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2010年2月22日

刺すイソギンチャクがいる?

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 今回は、ちょっと危険な生き物の話をしましょう。海で刺す生き物です。
 海で刺すものといえばクラゲが思い浮かびますね。クラゲは、刺胞動物【しほうどうぶつ】というグループに属します。同じグループに、イソギンチャクも属します。
 イソギンチャクが刺すなんて聞いたことがない人が多いでしょう。すべてのイソギンチャクが刺すわけではありません。海水浴で、よく会う種―ウメボシイソギンチャク、ミドリイソギンチャクなど―は、刺しません。安心して下さい。
 けれども中には、刺すイソギンチャクがいます。そういったイソギンチャクは、熱帯の海に多いです。また、ダイビングでなければ行けない程度の深さにいることが多いです。熱帯の海に行く方やダイビングをやる方は、注意が必要です。
 日本近海に、普通に分布する種としては、スナイソギンチャクがいます。この種は、以前、このブログで取り上げましたね(どっちがどっち? スナイソギンチャクと、スナギンチャク(2009/10/5))。スナイソギンチャクは、ヒトを刺します。
 以前に書いたとおり、スナイソギンチャクは、とても美しいです。でも、触らないようにしましょう。観賞用には、良い生き物です。
 ダイバーの方は、カザリイソギンチャクに注意しましょう。この種は、おおむね、水深20m以上のところに棲みます。ですから、海水浴で会うおそれは、まず、ありません。
 カザリイソギンチャクは、昼と夜とで、まったく違う姿になります。昼は、触手を縮めています。イソギンチャクに見えません。全体が、房状のもので覆われています。この房状のものが、ヒトを刺します。素手で触ってはいけません。
 夜のカザリイソギンチャクは、触手を伸ばします。触手だけでなく、体全体も、伸び上がるように大きくなります。イソギンチャクらしい姿です。房状のものは、目立たなくなります。しかし、刺すことに変わりはありません。触らず、見るだけにしましょう。
 夜のカザリイソギンチャクの姿は、神秘的です。英語名に、night anemone(夜のアネモネ)とあるのに納得します。ナイトダイビングをやる方には楽しみとなるでしょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、カザリイソギンチャク、スナイソギンチャク、ミドリイソギンチャクなどが掲載されています。
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 過去の記事でも、イソギンチャクの仲間や、刺す海の生物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
管の中の花? ハナギンチャク(2009/04/27)
イソギンチャクは逆さのクラゲ?(2008/04/21)
海藻【かいそう】? いいえ、イラモはクラゲです(2007/07/16)
などです。

2010年2月 8日

天然記念物なのに、絶滅しそうなのは、なぜ?

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 天然記念物という言葉を聞いたことがおありでしょう。貴重な動物や植物、鉱物が指定されます。有名なものには、ツシマヤマネコ、ヤンバルクイナなどがいます。
 天然記念物に指定されると捕獲・採集などが禁止されます。保護されるわけですね。
 ここで、不思議に思った人はいませんか? 保護されているのなら、なぜ、ツシマヤマネコやヤンバルクイナは「絶滅しそうだ」と騒がれるのでしょうか?
 じつは、日本の「天然記念物」という制度には不備が多いのです。できた時代が、古いためです。もちろん、良いところもありますが。
 天然記念物には、国が指定するものと地方自治体が指定するものとがあります。ここでは、国が指定するものについて説明します。
 天然記念物は「文化財保護法」という法律に基づく制度です。法律の名に、注目して下さい。「文化財」です。「生き物」や「動植物」ではありません。
 「文化財」とは、人間が手を入れたものですね。そもそも、この法律は「人間が手を入れたものを保護する」のが目的です。自然の生き物を保護する目的にはそぐいません。
 この法律ができたのは、一九五〇年です。この法律の前身となる法律が、一九一九年にできています。じつに、大正九年のことです。この頃の古い考えを法律は引きずっています。現在の考えでは「天然」とは言いがたいものが、天然記念物に含まれます。
 例えば、「日本犬」が天然記念物に指定されています。普通にいる柴犬も天然記念物です。捕獲禁止のはずの天然記念物が、飼われているなんてびっくりですね。
 昔は、家畜であろうと野生動物であろうと「生き物」は、一くくりにされたのでしょう。家畜は家畜で、保護するべきだと思います。けれども、野生動物と家畜とを同じ基準で保護するのは無理がありますね。今のままの法律では不自由です。
 法律を変えるのは、大変なことです。国民の同意がなければ、変えてはいけないものでしょう。でも、良い方向へ変えるなら、国民の同意が得られるのではないでしょうか。


図鑑↓↓↓↓↓には、ツシマヤマネコ、ヤンバルクイナなどたくさんの天然記念物が掲載されています。
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 過去の記事で、天然記念物に指定された生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
カメの腹筋? セマルハコガメ(2009/09/28)
貝に卵を産む? 不思議な魚たち(2007/03/30)※国指定の天然記念物のミヤコタナゴを取り上げています。
ヤンバルクイナは絶滅寸前?(2006/10/2)
天然記念物というものはどういうものですか?(2006/03/28)
などです。

2010年2月 1日

そっくりさんがいっぱい、スジエビ

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 スジエビという種名のエビがいます。日本の淡水域で、普通に見られます。透明の体に、筋【すじ】模様があるから、スジエビです。5cmくらいの、かわいいエビです。
 スジエビには、たくさんの別名があります。カワエビ、モエビ、コエビなどです。スジエビという名を知らなくても、これらの名で知っている方も、いるでしょう。
 別名が多いのは、人に親しまれている証拠です。スジエビは、食用や、釣り餌用に捕られます。小さいので、まとめて佃煮などにされることが、多いです。
 日本の淡水域には、スジエビと似た小型のエビが、他にもいます。ヌマエビ、ヌカエビ、ミゾレヌマエビ、ヤマトヌマエビなどです。これらの種は、ヌマエビ科に属します。けれども、スジエビは、ヌマエビ科ではありません。テナガエビ科です。
 ヌマエビ科には、スジエビのような筋模様の種は、いません。とはいえ、水中でぱっと見ただけでは、区別は難しいでしょう。
 スジエビには、他にも、そっくりさんがいます。スジエビと同じく、透明な体に、筋模様があるエビたちです。イソスジエビ、スジエビモドキなどの種です。
 「イソ」スジエビは、名のとおり、磯に棲みます。スジエビモドキも、海に棲む種です。生息場所が違うので、スジエビとは区別できます。イソスジエビのほうが、スジエビモドキより、筋模様の数が多いです。
 棲む場所が違っても、スジエビと、イソスジエビ、スジエビモドキは、互いに近縁です。三種とも、テナガエビ科スジエビ属に属します。
 スジエビ属は、ラテン語の学名をPalaemonといいます。これは、ギリシャ神話の海の神、パライモーンの名にちなみます。パライモーンは、元は人間でした。
 ギリシャ神話の海神といえば、ポセイドーンが有名ですね。パライモーンは、最初から神だったポセイドーンより、人に近しい存在でした。古代の水夫に人気だったようです。
 イソスジエビなどのスジエビ属は、沿岸の海で、人に親しまれています。海神の中でも、パライモーンの名が付けられたのは、そのためではないでしょうか。


図鑑↓↓↓↓↓には、スジエビ、イソスジエビが掲載されています。
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過去の記事でも、エビの仲間を取り上げています。また、ギリシャ神話の海の神の名を持つ生き物も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
平たい体は何のため? ウチワエビ(2008/12/19)
おせち料理の海老【えび】はクルマエビ?(2007/01/11)
海中のサンタクロースはエビ?(2006/12/10)
などです。

2010年1月18日

プラナリアは、美術モデル?

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 プラナリアという生き物を、御存知ですか? 水中に棲む生き物です。小さくて、平たい体をしています。大きさは2cmくらいしかありません。
 「それなら、教科書で見たよ」という方が、多いのではないでしょうか? たいていの生物の教科書には、プラナリアが載ります。実験動物として、よく使われるからです。
 プラナリアには、驚異的な再生能力があります。一頭のプラナリアを半分に切っても、死にません。半分ずつが、それぞれ完全な一個体にまで再生します。
 実験に使われる理由は、再生能力の高さばかりではありません。他に、いくつもの理由があります。なかで注目すべきは、「脳」を持つことです。
 脊椎動物【せきついどうぶつ】は、みな、脳を持ちますね。ヒトや、ニワトリ、トカゲ、カエル、サメ、マグロなどです。けれども、動物全体を見ると、「脳」を持つものは、限られます。例えば、クラゲや、カイメン(海綿)は、脳を持ちません。
 動物が、進化のどの段階から「脳」を持ったのかは重要な問題です。これを調べるには、動物の中で、最初に「脳」を持ったものがどれか知る必要があります。
 プラナリアには、かろうじて「脳」と呼べそうなものがあります。プラナリアの仲間を調べれば、「脳」の起源について得ることがあるでしょう。
 プラナリアの仲間とは、扁形動物門【へんけいどうぶつもん】渦虫綱【うずむしこう】三岐腸目【さんきちょうもく】というグループのことです(分類には、異論があります)。
 じつは、プラナリアとは、一種の動物だけを指す言葉ではありません。前記のグループ全体を指します。一般的には、このグループ内のナミウズムシという種を指すことが多いです。実験動物にされるのも、教科書に載るのも、多くはナミウズムシです。
 プラナリアは、理科の教科書に載るだけとは限りません。ひょっとすると、美術の教科書で、会えるかも知れません。彼らは、ある絵画で立派にモデルを務めています。
 その絵画は、M.C.エッシャーという画家が描いたものです。『偏平虫類』とか『扁虫たち』などと訳される題です。とてもかわいいですよ。ぜひ、画集などで見てみて下さい。


図鑑↓↓↓↓↓には、プラナリア(ナミウズムシ)が掲載されています。
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 過去の記事でも、プラナリアと近縁な生き物(扁形動物【へんけいどうぶつ】)を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
梅雨時のエイリアン? コウガイビル(笄蛭)(2008/05/30)

2009年12月28日

モンゴウイカ(紋甲イカ)というイカは、いない?

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 冬は食べ物が美味しい季節ですね。けれども、近年は食べ物の旬【しゅん】が、わかりにくくなりました。輸入物や栽培・養殖物が増えたためです。
 それ自体は、いけないとは言えません。おおぜいの人を養うには、避けられないことです。でも、せめて「自分たちが、どんな物を食べているか」は知りたいですよね。
 例えば、スーパーでイカを買うとします。ラベルを見てみましょう。「モンゴウイカ」とあるかも知れません。これは、どんなイカでしょうか?
 じつは、正式には「モンゴウイカ」という種名のイカはいません。「モンゴウイカ」には、複数の種が含まれます。中でも、カミナリイカ、トラフコウイカ、ヨーロッパコウイカの三種が多いようです。他の種も、混じっていないとは限りません。
 これら三種は、どれも、コウイカ目【もく】コウイカ科に属します。体内に、プラスチックのような甲【こう】を持つグループです。だから「甲イカ」です。
 モンゴウイカとは「紋様のあるコウイカ」の意味です。前記の三種には、みな縞【しま】模様があります。トラフ(虎斑)コウイカなど、そのものずばりの種名です。
 最初に、モンゴウイカと呼ばれたのは、カミナリイカでした。カミナリイカは、東京湾以西の海に分布します。かつては、日本近海で、たくさん漁獲されました。
 ところが、近年、需要をまかなうほど、捕れなくなってきました。このため、カミナリイカに似た他種が、輸入されるようになりました。それが、トラフコウイカやヨーロッパコウイカです。似た種をまとめて、モンゴウイカと呼ぶようになりました。
 トラフコウイカは、主に、東南アジアで漁獲されます。ですから、ラベルに「モンゴウイカ(マレーシア産)」などとあったら、トラフコウイカの可能性が高いです。
 ヨーロッパコウイカは、名のとおり、地中海を中心に分布します。日本に輸入されるのは、アフリカ西岸産のものが多いです。ラベルに「モンゴウイカ(モーリタニア産)」などとあれば、それはきっと、ヨーロッパコウイカでしょう。
 日本の食卓は、世界につながっています。これを忘れてはいけませんね。


図鑑↓↓↓↓↓には、コウイカ目【もく】コウイカ科のコウイカ、コブシメ、シシイカ、スジコウイカ、ヒメコウイカが掲載されています。
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 過去の記事でも、イカの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海中を泳ぐ槍【やり】? ヤリイカ(2008/02/18)
世界最大のイカは、ダイオウイカではない?(2007/02/23)
コウイカとヤリイカはどう違う?(2006/11/10)
などです。

2009年11月30日

ペルセベスとは、どんな生き物?

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 年末に向けて、御馳走を食べる機会が多くなりますね。近年は、日本にいながら世界各国の料理を食べられるようになりました。
 クリスマスの料理として、ペルセベ【Percebe】を食べた人はいませんか? スペイン料理に登場するものです。ペルセベスとかペルセベ貝などと呼ばれることもあります。海産物の一種です。貝というからには、貝の仲間なのでしょうか?
 違います。ペルセベは貝の仲間ではありません。エビやカニの仲間です。専門的にいえば、節足動物【せっそくどうぶつ】です。日本人に馴染みがある生き物のうちで、近縁なものを挙げるなら、フジツボの仲間といえます。
 フジツボは、以前このコラムで取り上げましたね(ムール貝やパーナ貝とは、どんな貝?(2008/12/12))。フジツボの外見は、まるで貝のようです。けれども、節足動物(エビやカニの仲間)です。節足動物の中には、このように貝に似たグループがいます。
 より正確に言えばペルセベは、フジツボよりもカメノテに近縁です。カメノテも、日本の海岸に、たくさんいます。フジツボと同じく、岩などにくっついて生きるものです。「亀の手」に姿が似るところから、こんな名が付きました。
 日本のカメノテと、スペインのペルセベとは、同種ではありません。が、かなり近縁なのは、確かです。どちらも、節足動物門【せっそくどうぶつもん】顎脚綱【がっきゃくこう】有柄目【ゆうへいもく】ミョウガガイ科に属します。
 フジツボのほうは、顎脚綱のうち、無柄目【むへいもく】に属する種を指します。これは、外見に基づく分類です。柄【え】のあるものとないものとで分けています。
 市場などで、ペルセベを見る機会があればわかるでしょう。ペルセベには、長い柄があります。フジツボには、ありませんね。殻の部分で直接、岩などに付きます。
 日本のカメノテにも、柄があります。ペルセベのものより短めです。
 ペルセベは、誤って、エボシガイと翻訳されることがあります。エボシガイとペルセベとは別種です。エボシガイのほうは、有柄目のエボシガイ科に属します。


図鑑↓↓↓↓↓には、ペルセベと近縁なカメノテが掲載されています。
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 過去の記事で、ペルセベの仲間であるフジツボや、エボシガイを取り上げています。また、ペルセベと似て異なるムール貝なども取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
フジツボは富士壷? 藤壷?(2008/09/29)
殻があっても貝じゃない、エボシガイ(2007/10/22)

2009年11月27日

トラフナマコは、虎縞【とらじま】のナマコ?

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 トラ(虎)は、勇ましい動物の代表ですね。けれども、勇ましいとは言いにくい生き物にも、トラの名が付いています。例えば、トラフナマコです。
 トラフナマコは、名のとおりナマコの一種です。他のナマコと同じく、海底でごろりとしています。食べ物は、海中の砂や泥です。これも、多くのナマコと同じです。
 トラフ(虎斑)ナマコという種名は、体の模様から付きました。確かに、体はまだら模様です。とはいえこの種の模様は、縞【しま】模様とはいえません。雲形【くもがた】模様といったほうがふさわしいです。ちょっと名前負けしています(笑)
 ナマコといえば、日本人は「食べられるかどうか?」が、気になりますね。私の知る限り、トラフナマコを食べたという話はありません。少なくとも、食用に漁獲されてはいません。普通に食用にされるのはマナマコという種です。
 名前に反してトラフナマコは、ちっとも強くなさそうですね。無防備に海底に横たわっているようです。どうやって、敵を防ぐのでしょうか?
 じつは、多くのナマコは体に毒を含みます。トラフナマコにも毒成分があります。道理で、食べられないわけです。食用のマナマコには、ほとんど毒がありません。
 毒があるにしては、どの種のナマコも地味です。有毒生物は、よく派手な色をしていますよね。あれは、「毒があるから食べるな」と、敵に知らせているわけです。
 ナマコのように、外見で有毒だとわからないのは損なはずです。かじられてから吐き出されるより、最初からかじられないほうがいいでしょう。
 ナマコ自身も、そう考えたのでしょうか?(笑) トラフナマコをはじめ、多くのナマコには、毒以外の武器もあります。キュビエ器官というものです。
 キュビエ器官の外見は、白い糸のかたまりのようです。普段は、体の中にあります。
 つつかれたりすると、ナマコは肛門から、キュビエ器官を出します。これは、べたべたとくっついて不快なものです。毒成分も、多く含まれます。これで、たいがいの敵は、退散するようです。トラフナマコは、案外強いのかも知れません。


図鑑↓↓↓↓↓には、トラフナマコが掲載されています。
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 過去の記事でも、ナマコの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
食用ナマコはどんなナマコか?(2007/01/22)
サンゴ礁の海を守るナマコ(2006/07/22)
などです。

2009年11月15日

ジョロウグモ

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ジョロウグモ 画像
和名:ジョロウグモ
学名:Nephila clavata
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

東京都 新宿区【2009.10.16】

図鑑↓↓↓↓↓には、ジョロウグモが掲載されています。
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2009年11月13日

カイメン(海綿)は、多細胞動物の祖先?

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 熱帯の海には、サンゴ礁がありますね。サンゴは、起源が古い動物です。植物ではありません。恐竜が現れるずっと前から、サンゴ礁はありました。
 海の中に、多様な動物が現われたのは、六億年ほど前(エディアカラ紀)だと考えられています。その頃から、サンゴ礁はあったのでしょうか? いえ、ありませんでした。
 けれども、サンゴより前に「サンゴ礁のようなもの」を作った動物がいます。それが、カイメンです。カイメンの大ざっぱな説明は、「カイメン(海綿)とは、どんな生き物?(2007/07/20)」をお読み下さい。
 最近の学説によれば、カイメンは、六億三千五百万年以上前(エディアカラ紀より前)に、すでに現れていました。その頃は、多細胞動物が現われて、間もない時代です。すばやく泳ぐ動物や、強力な武器(触手など)を持つ動物は、ほとんどいませんでした。
 この時代、カイメンは、大繁栄したと考えられています。彼らを襲う動物が、いないに等しかったからです。当時は、サンゴ礁ならぬ「カイメン礁」がありました。地球の動物で、最初に「礁」といえるものを作ったのは、カイメンではないか、といわれます。
 その後、カイメンを食べたり、カイメンと競合したりする生き物が、たくさん現われました。このため、今では大規模な「カイメン礁」は見られません。
 それでも、カイメンは今なお栄えています。熱帯から南極まで、カイメンの棲まない海はまずありません。中には、ヒト一人分ほどの大きさのカイメンもいます。六億年以上もの間、こんなに栄え続ける動物が、他にいるでしょうか? おそらくいません。
 カイメンは、地球上で最初期に現われた、多細胞動物です。かつては、カイメンに似た多細胞動物がいました。カンブリア紀の古杯動物【こはいどうぶつ】です。カイメンと同じく、大規模な「礁」を作り栄えました。しかし、五億年以上前に絶滅しました。
 このように、多くの動物が滅びてもカイメンは生き残ってきました。
 「多細胞動物の祖先とカイメンとは、近縁ではないか」という説があります(異説もあります)。カイメンは、私たちの祖先の姿を残しているのかも知れません。
 カイメンに関する最近の学説は、以下に紹介されています。

動物進化の起源は海綿動物?(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/02/06)

図鑑↓↓↓↓↓には、ザラカイメン、ダイダイイソカイメン、ツノマタカイメン、ワタトリカイメンが掲載されています。
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 過去の記事でも、カイメンを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
オーストラリアの深海で、新種発見(2009/01/22)
ウミウシは何の仲間?(2008/12/29)※ウミウシの中には、カイメンを食べるものがいます。
鼈甲【べっこう】になるだけじゃない、タイマイ(2008/06/20)※タイマイの食べ物は、カイメンです。
などです。

2009年10月 9日

ミミズは、土中の働き者

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 秋は、落ち葉の季節ですね。落ち葉は、やがて朽ちて、土になります。その過程に、ある動物が、強く関わっていることを、御存知ですか?
 農業をやっている方なら、御存知でしょう。その動物とは、ミミズです。
 ミミズは、土中に棲む生き物ですね。土の中で、何を食べているのでしょう? 落ち葉や朽ち木、小動物の遺体などです。ミミズには、口がないように見えますね。でも、ちゃんと、体の前端部分に、口があります。その口で、ぱくぱくと物を食べます。
 食べた後には、当然、糞をします。この糞が、良い腐葉土になります。繊維などがこなれて、粒が細かくなっているのですね。
 良い腐葉土があるところでは、植物がよく育ちます。植物が育てば、いろいろな動物も育ちます。ミミズがいなかったら、多くの動植物が、暮らしに困ることでしょう。
 もちろん、ヒトも、ミミズの恩恵をこうむっています。良い土がなければ、農作物ができません。「ミミズが出たら、土ができてきた証拠」と、農家の方から聞いたことがあります。ミミズは、釣りの餌になるばかりでは、ありません。
 釣りの餌にされるのは、多くが、シマミミズという種です。「ミミズに、種なんてあるの?」と、驚く人がいるかも知れませんね。実際には、たくさんの種があります。
 中でも、シマミミズは、平凡な種です。普通の人が、「ミミズ」といわれて思い浮かべる、ミミズらしい姿のミミズです。野生でも多いですが、釣り餌用に、養殖もされています。
 時おり、異様な姿のミミズが、騒がれることがありますね。「異様に長い」とか、「異様な色」といったミミズです。種によって、ミミズの姿は、いろいろです。普通の人が「異様」と感じても、それが正常な姿、という種もいます。
 例えば、シーボルトミミズという種がいます。この種の体色は、青いです。光が当たると、青緑色に輝いて見えます。しかも、体長が30cmを越えるほどになります。「大きくて、異様な色」なので、嫌いな人は、卒倒しそうになるでしょう。
 異様に見えてもミミズは、ヒトに害をなしません。御安心下さい。

図鑑↓↓↓↓↓には、シマミミズが掲載されています。
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 過去の記事でも、ミミズと同じ環形動物門【かんけいどうぶつもん】に属する生き物を取り上げています。また、ミミズと同じく土中に棲む生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ワラジムシとダンゴムシとは、どう違う?(2008/11/03)
オーストラリアのサンゴ礁で、数百の新種を発見(2008/09/25)
虫が島を壊す? ナナツバコツブムシ(2007/6/28)

2009年10月 5日

どっちがどっち? スナイソギンチャクと、スナギンチャク

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 イソギンチャク(磯巾着)は、海でよく見られる生き物ですね。
 イソギンチャクの仲間は、海の岩場に棲むことが多いです。けれども、砂や泥の海底に、いないわけではありません。例えば、スナイソギンチャク(砂磯巾着)という種は、砂底の海底に棲みます。海岸近くの浅いところでも、見ることがあります。
 スナイソギンチャクに似たものとして、ハナギンチャクの仲間があります。ハナギンチャク(花巾着)は、以前、このブログで取り上げましたね(管の中の花? ハナギンチャク(2009/4/27))スナイソギンチャクと同じく、砂や泥の海底に棲むものです。
 ハナギンチャクと、スナイソギンチャクとは、縁が遠いです。その証拠に、体の仕組みが、大きく違います。スナイソギンチャクは、体の末端に吸盤があります。それで、砂の中の石などにくっついています。ハナギンチャクには、吸盤はありません。
 スナイソギンチャクと紛らわしい生き物は、他にもいます。スナギンチャク(砂巾着)です。よーく見て下さい。スナ「イソ」ギンチャクとは、違う名前です。
 スナギンチャクも、スナイソギンチャクとは、縁が遠いです。スナギンチャクのほうは、基本的に、群体性です。サンゴのように、たくさんの個体が、集まって暮らします。
 スナギンチャクの仲間には、体に砂粒を埋め込んで、補強するものが多いです。だから、「スナ」ギンチャクです。スナ「イソ」ギンチャクと、紛らわし過ぎますよね(笑)
 スナ「イソ」ギンチャクは、イソギンチャク目【もく】に属する一種です。スナギンチャクは、スナギンチャク目【もく】に属する種の総称です。ハナギンチャクは、ハナギンチャク目【もく】に属する種の総称です。目【もく】のレベルで、分類が違います。
 普通の人は、水族館で、スナ「イソ」ギンチャクと会う機会が、多いかも知れません。スナイソギンチャクには、美しい個体が多いからです(個体ごとに、色に変異があります)。水族館では、見栄えがするのですね。私も、水族館で、見たことがあります。
 私が見た個体は、見事な蛍光ピンクでした。まるで人工物みたいでしたが、自然な色だそうです。機会があれば、ぜひ、この生物の実物を、御覧になって下さい。

図鑑には、スナイソギンチャク、スナイソギンチャクと紛らわしいヒメハナギンチャクムラサキハナギンチャクが掲載されています。ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、イソギンチャクや、イソギンチャクに似た生き物を取り上げています。また、イソギンチャクと共生するので有名なクマノミも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
管の中の花? ハナギンチャク(2009/04/27)
世界最長寿のサンゴが発見される(2009/04/04)
イソギンチャクは逆さのクラゲ?(2008/04/21)
などです。

2009年9月30日

楽しい樹洞【じゅどう】の展覧会

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 秋の行楽シーズンですね。たとえ天気が悪くても、楽しめる催しがあります。神奈川県小田原市で開催中の『木の洞【うろ】をのぞいてみたら』も、その一つです。
 これは、生命の星・地球博物館で開催されている特別展です。『樹洞の生きものたち』という副題が付いています。
 樹洞【じゅどう】とは、木に開いた穴のことです。木が病気になったり、動物に掘られたりして開いたものです。木の洞【うろ】とも呼ばれます。
 樹洞には、思われている以上に、たくさんの生き物が棲みます。この展覧会では、その様子を、わかりやすく紹介しています。
 まず、博物館の入口に、大きな材木が置かれています。会場の真ん中にも、大きい材木があります。これは、本物の樹洞そのものを展示しています。
 会場内の材木には、触ることができます。実物の樹洞を、覗【のぞ】きこむこともできます。ぜひ、触って、覗いて、樹洞がどんなものか実感して下さい。
 会場の展示ケースは、なんと、多くの部分が覆われていて見えません(!)少しだけ、ガラスケースが見える部分があります。ちょうど、樹洞を覗くように、展示ケースを覗くためです。樹洞で暮らす生き物を、覗いている気分になれます。
 樹洞を利用する生き物のうち、あまり知られないものも紹介されています。
 例えば、アイフィンガーガエルというカエルです。このカエルは、樹洞にたまった水たまりにしか、産卵しません。幼生(おたまじゃくし)は、みな樹洞で育ちます。
 また、コブナシコブスジコガネという、昆虫の一種がいます。「コブナシ(瘤無し)」なのに「コブスジ(瘤筋)」の「コガネ」ムシという、名前からしておかしいですね。コブスジコガネ科の一種で、瘤【こぶ】がないことから、こんな種名が付きました。
 コブナシコブスジコガネは、つい最近まで、どこに棲むのかわかっていませんでした。じつは、「ある条件の樹洞に棲む」とわかったそうです。その樹洞とは......ぜひ、展覧会へ行って、確かめてみて下さい。

 特別展『木の洞【うろ】をのぞいてみたら』の情報は、以下のページに載っています。
木の洞をのぞいてみたら―樹洞のいきものたち―(生命の星・地球博物館のサイト内)


図鑑↓↓↓↓↓には、リスの仲間、キツツキの仲間など樹洞に棲む生き物が掲載されています。
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2009年9月25日

貝類は、昔、ミミズだった? カセミミズ

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 海の生き物の中で、貝類は、ヒトと関わりが深いですね。二枚貝も、巻貝も、たくさんの種が、食用にされます。日本人で、アサリやアワビを知らない人は、いないでしょう。
 貝類は、進化の最初の段階から、貝殻を持っていたのでしょうか? どうやら、違うようです。貝類の祖先は、殻を持たなかったと考えられています。
 「貝類の祖先に、姿が似るのでは」とされる生き物がいます。カセミミズの仲間です。カセミミズは、以前、このブログで取り上げましたね(海中のミミズ? カセミミズ(2006/8/8)) 名のとおり、外見は、ミミズに似ます。細長い体を持ちます。
 カセミミズの分類には、変遷があります。ずっと昔は、本物のミミズなどと一緒くたにされていました。その後、貝類と共通点があることがわかり、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】に入れられました。
 軟体動物門は、とても大きなグループです。カセミミズや、二枚貝、巻貝の他に、イカやタコの仲間も入ります。あまりにも多様な種が属するので、分類が混乱しがちです。
 軟体動物門の中に、ケハダウミヒモと呼ばれる生き物がいます。カセミミズと同じく、殻を持たないミミズ状です。軟体動物の中でも、ケハダウミヒモとカセミミズとは、近縁だと思われてきました。そのため、同じ無板綱【むばんこう】というグループに、入れられてきました。ところが、最近、「この分類は違うらしい」と、わかってきました。
 現在では、両者は、違う綱【こう】に分類されることが多いです。カセミミズは、軟体動物門の中の溝腹綱【こうふくこう】です。ケハダウミヒモは、軟体動物門の中の尾腔綱【びこうこう】です。綱という上位のレベルで、分類が違うのですね。
 カセミミズと、ケハダウミヒモと、どちらがより軟体動物の祖先に近いのかは、わかっていません。どちらのグループも、研究が進んでいないからです。どこにどれだけ棲むのかを調べるのさえ、難しいです。海底の砂や泥に、潜っている種が多いためです。
 二〇〇八年に、尾腔綱としては、世界最大と思われる種が発表されました。メキシコ湾の深海産です。尾腔綱や溝腹綱の秘密は、深海にあるかも知れませんね。

 世界最大の尾腔綱【びこうこう】のニュースは、以下に載っています。(ニュース記事では、尾腔亜綱【びこうあこう】となっています。この分類は、ケハダウミヒモの仲間を、無板綱【むばんこう】尾腔亜綱に分類した学説によったのでしょう)
深海生物の新種――世界最大の尾腔亜綱(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/11/10)


図鑑↓↓↓↓↓には、カセミミズ―最近の分類では、溝腹綱【こうふくこう】とされます―掲載されています。
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 過去の記事でも、カセミミズや、生物の分類について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
亜目や亜科の「亜」とは、なに?(2009/08/28)
生物分類の、目【もく】や科とは、なに?(2009/08/12)
海中のミミズ? カセミミズ(2006/08/08)
などです。

2009年9月13日

トゲモミジガイ

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トゲモミジガイ 画像
和名:トゲモミジガイ 
学名:Astropecten polyacanthus
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

神奈川県 三浦半島【2009.08】

図鑑↓↓↓↓↓には、トゲモミジガイが掲載されています。
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2009年8月28日

亜目や亜科の「亜」とは、なに?

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 以前、このブログで、生物の分類について、説明しましたね(生物分類の、目【もく】や科とは、なに?(09/08/12))。今回は、その時、説明しきれなかった部分を説明しましょう。
 生物を調べていると、時おり、亜目【あもく】や亜科【あか】といった分類単位が出てきます。下目【かもく】、上目【じょうもく】、上科【じょうか】などが、出てくることもあります。これらは、どういう分類単位でしょうか? 
 まず、「亜」を説明しましょう。例えば、亜目といった場合、「目【もく】を分けるほどの差はないけれど、複数の科を含むグループ」です。要するに、「一つ下の分類単位より、少しだけ大きい分類単位」に、「亜」が付くと思って下さい。
 次に、「下」です。例えば、「下目」は、「目【もく】を分けるほどの差はないけれど、複数の科を含んでいて、亜目より小さいグループ」です。大きさ順に並べれば、亜目>下目です。「亜」と「下」は、紛らわしいですね。正直に言えば、私も、「亜」と「下」の差は、よくわかりません(笑)
 では、「上」は? 例えば「上科」といった場合は、「複数の科をまとめたグループで、目【もく】を分けるほどの差がないもの」です。
 これだと、一つ上の分類単位と、重なりそうですね。例えば、「上科」と「下目」があったら、どちらが大きいグループでしょうか?
 答えは、「下目のほうが、上科より大きい」です。実例を挙げてみましょう。
 セミエビというエビの一種がいます。この種の分類を、詳しく書くとこうなります。

節足動物門【せっそくどうぶつもん】
 甲殻亜門【こうかくあもん】
  軟甲綱【なんこうこう】
   真軟甲亜綱【しんなんこうあこう】
    ホンエビ上目【じょうもく】
     十脚目【じっきゃくもく】
      抱卵亜目【ほうらんあもく】
       イセエビ下目【かもく】
        イセエビ上科【じょうか】
         セミエビ科
          セミエビ亜科【あか】
           セミエビ属
            セミエビ

 こんなややこしい分類なのは、節足動物門に、たいへん多様な種が含まれるためです。落語の『寿限無【じゅげむ】』みたいですね(笑)



図鑑↓↓↓↓↓では、目【もく】や科【か】などの分類単位でも、生物を検索することができます。例に挙げたセミエビも掲載されています。
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 過去の記事でも、生物の分類について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
学名で分類がわかるって、本当?(20009/08/17)
チョウ(蝶)はチョウ目【もく】? 鱗翅目【りんしもく】?(2008/07/22)
ホヤは脊索【せきさく】動物? 原索【げんさく】動物?(2007/08/28)
などです。

2009年8月21日

イソガニとイワガニ、どっちがどっち?

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 生き物の中には、紛らわしい名前のものがいますね。例えば、カニの仲間に、イソガニ(磯蟹)という種とイワガニ(岩蟹)という種がいます。
 この二種は、棲む場所もほぼ同じです。どちらも、岩の多い海岸に棲みます。岩礁や磯などと呼ばれる場所ですね。水中から出て歩くことがあるのも、同じです。両種とも、日本では平凡な種です。カニの中では、海水浴で会う可能性が高いです。
 おまけに、この二種は、姿も似ています。どちらも、普通のカニらしい姿です。大きさは、両種とも、甲長(甲羅の幅)3cm~5cmくらいです。体色は、どちらの種も、緑がかった褐色です。イソガニのほうが、明るい色合いのことが、多いです。
 イソガニとイワガニは、近縁なのでしょうか? 生物の世界では、外見がそっくりでも、遠縁のものがよくいますね。
 この二種は実際に近縁です。両種とも、イワガニ科に属します。イソガニは、イワガニ科の中のイソガニ属に、イワガニは、イワガニ科のイワガニ属に属します。
 こんなに似たところだらけでは、区別ができませんね。普通の人が区別するには、図鑑と首っぴきになる必要があるでしょう。
 この二種には、一つ決定的な差があります。外見のことではありません。分布のことです。じつは、イワガニのほうは、後から日本に来ました。外来種です。
 日本のイワガニの故郷は、北米と考えられています。今では、イワガニは、日本中の磯で見られます。日本在来種のイソガニと、仲良く?やっているようです。
 面白いことに、北米では、イソガニとイワガニの立場が逆転しています。もともと、イワガニがいたところへ日本から、イソガニが入りました。今のところは、北米の海岸でも、あまり問題なく、共存しているようです。
 日本のイワガニも北米のイソガニもたくましいですね。ここまで広まってしまうと、外来種として駆除するのは、無理だと思います。駆除を考えるより、彼らの生態を観察するほうが有意義でしょう。夏休みの自由研究にも、ちょうどいいですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、イソガニもイワガニも、掲載されています。
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 過去の記事でも、カニの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
シオマネキは、潮を招く?(2009/06/01)
スベスベマンジュウガニの名の由来は?(2008/8/18)
毛蟹【けがに】は、なぜ毛だらけ?(2007/11/30)
夫婦なのに名が違う?ズワイガニとコウバコガニ(2005/11/11)
などです。

2009年8月20日

地球と宇宙の環境科学展、お知らせ

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 夏休みの催しを、また一つ、見に行ってきました。『消えた生き物の謎と秘密』というものです。『地球と宇宙の環境科学展』という副題が付いています。東京のお台場近くの、日本科学未来館で、開催中です。
 この展覧会は、まず、地球の歴史をざっと振り返ります。その過程で、これまで地球に繁栄した生き物をいくつか紹介しています。
 古いところでは、今から六億年ほども昔の生物が解説されています。エディアカラ生物群と呼ばれる生物たちです。これの少し後に、有名なバージェス動物群が登場します。カンブリア紀(約五億四千五百万年前~約五億五百万年前)最強の動物とされるアノマロカリスが、巨大なロボットになって再現されています。
 その後には、海にしかいなかった生物が陸に上がったことが解説されています。そして、恐竜の登場と絶滅です。恐竜の代表として、ヴェロキラプトルとティラノサウルスのロボットが、迫力ある姿を見せてくれます。触れる化石もあります。
 現代に生きる生物たちも、たくさん紹介されています。アマミノクロウサギやツシマヤマネコの剥製【はくせい】標本があります。これらは、生きた姿を見るのが難しいですね。標本でも見られるのは幸運です。
 会場には、たくさんの解説板があります。すべての解説を読むと、かなり時間がかかります。解説をじっくり読みたい方は、時間に余裕を持って行きましょう。
 また、会場では、映像も多用されています。どれも興味深いので、つい、足を止めてしまいます。でも、これらの映像は、一つ一つが長いです。こちらも、うっかりすると時間が足りなくなります。「解説は苦手、映像だけ見たい」という方も、やはり時間には余裕を持ちましょう。
 個人的には、ヒトが滅ぼした生物の紹介に心を打たれました。「もう、彼らには会えないのか」と思うと、悲しくなります。絶滅鳥のドードーの模型など、よくできているだけに悲劇が際立ちます。「こんな悲劇を繰り返してはいけない」と、考えさせられました。

 展覧会『消えた生き物の謎と秘密』は、以下に公式サイトがあります。
~地球と宇宙の環境科学展~ 消えた生き物の謎と秘密

 過去の記事でも、夏休みのイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
写真展、昆虫4億年の旅(2009/07/22)

図鑑↓↓↓↓↓には、日本の生き物が、千八百種以上掲載されています。
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2009年8月 9日

ヒダリマキマイマイとセイヨウミツバチ

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ヒダリマキマイマイとセイヨウミツバチ 画像
和名:ヒダリマキマイマイ
学名:Euhadra quaesita
和名:セイヨウミツバチ
学名:Apis mellifera
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

東京 新宿区 【2006.08.25】

図鑑↓↓↓↓↓には、ヒダリマキマイマイとセイヨウミツバチが掲載されています。
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2009年7月27日

泳がないクラゲがいる?

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 クラゲといえば、普通は、「海を漂うもの」ですね。正確には、漂うように見えても、ちゃんと泳いでいます。意外に、遊泳力は強いです。
 ところが、中には、泳がないクラゲもいます。では、どうするのでしょう? たいていの「泳がないクラゲ」は、海藻などにしがみつきます。海底に横たわるものもいます。
 泳がないクラゲの代表は、十文字クラゲ綱【こう】十文字クラゲ目【もく】の種です。ササキクラゲ、ジュウモンジクラゲ、ヒガサクラゲ、ムシクラゲなどの種がいます。
 この仲間は、泳ぎたくても泳げません。柄【え】に当たる部分があって、そこで海藻などに付きます。種名にもあるとおり、日傘や、植物の花のように見えます。ただし、大きさは、小さいです。ほとんどの種が、1cmか2cmしかありません。
 以前、十文字クラゲ目【もく】は、鉢虫綱【はちむしこう】に属するとされました。しかし、その特殊さから、独自の十文字クラゲ綱【こう】に分類されるようになりました。
 泳がないクラゲは、十文字クラゲ綱以外にもいます。例えば、ヒドロ虫綱【こう】の種です。エダアシクラゲ、カギノテクラゲ、ハイクラゲなどです。
 これらの種のうち、エダアシクラゲと、カギノテクラゲは、泳ぐことができます。両種とも、普段は、海藻などに付いています。ハイクラゲは、這うだけで、泳げません。
 けれども、分類上は、エダアシクラゲとハイクラゲとが近縁です。同じヒドロ虫綱【こう】花クラゲ目【もく】に属します。カギノテクラゲは、ヒドロ虫綱【こう】淡水クラゲ目【もく】に属します。淡水クラゲという名ですが、海に棲みます。
 カギノテクラゲは、ヒトを刺します。厄介なことに、毒は強烈です。海中で「ちくり」とした後、咳、鼻水、筋肉痛、悪寒などの症状が出たら、このクラゲに刺されたのかも知れません。そうなったら、すぐ水から出て下さいね。
 カギノテクラゲを、恐れすぎることはありません。彼らは、普段は泳がないからです。海藻の茂みなどには、素肌のまま、入らないようにしましょう。
 多くのクラゲは、ヒトには無害です。夏には、ぜひ、海の自然に親しんで下さい。


図鑑↓↓↓↓↓には、泳がないクラゲの一種、カギノテクラゲが掲載されています。
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 過去の記事でも、クラゲを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
美しい日本固有種、カミクラゲ(2009/03/13)
生物学で大活躍、オワンクラゲ(2008/08/04)
淡水にもクラゲがいる?(2007/08/06)
などです。

2009年7月22日

写真展、昆虫4億年の旅

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 夏休みは、生き物関係のイベントがいっぱいですね。そんなイベントの一つに、行ってまいりました。写真家の今森光彦さんの写真展です。静岡市の静岡アートギャラリーで開催中の、『昆虫4億年の旅』です。
 今森さんは、昆虫の写真を撮らせたら、世界でも五指に入る写真家ではないでしょうか。
 今森光彦というお名前を知らなくても、日本人なら、今森さんのフンコロガシ(タマオシコガネ)の写真を、一度は見ていると思います。たいへん克明に、わかりやすく、生態を写した写真だからです。今森さんの写真集『スカラベ』は、衝撃的でした。
 他にも、今森さんは、多くの写真集を発表してらっしゃいます。今回の展覧会では、主に、『昆虫記』と『世界昆虫記』と二つの写真集からの作品を紹介しています。
 展覧会で見る写真は、写真集で見るものとは一味違います。何しろ、大きさが違います。普通は、縦横の長さが1mを越える写真なんて、見る機会がありませんよね?
 大画面で見る昆虫たちは、大迫力です。昆虫たちが、いかに巧みに自然環境に溶け込んでいるかよくわかります。私のお気に入りの作品を、いくつか挙げてみますね。
 一つは、ラフレシアという花の内側から撮った写真です。自分が昆虫になって、花の内側から外を覗いているかのようです。ラフレシアは、世界最大の花といわれる植物です。が、それでも、花の内側に入った視点は、写真ならではですね。
 もう一つは、鳥のハチドリと昆虫のアシナガバチが、並んで飛んでいる写真です。これは、花の蜜を取り合っている状態なのだそうです。ヘリコニアという花の蜜です。
 ハチドリは、最小の鳥類といわれますね。とはいえ、アシナガバチよりは、一回り大きいです。でも、花の蜜という食物は、同じです。まったく類縁の離れた生き物同士が、同じ場所で、同じ食物を争っています。その様子に、自然の妙味を感じました。
 そのほか、奇妙な姿をしたクモの写真や背景に紛れて見つけるのに苦労するバッタなど、面白い写真がたくさんあります。大人が見ても、子供が見ても、楽しめる展覧会です。お近くの方は、ぜひお運び下さい。


図鑑↓↓↓↓↓には、日本の昆虫が、四百種ほど掲載されています。
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 展覧会の様子は、以下のページに載っています。
今森光彦写真展 昆虫4億年の旅(静岡アートギャラリーのサイト内)

 今森さんの公式ウェブサイトもあります。
今森光彦ワールド

2009年7月20日

タコ(蛸)にも「手足」がある?

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 海開きの季節ですね。海水浴は、自然に親しめる、良い遊びだと思います。
 岩礁のある海岸では、タコに会えるかも知れません。タコは、岩陰などに隠れて棲むのが、普通だからです。もしも会えたら、そっと観察してみましょう。
 日本では、タコは、よく食用にされますね。そのわりに、謎が多い生き物です。例えば、最近、「タコは二本脚【にほんあし】だった」という研究結果が、発表されました。
 タコといえば、八本脚【はっぽんあし】が常識ですね。専門的には、タコのあの触手は、腕【うで】と呼ばれます。なぜ、それが「二本脚」なのでしょうか?
 じつは、タコは、八本の腕を、すべて同じように使うのではありません。八本のうち、主に二本だけを使って、海底を歩きます。残りの六本は、ヒトの手のように使います。「手足」を使い分けるのですね。だから、「二本脚」です。
 この研究は、ヨーロッパのいくつかの水族館が、共同で行ないました。飼育されているタコを、2000例も、観察した結果だそうです。
 海や水族館で、タコに会えたら、どのように腕を使うのか、観察してみたいですね。運が良ければ、「二本脚」で歩くところが、見られるかも知れません。
 観察する際には、あまり触らないようにしましょう。タコが驚いてしまうからです。もう一つ、触らないほうがいい理由があります。種によっては、危険だからです。
 ほとんどのタコは、ヒトには無害です。やたらに恐れる必要は、ありません。けれども、中には、危険な種がいます。有名なのは、ヒョウモンダコという種です。
 ヒョウモンダコは、積極的には、ヒトを襲いません。防御のために、毒を使います。この毒が、ヒトを倒すほど、強力です。この仲間のタコには、決して触らないことです。
 ヒョウモンダコの仲間は、日本の近海にも分布します。他のタコとの区別は、容易です。特徴的な模様があるためです。その模様とは、青い輪の模様です。
 普段のヒョウモンダコは、目立たない色です。危険を感じると、青い輪の模様が、輝くように現われます。このようなタコを見たら、手を出さないようにしましょう。


 「二本脚で歩くタコ」のニュースは、以下にあります。
タコは実際には2本足? 残りの6本は手だった(technobahn 2008/08/17)



図鑑↓↓↓↓↓には、ヒョウモンダコをはじめ、五種のタコが掲載されています。
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 過去の記事でも、タコを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
六本脚【あし】のタコ(蛸)がいる?(2008/03/08)
シマダコは、縞ダコか島ダコか?(2008/03/03)
タコ(蛸)の旬【しゅん】は冬か夏か?(2007/02/19)
などです。

2009年6月22日

光るイカは、ホタルイカだけじゃない?

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 深海生物には、光るものが多いですね。深海では、光ると、良いことがあるからです。以前、このブログで書きましたね(ホタルイカはなぜ光る?(2007/04/12)
 海の生き物には、深海に棲まないのに、光るものもいます。それらの中から、今回は、ミミイカを取り上げてみましょう。浅い海に棲むのに、光るイカ(烏賊)です。
 ミミイカの体長は、5cmほどしかありません。でも、食べられます。日本近海で、漁獲されています。けれども、魚屋さんでは、あまり見ません。
 ミミイカは、胴体に付くひれ(えんぺら)が、耳のようです。だから「耳イカ」です。胴体は、丸っこいです。その外見から、ダンゴ(団子)イカと呼ばれることがあります。
 しかし、ミミイカとは別に、正式名称を「ダンゴイカ」というイカがいます。ミミイカと、外見がそっくりです。しかも、同じダンゴイカ目【もく】ダンゴイカ科に属します。ただし、ミミイカはダンゴイカ科ミミイカ属で、ダンゴイカはダンゴイカ属です。
 前記のとおり、ミミイカは、光ります。ホタルイカとは違い、自力で光るのではありません。光るバクテリア(細菌)の力を借りています。体の中に、光るバクテリアを棲ませています。ホタルイカは、自力で発光する器官を持っています。
 ミミイカが光るのは、「自分の影を消して、敵から逃れるため」と考えられています。
 ミミイカの仲間は、重要な生物の研究に使われています。ラテン語の学名を、Euprymna scolopesという種です。この種の日本語名は、ありません。日本近海のミミイカと同じく、ダンゴイカ科ミミイカ属に属します。ハワイ近海などに分布します。
 Euprymna scolopesは、ラテン語の学名をVibrio fischeriというバクテリアと、共生します。このバクテリアは、光るかわりに、イカから栄養をもらっています。
 この二者が、どのように共生しているのかを知れば、人間の役に立つ可能性があります。ヒトに害をなすバクテリアを、無害化する方法が、わかるかも知れないからです。
 光る生物の研究では、オワンクラゲが有名になりましたね。直接、役に立たないとしても、光る生物の研究には、夢があると思います。


 ハワイ近海のミミイカの一種Euprymna scolopesについては、以下のニュースに載っています。
発光するイカ、特効薬のカギを握るか(AFPBBニュース 2009/02/03)


図鑑↓↓↓↓↓には、ミミイカが掲載されています。
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 過去の記事でも、イカの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海中を泳ぐ槍【やり】? ヤリイカ(2008/02/18)
深海のイカ、続々と生態を解明中(2007/02/23)
コウイカとヤリイカはどう違う?(2006/11/10)
などです。

2009年6月 1日

シオマネキは、潮を招く?

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 外遊びに、良い気候になりましたね。海や山へ、お出かけする方もいるでしょう。今回は、海で見かける生き物を、取り上げますね。
 シオマネキと呼ばれるカニがいます。カニ(蟹)の仲間で、スナガニ科シオマネキ属に属する種が、シオマネキと総称されます。砂浜や、泥の干潟に棲むカニです。
 ややこしいことに、単に「シオマネキ」という種名のカニもいます。シオマネキ属の代表といえる種です。この種は、中部地方以南の海岸に、広く分布します。
 シオマネキを、漢字で書けば「潮招き」です。なぜ、こんな名が付いたのでしょうか?
 シオマネキ属のカニが、潮を招くような動作をするからです。この動作は、雄(オス)だけが行ないます。「おいでおいで」をするように、片方のはさみを振ります。
 シオマネキ属の雄は、片方のはさみだけが、異常に大きくなります。大きいほうのはさみを、振ります。これは、雄が、雌(メス)に求愛する動作です。
 招くのは、潮ではなくて、雌なのですね。雌のはさみは、両方とも普通の大きさです。このような特徴があるため、シオマネキ属は、雄と雌との区別が簡単です。
 雄のはさみは、右と左と、どちらが大きくなるのでしょうか? これは、決まっていないようです。同じ種の中でも、右のものと左のものとがいます。
 じつは、シオマネキ属の雄にとって、大きなはさみは、厄介【やっかい】ものです。大き過ぎて、器用に使えないからです。普段、餌を食べる時などは、小さいほうのはさみだけを使います。大きなはさみは、雌にアピールするためだけに、発達しています。
 これは、クジャクの雄の飾り羽根などと、同じですね。雌への求愛のため、普通なら邪魔なものを、発達させました。それだけ、求愛とは、大事なことなのでしょう。
 シオマネキ属の中に、ハクセンシオマネキ(白扇潮招き)という種がいます。「白い扇で潮を招く」という意味です。白いはさみを振る様子を、扇に見立てたわけです。
 ちょっと長いですが、優雅な名前ですよね。生物の特徴も、ちゃんと表わしています。これが正式な種名なんて、素敵です。こんな種名が増えたらいいのに、と思います。



図鑑↓↓↓↓↓には、シオマネキ属のシオマネキとハクセンシオマネキが掲載されています。
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 過去の記事でも、カニの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
タカアシガニは、世界最大のカニ?(2009/01/30)
目高蟹【めだかがに】とは、ツノメガニ?(2008/7/7)
バトル【ハクセンシオマネキ】(2007/06/03)
夫婦なのに名が違う?ズワイガニとコウバコガニ(2005/11/11)
などです。

2009年4月27日

管の中の花? ハナギンチャク

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 陸では、花が一番多い季節ですね。海の中にも、「花」が咲いています。
 海中の「花」は、ハナギンチャクという生き物です。漢字で書けば、「花巾着」です。名前から想像されるとおり、イソギンチャク(磯巾着)の仲間です。
 海中のイソギンチャクは、植物の花のようですね。触手が、花びらのようで、美しいです。英語で、イソギンチャクを、sea anemone(海のアネモネ)と呼ぶほどです。
 けれども、イソギンチャクの仲間は、植物ではなく、動物です。おおむね、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】花虫綱【はなむしこう、または、かちゅうこう】イソギンチャク目【もく】に属するものを、イソギンチャクと呼びます。
 ハナギンチャクの外見は、イソギンチャクにそっくりです。しかし、分類上は、意外に遠縁です。花虫綱のハナギンチャク目【もく】に属します。
 ハナギンチャクと、イソギンチャクとは、どう違うのでしょう?
 主な違いは、ハナギンチャクが、「管の中に棲む」ことです。このために、ハナギンチャクは、英語で、tube anemone(管のアネモネ)などと呼ばれます。
 ハナギンチャクは、泥や砂の海底に棲みます。泥や砂に穴を掘り、そこに管を作ります。その管から、花のように、触手を出します。驚くと、管の中に引っ込みます。
 イソギンチャクは、管を持ちませんね。海底の石など、硬い所に、直接くっつきます。くっつくために、イソギンチャクの体には、吸盤があります。触手のあるのとは反対側の、体の後端が、吸盤です。ハナギンチャクには、この吸盤がありません。
 日本の近海には、ムラサキハナギンチャクと、ヒメハナギンチャクという、二種のハナギンチャクが多いです。どちらも、色彩の変異が多く、華やかな種です。
 紛らわしいことに、イソギンチャクにも、泥底や砂底に棲むものがいます。スナイソギンチャクなどです。それらのイソギンチャクは、泥や砂の中の小石などに、吸盤でくっついています。「管がない」ことが、ハナギンチャクとの違いです。
 イソギンチャクの仲間の分類は、難しいです。この話は、別の機会にしましょう。



図鑑↓↓↓↓↓には、ヒメハナギンチャク、ムラサキハナギンチャクが掲載されています。また、ハナギンチャクと紛らわしいスナイソギンチャクも載っています。
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 過去の記事でも、イソギンチャクの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 イソギンチャクは逆さのクラゲ?(2008/04/21)
 クラゲは刺胞【しほう】動物? 腔腸【こうちょう】動物?(2007/08/24)
 海藻【かいそう】? いいえ、イラモはクラゲです(2007/07/16)などです。


2009年4月 4日

世界最長寿のサンゴが発見される

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 海中生物のびっくりニュースが届きました。ハワイの深海からです。そこに棲むサンゴの一種が、四千年以上も生きているらしい、とわかりました。
 そこは、約366mの深さです。この深さでは、太陽の光は、あまり届きません。ですから、そこに棲むサンゴは、明るい浅海に棲むのとは、違う種です。
 調査チームは、そのサンゴの一部を、研究のために引き揚げました。引き揚げられたのは、レイオパテスLeiopathes属の一種と、ゲラルディアGerardia属の一種です。
 調査チームが、両種の年齢を調べました。その結果、レイオパテス属のほうは、なんと4265歳だと判明しました。ゲラルディア属のほうは、2742歳だそうです。
 レイオパテス属のほうは、海中生物としては、知られる限り、最長寿です。ただし、サンゴは、一個体ではなく、たくさんの個体がつながった群体生物です。このため、一個体として最長寿とは、言えません。「群体として最長寿」です。
 レイオパテス属も、ゲラルディア属も、研究があまり進んでいません。どのグループに分類されるのかにも、議論があります。
 レイオパテス属のほうは、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】花虫綱【はなむしこう】六放サンゴ亜綱【ろっぽうさんごあこう】ツノサンゴ目【もく】に属するようです。ゲラルディア属のほうは、六放サンゴ亜綱までは、レイオパテス属と同じです。しかし、目【もく】以下の分類は、違います。スナギンチャク目【もく】というのが、有力な説です。
 厳密に言えば、ゲラルディア属は、サンゴではありません。かといって、イソギンチャクでもありません。「スナギンチャク」という、独自のグループです。
 レイオパテス属と、ゲラルディア属は、どちらも、宝石のサンゴとして使われることがあります。レイオパテス属のほうは、通称、黒サンゴと呼ばれます。ゲラルディア属のほうは、通称、金サンゴです。両方とも、ハワイの深海から、捕られています。
 ということは、数千年も生き延びたものが、宝石にされた可能性もありますね。人間は、少し、欲を控えたほうが、いいかも知れません。

 「最長寿のサンゴ」のニュースは、以下にあります。載っている画像は、通称gold coralと呼ばれるゲラルディア属のものです。 
調べてみたらなんと4000歳、ハワイで長寿世界一の海中生物を発見(technobahn 2009/03/30)
 より詳しいニュース記事が、以下にあります。ただし、英文です。
Oldest Sea Creatures Have Been Alive 4,000 Years(LiveScience 2009/ 3/23)

2009年3月27日

パプア・ニューギニアで、五十以上の新種を発見か?




 またもや、新種発見のニュースです。今度は、パプア・ニューギニアが舞台です。大ざっぱに見積もって、50以上の新種が発見されました。
 新種の数は、まだはっきりしません。調査が途中だからです。
 以下に、新種と思われる生物を挙げましょう。どの種も日本語名はありません。以下に示すアルファベットの種名はすべて、ラテン語の学名です。
 無脊椎動物でハエトリグモの仲間が、何種か発見されています。中には、変わった姿の種もいます。アリ(蟻)にそっくりなのです。Cucudeta zabkaiという種です。
 Cucudeta zabkaiは、新種というだけでなく、新属でもあります。属とは、種より一段階、上の分類グループです。分類グループそのものが、生物学上、知られていなかったということですね。クモの中のハエトリグモ科では、Cucudeta属以外に、Tabuina属とYamangalea属も新たに発見されました。
 両生類では、カエルの仲間が発見されています。アマガエル科のアミメアマガエル属やミナミアマガエル属(アメガエル属)で、新種らしき種が見つかりました。ヒメアマガエル科のOreophryne属(コノマヒメアマガエル属)でも、新種が見つかりました。
 Oreophryne属のカエルは、独特の生態で知られます。卵から、いきなりカエルの姿で産まれます。おたまじゃくしになりません。今回の新種も、そうだと考えられます。
 爬虫類では、ヤモリの新種らしき種が発見されました。ヤモリ科ホソユビヤモリ属の一種です。この種には、鋭い爪があるそうです。ヤモリとしては、珍しい特徴です。普通のヤモリには、鋭い爪のかわりに、指下板【しかばん】という吸盤状のものがあります。
 植物では、Hypserpa calcicolaや、Kairoa endressianaが発見されました。Hypserpaのほうは、ツヅラフジ科Hypserpa属の新種です。つる植物です。Kairoaのほうは、モニミア科Kairoa属に属します。低木になる植物です。
 ここに挙げた種名や分類は、今後、変わる可能性もあります。調査が進めば、新しいことがわかってくるからです。この後の報告が楽しみですね。


 パプア・ニューギニアの新種のニュースは、以下にあります。
パプアニューギニア、アマガエルの新種(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/03/25) ※アミメアマガエル属の新種の画像があります。
パプアニューギニア、クモの新種(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/03/25) ※Orthrus属のハエトリグモの新種の画像があります。
新種生物56種、パプアニューギニアの原生林で発見(AFPBBニュース 2009/03/26) ※Oreophryne属の新種カエルの画像付きです。
新種生物56種、パプアニューギニアの原生林で発見(AFPBBニュース 2009/03/26) ※ホソユビヤモリ属の新種の画像付きです。


 新種の画像をもっと見たい方は、以下のページを御覧下さい。※解説は英語です。
新属新種のハエトリグモTabuina varirata(コンサベーション・インターナショナル)
新属新種のハエトリグモTabuina rufa(コンサベーション・インターナショナル)
Uroballus属の新種のハエトリグモ(コンサベーション・インターナショナル)
新属新種のハエトリグモCucudeta zabkai(コンサベーション・インターナショナル)
新属新種のハエトリグモYamangalea frewana(コンサベーション・インターナショナル)
ミナミアマガエル属(アメガエル属)の新種(コンサベーション・インターナショナル)
ツヅラフジ科の新種の植物Hypserpa calcicola(コンサベーション・インターナショナル)
モニミア科の新種の植物Kairoa endressiana(コンサベーション・インターナショナル)


図鑑↓↓↓↓↓には、動物・植物約1,800種が掲載されています。
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 過去の記事でも、パプア・ニューギニアで発見された新種を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ネットで、知りたいことを上手に知るには? 上級編(2008/07/28)
楽園の鳥の楽園? インドネシアのパプア州とパプア・ニューギニア(2006/02/9)


2009年3月25日

オーストラリアで、十九の新種を発見

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 新種発見のニュースです。オーストラリアで、昆虫を含む無脊椎動物の新種が、まとめて発見されました。その多くが、西オーストラリア州に産します。
 発見された種の分類グループは、以下のとおりです。クモとそれに近縁な節足動物【せっそくどうぶつ】が11種、甲殻類【こうかくるい】(エビやカニの仲間)が3種、昆虫が2種、軟体動物【なんたいどうぶつ】が1種、蠕虫【ぜんちゅう】が1種、海綿動物【かいめんどうぶつ】が1種です。
 軟体動物と蠕虫と海綿動物については、詳しい報道がありません。ここでは、残りの節足動物と甲殻類と昆虫について書きましょう。
 今回、発見された種には、どれも、日本語名は付いていません。ラテン語の学名が付いています。以下に挙げるアルファベットの種名は、ラテン語の学名です。
 クモでは、Hickmanolobus linnaeiMicropholcomma linnaeiといった種が、見つかっています。この二種は、どちらもとても小さなクモです。
 クモに近縁な節足動物では、カニムシの仲間が、見つかりました。クモ綱【こう】のうち、カニムシ目【もく】に属する生き物です。この仲間は、一見、サソリに似ます。サソリのような鋏【はさみ】を持ちます。けれども、毒針のある尾を持ちません。
 甲殻類では、ヨコエビの仲間が発見されました。ヨコ「エビ」といっても、普通のエビとは違います。甲殻亜門【こうかくあもん】軟甲綱【なんこうこう】端脚目【たんきゃくもく】に属する生き物です。普通のエビは、軟甲綱の十脚目【じっきゃくもく】です。
 新種のヨコエビには、眼がありません。地下の川に棲むからです。
 昆虫では、ベッコウバチの仲間とヨコバイの仲間が発見されています。ベッコウバチは、クモを狩るハチとして有名ですね。ヨコバイの仲間は、植物食です。植物の上で、横に歩いたり、跳ねたりするので、ヨコバイと名づけられました。
 このようなニュースに接すると、「生物の世界は無限だな」と思います。まだまだ、多様な生き物が発見されずにいるのでしょうね。


 オーストラリアの新種のニュースは、以下にあります。新種のベッコウバチの画像付きです。
西オーストラリアで19種の新種を発見(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/03/10)
 以下のページで、新種の画像がいくつか見られます。※解説は英語です。
新種のクモHickmanolobus linnaeiの画像(National Geographic News)
新種のクモMicropholcomma linnaeiの画像(National Geographic News)
新種のカニムシの画像(National Geographic News)
新種のヨコエビ(甲殻類)の画像(National Geographic News)
新種のヨコバイ(昆虫)の画像(National Geographic News)



図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布するクモが九種ほど掲載されています。ベッコウバチ科やヨコバイ科の昆虫も、載っています。
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 過去の記事でも、オーストラリアの新種を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
オーストラリアの深海で、新種発見(2009/01/22)
百種を越える魚類が発見される(2008/09/30)
オーストラリアのサンゴ礁で、数百の新種を発見(2008/09/25)
などです。

2009年3月13日

美しい日本固有種、カミクラゲ

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 風はまだ冷たくても、春ですね。海の中にも、春が来ています。
 春、日本近海で、よく見られるクラゲがいます。カミクラゲという種です。
 「春にクラゲ?」と思う方がいるでしょう。クラゲは、夏に出現するものばかりではありません。どこの海域でも、一年中、何がしかのクラゲがいます。
 現われるクラゲの種は、海域や、季節により違います。カミクラゲは、日本近海に固有の種だといわれます。主に、春に見られます。夏には、消えてしまいます。
 カミクラゲの形は、笠のような、いわゆる「クラゲ型」ではありません。やや細長い球形です。ゼリー状で、軟らかく、透明なところは、他のクラゲと同じです。
 カミクラゲの特徴は、その触手です。体の下側から、たくさん生えています。これがたなびく様子が、ヒトの髪に似るため、カミクラゲという名が付きました。
 今のところ、カミクラゲがヒトを刺したという報告は、聞きません。ヒトには無害なクラゲです。小さなプランクトンを、触手でとらえて、食べるといいます。
 カミクラゲは、よく動きます。「髪」をなびかせて、ぽんぽんと、浮き沈みします。光に反応するようです。
 クラゲには、眼があるようには見えませんね。どうやって、光を感じるのでしょう?
 カミクラゲの場合は、眼点と呼ばれる器官があります。この器官で、光を感じます。カミクラゲの触手の付け根に、小さな赤い点が、ずらりと並んでいます。これが眼点です。
 眼点がないクラゲは、どうしているのでしょう? これについては、わかっていません。クラゲの仲間は、わからないことのほうが多いです。
 カミクラゲについても、大きな謎があります。カミクラゲは、ポリプが見つかっていません。ポリプとは、クラゲの成長段階の一つです。つまり、カミクラゲが、どこで、どのように成長するのか、不明なのですね。ポリプが見つかれば、重要な研究成果です。
 二〇〇八年のノーベル賞受賞で、下村脩さんのオワンクラゲ研究が、有名になりましたね。日本固有種のカミクラゲも、ぜひ、日本人に研究してもらいたいですね。
  


図鑑↓↓↓↓↓には、カミクラゲが掲載されています。
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 過去の記事でも、クラゲの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 生物学で大活躍、オワンクラゲ(2008/08/04)
 ビゼンクラゲと同じ? 違う? スナイロクラゲ(2007/10/12)などです。


2009年2月23日

ツブ貝とは、どんな貝?

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 北海道や東北では、魚屋でよく「ツブ」という貝を売っています。「ツブ貝」と呼ばれることもあります。巻貝ですね。正式な種名は、何というのでしょうか?
 これは、難しい問題です。「ツブ」と呼ばれる貝には、たくさんの種が含まれるからです。
 中でも多いのは、エゾバイ科に分類される種です。エゾバイ、エゾボラ、ヒメエゾボラなどです。似た種名が多くてややこしいですね。
 ここでは、ヒメエゾボラを取り上げてみましょう。この種は、代表的な「ツブ」の一種です。東北地方以北の海に分布します。
 ヒメエゾボラの殻は、典型的な巻貝の形です。けれども、よく見ると個体ごとに少しずつ形が違います。模様も、個体ごとにさまざまです。別種のように見えるものもいます。このため、同じヒメエゾボラでも違う名で呼ばれることがあります。
 ヒメエゾボラは、美味しい貝です。でも、食べ過ぎないように御注意下さい。この貝を食べ過ぎると、酔ったような状態になることがあります。
 これは、テトラミンという物質のしわざです。ヒメエゾボラの、唾液腺【だえきせん】という部分に含まれます。調理されて売っているものでは、唾液腺を除いてあるのが普通です。除いてあれば、たくさん食べても大丈夫です。
 ヒメエゾボラには、ネムリツブという別名があります。これは、テトラミン中毒の症状から来ています。酔ってふらふらしたり、眠くなったりした状態に似るのですね。
 ヒメエゾボラ以外にも、エゾバイ科の種は多くテトラミンを持ちます。ですから、ネムリツブという名は、他の種にも用いられます。
 英語では、ヒメエゾボラの仲間(エゾバイ科エゾボラ属の種)を、ネプチューンneptuneと呼びます。これは、エゾボラ属のラテン語の学名Neptuneaに由来します。Neptuneaとは、ローマ神話の海の神、ネプトゥーヌスNeptunusにちなんだ名です。
 ヒメエゾボラの仲間に、テトラミンがあるのは、ネプトゥーヌスの戒めかも知れません。「海の恵みを、むさぼり過ぎるな」というわけでしょうか。
  


図鑑↓↓↓↓↓には、ヒメエゾボラが掲載されています。
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 過去の記事でも、巻貝の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 「越中バイ」はバイじゃない?(2009/01/26)
 マガキと付いてもカキじゃない、マガキガイ(2008/10/20) 
 ヒトデ退治は法螺【ほら】じゃない? ホラガイ(20080/7/25)
 カワニナ(川蜷)は一種じゃない?(2008/06/02)などです。


2009年2月21日

北極と南極には、同じ生き物がいる?

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 北極と南極とは、似ているようで違いますね。北極にはホッキョクグマがいますが、南極にはいません。南極にはペンギンがいますが、北極にはいません。
 ところがこのほど「北極と南極では、多くの生き物が共通している」という調査結果が出ました。なんと、二百種以上が、北極と南極、両方に分布するそうです。
 ただし、これらが本当に同種であるのかはまだわかりません。今回、見つかった生き物には、研究が進んでいないものが多いからです。ほとんどが、無脊椎動物です。小さくて、種が見分けにくいものばかりです。中には、似た別種が含まれるでしょう。
 今回、両極で発見された種を、いくつか挙げてみますね。
 例えば、カイアシの仲間が、見つかっています。カイアシとは、小さな甲殻類です。エビやカニの仲間ですね。専門的には、節足動物門【せっそくどうぶつもん】甲殻亜門【こうかくあもん】顎脚綱【がっきゃくこう】カイアシ亜綱【あこう】に属する生き物を、カイアシと総称します。このグループには、一万種以上もの種が含まれます。
 カイアシ類は、北極でも南極でも重要な生き物です。彼らが、多くの生き物の餌になるからです。クジラや魚類やペンギンなどが、カイアシ類を食べます。
 ハダカカメガイも、北極・南極の両方で見つかっています。「ハダカカメガイなんて知らない」という方が多いでしょうね。では、クリオネは? ハダカカメガイとは、クリオネの正式な種名です。貝殻を持たない巻貝の一種です。以前、このブログで取り上げましたね(ハダカカメガイ(クリオネ)は流氷の天使か?(2006/01/09))。
 今回の調査は、「海洋生物のセンサスCensus of Marine Life」という国際プロジェクトの一環です。このプロジェクトは、二〇〇〇年から二〇一〇年までの、十年計画です。
 このプロジェクトにより、これまでに、たくさんの新種が発見されました。今回のように、新種の発見でなくとも、興味深い発見も、たくさんありました。
 今後も、このような発見が相次ぐでしょう。海について、人類が、いかに知らないか、痛感します。私たちは、もっと謙虚になるべきでしょうね。
 「北極と南極と、両方で発見された生物」は、以下に載っています。
 南北両極の海にすむ生物――浮遊性巻貝(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/02/15)
 南北両極の海にすむ生物――カイアシ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/02/15)
 南北両極の海にすむ生物――クリオネ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/02/15)
 「海洋生物のセンサス」プロジェクトでは、他にも、以下のような新種の生き物が、発見されています。
 深海生物の新種――ロブスター(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/11/10)
 深海生物の新種――エビと寄生虫(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/11/10)
 深海生物の新種――世界最大の尾腔亜綱(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/11/10)
 深海生物の新種――コブシガニ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/11/11)



図鑑↓↓↓↓↓には、ハダカカメガイ(クリオネ)など、無脊椎動物が、百種以上載っています。
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2009年1月30日

タカアシガニは、世界最大のカニ?

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 世界で最も大きなカニを御存知ですか? タカアシガニという種です。甲羅の長さだけで30cmを越えます。はさみを広げればなんと2mを越えるものもいます。
 タカアシガニは、主に日本沿岸の深海に分布します。相模湾【さがみわん】や駿河湾【するがわん】に多いです。おおむね、水深200mから300m付近にいるようです。
 以前、タカアシガニは、日本沿岸の固有種だと思われていました。ところが、近年台湾の近海でもタカアシガニが見つかりました。日本の沿岸から東シナ海にかけて分布するようです。駿河湾(静岡県)では、食用に漁獲されています。
 カニの中で、タカアシガニの大きさはズバ抜けています。カニに近縁なエビを含めても、こんなに大きい種はいません。現在、生きている節足動物【せっそくどうぶつ】の中で最大です。節足動物とはカニ、エビ、昆虫、サソリ、クモなどを含む無脊椎動物のグループです。日本の沿岸には、世界に誇れるカニが棲むのですね。
 タカアシガニは、なぜこんなに大きくなったのでしょうか? 理由はわかっていません。海中に棲むことが有利に働いたのは確かです。海中には浮力があるからです。カニの細い脚では、陸上で巨体を支えることはできないでしょう。
 タカアシガニが深海に棲むことも謎の一つです。深海は食べ物が乏しいからです。このため、大型の生き物は暮らしにくいです。深海生物は、ほとんどが小型の生き物です。タカアシガニや、ダイオウイカ、メガマウスなどは例外的な存在です。
 タカアシガニは、クモガニ科に属します。同じクモガニ科には、ズワイガニも属します。ズワイガニは、高級食材として有名ですね。クモガニ科のカニは脚が長いのが特徴です。その脚を食用にする種が多いです。
 食用以外に、タカアシガニには面白い利用法があります。大きな甲羅をお面にします。甲羅のみぞを筆などでなぞって鬼の顔を描きます。西伊豆で、節分などの魔除けに使われると聞いたことがあります。今でも、この風習は残っているでしょうか?
 もうじき節分ですね。地方色豊かな風習は、長く残って欲しいです。



図鑑↓↓↓↓↓には、タカアシガニが掲載されています。
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 過去の記事で、タカアシガニに近縁なズワイガニを取り上げています。また、タカアシガニと同様の、大型の深海生物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 希少なサメ(鮫)、メガマウスの撮影に成功(2007/06/12)
 世界最大のイカは、ダイオウイカではない?(2007/02/23)
 カニでないカニがいる?(2006/10/17) 
などです。



2009年1月26日

「越中バイ」は、バイじゃない?

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 バイという種名の巻貝がいます。食用になるので有名ですね。寒い時期が旬【しゅん】です。現在は、日本海で主に漁獲されます。
 「越中【えっちゅう】バイ」などという名を、聞いたことがありませんか? 越中とは、昔の富山県の呼び名ですね。日本海側で捕れるバイをこう呼ぶことがあります。
 ところが、正式な種名バイ以外にエッチュウバイという種名の貝がいます。しかも、エッチュウバイも食用になります。ややこしいですね。
 巻貝には、他にも「○○バイ」という種名のものがいます。オオエッチュウバイ、エゾバイ、ツバイなどです。これらの「○○バイ」には、食用になるものが多いです。
 「バイ」とは、もともと巻貝全般を指す言葉でした。それらのうち、たくさん捕れて、味が良い種が、正式な種名「バイ」にされたようです。
 正式な種名バイは、砂底の海に棲みます。彼らは、海の掃除屋さんです。海中で、魚の死骸などを食べます。彼らのおかげで、海底が、きれいになるのですね。
 この性質を利用して、人間は、バイを捕ります。魚肉を入れた籠【かご】を、海に沈めると、バイが寄ってきます。「バイ籠」と呼ばれる漁法です。
 昔は、日本の沿岸の海に、バイがたくさんいました。巻貝の代表として、「バイ」と名づけられたほどです。けれども、現在は、とても減ってしまいました。そのため、本物のバイとは違う種が、バイと呼ばれて、売られることが多いです。
 バイが減ったのは、捕り過ぎたから、だけではありません。海洋汚染が、深刻な影響を及ぼしました。有機スズという化合物が、海を汚しています。有機スズが、巻貝の体に入ると、正常な繁殖ができなくなります。
 有機スズは、かつて、船の塗料に使われました。今では、船の塗料に有機スズを使うことは、禁止されています。有機スズが、海の生き物に悪いことがわかったからです。おかげで、バイなどの生き物が、復活しつつある海域もあるようです。
 こんなふうに、他の生き物への思いやりが進むといいですね。



図鑑↓↓↓↓↓には、正式な種名バイが掲載されています。
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 過去の記事でも、巻貝の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 マガキと付いてもカキじゃない、マガキガイ(2008/10/20) 
 ヒトデ退治は法螺じゃない、ホラガイ(2008/07/25)
 カワニナ(川蜷)は一種じゃない?(2008/6/2) 
 アワビという種名の貝はいない?(2008/1/14)
などです。


2009年1月22日

オーストラリアの深海で、新種発見

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 タスマニア島の南部沖から、いくつもの新種が発見されたニュースがありました。
 正確には、いくつの新種が発見されたのかはわかりません。私の知る限り、三つの新種の画像が公開されています。どれも、深海に棲むものです。
 一つは、ホヤの一種です。脊索動物門【せきさくどうぶつもん】尾索動物亜門【びさくどうぶつあもん】ホヤ綱【こう】に属します。植物に似ますが動物です。
 ホヤの成体は、海底の一箇所にくっついています。移動しません。普通のホヤは、海水中の小さな有機物を濾【こ】して食べます。おとなしい生き物です。
 ところが、今回の新種は肉食性です。魚などを、捕らえて食べるようです。体の前部が、漏斗【ろうと】状の罠【わな】になっていて、そこで、獲物を捕らえる仕組みです。このホヤは、なぜこんなふうになったのでしょう?
 そのヒントは、別種のホヤにあります。オオグチボヤという種です。日本の富山湾に棲みます。オオグチボヤも肉食性です。深海に棲むのも同じです。
 肉食性になったのは、深海に棲むことと関係するようです。食べ物の少ない深海で、生きる工夫でしょう。ただし、今回の新種のほうがずっと深くに棲みます。なんと、4000mを越える深海です。オオグチボヤが棲むのは、700mほどの深さです。
 他に、海綿動物【かいめんどうぶつ】らしきものと、サンゴの一種の画像が公開されています。サンゴのほうは、熱帯のサンゴ礁に多いイシサンゴとは違います。画像を見る限りでは、八放【はっぽう】サンゴの一種のようです。八放サンゴについては、過去の記事 「白保のサンゴは普通と違う? アオサンゴ」(2008/11/17)を参照して下さい。
 カイメン(海綿)らしきものは、本当にカイメンなのかどうかまだわかりません。情報が少ないからです。今のところ「おそらく、カイメンの新種」とされています。
 カイメンの仲間は、潮が引くと海上に出るようなところから、深海の海底まで広く分布します。形もたいへん多様です。画像だけでは、正体の判別は難しいです。
 今年も、続々と新種が発見されるのでしょうね。楽しみです。


 タスマニア沖深海の新種のニュースは、以下にあります。
 豪、深海で新種発見――罠をかけるホヤ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/01/18)
 豪、深海で新種発見――巨大海綿(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/01/18)
 豪、深海で新種発見――ヘビ頭のサンゴ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/01/18)
  


図鑑↓↓↓↓↓には、ホヤの仲間やカイメンの仲間、サンゴの仲間が掲載されています。
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2008年12月29日

ウミウシは何の仲間?

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 二〇〇九年は、丑年【うしどし】ですね。それにちなんで、「ウシ」の名が付いた生き物を紹介しましょう。ウミウシ(海牛)です。
 ウミウシは、牛の仲間ではありません。それどころか、哺乳類でさえありません。巻貝の仲間です。専門的にいえば、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】腹足綱【ふくそくこう】というグループに属します。名のとおり海中に棲みます。
 まったく違う生き物なのに、なぜ、ウミ「ウシ」なのでしょうか? 角のような触角【しょっかく】があるからです。このため、「海の牛」に見立てられたのですね。
 巻貝とはいえ、ウミウシは、貝殻を持ちません。軟らかい体だけで、海底を這っています。しかも、ウミウシには、派手な体色の種が多いです。これでは、すぐに、敵に見つかってしまいそうですね?
 じつは、多くのウミウシが、毒を持ちます。おかげで、他の生き物に、食べられません。体色が派手なのも、毒と関係するようです。「毒があるぞ」と周囲に警告することで、身を守っているのでしょう。警戒色というものですね。
 ウミウシは、「自分では、毒を作らない」といわれます。では、どうやって、毒を持つのでしょうか? 食べ物から得ます。毒のある生き物を食べて、その毒を流用します。
 実際には、何を食べるのか、解明されているウミウシは、少ないです。知られる範囲では、有毒の海綿動物【かいめんどうぶつ】(カイメン)や、刺胞動物【しほうどうぶつ】(クラゲなど)を食べる種がいます。これらの種は、食べたものの毒を、利用します。
 何を食べるのか、知られないウミウシが多いのは、研究が進んでいないからです。ウミウシは、ヒトの生活に、直接、関わりませんね。そのため、研究が進んでいません。種の分類さえ、定かでないものが多いです。
 けれども、近年、状況が変わってきました。ダイビングをやる人が、増えたためです。きれいなウミウシは、良い観察対象です。新しいことが、少しずつ、わかってきました。いずれ、ウミウシの毒の秘密も、わかるのではないでしょうか。



図鑑↓↓↓↓↓には、アオウミウシやシロウミウシ、ミノウミウシが掲載されています。
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 過去の記事でも、ウミウシのように、「殻を持たない巻貝」を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 いじめると雨が降る? アメフラシ(2007/04/23)
 ナメクジは塩をかけると溶ける?(2006/06/23)
 ハダカカメガイ(クリオネ)は流氷の天使か?(2006/01/09)
などです。


2008年12月19日

平たい体は何のため? ウチワエビ

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 エビ(海老)は、日本人に好まれる食べ物ですね。縁起が良いものとしても、喜ばれます。姿がかっこいいものが、多いためでしょう。
 けれども、中には、奇妙な姿のエビもいます。例えば、ウチワエビです。
 名のとおり、ウチワエビは、団扇【うちわ】にそっくりです。全体的に、平たいです。体の前半分が、円くて上下に平たいため、団扇のように見えるのですね。
 ウチワエビは、なぜ、こんな姿なのでしょうか? 平たい体でぱたぱた泳ぐ、わけではありません。少なくとも、成体のウチワエビは、泳げないようです。移動する時は、海底を歩きます。普段は、海底の砂や泥に、潜っていることが、多いようです。
 「ようです」と書いたのは、ウチワエビの暮らしが、よくわかっていないからです。彼らは、比較的、深い海に棲みます。ダイバーが行ける範囲には、いないことが多いのですね。ですから、自然の状態を、なかなか、観察できません。
 海底で暮らす生き物は、体が平たいことが、よくあります。魚のアンコウなどが、そうですね。海底に、うまく紛れるためです。そうすれば、敵から逃れたり、獲物に忍び寄ったりできます。ウチワエビが平たいのも、そういう理由ではないでしょうか。
 ウチワエビは、食用に、漁獲されています。主に、西日本で食べられます。日本の各地に、ウチワエビの方言名があります。ヒッパタキ、ヒラエビなどです。どれも、その印象的な姿から、名づけられています。
 方言名には、注意すべきことがあります。一つの方言名が、必ず、一つの種を指すとは、限りません。複数の種を、含むことが多いです。
 ウチワエビには、オオバウチワエビという、外見が似た別種がいます。ヒラエビといった方言名は、ウチワエビと、オオバウチワエビを、まとめて呼ぶ名です。市場で呼ぶ場合には、それで不自由はないのでしょう。この二種は、同じように美味だそうです。
 ウチワエビの仲間(セミエビ科ウチワエビ属)は、暖かい海に、広く分布します。東南アジアなどでも、食べられています。美味しいものに、国境はないのでしょう。



図鑑↓↓↓↓↓には、ウチワエビが掲載されています。
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 過去の記事でも、エビの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 おせち料理の海老【えび】はクルマエビ?(2007/01/11)
 海中のサンタクロースはエビ?(2006/12/10)
などです。


2008年12月18日

メコン川の流域で、千種以上の新種を発見

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 今年も、たくさんの新種が発見されましたね。ここへ来て再び、大量の新種発見の報告がありました。東南アジアの、メコン川流域からの報告です。
 メコン川の流域とは、国名でいえばミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムです。この地域は、多くの「未確認の種」がいることで知られます。
 過去十年間で、この地域からは少なくとも1068種(!)の新種が報告されたそうです。これまで、いかに調査されなかったかがわかりますね。調査が進むにつれ、さらに多くの新種が発見されるでしょう。
 新種といっても、地元の人には馴染みのある生き物かも知れません。けれども、ただ目撃されているだけでは「新種発見」ではありません。たとえ、捕まえて食べているとしてもそれだけではやはり「新種発見」ではありません。
 新種を発見するには、まず標本を採取することが必要です。次に、その標本を他の標本と比較します。これが膨大な作業になります。「どの標本とも違う」とわかって、やっと「新種発見」です。
 「発見」してもそれを公表しなければ世界の人々に知られませんね。公式には、新種のことを書いた論文が発表された時点で「新種発見」となります。
 この時点で新種には、ラテン語の学名が付けられます。これを「記載された」といいます。学名がない生き物は「記載されていない」状態です。「記載されていない」生き物は、公式には「未確認」の状態といえます。
 今回の「記載された」新種には、
 ハブに近縁なヘビ【学名:Trimeresurus gumprechti
 ショッキングピンクのヤスデ【学名:Desmoxytes purpurosea
 ウーリーコウモリ属のコウモリ【学名:Kerivoula kachinensis
などが含まれます。どの種も生態はよくわかっていません。見つかったばかりだからです。
 メコン川の流域は、開発が激しく進んでいる地域です。発見されて早々に、絶滅の危機にある種も少なくないでしょう。彼らと共存する方法を見出したいですね。


 メコン川流域の新種の画像は、以下のページで見られます。
 大メコンの新種――ピットバイパー(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース、2008/12/15) 
 大メコンの新種――ピンクの毒ヤスデ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース、2008/12/15)
 大メコンの新種――ウーリーコウモリ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース、2008/12/15)
 大メコンの新種――カワリアシダカグモ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース、2008/12/15) 
 大メコンの新種――ウデナガガエル(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース、2008/12/15)
 大メコンの新種――巨大アシダカグモ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース、2008/12/15)
 


図鑑↓↓↓↓↓には、今回発見されたヘビに近縁なハブや新発見のクモに近縁なアシダカグモが掲載されています。
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 過去の記事でも、新種の発見を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ヒヨケザルの新発見、メガネザルの再発見(2008/11/20)
 絶滅種?のシカとカエルが、再発見される(2008/10/14)
 タスマニア沖で、二百以上の新種を発見(2008/10/14)などです。

2008年12月12日

ムール貝やパーナ貝とは、どんな貝?

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 忘年会の季節ですね。今の日本では、世界中の食べ物が食卓に上ります。
 最近、普及したのが、ムールガイと呼ばれる貝ですね。パエリアや、ブイヤベースの材料にされます。殻が黒っぽく、細長い貝です。これは何の仲間でしょうか?
 ムールガイの正式な日本語名は、ムラサキイガイです。ムラサキガイではありません。ムラサキ「イ」ガイです。漢字では、「紫貽貝」と書きます。
 ムラサキイガイは、イガイ(貽貝)という二枚貝の仲間です。どちらの種も、イガイ目イガイ科に属します。イガイ科の種は、みな、外見や生活ぶりが似ています。そのため、区別が付けにくいです。どの種も、海岸の岩や杭などにくっついて暮らします。
 イガイも、食用になります。じつは、昔から日本でイガイは食べられていました。セトガイ、シュウリ、ニタリガイなどという方言でも、呼ばれます。
 ムラサキイガイのほうは元は、日本にいませんでした。原産地は、ヨーロッパの海です。ところが、昭和の初期くらいから日本でも見られるようになりました。船に付いてきたものが増えたと考えられています。
 ムラサキイガイと同じく、近年日本に棲みついたイガイ科がいます。ミドリイガイ(緑貽貝)という種です。ミドリガイではなく、ミドリ「イ」ガイです。こちらは、東南アジアの原産です。ムールガイと呼ばれる中にこの種が混じることもあります。
 ムールガイと似た貝で「パーナガイ」というのが売られることがありますね。これも、イガイ科の種です。正式な日本語名を、モエギイガイ(萌葱貽貝)といいます。モエギガイではありません。ニュージーランドで大量に養殖されています。
 イガイの仲間は、有害だといわれることもあります。船や港湾施設などにびっしり付くからです。特に、ムラサキイガイは、邪魔ものとされることが多いです。この種は、繁殖力が強いようですね。世界中に分布を広げてしまいました。
 イガイの仲間が分布を広げたのは人間のせいです。一方的に悪者にするのは気の毒でしょう。食用にしておきながら、「有害」というヒトのほうが勝手だと思います。



図鑑↓↓↓↓↓には、ムール貝やパーナ貝の仲間で、日本在来種のイガイ(貽貝)が掲載されています。
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 過去の記事でも、二枚貝の仲間を取り上げています。また、貝に似て、違う生物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。  
 フジツボは富士壷? 藤壷?(2008/09/29) 
 新種のシャコガイ発見(2008/09/04)
 安物から高級食材へ、アカガイ(赤貝)(2008/05/02)
 真珠貝【しんじゅがい】の秘密(2006/06/16)
牡蠣(カキ)はなぜ寒い時期が旬か?(2006/02/04)
などです。


2008年12月 9日

ハクセンシオマネキ

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 ハクセンシオマネキ画像
和名:ハクセンシオマネキ
学名:Uca lactea
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

沖縄県 東村  【2008.11.15】



図鑑↓↓↓↓↓には、ハクセンシオマネキが掲載されています。
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2008年11月17日

白保【しらほ】のサンゴは普通と違う? アオサンゴ

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 サンゴ礁といえば、皆さんは、どこの海を思い浮かべますか? オーストラリアのグレートバリアリーフでしょうか? それとも、南太平洋のパラオ? インド洋のモルジブ?
 じつは、この日本に、世界的に有名なサンゴ礁があります。沖縄のサンゴ礁です。沖縄の海は、世界のどこと比べても恥ずかしくない、豊かな海です。
 中で、ユニークなのは、石垣島の白保【しらほ】地区にあるサンゴ礁です。ここは、世界有数の大きさの、アオサンゴの群落があることで、知られます。
 アオサンゴとは、どういうサンゴでしょうか? どこが、ユニークなのでしょうか?
 サンゴ礁を作るサンゴ(造礁サンゴ)には、たくさんの種があります。アオサンゴは、その中の一種です。数だけでいえば、サンゴ礁に、普通にある種です。
 多くのサンゴ礁では、ミドリイシと呼ばれるサンゴのグループが、大勢を占めます。ミドリイシは、イシサンゴ類という、さらに大きなグループに含まれます。石のように硬い骨格を持つため、イシサンゴと呼ばれます。
 アオサンゴも、硬い骨格を持ちます。けれども、イシサンゴ類ではありません。一つ一つのサンゴ虫(ポリプ)を見ると、イシサンゴ類とは、形が違います。
 アオサンゴは、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】花虫綱【かちゅうこう】八放【はっぽう】サンゴ亜綱【あこう】に属します。「八放サンゴ」の名のとおり、ポリプの触手が、必ず八本です。なお、花虫綱は、「はなむしこう」と読むこともあります。
 ミドリイシなどのイシサンゴ類は、触手の数が、六本、または、六の倍数です。このため、六放【ろっぽう】サンゴと呼ばれます。正確には、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】花虫綱【かちゅうこう】六放サンゴ亜綱【あこう】に属します。
 アオサンゴも、ミドリイシ類も、同じ「サンゴ」には、違いありません。が、分類のうえでは、遠縁です。おおよそ、「カンガルーと、ヒトくらい違う」と言えるでしょう。
 白保のアオサンゴは、世界でも珍しい「八放サンゴの大群落」なのですね。これは、日本だけでなく、世界の宝です。守ってゆきたいですね。
  


図鑑↓↓↓↓↓には、アオサンゴが掲載されています。ミドリイシの仲間も載っています。
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 過去の記事でも、サンゴ(珊瑚)の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 オニヒトデは、サンゴ礁の悪役?(2008/07/18)
 国際サンゴ礁年とは、どんなもの?(2007/12/24)
 宝石の珊瑚【さんご】はサンゴ礁のサンゴか?(2007/03/05)
 サンゴ礁の海を守るナマコ(2006/07/22)
 サンゴ礁と台風の関係(2005/09/02)
などです。



2008年11月 3日

ワラジムシとダンゴムシとは、どう違う?

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 秋は、落ち葉の季節ですね。たくさんの葉が、地面に落ちてゆきます。
 落ち葉を、ずっと片付けないでいたら、どうなるでしょう? 土に還ります。そうなるまでに、多くの生き物が、関わります。落ち葉を食べて、分解する生き物たちです。
 そのような分解者の中で、有名なのが、ワラジムシや、ダンゴムシでしょう。ワラジムシは、わらじ(草鞋)に似た姿の虫ですね。ダンゴムシは、団子のように丸くなる虫です。
 ワラジムシと、ダンゴムシは、外見がそっくりです。分類の上でも、近縁です。どちらも、昆虫ではありません。昆虫よりは、エビやカニに近縁です。専門的にいえば、節足動物門【せっそくどうぶつもん】軟甲綱【なんこうこう】等脚目【とうきゃくもく】に属します。等脚目は、ワラジムシ目ともいいます。
 ワラジムシとは、等脚目の中の、ワラジムシ亜目【あもく】に属する種の、総称です。一種だけを、指すのではありません。ところが、ややこしいことに、ワラジムシ亜目ワラジムシ科の中に、正式な種名が「ワラジムシ」というものがいます。
 ダンゴムシとは、等脚目ワラジムシ亜目の中の、オカダンゴムシ科、ハマダンゴムシ科、コシビロダンゴムシ科に属する種の、総称です。
 ダンゴムシも、広い意味では、ワラジムシに入ります。「ワラジムシ亜目の中で、丸くなれるものを、『ダンゴムシ』と呼ぶ」と考えて、間違いではないでしょう。
 ワラジムシとダンゴムシとの、簡単な見分け方は、「つついてみること」です。丸くなったら、ダンゴムシです。おおむね、ダンゴムシのほうが、丸みのある体型をしています。
 ワラジムシや、ダンゴムシの仲間は、研究が進んでいません。全部で何種いるのかも、不明です。現在のところ、ワラジムシ亜目の種は、五千種ほど(!)も見つかっています。これでも、まだ、「発見されていない種が多い」と考えられています。
 ワラジムシや、ダンゴムシは、人間の役に立つように見えませんね。研究が進まないのは、そのためです。けれども、本当は、とても重要な生き物たちです。彼らは、植物が生える土を、作るからです。農作物ができるのは、彼らのおかげとも言えます。



図鑑↓↓↓↓↓には、ワラジムシと、オカダンゴムシが掲載されています。
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 過去の記事でも、ワラジムシやダンゴムシの仲間(等脚目【とうきゃくもく】)を、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 新種・珍種がざっくざく、南硫黄島【みなみいおうとう】(2008/06/10)
 虫が島を壊す? ナナツバコツブムシ(2007/06/28)



2008年10月20日

マガキと付いてもカキじゃない、マガキガイ

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 日本では、多くの貝が、食用にされますね。アサリ、アカガイ、マテガイ、ホタテガイ、トリガイ、カキ(マガキ)などが、お馴染みです。
 前記の貝の名前を見て、気づいたことがありませんか? 名前に「カイ(貝)」が付くものと、付かないものとが、ありますね。
 マテガイや、ホタテガイは、「カイ」を略して、呼ばれることもあります。けれども、アカガイや、トリガイは、略されませんね。「アカ」や「トリ」だけでは、貝を指すことが、わからないからでしょう。逆に、アサリや、カキ(マガキ)は、「カイ」を付けることが、ありません。有名な貝のため、付ける必要がないのでしょう。
 マガキの場合は、「カイ」を付けると、まずいことが起こります。「マガキガイ」という名の、別種の貝がいるのです。マガキと同じく、海に棲む貝です。
 マガキガイは、漢字で書くと、「籬貝」です。籬【まがき】とは、垣根の一種のことです。おそらく、貝殻の模様が、籬に似て見えたのでしょう。対して、カイの付かないマガキは、漢字で書けば、「真牡蠣」です。「本物のカキ(牡蠣)」という意味ですね。
 マガキガイと、マガキとは、縁が遠いです。マガキ(カキ)は、二枚貝ですね。マガキガイのほうは、巻貝です。外見は、似ても似つきません。
 マガキガイには、面白い特徴があります。歩き方が、普通の巻貝と、違います。
 普通の巻貝は、腹部をべったりと地面に付けて、這い歩きますね。腹部が足なので、腹足【ふくそく】と呼びます。ところが、マガキガイは、腹足が、あまり発達していません。普通の巻貝のように、這えないのですね。そこで、「杖【つえ】」を使います。
 マガキガイには、尖った形の蓋【ふた】があります。これを、海底に突き刺しながら、進みます。まるで、杖を突きながら、歩くようです。この歩き方は、砂地の海底では、都合がいいです。マガキガイは、そのような海底に棲みます。よくできていますね。
 マガキガイと、マガキが似た点が、一つだけあります。どちらも、食用になることです。私は食べたことがありませんが、マガキガイも、美味しいそうです。



図鑑↓↓↓↓↓には、マガキガイ(籬貝)も、マガキ(真牡蠣)も掲載されています。
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 過去の記事でも、貝の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ヒトデ退治は法螺【ほら】じゃない? ホラガイ(2008/07/25)
 カワニナ(川蜷)は一種じゃない?(2008/06/02) 
 安物から高級食材へ、アカガイ(赤貝)(2008/05/02)
潮干狩りの主役、アサリ(2006/04/27)
牡蠣(カキ)はなぜ寒い時期が旬か?(2006/02/04)
などです。

2008年10月14日

タスマニア沖で、二百以上の新種を発見




 またまた、オーストラリアから大量に新種発見のニュースです。タスマニア島の沖の海で、274もの新種が発見されました。そこは、水深2000mの深海です。
 これらの新種には、以下のグループに属するものがいます。魚類、棘皮動物【きょくひどうぶつ】、節足動物【せっそくどうぶつ】、刺胞動物【しほうどうぶつ】、海綿動物【かいめんどうぶつ】などです。魚類の他は、無脊椎動物ですね。
 発見された中には、ヒトデや、クモヒトデの仲間が、多いようです。ヒトデとクモヒトデは、棘皮動物に含まれます。ヒトデは、棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】ヒトデ綱【こう】に属します。クモヒトデは、棘皮動物門クモヒトデ綱【こう】に属します。
 ヒトデ綱では、Marginaster属の新種などが見つかっています。Marginasterとは、ラテン語の学名です。一部で、Marginastersea属とされているのは、つづり間違いです。
 クモヒトデ綱では、トゲナガクモヒトデ科の新種やOphiomitrella属の新種、Amphioplus属の新種などが見つかりました。OphiomitrellaやAmphioplusというのも、ラテン語の学名です。日本語名がないグループが多いですね。
 節足動物では、カニやエビの新種が発見されました。カニでは、クリガニ科のTrichopeltarion属の新種などが見つかっています。日本の駿河湾などにいる、オオツノクリガニの近縁種です。Trichopeltarionという名もラテン語の学名です。
 エビでは、タラバエビ科ジンケンエビ属の新種などが見つかりました。ジンケンエビ属は、日本付近の浅い海にも多くいます。ハクセンエビや、エリマキエビなどです。
 刺胞動物では、サンゴの新種などが発見されました。なんと、二千年前から生きているサンゴの群体があるようです。このサンゴが、こんなに長生きなのは、深海に棲むためとされます。冷たい深海では、生き物の成長速度が遅くなるのです。
 オーストラリアの領海は、調査されていない海域のほうが広いそうです。調べれば、もっと多くの新種が発見されるでしょう。私たちが知る地球は、ほんの一部分でしかありません。そう思えば、謙虚になれますね。


 今回、発見された新種のニュースは、以下にあります。
 タスマニア島沖で、新種の海洋生物274種類を発見(AFPBBニュース 2008/10/09) 
 海洋生物の新種多数、再び豪近海で発見(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/10/09) 
 深海底に潜んでいた新種のカニ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/10/09)
 深海のサンゴに生息する新種のヒトデ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/10/09) 
 海の山に生息する新種のヒトデ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/10/09) 
 新種のトゲナガクモヒトデ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/10/09)
 などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、日本周辺に分布するヒトデ、カニ、エビ、サンゴなどが掲載されています。
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 過去の記事でも、オーストラリア周辺での新種発見を、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 百種を越える魚類が発見される(2008/09/30) 
 オーストラリアのサンゴ礁で、数百の新種を発見(2008/09/25) 

2008年9月29日

フジツボは富士壷? 藤壷?

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 日本の海岸なら、どこでも見られる生き物が、フジツボですね。岩や杭【くい】などに、びっしりと付きます。その様子を、気味悪く感じる人も、いるのでしょう。「ヒトにフジツボが寄生する」という都市伝説がありますね。むろん、これは、ただの伝説です。
 では、フジツボは、どうやって、岩などに付くのでしょうか? 海中を泳いでゆきます。
 泳ぐのは、フジツボの幼生です。成体のフジツボは、泳げません。あんな殻に包まれていては、無理ですね。成体のフジツボは、一度付いてしまったら、離れられません。
 フジツボの幼生は、親とは、まったく姿が違います。殻を持ちません。身軽に泳ぎます。ノープリウス幼生と呼ばれます。とても小さいので、肉眼では見えにくいです。
 エビやカニの幼生も、フジツボと同じ、ノープリウス幼生です。このことから、フジツボが、エビやカニの仲間だとわかりました。節足動物【せっそくどうぶつ】というグループです。殻があっても、フジツボは、貝類ではありません。
 一部の地域では、フジツボを、食用にします。私も、食べたことがあります。味は、まさしく、エビやカニの系統でした。貝の味ではありません。
 フジツボに近縁な生き物として、エボシガイがいます。以前、このブログで、取り上げましたね。エボシガイは、肉質の柄【え】で、物に付いています。「柄のあるフジツボ」が、エボシガイといえます。逆に、「柄のないエボシガイ」が、フジツボともいえます。
 エボシガイや、フジツボは、船に付くことがあります。彼らにしてみれば、良いすみかなのでしょう。船が動けば、流れてくる食べ物に、困らないはずです。
 でも、付かれた船は、速度が出なくなってしまいます。このため、船のメンテナンスでは、「船底のエボシガイや、フジツボを落とす」作業があります。
 昔の船には、エボシガイが付くことが多かったようです。しかし、今の船に付くのは、フジツボが多いです。理由は、今の船のほうが、速いからです。フジツボは、柄がなくて、ぴったり付きますね。このほうが、速さに耐えられるようです。
 なお、フジツボの漢字名は、「富士壷」です。殻の形が、富士山に似るからだそうです。
  


図鑑↓↓↓↓↓には、イワフジツボ、クロフジツボが掲載されています。
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 過去の記事で、フジツボに近縁なエボシガイを取り上げています。また、その他の、海に棲む節足動物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 スベスベマンジュウガニの名の由来は?(2008/08/18)
 殻があっても貝じゃない、エボシガイ(2007/10/22)
 おせち料理の海老【えび】はクルマエビ?(2007/01/11)
 ウミホタル(海蛍)は海の掃除屋さん(2006/04/14)
などです。



2008年9月25日

オーストラリアのサンゴ礁で、数百の新種を発見




 オーストラリアの海で、大量の新種が、一挙に発見されました。その数、なんと数百です。サンゴの新種だけでも、150種を越えるといわれています。
 発見されたのは、みな、無脊椎動物です。グレートバリアリーフと呼ばれる、サンゴ礁の海に棲みます。以下に、分類のグループ別に、紹介しますね。
 まず、サンゴの仲間です。通称、ソフトコーラル(軟質サンゴ)と呼ばれるグループが、たくさん発見されました。専門的にいえば、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】花虫綱【かちゅうこう】のうち、硬い骨格を持たないサンゴです。
 節足動物門【せっそくどうぶつもん】に属するものも、多く発見されています。エビやカニの親類ですね。中で、軟甲綱【なんこうこう】端脚目【たんきゃくもく】に属する種が、百種以上、見つかっています。ヨコエビ、トビムシなどと呼ばれるものたちです。
 同じ節足動物門の軟甲綱で、別のグループも、発見されています。タナイス目【もく】や、等脚目【とうきゃくもく】です。タナイス目の形は、普通のエビに似ます。が、砂粒の間に棲めるほど、小さいです。等脚目は、ワラジムシやダンゴムシの仲間です。
 ヒルやミミズの仲間も、発見されました。環形動物門【かんけいどうぶつもん】というグループです。中でも、多毛綱【たもうこう】に属する種のようです。ケヤリムシや、ウミケムシの仲間ですね。名のとおり、毛が生えたグループです。しかし、もしかしたら、今回の新種のために、環形動物門の中に、新しい綱【こう】ができるかも知れません。
 ウミウシの新種も、見つかったようです。軟体動物門【なんたいどうぶつもん】腹足綱【ふくそくこう】後鰓目【こうさいもく】のうち、貝殻をなくしたものですね。簡単にいえば、「殻のない巻貝」です。
 サルパという生き物でも、新種が、発見されたようです。脊索動物門【せきさくどうぶつもん】タリア綱【こう】サルパ目【もく】に属します。広い意味で、ホヤの仲間です。
 たいへん広い分野にまたがって、新種が発見されたわけですね。これらの生き物が、どのように関連して、暮らしているのでしょう? 興味が尽きませんね。


 オーストラリアのたくさんの新種のニュースは、以下にあります。新種の美しい写真がいくつか見られますので、ぜひ御覧下さい。
 多様な未知の生物、豪サンゴ礁で発見(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/09/18)
 不思議な海洋生物――新種の軟質サンゴ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/09/18)
 不思議な海洋生物――新種のケヤリムシ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/09/18)
 不思議な海洋生物――新種のウミウシ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/09/18)
 不思議な海洋生物――新種のサルパ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/09/18)
 豪サンゴ礁で新種数百種発見される、国際的ネットワーク調査(AFPBBニュース 2008/9/20)
  


図鑑↓↓↓↓↓には、サンゴの仲間、ダンゴムシやワラジムシの仲間、ゴカイやウミケムシの仲間、ウミウシの仲間、サルパの仲間が、何種も掲載されています。
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2008年9月 4日

新種のシャコガイ発見

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 またもや、アフリカから、新種発見のニュースです。貝の新種が、発見されました。
 発見されたのは、シャコガイの仲間です。熱帯の、サンゴ礁の海に棲む二枚貝ですね。新種は、シャコガイ科シャコガイ属に属します。
 日本語の報道では、この新種は、「ミル貝(ミルクイ)」とされていますね。けれども、これは、誤りです。同じ貝でも、「ミル貝」と「シャコガイ」とは、別ものです。
 新種は、ラテン語の学名で、Tridacna costataと名づけられました。今のところ、日本語名は、付いていません。
 新種のシャコガイは、とても数が少ないです。現在までに、確認されたのは、わずか13個体です。場所は、紅海のヨルダン沿岸です。世界一、希少な貝かも知れません。
 公開された画像では、大きさがわかりませんね。シャコガイ属であれば、大型になるかも知れません。シャコガイ属の種には、大きくなるものがいるからです。オオシャコガイなどは、殻の長さが、1mを越えることもあります。
 むろん、そんなに大きいものばかりでは、ありません。ヒメシャコガイなどは、殻の長さ10cmほどです。今回の新種も、大きさは、そんなものかも知れません。
 新種のシャコガイは、なぜ、こんなに数が少ないのでしょう? 古代に、ヒトが乱獲したのでは、と考えられています。シャコガイの仲間は、食用になるからです。
 今回の新種にとっては、浅い海に棲むことが、致命的でした。ヒトが獲りやすい場所に、いるわけですね。分布域が、紅海――アフリカ大陸とアラビア半島の間にある――なのも、災いしました。人類の生まれ故郷の、近くだったのです。
 化石の証拠によれば、十万年以上前には、この貝は、たくさん生息していたようです。それが、急激に減りました。その頃、人類は、アフリカ大陸を出て、他の地域へと広がるところでした。この貝は、食料として、ちょうどよかったのでしょう。
 人類の乱獲が、本当に、この貝を減らした原因かどうかは、まだ不確実です。かといって、今、保護しなくていい理由は、ありませんね。彼らを、後世に残したいです。

 新種のシャコガイのニュースは、以下にあります。日本語のニュースでは、「ミル貝(ミルクイ)」になっていますが、「シャコガイ」が正しいです。
 古代に乱獲された新種のミル貝(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/08/29)【日本語版】
 前記のニュースの英語版(National Geographic News, 2008/08/29)【英語版】
 New giant clam species discovered (BBC News, 2008/08/29)【英語版】 



図鑑↓↓↓↓↓には、今回の新種と近縁なオオシャコガイが掲載されています。
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 過去の記事でも、貝の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ヒトデ退治は法螺【ほら】じゃない? ホラガイ(2008/07/25)
 安物から高級食材へ、アカガイ(赤貝)(2008/05/02)
 四百年、生きた貝がいる?(2007/11/01)
 魚と持ちつ持たれつ? イシガイ科の二枚貝たち(2007/04/02)
 真珠貝【しんじゅがい】の秘密(2006/06/16)



2008年9月 2日

コツブムシの続報、ウンピョウの続報

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 以前、ここのブログでお伝えした生き物の、続報が届きました。二種の生物について、続報をお伝えします。

 一つめは、ナナツバコツブムシです。「島を食い荒らす虫」として、有名になりましたね。この虫のために、広島県東広島市のホボロ島【じま】が、消えようとしています。 「虫が島を壊す? ナナツバコツブムシ」(2007/06/28)で、お知らせしました。
 ナナツバコツブムシにより、島が崩壊するのは、やむをえないことです。自然の摂理ですから、ヒトが止める必要は、ありません。
 ところが、最近、虫以外の要因で、島の崩壊が進んでいます。ホボロ島に、勝手に上陸して、島を傷める人がいるのです。
 ホボロ島は、生きた教科書といえます。生物による土地の浸食【しんしょく】が、実際に見られるからです。そのような島は、公共の財産でしょう。個人の好奇心で、傷めてよいものではありません。
 条例か何かで、「基本的に、島への上陸は禁止」としたほうが良いのかな、と考えます。けれども、それは、情けないですね。皆さんの良心に、期待したいです。

 二つめは、ボルネオウンピョウです。2007年に、新種として、発表されたヒョウ(豹)ですね。ウンピョウ(雲豹)というヒョウに近縁な種です。「ボルネオ(カリマンタン)島で、新種の豹(ヒョウ)を発見」(2007/03/17)で、お知らせしました。
 ボルネオウンピョウについて、わかっていることは、ほとんどありません。発見されたばかりのうえ、森林で、ひっそり暮らしているからです。
 ここへ来て、生息範囲について、ヒントが得られました。中部カリマンタン州の国立公園(インドネシア領内)で、ボルネオウンピョウの姿が、撮影されたのです。
 その国立公園は、かつて、森林が破壊されていた地域でした。そこにウンピョウがいるのは、森林の生態系が、復活したことを示します。嬉しいですね。こういうニュースを、たくさんお伝えしたいものです。

 ナナツバコツブムシの続報は、以下にあります。
虫が食う島、上陸者が崩す(中国新聞 2008/08/13)

 ボルネオウンピョウの続報は、以下にあります。
希少種ボルネオウンピョウ、新たに発見(AFPBBニュース 2008/08/22)

2008年8月29日

孵化【ふか】と羽化【うか】とは、どう違う?

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 夏休みも、終わりですね。宿題に励む方々が、多いでしょう。そこで今回は、生き物の、間違えやすい用語について、解説しますね。
 孵化【ふか】という言葉がありますね。似た言葉で、羽化【うか】というのも、あります。この二つは、よく混同されます。新聞などでも、時おり、間違えています。
 孵化とは、「卵から、子どもが生まれること」です。この言葉は、ほぼ、どんな生き物に対しても、使われます。例えば、以下のようなものです。
 「チョウ(蝶)の卵から、ケムシ(毛虫)が生まれる」、「メダカの卵から、稚魚【ちぎょ】が生まれる」、「カエルの卵から、オタマジャクシが生まれる」、「ニワトリの卵から、雛【ひな】が生まれる」、これらすべてが「孵化」です。羽化ではありません。
 羽化のほうは、主に、昆虫に使われる言葉です。「昆虫が、最後の脱皮をして、成虫になること」を、「羽化」といいます。成虫になると、昆虫は、脱皮しません。
 ところが、ややこしいことが、あります。昆虫は、種によって、成長の仕方に、違いがあるのです。例えば、トンボとチョウとでは、以下のとおり、異なります。
 トンボは、「卵→幼虫(ヤゴ)→成虫」という具合に、成長します。チョウは、「卵→幼虫(イモムシなど)→蛹【さなぎ】→成虫」という具合です。違いますよね?
 トンボには、蛹という段階が、ありません。トンボ以外では、カゲロウや、セミなどが、同じように成長します。蛹の段階がなく、幼虫から、直接、成虫になります。
 蛹から成虫になる場合でも、幼虫から成虫になる場合でも、「羽化」です。つまり、「チョウの蛹から、チョウの成虫が出てくる」ことも、「トンボの幼虫が、脱皮して、成虫になる」ことも、「羽化」と呼びます。孵化ではありません。
 昆虫には、もっと別の成長の仕方をするものも、います。孵化や羽化という段階を、持たない場合も、あります。例えば、「成虫が、卵を産まずに、幼虫を産む」種がいます。これなどは、「孵化」の段階がないわけです。
 生物の用語は、辞書を引いてから使ったほうが、確実ですね。
 


図鑑↓↓↓↓↓には、400種の昆虫が掲載されています。それぞれの種に、成長段階の解説が、付いています。
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 過去の記事でも、孵化【ふか】や、羽化【うか】に関することを、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
●孵化【ふか】に関連する記事
 【魚類】睨みを利かせるお父さん? オヤニラミ(2008/06/13)
 【無脊椎動物】田んぼの生きている化石、カブトエビ(2007/06/08)
 【鳥類】郭公(カッコウ)はずるい鳥か?(2007/05/25)
 【爬虫類】雌(メス)しかいないトカゲがいる?(2007/03/06)
 【両生類】樹上に卵を産むモリアオガエル(2006/07/10)
 【昆虫】子どもの揺籠【ゆりかご】を作る虫、オトシブミ(2006/06/12)
●羽化【うか】に関連する記事【すべて昆虫】
 アブラゼミの羽化直後の観察(2007/07/18)
 とんぼの眼鏡は水色めがね? シオカラトンボ(2007/05/04)
 はかないようでしぶとい? カゲロウ(2006/09/04)
などです。


2008年8月27日

ハリガネムシ(針金虫)は、ヒトに寄生する?

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 寄生虫(寄生生物)というと、何となく、無気味に感じられますね。そのためか、都市伝説のように語られることも、珍しくありません。例えば、こんなふうです。
 「ハリガネムシという、針金そっくりの虫がいる。道にいるのを、針金だと思って拾うと、爪【つめ】の間から、指に入り込む。そうして寄生される」などというものです。
 もちろん、これは「伝説」です。本当ではありません。
 ハリガネムシという生き物がいるのは、本当です。外見が、針金に似るのも、本当です。けれども、ヒトに寄生することは、まずありません。
 厳密に言えば、ごく少数、ヒトに寄生した例があります。しかし、それは、交通事故に遭【あ】うより、ずっと少ない確率です。「交通事故に遭うかも知れないから、家から出るのをやめる」なんてことは、ありませんよね? 心配する必要は、ありません。
 ハリガネムシは、寄生生物です。寄生する相手――宿主【しゅくしゅ】といいます――は、昆虫です。カマキリに、よく寄生します。バッタなど、他の昆虫にも、寄生します。寄生するのは、ハリガネムシの幼虫だけです。成虫は、どんな生き物にも、寄生しません。
 普通に目にするハリガネムシは、成虫です。幼虫は、宿主の体内にいるため、見られないのですね。成虫は、淡水の中で生活します。成虫になると、物を食べません。
 何かの間違いで、ハリガネムシの成虫が、水へ入れないことがあります。そうすると、体が乾燥して、硬くなります。その状態が、「針金そっくり」なのですね。水に入れば、柔らかくなります。陸上でも水中でも、元気な時は、のたうつように動きます。
 近年まで、ハリガネムシは、類線形動物門【るいせんけいどうぶつもん】に属する、という説が、主流でした。最近では、線形動物門【せんけいどうぶつもん】類線形動物亜門【るいせんけいどうぶつあもん】ハリガネムシ目【もく】という説が、有力です。
 本やウェブサイトによっては、線形動物門ではなく、袋形動物門【たいけいどうぶつもん】となっていることもあります。これは、明らかに、古い分類です。
 生き物の分類は、たびたび変わります。調べものをするには、注意が必要ですね。



図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ハリガネムシは載っていません。けれども、ハリガネムシが寄生するカマキリや、バッタの仲間が、合わせて四十種以上が掲載されています。
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 過去の記事で、ハリガネムシが寄生するカマキリやバッタを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 精霊【しょうりょう】バッタとは、どんなバッタ?(2007/08/15)
 トノサマバッタの飛蝗【ひこう】発生?(2007/06/18)
 キリギリスは草食か肉食か?(2006/06/30)
 カマキリは雪を予知する?(2005/11/18)
 などです。


2008年8月25日

ウミユリ(海百合)は、海底に咲く花?

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 深海には、珍しい生き物が、多いですね。ウミユリが、その一つです。
 ウミユリは、棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】ウミユリ綱【こう】に属する「動物」です。広い意味でいえば、ウニやナマコやヒトデの仲間(棘皮動物【きょくひどうぶつ】)です。けれども、ウミユリは、ウニともナマコともヒトデとも、似ていません。
 名のとおり、ウミユリは、植物のように見えます。長い柄【え】で、海底に付いています。ゆっくりならば、移動もできます。柄の先に、花に似た部分があります。
 花びらに見えるのは、腕【うで】です。ヒトデの腕と同じもの、と思って下さい。ヒトデの腕と違うのは、細かい触手のようなもの――羽枝【うし】といいます――が、たくさん付いていることです。羽枝は、餌を取るのに、使われます。
 ウミユリの餌は、海水中の、小さな有機物です。生物の死骸の破片や、プランクトンなどですね。羽枝のある腕で、海水中の食べ物を、かき集めます。
 現生のウミユリは、すべて深海産です。最も浅いところでも、100mを越える海にいます。深いところでは、6000mほどの海にもいます。
 ウミユリは、生きている化石です。大昔、一億年ほど前までは、浅い海にもいたことが、わかっています。なぜ、現在のウミユリは、深海にしか、いないのでしょう? 
 じつは、現在の浅海には、ウミユリから進化した生き物がいます。ウミシダです。
 ウミシダ(海羊歯)も、棘皮動物門ウミユリ綱に属します。ウミユリ直系の子孫です。偶然ですが、やはり、植物のシダに似ます。ウミユリと違い、長い柄が、ありません。
 ウミシダと比べて、ウミユリには、何か、不利な点があるのですね。そのために、「暮らしにくい深海へと、追い出された」と考えられています。
 ウミユリよりも、ウミシダのほうが、活動的です。ウミシダは、かなりの速さで、歩いて移動できます。泳げる種も、多いです。長い柄がない分、有利なようです。
 ウミユリは、時代遅れの生き物かも知れません。しかし、深海で、たくましく生きています。大絶滅の時代を、何回もくぐり抜けました。生き物の大先輩ですね。



図鑑↓↓↓↓↓には、ウミユリは載っていません。そのかわり、ウミユリの直系の子孫、ウミシダの一種(ニッポンウミシダ)が掲載されています。
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 過去の記事で、ウミユリの仲間のウミシダを取り上げています。また、他の深海の生き物も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 本当にあった不思議なカレイの話(2008/01/25)
 植物? いえ動物です。ウミシダ(海羊歯)(2007/11/26)
 新種のクシクラゲ? 発見(2007/06/13)
 希少なサメ(鮫)、メガマウスの撮影に成功(2007/06/12)
 深海にすむ『サメハダホウズキイカ』定置網にかかる(2007/4/17)
などです。


2008年8月18日

スベスベマンジュウガニの名の由来は?

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 日本のカニ(蟹)のうち、最も有名なのは、何でしょうか? スベスベマンジュウガニかも知れません。名前が面白いですよね。
 スベスベマンジュウガニは、日本で、普通に見られるカニです。房総半島以南に分布します。深い海へ行かなくても、磯でも見られます。海水浴で、会えるかも知れません。
 なぜ、こんな種名が付いたのでしょうか? スベスベマンジュウガニは、オウギガニ科マンジュウガニ属の一種です。同じマンジュウガニ属の仲間に、アカマンジュウガニ、ホシマンジュウガニなどがいます。饅頭【まんじゅう】のように、丸っこいカニたちです。マンジュウガニの仲間で、「体がすべすべ」だから、スベスベマンジュウガニです。
 カニの中には、他にも、「スベスベ何とか」という種名のものがいます。例えば、スベスベオウギガニです。スベスベオウギガニは、イソオウギガニ科スベスベオウギガニ属に属します。体がすべすべなのは同じでも、スベスベマンジュウガニとは、遠縁です。
 ヤドカリの中にも、スベスベサンゴヤドカリという種がいます。ヤドカリ科サンゴヤドカリ属の一種です。この種も、きっと、体のどこかが「すべすべ」なのでしょう。
 中で、極めつけに、矛盾した種名のカニがいます。「スベスベケブカガニ」です。漢字で書けば、「すべすべ毛深蟹」です。なぜ、こんなに、変すぎる種名なのでしょうか?
 スベスベケブカガニは、ケブカガニ科スベスベケブカガニ属に属します。ケブカガニ科の一種なのに、毛深くないのですね。そこで、スベスベケブカガニと名づけたようです。「面白さを狙って、やったんじゃないか?」と、疑ってしまいますね(笑)
 さて、スベスベマンジュウガニというのは、日本語の名前です。国際的には、ラテン語の学名で、呼ばれます。スベスベマンジュウガニの学名は、Atergatis floridusです。Atergatis【アテルガティス】というのが、「マンジュウガニ属」を示します。
 このAtergatisとは、何と、女神の名前なのですね。古代シリアの魚の女神、アテルガティスから取っています。この女神は、アタルガティスAtargatisとも呼ばれます。
 マンジュウガニの何を見て、女神の名を付けたのでしょうか? これも面白いですね。



図鑑↓↓↓↓↓には、スベスベマンジュウガニが掲載されています。
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 目高蟹【めだかがに】とは、ツノメガニ?(2008/07/07)
 毛蟹【けがに】は、なぜ毛だらけ?(2007/11/30)
 カニでないカニがいる?(2006/12/24)
 タコノマクラの花びら模様は、いったい何?(2008/01/25)
 突然の人気者? スカシカシパン(2008/01/10)
などです。


2008年8月 4日

生物学で大活躍、オワンクラゲ

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 夏、海へ行くと、クラゲに会うことがありますね。クラゲは、嫌われることが多いです。「刺す」といわれるからですね。けれども、中には、人間の役に立つクラゲもいます。
 オワンクラゲが、その一つです。お椀【わん】(お碗【わん】)型の体をしているために、この名があります。日本近海で、普通に見られる種です。
 私の知る限り、ヒトが、オワンクラゲに刺された例は、ありません。危険でないクラゲです。海で会っても、安心して下さい。
 オワンクラゲは、「光るクラゲ」として、知られます。ただし、その光り方は、あまり目立ちません。傘のふちが、ほのかに青白くなる程度のようです。
 この光る性質こそが、人間の役に立ちます。オワンクラゲの持つ「光る物質」が、生物学の実験に使われます。その物質は、二種類あります。イクオリンaequorinという物質と、「緑色蛍光たんぱく質」(略称で、GFP)という物質です。
 イクオリンのほうは、カルシウムの実験に使われます。イクオリンは、カルシウムを感知して、発光するからです。イクオリンを使えば、生き物の体の中の、どこにカルシウムがたくさんあるか、すぐにわかります。「光る」性質のおかげですね。
 GFPのほうは、さまざまな遺伝子が、生き物の体のどこで働いているか、調べる場合に、使われます。その方法は、以下のとおりです。
 まず、調べたい遺伝子と、GFPを作る遺伝子とを、つないで一つにします。これを、生き物の体に入れます。その生き物に、ある特定の光を当てると、生き物の体の一部が、光ります。そこに、GFPが現われているのですね。ということは、GFPの遺伝子とつながれた遺伝子(本命の、調べたい遺伝子)も、そこで働いている、とわかります。
 最近、「光るマウス(ネズミ)」や、「光るブタ(豚)」や、「光るダイズ(大豆)」のニュースを、見たことがありませんか? これらは、前記の手順で作られています。
 光る生き物は、決して、遊びで作られるのではありません。生物の仕組みを知るための実験です。海を漂うクラゲが、こんな実験に役立つなんて、驚きですね。

 オワンクラゲの「光る物質」を使った実験のニュースは、以下に載っています。
 光るマウスなどの写真(大阪大学微生物研究所 附属遺伝情報実験センター)
 光るブタ、光る魚などの動画(YouTube)
 光るダイズ(大豆)の写真(閑甚日記inはまぞう 2008/02/08) 


図鑑↓↓↓↓↓には、オワンクラゲをはじめ、十種以上のクラゲが掲載されています。
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 過去の記事でも、クラゲの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ビゼンクラゲと同じ? 違う? スナイロクラゲ(2007/10/12)
 クラゲは刺胞【しほう】動物? 腔腸【こうちょう】動物?(2007/08/24)
 淡水にもクラゲがいる?(2007/08/06)

などです。


2008年7月25日

ヒトデ退治は法螺【ほら】じゃない? ホラガイ

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 日本近海にいる中で、最大の巻貝は、何という種でしょうか? おそらく、ホラガイ(法螺貝)でしょう。ホラガイの殻の高さは、40cmにもなることがあります。
 ホラガイは、暖かい海に棲みます。サンゴ礁の海に多いですね。日本では、小笠原諸島や、南西諸島の近海に多いです。関東以北の海には、寒くて棲めないようです。
 こんなに大きくなるために、ホラガイは、何を食べるのでしょうか? ヒトデです。特に、オニヒトデを食べることで、有名です。あの棘だらけのヒトデを、ものともしません。
 ホラガイは、オニヒトデしか、食べないわけではありません。ヒトデ類全般を食べます。
 ホラガイの近縁種にも、ヒトデを食べるものがいます。ボウシュウボラなどです。
 ボウシュウボラは、ホラガイと同じ、フジツガイ科ホラガイ属に属します。ホラガイよりは、涼しい海に多いです。でも、氷があるほど寒い海にはいません。日本近海では、ホラガイに次いで、二番目に大きい巻貝といわれます。殻の高さ20cmほどになります。
 海の生き物で、ヒトデを食べるものは、少ないです。ホラガイやボウシュウボラ(房州法螺)は、数少ない例外です。なぜ、彼らは、ヒトデを食べるのでしょうか?
 この理由は、「多くの生き物が、ヒトデを食べない理由」と、関係があります。
 ヒトデの仲間は、ヒトデサポニンという物質を、体に含んでいます。ほとんどの生き物にとって、この物質は、毒です。ヒトにも毒です。だから、ヒトデは、普通には食用にされませんね。一部で食用にされますが、食べ過ぎれば、毒になるはずです。
 ホラガイやボウシュウボラは、何らかの方法で、ヒトデサポニンを解毒するのでしょう。おかげで、普通なら食べられないものを、食べられるようになりました。
 これは、生きるうえで、とても有利ですね。他の生き物と、食べ物が競合しないからです。食べ物がなくなる可能性が、少ないのですね。
 ホラガイは、オニヒトデ退治の切り札として、期待されます。積極的に、オニヒトデを食べる生き物は、ホラガイくらいしかいないからです。けれども、ホラガイの生態は、まだ、よくわかっていません。過度に期待するのは、禁物でしょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、ホラガイも、ボウシュウボラも掲載されています。
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 過去の記事でも、ホラガイと同じ、巻貝の仲間を取り上げています。また、ホラガイの食べ物になるヒトデも、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 オニヒトデは、サンゴ礁の悪役?(2008/07/18)
 アワビという種名の貝はいない?(2008/01/14)
 貝と付いても貝じゃない? モミジガイ(2007/04/27)
 潮干狩りの悪役、ツメタガイ(2006/04/17)
 ヒトデは海のギャングスター?(2006/04/14)
 鉄の鱗【うろこ】を持つ貝、スケーリーフット(2006/04/02) ※日本語名を「ウロコフネタマガイ」という巻貝の解説です。
などです。

2008年7月18日

オニヒトデは、サンゴ礁の悪役?

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 2008年は、国際サンゴ礁年です。日本にも、美しいサンゴ礁がありますね。特に、南西諸島のサンゴ礁は、世界的に評価されています。
 残念ながら、日本のサンゴ礁も、その他の海域のサンゴ礁も、将来が安泰とは言えません。さまざまな原因で、痛めつけられているものが、多いです。
 サンゴ礁を食い荒らす「悪役」とされるのが、オニヒトデです。皆さんも、テレビなどで、見たことがあるのではないでしょうか? 棘だらけの、大きなヒトデです。
 オニヒトデを観察すると、不思議なことに気づきます。ヒトデなのに、腕が5本ではありません。普通のヒトデは、5本腕の星型(☆)をしていますよね。
 5本腕でないヒトデは、他にもいます。ヤツデヒトデや、タコヒトデなどです。ヤツデヒトデは、名のとおり、8本腕のものが多いです。タコヒトデは、たいへん腕の数が多く、20本以上もあります。オニヒトデは、14本から18本の腕を持ちます。
 なぜ、このように、腕が多いヒトデがいるのでしょうか? 理由は、わかっていません。
 腕が多いヒトデでも、子どもの頃は、5本腕です。成長するにつれ、腕の数が増えます。オニヒトデの場合、海底に定着してから、半年ほどで、14本以上の腕を持ちます。
 オニヒトデは、サンゴ礁のサンゴを食べます。しかも、時々、大発生します。大発生の時には、広い範囲のサンゴが、食害されます。これが、悪役とされる理由ですね。
 けれども、サンゴ礁が傷む原因は、オニヒトデだけとは限りません。「根本的な原因は、オニヒトデではないだろう」といわれます。もともと、サンゴが弱っているところへ、オニヒトデが取り付くようです。「諸悪の根源」みたいに言うのは、気の毒ですね。
 時おり、オニヒトデが大発生することは、何十年も前から、知られていました。その原因は、いまだ不明です。オニヒトデの生態は、あまり、わかっていないのですね。
 生態がわからないまま、駆除するのは、危険です。オニヒトデが、サンゴを食べることで、保たれる環境があるはずです。どんな生き物も、自然界で、それなりの役割を果たしています。下手に駆除すると、自然のバランスを、崩してしまうでしょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、オニヒトデが掲載されています。また、ヤツデヒトデなど、他種のヒトデも載っています。
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 過去の記事でも、ヒトデの仲間を取り上げています。また、ヒトデと同じ棘皮動物【きょくひどうぶつ】の仲間も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 タコノマクラの花びら模様は、いったい何?(2008/01/25)
 植物? いえ動物です。ウミシダ(海羊歯)(2007/11/26)
 貝と付いても貝じゃない? モミジガイ(2007/04/27)
 サンゴ礁の海を守るナマコ(2006/07/22)
 ヒトデは海のギャングスター?(2006/04/14)
などです。


2008年7月 7日

目高蟹【めだかがに】とは、ツノメガニ?

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 そろそろ、海開きの季節ですね。浜では、いろいろな生き物に会うことができます。
 中でも、カニの仲間は、親しまれていますね。暖かい海では、特に、たくさんのカニが見られます。日本では、南西諸島や小笠原諸島が、カニの宝庫です。
 沖縄県の石垣島に、カニについて、面白い歌が伝わっています。「アンパルヌミダガーマユンタ」という歌です。石垣島のカニたちを歌ったものです。
 「アンパル(網張)」とは、石垣市にある干潟の名です。歌は、そこに棲むカニの生態を、正確に写しているといわれます。アンパルには、コメツキガニ、ツノメガニ、オキナワハクセンシオマネキなど、多くのカニの種が、棲んでいます。
 この歌の主人公は、ミダガーマと呼ばれるカニです。標準語にすれば、「目高蟹【めだかがに】」という意味です。さて、ミダガーマとは、何という種のカニでしょうか?
 これには、いくつかの答えがあります。有力なのは、コメツキガニ説と、ツノメガニ説です。個人的には、ツノメガニ説に、軍配を上げたいですね。
 なぜなら、ツノメガニには、目立つ特徴があるからです。雄(オス)の目の先に、角のような突起があります。雌(メス)には、ごく小さな突起があります。「目高蟹」の名にふさわしいですね。とりわけ、雄は、目玉を立てて、威張っているようにも見えます。
 実際には、ツノメガニは、臆病【おくびょう】です。敵の目を逃れるため、主に、夜に活動します。昼間は、巣穴に潜っていることが多いです。
 ツノメガニは、スナガニ科スナガニ属に属します。スナガニ属のカニは、英語で、ghost crabと呼ばれます。「幽霊ガニ」という意味ですね。ミダガーマ(目高蟹)という、のんびりした響きとは、ずいぶん違います。なぜ、英語では、「幽霊」なのでしょう?
 これには、二つの説があります。一つは、「脚が速くて、幽霊のように、姿を見るのが難しいから」です。もう一つは、「幽霊のように、夜、こそこそと活動するから」です。
 石垣島の歌でも、ミダガーマが浜を行き来する様子が、歌われています。昔の人は、よく見ていました。このように、生き物への温かな眼差しを、忘れたくないものです。


図鑑↓↓↓↓↓には、ツノメガニ、ハクセンシオマネキなど、十種以上のカニが掲載されています。
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 過去の記事でも、カニの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 毛蟹【けがに】は、なぜ毛だらけ?(2007/11/30) 
 カニでないカニがいる?(2006/12/24) 
 夫婦なのに名が違う? ズワイガニとコウバコガニ(2005/11/11)
などです。

2008年6月20日

ヒトの祖先は、ナメクジウオ?




 先日、「脊椎動物【せきついどうぶつ】の祖先が、ナメクジウオだと判明した」ニュースがありました。ナメクジウオが、どんな生き物なのか、知る人は、少ないでしょう。
 ナメクジウオは、魚ではありません。「魚類の、一歩手前の動物」といえます。水中に棲むのは、魚と同じです。泳ぐより、海底の砂に潜っていることが、多いです。
 分類学的には、脊索動物門【せきさくどうぶつもん】頭索動物亜門【とうさくどうぶつあもん】頭索綱【とうさくこう】に属します。頭索綱は、ナメクジウオ綱【こう】とも呼ばれます。小型で、細長く、柔らかい体を持つグループです。
 脊椎動物【せきついどうぶつ】と、脊索動物【せきさくどうぶつ】とは、紛らわしいですね。この二つは、近いけれども、違うものです。脊索動物門【せきさくどうぶつもん】の中に、脊椎動物亜門【せきついどうぶつあもん】が含まれます。魚類も、両生類も、爬虫類、鳥類、哺乳類も、みな、脊索動物門の中の、脊椎動物亜門に属します。
 脊椎動物【せきついどうぶつ】が、何から進化したのかは、以前から、議論の的でした。ナメクジウオは、有力な候補でした。でも、他にも、候補がいたのです。
 脊索動物門の中で、脊椎動物亜門以外のグループとして、頭索動物亜門(ナメクジウオの仲間)以外に、尾索動物亜門【びさくどうぶつあもん】があります。尾索動物亜門には、サルパや、ホヤが属します。サルパやホヤと、ナメクジウオとでは、どちらが脊椎動物に近いのか、わかっていませんでした。それが、はっきりしたわけです。
 今回のニュースの意味は、「サルパやホヤより、ナメクジウオのほうが、脊椎動物に近い」ということです。ナメクジウオは、脊椎動物が生まれた頃の遺伝子を、よく残しています。彼らの遺伝子を調べれば、五億年以上も昔の、生き物の情報が、わかるそうです。
 この研究に使われたのは、フロリダナメクジウオという種です。北米のフロリダに分布します。日本にも、「ナメクジウオ」という種名のものが、分布します。
 ナメクジウオは、きれいな海水にしか、棲めません。そのため、世界各地で、環境汚染に追いつめられています。「進化の生き証人」を、絶滅させてはいけませんね。


 「ナメクジウオの全遺伝情報(ゲノム)を解読した」ニュースは、以下にあります。
 脊椎動物:祖先はナメクジウオ ヒトと遺伝子6割共通(毎日新聞 2008/06/19)
 国際チームがナメクジウオゲノムの解読に成功(日経プレスリリース 2008/06/19)

 今回の研究に使われた「フロリダナメクジウオ」を採集する様子が、以下のブログに載っています。
 ウォルナット・クリーク通信(2006/08/04)


図鑑↓↓↓↓↓には、日本産のナメクジウオが掲載されています。
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 過去の記事でも、ナメクジウオと同じ脊索動物【せきさくどうぶつ】を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 海中のイルミネーション? ヒカリボヤ(2007/12/10)
 ホヤは脊索【せきさく】動物? 原索【げんさく】動物?(2007/08/28)
 サルパとは、どんな生き物?(2007/05/31)
などです。


2008年6月10日

新種・珍種がざっくざく、南硫黄島【みなみいおうとう】

 

南硫黄島という島を、御存知ですか? 大部分の方は、聞いたこともないでしょう。日本の南の果てのほうの、無人島です。小笠原諸島に属します。
 この島で、最近、重大な生物の発見が、いくつもありました。以下に紹介しますね。
 一つは、昆虫の珍種の再発見です。絶滅したと思われた種が、生きていました。ハナアブ(花虻)の一種です。オガサワラハラナガハナアブという種です。
 この種は、1963年に、小笠原の父島と母島で、発見されました。ところが、その後、父島でも母島でも、生息が確認できませんでした。40年以上を経て、再発見です。
 オガサワラハラナガハナアブは、何を食べるのかすら、わかっていません。「ハエ目ハナアブ科ハラナガハナアブ属に属するらしい」と知られるだけです。
 貝の仲間でも、再発見がありました。ナカダノミガイと、タマゴナリエリマキガイです。どちらも、陸の巻貝(カタツムリ)です。両種とも、戦前に、父島で記録されたきりでした。やはり、絶滅したと思われていました。60年以上の空白が、あったわけです。
 ワラジムシの仲間でも、珍しい種が発見されました。節足動物門【せっそくどうぶつもん】軟甲綱【なんこうこう】等脚目【とうきゃくもく】ミズムシ亜目に属する種です。昆虫にも、ミズムシと呼ばれる仲間がいますが、それとは違います。
 この種が新種かどうかは、まだ、確認されていません。けれども、たいへん貴重な種なのは、確かです。なぜなら、陸に棲むからです。等脚目のミズムシには、これまで、陸に棲む種が、見つかっていません。今まで知られる種は、すべて、海水や淡水に棲みます。もしかしたら、南硫黄島のミズムシは、世界初の「陸生ミズムシ」かも知れません。
 その他にも、世界中で、南硫黄島にしかいない生き物が、確認されました。植物のエダウチムニンヘゴ、鳥類のクロウミツバメ、昆虫のミナミイオウヒメカタゾウムシなどです。
 これ以外にも、昆虫や、クモや、カタツムリの新種が見つかっています。希少な生き物も、多数、確認されました。日本にも、まだ、こんな生き物の楽園があるのですね。末永く、この楽園が、維持されて欲しいです。


 南硫黄島の調査の報告は、以下に載っています。※直接、pdfファイルにつながりますので、御注意下さい。
 【速報版】主な調査結果(平成19年07月25日現在)
 【調査結果速報版 第二弾】南硫黄島調査で得られた成果(追加判明分)(平成19年11月22日現在)


 過去の記事でも、小笠原諸島など、島の貴重な生き物を取り上げています。また、数十年の空白を経て再発見された生き物も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ダイトウウグイス復活!(2008/05/29)
 再発見! オキナワトゲネズミ(2008/03/07)

 海中のオブジェ? パイプウニ(2007/11/16)
 メグロはメジロと仲良し?(2007/11/12)
 大洋に生きるオガサワラトカゲ(2007/11/9) ※南硫黄島にもいるトカゲです。
 ヤシ? いいえシダの木です。マルハチ(2007/11/2) ※南硫黄島のエダウチムニンヘゴに近縁な植物です。
 虫が島を壊す? ナナツバコツブムシ(2007/6/28) ※南硫黄島のミズムシと同じ等脚目【とうきゃくもく】の生き物です。
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、マルハチ、ワラジムシ、オガサワラトカゲ、オガサワラオオコウモリ、オガサワラカワラヒワなど、南硫黄島に棲む生き物や、それらに近縁な生き物が掲載されています。
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2008年6月 2日

カワニナ(川蜷)は一種じゃない?

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 カワニナは、ホタル(蛍)の餌になることで、知られますね。淡水の、小さな巻貝です。最近は、ホタルのために、「カワニナ」を放流することが多いですね。
 ところが、それには、いくつかの問題があります。場合によっては、「カワニナ」の放流が、環境を破壊してしまいます。そんな事態には、したくありませんね。
 カワニナをよく知れば、そのようなことを防げます。以下で、説明しましょう。
 第一に、「カワニナ」と呼ばれる貝には、複数の種が含まれます。カワニナ科と、トウガタカワニナ科に含まれる種が、「カワニナ」と総称されます。ややこしいことに、カワニナという種名の貝もいます。種名カワニナは、カワニナ科に属します。
 カワニナ科と、トウガタカワニナ科には、多くの種が属します。これらのうち、ホタルの幼虫が食べるのは、種名カワニナと、チリメンカワニナ(カワニナ科に所属)という種だけです。他種の「カワニナ」を放流したら、ホタルのためになりません。
 カワニナ科、および、トウガタカワニナ科の貝は、どの種も似ています。普通の人には、区別が付けがたいです。けれども、種の区別は、しっかりしなければいけませんね。
 第二に、ホタルの種によって、食べる貝が違います。種名カワニナと、チリメンカワニナを食べるのは、ゲンジボタルという種です。他種のホタルを増やしたいなら、カワニナの放流は、無意味です。例えば、ヘイケボタルは、カワニナの仲間を食べません。
 第三に、種名カワニナは、地域変異が激しいです。「種名カワニナは、じつは、十種以上に分かれている」という研究者がいるほどです。これについては、結論が出ていません。が、よその地域の「カワニナ」は、違う種の可能性がある、と言えます。
 本来、地域にいなかった種を持ちこむのは、環境破壊につながります。今、アライグマなどの外来種が、問題になっていますよね。それと同じです。「同じ『カワニナ』だから」と、うっかり放流してはいけません。
 ビオトープなどを作って、自然に親しむのは、良いことです。でも、それには、正しい知識が必要です。正しい知識をもって、楽しく自然観察をしましょう。


 過去の記事で、ホタルを取り上げています。また、カワニナと同じく、淡水に棲む貝も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 魚と持ちつ持たれつ? イシガイ科の二枚貝たち(2007/04/02)
 ホタル(蛍)はなぜ光る?(2006/05/26)



図鑑↓↓↓↓↓には、カワニナが掲載されています。
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2008年5月30日

梅雨時のエイリアン? コウガイビル(笄蛭)

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 梅雨時ですね。この季節に、時おり「怪生物が出現!」と、騒がれる生き物がいます。
 それは、コウガイビルです。大部分の人は、聞いたこともないでしょう。いったい、どんな生き物でしょうか? 「ヒル(蛭)」と付いても、ヒルの仲間ではありません。
 コウガイビルは、プラナリア(ナミウズムシ)の仲間です。プラナリアは、生物学の実験に使われますね。扁形動物【へんけいどうぶつ】というグループに属します。ヒルは、環形動物【かんけいどうぶつ】という、別のグループに属します。
 コウガイビルには、複数の種があります。それらのうち、話題になるのは、ほとんどが「オオミスジコウガイビル(大三筋笄蛭)」です。なぜかといえば、この種が、たいへん大きくなるからです。無脊椎動物の中では、異例の大きさです。
 オオミスジコウガイビルは、とても細長いです。ひも状の体です。幅は、1cmもありません。なのに、長さは、50cmを越えます。時には、1mに達します。
 コウガイビルの外見は、多くの人に、嫌われそうです。質感が、ナメクジに似て、ぬめぬめ、べたべたしています。「ものすごく細長くて、巨大なナメクジ」が、這っているみたいです。そんなものに会ったら、普通の人は、仰天するでしょう。
 コウガイビルと、ナメクジとは、縁が遠いです。ナメクジは、軟体動物【なんたいどうぶつ】というグループに属します。コウガイビルの主な食べ物が、ナメクジです。他に、カタツムリやミミズが、コウガイビルに食べられます。肉食性なのですね。
 コウガイビルは、乾燥に弱いです。日光で体が乾かないように、夜行性です。昼間でも、雨の日は、活動することがあります。このため、梅雨時に、よく目撃されます。
 普通の人が思う以上に、コウガイビルは、身近に、たくさんいます。ヒトには無害です。生態は、よくわかっていません。日本に、どんな種がいるのかさえ、不明確です。
 「怪生物」オオミスジコウガイビルは、元来、日本にいなかったようです。東南アジアか、中国南部が原産地、と推測されています。植木の土などに混じって、日本へ来たのでしょう。その点では、エイリアン(よそから来た存在)と言えますね。


 過去の記事で、コウガイビルの食べ物になるナメクジや、カタツムリを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 カタツムリの殻は右巻き?左巻き?(2007/06/18)
 ナメクジは塩をかけると溶ける?(2006/06/23



図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、コウガイビルは載っていません。が、近縁なナミウズムシ(プラナリア)が掲載されています。
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2008年5月16日

ガーナの宝冠:西アフリカの希少な生き物たち




 今、横浜市が、アフリカに染まっています。第四回アフリカ開発会議が、横浜で開かれるからです。このブログも、便乗しますね(笑) アフリカの生物を、紹介しましょう。
 昨年(二〇〇七年)十二月に、西アフリカのガーナから、「多くの新種がいる」と発表されました。新種の発見場所は、アテワ自然保護区です。新種ばかりでは、ありません。これまで知られている種でも、希少なものの生息が、確認されました。
 例えば、カエルです。ラテン語の学名を、Conraua derooiという種がいます。日本語名は、ありません。アカガエル科ゴリアテガエル(ゴライアスガエル)属に属します。
 Conraua derooiは、「世界で最も絶滅に近いカエル」といわれます。今後、生き残る可能性があるのは、アテワに棲むものだけだ、と考えられています。
 鳥類では、モモグロサイチョウや、リベリアクロヒタキなどの生息が、確認されました。モモグロサイチョウは、サイチョウ科ナキサイチョウ属の鳥です。リベリアクロヒタキは、ヒタキ科クロヒタキ属に属します。どちらも、数が少ない種です。
 哺乳類では、霊長類(サルの仲間)で、絶滅に近い種が、確認されました。オリーブコロブスや、ラテン語の学名をColobus vellerosusという種(日本語名なし)などです。
 昆虫では、八種の新種が発見されました。すべて、キリギリスの仲間です。アテワでしか、生息が確認されていません。また、希少なチョウ(蝶)も、確認されました。ラテン語の学名を、Mylothris atewaという種です。日本語名は、ありません。シロチョウ科シロチョウ亜科に属します。モンシロチョウの類縁ですね。
 昆虫以外の節足動物でも、新種が発見されました。クモ綱【こう】クツコムシ目【もく】クツコムシ科の種です。クモとダニの中間のような姿をしています。ラテン語の学名を、Ricinoides atewaと名づけられたようです。
 魚類や植物でも、珍しい種が、確認されています。中でも、シダ植物のCyathea manniana(ラテン語の学名、日本語名はなし)は、興味深いです。この種は、ヘゴ科ヘゴ属に属します。木生シダといって、樹木になるシダです。Cyathea mannianaと似た種は、ブラジルとマダガスカルにしか、分布していないそうです。
 たった一つの自然保護区で、この様子です。アフリカ全体では、どれほどの生き物がいるのでしょう? この多様性を、保ち続けたいですね。


 西アフリカのガーナで発見/確認された生き物については、以下に載っています。
 ガーナの熱帯林で、キリギリスや節足動物など9種の新種、 希少な生物種を発見(コンサベーション・インターナショナル・ジャパン 2007/12/06)
 ガーナで、新種、希少種、絶滅危惧種【ぜつめつきぐしゅ】などを発見(コンサベーション・インターナショナル 2007/12/06) ※英語の解説です。
 新種動物をガーナで発見(OCCULuTION 2007/12/08) ※新種の節足動物(クツコムシ)などの写真が載っています。


 前記の、発見/確認された生き物の情報や、写真は、以下にもあります。
 最も絶滅に近いカエル、Conraua derooiの写真(Arkive) ※解説は英語です。
 アフリカ最大の蝶といわれるドルーリーオオアゲハの写真(ぷてろんワールド)
 シロチョウの一種Mylothris atewaの写真(ガーナの蝶たち) ※解説は英語です。

 クツコムシ目の解説(Wikipedia日本語版)

 シダ植物のCyathea mannianaの写真、全体像(metafro)
 シダ植物のCyathea mannianaの写真、ゼンマイ状の若葉(metafro)
 シダ植物のCyathea mannianaの写真、葉(metafro)

 横浜の、第四回アフリカ開発会議のサイト
 横浜の「アフリカ月間」の案内

2008年5月 2日

安物から高級食材へ、アカガイ(赤貝)

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 大型連休の季節です。気候がちょうど良いので、出かけたくなりますね。
 この季節のレジャーとして、潮干狩りはうってつけです。遊んだ後に、御馳走【ごちそう】まで手に入ります。二〇〇八年は、連休の後半、五月五日ころが、潮干狩りに適しています。五月五日が新月で、大潮だからです。
 潮干狩りの獲物といえば、アサリかハマグリですね。けれども、干潟【ひがた】には、他にも、たくさんの生き物がいます。思いがけないものが、捕れることもあります。
 私は、潮干狩りで、アカガイを捕ったことがあります。名のとおり、身が赤い二枚貝です。殻【から】に、くっきりした筋の模様が刻まれています。
 今でこそ、アカガイは、高級食材として知られます。しかし、昔から、そうだったわけではありません。高度成長期の前までは、東京湾周辺で、アカガイは「庶民の食べ物」だったそうです。安かったからです。それだけ、大量に捕れたのですね。
 地方によっては、昔は、アカガイを食べなかったといいます。私は、神奈川県で、そういう話を聞きました。結構いたのに、食べなかったそうです。その理由は、「身が赤いのが血のように見えて、気持ち悪いから」だと聞きました。
 今では、日本のどこでも、アカガイは、高級食材でしょう。情報伝達が行き届いたことと、大量に捕れなくなったことで、そうなりました。
 アカガイは、内湾の、泥底に好んで棲みます。そのような海の底には、酸素が少ないです。他の貝では、呼吸ができず、死に絶えるような環境でも、アカガイは生きられます。
 なのに、アカガイが減ったのは、どういうわけでしょうか?
 「内湾が埋め立てられやすい」ことが、理由の一つでしょう。海ごと埋められたら、貝が棲むどころではありませんね。もう一つの理由としては、「アカガイでも棲めないほど、海底の酸素が減った」ことが考えられます。
 内湾の環境は、人間の影響を受けやすいです。アカガイの減少に、人間の影響がないとは言えません。彼らが棲める環境を、取り戻したいですね。


 過去の記事でも、潮干狩りで会える生き物を紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 貝と付いても貝じゃない? モミジガイ(2007/04/27)
 潮干狩りの主役、アサリ(2006/04/27)
 潮干狩りの悪役、ツメタガイ(2006/04/17)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、アカガイ、潮干狩りで捕れるアサリやハマグリが掲載されています。
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2008年4月21日

イソギンチャクは逆さのクラゲ?

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 水ぬるむ季節ですね。磯遊びや、潮干狩りに出かける方もいるでしょう。そういうレジャーで、普通に見られるのが、イソギンチャクです。
 イソギンチャクは、ひらひらした触手が美しいですね。植物のように見えますが、動物です。刺胞動物【しほうどうぶつ】というグループに属します。
 同じ刺胞動物には、クラゲが属します。実際、クラゲとイソギンチャクは、体の構造が似ています。どちらも、口の周囲にたくさんの触手があります。そして、口が肛門を兼ねます。つまり、物を食べる口と、食べかすを排出する穴とが、同じです。
 イソギンチャクの場合は、一つしかない口を、上へ向けています。口と反対側の体の端で、海底にくっつきます。クラゲの場合は、上下が逆になります。口が下向きなのですね。体のほうは、お馴染みの笠型です。これで、水中を漂っています。
 日本の海岸で、よく見られるのは、ウメボシイソギンチャクや、ミドリイソギンチャクでしょう。どちらも、浅い海に多い種です。潮が引くと、陸になるところにもいます。
 イソギンチャクは、陸では、生きられません。ただし、短時間ならば、耐えられます。触手を縮めて、まさに「磯の巾着」のようになって、耐えています。
 ウメボシイソギンチャクには、面白い性質があります。彼らは、時々、「子ども」を産みます。口から、小さなイソギンチャクが、ぴゅっ、ぴゅっと吐き出されるのです。「子を産むイソギンチャク」として、ウメボシイソギンチャクは、有名でした。
 ところが、近年、ウメボシイソギンチャクが「子を産む」のは、誤解だと判明しました。彼らが産むのは、自分の「子ども」ではありません。「クローン」です。遺伝子的に、まったく、自分と同じ個体です。自分のコピー(複製)ですね。
 ウメボシイソギンチャクは、体内の組織の一部を、切り離します。それを、体内で「培養」します。やがて、小さなイソギンチャクが育ち、口から吐き出されます。
 すべてのイソギンチャクが、このように増えるわけではありません。イソギンチャクの仲間は、とても多様です。彼らの不思議な暮らしぶりは、いずれまた紹介しましょう。


 過去の記事でも、イソギンチャクや、その仲間の刺胞動物【しほうどうぶつ】を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 クラゲは刺胞【しほう】動物? 腔腸【こうちょう】動物?(2007/08/24)
 海藻【かいそう】? いいえ、イラモはクラゲです(2007/07/16)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、ウメボシイソギンチャク、ミドリイソギンチャクなどのイソギンチャク類が掲載されています。
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2008年3月21日

ムカデのプロポーズは、命がけ?

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 卒業式の季節ですね。卒業式といえば、「告白タイム」という考えは、古いでしょうか。
 異性に思いを伝えるのは、大変ですね。ヒト以外の生き物でも、それは同じです。
 例えば、ムカデです。嫌われることが多い生き物ですね。でも、健気【けなげ】なところもあります。雄(オス)が求愛する様子には、感心します。
 ムカデには、たくさんの種があります。ここでは、オオムカデ目のムカデを、例に挙げましょう。日本で、普通に見られるムカデです。トビズムカデなどの種が、含まれます。
 オオムカデの仲間は、必ず、雄のほうからアプローチします。雄は、雌(メス)にそっと近づきます。そして、触角や脚で、雌に触ります。いきなり触るなんて、ヒトなら、「失礼ね!」と言われるところですね。けれども、ムカデは、目が発達していません。たぶん、ムカデの言葉で、「ねえねえ彼女~」と言いながら、触るのでしょう(笑)
 この時、雄は、雌の横や後ろから触ります。真正面からは、決して、触らないようです。なぜなら、雌に攻撃されるおそれがあるからです。
 これは、肉食性の無脊椎動物には、よく見られる行動です。クモなどでも見られます。ムカデやクモは、基本的に、動くものを、「食べ物」とみなすのですね。生き物は、動くものだからです。たとえ同種でも、顔の前に動くものが来たら、攻撃してしまいます。
 ただし、結婚する気がある雌は、別です。「雄がプロポーズしている」と気づけば、おとなしく、雄の後に付いてゆきます。
 やがて、雄は、精子入りのカプセルを、地面に置きます。置くやいなや、さっと逃げ去ります。そうしないと、またもや、雌に攻撃されるおそれがあるからです。雌は、精子のカプセルを受け取った瞬間、雄のことを忘れてしまうようです。
 ムカデの雄は、大変ですね。雌の様子を、すばやく見抜かなければなりません。ぐずぐずすると、雌に食べられてしまいます(!)
 ムカデに比べれば、ヒトは、まだ気楽ですね。女性にふられても、普通は、命までは取られません。野生生物が、子孫を残すのは、厳しいことなのですね。


 過去の記事でも、ムカデの仲間を取り上げています。ムカデと似たヤスデも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ヤスデが列車を止める?(2007/10/01)
 実在する猫バス? ゲジゲジ(2007/03/09)
 ムカデとヤスデはどう違う?(2006/10/15)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、トビズムカデが掲載されています。
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2008年3月 8日

六本脚【あし】のタコ(蛸)がいる?

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 英国から、びっくりニュースが届きました。「脚が六本しかないタコ」が見つかったそうです。西北イングランドにある、ブラックプール海洋生物センターでのことです。
 タコといえば、普通は「八本脚」ですよね。俗に「タコの脚(足)」と呼ばれるのは、専門的には、「腕【うで】」と呼ばれます。タコの腕は、簡単に、数が変わるのでしょうか?
 そんなことはありません。先の海洋生物センターによれば、「こんな例は、これまで、世界のどこでも確認されていない」そうです。少なくとも、確認された範囲では、世界初の「六本腕のタコ」です。この個体には、ヘンリーHenryという愛称が付けられました。
 このタコは、六本腕の新種なのでしょうか? 今のところ、そうではなさそうです。普通のタコの一種なのに、生まれつき、腕の数が少ないとのことです。
 このタコが、何という種なのか、知りたいですね。残念ながら、現時点では、このタコの種が何なのか、発表されていません。仮に「ヘクサパスhexapus」と呼ばれています。
 じつは、「普通のタコが、なぜ、八本腕なのか?」は、わかっていません。六本腕のタコが、元気そうなところを見ると、八本でなければならない理由は、なさそうです。
 タコの祖先は、八本より、ずっと腕の数が多かったことが、わかっています。「生きている化石」オウムガイを御存知ですか? オウムガイは、タコの祖先の形に近いです。普通のタコより、はるかに腕が多いです。
 オウムガイの「腕」は、タコよりも、ずっと細いです。「腕」というより、「触手」ですね。その数は、なんと、九十本ほどもあります。大昔のタコの祖先も、同じように、細い触手を、たくさん持っていました。進化するにつれ、数が減ったのですね。
 「進化」とは、どんどん複雑になることだ、と思う方がいるようです。それは、違います。簡単な構造の生物が、複雑な構造になることばかりが、進化ではありません。複雑な構造の生物が、簡単な構造になることもあります。
 今回の発見は、タコが、六本腕でも生きられることを示しました。もしかしたら、私たちは、「タコの進化の瞬間」を、目撃しているのかも知れませんね。


 「六本腕のタコ」のニュースは、以下にあります。
 珍しい6本足のタコが見つかる=英国(時事通信 2008/03/04)
 世界初の六本脚の「ヘクサパス」【英語です】(Discovery News 2008/03/03) 
 「六本腕のタコ」が飼育されている「ブラックプール海洋生物センター」のサイトです。英語が読める方は、見に行くと興味深いでしょう。
 ブラックプール海洋生物センター


 過去の記事でも、タコや、その仲間のオウムガイを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 シマダコは、縞ダコか島ダコか?(2008/003/3)
 タコ(蛸)の旬【しゅん】は冬か夏か?(2007/02/19)
 四億年前からの生き残り? オウムガイ(2006/10/26)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、マダコなど、タコの仲間が六種、オウムガイが掲載されています。
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2008年3月 3日

シマダコは、縞ダコか島ダコか?

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 二〇〇八年は、国際サンゴ礁年です。これにちなみ、サンゴ礁の生き物を紹介しましょう。日本では、南西諸島や、小笠原諸島の近海にいる生き物です。
 シマダコという名を、聞いたことがあるでしょうか? タコの一種です。南日本以南の太平洋に、広く分布します。主に、奄美諸島以南にいます。サンゴ礁の海に多いです。
 シマダコは、タコの仲間で、最も分布域が広いのでは、といわれます。日本近海から、南太平洋の孤島、イースター島付近にまで分布します。
 タコといえば、日本人は、食べられるのかどうかが気になりますね(笑) シマダコは、美味しく食べられます。南西諸島や小笠原諸島で、盛んに食べられているようです。
 多くの日本人は、気づかずに、シマダコを食べている可能性があります。シマダコは、たこ焼きの材料に、よく使われているからです。インドネシアから、「たこ焼き用のタコ」として、輸入されています。切り身にされたら、タコの種なんて、わかりませんね。
 シマダコの体には、特徴的な模様があります。赤褐色の地に、白い斑点が連なっています。とてもきれいです。しかも、大型のタコなので、見栄えがします。斑点の模様が、縞【しま】模様に見えるため、「縞ダコ」と名づけられました。
 ところが、シマダコ以外のタコが、「シマダコ」と呼ばれることがあります。ややこしいですね。沖縄では、別の種のタコを、「シマダコ」と呼ぶようです。
 沖縄の人たちは、地元産のものに、「島」を付けて呼びます。彼らが、「シマダコ」と呼ぶのは、「島ダコ」の意味ですね。これを知らないまま、沖縄の人と、タコの話をしたら、大混乱でしょう。
 シマダコは、蛸壺【たこつぼ】には入らないといわれます。タコのうち、サンゴ礁の海に棲むものには、みな、その傾向があります。その理由は、サンゴ礁に、溝【みぞ】などが多いからです。タコにとっては、隠れ家が多いのですね。わざわざ、蛸壺に入る必要がありません。このために、サンゴ礁の海では、蛸壺の漁が発達しませんでした。
 サンゴ礁の生き物には、思いもよらない生態がありますね。興味が尽きません。


 過去の記事でも、タコの仲間を取り上げています。また、国際サンゴ礁年についても取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 国際サンゴ礁年とは、どんなもの?(2007/12/24)
 タコ(蛸)の旬【しゅん】は冬か夏か?(2007/02/19)
 四億年前からの生き残り? オウムガイ(2006/10/26)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、シマダコが掲載されています。
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2008年2月18日

海中を泳ぐ槍【やり】? ヤリイカ

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 イカを知らない日本人は、いないでしょう。食用として、馴染み深いですね。とんがった体に、十本の腕がある姿が、知られています。
 イカの形は、種によって、少しずつ違います。中でも、特に尖った形をしているのが、ヤリイカです。槍の名のとおりです。英語でも、spear squid(槍イカ)と呼ばれます。
 ただし、ヤリイカは、雄(オス)と雌(メス)とで、だいぶ形と大きさが違います。
 雄は、まさに、ヤリイカの名にふさわしいです。胴の長さが40cm以上にもなり、細長く尖っています。雌は、雄よりずっと小型です。胴の長さ25cmほどにしかなりません。形も、雄よりずんぐりしています。細長いケンサキイカという感じです。
 ヤリイカの凸凹カップルは、繁殖期に見られます。繁殖期は、海域により異なります。伊豆などの温かい海では、真冬が繁殖期になります。北海道などの冷たい海では、春になるようです。ヤリイカの場合、繁殖期が漁期になります。
 繁殖期のヤリイカは、岸の近くにやってきます。岸近くの岩礁に、産卵するからです。そこを、網や釣りで捕るのですね。繁殖期以外には、沖にいます。
 ヤリイカの雄は、雌の産卵に付き添います。このような付き添い行動は、ヤリイカに限りません。多くのイカに見られます。その理由は、わかっていません。人間の立会い出産みたいで、微笑ましいですね。生き物をやたらに擬人化するのは、いけませんが。
 最近では、イカは、観賞用としても人気があります。ダイビングで、イカの行動を観察するのですね。産卵行動は、微笑ましさのためか、特に人気があるようです。しかし、ヤリイカの繁殖は、夜に行なわれます。夜に潜らないと、観ることができません。
 ヤリイカは、生物学の研究にも、寄与しています。とても太い神経線維【しんけいせんい】を持つからです。神経の研究をするのに、最適です。
 ところが、ヤリイカは、非常に飼育が困難でした。研究以前に、飼育ができない時代が、長く続きました。でも、先人の苦労のおかげで、今は、飼育ができます。私たちが、新鮮なヤリイカを食べられるのは、じつは、神経の研究者のおかげなのですね。


 過去の記事でも、イカの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
深海にすむ『サメハダホウズキイカ』定置網にかかる(2007/04/17)
ホタルイカはなぜ光る?(2007/04/12)
世界最大のイカは、ダイオウイカではない?(2007/02/23)
深海のイカ、続々と生態を解明中(2007/02/23)
コウイカとヤリイカはどう違う?(2006/11/10)
などです。
 


図鑑↓↓↓↓↓には、ヤリイカをはじめ、十種ほどのイカが掲載されています。
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2008年1月29日

サザエ

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 この切手は、1966-67年に、魚介シリーズで出されたものです。この魚介シリーズは、有名な日本画家に依頼して12種の切手が発売されているそうです。 サザエ 切手画像
和名:サザエ
学名:Turbo (Batillus) cornutus
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

日本切手 山口蓬春/画【1967年 魚介シリーズ】




図鑑↓↓↓↓↓には、サザエが掲載されています。
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2008年1月27日

蛤【ハマグリ】

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 この切手は、1987-89年に奥の細道シリーズで出されたものです。芭蕉の「蛤のふたみに別行秋ぞ」と詠んだ句も印刷されていますね。ハマグリの絵はどなたの絵なのでしょうね。 ハマグリ 切手画像
和名:シナハマグリ
学名:Meretrix petechialis
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

日本切手 【1987-89年 奥の細道シリーズ】


 過去のハマグリを取り上げた記事は、以下をご覧ください。
 縄文時代からの御馳走、ハマグリ?(2006/02/24)




図鑑↓↓↓↓↓には、チョウセンハマグリが掲載されています。
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2008年1月25日

タコノマクラの花びら模様は、いったい何?

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 タコノマクラという名前の生き物を、御存知ですか? 最近は、生き物の中の「珍名さん」として、有名かも知れませんね。
 タコノマクラは、ウニの仲間です。正確には、棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】ウニ綱【こう】の生き物です。ウニ綱の中の、タコノマクラ目タコノマクラ科に属します。
 同じタコノマクラ目に、スカシカシパンも属します。スカシカシパンも、「珍名さん」として、有名なウニですね。ただし、タコノマクラとは、少し分類が違います。タコノマクラ目のうちの、スカシカシパン科に属します。
 タコノマクラやスカシカシパンは、ウニとは思えない形をしています。球形でなく、平たい円形です。そのうえ、棘が短いです。これが、タコノマクラ目の特徴です。
 タコノマクラの表側(上側)には、五枚の花びらのような模様があります。似た模様が、カシパンの仲間にもあります。これは、いったい、何でしょうか?
 この模様は、ウニの体の構造と、関係があります。花びら模様は、五枚ありますよね。これは、ウニの体が、「五」という数を基本に、できているからです。
 ウニだけではありません。ヒトデやナマコやウミシダなど、棘皮動物【きょくひどうぶつ】の仲間は、みな、「五」を基本にできています。
 わかりやすいのは、ヒトデですね。ヒトデの体は、星型☆です。五本の腕がありますね。
 普通のウニにも、「五」に基づいた模様があります。ウニの標本を、見てみましょう。棘をすべて取ってしまうと、棘のあった場所が、五本の帯のように見えます。
 タコノマクラや、カシパンも、ウニの仲間です。「五」に基づいた体の構造が、「五枚の花びら模様」に反映しています。
 なぜ、棘皮動物が、「五」を基本にしているのかは、わかっていません。
 タコノマクラは、名前の由来も、話題になります。この名の由来も、不明です。タコが、実際に、タコノマクラを枕にするのは、観察されていません。
 こんな楽しい名前を、正式な日本語名にした学者さんに、拍手を贈りたいですね。


 過去の記事でも、ウニの仲間を取り上げています。また、ウニと同じ棘皮動物のヒトデなども、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 突然の人気者? スカシカシパン(2008/01/10)
 神津島からのレポート(2007/07/30) ※タコノマクラの画像があります。
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、
タコノマクラやスカシカシパンなど、他のウニが掲載されています。
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2008年1月14日

アワビという種名の貝はいない?

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 アワビは、縁起が良いとされる食べ物の一つですね。縄文時代から、日本人に親しまれています。巻貝の仲間ですが、漢字では、「鮑」・「鰒」などと、魚へんで書かれます。
 親しまれる割に、アワビの実態は、知られていません。例えば、「アワビ」という種名の貝がいないことは、御存知ですか?
 アワビとは、おおむね、ミミガイ科アワビ属に属する貝の総称です。ただし、アワビ属でも、アワビと呼ばれない種もあります。逆に、アワビ属とはまったく遠縁なのに、アワビと呼ばれる種もあります。普通に食用にされる「アワビ」は、マダカアワビ、メガイアワビ、クロアワビ、エゾアワビなどです。このうち、エゾアワビは、クロアワビの亜種です。北海道などの北方系の海に分布します。他の二種は、クロアワビとは別種です。
 アワビ属の貝は、みな似ています。種の区別が難しいです。混同される種が、少なくありません。特に、メガイアワビとクロアワビは、同種だと誤解されがちです。
 メガイアワビの「メガイ」とは、女貝【めがい】の意味です。昔、メガイアワビは、クロアワビの雌(メス)だと思われました。そのため、こんな名が付いたのですね。対して、クロアワビは、「オン」、「オガイ」などと呼ばれました。男貝【おがい】の意味ですね。本当は、メガイアワビとクロアワビは、別種です。両種ともに、それぞれ雌雄がいます。
 種が違えば、旬【しゅん】も違います。じつは、アワビ全体が旬になる時期は、存在しません。種により、食べて美味しい時期が違います。それは、産卵期に左右されます。
 アワビの仲間は、産卵期の前が旬です。エゾアワビの場合なら、冬から春が旬です。水温の上がった夏に産卵するからです。マダカアワビ、メガイアワビ、クロアワビの場合は、夏が旬です。水温の下がった秋に産卵するからです。
 どの種のアワビでも、産卵する水温は、だいたい同じです。棲む海域により、水温が違うために、こうなるのですね。寒い海のエゾアワビは、暖かい時期に産卵します。暖かい海のマダカアワビなどは、涼しい時期に産卵するわけです。
 今の季節なら、エゾアワビが旬ですね。美味しいエゾアワビをいただきたいものです。


 過去の記事でも、アワビと同じ巻貝の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 カタツムリの殻は右巻き?左巻き?(2007/06/18)
 いじめると雨が降る? アメフラシ(2007/04/23)
 潮干狩りの悪役、ツメタガイ(2006/04/17)
 鉄の鱗【うろこ】を持つ貝、スケーリーフット(2006/04/02)
 ハダカカメガイ(クリオネ)は流氷の天使か?(2006/01/09)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、メガイアワビ、クロアワビが掲載されています。
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2008年1月10日

突然の人気者? スカシカシパン

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 生き物の中には、奇妙な名前を持つものがいます。私の感覚では、海の生き物に、多い気がしますね。スベスベマンジュウガニ、などというカニが、実在しますから。
 そんな「珍名さん」生き物の一種に、スカシカシパンがいます。漢字で書けば、「透かし菓子パン」です。ウニの一種で、海の砂地に棲みます。
 冗談みたいな名前ですよね。けれども、正式な日本語名です。(国際的に通じる学名は、ラテン語で、Astriclypeus manniです)なぜ、こんな名前が付いたのでしょう?
 実物を見れば、納得できます。平たい円形で、菓子パンにそっくりです。体には、五ヶ所、スリットのような穴があります。だから「透かし」カシパンなのですね。
 カシパンと呼ばれるウニは、他にもいます。ヨツアナカシパン、ハスノハカシパンなどです。それぞれ、「四つ穴菓子パン」、「蓮の葉菓子パン」の意味です。ヨツアナカシパンは、生殖孔【せいしょくこう】が四つあることから、名づけられました。ハスノハカシパンは、形が蓮の葉に似ていることから、名づけられました。
 ウニといえば、普通は、球形ですね。そして、全身、棘だらけです。
 しかし、中に、平たい円形の種がいます。そういうウニは、みな棘が短いです。ウニには見えません。そういった種は、たいてい、「○○カシパン」と名づけられています。
 「珍名さん」ウニとしては、他に、タコノマクラという種がいます。漢字で書けば、「蛸の枕」です。あの、八本脚のタコの枕、という意味です。
 タコノマクラは、カシパンの仲間と近縁です。どちらも、ウニ綱【こう】タコノマクラ目【もく】に属します。そのため、形が似ています。平たい円形で、棘が短いです。
 普通のウニは、棘で身を守ります。でも、タコノマクラやカシパンの仲間は、棘が発達していません。どうやって、身を守るのでしょう?
 カシパンの仲間は、海底の砂に潜ります。タコノマクラは、貝殻や小石を身に付けます。こうすることで、敵の目から逃れています。スカシカシパンの「透かし穴」は、砂の中で、動きやすくする役割があるようです。


 最近、芸能人の中川翔子さん(愛称:しょこたん)のブログをきっかけに、スカシカシパンは、人気が出ました。スカシカシパンにちなんだ、本物の「菓子パン」が発売されるそうです。
 「しょこたんぶろぐ」から菓子パン誕生 「スカシカシパン」ローソンで発売へ


 静岡県の西伊豆町で、スカシカシパンについて、面白い調査が行なわれています。なんと、「スカシカシパンの里親制度」があります。普通の人でも、スカシカシパンの里親になれます。ぜひ、以下のページを見に行ってみて下さい。
 西伊豆 安良里ダイビングセンター(トップページ)
 スカシカシパンプロジェクトのページ


 過去の記事でも、カシパンと同じウニの仲間を取り上げています。また、日本語名と学名の違いについても取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 海中のオブジェ? パイプウニ(2007/11/16)
 棘だけでは足りない? ウニの防御作戦(2007/8/11)
 神津島からのレポート(2007/7/30) ※タコノマクラの写真があります。
 学名ってなんですか?(2005/9/30)



図鑑↓↓↓↓↓には、スカシカシパン、タコノマクラ、スベスベマンジュウガニなど、「珍名さん」の生き物が、何種か掲載されています。
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2007年12月24日

国際サンゴ礁年とは、どんなもの?

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 そろそろ、来年の話をしても、鬼が笑わないでしょう。そこで、二〇〇八年の「国際サンゴ礁年」の話をしますね。
 国際サンゴ礁年とは、世界各国で、サンゴ礁の理解を深めようという運動です。サンゴ礁なんて、私たちの生活に関係なさそうですね。ところが、大いに関係があります。
 例えば、サンゴ礁は、多くの生き物のすみかになっています。サンゴ礁がなくなれば、膨大な数の生き物が、滅びるでしょう。海の恵みがなくなったら、世界で、何億人もの人が、飢えてしまいます。日本人も、例外ではないはずです。
 こんなに大切なのに、サンゴ礁のことは、あまり知られていません。国際サンゴ礁年にちなんで、サンゴ礁と、それを作るサンゴの紹介をしましょう。
 サンゴ礁は、いろいろな形をしています。木の枝みたいな形、テーブルみたいな形、屏風【びょうぶ】やカーテンみたいな形、ごろんと丸い形、などです。色も、緑やら、褐色やら、ピンクやら、さまざまです。形や色が違うと、サンゴの種が違うのでしょうか?
 じつは、サンゴ礁の形や色からは、サンゴの種は、決められません。同じ種のサンゴでも、外見がまったく違うことが、珍しくありません。逆に、違う種なのに、そっくりなこともあります。サンゴの分類は、専門家でも間違いやすいほど、難しいです。
 サンゴ礁を作るサンゴには、ミドリイシと呼ばれるサンゴのグループが、多いです。ミドリイシの仲間は、特に、種の区別が困難です。互いに似ているからです。他に、ハナヤサイサンゴ、アオサンゴ、ハマサンゴなど、多くの種が、サンゴ礁を作ります。
 すべてのサンゴが、サンゴ礁を作るわけではありません。サンゴ礁を作らない種もいます。また、すべてのサンゴが、熱帯の浅い海にいるわけでもありません。温帯の海や、深海に棲むサンゴもいます。サンゴは、たいへん種が多いのです。生態も多様です。
 サンゴ礁のサンゴは、太陽光を、たっぷり必要とします。このため、サンゴ礁は、光が当たりやすい形に成長します。同じ種のサンゴでも、場所により、違う形になるのは、これが理由です。サンゴ礁は、その場に合わせて、ふさわしい形になるのですね。


 「国際サンゴ礁年2008」には、公式ウェブサイトがあります。また、「サンゴ礁保全研究プロジェクト」のサイトなどもあります。興味がおありの方は、一度、覗いてみて下さい。
 国際サンゴ礁年2008
 サンゴ礁保全研究プロジェクト


 過去の記事でも、サンゴや、サンゴ礁に棲む生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 宝石の珊瑚【さんご】はサンゴ礁のサンゴか?(2007/3/5)
 サンゴ礁の海を守るナマコ(2006/7/22)
 サンゴ礁と台風の関係(2005/9/2)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、アオサンゴ、ハナヤサイサンゴ、ミドリイシなどのサンゴが掲載されています。
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2007年12月10日

海中のイルミネーション? ヒカリボヤ

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 クリスマスが近づくと、街中がきらびやかですね。イルミネーションで飾るところが、多くなりました。これらの明かりは、電気の賜物ですね。
 生き物の中には、電気など使わずに、光るものがたくさんいます。今回は、そんな生き物の一つを紹介しましょう。ヒカリボヤです。海の生き物です。
 ヒカリボヤは、ホヤ(海鞘)やサルパに近縁です。ホヤとサルパは、以前、ここのブログで紹介しましたね。脊索動物【せきさくどうぶつ】というグループの生き物です。
 ヒカリボヤは、脊索動物の中の、尾索動物亜門【びさくどうぶつあもん】タリア綱【こう】に属します。ホヤよりも、サルパのほうに、より近縁です。
 ヒカリボヤの形は、筒型です。海中では、透明な筒が泳いでいるように見えます。
 大きさは、ヒカリボヤの種によって違います。条件が良いと、非常に大きくなる種もあります。ナガヒカリボヤなどは、筒の長さが、十mを越えることもあるそうです。
 海で、そんなものに遭ったら、びっくりですよね。伝説にいう海の怪物(シーサーペントなど)の一部は、ヒカリボヤを見間違えたのではないか、といわれます。
 ヒカリボヤは、一個体で、こんなに大きくなるのではありません。たくさんの小さな個体が集まって、筒型になります。このような生き物を、群体生物といいます。
 ヒカリボヤの、本当の一個体の大きさは、ミリ単位です。個体一つ一つが、水を出し入れする穴を持ちます。筒の外側に入水孔、内側に出水孔です。外側から海水を入れて、筒の中の穴に出すのですね。この海水の流れによって、ヒカリボヤは泳ぎます。
 名のとおり、ヒカリボヤは光ります。イルミネーションのように、体の一部から別の部分へと、光が移ってゆきます。この光は、彼ら自身が出すのではありません。体内に棲む細菌が、光ります。なぜ、そんな細菌と、ヒカリボヤが共生しているのかは、不明です。
 ヒカリボヤの仲間は、わからないことだらけです。研究が進んでいないからです。この美しさの謎が、解かれる日が待ち遠しいですね。


 過去の記事でも、ヒカリボヤと同じ脊索動物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ホヤは脊索【せきさく】動物? 原索【げんさく】動物?(2007/8/28) 
 サルパとは、どんな生き物?(2007/5/31)
 原始的に見えても魚に近い? ホヤ(海鞘)(2006/8/28)
などです。
 


図鑑↓↓↓↓↓には、ヒカリボヤの一種も掲載されています。
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2007年11月30日

毛蟹【けがに】は、なぜ毛だらけ?

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 寒くなると、食べ物が美味しくなりますね。「北海道で、カニ三昧【ざんまい】したいなあ」なんて、考えてしまいます。私が食いしん坊だからでしょうか(笑)
 北海道の有名な食材として、ケガニがありますね。名のとおり、毛だらけのカニです。東北以北の海に分布します。クリガニ科に属します。
 じつは、ケガニは、昔は違う名でした。オオクリガニという名です。クリガニ(栗蟹)の仲間で、大型であることから、オオクリガニ(大栗蟹)と名づけられました。
 ケガニというのは、通称だったのですね。いつの間にか、通称のほうが、正式名みたいになってしまいました。今も、学術的には、オオクリガニと呼ばれることがあります。
 ケガニことオオクリガニには、似た種があります。クリガニとトゲクリガニです。みなクリガニ科に属します。どの種も毛だらけです。
 クリガニとトゲクリガニも、食用になります。ややこしいことに、クリガニやトゲクリガニが、「毛ガニ」といって売られることがあります。外見がそっくりなため、混同されやすいのですね。これでは、買うほうは迷います。あまりにも安い「毛ガニ」は、オオクリガニでなく、クリガニかトゲクリガニと疑ったほうが、いいかも知れません。
 ケガニの仲間は、なぜ、毛だらけなのでしょう? この理由は、まだ、よくわかっていません。防寒用でないことは、確かです。カニやエビなどの「毛」は、哺乳類と違って、保温のためにあるのではありません。
 では、何のためかといえば、「周囲の動きを感知するため」です。毛が動くことによって、周囲の水の流れなどが、わかります。毛がたくさんあれば、接近する敵の気配などを、敏感に感じられるでしょう。生きるのに、有利ですね。
 それなら、すべてのカニが、毛だらけになりそうなものです。実際には、そうなっていませんね。なぜ、ケガニの仲間ばかりが毛だらけなのか、謎が残っています。
 最後に、ケガニの旬【しゅん】について、お教えしますね。ケガニ(オオクリガニ)の旬は、冬よりも、夏から秋だそうです。美味しい時期を逃さずに、食べたいですね。


 過去の記事でも、カニやヤドカリの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 カニでないカニがいる?(2006/12/24) 
 夫婦なのに名が違う? ズワイガニとコウバコガニ(2005/11/11) などです。
 


図鑑↓↓↓↓↓には、ケガニ(オオクリガニ)も掲載されています。
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2007年11月29日

生物は地下で誕生した? 地下展

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 「地下展」という展覧会へ行ってまいりました。東京の、日本科学未来館で開催中の催しです。名のとおり、地下のこと全般を取り上げている展覧会です。
 「おや? ここは生き物系のブログじゃなかった?」という声が聞こえそうです。もちろん、そのとおりです。「地下展」では、地下に棲む生き物についても取り上げています。その内容が、たいへん興味深かったため、ここで紹介することにしました。
 地下の生き物には、どんなものがいるでしょう? モグラ、ミミズ、アリ、セミの幼虫。普通の人が思いつくのは、それくらいではないでしょうか。大した数は、いなさそうですね。ところが、実際は、大違いです。地下には、膨大な数の生き物がいます。
 けれども、土を掘っても、生き物の姿は、あまり見えませんね。それは、地下の生き物は、大部分が、とても小さいからです。ほとんどが、顕微鏡を使わないと見えません。
 地下展では、そういった地下の生き物たちを、たくさん紹介しています。地下の生き物には、バクテリア、菌類(キノコの仲間)、始原菌【しげんきん】などが多いです。どれも、微小なものです。彼らは、ヒトの常識からは、考えられない生活をしています。
 例えば、アルカリフィルス・トランスバーレンシスAlkaliphillus transvaalensisという細菌がいます。この細菌は、なんと、地下3200mから発見されました。今のところ、生物の世界最深記録です。彼らは、「世界一アルカリ性に強い生物」でもあります。pH12.4の強アルカリ環境でも、平然と生きています。ヒトの皮膚や爪なら、溶けてしまうほどの環境です。彼らのいる地下には、このような環境があるのでしょう。
 地下展では、「生物の生まれ故郷=地下説」も紹介されています。地中の粘土の中で、地球最初の蛋白質【たんぱくしつ】が生まれた可能性がある、というのです。
 蛋白質は、生物の体の基礎となる物質です。これができれば、生物までは、あと一歩です。ただし、この一歩が進むのが、容易ではない、と考えられています。
 地下展では、解説員の方々が、とても親切です。丁寧に説明してくれます。ぜひ、解説員の方から、お話を聴いて下さい。頭が良くなった気がすること、請け合いです。


 地下展には、特設サイトがあります。日本科学未来館のサイト内です。興味がおありの方は、以下のページを覗いてみて下さい。
 地下展(日本科学未来館 2008/01/28迄)
 日本科学未来館(トップページ)


 過去の記事でも、生物系の博物館の情報を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 生命の星・地球をまるごと体感!博物館へ(2007/10/17)
 「ファーブルにまなぶ」、虫の声の聴き方?(2007/10/11)
 馬肥ゆる秋に、馬の博物館へ(2007/10/06)
などです。



2007年11月26日

植物? いえ動物です。ウミシダ(海羊歯)




 海中には、陸では見られない生き物が、たくさんいますね。陸の生き物にそっくりでも、まったく類縁が遠い生き物も、多いです。ウミシダは、そんな生き物の一つです。
 シダ(羊歯)という名のとおり、ウミシダは、陸上植物のシダにそっくりです。けれども、ウミシダは、植物ではありません。動物です。棘皮動物【きょくひどうぶつ】というグループに分類されます。ヒトデやウニやナマコが属するグループです。
 植物のシダには、切れ込みが多くて、長い葉が付いていますね。ウミシダには、この葉に似た部分があります。ウミシダのこの部分は、葉ではなく、腕です。この腕で、食べ物を取ります。腕を広げて、海中の細かい有機物を捕らえ、食べます。
 ウミシダには、葉に似た部分だけでなく、根に似た部分もあります。巻枝という部分です。普段は、巻枝で、海底の岩や、サンゴなどにしがみついています。
 しがみつきっぱなしではありません。ウミシダは、移動できます。すべての種が、巻枝を動かして、歩きます。種によっては、腕を振り動かして、泳ぐこともできます。
 同種のウミシダでも、個体により、色や模様の差が激しいです。このため、種を同定するのが困難です。例として、ニッポンウミシダを挙げてみましょう。日本近海に多い種です。この種の色は、赤紫が多いです。が、黄色っぽかったり、真っ黒に近かったりするものもいます。外見だけで、ウミシダの種を決めるのは、ほぼ不可能です。
 ウミシダは、棘皮動物の中でも、原始的なグループです。ウミシダの直接の祖先は、ウミユリ(海百合)という棘皮動物です。ウミユリは、五億年ほども昔に、地球上に現われました。ウミユリの原始的な性質を受け継いだのが、ウミシダです。生きている化石といえますね。生物進化の謎の一部を、ウミシダが握っているかも知れません。
 ウミシダは、注目されることが少ない生き物です。けれども、近年では、前記の理由などから、注目されつつあります。飼育技術なども、少しずつ進んできました。
 先日、東京大学の臨海実験所が、ウミシダの継続飼育に成功しました。世界初の成果です。遅れていた研究が、これで進みそうです。今後の報告が楽しみですね。


 ウミシダの継続飼育のニュースは、以下のページに載っています。また、飼育に成功した東大臨海実験所のサイトもあります。
 海藻みたいでも脳がある動物=「ニッポンウミシダ」を継続飼育-東大臨海実験所(時事ドットコム)2007/11/24)
 東京大学三崎臨海実験所


 過去の記事でも、ウミシダの仲間の棘皮動物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 海中のオブジェ? パイプウニ(2007/11/16)
 棘だけでは足りない? ウニの防御作戦(2007/08/11)
 貝と付いても貝じゃない? モミジガイ(2007/04/27)
 食用ナマコはどんなナマコか?(2007/01/22)
 サンゴ礁の海を守るナマコ(2006/07/22)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、ニッポンウミシダが掲載されています。
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2007年11月16日

海中のオブジェ? パイプウニ

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 小笠原諸島や、南西諸島には、珍しい生き物が多いですね。陸以上に、海の中が、生き物の宝庫です。中には、とても生き物とは思えないものもいます。
 パイプウニは、そんな生き物の一種です。名のとおり、ウニの仲間です。棘がパイプのように太いため、こんな名が付きました。生きている時には、丸い球に、ペンをたくさん刺したように見えます。前衛芸術のオブジェみたいです。
 英語では、パイプウニを、pencil urchinと呼ぶようです。「鉛筆ウニ」という意味ですね。どこの国の人が見ても、この姿が印象的なのでしょう。
 ウニの棘は、身を守るためにあります。こんな棘では、武器にならなさそうですね? しかも、動きにくそうです。なぜ、パイプウニは、こんな棘になったのでしょう?
 この理由は、わかっていません。「パイプ棘」でも、武器にならないことはないようです。他のウニと同じく、ちゃんと海底を這って動きます。でなければ、とっくに滅びているはずですね。多くのウニと同様、彼らは夜行性です。昼は、岩陰などに隠れています。
 一説では、パイプウニは、有毒だといいます。棘に毒があり、例えばヒトが触ると、かぶれることがあるそうです。棘が鋭くない分、毒で補っているのかも知れません。
 パイプウニの毒については、よくわかっていません。「毒はない」という説もあります。念のため、生きている個体には、素手で触らないほうがいいでしょう。
 パイプウニのように、太い棘を持つウニは、他にもいます。ノコギリウニ、マツカサウニ、バクダンウニなどです。多くが、南方系の種です。サンゴ礁の海では、太い棘に、何か利点があるのでしょうか? これも、謎の一つです。
 パイプウニには、ミツカドパイプウニという近縁種がいます。姿は、パイプウニとそっくりです。棘の横断面が、三角形になっていることで、区別できるそうです。でも、野外で区別するのは、難しいですね。
 ミツカドパイプウニは、日本近海では、小笠原にしかいないようです。貴重な種ですね。このような種がいることが、小笠原が「東洋のガラパゴス」である証拠でしょう。


 過去の記事でも、ウニの仲間を取り上げています。また、小笠原にいる生き物も取り上げています、よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ヤシ? いいえシダの木です。マルハチ(2007/11/02)
 棘だけでは足りない? ウニの防御作戦(2007/8/11)
 アオウミガメは、どこが青いか?(2007/5/11)  
 雌(メス)しかいないトカゲがいる?(2007/3/6) 
 ザトウクジラはホエールウォッチングの人気者(2006/3/13) 


図鑑↓↓↓↓↓には、パイプウニは掲載されています。その他にも、バフンウニ、ムラサキウニ、ラッパウニなどのウニが載っています。
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2007年11月 1日

四百年、生きた貝がいる?

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 イギリスから、びっくりニュースです。なんと、四百年以上も生きた貝が、発見されたとのことです。二枚貝の仲間です。
 この貝は、北大西洋のアイスランド沖にいたところを、採集されました。残念ながら、採集直後に、死んでしまったそうです。けれども、貴重な標本が残されました。
 外見は、これといった特徴がありません。白っぽい二枚貝です。報道では、ハマグリに近縁だとされていますね。それは、間違いではありません。ハマグリと同じ、マルスダレガイ目に属します。ただし、目【もく】より下の分類は、ハマグリと違います。
 この貝は、マルスダレガイ目アイスランドガイ科に属します。この科に属する、ただ一つの種です。北大西洋に分布します。日本近海には、いません。
 ラテン語の学名では、この貝は、Arctica islandicaといいます。日本語名は、アイスランドガイとされています。ハマグリなどと同じく、海底の砂や泥に潜って、生活します。カナダやアイスランドでは、食用に漁獲されています。
 今回見つかった貝が、なぜ、四百年以上も生きているとわかったのでしょうか? その理由は、貝殻にあります。アイスランドガイは、貝殻にある筋を数えることで、年齢を知ることができます。木の年輪を数えるのと、同じ原理ですね。
 このように、動物の体の一部(主に、貝殻など硬い部分)から、年齢を決める方法があります。英語でsclerochronologyといいます。日本語では、適当な言葉がありません。
 以前から、アイスランドガイは、二百年以上も生きることが知られていました。長生きの秘密は、体のエネルギー消費を、少なくすることにあります。
 アイスランドガイは、心拍数を、通常の10分の1にまで減らせるといいます。(貝にも心臓があります)こうすることにより、体のエネルギー消費を減らします。すると、成長が遅くなります。当然、老化も遅くなります。長生きするわけですね。
 四百年以上も生きたものを、死なせてしまったのは、惜しいことです。そのかわりに、生命の神秘を解く研究が、発達するといいですね。


 四百年生きた貝のニュースは、以下のページに載っています。
 <400歳の貝>アイスランド沖海底で発見 最長寿の動物?(毎日新聞 2007/10/31) 
 四百歳の貝を発見(バンゴー大学【英文】)


 現在、日本近海には、アイスランドガイの仲間はいません。しかし、大昔は、日本近海にも、近縁種がいたようです。岩手県の大船渡【おおふなと】市立博物館や、富山県の八尾【やつお】化石資料館で、アイスランドガイの近縁種「イソシプリナIsocyprina」の化石が見られます。
 大船渡市立博物館【トップページ】 
 イソシプリナなど展示資料の追加【お知らせページ【大船渡市立博物館】)
 八尾化石資料館 海韻館【かいいんかん】トップページ 
 イソシプリナ化石写真ページ(八尾化石資料館 海韻館【化石アーカイブ】)

 アイスランドガイの長寿の秘密については、以下のページに、少し詳しく載っています。
 酸素は諸刃の剣

 過去の記事でも、多くの二枚貝を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 魚と持ちつ持たれつ? イシガイ科の二枚貝たち(2007/4/2) 
 真珠貝【しんじゅがい】の秘密(2006/6/16)
 潮干狩りの主役、アサリ(2006/4/27) 
などです。
 


図鑑↓↓↓↓↓には、アサリ、チョウセンハマグリなど、マルスダレガイ目の二枚貝が掲載されています。
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2007年10月22日

殻があっても貝じゃない、エボシガイ

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 秋から冬にかけては、海が荒れやすい季節ですね。海岸に、いろいろな物が打ち上げられます。なかには、海の生き物も混じっていますね。
 流木などに、貝のようなものが付いているのを、見たことがありませんか? 紐【ひも】状の体に、白い殻があります。紐状の部分で、物に付着しています。
 それは、きっと、エボシガイ(烏帽子貝)です。姿を見ても、名前を聞いても、貝の仲間のようですね。ところが、エボシガイは、貝の仲間ではありません。
 なんと、エボシガイは、エビやカニの仲間です。専門的には、節足動物【せっそくどうぶつ】というグループに属します。貝類は、軟体動物【なんたいどうぶつ】というグループに属します。たとえて言えば、魚とヒトより、もっと縁が遠いです。
 エボシガイは、エビやカニとは、全然似ていませんね。物にくっついて暮らします。エビやカニのようには、移動できません。なぜ、同じグループなのでしょうか?
 幼生の形から、そのことがわかりました。幼生同士では、エボシガイと、エビやカニは似ています。幼生の間は、エボシガイも移動できます。海中に浮いて暮らします。プランクトンですね。成体になると、物に付着します。親と子の姿が、似ても似つきません。
 成体にも、エビやカニと似た点があります。生きたエボシガイを観察してみましょう。海に浮くブイや、桟橋【さんばし】の杭【くい】などで見られます。
 静かに観察すると、エボシガイが、殻の間から、細い脚を出し入れするのがわかります。これは、蔓脚【まんきゃく】と呼ばれるものです。文字どおり、脚に当たります。小エビの細い脚に似ています。貝類には、こ