は、日本付近の浅い海にも多くいます。ハクセンエビや、エリマキエビなどです。
 刺胞動物では、サンゴの新種などが発見されました。なんと、二千年前から生きているサンゴの群体があるようです。このサンゴが、こんなに長生きなのは、深海に棲むためとされます。冷たい深海では、生き物の成長速度が遅くなるのです。
 オーストラリアの領海は、調査されていない海域のほうが広いそうです。調べれば、もっと多くの新種が発見されるでしょう。私たちが知る地球は、ほんの一部分でしかありません。そう思えば、謙虚になれますね。


 今回、発見された新種のニュースは、以下にあります。
 タスマニア島沖で、新種の海洋生物274種類を発見(AFPBBニュース 2008/10/09) 
 海洋生物の新種多数、再び豪近海で発見(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/10/09) 
 深海底に潜んでいた新種のカニ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/10/09)
 深海のサンゴに生息する新種のヒトデ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/10/09) 
 海の山に生息する新種のヒトデ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/10/09) 
 新種のトゲナガクモヒトデ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/10/09)