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2017年1月27日

海にも、ノミ(蚤)がいる?

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 ノミ(蚤)は、吸血するために、ヒトに憎まれる昆虫ですね。彼らは、ヒト以外に、イヌやネコやネズミなどの哺乳類に付きます。ところが、海の中にも、ウミノミ(海蚤)と呼ばれる生き物がいます。昆虫のノミが、海にも棲むのでしょうか?
 そうではありません。ウミノミは、昆虫のノミとは、まったく違う生き物です。詳しく分類を書けば、節足動物門【せっそくどうぶつもん】軟甲綱【なんこうこう】端脚目【たんきゃくもく】クラゲノミ亜目【あもく】に属するものたちです。
 クラゲノミ亜目という分類名から、ウミノミの仲間は、クラゲノミ類とも呼ばれます。この名のとおり、海の中で、クラゲに付着して生活する種が多いです。クラゲ以外に、サルパ―脊索【せきさく】動物の仲間―など、海中を漂う生物に付く種も、多いです。
 クラゲやサルパに付着して、ウミノミは、昆虫のノミのように、体液を吸うのでしょうか? これについては、わかっていません。ウミノミの仲間は、研究が進んでいないため、生態がわかる種が、少ないのです。何を食べるかさえ、不明な種が多いです。
 クラゲやサルパに付着せず、自由に海中を漂って生活するウミノミもいます。そのような種は、クラゲやサルパに付着する種に比べて、体が透明なことが多いです。
 それには、理由があります。隠れるところのない海中で、敵から逃れるためには、敵から見えにくくなることが有利です。体を透明にすれば、周囲の海水に溶け込んで見えるため、敵に見つかりにくくなります。
 最近の研究で、ウミノミの一部には、より透明に見えるように、特別な構造を持つものがいることが、わかりました。フクロウミノミ科フクロウミノミ属の一種です。
 その種は、脚に、ナノ突起という微小な突起が、びっしりと生えています。この突起は、ヒトの肉眼で見える大きさではありません。ヒトの肉眼で見ると、この突起は、光の反射を弱める働きがあります。つまり、体表の反射を抑えて、より見えにくくしています。
 これは、昆虫のガ(蛾)が持つ「モスアイ構造」と、同じものです。モスアイ構造は、以前、このブログで取り上げましたね(ガ(蛾)は、どうやって暗闇で見る?(2016/6/10))。

図鑑↓↓↓↓↓には、
残念ながら、ウミノミの仲間は、載っていません。かわりに、日本近海などに棲む節足動物が、三十種以上掲載されています。



 過去の記事で、海中を漂って暮らす生き物を取り上げています。また、モスアイ構造についても、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
セミの翅【はね】の秘密(2016/7/22)
ガ(蛾)は、どうやって暗闇で見る?(2016/6/10)
海中の透明で長いもの、な~んだ?(2010/4/1)
海中のイルミネーション? ヒカリボヤ(2007/12/10)/font>
サルパとは、どんな生き物?(2007/5/31)




2017年1月 6日

甲殻類【こうかくるい】最強生物とは?

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 エビ、カニ、ヤドカリの仲間を、まとめて甲殻類と呼びますね。日本人には、食用に馴染み深いグループです。イセエビ、ズワイガニ、タラバガニなどが、有名な種ですね。これらの種は、みな、体の外側が、固い殻に覆われています。だから、「甲殻」類です。
 現生の甲殻類の中で、体の大きさが最大になるのは、タカアシガニです。ところが、二〇一六年に、タカアシガニよりも「強い」甲殻類がいると、話題になりました。
 それは、ヤシガニです。陸上で暮らす甲殻類です。幼生の時と、産卵する時以外には、海に入りません。太平洋とインド洋の熱帯・亜熱帯の沿岸地域に分布します。
 ヤシガニが、タカアシガニより「強い」とは、どういうことでしょうか? ヤシガニは、はさみではさむ力が、尋常でなく強いのです。自分の体重の、約九十倍もの力ではさめるとわかりました。ですから、体の大きいヤシガニほど、とんでもなく強くなります。
 これまでに見つかった、最大のヤシガニは、体重が4kgほどもあります。この大きさのヤシガニは、計算上、337kg・f【キログラム・フォース】もの力を持つことになります。この力は、ライオンが顎で噛む力と、ほぼ同じです。恐ろしい強さですね。
 タカアシガニのはさみは、大きくても、ヤシガニほどの力はありません。このために、ヤシガニが、「甲殻類最強」の称号を得ました。
 ヤシガニは、「甲殻類最強」であって、「カニ類最強」ではありません。なぜかといえば、ヤシガニは、その種名に反して、カニ類ではないからです。ヤドカリの仲間です。
 成長したヤシガニは、貝の殻には入りません。体が大き過ぎるからです。けれども、海底で暮らす幼生のうちは、他のヤドカリと同じように、貝殻を背負います。上陸してからも、若く、体が小さいうちには、貝殻を背負うことがあります。
 ヤシガニのように、大きくなり過ぎて、殻に入れないヤドカリの仲間は、他にもいます。タラバガニがそうです。ヤシガニと、タラバガニとは、脚の数などが、共通します。
 外から見る範囲では、タラバガニも、ヤシガニも、脚の数が、はさみを含めて八本しかありません。ズワイガニなど、真のカニには、十本の脚があります。
図鑑↓↓↓↓↓には、
残念ながら、ヤシガニは載っていません。かわりに、日本近海や淡水に棲む甲殻類が、二十種以上が掲載されています。



 過去の記事でも、ヤドカリや、カニの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
シャコとアナジャコとは、違う? 同じ?(2013/4/15)
ヤドカリとイソギンチャクとは、仲良し?(2012/3/19)
タカアシガニは、世界最大のカニ?(2009/1/30)
カニでないカニがいる?(2006/12/24)
何匹いるかな?(ヤドカリの画像)(2005/11/15)




2016年12月 2日

ミミズが人類を救う?

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 動物の中には、ヒトと違って、手も足もないものがいますね。ヘビやミミズなどが、そうです。彼らは、手足がないのに、どうやって移動するのでしょうか?
 同じように手足がなくても、ヘビと、ミミズとでは、移動の仕方が違います。今回は、ミミズの動き方を、紹介しましょう。ミミズの動くところを、見たことがありますか? 
 ミミズが前進するのを観察すると、ミミズは、体の太さを、順番に変えていることがわかります。最初は、体の前の方が太くなり、次に、真ん中くらいが太くなり、最後に、後ろの方が太くなります。そしてまた、前の方から太くなることを、繰り返します。
 このような運動の仕方を、蠕動【ぜんどう】運動と呼びます。蠕動運動は、ミミズの生活様式に、とても合っています。ミミズは、狭い土の中の穴で、暮らすからです。
 狭い穴では、体を大きく動かす運動は、できません。手足を伸ばすにも、窮屈ですね。いっそのこと、手足はないほうが、便利です。かえって手足は邪魔になります。
 ミミズの蠕動運動は、体の太さを少し変えるだけで、移動することができます。太くなった部分で、体を地面に押し付けておき、細い部分を伸ばして、先に進めます。これを繰り返すことで、全体が移動できます。狭い土中の穴には、ぴったりですね。
 この蠕動運動を真似したロボットが、作られています。ミミズのロボットですね。
 ミミズのロボットなんて、何の役に立つのでしょうか? いろいろな役に立つと、期待されています。例えば、水道管など、狭い管の中を検査するのに使えます。
 工場設備などの、長く、複雑な管を検査するのに、ミミズロボットがあれば、どんなに役に立つでしょう。検査のために、いちいち設備を解体したら、大変な手間がかかります。ミミズロボットがあれば、管の中を通すだけで、検査できます。
 ヒトの大腸など、内臓の検査にも、使えますね。ミミズのように柔らかいロボットができれば、ヒトの内臓も傷つけずに、検査ができます。他に、災害救助用ロボットなども考えられます。倒壊した家屋に入り込んで、ヒトを助けてくれるかも知れません。
 ミミズからも、人類が学ぶことは、たくさんありますね。
図鑑↓↓↓↓↓には、
シマミミズが掲載されています。



 過去の記事でも、ミミズなどの環形動物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
深海で、骨を食【は】むもの(2016/7/29)
干潟には、ゴカイやミミズの仲間が多い?(2013/11/18)
ハオリムシ(羽織虫)の分類は?(2012/12/10)
ミミズは、どこまで大きくなる?(2012/4/16)
ミミズは、土中の働き者(2009/10/9)





2016年10月 7日

クリオネに、新種発見

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 二〇一六年の九月に、新種発見のニュースがありました。日本の北海道の近海、オホーツク海で、クリオネの新種が発見されました。
 クリオネは、最近、有名になった、海の無脊椎動物ですね。クリオネの分類を詳しく書けば、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】腹足綱【ふくそくこう】裸殻翼足目【らかくよくそくもく】ハダカカメガイ科ハダカカメガイ属です。
 クリオネClioneとは、ハダカカメガイ属を指すラテン語の学名です。一種だけではなく、複数の種を含みます。腹足綱【ふくそくこう】というのが、巻貝の仲間を指します。
 つまり、クリオネ(ハダカカメガイ属)は、巻貝なのですね。巻貝なのに、貝殻をなくしてしまって、翼足【よくそく】という器官で泳ぐようになりました。
 これまで、オホーツク海に棲むハダカカメガイ属(クリオネ)は、ラテン語の学名Clione limacine【クリオネ・リマキナ】ただ一種だと思われていました。ところが、そうではないとわかりました。オホーツク海には、二種のクリオネが棲みます。二種とも、新種です。
 一種は、ラテン語の学名で、Clione okhotensis【クリオネ・オホーテンシス】と名付けられました。標準和名(正式な日本語名)は、ダルマハダカカメガイです。
 もう一種は、これまで、Clione limacine【クリオネ・リマキナ】だと思われていたのが、分離されました。Clione limacine【クリオネ・リマキナ】は、北大西洋にだけ棲むとわかったからです。オホーツク海など、北太平洋に棲むのは、別の種とされました。それが、Clione elegantissima【クリオネ・エレガンティッシーマ】です。
 これまでは、Clione limacine【クリオネ・リマキナ】に対して、「ハダカカメガイ」という標準和名が付いていました。しかし、それは、オホーツク海のクリオネに付けられた名でしたので、和名と、ラテン語の学名とを入れ替えることになりました。
 現在は、「ハダカカメガイ」のラテン語の学名は、Clione elegantissima【クリオネ・エレガンティッシーマ】です。北大西洋のClione limacine【クリオネ・リマキナ】には、新たに、「ダイオウハダカカメガイ」という標準和名が付けられました。
図鑑↓↓↓↓↓には、クリオネ(ハダカカメガイ属の一種)が掲載されています。
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 過去の記事でも、クリオネ(ハダカカメガイ属)を取り上げています。また、ハダカカメガイと同じように、殻を持たない貝の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ゾウクラゲは、クラゲじゃない?(2013/1/7)
北極と南極には、同じ生き物がいる?(2009/2/21)
ウミウシは何の仲間?(2008/12/29)
いじめると雨が降る? アメフラシ(2007/4/23)
ハダカカメガイ(クリオネ)は流氷の天使か?(2006/1/9)





2016年9月25日

日本の自然を世界に開いたシーボルト

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 シーボルトの名は、おそらく、ほとんどの方が、聞いたことがあるでしょう。江戸時代に、二度にわたって来日した、ドイツの人ですね。
 当時、ヨーロッパの国で、日本と交易していたのは、オランダだけでした。このため、シーボルトはドイツ人ですが、オランダ商館の一員として、日本に来ました。
 シーボルトには、とても多くの功績があります。その中に、日本の動植物の標本を、大量に収集し、研究したことが挙げられます。シーボルトがいなければ、日本の動植物の研究は、今より、何十年も遅れていたかも知れません。
 そのシーボルトが、実際に集めた動植物の標本を、今、国立科学博物館で、見ることができます。「日本の自然を世界に開いたシーボルト」という企画展の会場に、展示されています。シーボルト没後も、標本は、ヨーロッパで、大切に保管されていました。
 シーボルトの標本は、今でも、動物学や植物学の役に立っています。例えば、現在では絶滅したとされる、ニホンカワウソの標本を、シーボルトは収集しています。ニホンカワウソを研究する手がかりは、もはや、そのような標本しかありません。
 動物や植物に詳しい方なら、ラテン語の学名を調べていて、気がついたことはありませんか? 特に、日本の植物の場合、ラテン語の学名の後ろに、「Siebold【シーボルト】」や、「Siebold & Zuccarini【シーボルト&ツッカリーニ】」と付くものが、多いです。
 例えば、タマアジサイという植物は、ラテン語の学名Hydrangea involucrataの後ろに、Sieboldと付きます。日本のクリ(栗)は、ラテン語の学名Castanea crenataの後ろに、Siebold & Zuccariniと付きます。
 Zuccariniとは、シーボルトと一緒に日本の植物を研究した、ドイツの植物学者ツッカリーニを指します。ラテン語の学名の後ろに、人名が付くのは、その学名を命名した人を示します。シーボルトとツッカリーニが、いかに多くの植物を命名したか、わかります。
 企画展の会場では、最近になって、シーボルトの標本を調べて、新たにわかったことも、紹介されています。没後150年経っても、彼の功績は、輝き続けています。

図鑑↓↓↓↓↓には、シーボルトが研究した日本の動植物が、千八百種ほどが掲載されています。
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 企画展「日本の自然を世界に開いたシーボルト」の情報は、以下のページにあります。
日本の自然を世界に開いたシーボルト(国立科学博物館の公式サイト内ページ)


 過去の記事でも、現在、開催中の、生物に関するイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ウルトラ植物博覧会2016(2016/8/17)
格好いい海のハンターたち(2016/7/12)

2016年9月16日

ネコもライオンも、ペットにできる?

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 ネコ(猫)は、人間にとても好かれる生き物ですね。ネコのかわいさは、今さら言うまでもありません。ネコをペットにしている人は、世界中に、おおぜいいます。
 ネコは、哺乳類のうち、食肉目【しょくにくもく】ネコ科に属します。同じ食肉目ネコ科には、ライオンも属します。同じネコ科なら、ライオンもペットになるでしょうか?
 これは、大概の方が否定するでしょう。いくら同じネコ科でも、ライオンは、危険すぎますよね。少なくとも、日本の普通の民家で、ライオンが飼えるとは思えません。
 けれども、これと似たことを、普通の人がやってしまう場合があります。特に、爬虫類などの、ペットとして馴染みが薄い生き物を飼う場合には、注意が必要です。
 例えば、ボールニシキヘビというヘビの一種がいます。このヘビは、とても性質がおとなしいです。毒もありません。もてあますほど大きくもなりません。爬虫類の中で、ペットとして飼うなら、お勧めできる種です。ニシキヘビ科ニシキヘビ属の一種です。
 同じニシキヘビ科ニシキヘビ属に、アミメニシキヘビという種がいます。この種は、世界のヘビの中でも、最大級に大きくなる種です。毒はありませんが、その大きさゆえに、危険です。実際に、ヒトが襲われて、食べられた例が、いくつも報告されています。
 ボールニシキヘビと、アミメニシキヘビとは、とても近縁な種同士です。同じ科で、同じ属ですからね。なのに、その生態も性質も、まるで違います。ボールニシキヘビが飼えたからといって、アミメニシキヘビを飼うのは、無謀すぎます。
 ボールニシキヘビとアミメニシキヘビとの関係は、ネコとライオンとの関係に似ています。普通の人は、ネコをペットにしても、ライオンをペットにしようとは思わないでしょう。しかし、馴染みの薄い動物を飼う場合には、そのような判断がききにくいです。
 いわゆる、エキゾチック・ペットと呼ばれる、変わったペットを飼うことを、否定するつもりはありません。ただし、そういったペットを飼う場合には、イヌやネコを飼う場合以上に、正しい知識と、覚悟が求められます。「○○と近縁種だから、○○と同じ飼い方でいいんだよね」などと、安易な考えを持たないよう、強くお願いいたします。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する動植物が、千八百種ほども掲載されています。
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 過去の記事でも、飼育されることがある生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
も御覧下さい。
ハリネズミは、ネズミじゃない?(2014/8/18)
トカゲモドキの美人コンテスト?(2013/11/11)
カブトムシとクワガタムシ、どちらが長生き?(2013/10/7)
害魚が益魚に? うろこの秘密(2010/3/8)
リスも冬眠する?(2009/12/18)






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2016年8月12日

クジラの骨は、進化の跳【と】び石?

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 これまで、このブログで、ホネクイハナムシや、ゲイコツナメクジウオといった生物を、紹介してきましたね(深海で、骨を食【は】むもの(2016/7/29)ゲイコツナメクジウオの謎(2016/8/5))。
 深海のクジラの死骸に棲む生物は、他にも、たくさんいます。それらの中には、深海の熱水が噴き出る場所に棲む生物と、近縁なものが含まれます。
 例えば、ホネクイハナムシは、ハオリムシと近縁だとわかってきました。同じ環形動物門【かんけいどうぶつもん】多毛綱【たもうこう】ケヤリムシ目【もく】シボグリヌム科に属します。ハオリムシは、深海の熱水噴出口の周囲に、群生する生物です。
 似た例が、いくつも見つかっています。このことから、熱水噴出口の周囲に棲む生物は、進化にあたって、クジラの死骸を利用したのではないかという説が、生まれました。
 深海底の熱水噴出口の周囲は、普通の浅海と比べれば、地獄のようです。光が届かず、真っ暗で、高圧の中に、100℃を越える高温の熱水が噴き出ています。熱水には、さまざまな栄養分が含まれますが、直接、熱水に触れれば、茹だって死んでしまいます。
 このような過酷な状況に、すぐに適応できる生物は、ほとんどいないでしょう。ある程度、段階を踏んで、熱水噴出口の周囲で暮らせるようになったと考えられます。
 その「段階を踏む」のに、クジラの死骸が、ちょうど良かったのではないかというのですね。例えば、クジラの死骸は、腐敗が進むと、硫化水素を出します。その硫化水素を利用する生物がいて、その生物(が作る栄養分)を食べる生物もいます。
 硫化水素は、深海底の熱水に、大量に含まれます。このために、熱水噴出口の周囲にも、硫化水素を利用する生物と、彼ら(が作る栄養分)を食べる生物がいます。クジラの死骸と、熱水噴出口の周囲とで、似た環境があるわけです。
 クジラの死骸は、熱水噴出口周囲の生物が進化するのに、跳び石のような役割を果たしたのかも知れません。一足跳びに進化するのは無理でも、跳び石があるならば、少しずつ、過酷な環境にも、適応してゆくことができるでしょう。
 クジラの巨体は、死んでからも、多くの生物を養います。偉大な存在ですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、キアンコウ、ズワイガニなど、日本周辺の深海に棲む生き物が掲載されています。
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 過去の記事でも、深海の生物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ゲイコツナメクジウオの謎(2016/8/5)
深海で、骨を食【は】むもの(2016/7/29)
ヌタウナギは、スーパー繊維の持ち主?(2016/4/8)
世界最大のクラゲとは?(2015/10/16)
アカマンボウは、マンボウの仲間か?(2015/7/31)



2016年8月 5日

ゲイコツナメクジウオの謎

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 先週のこのブログで、ホネクイハナムシという生物を、紹介しましたね(深海で、骨を食【は】むもの(2016/07/29))。ホネクイハナムシは、深海に落ちてきた、クジラの死骸の骨に棲む生物です。今回は、同じように、深海のクジラの骨に棲む生物を紹介しましょう。
 それは、ゲイコツ(鯨骨)ナメクジウオという種です。ホネクイハナムシと似た環境に棲みますが、ホネクイハナムシとは、とても縁の遠い生物です。脊索動物門【せきさくどうぶつもん】頭索動物亜門【とうさくどうぶつあもん】頭索綱【とうさくこう】ナメクジウオ目【もく】ナメクジウオ科オナガナメクジウオ属に属します。
 ナメクジウオという名前に、聞き覚えのある方もいるでしょう。ナメクジウオとは、前述の頭索綱に属する生物の総称です。頭索綱は、ナメクジウオ綱【こう】ともいいます。このグループは、私たちヒトを含む脊椎動物の先祖に当たると考えられています。
 普通のナメクジウオは、水深100mより浅い海に棲みます。水のきれいな所でないと、棲めません。海水のきれいさを示す、指標生物にされているほどです。
 ところが、ゲイコツナメクジウオは、そういったナメクジウオの常識を、くつがえしました。水深200mより深い海の、クジラの死骸が腐って、どろどろになった所に棲むのです。ナメクジウオの生息域としては、最深記録を達成しました。
 ゲイコツナメクジウオは、二〇〇四年に、新種として記載されたばかりです。きれいな海水に棲むはずのナメクジウオなのに、どうやって、クジラの死骸が腐った場所で暮らしていられるのでしょうか? 詳しいことは、まだ、わかっていません。
 ゲイコツナメクジウオは、ナメクジウオ科の中で、最も原始的な種であることが、わかっています。起源は、まだ恐竜がいた一億年くらい前に、さかのぼります。
 そうすると、謎があります。約一億年前には、まだ、クジラはいません。ゲイコツナメクジウオ(の直系の祖先)は、どこで、どうやって暮らしていたのでしょうか?
 先述のとおり、ナメクジウオは、脊椎動物の先祖に当たります。その中でも、特に原始的なゲイコツナメクジウオの謎は、脊椎動物の進化の謎につながるでしょう。
図鑑↓↓↓↓↓には、ナメクジウオ掲載されています。
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 過去の記事でも、ナメクジウオの仲間を取り上げています。また、ゲイコツナメクジウオと同じように、深海のクジラの死骸に棲む生物も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
深海で、骨を食【は】むもの(2016/07/29)
脊索【せきさく】動物と、脊椎【せきつい】動物とは、違う? 同じ?(2012/10/15)
ヒトの祖先は、ナメクジウオ?(2008/6/20)
ホヤは脊索【せきさく】動物? 原索【げんさく】動物?



2016年7月29日

深海で、骨を食【は】むもの

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 深海には、浅い海では考えもつかないような生物が、多く棲んでいます。今回は、そのような生物の一種を紹介しましょう。ホネクイハナムシです。
 ホネクイハナムシは、深海の中でも、とりわけ、変わった所に棲みます。死んで、深海に落ちてきたクジラの骨に棲むのです。そこでしか、見つかりません。
 深海は、食べ物の乏しい場所です。そこに、浅い海から落ちてくる死骸は、貴重な食べ物になります。クジラのような大きな死骸となれば、たいへんな御馳走です。たくさんの深海生物が集まってきて、クジラの死骸を食べます。
 クジラの死骸が深海に落ちてきても、ホネクイハナムシは、すぐには現われません。他の生物に肉が食べられて、骨が露出した頃に現われます。「ホネクイ」という名のとおり、彼らは、新鮮なクジラの骨を食べます。クジラの骨の脂肪から、栄養を取るようです。
 ホネクイハナムシは、クジラの骨に穴を開けて棲みます。穴から、花のようなものをひらひらさせているため、ホネクイハナムシと名付けられました。ひらひらしているものは、鰓【えら】です。本体は、骨の中にあって、植物の根のようになっています。
 この根のような部分に、ホネクイハナムシは、細菌を共生させています。この細菌が、クジラの骨の栄養を利用し、ホネクイハナムシは、細菌から栄養を得ます。このために、ホネクイハナムシは、普通の口や肛門や消化器官を持ちません。必要ないからです。
 ホネクイハナムシは、細菌を通じて、間接的に、クジラの骨を食べているわけです。こんな変わった生態のホネクイハナムシは、何の仲間なのでしょうか?
 じつは、釣り餌にされるゴカイなどの仲間です。詳しく書けば、環形動物門【かんけいどうぶつもん】多毛綱【たもうこう】ケヤリムシ目【もく】シボグリヌム科に属します。
 ケヤリムシ目というグループ名に、ぴんと来た方もいるでしょう。ケヤリムシは、浅い海で見られるゴカイの仲間です。海底の岩などに、穴を開けて棲みます。穴から鰓を出して、ひらひらさせます。岩がクジラの骨に変われば、ホネクイハナムシと同じですね。
 ホネクイハナムシは、二〇〇六年に発見されたばかりで、まだ、わからないことが多いです。
図鑑↓↓↓↓↓には、イバラカンザシゴカイ、ウミケムシなどが掲載されています。
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 過去の記事でも、ホネクイハナムシと同じ環形動物【かんけいどうぶつ】を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海の謎生物、ボネリムシ(2014/10/20)
干潟には、ゴカイやミミズの仲間が多い?(2013/11/18)
ハオリムシ(羽織虫)の分類は?(2012/12/10)
泳ぐゴカイがいる?(2011/2/14)
海の毛虫も蝶(チョウ)になる? ウミケムシ(2010/3/15)

2016年7月19日

驚異の深海生物がいっぱい!

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 千葉県立中央博物館で、面白い展覧会が開かれています。「驚異の深海生物―新たなる"深"世界へ―」です。早速、行ってまいりました。とても興味深い展覧会でした。
 この展覧会では、何と言っても、実物の深海生物の標本が、たくさん見られることが、すごいです。深海関係の展覧会でも、ここまで多くの実物標本が展示されるのは、めったにありません。種としても、数が少なく、変わった姿のものが来ています。
 変わった姿の深海魚と言えば、タウマティクティスが、横綱級です。タウマティクティスとは、ラテン語の学名Thaumatichthysを、そのまま読んだ名です。奇想天外な姿のために、ビックリアンコウという日本語名も付いています。
 タウマティクティス(ビックリアンコウ)は、下顎【あご】より、上顎のほうが長いです。下顎からはみ出た上顎の部分に、発光器が付いています。この発光器で、獲物をおびき寄せるのではないかといわれます。生きた姿を見た人は、誰もいないので、本当の生態は、わかっていません。標本ですら、一般公開されるのは、まれなことです。
 魚類以外の深海生物も、充実しています。例えば、ヤドカリの仲間のキンチャクヤドカリという種がいます。普通のヤドカリは、貝類の殻を借りて、宿にしますね。ところが、キンチャクヤドカリは、イソギンチャクを宿にします。
 イソギンチャクには、骨がないため、柔らかいです。キンチャクヤドカリは、そのようなイソギンチャクを背負って、脚でぐぐーっと引っ張り上げます。ちょうど、ヒトがパンツをはくような状態で、ヤドカリの腹部に、イソギンチャクをはきます。
 こんな不思議な生態の生物たちに、会ってみたいですよね? 会場には、このような深海生物たち(の実物標本)が、まだまだ、たくさんいます。巨大な口のフクロウナギ、巨大な胃袋のオニボウズギス、鉄の鎧【よろい】を持つウロコフネタマガイ(スケイリーフット)、世界最深の深海の底に棲むカイコウオオソコエビなどです。
 甲殻類のタナイス目【もく】で最大の種、エンマノタナイスもいます。深海生物がお好きなら、このような地味な種も、お見逃しありませんように。

図鑑↓↓↓↓↓には、キアンコウ、ズワイガニ、タラバガニなど掲載されています。
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 「驚異の深海生物」展の情報は、以下のページにあります。
驚異の深海生物―新たなる"深"世界へ―(千葉県立中央博物館の公式サイト内ページ)
 過去の記事でも、現在開催中の生物関係のイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
格好いい海のハンターたち(2016/7/12)
江戸の博物学(2016/7/2)

2016年7月 2日

江戸の博物学

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 うっとうしい梅雨の季節ですね。今回は、雨でも、室内で楽しめる催しを紹介しましょう。静嘉堂【せいかどう】文庫美術館で開催中の「江戸の博物学」展です。
 江戸時代は、情報の限られた鎖国の時代でした。とはいえ、文化レベルが低かったわけではありません。少ない情報の中で、世界を知ろうと、一生懸命な人たちがいました。その人たちのおかげで、博物学が発達しました。
 博物学とは、現代の植物学・動物学・医学・天文学・地質学などを、すべて一緒にした学問です。当時は、科学が発展途上だったために、まだ、分野がはっきり分かれていなかったのですね。博物学は、未熟ながらも、世界を知るための科学でした。
 博物学の成果は、書籍という形で、世に発表されました。それらの書籍が、現代にまで残っています。おかげで、現代の私たちも、江戸時代の博物学を知ることができます。
 「江戸の博物学」展の会場には、江戸時代の博物学の書籍が、たくさん展示されています。多くの書籍には、絵が付いています。例えば、『大和本草【やまとほんぞう】』、『本草図譜【ほんぞうずふ】』などの植物図鑑には、植物の絵があります。
 会場の書籍を見比べれば、同じ江戸時代でも、時代が下るにつれて、博物学が発達してゆくのが、わかります。前述の『大和本草』と『本草図譜』とを比べると、十八世紀初頭の『大和本草』のほうが、十九世紀半ばの『本草図譜』より、明らかに絵が稚拙です。
 『大和本草』と『本草図譜』との間には、百年以上の時間差があります。この間、百年以上にわたって、博物学の積み重ねがあったということです。『本草図譜』くらいになると、現代に持ってきても、遜色ないレベルの絵です。美しいです。
 会場で、特に見るべきなのは、『鱗鏡【うろこかがみ】』という書籍です。これは、江戸時代の魚類図鑑です。多くの魚、イカ、タコ、エビ、カニなど、水中に棲む生物が描かれています。本書が一般公開されるのは、これが初めてだそうです。
 『鱗鏡』は、きっと、大切に秘蔵されてきたのでしょうね。保存状態がよく、彩色が鮮やかです。江戸時代の博物学の精華を、楽しむことができます。

図鑑↓↓↓↓↓には、江戸の博物学の書籍にも載っている、日本の動植物が掲載されています。
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 「江戸の博物学」展に関する情報は、以下のページにあります。
江戸の博物学~もっと知りたい!自然の不思議~(静嘉堂文庫美術館の公式サイト内ページ)

2016年7月 1日

盗人ウミウシがいる?

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 ウミウシは、貝殻を持たない巻貝の仲間です。海の中では、平凡に見られる生き物です。けれども、彼らは、分類さえ、定まっていないものが、珍しくありません。
 ウミウシは、研究途上の生き物なのですね。言い換えれば、今後の研究のやりがいがあります(笑) ウミウシには、近年になって、急速に、生態などが明らかにされた種が、少なくありません。中には、驚くべき生態の種もいます。
 以前、このブログで、カイメンの毒を体にためるウミウシや、クラゲの刺胞【しほう】を流用するウミウシを、取り上げましたね(他人の武器は、自分の武器? ウミウシ(2014/8/11))。今回も、これらに似た例を、紹介しましょう。
 ウミウシの中の、嚢舌目【のうぜつもく】というグループは、海藻を食べる種が、多く属します。それらの種のうち、いくつかは、海藻から取り込んだ葉緑体を、消化してしまわないで、流用することが知られています。
 つまり、彼らは、海藻から葉緑体を盗みとって、それを使って、光合成をします(!) ウミウシは動物なのに、まるで、植物のようなことをするのですね。彼らは、光合成で栄養を作れるために、何カ月も、餌を食べずに生きることができます。
 有名なのは、嚢舌目の中のゴクラクミドリガイ属の種と、オオアリモウミウシ属の種です。ゴクラクミドリガイ属の種では、クロミドリガイや、ラテン語の学名をElysia chlorotica【エリシア・クロロティカ】という種などが、葉緑体で光合成をします。
 クロミドリガイは、日本の相模湾以南の海で見られます。Elysia chloroticaのほうは、北米の東海岸沿いに分布します。日本近海にいないため、日本語の種名が付いていません。
 オオアリモウミウシ属では、テングモウミウシという種が、盗んだ葉緑体で光合成をすると知られます。テングモウミウシは、日本の南西諸島や東南アジアなど、暖かい海に分布します。背中に、ふさふさした突起があり、そこに、葉緑体を集めるようです。
 このような「盗葉緑体」の仕組みについては、わかっていないことが多いです。ウミウシの仲間には、他の生物から何かを盗む、特別な仕組みがあるのかも知れません。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本近海に分布するウミウシが、四種ほど掲載されています。
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 過去の記事でも、ウミウシの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
新種のミノウミウシ、発見される(2015/8/14)
他人の武器は、自分の武器? ウミウシ(2014/8/11)
ゾウクラゲは、クラゲじゃない?(2013/1/7)
ウミウシは、海のナメクジか?(2011/1/14)
ウミウシは何の仲間?(2008/12/29)
などです。



2016年6月17日

目玉焼き? いえ、クラゲです

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 今回は、とても面白い姿をした生き物を、紹介しましょう。それは、クラゲの一種です。日本語の種名(標準和名)を、サムクラゲといいます。英語では、fried egg jellyfishと呼ばれます。直訳すれば、「目玉焼きクラゲ」です。ユニークな名前ですね。
 この英語名は、実物の姿を見れば、誰もが納得します。かさの部分が、目玉焼きにそっくりなのです。円いかさの中央が盛り上がっていて、黄色いです。その周囲は白っぽく、半透明です。卵の黄身と白身とが、そのまま海を泳いでいるようです。
 この「目玉焼き」は、かなり大きいです。かさの部分は、直径が60cmほどにもなります。ニワトリではなくて、ダチョウか何かの「目玉焼き」かも知れません(笑)
 この種は、最近まで、ミズクラゲ科に属するとされてきました。日本の海で普通に見られる、ミズクラゲと近縁だと思われたのですね。より正確に言えば、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】鉢虫綱【はちむしこう】旗口クラゲ目【もく】ミズクラゲ科です。
 けれども、現在では、別の科に属するとされるようになりました。サムクラゲ科という科です。目【もく】以上の分類は、これまでと同じです。
 サムクラゲ科には、今のところ、サムクラゲただ一種が属します。この種のために作られた科です。それだけ、独自性が高い種だと、認められたのですね。
 サムクラゲは、冷たい海にしか棲みません。日本近海では、北海道の太平洋岸で見られます。冬には、それより南の海でも、見られることがあります。
 じつは、英語でfried egg jellyfishと呼ばれるクラゲは、もう一種います。そちらには、日本語の種名が付いていません。ラテン語の学名で、Cotylorhiza tuberculata【コティロリーザ・ツベルクラータ】といいます。地中海など、暖かい海に棲むクラゲです。
 Cotylorhiza tuberculataは、個体差が激しいです。目玉焼きにそっくりな個体もいますが、まるで似ていない個体もいます。日本語名がないからといって、標準和名を「メダマヤキクラゲ」にするのは、ちょっと語弊があるかも知れません。
 どうせなら、サムクラゲの標準和名を「メダマヤキクラゲ」にして欲しかったですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、「目玉焼きクラゲ」は、載っていません。かわりに、日本に分布するクラゲが、十六種ほど掲載されています。
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 過去の記事でも、クラゲの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
世界最大のクラゲとは?(2015/10/16)
クラゲダコとタコクラゲ、実在するのは、どっち?(2015/6/8)
世界最長生物とは?(2014/9/29)
一つの種に、二つの種名がある?(2013/5/13)
光合成するクラゲがいる?(2013/3/11)
などです。


2016年5月20日

陸上にいるのに、鰓呼吸? フナムシ

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 岩の多い海岸へ行くと、フナムシが見られますね。平べったい体をして、すばやく走る節足【せっそく】動物です。昆虫ではありません。
 昆虫は三対(六本)の脚を持ちますが、フナムシは、七対(十四本)の脚を持ちます。ダンゴムシや、深海生物のダイオウグソクムシの仲間です。詳しく言えば、節足動物門【せっそくどうぶつもん】軟甲綱【なんこうこう】等脚目【とうきゃくもく】に属します。
 等脚目のうち、フナムシ科に属するものを、フナムシと総称します。普通に日本の海岸で見られるのは、それらのうちの、フナムシという種名の種です。
 種名フナムシは、海の近くに棲みますが、普段は、陸で暮らしています。にもかかわらず、彼らは、鰓【えら】で呼吸します。空気中で、どうやって鰓呼吸するのでしょうか?
 彼らの脚に、秘密があります。フナムシは、脚に水路を持つのです。
 フナムシの鰓は、体の後部の下側にあります。鰓に近い一番後ろの脚と、後ろから二番目の脚に、特別な構造があります。電子顕微鏡で見てみると、微小な毛状のものや、ペダル状のものが、きれいに配列していることが、わかりました。
 この微小な構造が、「微小水路」となって、地面にある水を、鰓へと吸い上げます。これで、フナムシは、鰓呼吸ができます。水を吸い上げるのに、特別な動力は、使いません。毛状の構造や、ペダル状の構造の仕組みだけで、吸い上げています。
 このフナムシの脚の構造を、水などの液体を輸送する仕組みに、応用できるかも知れません。もちろん、フナムシのように、体が小さいために、できる部分はあるでしょう。大容量の水などを、毛管が吸い上げる仕組みだけで運ぶのは、無理があります。
 それでも、少しの力で、効率よく輸送できるとしたら、素晴らしい技術の進歩です。きっと、さまざまな場面で、応用できるでしょう。
 海岸で群れているフナムシは、「ゴキブリのようで、気持ち悪い」と、嫌われることも多いです。けれども、決して、研究する価値のない生物ではないのですね。どんな生物にも、自然によって磨かれた仕組みが、潜んでいます。

図鑑↓↓↓↓↓には、フナムシが掲載されています。
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 過去の記事でも、フナムシの仲間(等脚目【とうきゃくもく】の生物)を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
フナムシは、川にもいる?(2013/12/23)
深海には、巨大な甲殻類がいる?(2013/7/22)
地球を制覇? ワラジムシの仲間たち(2011/11/25)
ワラジムシとダンゴムシとは、どう違う?(2008/11/3)
虫が島を壊す? ナナツバコツブムシ(2007/6/28)
などです。



2016年4月21日

生き物に学び、くらしに活かす

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 国立科学博物館で、小規模ながら、面白い企画展が開かれています。「生き物に学び、くらしに活かす」です。早速、見に行ってまいりました。
 企画展の内容は、題名のとおりです。厳しい自然界に、見事に適応している生き物たちに学んで、人間の暮らしに活かそうというものです。すでに実用化された技術や、これから実用化されそうな技術が、紹介されています。未来に夢が描けます。
 例えば、競泳用の水着には、サメに学んで作られたものがあります。
 サメは、海の中で、獲物を捕えるために、速く泳がなければなりませんね。なぜ、サメが速く泳げるのか、それには、さまざまな体の仕組みが、関わっています。
 その一つが、皮膚の構造にあります。サメの皮膚は、速く泳ぐために、余計な水の抵抗を減らすようにできています。この皮膚の構造を真似て、競泳用水着が作られました。実際に、余計な水の抵抗を減らして、泳げるようになったそうです。
 また、建物の外壁に使われるタイルで、「汚れのつきにくいタイル」があります。これは、なんと、カタツムリの殻の構造を研究して、作られました。
 カタツムリは、雨の中を這い回ることが多いですね。じめじめした中を行動するのに、カタツムリの殻には、コケもつかず、いつもきれいです。
 その秘密は、殻の微細な構造にありました。カタツムリの殻は、雨に当たると、汚れが流れ落ちやすい構造になっています。この構造を真似て、タイルが作られました。
 もっと身近なところでは、マジックテープ(面ファスナー)があります。マジックテープは、ある植物の構造を真似て作られたことを、御存知でしたか?「ひっつき虫」と呼ばれる植物の果実です。草むらを歩くと、衣服にくっついてくる植物の果実ですね。
 「ひっつき虫」は、一種だけの植物ではありません。たくさんの種があります。マジックテープの開発者は、直接的には、ゴボウの果実を参考にしたといわれます。
 このように、生き物に学んだ技術を活かす学問を、バイオミメティクス(生物模倣)といいます。会場では、楽しいバイオミメティクスの例を、いくつも見ることができます。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本の動植物が、千八百種ほど掲載されています。
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 「生き物に学び、くらしに活かす」の情報は、以下のページにあります。
生き物に学び、くらしに活かす(国立科学博物館の公式サイト内ページ)


 過去の記事でも、生き物に関する、現在開催中のイベントを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
江戸から昭和、平成へ、薬草の博物誌(2016/3/8)


2016年4月15日

カイメン(海綿)の体の秘密

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 カイメンは、海の岩場へ行くと、見られる生物です。磯の岩に、橙【だいだい】色や黒色で、海藻とも思えない、不定形のかたまりが付いているのを、見たことがありませんか?
 それは、たいてい、カイメンの仲間です。専門的には、海綿動物門【かいめんどうぶつもん】というグループに属します。多細胞動物の中で、最も原始的だといわれます。
 カイメンの仲間には、胃や腸などの消化器官がありません。鰓【えら】のような呼吸器官も、ありません。心臓などの循環器官はおろか、血液もありません。
 これで、どうやって生きているのでしょうか? カイメンの体の中には、隅々にまで、水が行き渡る水路が作られています。この水路が、消化器官・呼吸器官・循環器官などを、すべて兼ねます。血液の代わりに、水が体内を巡っています。
 カイメンの体内の水路をたどってゆくと、必ず、襟細胞室【えりさいぼうしつ】という、小さな部屋に行き当たります。ここには、襟細胞【えりさいぼう】と呼ばれる細胞が集まっています。襟細胞は、鞭毛【べんもう】という細長い器官を持ちます。
 この鞭毛を動かして、カイメンは、常に水をかいています。このために、水路全体に、水の流れができます。カイメンの表面の入水孔から入った水は、襟細胞室を経て、出水孔から出てゆきます。この間に、水から、酸素や栄養を、直接、取り込みます。
 カイメンの仲間は、体の形が不定なものが、多いです。その時々の環境に応じて、自在に体を成長させます。どんな形になろうと、全体に、水路が張り巡らされます。
 何らかの障害があって、水路の一部が壊れてしまったとしましょう。それでも、カイメンは、全体に水を行き渡らせることができます。別の迂回路【うかいろ】を作るなどして、水のネットワークを維持することができるのです。
 このカイメンのネットワークが、近年、人間に注目されています。人間の生活に、応用できそうだからです。例えば、配水管網の維持に、応用できそうですよね。
 どこかで配水管が詰まっても、すぐに水を供給できる配水管網があれば、どれだけ役に立つでしょう。もしかしたら、カイメンが、教えてくれるかも知れません。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本近海に棲むカイメンが、四種ほど掲載されています。
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 過去の記事でも、カイメンを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
貝? いえ、カイメンです(2014/12/22)
ドウケツエビは、いい夫婦?(2014/12/8)
深海に立つシャンデリア? いえ、生き物です(2013/10/14)
どんな形にもなれる? カイメン(海綿)(2012/12/24)
カイメン(海綿)は、多細胞動物の祖先?(2009/11/13)
などです。


2016年3月27日

未来をひらく、海からの贈り物

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 お子さんたちは、春休みですね。春休み向けのイベントが、各地で開かれています。そのようなイベントの一つに、行ってまいりました。東京の科学技術館のイベントです。
 科学技術館で、「海!!未来をひらく!海からの贈り物」という展覧会が開かれています。海の生物から学んだ、さまざまな科学技術が、紹介されています。
 会場の入り口には、直径約2mの「ミステリーサークル」の模型があります。これは、体長がわずか10cmほどの魚が、海底に作るものです。その魚は、アマミホシゾラフグという、フグの一種です。奄美大島付近の海に棲んでいます。
 アマミホシゾラフグが作る「ミステリーサークル」は、卵を産みつけるための場所です。この「ミステリーサークル」の形を調べると、中心に産みつけられた卵に、常に新鮮な海水が送られるようになっていることが、わかりました。
 この形を研究すれば、海の土木工事に、役立つかも知れません。魚から教わる科学技術ですね。会場では、アマミホシゾラフグがサークルを作る映像を、見ることができます。
 会場の奥へ行くと、生きたオワンクラゲがいます。下村脩さんのノーベル賞で有名になった、オワンクラゲです。このクラゲから発見されたGFPという物質が、生物学の研究に、非常に役立っています。生きたオワンクラゲは、水族館でも、見る機会が少ないです。
 会場では、海藻から作られたハンドクリームを、試すこともできます。アカモクという海藻から、作られたクリームです。アカモクは、ワカメやコンブと同じ褐藻【かっそう】というグループに属します。秋田県や新潟県では、昔から、食用にされていました。
 アカモクに限りませんが、海藻には、ぬめりがありますよね。このぬめりには、ヒトの体に良い作用をもたらす物質が含まれています。例えば、保湿作用などです。これを利用して、ハンドクリームが作られました。塗ってみたら、さらりとした感触でした。
 会場では、他にも、生きたヌタウナギ(深海魚の一種)や、サメの皮膚を研究して作られたテニスラケットなどが、見られます。規模は、小さな展覧会です。説明員の方から、いろいろとお話を聞くことができます。ぜひ、話しかけてみて下さい。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本の海に分布する魚類や、無脊椎動物掲載されています。
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 過去の記事でも、現在、開催中の生物関係のイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
江戸から昭和、平成へ、薬草の博物誌(2016/3/8)
エミール・ガレの愛した植物たち(2016/1/31)

2016年3月11日

有明海特産? アゲマキガイ

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 日本は、地方ごとに、海の幸や山の幸が豊かな国ですね。今回は、ある地方で名産とされている生き物を紹介しましょう。アゲマキガイです。二枚貝の一種です。
 アゲマキガイは、有明海の名産とされます。干潟の泥の中に棲む貝です。貝殻の形が細長くて、マテガイに似ています。マテガイとは、科は違うものの、比較的、近縁です。
 もともと、アゲマキガイは、有明海沿岸や、瀬戸内海沿岸の一部だけで食される「地方の味」でした。現在では、日本の各地に出荷されています。
 ただし、アゲマキガイという名は、有明海沿岸以外では、馴染みがありません。このために、姿の似たマテガイとして、売られてしまうこともあります。
 瀬戸内海に分布していたアゲマキガイは、海岸の干拓などのために、絶滅してしまいました。有明海でも、かつてほどは、棲息していないようです。現在、日本の各地で売られるアゲマキガイは、多くが、中国や朝鮮半島からの輸入ものです。
 アゲマキガイは、日本の有明海にいるものと同じ種が、中国や朝鮮半島の沿岸にも、棲息します。アゲマキガイに近縁な仲間の貝は、ほとんどが、中国や朝鮮半島に分布します。このため、アゲマキガイは、大陸にいた種が、日本で生き残ったものだと考えられます。
 アゲマキガイの分類については、最近、異動がありました。少し前まで、アゲマキガイは、ナタマメガイ科に属するとされていました。ナタマメガイ科に属する種で、日本に分布するのは、アゲマキガイだけでした。他の種は、中国や朝鮮半島にいるとされました。
 ところが、最近になって、ナタマメガイ科を、他の科に、まるごと入れてしまったほうがいい、ということになりました。その科とは、ユキノアシタガイ科です。
 ユキノアシタガイ科には、ユキノアシタガイ、ミゾガイ、タカノハガイなどの種が属します。ここに挙げた三種は、日本に分布します。どの種も、マテガイに似て、細長い貝殻を持ちます。タカノハガイは、殻に、タカの羽根に似た、まだら模様があります。
 ユキノアシタガイ科は、マテガイ科とともに、マテガイ上科というグループにまとめられています。アゲマキガイは、ユキノアシタガイなどと一緒に、ここに入るわけです。

図鑑↓↓↓↓↓には、アゲマキガイに似たマテガイが掲載されています。
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 過去の記事でも、食用になる二枚貝を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
サルボウとは、猿の頬の意味か?(2016/1/29
食用貝の代替品たち(2015/1/19)
ホッキガイという種は、存在しない?(2015/1/12)
命名の傑作、ツキヒガイ(月日貝)(2011/9/19)
ムール貝やパーナ貝とは、どんな貝?(2008/12/12)
などです。


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2016年2月26日

誰に近縁? 珍渦虫【ちんうずむし】

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 今回は、数ある生物の中でも、とびきりの珍生物を紹介しましょう。珍渦虫【ちんうずむし】と呼ばれる生物です。海に棲む生物です。今のところ、バルト海と太平洋東部とから見つかっています。世界中で、六種しか確認されていません。
 珍渦虫には、眼や耳や鼻といった感覚器官がありません。四肢のような運動器官も、ありません。とても平べったい体をしています。顔や手足のような目立つ特徴はありませんが、体には、前後左右の区別があります。扁形【へんけい】動物のヒラムシに似ています。
 外見が似るために、珍渦虫は、しばらく、扁形動物門に入れられていました。珍渦虫という名は、その時に付けられたものです。扁形動物門の渦虫【うずむし】―いわゆる、プラナリア―の仲間で、珍しいものだから、珍渦虫というわけです。
 ところが、調べてみると、珍渦虫は、扁形動物とは、まったく違うことがわかりました。扁形動物ならあるはずの、原始的な中枢神経系がありません。先述のとおり、感覚器官や運動器官に加えて、生殖器官も、消化器官も、ありません。ないない尽くしの生物です。
 このように、体の構造があまりにも特異なため、珍渦虫の分類は、白紙に戻されました。さまざまな説が生まれては、否定されました。体の構造が簡単過ぎるのは、一度、高度に発達したのが、何らかの原因で、二次的に退化したのだという説もありました。
 DNAの研究が進むと、珍渦虫は、独自のグループ、珍渦虫動物門にすべきだという説が出てきました。さらに、有力な説が、生まれました。無腸【むちょう】動物と呼ばれる動物と、近縁だというのです。無腸動物も、分類上の位置が、不明確な生物でした。
 じつは、無腸動物も、一時期は、扁形動物門に入れられていました。外見上、扁形動物に似ているためです。二十一世紀になってから、扁形動物とは違い過ぎることが指摘され、独自の無腸動物門というグループが、提唱されました。
 今年、二〇一六年に、新しい研究結果が発表されました。それによれば、やはり、珍渦虫は、無腸動物と近縁なようです。珍渦虫と、無腸動物とを合わせて、珍無腸動物門というグループを作ることが、提唱されています。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、珍渦虫【ちんうずむし】は載っていません。かわりに、日本に分布する無脊椎動物が、二〇〇種近く掲載されています。
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 過去の記事でも、近年、分類学上の位置が変わった生物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
魚類というグループは、ない?(2014/3/31)
寄生植物は、分類が難しい?(2013/7/12)
鳥の祖先は、恐竜か?(2012/12/3)
脊索【せきさく】動物と、脊椎【せきつい】動物とは、違う? 同じ?(2012/10/15)
ホヤは脊索【せきさく】動物? 原索【げんさく】動物?(2007/8/28)

などです。


2016年2月12日

サル、それとも妖怪? エンコウガニ

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 今回は、カニの仲間を紹介しましょう。エンコウガニ(猿猴蟹)という種です。
 エンコウガニは、日本の函館あたりの海から、東シナ海、南シナ海、インド洋沿岸にまで、広く分布します。おおむね、水深50m以上の海に棲みます。このため、浜辺で見ることは、ありません。食用にもされないため、一般には、馴染みのないカニです。
 エンコウガニという種名は、なぜ、付いたのでしょうか? これには、二つの説があります。どちらも、体型と体色の特徴をとらえています。一つは、文字どおり、サルに由来するというものです。もう一つは、妖怪「えんこう」に由来するというものです。
 エンコウガニは、雄と雌とで、姿が違います。雄のほうは、はさみ脚が、とても長くなります。この脚が長いことを、サルの腕が長いことに見立て、体色が赤いことを、ニホンザルの顔が赤いことに見立てて、エンコウガニ(猿猴蟹)とされたといいます。
 もう一つの説では、河童の仲間の妖怪「えんこう」が、腕が長いのを、このカニのはさみ脚が長いことと結びつけたされます。妖怪「えんこう」は、水辺に棲んで、毛むくじゃらで、サルに似るそうです。だから、「えんこう(猿猴)」という名が付きました。
 エンコウガニは、十脚目【じゅっきゃくもく】短尾下目【たんびかもく】エンコウガニ上科エンコウガニ科エンコウガニ属の一種です。同じエンコウガニ科エンコウガニ属には、ケブカエンコウガニ、インドエンコウガニなどの種も、属します。
 エンコウガニとよく似た種名のカニとして、オオエンコウガニがいます。
 ところが、オオエンコウガニは、エンコウガニとは、近縁ではありません。十脚目短尾下目までは、同じ分類ですが、そのあとは、ワタリガニ上科オオエンコウガニ科オオエンコウガニ属となります。上科のレベルで分類が違うのは、近縁とは言いがたいです。
 オオエンコウガニは、食用になります。食用に売られる時には、オオエンコウガニという名ではなく、「丸ずわいがに」と呼ばれます。「ずわいがに」と名が付いても、本物のズワイガニとは、まるで違う種です。近縁ですら、ありません。
 よくある「丸ずわいがにの缶詰」は、じつは、オオエンコウガニの缶詰です。

図鑑↓↓↓↓↓には、日本近海に分布するカニが、十種以上掲載されています。
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 過去の記事でも、カニの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
再来なるか? ニシノシマホウキガニ(2015/7/10)
寄生虫に寄生する生き物がいる?(2013/7/8)
平家の怨霊が、ヘイケガニになった?(2012/6/4)
イソガニとイワガニ、どっちがどっち?(2009/8/21)
夫婦なのに名が違う?ズワイガニとコウバコガニ(2005/11/11)
などです。


2016年2月 5日

哺乳類に似ている?エビたち

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 日本人は、海産物が好きですね。中でも、エビは、よく食べられているものの一つです。クルマエビやイセエビなどは、御馳走【ごちそう】扱いですね。
 クルマエビの仲間(クルマエビ科)は、クルマエビ以外の種も、多く、食用にされます。その中には、面白い種名のものがいます。クマエビ(熊海老)、トラエビ(虎海老)、ウシエビ(牛海老)、サルエビ(猿海老)などです。どれも、哺乳類の名前ですね。
 これらの種は、みな、十脚目【じゅっきゃくもく】クルマエビ科に属します。互いに近縁な種同士です。これらの種には、哺乳類を思わせる特徴があるのでしょうか?
 クマエビの語源には、諸説があります。クルマエビ科の中で、大きくてたくましいことから、「クマ」の名が付いたといわれることがあります。トラエビは、虎縞【とらじま】に似たまだら模様があることから、種名が付きました。サルエビは、全体に赤みが強くて、「サルの顔のよう」だから、サルエビだそうです。
 ウシエビについては、調べてみても、語源がわかりませんでした。この種は、ウシエビという正式な日本語名(標準和名)よりも、別名のほうが、よく知られています。ブラックタイガーという名です。スーパーの店先では、この名で、お目にかかりますね。
 ブラックタイガーという別名は、生きている時に、黒い縞模様があることから、付きました。英語名でも、black tiger prawnといいます。全体的に、黒っぽいエビです。
 ウシエビ(ブラックタイガー)に限らず、クルマエビ科の種は、英語名を「** tiger prawn」とされるものが多いです。例えば、クマエビは、green tiger prawnなどと呼ばれます。
 ところが、肝心のトラエビの英語名は、「** tiger prawn」ではありません。私が聞いた範囲では、「Tora velvet shrimp」という英語名があります。日本近海にしか分布しないエビなので、日本語名の「トラ」を取ったようです。
 サルエビには、southern rough shrimpという英語名があります。Shrimpとは、prawnよりも、小型のエビを指します。トラエビやサルエビは、クマエビやウシエビより、小さいエビです。そのために、このような英語名が付いたのでしょう。
図鑑↓↓↓↓↓には、クルマエビ、クマエビなどのクルマエビ科のエビ掲載されています。
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 過去の記事でも、エビの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ドウケツエビは、いい夫婦?(2014/12/8)
シャコとアナジャコとは、違う? 同じ?(2013/4/15)
得意技で守ります、ハゼとテッポウエビ(2013/3/25)
アマエビ? いえ、ホッコクアカエビです(2012/2/27)
そっくりさんがいっぱい、スジエビ(2010/2/1)
などです。


2016年1月29日

サルボウとは、猿の頬の意味か?

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 皆さんは、赤貝【あかがい】を食べたことがありますか? 缶詰で食べたことがある方も、いるでしょう。二枚貝で、名のとおり、赤い身を持つものです。
 ところが、缶詰の赤貝は、正式な日本語名(標準和名)が「アカガイ」ではないものが多いです。アカガイでないなら、何という種なのでしょうか? 多くは、サルボウという種です。アカガイに近縁な二枚貝です。
 サルボウの外見は、アカガイに似ています。白っぽい二枚の殻があり、その殻には、はっきりした溝【みぞ】が刻まれています。殻には、藻が付いているため、市場では、モガイと呼ばれることが多いです。中身は、アカガイと同じく、赤いです。
 サルボウは、フネガイ目【もく】フネガイ科アカガイ属に属します。アカガイとは、属まで同じです。外見が似ていて、食用になることも同じなのは、納得できますね。
 とはいえ、種が違うのですから、違いもあります。食用の面では、アカガイは、寿司や刺身など、生で食べられることが多いです。それに対して、サルボウは、ほとんどが、煮付けにして食べられます。生で食べると、泥臭いのだそうです。
 アカガイは、高級寿司だねとして、知られますね。それに比べると、「赤貝の缶詰」は、ずいぶん安いです。それも道理で、缶詰の赤貝の正体は、サルボウだからです。
 現代日本では、サルボウとアカガイとで、価値に大きく差が付いています。けれども、歴史的には、アカガイよりも、サルボウのほうが、重要な食用貝だった時代が長いようです。縄文時代の貝塚から、サルボウの殻が、たくさん見つかっています。縄文人は、サルボウの殻を使って、貝輪と呼ばれるアクセサリーを作ったりもしました。
 サルボウという種名は、どこから来たのでしょうか? 有力な説では、「猿頬」だといいます。サルボウが生きている時には、藻が生えた貝殻から、赤い身が覗いています。この様子を、毛の生えたニホンザルの赤い頬にたとえた、というのです。
 この説は、確定したものではありません。サルボウの語源には、別の説もあります。縄文人も愛したサルボウの語源は、何なのか、気になりますね。
図鑑↓↓↓↓↓には、サルボウと近縁なアカガイが掲載されています。
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 過去の記事でも、二枚貝を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
食用貝の代替品たち(2015/1/19)
ホッキガイという種は、存在しない?(2015/1/12)
世界最長の二枚貝とは?(2014/12/1)
シンカイヒバリガイの進化の謎(2014/3/17)
フナクイムシ(船食虫)は、船を食べる?(2013/9/23)
などです。


2016年1月 9日

縄文時代の生き物とは?

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 神奈川県立歴史博物館で、ちょっと面白い展覧会が開かれています。「縄文の海 縄文の森」です。主に、縄文時代の動植物について、取り上げられています。
 縄文時代の遺跡、貝塚からは、動植物の遺骸が、大量に出土します。当時の人々が、食べた後に捨てたものです。特に、貝殻が多いために、貝塚と呼ばれます。
 貝塚の貝には、どんな種があるのでしょうか? 二枚貝では、アサリ、ハマグリ、ヤマトシジミ、サルボウ、マガキなどが多いです。現代でも、食用にされる貝たちですね。
 巻貝では、アカニシ、ダンベイキサゴ、スガイ、コシダカガンガラ、ツメタガイなどの種が、貝塚から見つかります。こちらも、現代でも食用にされる貝ばかりです。
 貝塚からは、魚の骨も、よく出土します。スズキ、ボラ、クロダイなどが多いです。これらの種も、現代の食用魚たちですね。沿岸の海に棲む魚たちです。
 中には、不思議な遺物もあります。例えば、マグロの骨です。マグロは、外洋に棲む魚です。しかも、大型魚で、猛スピードで泳ぎます。縄文人は、どうやってマグロを捕ったのでしょうか? 縄文時代には、エンジンもソナーもGPSもありませんのに。
 マグロの骨は、それなりの量が見つかります。縄文人が、恒常的にマグロを捕る技術を持っていたのは、確実です。その技術がどんなものだったのかは、まだ謎です。
 貝塚からは、陸上の鳥や獣の骨も出土します。獣(哺乳類)の骨では、ニホンジカとイノシシとの骨が、圧倒的に多いです。縄文人が、この二種の哺乳類を、よく食べていたことがわかります。釣り針などに加工された、シカの角も出てきます。
 縄文時代の遺跡からは、現代には見られない動物の骨も、見つかります。ニホンアシカ、ニホンオオカミ、ニホンカワウソ、オオヤマネコなどの骨です。どの種も、日本では絶滅してしまいました。オオヤマネコだけは、歴史時代に入る前に、絶滅したようです。
 植物では、クルミ、トチノキ、ミズキなどの果実が出土しています。やはり、食用になる植物ばかりです。面白いことに、クルミの果実を模した土器も、見つかっています。縄文人は、食用になる動植物を、大切に思い、扱っていたのでしょう。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する動植物が、千八百種以上掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 「縄文の海 縄文の森」に関する情報は、以下のページにあります。
縄文の森 縄文の海(神奈川県埋蔵文化財センターの公式サイト内ページ)
神奈川県立歴史博物館の公式サイト
 過去の記事でも、動植物を扱った展覧会を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
日本のスゲ、勢ぞろい(2015/12/19)
ブドウから生まれる奇跡、ワイン展(2015/11/7)

2015年10月16日

世界最大のクラゲとは?

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 世界最大のクラゲとは、どんな種でしょうか? それは、どのくらいの大きさなのでしょうか? これらの質問に答えるのは、難しいです。「大きさ」を、どう定義するかによって、答えが違うからです。長さで決めるべきでしょうか、それとも、重さで?
 長さで言うなら、世界最長のクラゲは、マヨイアイオイクラゲです。以前、このブログで取り上げましたね(世界最長生物とは?(2014/9/29))。
 しかし、マヨイアイオイクラゲは、群体生物です。多くの個体が集まって、一つの体を作っています。これでは、「個体として最大」とは言いがたいですね。
 個体として、世界最大のクラゲには、いくつかの候補があります。その一つが、スティギオメデューサ・ギガンテアStygiomedusa giganteaという種です。この、ややこしい種名は、ラテン語の学名です。日本語名は、付いていません。
 スティギオメデューサは、傘の直径だけで、1mほどあります。加えて、傘から伸びる触手が、類を見ないほど巨大です。なんと、長さが6mにもなります。触手は、四本しかありませんが、幅広く、肉厚で、重量感があります。
 こんな巨大クラゲに、海の中で出会ったら、ヒトのほうが食べられてしまいそうですね。けれども、その心配はありません。スティギオメデューサは、水深1000mほどの深海に棲むからです。深海で、彼らが何を食べているのかは、わかっていません。
 スティギオメデューサが、マヨイアイオイクラゲと同じ深海生物なのは、偶然ではありません。クラゲのように柔らかい体で、巨体なのは、海の表面近くでは、不利だからです。浅い海では、波が荒くて、体が崩されてしまうおそれがあります。
 スティギオメデューサは、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】鉢虫綱【はちむしこう】旗口【はたくち】クラゲ目【もく】ミズクラゲ科に属します。日本で最も平凡なクラゲ、ミズクラゲに近縁です。でも、スティギオメデューサは、とても珍しい種です。
 もし、何かの原因で、スティギオメデューサが、浅い海で目撃されたら......伝説の怪物、クラーケンや、シーサーペント(大海蛇)だと思われそうですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、ミズクラゲなどが掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 過去の記事でも、クラゲの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
クラゲダコとタコクラゲ、実在するのは、どっち?(2015/6/8)
世界最長生物とは?(2014/9/29)
一つの種に、二つの種名がある?(2013/5/13)
光合成するクラゲがいる?(2013/3/11)
不老不死のクラゲがいる?(2011/1/7)
などです。


2015年9月25日

海にも、クワガタがいる?

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 昆虫は、地球上で、最も栄えている生物だといわれますね。そんな昆虫が、海にはほとんどいないのが、謎とされています。そのかわり、海には、昆虫によく似た生物がいることがあります。今回は、そのような生物を取り上げましょう。ウミクワガタです。
 ウミクワガタの姿は、昆虫のクワガタムシにそっくりです。雄にだけ、大きな顎【あご】があります。ただし、大きさは、普通のクワガタムシより、ずっと小さいです。大部分の種は、全長1cmもありません。小さいために、見つけにくいです。
 ウミクワガタは、昆虫でないなら、何の仲間なのでしょうか? ダンゴムシやワラジムシの仲間です。最近、人気になったダイオウグソクムシの仲間でもあります。
 専門的には、節足動物門【せっそくどうぶつもん】甲殻亜門【こうかくあもん】軟甲綱【なんこうこう】等脚目【とうきゃくもく】というグループに属します。ダンゴムシも、ワラジムシも、ダイオウグソクムシも、みな、この等脚目に属します。
 ウミクワガタの分類を、詳しく言えば、等脚目のうち、ウオノエ亜目【あもく】ウオノエ上科【じょうか】ウミクワガタ科です。生物に詳しい方なら、ウオノエという名に、効き覚えがあるでしょう。ウオノエとは、魚類の寄生虫の名です。ウミクワガタも、幼生の頃には、魚に付いて血を吸う寄生虫生活をしています。
 ちなみに、クワガタムシを含む昆虫は、節足動物門の昆虫綱【こんちゅうこう】に属します。綱【こう】のレベルで分類が違うのは、たいへん大きな違いです。
 大きく分類が違うのに、なぜ、昆虫のクワガタムシと、等脚目のウミクワガタとは、姿がそっくりなのでしょうか? ウミクワガタは、クワガタムシと同じように、雄同士が、雌をめぐって、大顎で争うのではないかと考えられています。
 「考えられています」というのは、ウミクワガタの生態が、よくわかっていないからです。何しろ、小さいために、発見して、観察するのが、容易ではありません。ウミクワガタ科には、何種いるのかさえ、わかっていません。今後も、新種が見つかる余地が、大いにあります。新種を発見したければ、ウミクワガタの研究者になることですね(笑)
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ウミクワガタは載っていません。昆虫のクワガタムシは五種ほど掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 過去の記事でも、「他人の空似」の生物同士を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
シャコとアナジャコとは、違う? 同じ?(2013/4/15)
シラウオ、シロウオ、どちらが本当?(2008/2/29)
アマツバメは世界最速の鳥?(2007/10/15)
などです。


2015年8月25日

ウニのない人生なんて!?

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 ちょっと変わった展覧会へ、行ってまいりました。ウニの展覧会です。海に棲んで、棘だらけの、あのウニです。「あんなものが、展覧会になるの!?」と、驚きますね。
 会場は、東京の渋谷にあります。(PLACE)by methodという、おしゃれな空間です。規模は、大きくありません。どなたでも、無料で見られます。「自然の造形美展2 ウニのない人生なんて」という題名が付いています。
 会場には、たくさんのウニの標本や、標本を大写しにした写真パネルが、並んでいます。「ウニの展覧会だから、棘ばっかりか」と思うかも知れませんね。ところが、実際には、そうではありません。棘のないウニの標本のほうが、多いです。
 その理由は、ウニの標本の作り方にあります。死んでしまったウニは、棘が折れたり、外れたりしやすくなります。そのままの状態で標本にするのは、難しいです。このために、棘を全部取った状態で、標本にすることが、多いのですね。
 棘がなくなったウニとは、どんなものでしょう? 棘の下には、固い球状の殻があります(種によっては、そういう殻がないものもあります)。その殻には、棘が付いていた跡が、小さな円い突起になって、残っています。生きていた時には、想像できない姿です。
 この殻の形が、幾何学的なオブジェのようです。何の予備知識もなく、これらのウニの殻を見たら、ほとんどの方は、「現代美術の作品か」と思うのではないでしょうか。
 けれども、これらは、間違いなく、自然が作り出したものです。かつては、命が宿っていたものです。ベンテンウニ、パイプウニ、トゲザオウニ、アカオニガゼ、トックリガンガゼモドキ、タコノマクラ、スカシカシパンなどのウニの種が、紹介されています。
 多くのウニの殻を見比べると、五本の帯状の模様があることに、気づくでしょう。これは、ウニを含む、棘皮動物【きょくひどうぶつ】の特徴です。体の構造が、五という数を基本にして、できています。これが、私たちに、幾何学的な美を感じさせるようです。
 ウニの中には、球状ではなくて、円盤状や、ハート型の殻を持つ種もあります。バリエーション豊かな自然の芸術品を、愛でてみてはいかがでしょうか。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本近海に分布するウニが、十種ほど掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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「自然の造形美展2 ウニのない人生なんて」は、以下に案内があります。
自然の造形美展2 ウニのない人生なんて(ウサギノネドコの公式サイト内ページ)
 過去の記事でも、生物に関わるイベントを取り上げています。また、ウニについて取り上げた記事もあります。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
生き物を描く(2015/8/12)
スカイツリーの大昆虫展(2015/7/22)
ラッコとウニとコンブとの関係は?(2013/4/29)
謎の生物、ブンブクチャガマ(2011/7/11)
海の毒まんじゅう? イイジマフクロウニ(2010/8/23)
などです。


2015年8月14日

新種のミノウミウシ、発見される

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 世界では、毎年、膨大な数の新種が発見されています。けれども、それらのうちで、一般に報道されるのは、ごくわずかです。今回は、珍しく、広く報道された新種を、紹介しましょう。二〇一四年に発見された、ウミウシの一種です。
 そのウミウシには、正式な日本語名(標準和名)が、まだ、付いていません。ラテン語の学名では、Phyllodesmium acanthorhinumといいます。長いので、以下では、P. acanthorhinumと略しますね。日本の沖縄の海で、発見されました。
 一部では、この種が、「ハナビラミノウミウシ」だと報道されています。それは、間違いです。ハナビラミノウミウシという種は、別にいます。でも、P. acanthorhinumと、ハナビラミノウミウシとが、とても近縁なのは、間違いではありません。
 P. acanthorhinumは、裸鰓目【らさいもく】ミノウミウシ亜目【あもく】アオミノウミウシ科クセニアミノウミウシ属に属します。学名のPhyllodesmiumが、クセニアミノウミウシ属を示します。同じ属に、ハナビラミノウミウシも、属します。
 裸鰓目【らさいもく】とは、多くのウミウシを含む分類グループです。その中のミノウミウシ亜目は、外見に特徴あるグループとして、知られます。体から、長い突起が、たくさん出ているのです。ふさふさした感じに見えます。
 この様子が、昔の人が着た蓑【みの】に似ることから、ミノウミウシの名が付きました。ミノウミウシ亜目には、二百種以上もの種が属します。これだけ種がいれば、外見にも、バリエーションがあります。アオミノウミウシ科クセニアミノウミウシ属の種は、突起が半分透けていて、細長い水玉を背負ったように見えるものが、多いです。
 P. acanthorhinumも、半分透けた突起を持ちます。けれども、突起の数が、比較的少ないために、あまり、ふさふさした感じではありません。それよりは、ロック歌手か、クラブで踊る人のファッションのように見えます(笑)
 P. acanthorhinumは、その食性が、注目されています。サンゴを食べるウミウシが、進化してきた道筋を、明らかにする種かも知れない、と期待されています。

図鑑↓↓↓↓↓には、日本近海に棲むウミウシが、数種掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 過去の記事でも、ウミウシの仲間を取り上げています。また、ウミウシと紛らわしい生き物も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
他人の武器は、自分の武器? ウミウシ(2014/8/11)
ウミウシ? いえ、ヒラムシです(2011/3/21)
ウミウシは、海のナメクジか?(2011/1/14)
ウミウシは何の仲間?(2008/12/29)
オーストラリアのサンゴ礁で、数百の新種を発見(2008/9/25)
などです。


2015年8月12日

生き物を描く

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 神奈川県立 生命の星・地球博物館へ、行ってまいりました。特別展「生き物を描く サイエンスのための細密描画」を、見てまいりました。
 この展覧会では、「芸術としての生物の絵」ではなく、「自然科学としての生物の絵」が、取り上げられています。生物図鑑に載っている絵、といえば、わかっていただけるでしょうか。図鑑の絵は、普通、美術館にある絵とは、違いますよね?
 生物図鑑の生物の絵は、何よりも、正確さが求められます。芸術的な美しさは、二の次です。けれども、機械的に正確に描けばいいわけではありません。ヒトの目で見た時に、その生物種の特徴が、わかりやすくなくてはいけません。
 でなければ、図鑑の絵を見ても、どの種なのか、わからないことになってしまいます。それでは、図鑑の役割を果たせませんね。
 これだけ、デジタル写真が発達した時代になっても、多くの図鑑で、写真のみならず、絵が多用されています。それは、なぜでしょうか?
 この展覧会の絵を見ていただけば、その答えが、わかります。機械的に正確な写真よりも、絵のほうが、細かい部分がわかりやすいのです。また、写真では、生態の「決定的瞬間」を撮るのが、難しいですね。絵なら、自由に描くことができます。
 不思議なことに、生物学的な正確さを追求した絵は、芸術的な美しさをも、そなえるようになります。優れた図鑑の絵は、決して、無味乾燥ではありません。
 例えば、展覧会の会場にある、杉浦千里さんの作品を御覧下さい。エビ・カニなどの、甲殻類を描いたものです。入ってすぐのコーナーにあります。
 多くの方は、杉浦さんの作品に、衝撃を受けるでしょう。精密無比にして、色彩は鮮明だからです。本物以上に本物の甲殻類が、そこにいます。画面から飛び出して、ごそごそと動きだしそうです。生命感にあふれた絵は、芸術の高みに達しています。
 他にも、田淵行男さんの蝶類の絵、今関六也さんの菌類(キノコ類)の絵など、素晴らしい生物画が見られます。絵を描く手順についても、紹介されています。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する無脊椎動物、昆虫、植物などが、二千種ほど掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 特別展「生き物を描く サイエンスのための細密描画」の情報は、以下のページにあります。
特別展「生き物を描く サイエンスのための細密描画」(生命の星・地球博物館の公式サイト内ページ)


 過去の記事でも、夏休み中の生物に関するイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
スカイツリーの大昆虫展(2015/7/22)


2015年8月 7日

海に棲むクモ(蜘蛛)がいる?

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 クモの仲間が、海に棲むという話を、聞いたことがありますか? たいがいの方にとっては、思いもよらないでしょう。極めて少ないながらも、海に棲むクモがいます。
 そのようなクモを紹介する前に、ウミグモの話をしておきましょう。海中には、ウミグモと呼ばれる生物がいます。細長い脚が、クモと同じく八本生えていて、クモに似た外見をしています。とはいえ、ウミグモは、陸のクモとは、まったく違う生物です。
 陸のクモは、節足動物門【せっそくどうぶつもん】鋏角亜門【きょうかくあもん】クモ綱【こう】クモ目【もく】に属するものたちです。対して、ウミグモは、節足動物門鋏角亜門ウミグモ綱【こう】に属します。綱【こう】という大きなレベルで、分類が違います。
 さて、本物の、海に棲むクモとは、どんな種なのでしょうか? これまで、日本では、ヤマトウシオグモという種が知られていました。ウシオグモ科の一種です。日本の本州の一部、九州の一部、南西諸島の海岸地域に分布します。
 ヤマトウシオグモは、岩礁やサンゴ礁のある海岸に棲みます。海岸の岩のくぼみなどに、糸で巣を作ります。巣のある場所は、満潮時には、海水に水没してしまいます。
 巣の中には、海水が入らないようになっていて、満潮時のヤマトウシオグモは、そこにこもります。海に棲むからといって、海水中をすいすい泳ぐわけではありません。
 二〇一二年に、日本で、もう一種、海岸に棲むクモが発見されました。日本固有の新種です。アワセイソタナグモと名付けられました。沖縄本島の泡瀬干潟で発見されたためです。今のところ、世界中で、泡瀬干潟でしか、確認されていません。
 アワセイソタナグモは、サンゴでできた石の裏のくぼみに、糸で巣を作ります。そこも、満潮時には、海水に水没してしまいます。アワセイソタナグモは、巣の中に空気を貯めて、そこにこもります。ヤマトウシオグモと、似た生態ですね。
 しかし、アワセイソタナグモと、ヤマトウシオグモとは、さほど近縁ではありません。アワセイソタナグモは、タナグモ科に属します。近縁でない種同士が、なぜ、このような特殊な環境に適応したのでしょうか? その謎を解くのは、まだ、これからです。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、海に棲むクモは載っていません。かわりに、日本の陸に棲むクモが、九種ほど掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 過去の記事でも、クモの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
居候するクモがいる?(2014/9/8)
ハラキリグモとは、どんなクモ?(2012/7/23)
鬼も美女もいる? オニグモの仲間たち(2011/8/15)
クモの中の目利き? ハエトリグモ(2010/10/29)
人面グモ? いえ、ハナグモです(2009/4/10)
などです。



2015年7月10日

再来なるか? ニシノシマホウキガニ

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 小笠原諸島の西之島【にしのしま】の噴火のニュースは、皆さん、御存知でしょう。二〇一三年に、西之島のすぐ隣の海域で、噴火が始まりました。あんなにすごい噴火状況では、西之島の動物も、植物も、とうてい生きていられるとは思えませんね。
 西之島付近では、一九七三年にも、大きな噴火が起こっています。その時は、どうだったのでしょうか? じつは、一九七五年に、大きな発見がありました。
 噴火直後で、生き物はほとんどいないと思われた海域に、カニが見つかりました。それは、新種のカニでした。研究の結果、イワガニ科の新属新種とわかりました。
 新種のカニは、ラテン語の学名を、Xenograpsus novaeinsularisと付けられました。日本語の種名は、NHKの番組で、公募されました。その結果、ニシノシマホウキガニに決まりました。はさみに毛が生えて、ほうきのようなことから、この名になりました。
 噴火直後の荒れ果てた海で、ニシノシマホウキガニは、どうやって暮らしているのでしょうか? これについては、よくわかっていません。西之島のニシノシマホウキガニたちは、発見された直後に、見つからなくなってしまったからです。
 一九七三年に始まった、西之島の火山活動も、活発でした。ニシノシマホウキガニの生息域は、火山からの噴出物などで、埋もれてしまったのですね。
 ところが、一九九三年になって、別の海域で、ニシノシマホウキガニが発見されました。トカラ列島の悪石島と、硫黄列島の北硫黄島です。さらに、二〇一三年には、伊豆大島沖でも、発見されました。なぜ、こんなに飛び離れた分布なのでしょうか?
 ニシノシマホウキガニの発見された海域には、共通点があります。みな、海底火山がある点です。カニたちは、火山のために、海底に温泉が湧いている岩場にいます。
 どうやら、ニシノシマホウキガニは、温泉が湧いた海底にしか、棲めないようです。どうやって、海底温泉を見つけて、分布を広げているのかは、わかっていません。
 西之島のニシノシマホウキガニは、一九八〇年代以降、見つかっていません。今回の噴火で、再び、ニシノシマホウキガニが戻ってくるかどうか、注目されています。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ニシノシマホウキガニは載っていません。かわりに、日本近海に分布するカニが、10種以上掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 過去の記事でも、カニの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
寄生虫に寄生する生き物がいる?(2013/7/8)
平家の怨霊が、ヘイケガニになった?(2012/6/4)
宿主をあやつる、フクロムシの驚異(2011/10/17)
イソガニとイワガニ、どっちがどっち?(2009/8/21)
シオマネキは、潮を招く?(2009/6/1)
などです。



2015年6月 8日

クラゲダコとタコクラゲ、実在するのは、どっち?

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 深海には、奇妙な生物が、たくさん棲んでいますね。今回は、そのような生物の一種を紹介しましょう。クラゲダコです。クラゲなのかタコなのか、わからない名ですね?
 クラゲダコは、一見、クラゲに見えます。体が透明で、ゼラチン質だからです。その姿で、ふわふわと海中を漂う様子は、クラゲとしか思えません。
 でも、クラゲダコは、タコです。タコの中の、クラゲダコ属を指します。よく見れば、八本の腕があります。眼も、発達したものが、二つ、付いています。
 クラゲダコは、なぜ、クラゲに似た姿なのでしょうか? 体を軽くして、浮力を稼ぐためです。体をゼラチン質にすれば、軽くなります。食べ物が少ない深海では、筋力(エネルギー)を使わずに浮いていられるなら、それに越したことはありません。
 クラゲの体がゼラチン質なのも、同じ理由です。体を軽くしたおかげで、クラゲは、泳ぐための筋肉を、発達させなくてもよくなりました。海の浮力を利用して、漂うように泳ぎます。それでも、クラゲの仲間は、充分に、海で栄えています。深海にも、多いです。
 クラゲダコの場合は、クラゲと遠縁でありながら、深海で生活するのに直面した問題を、クラゲと同じ方法で、解決したわけですね。
 先述のとおり、クラゲダコには、よく発達した眼があります。透明な体のために、筒状に、体の中に伸びているのが、見えます。双眼鏡のようです。クラゲダコは、暗い深海で、この眼を存分に利用して、獲物をとらえたり、敵から逃れたりしているのでしょう。
 紛らわしいことに、タコクラゲという種名の生き物も、います。タコクラゲのほうは、正真正銘のクラゲです。タコではありません。タコクラゲという種名が付いたのは、体が不透明なのに加えて、八本の腕に見えるものが、体に付いているからです。
 遠目に見れば、タコクラゲの泳ぐ姿は、タコに見えなくもありません。とはいえ、やはり、体には、普通のタコと違う透明感があります。タコならばあるはずの眼や漏斗【ろうと】も、ありません。タコクラゲは、クラゲダコと違って、浅い海に棲みます。
 同じ海にいても、クラゲダコとタコクラゲとが出会うことは、まず、ないでしょうね。
図鑑↓↓↓↓↓には、クラゲダコは載っていませんが、タコクラゲは掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 過去の記事でも、タコの仲間を取り上げています。また、クラゲの仲間も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
世界最長生物とは?(2014/9/29)
アンモナイトじゃない? アオイガイ(2013/9/9)
光合成するクラゲがいる?(2013/3/11)
コウモリダコは、タコ? イカ?(2012/10/22)
パウルくんは、マダコ(真蛸)か?(2010/9/13)
などです。


2015年4月13日

浜に流れ着く角【つの】? いえ、貝です

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 貝の仲間は、日本人には、馴染みがありますね。食用にされることが、多いからでしょう。アサリなどの二枚貝や、サザエなどの巻貝は、どなたでも、御存知ですね。
 ところが、日本人にも、馴染みのない貝の仲間があります。ツノガイの仲間です。
 ツノガイの仲間は、二枚貝でも、巻貝でもありません。専門的に言えば、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】掘足綱【くっそくこう】というグループです。
 ちなみに、二枚貝は、軟体動物門の二枚貝綱【にまいがいこう】です。巻貝は、軟体動物門の腹足綱【ふくそくこう】です。貝の仲間は、すべて、軟体動物門に属します。
 掘足綱の貝は、二枚貝にも、巻貝にも、似ていません。貝殻の形は、ツノガイの名のとおり、ウシ(牛)の角に似ています。ただし、ウシの角よりは、ずっと小さいです。
 二枚貝や、巻貝の場合は、殻の形に、バリエーションが多いですよね。例えば、同じ巻貝でも、アワビとサザエとでは、まるで違います。けれども、掘足綱の貝は、形にバリエーションがありません。みな、同じような角の形です。
 掘足綱の貝殻をよく見ると、太い方と細い方と、両方に穴が開いています。太い方の穴は、殻口と呼ばれます。細い方の穴は、後口と呼ばれます。
 生きているツノガイは、殻口を下に、後口を上にした状態でいるのが、普通です。その状態で、海底の砂や泥に、潜っています。この時、後口が、砂や泥から覗いています。ここから、海水を取り入れて呼吸をしたり、排泄物を出したりします。
 食べるほうは、どうしているのでしょう? 掘足綱には、頭糸と呼ばれる器官があります。触手状の器官です。これを使って、餌を取って食べます。餌は、歯舌【しぜつ】という器官で、細かく、食べやすくされます。
 歯舌という名を聞いて、ぴんと来た方もいるでしょう。巻貝の仲間も、歯舌を持ちます。掘足綱は、巻貝の仲間(腹足綱)と、近縁なのでしょうか?
 最近の研究によれば、どうやら、そうらしいと、わかってきました。巻貝により近縁なのに、ツノガイの仲間の暮らしぶりは、二枚貝に似ています。面白いですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ツノガイの仲間は載っていません。かわりに、日本近海に分布する貝類が、五十種以上掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-


 過去の記事でも、貝の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
食用貝の代替品たち(2015/1/19)
世界最長の二枚貝とは?(2014/12/1)
他人の武器は、自分の武器? ウミウシ(2014/8/11)
シンカイヒバリガイの進化の謎(2014/3/17)
弥生人も大好き? ソデボラの仲間たち(2014/3/3)
などです。



2015年3月24日

わくわく! 大アマゾン展

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 国立科学博物館で、楽しい展覧会が開かれています。大アマゾン展です。早速、行ってまいりました。アマゾンの動物・植物・菌類に、たっぷり会えます。
 会場の最初のコーナーには、化石がたくさんあります。古生物のコーナーなのですね。ここでの見どころは、大きな翼竜の化石や、保存状態の良い昆虫の化石です。トンボやキリギリスなど、現代の昆虫によく似た姿の化石が、見られます。
 次のコーナーからは、現生の生物たちが、紹介されています。剥製【はくせい】標本と、骨格標本とが多いです。哺乳類のコーナーでは、ぜひ、南米独自の哺乳類グループに、注目して欲しいですね。アリクイ、ナマケモノ、アルマジロたちです。
 アリクイと、ナマケモノと、アルマジロとは、かつて、貧歯目【ひんしもく】という一つのグループに、まとめられていました。現在では、二つの目【もく】に分けられています。アルマジロが被甲目【ひこうもく】、ナマケモノとアリクイとが有毛目【ゆうもうもく】です。被甲目と有毛目とは、南米大陸で独自に進化したと考えられています。
 鳥類のコーナーは、きらびやかです。インコ、ハチドリ、オオハシ、マイコドリ、タイランチョウなど、派手な種の鳥が多いからです。ここでも、南米独自のグループを、見逃さないで欲しいです。ツメバケイ、ジャノメドリ、ラッパチョウなどの鳥たちです。
 爬虫類のコーナーでは、何よりも、巨大なアナコンダに驚きます。長さ5m以上もある大蛇を、目の当たりにできる機会なんて、そうはありません。こんな大きさの生きた大蛇は、ヒトを食べることもできます。会場にあるのは、標本ですから、安心です。
 水生生物のコーナーでは、アマゾンカワイルカと、ガンジスカワイルカとの頭骨を、比較できます。同じように河に棲むイルカなのに、まるで頭骨が違います。
 植物のコーナーでは、水草が特集されています。アマゾン川の水草は、激しい水位の変動に、どのように対応するかという問題を抱えています。中には、驚くべき方法で、対応している種があります。その方法は、会場の解説を読んでみて下さい。
 御家族連れでも、カップルでも、お一人でも、春のお出かけに良い展覧会でしょう。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、アマゾン川流域の生物は載っていません。かわりに、日本に分布する生物が、千種以上掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 大アマゾン展の情報は、以下のウェブサイトにあります。
大アマゾン展 公式サイト
 過去の記事でも、南米の動植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
じつは食べられる? カンナ(2014/9/12)
ピーマンとトウガラシとは、同じ? 違う?(2014/8/8)
白鷺だけど、白くない? アマサギ(2014/4/21)
トケイソウの果実が、パッションフルーツ?(2013/8/16)
人を殺せるカエルがいる?(2013/6/3)
などです。


2015年3月 9日

星の砂の正体とは?

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 寒さを吹き飛ばせるように、今回は、暖かい地方の話をしましょう。南西諸島で、よく見られる、海の生き物の話です。「星の砂」について、聞いたことがありませんか?
 沖縄のお土産で、「星の砂」をもらった方も、いるでしょう。砂の粒が、金平糖のように、とげとげしています。こんな形の砂粒は、どうやってできたのでしょうか?
 じつは、「星の砂」は、生き物が作ったものです。もともと、生き物の体の一部でした。その生き物が死んだ後、体の硬い部分―殻―だけが残って、「星の砂」と呼ばれます。
 普通の砂粒と見まごうばかりの、小さな殻ですね。「星の砂」を作るのは、微小な単細胞生物です。生きている時には、殻の中に、軟らかい生体部分が入っています。
 この殻を、顕微鏡で見ると、小さな穴が、たくさん開いています。この特徴から、「星の砂」を作る生き物には、有孔虫【ゆうこうちゅう】という名が付いています。
 有孔虫は、とても大きなグループです。分類単位で言えば、有孔虫門【ゆうこうちゅうもん】有孔虫綱【ゆうこうちゅうこう】に属するものたちです。この中には、何十万という種が含まれます。その大部分が、1cmにも満たないサイズです。
 「星の砂」になるのは、有孔虫のうちの、ごく一部の種です。ホシズナという種と、タイヨウノスナという種とが、有名です。どちらも、金平糖に似た、とげとげの殻を持ちます。ロタリア目【もく】カルカリナ科に属することも、同じです。
 ホシズナや、タイヨウノスナが注目されたのは、彼らの殻ばかりがまとまって、海岸に吹き寄せられることがあるからです。そのような海岸が、「星砂の浜」などと呼ばれて、有名になりました。なぜ、近似種の殻ばかりが集まるのかは、わかっていません。
 すべての有孔虫が、ホシズナやタイヨウノスナのような形の殻を持つわけではありません。有孔虫の殻は、非常に多様性に富んでいます。細長いもの、丸っこいもの、平たいもの、螺旋【らせん】状のもの、宇宙ロケットのように見えるものまであります。
 有孔虫の殻が、なぜ、こんなに多様なのかも、わかっていません。まさか、ヒトのお土産になるために、奇抜な形になったわけではないでしょう(笑)
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、有孔虫は載っていません。かわりに、日本近海に棲む無脊椎動物が、百種以上掲載されています。
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 過去の記事でも、南西諸島の海に分布する生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
弥生人も大好き? ソデボラの仲間たち(2014/3/3)
日本最大のヒトデとは?(2013/12/2)
イモガイの毒は、ヒトをも殺す?(2012/11/26)
ノコギリザメと、ノコギリエイとは、違う? 同じ?(2012/7/16)
マベガイからできるのが、マベ真珠?(2012/7/2)
などです。


2015年2月23日

光るサボテン? ウミサボテン

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 海の中には、何の仲間なのか、わかりにくい生き物が、たくさんいます。特に、海底に、植物のように生えているものが、多いです。植物に見えても、たいがいは、動物なのですね。今回は、そのようなグループの生き物を紹介しましょう。ウミサボテンです。
 ウミサボテンとは、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】花虫綱【はなむしこう】八放【はっぽう】サンゴ亜綱【あこう】ウミエラ目【もく】ウミサボテン科に属する生き物の総称です。ウミサボテン科の中に、ウミサボテンという種名の一種もいます。
 上記の分類に、「ウミエラ」とありますね。ウミサボテンは、以前、このブログで紹介した、ウミエラに近縁です(海の羽根ペン? いえ、ウミエラです(2014/2/10))。ウミエラと同じく、海底の砂や泥に、柄【え】に当たる部分を突き刺して、立っています。
 日本近海で、最も平凡なのは、おそらく、種名ウミサボテンでしょう。普通の海水浴場にも、棲むことがあります。海中で揺らめく姿は、確かに、陸上のサボテンに似て見えます。でも、「海で、そんなもの、見たことないぞ?」という方が、ほとんどでしょう。
 その理由は、種名ウミサボテンが、夜にしか、姿を見せないからです。昼間は、体を縮めて、海底の砂や泥の中に、隠れています。夜は、長さが40cmほどになる個体もあるのに、昼間は、驚くほど小さくなります。
 ウミサボテンの仲間が、すべて、夜にしか姿を見せないわけではありません。例えば、ミナミウミサボテンという種は、昼間に伸びています。おかげで、観察しやすいです。
 ミナミウミサボテンは、体内に、褐虫藻【かっちゅうそう】という微生物を棲ませています。褐虫藻は、日光を浴びて、栄養を作ります。その栄養を、ミナミウミサボテンはもらっているのですね。褐虫藻に日光が当たるように、昼間に伸びるわけです。
 いっぽう、種名ウミサボテンは、夜に伸びて、海中に漂う小動物などを食べます。サボテンの棘【とげ】に見える部分がポリプで、そのポリプが、獲物をとらえます。
 種名ウミサボテンは、夜に光ることで有名です。刺激を与えると、光ります。何のために光るのかは、まだ、わかっていません。

図鑑↓↓↓↓↓には、が掲載されています。
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 過去の記事でも、ウミサボテンと同じく、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】花虫綱【はなむしこう】に属する生物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海の羽根ペン? いえ、ウミエラです(2014/2/10)
海中の植物園? サンゴの仲間たち(2011/8/1)
世界最長寿のサンゴが発見される(2009/4/4)
白保のサンゴは普通と違う? アオサンゴ(2008/11/17)
オーストラリアのサンゴ礁で、数百の新種を発見(2008/9/25)
などです。


2015年1月19日

食用貝の代替品たち

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 以前、このブログで、ホッキガイなどの、食べられる二枚貝を紹介しましたね(ホッキガイという種は、存在しない?(2015/1/12))。今回も、あれらの貝の話の続きです。
 寿司屋などで、ホッキガイと呼ばれる食用貝の、正式な日本語の種名(標準和名)は、ウバガイです。ところが、「ホッキガイ」の中には、他の種も、混じっています。
 それは、主に、アメリカウバガイという種だといわれます。ウバガイに近縁な種です。同じバカガイ科ウバガイ属に属します。種名のとおり、北米東海岸に分布します。
 アメリカウバガイは、産地の北米から、輸入されています。その中には、ウバガイ属の他の種も、混じっているようです。外国のウバガイ属の種については、事実上、種名を確定できません。分類が、明確でない部分があるためです。
 つまり、私たちが食べている「ホッキガイ」が、本当は何という種なのかは、決めがたいです。「ホッキガイ」は、標準和名ではなく、通称に過ぎません。ですから、ウバガイでない種を、通称ホッキガイとして出しても、間違いとは言えません。
 似たことが、ミル貝【がい】についても、あります。ミル貝とは、本来、標準和名ミルクイという種を指しました。しかし、現在の「ミル貝」には、ミルクイとは異なる種が、複数、混じっています。数で言えば、ミルクイ以外の種のほうが、多いです。
 ミル貝の中には、「白【しろ】ミル」や、「本【ほん】ミル」、「黒【くろ】ミル」という呼び名があります。「本ミル」や「黒ミル」が、本来のミルクイを指す通称です。
 「白ミル」と呼ばれたのは、もともとは、標準和名ナミガイ(波貝)という種でした。ミルクイとは、遠縁です。キヌマトイガイ科ナミガイ属に属します。でも、姿や生態は、ミルクイと似ています。ミルクイと同じく、瀬戸内海などの砂泥底に棲みます。
 白ミルの中には、アメリカナミガイという種も、含まれます。ナミガイに近縁です。同じキヌマトイガイ科ナミガイ属に属します。北米大陸の西海岸に分布します。
 アメリカナミガイは、北米から輸入されています。今では、「ミル貝」の多くが、アメリカナミガイです。私たちの食は、輸入に支えられていると、改めて、感じますね。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ウバガイやミルクイは載っていません。かわりに、日本に分布する二枚貝が、十種以上掲載されています。
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 過去の記事でも、通称と、正式な日本語名(標準和名)とが食い違う種を取り上げています。また、二枚貝の仲間も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
世界最長の二枚貝とは?(2014/12/1)
アマエビ? いえ、ホッコクアカエビです(2012/2/27)
命名の傑作、ツキヒガイ(月日貝)(2011/9/19)
ムール貝やパーナ貝とは、どんな貝?(2008/12/12)
安物から高級食材へ、アカガイ(赤貝)(2008/5/2)
などです。


2015年1月12日

ホッキガイという種は、存在しない?

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 今回は、私たちが食用にしている生物を、紹介しましょう。二枚貝の仲間を取り上げてみます。バカガイ科の二枚貝たちです。この科には、食用になる種が多いです。
 例えば、ホッキガイ(北寄貝)と呼ばれる貝がいます。多くの方が、この名前を聞いたことがおありでしょう。寿司だねなどで、見かけますね。
 ところが、ホッキガイという種名の種は、学問的には、存在しません。ホッキガイの正式な日本語名(標準和名)は、ウバガイ(姥貝)といいます。ホッキガイという呼び名は、あくまで、通称です。一般的には、ホッキガイのほうが、通りがいいですね。
 ウバガイという名も、ホッキガイという名も、語源は、わかっていません。姥貝のほうはともかく、北寄貝という漢字名は、当て字だろうといわれます。
 ウバガイと似た例は、同じバカガイ科の別種でも、あります。標準和名バカガイ(馬鹿貝)が、そうです。この種も、食用にする場合には、バカガイと呼ばれることは、ほとんどありません。アオヤギ(青柳)という名で呼ばれることが、多いです。
 アオヤギという名は、本来、食用に処理された、バカガイの体の部分に対して、使われます。でも、人によっては、生きたバカガイを指して、アオヤギと呼ぶこともあります。
 それは、「バカ」という語感が、嫌われるからでしょう。それでも、学問的には、バカガイの名のほうが、標準和名になってしまいました。気の毒な種名ですね。
 しかし、「バカガイの『バカ』は、愚かという意味のバカではない」という説もあります。バカガイという種名の語源には、いくつもの説があって、定まっていません。アオヤギのほうは、地名に由来することが、はっきりしています。
 バカガイ科には、ミルクイという食用種も属します。この種も、通称で、ミル貝【がい】と呼ばれることが多いです。標準和名は、ミルクイのほうです。
 ややこしいことに、最近は、ミルクイ以外の種が、ミル貝と呼ばれることが増えました。キヌマトイガイ科の数種が、そう呼ばれて、食用にされます。キヌマトイガイ科の種は、バカガイ科とは遠縁ですが、似た食感の種がいるためです。掲載されています。
図鑑↓↓↓↓↓には、掲載されています。
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 過去の記事でも、通称と、正式な日本語名(標準和名)とが食い違う種を取り上げています。また、二枚貝の仲間も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
世界最長の二枚貝とは?(2014/12/1)
アマエビ? いえ、ホッコクアカエビです(2012/2/27)
命名の傑作、ツキヒガイ(月日貝)(2011/9/19)
ムール貝やパーナ貝とは、どんな貝?(2008/12/12)
安物から高級食材へ、アカガイ(赤貝)(2008/5/2)
などです。


2014年12月22日

貝? いえ、カイメンです

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 以前、このブログで、カイロウドウケツというカイメン(海綿)の仲間を紹介しましたね。体内に、ドウケツエビというエビが棲みつくカイメンです。生活の厳しい深海にあって、ドウケツエビは、カイロウドウケツの中で、ぬくぬくと安全に暮らします。
 ドウケツエビは、どのようにして、このような安楽な生活を手に入れたのでしょうか? それを読み解く鍵になりそうな生物がいます。ホッスガイ(払子貝)です。
 貝と付いても、ホッスガイは、貝類ではありません。カイメンの仲間です。カイロウドウケツに近縁です。カイロウドウケツと同じ、六放海綿綱【ろっぽうかいめんこう】に属します。このグループは、体内に、ガラス質の骨組みを持ちます。
 ホッスガイの「貝」とは、この硬い骨組のために、名付けられました。昔の日本人にとって、海に棲む「体の硬い生き物」は、みな「貝」だったのですね。
 払子【ほっす】のほうは、仏教で使う仏具に由来します。ばさばさした、大きな筆のような物です。この払子に形が似ることから、名が付きました。
 けれども、実際に生きている姿を見ると、払子より、コップに形が似ています。柄の付いたコップが、海底に立つように見えます。ホッスガイの生きた姿は、最近まで、知られませんでした。カイロウドウケツと同じく、深海に棲むからです。 
 ホッスガイの「コップ」の部分は、物を食べる部分です。水流に乗ってきた有機物を、ここに集めて、食べ物とします。この「コップ」に、エビの仲間が取り付いているのが、観察されています。集まってきた有機物を、横取りして食べるためです。
 もし、ホッスガイの「コップ」が、筒状になったら、どうでしょう? その筒の中に、食べ物を求めて、エビが入り込んだら......カイロウドウケツと、同じ姿になりますね。こんなふうに、進化したのかも知れません。
 先に書いたように、深海は、暮らすには厳しい所です。少しでも、食べ物のあるところを求めて、エビは、カイメンに行き着いたのでしょう。横取りはずるく見えますが、これも、生きる知恵の一つです。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ホッスガイは、載っていません。かわりに、日本近海に棲むカイメンやエビ類が、十種以上が掲載されています。
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 過去の記事でも、カイメンの仲間や、エビの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
深海に立つシャンデリア? いえ、生き物です(2013/10/14)
得意技で守ります、ハゼとテッポウエビ(2013/3/25)
どんな形にもなれる? カイメン(海綿)(2012/12/24)
カイメン(海綿)は、多細胞動物の祖先?(2009/11/13)
などです。


2014年12月 8日

ドウケツエビは、いい夫婦?

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 11月22日は、語呂合わせで、「いい夫婦の日」だそうですね。今回は、これにちなんで、いい夫婦(かも知れない)生物を紹介しましょう。深海に棲む生物です。
 一定以上の年齢の方なら、結婚式の披露宴などで、偕老同穴【かいろうどうけつ】という言葉を、聞いたことがあるかも知れませんね。「偕【とも】に老いて、同じ穴に葬られる」という意味です。夫婦が、末永く、仲良く一緒にいることを指す言葉です。
 この言葉を、そのまま種名にした生物がいます。カイロウドウケツです。海綿【かいめん】動物の一種です。カイメンの仲間には、形が不定形な種が多いですが、カイロウドウケツには、一定の形があります。細長い筒型をして、海底から立ち上がっています。
 カイロウドウケツの筒型は、籠【かご】状で、小さな穴がたくさん空いています。そのため、中が、透けて見えます。中を見ると、何か、動くものが入っています。
 それは、ドウケツエビです。種名のとおり、エビの仲間です。ほとんどの場合、雌雄一対が、カイロウドウケツの中に棲みます。
 ここで、ぴんと来た方がいるでしょう。じつは、「偕老同穴」なのは、カイロウドウケツではなくて、ドウケツエビのほうです。一度、「夫婦」として、カイロウドウケツの中で暮らし始めると、一生、そのつがいを維持すると考えられています。
 カイロウドウケツと、ドウケツエビとは、深さ1000mほどの深海に棲むといわれます。もう少し浅い海にもいますが、それでも、深さ100mを越えるほどの海です。
 このため、カイロウドウケツも、ドウケツエビも、観察が難しいです。生態については、よくわかっていません。ドウケツエビは、体の小さい幼生の頃に、カイロウドウケツの籠目【かごめ】から、中に入ると推測されています。
 中に入った頃、ドウケツエビは、まだ雄でも雌でもない状態です。二匹が入ると、片方が雄、もう片方が雌に分化します。この分化の仕組みは、まだ解明されていません。
 なぜ、大部分のドウケツエビが、一つのカイロウドウケツの中で、「夫婦水入らず」で暮らせるのかも、わかっていません。深海生物には、謎が多いですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、カイロウドウケツも、ドウケツエビも、載っていません。かわりに、日本近海に棲むカイメンやエビ類が、十種以上掲載されています。
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 過去の記事でも、カイロウドウケツと同じ海綿動物や、ドウケツエビと同じエビの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
深海に立つシャンデリア? いえ、生き物です(2013/10/14)
得意技で守ります、ハゼとテッポウエビ(2013/3/25)
どんな形にもなれる? カイメン(海綿)(2012/12/24)
アマエビ? いえ、ホッコクアカエビです(2012/2/27)
カイメン(海綿)は、多細胞動物の祖先?(2009/11/13)
などです。


2014年12月 1日

世界最長の二枚貝とは?

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 今回は、「世界最長」といわれる二枚貝を取り上げましょう。世界最大ではなく、世界最長です。二枚貝なのに、なぜ、世界最長という呼び名になるのでしょうか?
 世界最大の二枚貝は、オオシャコガイという種です。この種は、大きさが大きいだけで、普通の二枚貝と同じ形をしています。アサリなどと同じ、二枚の貝殻で、軟体部を包んだ形ですね。しかし、世界最長の二枚貝は、そういう形ではありません。
 世界最長の二枚貝は、エントツガイという種です。その殻が、煙突のように、細長い形をしています。その長さは、150cm以上になることがあるそうです。
 エントツガイが、こんな形になるのは、なぜでしょうか? エントツガイが、二枚貝の中の、フナクイムシの仲間だからです。フナクイムシは、軟体部が、ミミズのように、細長い形をしています。とても、二枚貝の仲間には、見えません。
 フナクイムシは、海中の木材に食い入ることで、知られますね。木材に穴をあけて、その中に棲みます。周囲の木材で守られるため、貝殻で、体を包む必要がありません。フナクイムシの貝殻は、ごく小さくて、体の前部に付いているだけです。
 エントツガイの場合は、幼生の頃だけ、木材に棲みます。成体になると、海岸のマングローブの泥の中に棲みます。泥から出ることは、ありません。このため、貝殻で体を守らなくても済みます。エントツガイの貝殻も、フナクイムシのように、ごく小さいです。
 ここで、変だと思った方がいるでしょう。貝殻が退化しているなら、世界最長になるという、エントツガイの「殻」は、何なのでしょうか?
 それは、エントツガイの棲管【せいかん】です。貝殻とは別に、泥の中に作られたものです。なぜ、貝殻と別に、わざわざこのような棲管を作るのかは、わかっていません。
 エントツガイの軟体部は、フナクイムシと同じように、細長いです。フナクイムシを巨大化した感じです。軟体部だけ見ても、やはり、二枚貝には、見えません。
 こんなエントツガイは、日本には、分布しません。フィリピンにいます。その棲管は、壊れやすいため、日本では、標本を見ることも、珍しいです。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、エントツガイは載っていません。かわりに、日本近海に分布する二枚貝が、十種以上掲載されています。
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 過去の記事でも、二枚貝の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
シンカイヒバリガイの進化の謎(2014/3/17)
フナクイムシ(船食虫)は、船を食べる?(2013/9/23)
命名の傑作、ツキヒガイ(月日貝)(2011/9/19)
海の中にも、ウグイスがいる?(2011/5/2)
ムール貝やパーナ貝とは、どんな貝?(2008/12/12)
などです。


2014年11月16日

国立科学博物館の生物たち

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 この秋、国立科学博物館で、面白い催しが、いくつも開かれています。生物に関わる展示も、多いです。早速、行ってまいりました。
 まずは、特別展「ヒカリ展」です。この特別展は、光に関わることすべてを紹介しています。その中に、光る生物の紹介があります。光る生物には、自然に光るものと、人工的に光らせるようにしたものとがあります。両方が展示されています。
 自然に光る生物では、光るサンゴが、美しいです。生きたサンゴが、水槽に入っているのを、見ることができます。光る深海魚も、自然に光る生物ですね。会場には、光る深海魚として、ヒカリキンメダイと、マツカサウオとがいます。
 人工的に光らせた生物としては、「光る花」や、「光るカイコ」がいます。もともとは光らない植物やカイコに、光るための遺伝子を入れて、光らせるようにしました。この光を、不自然だと嫌うのか、美しいと好きになるかは、人によるでしょう。
 次に、企画展「ヨシモトコレクションの世界」です。この会場では、たくさんの哺乳類の剥製【はくせい】標本に、迎えられます。どの標本も、とてもよくできています。まるで生きているようです。これらは、もと、ヨシモトさんという日系人の持ち物でした。
 ヨシモトさんのコレクションが、なぜ、科学博物館にあるのでしょう? なぜ、こんなに多くの剥製標本を、ヨシモトさんは集めたのでしょう? これらの答えは、会場にあります。答えを知れば、ヨシモトさんの志に、心を打たれるでしょう。
 最後に、NEWS展示「昭和天皇のヒドロ虫類ご研究を通した国際交流」です。昭和天皇は、海洋生物の研究者でもありました。中でも、ヒドロ虫【ちゅう】というグループの専門家でした。ヒドロ虫の研究は、地味な分野で、やっている人が少ないです。
 このため、昭和天皇は、外国のヒドロ虫研究家とも、よく連絡を取り合い、研究に励まれました。その足跡が、ベルギーの博物館に残っていました。遠いベルギーで、昭和天皇が、自ら採集された生物の標本が、見つかったのです。会場では、それらの標本や、昭和天皇がご研究に使われた顕微鏡などを、見ることができます。
図鑑↓↓↓↓↓には、ホタル、ウミホタル、オワンクラゲなどの光る生物や、ヒドロ虫類のカツオノエボシ、ハナガサクラゲ、ハネウミヒドラなどが掲載されています。
ban_zukan.net.jpgインターネット生物図鑑-zukan.net-


 国立科学博物館の催しについては、以下のページに案内があります。
ヒカリ展 公式サイト
ヨシモトコレクションの世界(国立科学博物館の公式サイト内ページ)
昭和天皇のヒドロ虫類ご研究を通した国際交流(※注:直接、pdfにつながります)
などです。


2014年11月10日

水辺の侵略者、アメリカザリガニ

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 アメリカザリガニは、日本の淡水域で、すっかり、お馴染みの生物になってしまいましたね。子供の頃、ザリガニ釣りをして遊んだ方も、多いでしょう。
 けれども、アメリカザリガニは、本来、日本にいた生物ではありません。種名に「アメリカ」が付くとおり、北米から移入されました。人間によって、連れてこられたのです。
 ところが、今では、人間に、邪魔者扱いされています。その理由は、外来種として、アメリカザリガニの害が、明らかになってきたからです。
 アメリカザリガニは、雑食性で、何でも食べます。このために、日本在来種の水草や、水生昆虫、魚などを、食い荒らしてしまいます。もともと、日本にいなかったので、在来種の生物たちは、アメリカザリガニに対抗するすべを知りません。
 現在の日本には、北海道から沖縄まで、アメリカザリガニが分布するようになってしまいました。ただ、全国に、まんべんなくいるわけではありません。山間部、半島部、島などに、アメリカザリガニが侵入していない地域が、残っています。
 とはいえ、このまま放置していたら、全国どこにでも、アメリカザリガニが侵入するのは、時間の問題です。彼らは、移動力が高いからです。
 アメリカザリガニは、水中でも陸上でも、行動することができます。垂直に近い崖のような所でも、登ってしまいます。環境が悪くなると、土に穴を掘り、その中で、じっと、環境が良くなるのを待ちます。これらの性質のため、駆除がしにくいです。
 それでも、駆除に成功した地域もあります。例えば、神奈川県北部の愛川町の例です。
 ここでは、アメリカザリガニが、完全にいなくなったわけではありません。駆除前の二十分の一程度にまで、数が減りました。地元のNPOが、がんばってくれたおかげです。
 効果は、劇的でした。駆除前のその地域では、在来種の水生昆虫は、七種ほどが、確認されるだけでした。それが、駆除後には、二十種ほども確認されました。
 この例は、アメリカザリガニの圧迫の強さを表わします。彼らを除いてやれば、在来種は、自然に増えるのですね。愛川町のような成功例が、もっと増えて欲しいですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本の水辺に棲む生物が、何十種もも掲載されています。
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 過去の記事でも、日本の外来生物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
害獣か? 富の象徴か? マングース(2014/5/5)
害虫は、食べて退治? ヤシオオオサゾウムシ(2013/7/29)
ミミズは、どこまで大きくなる?(2012/4/16)
キノボリトカゲは、駆除すべき?(2010/12/31)
イソガニとイワガニ、どっちがどっち?(2009/8/21)
などです。


2014年10月20日

海の謎生物、ボネリムシ

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 ボネリムシという生き物の名を、聞いたことがある方は、少ないでしょう。この名を知っているのは、よほど生物に詳しい方か、ダイビングをやる方だと思います。
 ダイビングという言葉が出てきましたね。ボネリムシは、海中に棲む生物だからです。サンゴ礁の海で、多く見られます。とはいえ、本体を目にすることは、珍しいです。サンゴ礁の隙間などに、隠れているからです。普段、見られるのは、口だけです。
 ボネリムシの口は、にゅーっと長く伸びます。口先が二股に分かれて、T字型になっています。海中で見ると、海底に、T字型の柔らかそうな物体が、長々と伸びた状態です。
 よく見ると、このT字型は、海底の岩の隙間から伸びています。その奥に、本体がいるのですね。本体は、口だけ外に出して、食事をしているのです。
 T字型の口には、砂粒がたくさん付いていることが多いです。その砂粒は、じわじわと移動しています。ベルトコンベアのように、砂粒を運んでいます。これが、ボネリムシの食事方法です。ボネリムシは、海底の砂に付いた有機物を食べています。
 本体のほうは、どんな形なのでしょうか? とても太くて短いミミズのようです。でも、ミミズのような体節は、ありません。体に区切りがなく、つるんとしています。
 こんなボネリムシは、何の仲間でしょうか? ゴカイ? 違います。ナマコ? 違います。ユムシ(釣り餌にされる動物)の仲間です。ユムシ動物門【どうぶつもん】キタユムシ目【もく】ボネリムシ科に属するものを、ボネリムシと総称します。
 ボネリムシの分類については、いろいろと議論があります。ユムシ動物門にされることもあれば、環形動物門【かんけいどうぶつもん】に入れられることもあります。環形動物門だとすれば、広い意味で、ゴカイと同じグループということになります。
 ボネリムシの仲間は、雄と雌との大きさが、極端に違います。T字型の口を持つのは、すべて雌です。雄は、雌よりずっと小さく、雌に寄生して暮らします。
 雄か雌かで、まったく違う暮らしぶりですね。ボネリムシは、この性の決定方法が、独創的です。このため、性決定の研究者には、知られた生き物です。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ボネリムシは載っていません。かわりに、日本近海に棲む無脊椎動物が、何十種も掲載されています。
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 過去の記事でも、海底に棲む無脊椎動物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
シンカイヒバリガイの進化の謎(2014/3/17)
干潟には、ゴカイやミミズの仲間が多い?(2013/11/18)
シャコとアナジャコとは、違う? 同じ?(2013/4/15)
ハオリムシ(羽織虫)の分類は?(2012/12/10)
謎の生物、ブンブクチャガマ(2011/7/11)
などです。



2014年9月29日

世界最長生物とは?

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 世界で一番、体が長い生き物は、何という種でしょうか? これは、答えるのが難しい質問です。哺乳類に限って言えば、シロナガスクジラ(約30m)で、ほぼ、間違いありません。けれども、海の中には、もっと長いと思われる生き物がいます。
 よく言われるのが、マヨイアイオイクラゲです。クラゲの一種です。このクラゲは、長さが40mにもなる(!)と言われています。長いだけで、幅や厚みは、ありません。ひも状の細長い生き物です。どうやったら、こんなに長くなれるのでしょうか?
 じつは、マヨイアイオイクラゲは、群体生物です。私たちヒトのように、一個体ずつ、別々に暮らすのではありません。たくさんの個体が集まって、つながり合って、暮らします。おおぜいがずらずらとつながっているために、何十mにもなっています。
 このために、「マヨイアイオイクラゲに、世界最長生物の称号を与えるのは、ふさわしくない」と考える方もいます。一個体の長さではないからです。
 とはいえ、マヨイアイオイクラゲは、一個体ずつ、分かれて暮らすことはできません。群体の中で、それぞれ分業しているからです。ある個体は、泳ぐ専門に、ある個体は、獲物を捕らえる専門に、ある個体は、獲物の消化専門に、という具合です。
 このように、マヨイアイオイクラゲは、群体全体で、事実上の一個体となっています。
 マヨイアイオイクラゲは、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】ヒドロ虫綱【ひどろちゅうこう】管クラゲ目【くだくらげもく】鐘泳亜目【しょうえいあもく】アイオイクラゲ科に属します。同じ管クラゲ目に属するのは、みな、群体生物です。
 管クラゲ目には、マヨイアイオイクラゲほどでなくとも、細長い形のものが多いです。多くの個体が連なるためですね。ボウズニラ、ヨウラククラゲなどの種が、そうです。
 こんなに細長くて、マヨイアイオイクラゲは、切れてしまうことはないのでしょうか?
 そうならないように、彼らは、深海に棲んでいます。深海は、波もなく、穏やかだからです。ゼリー状の弱々しい体でも、切れずに暮らせるわけです。
 こんな生物がいるなんて、深海は、やはり、謎にあふれた所ですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、マヨイアイオイクラゲは載っていません。かわりに、日本近海に棲むクラゲが、十六種ほどが掲載されています。
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 過去の記事でも、クラゲの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
一つの種に、二つの種名がある?(2013/5/13)
光合成するクラゲがいる?(2013/3/11)
不老不死のクラゲがいる?(2011/1/7)
刺す海藻? いえ、クラゲです(2010/8/2)
海中の透明で長いもの、な~んだ?(2010/4/1)
などです。



2014年8月26日

知の地層、インターメディアテク

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 夏休みも、そろそろ、終わりですね。宿題が片付かなくて、焦っている方も多いのではないでしょうか?(笑) 今回は、夏休みの自由研究に役立ちそうな博物館を紹介しましょう。インターメディアテクという博物館です。
 ここは、新しい博物館です。開館して、まだ一年しか経ちません。なのに、展示物や、展示の仕方が、古めかしいです。それは、わざとそうしているのですね。ヨーロッパの歴史ある博物館を、イメージしているそうです。
 とはいえ、標本に古い物が多いのは、本当です。ここにあるのは、明治時代から、東京大学によって、集められてきた標本だからです。東京大学の総合研究博物館のコレクションが、ここで公開されています。むろん、最近の新しい標本もあります。
 展示室内では、大型の骨格標本が、目立ちます。クジラ、イルカ、オットセイ、キリン、ウマなどの骨格標本に、見下ろされます。もう少し小さいところでは、イヌ、ネコ、カピバラなどの骨格標本もあります。もっとずっと小さい、モグラ、コウモリ、ハツカネズミなどの骨格標本も、見ることができます。
 哺乳類ばかりでなく、鳥類、爬虫類、両生類、魚類の骨格標本もあります。哺乳類と鳥類と爬虫類については、剥製【はくせい】の標本も、展示されています。
 特に、鳥類の剥製標本は、充実しています。ちょうど今、「アヴェス・ヤポニカエ――日本の鳥」という特別展示が、行なわれています。この企画では、鳥の剥製標本の隣に、同種の鳥の博物画を並べて、展示しています。見比べることができるのですね。
 博物画とは、主に、十九世紀以前の時代に描かれた絵です。動物や、植物や、鉱物といった自然の産物を、可能な限り、事物に即して、正確に描きました。なぜなら、それは、自然を分類し、体系づけるための絵だったからです。科学の芽生えですね。
 日本では、明治時代になってから、本格的に科学が始まりました。でも、江戸時代以前の日本に、科学の芽がなかったわけではありません。会場にある博物画が、それを示しています。日本の科学は、長い時間に積み重ねられた、知の地層の上にあるのですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本に生息する野生生物が、二千種近くも掲載されています。ban_zukan.net.jpgインターネット生物図鑑-zukan.net-


 インターメディアテクの情報は、以下の公式サイトにあります。
インターメディアテク 公式サイト


 過去の記事でも、夏休みの自由研究に役立つ博物館を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
どうする? どうなる! 外来生物(2014/7/23)
古代から現生へ、哺乳類たち(2014/7/22)
毒毒毒毒毒毒毒毒毒展【もうどくてん】(2014/7/17)
などです。


2014年8月11日

他人の武器は、自分の武器? ウミウシ

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 以前のこのブログで、「植物の毒を、自分の体にためる昆虫」の話をしましたね(上には上がいる? 有毒生物の世界)。あのように、植物の毒を、自分の武器として利用してしまう昆虫が、何種もいます。陸上の生物では、よく見られる関係です。
 陸上でそうなら、水中の生物では、どうでしょうか? 同じような関係を持つものが、いるんですね。でも、水中では、植物と昆虫との関係ではありません。
 よく知られているのは、ウミウシの例です。貝殻を持たない巻貝の仲間ですね。
 ウミウシには、カイメン(海綿)を食べる種が多くいます。カイメンは、じっと動かないけれども、動物の仲間ですね。動いて逃げられない代わりに、毒を持つカイメンが多いです。もちろん、他の生物に、食べられないためです。
 ところが、毒を持つカイメンでも、ウミウシは、平気で食べてしまいます。そして、その毒を、体にためます。こうすることによって、ウミウシ自身が、敵に食べられないようにしています。陸上の有毒植物と、それを食べる昆虫との関係に、そっくりですね。
 もっと進んでいる(?)ウミウシもいます。ミノウミウシの仲間です。
 ミノウミウシの一種、アオミノウミウシは、カツオノエボシを食べます。あの、強烈な毒を持つクラゲ、カツオノエボシです。あんなに強くても、カツオノエボシは、無敵ではありません。なす術もなく、アオミノウミウシに食べられてしまいます。
 カツオノエボシが刺すのは、刺胞【しほう】の働きによります。刺胞とは、ばね仕掛けで飛び出す、細胞の武器です。小さすぎて、肉眼では、その仕組みは見えません。
 アオミノウミウシは、カツオノエボシの刺胞攻撃を、ものともしません。それどころか、食べた刺胞を、そのまま自分の体にためて、自分の武器として使います。
 どうしたら、食べた物を消化せずに、そんなことができるのでしょうか? これは、わかっていません。ミノウミウシの類には、同じく、食べた刺胞を利用する種が多いです。
 ウミウシの仲間には、派手な体色や体型をした種が、たくさんいます。それは、毒や刺胞という武器を持つことを、敵に知らせているのだと考えられています。

図鑑↓↓↓↓↓には、日本近海に棲むウミウシが、三種ほど載っています。また、カイメンの仲間や、カツオノエボシも掲載されています。
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 過去の記事でも、ウミウシの仲間を取り上げています。また、カイメンの仲間や、カツオノエボシも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
深海に立つシャンデリア? いえ、生き物です(2013/10/14)
どんな形にもなれる? カイメン(海綿)(2012/12/24)
ウミウシは、海のナメクジか?(2011/1/14)
鰹(カツオ)を連れてくるクラゲがいる?(2007/5/14)
電気クラゲとはどんなクラゲ?(2006/8/1)
などです。



2014年7月28日

イソギンチャクに、殺し屋がいる?

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 皆さんは、「絞め殺し植物」を、御存知でしょうか? 熱帯に多い植物です。クワ科イチジク属に、このように呼ばれる種が多いです。アコウ、ガジュマルなどの種です。
 「絞め殺し植物」は、最初に、他の樹木の上で、芽を出します。それから、根を地面へと伸ばし、枝を空へと伸ばします。宿主の樹木を覆うように育って、ついには、宿主を絞め殺してしまいます。植物の中の殺し屋ですね。
 じつは、動物の中にも、これにそっくりな「殺し屋」がいます。それは、イソギンチャクの仲間です。海の中で、どうやって、「絞め殺し植物」と同じことをするのでしょうか?
 どのイソギンチャクでも、同じことをするわけではありません。ウスアカイソギンチャク科のウスアカイソギンチャクや、ナシジイソギンチャクが、そのような行動をします。
 海の中で、彼らイソギンチャクの被害者になるのは、サンゴの仲間です。といっても、熱帯の海で、サンゴ礁を作るサンゴではありません。通称、ヤギ類と呼ばれる、温帯の海に生きるサンゴです。ムチカラマツ、ムチヤギなどの種があります。
 サンゴのヤギ類は、潮当たりの良い場所に、樹木のような枝を、一杯に広げていることが多いです。そのような場所には、食べ物がたくさん流れてくるからです。
 ところが、そのような場所は、ウスアカイソギンチャクなどにとっても、狙い目です。彼らも、潮の流れに乗ってくるものを食べるからです。そこで、彼ら「絞め殺しイソギンチャク」たちは、そのような場所を独占するのにも、潮の流れを利用します。
 ウスアカイソギンチャクや、ナシジイソギンチャクは、潮の流れに乗って、海中を移動します。そうして、ヤギ類の枝に取り付きます。彼らは、無性生殖で、分裂して増えることができます。どんどん「自分」を増やして、ヤギ類の体を覆い尽くしてしまいます。
 覆い尽くされてしまえば、ヤギ類は、食べ物を取ることができません。絞め殺し植物に、日光(植物の食べ物ですね)を奪われた樹木のように、死んでしまいます。
 まるで分類が違う生物同士で、似た生態があるのは、興味深いですね。これは、日光や、海中の有機物といった、食べ物の奪い合いから、生まれています。

図鑑↓↓↓↓↓には、絞め殺し植物のアコウが載っています。また、日本近海のイソギンチャクの仲間が、六種ほどが掲載されています。
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 過去の記事でも、イソギンチャクの仲間を取り上げています。また、絞め殺し植物についても、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヤドカリとイソギンチャクとは、仲良し?(2012/3/19)
イソギンチャクは、闘う?(2011/6/20)
刺すイソギンチャクがいる?(2010/2/22)
どっちがどっち? スナイソギンチャクと、スナギンチャク(2009/10/5)
サルスベリの木の肌は、なぜ、すべすべ?(2009/7/31)
などです。



2014年7月23日

どうする? どうなる! 外来生物

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 最近、ニュースで、外来生物が取り上げられることが多いですね。アライグマ、カミツキガメ、ブラックバス(オオクチバスなどの総称)といった名前を、聞いたことがおありでしょう。これらは、みな、ここ数十年の間に、日本にやってきた外来生物です。
 今、外来生物が問題になっているのは、人間の手によって、急速に、大量に、生物が運ばれるからです。あまりにも急速かつ大量なので、在来の生物たちが、それに対応できません。その結果、自然環境が荒れてしまいます。人間にも、被害が出ます。
 このような外来生物の実態が、よくわかる展覧会が、開かれています。特別展「どうする? どうなる! 外来生物」です。会場は、神奈川県立生命の星・地球博物館です。
 この展覧会では、外来生物の思わぬ害についても、知ることができます。例えば、外来生物は、必ずしも、外国から来たものではないことは、御存知ですか?
 国内であっても、本来の生息地ではない場所にやってきたのなら、それは、外来生物です。北海道の生き物を九州に運んだりしては、ダメということですね。
 会場では、新たな外来生物が、次々に現われている例が、報告されています。例えば、リュウキュウベニイトトンボです。この種は、細長いイトトンボの一種です。
 リュキュウベニイトトンボは、本来、九州南部から南西諸島にかけて分布します。ところが、二〇〇六年に、突然、神奈川県で、この種が確認されました。どこから、どのようにして侵入したのかは、まだ、解明されていません。
 九州北部以北には、リュウキュウベニイトトンボと似た別種の、ベニイトトンボが分布します。ベニイトトンボは、絶滅危惧種です。もし、関東に、リュウキュウベニイトトンボが定着してしまったら、それでなくても少ないベニイトトンボの生息地が、奪われるかも知れません。リュウキュウのほうが、繁殖力が強いため、その可能性は高いです。
 ベニイトトンボとリュウキュウベニイトトンボとは、よく似ています。神奈川県以外の地方でも、「希少なベニイトトンボがいると思って喜んでいたら、リュウキュウベニイトトンボだった」ことが、あるかも知れません。身近な自然の破壊は、恐ろしいですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本の在来生物が、一〇〇〇種以上掲載されています。ban_zukan.net.jpgインターネット生物図鑑-zukan.net-


 「どうする? どうなる! 外来生物」の情報は、以下のページにあります。
どうする? どうなる! 外来生物(生命の星・地球博物館の公式サイト内ページ)
 過去の記事でも、生き物関係の催しを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
毒毒毒毒毒毒毒毒毒展【もうどくてん】(2014/7/17)

2014年7月17日

毒毒毒毒毒毒毒毒毒展【もうどくてん】

 東京、池袋のサンシャイン水族館で、面白い催しをやっています。「毒」という字を九つ並べて、「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展」です。これで、【もうどくてん】と読むそうです。
 毒のある生物ばかりを集めて、展示しているのですね。さっそく、行ってみました。
 入ると、すぐに、ハナミノカサゴがいます。毒がある魚です。全身が縞模様で、大きな鰭【ひれ】があり、ゆったりと優雅に泳いでいます。
 ハナミノカサゴが美しいのも、ゆったり泳ぐのも、毒があるからです。派手な模様は、「毒があるぞ」と警告するためです。毒のおかげで、敵に襲われることはまずないので、速く泳ぐ必要がありません。有毒生物に、動きが遅いものが多いのは、このためです。
 会場内で、動かない点では、オニダルマオコゼが、横綱級でしょう。やはり、毒のある魚です。ハナミノカサゴと違って、華やかな外見ではありません。むしろ、ごつごつして、岩のようです。じっとしていると、海底の岩にしか見えません。
 オニダルマオコゼは、他の魚を襲って食べる肉食魚です。自分を岩のように見せるのは、獲物に気づかれないためです。毒があっても、地味な種もいるわけです。
 他に、動きの遅い毒生物としては、スローロリスがいます。これは、サルの一種です。哺乳類ですね。哺乳類で有毒なものは、少ないです。スローロリスは、肘【ひじ】の内側に、毒を出す腺を持ちます。この毒をなめ取って、全身に広げるのだそうです。
 魚類や哺乳類以外にも、たくさんの毒生物を、会場で見ることができます。アカクラゲ、ムラサキハナギンチャク(以上、刺胞【しほう】動物)、タガヤサンミナシ、ヒョウモンダコ(以上、軟体動物)、ラッパウニ、アデヤカキンコ(以上、棘皮【きょくひ】動物)、ベトナムオオムカデ、ゴライアスバードイーター(以上、節足【せっそく】動物)、ジュウジメドクアマガエル(両生類)、アメリカドクトカゲ(爬虫類)などです。
 少ないながら、有毒の植物も、展示されています。伝説的な毒植物、マンドラゴラが見られますよ。実在する植物ですが、日本で見られるのは、珍しいです。
 小規模な展示なので、サンシャイン水族館本体と合わせて見るのが、お勧めです。

図鑑↓↓↓↓↓には、ムラサキハナギンチャク、ヒョウモンダコ、ラッパウニなど日本に棲む有毒生物が掲載されています。ban_zukan.net.jpgインターネット生物図鑑-zukan.net-


 毒毒毒毒毒毒毒毒毒展【もうどくてん】については、以下のサンシャイン水族館のサイトに、案内が載っています。
 また、休日などは、混雑することもあるようです。お出かけ前に、サンシャイン水族館のツイッターを確認すると、混雑状況がわかって、便利です。

毒毒毒毒毒毒毒毒毒展【もうどくてん】~毒を持つ生き物~
サンシャイン水族館のツイッター

2014年7月14日

ナマコは、昔、浮いていた?

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 ナマコは、日本人なら、誰でも知っているでしょう。食べられる生き物ですね。
 しかし、生きている姿は、あまりぱっとしません。大部分の種は、海底にごろんと転がっているだけです。それは、彼らの省エネルギーな生き方を示しています。
 彼らは、あまり動かずにいることで、少ないエネルギーで生きるやり方を選びました。多くの種は、海底の砂や泥を食べ物にしています。砂や泥に含まれる、わずかな有機物だけで、生きられるのですね。海底にいれば、周りが全部、食べ物ということです。
 考えようによっては、これは、楽園にいるようなものです。ナマコは、いつから、こんな生き方をするようになったのでしょうか?
 ナマコが地球上に現われたのは、カンブリア紀初期か、もっと前だと考えられています。五億年以上も前から、地球上にいたわけですね。なぜわかるかといえば、ナマコのものと推定できる化石が発見されているからです。
 ナマコの表皮には、細かい石灰質の骨片が埋め込まれています。これが、化石になって残りやすいのですね。例えば、北米の石炭紀後期の地層からは、この骨片が大量に見つかります。当時、たくさんのナマコがいた証拠です。
 長い年月の間には、(現代から見れば)奇抜な姿をしたナマコもいたようです。「カンブリア紀には、浮遊型のナマコが、何種もいた」という説があります。クラゲにそっくりな姿をして、海面下に浮いていたというのです。それらしい化石が、見つかっています。
 例えば、エルドニアと呼ばれる化石種の一グループが、そうです。彼らは、現代のクラゲのように海を漂い、海中の有機物を濾し取って食べていたと考えられています。
 カンブリア紀の海は、有機物が豊富で、浮遊型のナマコが生きやすい環境だったと推定されます。すばやく泳ぐ魚も、まだいないため、敵も少なかったのでしょう。
 現代には、エルドニアのような、浮遊型のナマコは、いません。わずかに、深海に、時々泳ぐナマコがいるだけです。現代の海では、敵やライバルが多すぎて、浮遊型のナマコは、生きられないのでしょう。黙々と、海底を這う種ばかりが、生き残っています。

図鑑↓↓↓↓↓には、日本近海のナマコが、三種ほどが掲載されています。
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 過去の記事でも、ナマコの仲間を取り上げています。また、ナマコに棲みつく生き物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
カクレウオは、ナマコの役に立っている?(2013/4/22)
泳ぐナマコがいる?(2011/3/7)
トラフナマコは、虎縞【とらじま】のナマコ?(2009/11/27)
食用ナマコはどんなナマコか?(2007/1/22)
サンゴ礁の海を守るナマコ(2006/7/22)
などです。



2014年5月19日

謎の生物? テヅルモヅル

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 生物の中には、姿を見ただけでは、何の仲間なのか、見当がつかないものがいますね。今回は、そのような生物を紹介しましょう。テヅルモヅルです。
 テヅルモヅルという名前からして、「一体、何だろう?」と思いますよね。それは、クモヒトデの仲間です。棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】クモヒトデ綱【こう】カワクモヒトデ目【もく】テヅルモヅル亜目【あもく】に属する種を、テヅルモヅルと総称します。
 クモヒトデについては、以前、このブログで紹介しましたね(ヒトデとクモヒトデとは、どう違う?(2010/9/27))。ヒトデとは違う生き物ですが、基本的には、ヒトデと同じく、五本の腕を持ちます。その腕を動かして、海底をすばやく動くことができます。
 ところが、テヅルモヅルは、五本腕には見えません。もさもさと、たくさんの腕が生えているようです。海中では、ごそごそ動く植物の藪【やぶ】のように見えます。
 じつは、テヅルモヅルも、本来は五本腕です。けれども、一本一本の腕が、何本にも枝分かれしています。このために、まるで樹木の枝のような腕になっています。
 なぜ、テヅルモヅルの仲間は、こんな姿なのでしょうか? これは、餌の取り方と関係します。テヅルモヅルは、複雑な形の腕を広げて、海中のプランクトンや小魚を、引っかけて捕らえます。それなら、たくさん枝分かれした腕のほうが、都合がいいですね。
 テヅルモヅル亜目の中には、枝分かれしない腕を持つ種もいます。普通のクモヒトデと同じ、五本腕の種です。それらの種は、海底にいるのではなく、サンゴの仲間のヤギ類などに、からみついて暮らすものが多いです。
 ヤギ類の上にいる状態で、どうやって、餌を取るのでしょうか? 彼ら、「枝分かれしないテヅルモヅル」は、やはり、海中に腕を伸ばして、プランクトンなどを取るようです。タコクモヒトデ科、キヌガサモヅル科の種などが、そういう生活をします。
 おそらく、このような「枝分かれしないテヅルモヅル」から、枝分かれしたテヅルモヅルが、進化したのでしょうね。でも、分類についても、生態についても、よくわかっていません。深海に棲む種や、夜行性の種が多く、観察が難しいためです。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、クモヒトデの仲間は、載っていません。が、日本近海のヒトデが、八種ほどが掲載されています。
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 過去の記事でも、クモヒトデや、ヒトデの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
日本最大のヒトデとは?(2013/12/2)
ヒトデを泣かせる貝がいる?(2012/2/13)
ヒトデとクモヒトデとは、どう違う?(2010/9/27)

タスマニア沖で、二百以上の新種を発見(2008/10/14)
オニヒトデは、サンゴ礁の悪役?(2008/7/18)
などです。


2014年4月28日

深海生物に会える、たまがわ深海大図鑑展

 ゴールデンウィークですね。連休中に楽しめそうな展覧会に、行ってまいりました。玉川高島屋で開かれている「たまがわ深海大図鑑展」です。
 小規模ながら、見どころが多い展覧会です。まず、必見なのは、シアターで見られる深海の映像です。大画面で見られるので、迫力があります。透明で見えにくい生物の姿も、ハイビジョン映像で、くっきり見られます。
 会場には、たくさんの深海生物の標本があります。普通、標本というと、色も形も崩れてしまって、何だかよくわからないものが多いですね? ところが、この会場には、そうではない標本があります。プラスチックに封入された標本です。
 これらのプラスチック標本は、体色も、形も、美しいままです。例えば、クリガニの甲羅の棘も、ハダカイワシの銀色の鱗【うろこ】も、そのまま残っています。
 じつは、このプラスチック標本の中に、新種らしい深海魚がいるそうです。会場の係員さんから、お話を聴くことができました。それは、「チヒロホシエソ属の一種」というラベルが付いた標本です。世界初の新種(?)を、見られるチャンスですね。
 会場には、生きた深海生物も、展示されています。オウムガイ、ヤマトトックリウミグモ、ヌタウナギ、ボタンエビ、チゴダラ、ウチワエビ、ヨコスジヤドカリなどが、見られます。特に、生きたチゴダラが見られるのは、奇跡的なほど、珍しいです。
 生きた深海生物の中には、触れるものもいます。オオグソクムシに触れます。最近、絶食することで有名になった、ダイオウグソクムシの近縁種です。
 他にも、何種か、触れる深海生物が、待機しています。私が行った時には、オオグソクムシと同時に、タカアシガニにも触らせてもらえました。
 触れる標本としては、ホンフサアンコウ、ヌタウナギ、ヨロイザメの表皮もあります。触ってみると、感触の違いがわかって、面白いです。
 会場では、他にも、ダイオウイカのカラー魚拓や、タスマニアキングクラブの剥製【はくせい】、サクラエビの透明標本など、とても貴重なものに、会うことができます。
図鑑↓↓↓↓↓には、キアンコウ、ズワイガニ、タカアシガニなど、日本付近の深海に棲む生物が掲載されています。
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 たまがわ深海大図鑑展の情報は、以下のページにあります。
たまがわ深海大図鑑展(玉川高島屋ショッピングセンターの公式サイト内ページ)

 過去の記事でも、連休のお出かけによいイベントを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
華麗な花の饗宴『フローラの神殿』大公開(2014/4/17)
などです。



2014年4月14日

平安貴族に愛された? ワレカラ

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 近年の生物学の発達は、目覚ましいですね。昔は思いもよらなかったことが、明らかにされています。とはいえ、時には、昔の人の観察力に、感心することもあります。
 例えば、とても目立たない生き物が、昔から知られて、名前が付けられていたりします。今回は、そのような生き物を取り上げましょう。ワレカラです。
 現代の日本人では、ワレカラを知る人は、少ないでしょう。小型で、目立たない生き物だからです。主に、海に棲みます。よく海藻に付いています。よーく目をこらさないと、見つけるのが難しいです。小さいうえに、海藻の色や形に似ているためです。
 ところが、ワレカラは、平安時代の和歌に登場します。清少納言の『枕草子』にも、挙げられています。「虫は......」の項に、鈴虫やひぐらしと並んで、「われから」がいます。
 平安時代の貴族といえば、海を見たことがあるかどうかすら、怪しいですね。そんな人々に、ワレカラが知られていたとは、驚きです。なぜ、ワレカラは、歌に詠まれるほど、平安貴族に親しまれていたのでしょうか? 本当の理由は、わかりません。
 一つの鍵は、ワレカラが、海藻によく付くことです。日本人は、昔から、海藻を多く食べてきました。今と違って、昔の食用海藻は、あまりきれいに洗われていません。海藻を食べようとして、ワレカラと出会うことが多かったのではないでしょうか。
 ワレカラを食べても、まったく害はありません。小さすぎて、おそらく、味は感じないでしょう。「われから食わぬ上人は無し」という諺もあります。肉食を厳しく戒める僧侶でも、海藻に付いた、ごく小さなワレカラは、知らずに食べているだろうという意味です。
 ワレカラの姿は、細長くて、ちょっとナナフシに似ています。脚の短いナナフシのようです。けれども、昆虫の仲間ではありません。昆虫よりは、エビやカニに近縁です。
 節足動物門【せっそくどうぶつもん】軟甲綱【なんこうこう】端脚目【たんきゃくもく】ワレカラ亜目【あもく】に属する種を、ワレカラと総称します。トゲワレカラ、オオワレカラなどの種があります。日本の海では、とても平凡な生き物です。
 海で海藻を見つけたら、平安貴族になったつもりで、ワレカラを探してみるといいかも知れませんね。



 過去の記事でも、ワレカラのような、海に棲む甲殻類を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
フナムシは、川にもいる?(2013/12/23)
深海には、巨大な甲殻類がいる?(2013/7/22)
シャコとアナジャコとは、違う? 同じ?(2013/4/15)
得意技で守ります、ハゼとテッポウエビ(2013/3/25)
アマエビ? いえ、ホッコクアカエビです(2012/2/27)
などです。



2014年3月24日

シラミは、すべての哺乳類に付くか?

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 ヒトに害をなす昆虫のうちでも、カ(蚊)のように、血を吸うものは、特に嫌われますね。かゆみを起こしたり、病気を媒介したりといった実害があるからでしょう。
 ヒトは、長い時間をかけて、こういった昆虫を駆除してきました。駆除の甲斐あって、すっかり見なくなった昆虫もいます。シラミの仲間などは、そうですね。
 現代日本でも、一時期、アタマジラミが流行したことがあります。ヒトの髪に付くシラミです。ニュースになったので、御存知の方もいるでしょう。アタマジラミは、ヒトの髪にしがみついて暮らします。この性質は、他の哺乳類に付くシラミの仲間と共通します。
 シラミの仲間は、多くの哺乳類に付きます。一種のシラミが、いろいろな哺乳類の種に付くわけではありません。ヒトに付く種は、ヒトにしか付きません。イヌに付く種は、イヌにしか付きませんし、ウシに付く種は、ウシにしか付きません。
 要するに、シラミの仲間は、種によって、付く宿主が違います。けれども、その暮らしぶりは、どの種も似ています。哺乳類の体毛にしがみついて暮らし、宿主の血を食べ物にします。ヒトの場合は、体毛が限られた場所にしかないので、頭髪に付くわけです。
 中には、信じられない場所に付くシラミもいます。アシカやアザラシに付くのです。カイジュウジラミ科に属するシラミたちです。彼らは、アシカやアザラシと一緒に、冷たい海水に潜らなければなりません。小さな昆虫にとっては、過酷なことです。
 カイジュウジラミ科の種が、どうやって海水に耐えているのか、詳しいことはわかっていません。なぜ、こんな過酷な環境で暮らすようになったかも、わかっていません。
 アシカやアザラシにシラミが付くなら、クジラやイルカにも付くのでしょうか? この答えは、付くとも、付かないとも言えます。クジラには、クジラジラミと呼ばれる生物が、確かに付きます。ところが、クジラジラミは、昆虫のシラミの仲間ではありません。
 クジラジラミは、軟甲綱【なんこうこう】端脚目【たんきゃくもく】に分類されます。大ざっぱに言えば、エビやカニの仲間です。昆虫綱【こんちゅうこう】のシラミとは、遠縁です。海の中では、昆虫よりも、エビやカニの仲間のほうが、強いようですね。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、シラミの仲間は載っていません。かわりに、日本の昆虫が、四百種ほど載っています。カイジュウジラミが付くアシカやアザラシの仲間も掲載されています。
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 過去の記事でも、血を吸う昆虫を取り上げています。また、カイジュウジラミが付くアシカやアザラシの仲間も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
冬にも、カ(蚊)がいる?(2013/2/4)
ラッコとアザラシの違いは?(2011/1/21)
白くないアザラシの赤ちゃんもいる?(2006/11/24)
オットセイは日本にいるか?(2006/9/11)
アシカとアザラシはどう違う?(2005/11/4)
などです。


2014年3月17日

シンカイヒバリガイの進化の謎

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 深海には、多くの奇妙な生物が棲むことが、知られるようになってきましたね。今回は、そんな深海生物の仲間を取り上げましょう。シンカイヒバリガイです。
 シンカイヒバリガイは、深海の二枚貝の一種です。深海の中でも、特殊な環境に棲みます。地球の活動により、海底から、熱水が噴き出している所です。そのような所で、海底の岩などに、びっしりと集団で貼りついています。
 深海の熱水環境には、その環境に適応した生物群ができます。シンカイヒバリガイ以外に、シロウリガイ、ハオリムシ、ゴエモンコシオリエビなどがいる生物群です。ハオリムシは、以前、このブログで取り上げましたね(ハオリムシ(羽織虫)の分類は?(2012/12/10))。
 以前の記事に書きましたように、ハオリムシは、「食べる」ことをしません。彼らの体内には、細菌の仲間が共生していて、その細菌が作る栄養を受け取っています。
 同じことを、シンカイヒバリガイも行なっています。けれども、シンカイヒバリガイの場合は、食べる機能も残しています。海水中から、有機物を濾【こ】し取って「食べる」こともできます。浅い海に棲む、多くの二枚貝が行なう食事方法です。
 シンカイヒバリガイは、普通の浅い海の種から進化したと考えられています。どんな種から進化したのでしょうか? イガイ(貽貝)の仲間だと考えられます。イガイとは、食用になるムール貝の仲間です。シンカイヒバリガイは、イガイ科に属します。
 浅海に棲むイガイは、シンカイヒバリガイと違って、体内に共生する細菌がいません。細菌から、栄養をもらってはいないのですね。すべて自力で、餌を濾し取っています。
 イガイのように「すべて自力」の状態から、体内の細菌と共生するまでの道のりは、長そうですね。どうやったら、そんな飛躍的な進化ができるのでしょうか?
 じつは、シンカイヒバリガイと、普通のイガイとを結ぶ種が、見つかっています。ヒラノマクラという種です。やはり、イガイ科に属します。深海に棲む二枚貝です。
 ヒラノマクラは、体外の鰓【えら】の部分に、共生細菌がいます。このことから、共生細菌なし→体外共生→体内共生、という道筋が推定されています。

図鑑↓↓↓↓↓には、シンカイヒバリガイと近縁なイガイが掲載されています。
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 過去の記事でも、イガイなどの二枚貝や、深海生物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
深海には、巨大な甲殻類がいる?(2013/7/22)
ハオリムシ(羽織虫)の分類は?(2012/12/10)
海の中にも、ウグイスがいる?(2011/5/2)

日本初の大発見、セイスイガイ(勢水貝)(2010/6/21)
ムール貝やパーナ貝とは、どんな貝?(2008/12/12)
などです。


2014年3月 3日

弥生人も大好き? ソデボラの仲間たち

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 貝殻は、世界各地で、古代から、装飾品などに利用されてきました。例えば、こんにちの日本でも、魔除けを兼ねて、特定の種の貝殻を飾ることがあります。
 沖縄県へ行ったことがある方は、人家の玄関に、変わった形の貝殻を吊るしたりしているのを、見たことがありませんか? それは、スイジガイ(水字貝)という種の貝殻です。海の巻貝の一種です。巻いた殻の周囲に、六本の棘が突き出ています。
 スイジガイという種名は、この棘の形が、漢字の「水」に見えることから、付けられました。「水が、火を消す」連想から、火事除けに飾られるようになったといいます。
 この棘は、何のためにあるのでしょうか? これについては、わかっていません。邪魔そうですが、何らかの役には立つのでしょう。スイジガイに近縁な他の種にも、似た棘があるからです。複数の種にできるからには、何か、役割があるのでしょう。
 スイジガイは、腹足綱【ふくそくこう】盤足目【ばんそくもく】ソデボラ科に属します。同じソデボラ科の中に、スイジガイのような棘を持つ種がいます。クモガイ、サソリガイなどが、そうです。これらは、棘のある殻の様子を、クモやサソリにたとえた種名です。
 ソデボラ科には、棘がなくても、貝殻の口が、和服の袖のように広がった種が多いです。ゴホウラ、スイショウガイ、マイノソデなどが、そうです。マイノソデ(舞の袖)などは、貝殻の口が、舞を舞う着物の袖のように見えます。うまい名を付けたと思います。
 スイジガイやゴホウラは、暖かい海に分布します。日本近海で、安定して見られるのは、南西諸島以南です。ところが、日本本土の弥生時代の遺跡から、ゴホウラやスイジガイの貝殻が、かなり出土しています。それらは、多くが、腕輪などに加工されていました。
 なぜ、日本本土の弥生人は、南海でしか採れない貝を、たくさん持っていたのでしょうか? この理由は、まだ、わかっていません。宗教的に、強い意味があったのではないかといわれます。わざわざ、遠方から、交易で入手する価値があったのでしょう。
 弥生人のこだわりは、現代日本の沖縄の風習と、共通するものを感じますね。ひょっとしたら、沖縄の風習は、遠い弥生時代の記憶を、受け継いでいるのかも知れません。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、スイジガイやゴホウラは、乗っていません。かわりに、同じソデボラ科のマガキガイが掲載されています。
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 過去の記事でも、日本近海の巻貝を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ゾウクラゲは、クラゲじゃない?(2013/1/7)
イモガイの毒は、ヒトをも殺す?(2012/11/26)
ヒトデを泣かせる貝がいる?(2012/2/13)

所属はどこですか? カサガイたち(2010/4/19)
マガキと付いてもカキじゃない、マガキガイ(2008/10/20)
などです。


2014年2月10日

海中の羽根ペン? いえ、ウミエラです

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 海の中には、ひらひらと触手を広げて、食べ物を待つ生物が、たくさんいます。今回は、そのような生き物の一つを取り上げましょう。ウミエラ(海鰓)です。
 ウミエラとは、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】花虫綱【はなむしこう】ウミエラ目【もく】に属する生き物の総称です。サンゴのように、多くのポリプが集まって生活する、群体生物です。でも、サンゴの仲間とは、遠縁です。同じ刺胞動物ですが。
 そもそも、ウミエラという名が、不思議ですね。この名は、ウミエラの外見に由来します。多くのウミエラは、真ん中に一本の軸があり、それを海底に突き立てています。その軸から、両側に枝が出て、その枝の上に、たくさんのポリプが付きます。
 この様子が、水中でひらめく鰓【えら】に見えたのでしょう。大きな鳥の羽毛のようにも見えます。ウミエラの英語名を、sea pen(海のペン)というのも、そこに由来します。昔、ヨーロッパで使われた「羽根ペン」に似ているために、この名が付きました。
 ウミエラの仲間は、浅い海から深海にまで、生息します。日本周辺の浅い海には、ヤナギウミエラ、トゲウミエラなどの種がいます。深海にも、何種ものウミエラがいます。
 どこに棲むウミエラであっても、生態がわかっているとは、言いがたいです。人間にとって、害にも益にもならない(と思われている)ため、研究が進んでいないからです。
 浅い海のウミエラは、昼間は、体を縮めて、海底の砂の中に隠れていることが多いです。とはいえ、昼間に、まったく姿が見られないわけではありません。時には、昼間に体を伸ばして、ゆらゆらしていることもあります。
 ウミエラがゆらめくのは、海水の流れに乗ってくるプランクトンを、うまく捕らえて食べるためだと考えられています。このため、彼らが体を伸ばすのは、潮の流れの都合がいい時ではないかといわれます。しかし、本当のところは、まだ不明です。
 私は、足がつく浅い海で、ウミエラの仲間を見たことがあります。普通、ウミエラの仲間は、これほど浅い所にはいません。生物には、このように、例外が付きものです。なぜ、あんなに浅い海にいたのか、ウミエラに聞いてみたいところです(笑)

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ウミエラは載っていません。かわりに、日本近海に棲む刺胞動物が、二十種以上が掲載されています。
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 過去の記事でも、刺胞【しほう】動物の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
毒のあるサンゴがいる?(2013/6/24)
海中の植物園? サンゴの仲間たち(2011/8/1)
刺す海藻? いえ、クラゲです(2010/8/2)

刺すイソギンチャクがいる?(2010/2/22)
管の中の花? ハナギンチャク(2009/4/27)
などです。


2014年1月27日

動植物名のオイランは、差別用語か?

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 クサキョウチクトウ(草夾竹桃)という植物を、御存知でしょうか? 多くの方は、聞いたことがない名前だと思います。では、フロックスという名は?
 こちらなら、聞いたことがある方が多いでしょう。フロックスは、世界各国で栽培される園芸植物です。これの正式な日本語名(標準和名)が、クサキョウチクトウなのですね。
 クサキョウチクトウという名前は、長過ぎて、覚えにくいうえに、言いにくいですね。このために、ラテン語の学名から取った、フロックスという名が、普及しました。
 「もっと短くて、覚えやすい日本語名を付ければ良かったのに」と思いますよね。じつは、昔は、そういう名前がありました。オイランソウ(花魁草)という名です。
 オイランソウという名が、使われなくなったのには、理由があります。花魁【おいらん】が、差別的な用語だから、というのです。
 そのわりには、他の植物で、花魁の名が付いた種があります。アザミの一種の、オイランアザミ(花魁薊)です。この種は、改名しようという話を、聞いたことがありません。フロックスと違って、有名でない種のために、大目に見られているのでしょう。
 動物にも、花魁の名が付いた種があります。例えば、魚類には、オイランハゼというハゼの一種がいます。オイランヨウジというヨウジウオの一種もいます。貝類には、オイランカワザンショウという巻貝の一種がいます。
 オイランの名が付く動物には、色や模様が華やかな種が多いです。そこから、花魁が連想されたのでしょう。種名を付けた人にしてみれば、特徴を適確に表わしたかっただけで、差別をするつもりなど、毛頭なかったと思います。この問題は、難しいですね。
 現在の日本では、職業としての花魁は、絶滅しました。ですから、花魁という呼び名で、差別される側の人は、いないわけです。すでに、花魁は、歴史上だけの存在です。
 このような状況では、あまり問題にしても、仕方がないのでは、と思います。やり過ぎると、言葉狩りになってしまいます。もし、改名しろと主張するなら、短くて覚えやすく、特徴を表わした代案を、示す必要があるでしょう。

図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する動植物が、千種以上が掲載されています。
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 過去の記事でも、動植物の種名に関することを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
深海魚には、長い名前が多い?(2013/1/21)
トゲアリトゲナシトゲトゲの秘密(2011/6/6)
学名と標準和名とは、違う? 同じ?(2009/8/7)

トンビやオケラは、存在しない?生き物の名前の話(2008/4/11)
新しい名前で出ています――魚類の改名(2007/2/2)
などです。



2013年12月23日

フナムシは、川にもいる?

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 フナムシは、おそらく、どなたでも知っている生き物でしょう。岩の多い海岸に、たくさんいますね。動きが速く、人が近づくと、ささっと逃げてしまいます。
 あの動きの速さが、嫌われる原因にもなっているようです。ゴキブリに似ているというのですね。けれども、フナムシは、ゴキブリの仲間ではありません。昆虫ですら、ありません。よく見れば、昆虫とは、体の作りが違うのが、わかります。
 昆虫とは、節足動物門【せっそくどうぶつもん】昆虫綱【こんちゅうこう】に属する生き物です。対して、フナムシとは、節足動物門【せっそくどうぶつもん】軟甲綱【なんこうこう】等脚目【とうきゃくもく】フナムシ科に属する種の総称です。
 フナムシ科には、フナムシという種名の種がいます。この種が、日本の本州以南、九州以北に分布します。日本の多くの海岸で見られるのが、種名フナムシということです。
 昔は、種名フナムシが、北海道から九州の海岸に、広く分布するとされました。ところが、最近、北海道にいるのは、違う種だとわかりました。北海道の種には、キタフナムシという種名が付きました。キタフナムシは、北海道以外にも、分布するようです。
 フナムシ科では、キタフナムシ以外にも、最近、新種が発見されました。ナガレフナムシという種です。この種は、世界中で、小笠原諸島にしか分布しません。
 驚かれたのは、ナガレフナムシが、海岸に棲むのではないことです。なんと、この種は、陸上の渓流に棲みます。世界初の「淡水生フナムシ」として、話題になりました。
 じつは、海岸以外に棲むフナムシは、他にもいます。例えば、ニホンヒメフナムシは、陸上の森林に棲みます。陸生のフナムシですね。日本の北海道、本州、四国に分布します。このように、陸に棲むフナムシ科の種は、他にも、たくさん見つかっています。
 淡水生のフナムシも、ナガレフナムシ以外の種がいるといわれます。ただ、まだ正式に、学会で発表されていません。確認されたのは、ナガレフナムシだけだと思います。
 淡水生のフナムシは、海生のものと、陸生のフナムシとの間をつなぐものだと考えられます。フナムシの祖先は、海から淡水へ、そして陸へと進出していったのでしょう。

図鑑↓↓↓↓↓には、フナムシが掲載されています。
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 過去の記事でも、フナムシと同じ等脚目【とうきゃくもく】の生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
深海には、巨大な甲殻類がいる?(2013/7/22)
地球を制覇? ワラジムシの仲間たち(2011/11/25)
ワラジムシとダンゴムシとは、どう違う?(2008/11/3)

新種・珍種がざっくざく、南硫黄島【みなみいおうとう】(2008/6/10)
虫が島を壊す? ナナツバコツブムシ(2007/6/28)
などです。


2013年12月 2日

日本最大のヒトデとは?

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 最近、深海に棲む生物として、ダイオウイカとダイオウグソクムシとが、有名になりましたね。どちらも、種名に「ダイオウ」が付きます。その理由は、同じ分類グループ(イカの仲間と、グソクムシの仲間)の中で、ひときわ、大きい種だからです。
 深海には、他にも、「ダイオウ」の種名が付く生物がいるのを、御存知でしょうか? その種も、同じ分類グループの中で、ひときわ大型になります。
 その種とは、ダイオウゴカクヒトデです。ヒトデの仲間ですね。アカヒトデ目【もく】ゴカクヒトデ科に属する一種です。ゴカクヒトデ科の種は、深海に棲むものが多いです。そのため、ヒトが目にする機会は、少ないです。
 ダイオウゴカクヒトデも、普通の人は、めったにお目にかかれません。でも、日本近海の深海に棲んでいます。日本最大級のヒトデであることは、間違いありません。
 ヒトデの大きさは、輻長【ふくちょう】という長さで表わすのが、普通です。輻長とは、星形のヒトデの体の中心から、腕の先までの長さを指します。ダイオウゴカクヒトデの場合、輻長が30cm以上になることが、珍しくありません。
 先に、私は、ダイオウゴカクヒトデが、日本最大級のヒトデだと書きましたね。最大「級」であって、最大ではありません。じつは、他に、もっと大きなヒトデがいます。
 それは、オオフトトゲヒトデという種です。こちらは、アカヒトデ目【もく】フトトゲヒトデ科に属します。輻長は、なんと、40cmにもなるといいます。
 オオフトトゲヒトデのほうは、浅い海に棲んでいます。熱帯系の種です。日本では、南西諸島や、小笠原諸島の海に多いです。サンゴ礁の浅い海にいますから、ダイビングで会うことができます。夜行性のため、昼間は、あまり動かないようです。
 ダイオウゴカクヒトデと、オオフトトゲヒトデとを比べると、明らかに、オオフトトゲヒトデのほうが、迫力があります。腕の部分が、ずっと太いからです。
 生態を比べてみると、ダイオウゴカクヒトデのほうは、比較できるほど、生態がわかっていません。深海生物の生態には、まだまだ、謎が多いです。

図鑑↓↓↓↓↓には、日本近海に棲むヒトデが、八種ほどが掲載されています。
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 過去の記事でも、ヒトデの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヒトデを泣かせる貝がいる?(2012/2/13)
ヒトデとクモヒトデとは、どう違う?(2010/9/27)
タスマニア沖で、二百以上の新種を発見(2008/10/14)

ヒトデ退治は法螺【ほら】じゃない? ホラガイ(2008/7/25)
オニヒトデは、サンゴ礁の悪役?(2008/7/18)
などです。



2013年11月18日

干潟には、ゴカイやミミズの仲間が多い?

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 海の干潟や、海底には、さまざまな生き物が棲んでいます。砂や泥の中に、穴を掘ってひそむものが多いですね。そういった生き物には、体の細長い、ミミズのような姿をしたものが、多くいます。中で、有名なのは、ゴカイの仲間ですね。
 ゴカイ類は、釣り餌にされることで、知られています。環形動物門【かんけいどうぶつもん】多毛綱【たもうこう】というグループに属する種を、ゴカイ類と呼んでいます。ミミズとは、同じ環形動物門に属しますが、あまり近縁ではないようです。
 多毛綱には、非常に多くの種が含まれます。現在、わかっているだけでも、八千種以上いるといわれます。それらのうち、多くの種が、干潟や海底に穴を掘って棲みます。
 では、干潟や海底に棲む、細長い虫たちは、みな、ゴカイの仲間なのでしょうか?
 違います。海底や干潟には、ゴカイ類と似て、ゴカイ類ではない生き物が、とてもたくさん棲んでいます。それらのいくつかを、紹介してみましょう。
 ホシムシ(星虫)と呼ばれる動物がいます。専門的には、星口動物門【ほしくちどうぶつもん】というグループの生き物です。口の周りに、小さな触手が並んで、星形に見えることから、この名が付きました。全体的には、太くて短いミミズのような姿です。
 ユムシと呼ばれる動物もいます。ユムシ動物門【どうぶつもん】というグループに属するものたちです。ホシムシより、さらに太くて短いソーセージ状の姿をしています。
 ユムシ動物門の中に、ユムシという種名の種がいます。この種は、上等な釣り餌として知られます。釣り人には、コウジ、ルッツなどの名で呼ばれます。
 ギボシムシ(擬宝珠虫)と呼ばれる動物もいます。半索動物門【はんさくどうぶつもん】腸鰓綱【ちょうさいこう】に属するグループです。種によっては、体長1mに達するほど長くなります。体に沿って、長い切れ目(スリット)があるのが特徴です。
 上に挙げた生き物のうち、ホシムシとユムシとは、環形動物門と、近縁ではないかといわれます。ギボシムシは、とても遠縁のようです。これらの分類は、今もまだ、組みかえられている最中です。目立たない生き物でも、研究が続けられています。

図鑑↓↓↓↓↓には、フゴカイの仲間のウミケムシや、イバラカンザシゴカイが掲載されています。
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 過去の記事でも、干潟に棲む生き物を取り上げています。また、干潟の生き物をよく食べる鳥類も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
長距離飛行のチャンピオン? シギとチドリ(2010/4/5)
シオマネキは、潮を招く?(2009/6/1)
目高蟹【めだかがに】とは、ツノメガニ?(2008/7/7)

などです。


干潟には、ゴカイやミミズの仲間が多い?

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 海の干潟や、海底には、さまざまな生き物が棲んでいます。砂や泥の中に、穴を掘ってひそむものが多いですね。そういった生き物には、体の細長い、ミミズのような姿をしたものが、多くいます。中で、有名なのは、ゴカイの仲間ですね。
 ゴカイ類は、釣り餌にされることで、知られています。環形動物門【かんけいどうぶつもん】多毛綱【たもうこう】というグループに属する種を、ゴカイ類と呼んでいます。ミミズとは、同じ環形動物門に属しますが、あまり近縁ではないようです。
 多毛綱には、非常に多くの種が含まれます。現在、わかっているだけでも、八千種以上いるといわれます。それらのうち、多くの種が、干潟や海底に穴を掘って棲みます。
 では、干潟や海底に棲む、細長い虫たちは、みな、ゴカイの仲間なのでしょうか?
 違います。海底や干潟には、ゴカイ類と似て、ゴカイ類ではない生き物が、とてもたくさん棲んでいます。それらのいくつかを、紹介してみましょう。
 ホシムシ(星虫)と呼ばれる動物がいます。専門的には、星口動物門【ほしくちどうぶつもん】というグループの生き物です。口の周りに、小さな触手が並んで、星形に見えることから、この名が付きました。全体的には、太くて短いミミズのような姿です。
 ユムシと呼ばれる動物もいます。ユムシ動物門【どうぶつもん】というグループに属するものたちです。ホシムシより、さらに太くて短いソーセージ状の姿をしています。
 ユムシ動物門の中に、ユムシという種名の種がいます。この種は、上等な釣り餌として知られます。釣り人には、コウジ、ルッツなどの名で呼ばれます。
 ギボシムシ(擬宝珠虫)と呼ばれる動物もいます。半索動物門【はんさくどうぶつもん】腸鰓綱【ちょうさいこう】に属するグループです。種によっては、体長1mに達するほど長くなります。体に沿って、長い切れ目(スリット)があるのが特徴です。
 上に挙げた生き物のうち、ホシムシとユムシとは、環形動物門と、近縁ではないかといわれます。ギボシムシは、とても遠縁のようです。これらの分類は、今もまだ、組みかえられている最中です。目立たない生き物でも、研究が続けられています。

図鑑↓↓↓↓↓には、フゴカイの仲間のウミケムシや、イバラカンザシゴカイが掲載されています。
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 過去の記事でも、干潟に棲む生き物を取り上げています。また、干潟の生き物をよく食べる鳥類も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
長距離飛行のチャンピオン? シギとチドリ(2010/4/5)
シオマネキは、潮を招く?(2009/6/1)
目高蟹【めだかがに】とは、ツノメガニ?(2008/7/7)

などです。


2013年10月14日

深海に立つシャンデリア? いえ、生き物です

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 今回は、深海の生き物を、二種ほど取り上げましょう。残念ながら、どちらの種も、日本語名が付いていません。ですので、以下では、ラテン語の学名で、種名を表わします。
 例えば、ラテン語の学名を、Chondrocladia lyra【コンドロクラディア・リラ】という種がいます。米国のカリフォルニア沖の深海で、発見されました。
 この種の形は、古代ギリシャの竪琴【たてごと】にそっくりです。このために、lyra【リラ】(=古代ギリシャの竪琴)という種名が付きました。海底と平行に伸びた枝から、垂直方向に、たくさんの枝が伸びています。これが生き物とは、とても思えない姿です。
 本種は、じつは、海綿【かいめん】動物門に属します。カイメンの一種なのですね。
 カイメンといえば、磯で、普通に見られる生き物です。磯の岩に付いている、橙【だいだい】色や、黒色をした不定形の物を、見たことがありませんか? あれが、カイメンの仲間です。普通のカイメンは、水中の有機物をこして食べる、おとなしい生き物です。
 コンドロクラディア・リラは、磯のカイメンと違って、不定形ではありません。必ず、竪琴型をしています。その姿は、食べ物の少ない深海で、流れてくる食べ物(小動物)を、うまく引っかけられるように、進化したようです。肉食性なのですね。
 この種と近縁で、もっと信じがたい姿をした種があります。Chondrocladia lampadiglobus【コンドロクラディア・ランパディグロブス】という種です。英語で、Ping-pong Tree Sponge【ピンポン・ツリー・スポンジ】とも呼ばれます。
 この種は、英語名の意味を考えると、形をイメージしやすいです。木の枝のような形の先に、透明なピンポン玉のような物が付いています。しかも、その「ピンポン玉」は、光ります。まるで、深海に立つシャンデリアのようです。
 美しい姿に反して、コンドロクラディア・ランパディグロブスは、肉食性です。コンドロクラディア・リラと同じです。ランパディグロブスのほうは、光で、小動物をおびき寄せて、食べるようです。リラよりも、さらに積極的に、捕食するわけです。
 こんな奇想天外なカイメンが、深海に立つ姿を、見てみたいものですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、深海のカイメンは載っていません。かわりに、日本の浅海に棲むカイメンが、四種ほどが掲載されています。
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 過去の記事でも、カイメンの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
どんな形にもなれる? カイメン(海綿)(2012/12/24)
カイメン(海綿)は、多細胞動物の祖先?(2009/11/13)
オーストラリアの深海で、新種発見(2009/1/22)
カイメン(海綿)とは、どんな生き物?(2007/7/20)
などです。


2013年9月23日

フナクイムシ(船食虫)は、船を食べる?

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 世界の海には、「船を食べる」生き物がいます。フナクイムシです。
 フナクイムシと呼ばれる生き物には、多くの種があります。日本近海には、二十種ほどが分布するとされています。フナクイムシ、ヤツフナクイムシなどの種です。
 どうやって、船を食べるのでしょうか? フナクイムシが食べるのは、海の木造船だけです。木造船の底に、小さな穴を開けて、食い入ります。フナクイムシは、シロアリのように、木を食べる生き物なのです。これは、驚異的なことですね。
 海中には、木が生えません。ヒトが船を作る前、フナクイムシは、どうやって生きていたのでしょう? おそらく、偶然に流されてくる流木を食べていたと考えられます。
 そのようなことは、そう多くあるものではありません。もともとのフナクイムシは、わずかな流木を頼りに、細々と生きていたのでしょう。そこへ、ヒトが現われました。
 ヒトが、木で船を作ったことは、フナクイムシにとって、大変な幸運でした。突然、たくさんの食べ物が、海に浮かぶようになったのです。フナクイムシたちは、爆発的に増えたでしょう。船に穴を開けるために、ヒトからは、憎まれる生き物となりました。
 フナクイムシの外見は、細長い虫のようです。木材に食い入った、頭の方に、固い部分があります。この固い部分は、二枚の貝殻です。じつは、フナクイムシは、二枚貝の一グループ(フナクイムシ科)なのです。大ざっぱに言えば、アサリやシジミの仲間です。
 フナクイムシは、木材を食べるために、特殊な形に進化しました。木材の中で暮らすため、体を、貝殻で守る必要がありません。貝殻は、もっぱら、木材を削る道具になりました。そのために、頭の方にだけ、小さな貝殻が付いています。
 なぜ、こんな特殊な進化をしたのでしょうか? ヒントは、フナクイムシ科に近縁な、ニオガイ科の二枚貝にあるかも知れません。「穴を掘る」点が、共通します。
 ニオガイ科の種には、いくつか、海岸の岩に、穴を開けて棲むものがいます。中には、木材に穴を開けて棲む種もいます。最初は、隠れ家として穴を掘っていたものが、食べ物としても利用するようになれば......フナクイムシの出来上がりですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、フナクイムシは載っていません。そのかわり、日本近海に棲む二枚貝が、十種ほどが掲載されています。
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過去の記事でも、海の船に付着する生き物を取り上げています。また、二枚貝の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。

インターネット生物図鑑-zukan.net-

命名の傑作、ツキヒガイ(月日貝)(2011/9/19)
ムール貝やパーナ貝とは、どんな貝?(2008/12/12)
フジツボは富士壷? 藤壷?(2008/9/29)
などです。

2013年9月 9日

アンモナイトじゃない? アオイガイ

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 大昔、地球の海には、アンモナイトと呼ばれる生き物がいました。古生物の図鑑には、必ず、載っている生き物です。渦巻型の貝殻を背負って、海中を泳ぐ想像図を、一度くらいは、御覧になったことがあるのではないでしょうか。
 アンモナイトは、恐竜とともに、絶滅してしまいました。けれども、現代の海にも、アンモナイトに似た生き物がいます。オウムガイの仲間と、アオイガイの仲間です。
 オウムガイは、以前、このブログで取り上げましたね(四億年前からの生き残り? オウムガイ(2006/10/26))。今回は、アオイガイを紹介しましょう。
 アオイガイは、アンモナイトやオウムガイと同じように、渦巻型の貝殻を背負っています。とはいえ、「生きている化石」ではありません。アンモナイトとも、オウムガイとも、縁が遠い生き物です。いわば、「殻があるだけの、普通のタコ」です。
 アオイガイとは、頭足綱【とうそくこう】八腕形目【はちわんけいもく】アオイガイ科に属する一種です。カイダコという別名があります。科の名前も、アオイガイ科ではなく、カイダコ科とされることがあります。どちらでも、同じ科を指します。
 私たちが、普通に食べているタコは、マダコです。頭足綱八腕形目マダコ科に属します。アオイガイとは、目【もく】まで、同じですね。八腕形目には、いわゆる「タコ」と呼ばれる種が、すべて属します。八本の腕を持つグループです。
 アンモナイトや、オウムガイは、頭足綱ではありますが、八腕形目ではありません。
 アオイガイと、アンモナイトやオウムガイとの違いは、いくつもあります。ここでは、殻の違いについて、挙げてみましょう。
 アオイガイは、生まれた時には、普通のタコの姿です。成熟してから、殻を作ります。殻に入って暮らすようになってからも、驚いたりすると、殻から脱け出すことがあります。殻を作るのは、雌だけです。雄は、一生、普通のタコの姿です。
 アンモナイトやオウムガイは、生まれた時から、殻を持ちます。一生、脱ぐことはありません。体の構造上、脱げないのです。雄も雌も、殻を持つのは、同じです。
図鑑↓↓↓↓↓には、アオイガイ(カイダコ)が掲載されています。
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過去の記事でも、オウムガイや、アンモナイトや、タコの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
アンモナイトが生きている?(2011/5/30)
パウルくんは、マダコ(真蛸)か?(2010/9/13)
タコ(蛸)にも「手足」がある?(2009/7/20)
六本脚【あし】のタコがいる?(2008/3/8)
四億年前からの生き残り? オウムガイ(2006/10/26)
などです。
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2013年7月22日

深海には、巨大な甲殻類がいる?

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 以前、このブログで、「深海魚は、ほとんどが、小さいものだ」という話をしましたね(巨大な深海魚とは?(2013/7/15)
)。魚に限らず、深海生物は、小さなもののほうが、ずっと多いです。けれども、中には、浅海の生物より、大きくなるものもいます。
 例えば、深海に棲む甲殻類―エビやカニの仲間です―には、近縁な種より、大型になるものが知られています。有名なところでは、ダイオウグソクムシが、そうです。
 ダイオウグソクムシは、陸に棲むダンゴムシに近縁です。等脚目【とうきゃくもく】というグループに属します。このグループには、海岸に棲むフナムシも属します。
 ダンゴムシは、体の長さが、2cmもありませんね。もう少し大きいフナムシでも、せいぜい4cmです。ところが、ダイオウグソクムシは、体長が40cmを越えることすらあります。等脚目の中で、ダントツの大きさです。
 深海に棲む甲殻類で、ギガントキプリス・アガッシジイという種もいます。「ギガント」という名からして、巨大なものを想像しますね。とはいえ、この種は、体長が3cmくらいしかありません。これで、どこが巨大なのでしょうか?
 ギガントキプリスは、浅海に棲むウミホタルの仲間です。ウミホタルの体長は、3mmほどしかありません。ウミホタル科の種は、みな、このくらいの大きさです。例外が、ギガントキプリスです。3mmに比べれば、3cmは、大きいですね。10倍ですからね。
 なぜ、ダイオウグソクムシや、ギガントキプリスのように、巨大化する深海の甲殻類がいるのでしょうか? その理由は、わかっていません。
 一説では、深海の冷たさに原因がある、といわれます。その説によれば、水温が低い深海では、甲殻類は、成熟するのが遅れます。成熟までに、長い時間がかかります。すると、成長期が長くなります。結果として、大きく育つ、というわけです。
 この説は、確定したものではありません。甲殻類がそうなら、他の深海生物も、巨大化するはずですね。しかし、実際には、そうなっていません。なぜ、深海の甲殻類ばかりが、巨大化する傾向があるのか、謎解きは、まだ、これからです。図鑑↓↓↓↓↓には、等脚目【とうきゃくもく】のオカダンゴムシ、フナムシ、ワラジムシが載っています。ウミホタルも掲載されています。
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過去の記事でも、深海の生物を取り上げています。また、等脚目【とうきゃくもく】の生物や、ウミホタルも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ハオリムシ(羽織虫)の分類は?(2012/12/10)
コウモリダコは、タコ? イカ?(2012/10/22)
深海には、肉食生物が多いか?(2012/08/27)
地球を制覇? ワラジムシの仲間たち(2011/11/25)
ウミホタル(海蛍)は海の掃除屋さん(2006/04/14)
などです。

2013年7月11日

特別展「深海」には、深海生物がいっぱい!

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 国立科学博物館で開催中の特別展「深海-挑戦の歩みと驚異の生きものたち-」に、行ってまいりました。話題のダイオウイカなど、見てまいりました。
 何と言っても、「深海生物図鑑」のコーナーが、圧巻です。めったに見られない深海生物の標本が、三百点以上も、並んでいます。どれも、貴重なものです。
 深海には、大型の生物が多いと思っている方が、いるかも知れませんね。最近、話題になった、ダイオウイカや、ダイオウグソクムシの印象が強いせいでしょう。
 けれども、実際には、小型の生物のほうが、ずっと多いです。実物の標本を見ると、「こんなものなの?」と、がっかりされるかも知れません。
 そんな印象を引っくり返してくれるのが、映像資料です。会場に流されている映像では、生き生きとした深海生物の姿を、見ることができます。
 中で、必見なのは、フウセンクラゲ目【もく】の一種の映像です。透明な体が、虹のように輝いて、本当に美しいです。有櫛動物門【ゆうしつどうぶつもん】に属する生物です。
 もちろん、ダイオウイカの実物標本もあります。近づいて、じっくり見られます。触手に付いた吸盤も、普通のイカより、ずっと大きいです。でも、普通のイカと同じように、ぎざぎざのリングが付いているのが、わかります。
 ダイオウイカほど目立たなくても、見るべき標本が、いくつもあります。私のお勧めは、ダイオウホウズキイカですね。ダイオウイカと同じくらい、大きくなるイカです。
 会場にあるのは、ダイオウホウズキイカの幼体です。普通のイカより、小さいくらいです。うっかりすると見逃しそうです。が、これを見逃すのは、もったいないです。
 ダイオウホウズキイカは、南極海の深海に棲みます。南極の深海とは、二重に行きにくい所ですね。このため、ダイオウホウズキイカの標本を得るのは、非常に難しいです。ダイオウイカ以上に、この標本が見られるのは、幸運です。
 その他、たくさんの深海生物に、会場で会うことができます。ここには、とても書ききれません。ぜひ、会場で、御自分の目で、確かめて下さい。

図鑑↓↓↓↓↓には、タカアシガニ、ズワイガニ、キアンコウなどの深海生物が掲載されています。
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特別展「深海」については、以下のサイトに、情報があります。
特別展「深海」(国立科学博物館の公式サイト内ページ)
特別展「深海」公式サイト


 過去の記事でも、深海の生物について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
タカアシガニは、世界最大のカニ?(2009/1/30)
マッコウクジラは人間を襲うか?(2007/3/19)
世界最大のイカは、ダイオウイカではない?(2007/2/23)
深海のイカ、続々と生態を解明中(2007/2/23)
ダイオウイカは食べられない。残念!(2005/10/20)

などです。

2013年7月 8日

寄生虫に寄生する生き物がいる?

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 寄生虫という言葉は、少し、怖く感じる方が多いでしょうね。「自分が寄生されたら......」と、思ってしまうからでしょう。ありがたいことに、現在の日本人には、健康に害を及ぼす寄生虫がつくことは、ほとんどありません。
 けれども、生物全体を見ると、事情が違います。普通の人が思う以上に、寄生虫(寄生生物)が、非常に多いのです。野生の生物で、寄生虫を持たないものは、まず、いないと言ってよいほどです。寄生虫自身も、例外ではありません。
 寄生虫自身にも、寄生する生物がいることがあります。多くの寄生虫は、小さなものなのに、そんなことが、あり得るのですね。「寄生虫の寄生虫」は、とても小さなものということになります。実際、肉眼では見えない大きさの寄生生物が、多いです。
 そんなに小さくなると、寄生虫というより、寄生生物と呼ぶほうが、ふさわしいですね。微生物まで含めれば、「寄生生物の寄生生物」は、膨大な種がいると考えられます。
 寄生生物に、さらに寄生する生物がいる状態を、「超寄生」と呼びます。前記のように、超寄生する寄生生物には、顕微鏡的な、小さなものが多いです。肉眼で、その状態を観察できることは、少ないです。
 数少ない例外を、挙げてみましょう。カクレガニと、フクロムシとの例です。
 カクレガニとは、二枚貝に寄生する、小さなカニの仲間です。カクレガニ上科に属するカニたちです。オオシロピンノなどの種があります。アサリやハマグリを食べていると、殻の中に、小さなカニがいることがありますね。あれが、カクレガニです。
 フクロムシとは、カニと同じ甲殻類に属する生き物です。以前、このブログで取り上げましたね(宿主をあやつる、フクロムシの驚異(2011/10/17))。カニやエビに寄生する生き物です。カクレガニの仲間にも、寄生することがあります。
 例えば、アサリに寄生したカクレガニに、フクロムシが寄生したら、フクロムシは「超寄生」したことになります。カクレガニにしてみれば、アサリの中でぬくぬく暮らすはずだったのに、フクロムシに栄養を取られるわけです。何とも、皮肉な関係ですね。図鑑↓↓↓↓↓には、マルボシヤドリバエ、クロバネツリアブ、トゲアリなどの寄生生物が掲載されています。
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過去の記事でも、寄生する生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヒトデを泣かせる貝がいる?(2012/02/13)
宿主をあやつる、フクロムシの驚異(2011/10/17)
恐るべき?社会寄生、トゲアリ(2010/07/12)
ハリガネムシ(針金虫)は、ヒトに寄生する?(2008/08/27)
キチョウの雄(オス)が雌(メス)になる?(2007/09/03)
などです。

2013年7月 1日

宮古島の生き物の謎

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 南西諸島に、毒ヘビのハブがいることは、多くの方が御存知でしょう。でも、すべての島に、ハブがいるわけではありません。いる島と、いない島とがあります。
 例えば、宮古島をはじめとする宮古諸島には、ハブは分布しません。宮古諸島は、沖縄本島を中心とした沖縄諸島と、石垣島や西表島を含む八重山諸島とに挟まれています。
 沖縄諸島には、ハブ―ホンハブとも呼ばれます―が分布します。八重山諸島には、ホンハブに近縁なサキシマハブが分布します。なのに、間にある宮古諸島には、ホンハブも、サキシマハブも、分布しません。なぜでしょうか?
 これは、南西諸島の成り立ちに関係があると考えられています。以前、このブログで、これについて触れましたね(ハブが知る? 南西諸島の成立の秘密(2010/11/5))。
 宮古諸島は、過去に、海に沈んでいたことがあるとされます。海面が、現在より高かった時期が、あったのですね。宮古島などは、全体的に標高が低いため、完全に水没したのではといわれます。その時期に、ハブの仲間が絶滅したのだろうというわけです。
 ところが、この説では、説明できないことがあります。宮古島には、ミヤコカナヘビ、ミヤコヒバァ、ミヤコサワガニなどの生き物が、分布することです。
 ミヤコカナヘビは、ヘビと付いても、ヘビではありません。トカゲの一種です。世界中で、宮古諸島にしか分布しない、固有種です。緑色をした、細長いトカゲです。
 ミヤコヒバァは、ヘビの一種です。ハブの仲間と違って、毒は持ちません。細くて、黒っぽくて、小柄なヘビです。宮古島の固有種です。
 ミヤコサワガニも、やはり、世界中で、宮古島にしかいない種です。陸の淡水域に棲む、サワガニの一種です。前の二種と同じく、自力で海を渡ることは、できません。
 島が水没したことで、(海を渡れない)ハブの仲間が絶滅したのなら、これらの生き物も、絶滅するはずですよね? 実際には、ハブの仲間だけが、いません。
 この謎は、いまだに、解けていません。ハブの仲間と、例えば同じヘビのミヤコヒバァとの運命を分けたのは、何でしょう? 研究成果が、待ち遠しいですね。図鑑↓↓↓↓↓には、ハブ(ホンハブ)やサキシマハブが掲載されています。
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過去の記事でも、南西諸島に分布するヘビを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ハタが、絶滅の危機に?(2012/09/10)ハタが、絶滅の危機に?(2012/09/10)
小笠原諸島のトカゲたち(2011/09/26)
大陸とのつながりを示す? ナミエガエル(2011/06/27)
アンモナイトが生きている?(2011/05/30)
日本の本土にも、ヤマネコがいた?(2011/04/04)
などです。

2013年6月24日

毒のあるサンゴがいる?

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 熱帯の海には、サンゴ礁がありますね。サンゴ礁を形成するサンゴには、たくさんの種があります。それらのサンゴは、造礁サンゴと呼ばれます。
 造礁サンゴとは、分類学上の呼び名ではありません。分類とは別に、「サンゴ礁を作るサンゴ」という、生態を表わした呼び名です。互いに遠縁なグループが含まれます。
 とはいえ、造礁サンゴには、主に含まれる分類グループがあります。多いのは、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】花虫綱【はなむしこう】イシサンゴ目【もく】に属する種です。体の内部に、硬い石のような骨格を持つため、イシサンゴと呼ばれます。
 刺胞【しほう】動物という名で、ぴんと来た方もいるでしょう。サンゴの仲間は、クラゲやイソギンチャクと同じ、刺胞動物門に属します。この分類グループは、刺胞という武器を持つのが特徴です。クラゲが刺すのは、刺胞の働きです。
 ということは、サンゴも、クラゲのように刺すのでしょうか? 大部分のサンゴは、事実上、ヒトには無害です。けれども、中には、ヒトを刺すサンゴがあります。
 それは、イシサンゴ目とは、とても類縁の遠いサンゴです。刺胞動物門ヒドロ虫綱【ちゅうこう】アナサンゴモドキ目【もく】アナサンゴモドキ科アナサンゴモドキ属に属する種です。イタアナサンゴモドキ、ホソエダアナサンゴモドキなどの種があります。
 イシサンゴ類が、花虫綱に属するのに対して、アナサンゴモドキ類は、ヒドロ虫綱に属します。綱【こう】という大きなレベルで、分類が違います。でも、同じように、硬い骨格を持つ造礁サンゴです。外見は、互いに似ていて、区別が付けにくいです。
 ヒドロ虫綱には、カツオノエボシや、カギノテクラゲも属します。これらは、刺すクラゲとして有名ですね。アナサンゴモドキ類も、カツオノエボシと同様、危険な生き物です。刺されると、非常に痛いです。毒のために、皮膚がただれることもあります。
 アナサンゴモドキ類を避けるには、どうしたらよいのでしょうか? これらがある場所は、地元のダイバーには、知られていることが多いです。事前に、よく情報を仕入れておくことですね。素手で、やたらにサンゴに触れないことも、大事です。図鑑↓↓↓↓↓には、アナサンゴモドキ類のサンゴは、載っていません。そのかわり、イシサンゴ類が何種か掲載されています。
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 過去の記事でも、サンゴの仲間を取り上げています。また、アナサンゴモドキ類と同じヒドロ虫綱の生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海中の植物園? サンゴの仲間たち(2011/08/01)
刺す海藻? いえ、クラゲです(2010/08/02)
泳がないクラゲがいる?(2009/07/27)
世界最長寿のサンゴが発見される(2009/04/04)
電気クラゲとはどんなクラゲ?(2006/08/01)
などです。

2013年6月10日

カワニナ(川蜷)の殻が欠けているのは、なぜ?

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 日本の川に棲む貝の一種に、カワニナがいます。小さな巻貝の一種です。かつては、とても平凡な種でした。どこの川の川底にも、この貝が這っていたようです。
 カワニナには、よく似た近縁種が、いくつもあります。このために、正確に種を区別するのは、難しいです。カワニナ科―種名カワニナは、ここに属します―と、トウガタカワニナ科に属する種を総称して、カワニナと呼ぶこともあります。
 ここでは、カワニナ科とトウガタカワニナ科の種をまとめて、カワニナ類と呼びましょう。昔の人にとって、このグループの種は、どれもみな、「カワニナ」でした。
 日本の昔話や伝説に、カワニナ類が登場することがあります。中でも、有名なのは、カワニナ類と弘法大師との関係を語る伝説でしょう。地方によっては、弘法大師でなく、別の高僧にまつわる話としています。人物が変わっても、話の筋は、同じです。
 伝説では、弘法大師(などの高僧)が、川を渡る時に、カワニナ(類)の殻で、足などを傷つけたといいます。怒った僧は、殻の先端の、尖った部分を折りました。それから、カワニナ(類)の貝殻は、みな、先端が欠けている、という話です。
 実際に、カワニナ類の貝殻は、ほとんどが、先端が欠けています。昔の人は、これを不思議に思って、説明する伝説を作ったのでしょう。現代では、なぜ、先端が欠けるのか、科学で説明が付いています。これは、貝殻の材質と関係があります。
 カワニナ類に限らず、貝類の殻は、炭酸カルシウムという物質でできています。炭酸カルシウムの殻は、水の酸性度が高くなると、水に溶けてしまいます。海水より、淡水の貝のほうが、殻が溶ける危険性が高いです。淡水のほうが、酸性になりやすいからです。
 このために、淡水の貝類は、殻皮【かくひ】というものを編み出しました。殻皮とは、貝殻を覆う蛋白質の皮です。これで保護すれば、殻が溶けずに済みます。
 でも、カワニナ類のような、小さな貝殻の先端部分は、保護しきれないのですね。溶けてなくなりやすいです。だから、カワニナ類の殻は、先端が欠けることが多いのです。
図鑑↓↓↓↓↓には、種名カワニナが掲載されています。
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過去の記事でも、カワニナ類など、淡水の貝類を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
カワニナ(川蜷)は一種じゃない?(2008/06/02)
魚と持ちつ持たれつ? イシガイ科の二枚貝たち(2007/04/02)
などです。

2013年5月13日

一つの種に、二つの種名がある?

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 このブログでは、何回か、生き物の種名について、説明してきましたね。一種の生き物に対して、いくつもの呼び名があるのが、普通です。ラテン語の学名、正式な日本語名(標準和名)、方言名などですね。
 そのような場合でも、標準和名(正式な日本語名)は、一つです。でなければ、「標準」には、なりませんよね。日本全国で通じるように、標準語があるのと、同じです。
 ところが、中には、一つの種に、二つ以上の「標準和名」があることもあります。今回は、そのような一種を取り上げましょう。エダクダクラゲ(ニンギョウヒドラ)です。
 エダクダクラゲは、傘の直径が2cmほどの、小さなクラゲです。日本近海では、北海道から東北地方の海に分布します。暑いところは、苦手なようです。
 このクラゲには、ニンギョウヒドラという別名があります。ニンギョウヒドラと、エダクダクラゲと、どちらを標準和名とするかは、決まっていません。ヒドロ虫【ちゅう】綱【こう】淡水クラゲ目【もく】エダクダクラゲ科に属するクラゲです。
 なぜ、この種には、二つの「標準和名」があるのでしょうか? この種は、成長段階によって、まったく違う姿になるからです。それぞれの姿に、名が付けられました。
 「エダクダクラゲ」は、前記のとおり、小さなクラゲ型をしています。ふわふわと、漂うように泳いで暮らします。「ニンギョウヒドラ」のほうは、特殊な場所に棲みます。エラコという、ゴカイの一種の棲む管の入口に、付いています。ここにしか、棲みません。
 「ニンギョウヒドラ」は、泳ぎません。二本の長い触手を持ちます。これを打ち振る姿が、人形のように見えることから、ニンギョウヒドラと名づけられました。
 「ニンギョウヒドラ」から、「エダクダクラゲ」が生まれます。「ニンギョウヒドラ」の一部の個体から、芽のようなものが出て、次第に、クラゲの形に成長します。育った「エダクダクラゲ」が、「ニンギョウヒドラ」から離れて、泳ぎだします。
 初めて、この生態を知った人は、驚いたでしょうね。ヒドロ虫綱には、同じように、「ヒドラ」状のポリプから、クラゲが生まれる種が、多いです。図鑑↓↓↓↓↓には、ヒドロ虫【ちゅう】綱【こう】に属するクラゲが十種が掲載されています。
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過去の記事でも、ヒドロ虫【ちゅう】綱【こう】のクラゲの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
刺す海藻? いえ、クラゲです(2010/08/02)
泳がないクラゲがいる?(2009/07/27)
生物学で大活躍、オワンクラゲ(2008/08/04) ※オワンクラゲは、ヒドロ虫綱に属します。
淡水にもクラゲがいる?(2007/08/06)
鰹(カツオ)を連れてくるクラゲがいる?(2007/05/14)※カツオノエボシ、カツオノカンムリは、ヒドロ虫綱に属します。
などです。





2013年4月29日

ラッコとウニとコンブとの関係は?

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 ラッコは、北の海に棲む哺乳類ですね。北海道の近海にも、少数が棲んでいます。水族館などでも飼われます。かわいいので、人気がありますね。
 現在、ラッコは、国際的に保護されています。特別な許可がない限り、捕獲できません。けれども、昔は、乱獲された時代がありました。そのために、非常に数が減ってしまいました。北海道の沿岸にも、昔は、もっとたくさんのラッコがいたそうです。
 乱獲は、二度としてはいけないことです。でも、ラッコの数が減ったことによって、わかったこともありました。ラッコの数が減ると、ウニの数が増えることです。
 ウニは、ラッコの主要な食べ物の一つです。このため、ラッコがたくさんいれば、当然、ウニが減ります。ウニを獲る漁師さんにとっては、困ったことですね。
 ところが、コンブ(昆布)を採る人にとっては、ラッコが味方になります。なぜなら、ウニが、コンブを食べるからです。ウニが増えすぎると、コンブが壊滅してしまいます。コンブ漁をする人は、「ウニが増えないで欲しい」と思うでしょう。
 ウニもコンブも、北の海の恵みです。この二つの恵みは、「両取り」はできないのですね。ウニが増えれば、コンブが減ります。コンブが多い時には、ウニが少ないです。
 ウニとコンブとの関係に、ラッコが加わると、うまいバランスができます。ラッコがウニを食べるため、ウニが増えすぎることがありません。おかげで、コンブが減りすぎることもありません。ラッコの存在が、ウニとコンブの状態を、一定に保ちます。
 ラッコがいない状態を、仮定してみましょう。この状態では、ウニとコンブとが、まるでシーソーのように、増減を繰り返します。
 ウニが増えてコンブが減りすぎれば、ウニの食べ物がなくなりますね。結局、ウニも減ってしまいます。ウニが減れば、敵がいなくなったコンブが増えます。コンブが増えれば、食べ物が豊富になったウニが増えて......という繰り返しです。
 ラッコがいれば、このような、極端から極端へと走るシーソー状態がなくなります。ラッコは、北の海の生態系を守る存在ですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、ラッコが載っています。また、日本近海に棲むウニが、十種が掲載されています。
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過去の記事でも、ラッコやウニを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
謎の生物、ブンブクチャガマ(2011/07/11)
ラッコとアザラシの違いは?(2011/01/21)
海の毒まんじゅう? イイジマフクロウニ(2010/08/23)
タコノマクラの花びら模様は、いったい何?(2008/01/25)
突然の人気者? スカシカシパン(2008/01/10)
などです。

2013年4月22日

カクレウオは、ナマコの役に立っている?

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 今回は、面白い生態を持つ魚を紹介しましょう。カクレウオの仲間です。
 アシロ目【もく】カクレウオ科に属する種を、カクレウオと総称します。種名を単にカクレウオという種も、この中に含まれます。種名カクレウオは、日本近海に分布します。
 カクレウオという名は、文字どおり、「隠れ魚」を意味します。なぜ、こんな名が付いたかといえば、他の生き物の体内に「隠れる」性質があるからです。
 カクレウオ科の種が、すべて、他の生き物の中に隠れるわけではありません。オニカクレウオ、クマノカクレウオなどの種は、隠れずに、自由生活をします。
 種名カクレウオ、テナガカクレウオ、シンジュカクレウオなどの種は、名のとおりに隠れます。隠れる相手は、ナマコが多いです。二枚貝に隠れる種もいます。
 隠れる相手は、カクレウオの種ごとに、だいたい、決まっているようです。例えば、シカクナマコには、テナガカクレウオが入ります。どの種の生き物に、どの種のカクレウオが入るのかは、詳しくわかっていません。この分野は、研究途上です。
 ナマコに入るカクレウオの場合、ナマコの肛門から、腸内へと入ります。「肛門からなんて、汚くないのか?」と心配になりますね。どっこい、ナマコの体内で、肛門の近くとは、特等席なのです。新鮮な海水が、常に入ってくるところだからです。
 ナマコは、肛門の近くに、呼吸樹という器官を持ちます。これで、呼吸しています。そのために、肛門付近にカクレウオがいれば、常に、新しい海水の中で暮らせます。
 さて、ナマコに入るカクレウオには、「隠れ家を提供してもらう」という利点がありますね。ナマコのほうには、何か利点があるのでしょうか?
 一般的には、「カクレウオが、ナマコを一方的に利用しているだけで、ナマコには、何も利点がない」とされます。でも、本当のところは、わかっていません。
 「カクレウオが、ナマコに害を与えた」という報告もあれば、「ナマコにも、益があるのでは」という意見もあります。昔から知られた関係なのに、カクレウオとナマコには、まだまだ、調べることがたくさんあります。
図鑑↓↓↓↓↓には、トラフナマコ、バイカナマコ、マナマコが掲載されています。
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過去の記事でも、ナマコの仲間や、他種の生き物同士が共生している様子を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
泳ぐナマコがいる?(2011/03/07)
幸せな共生の形、ドロバチとダニ(2010/12/20)
トラフナマコは、虎縞【とらじま】のナマコ?(2009/11/27)
食用ナマコはどんなナマコか?(2007/01/22)
サンゴ礁の海を守るナマコ(2006/07/22)
などです。

2013年3月25日

得意技で守ります、ハゼとテッポウエビ

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 生き物の世界には、共生という現象があります。異種の生き物同士が、共に暮らすことです。今回は、その一例を紹介しましょう。ハゼとテッポウエビとの例です。
 ハゼは、魚の仲間ですね。海の沿岸域に多い魚です。多くの種は、小型です。専門的には、スズキ目【もく】ハゼ亜目【あもく】に属する種を、ハゼと総称します。
 ハゼの仲間の一部に、テッポウエビと共生するものがいます。テッポウエビとは、名のとおり、エビの仲間です。テッポウエビ科に属する種を、テッポウエビと総称します。
 これまでに、六十種以上のハゼが、テッポウエビの仲間と共生することがわかっています。ずいぶん多いと思いますか? これでも、ハゼの仲間のごく一部なのです。ハゼ亜目に属する種は、二千百種(!)を越えるからです。
 テッポウエビのほうは、二十種以上が、ハゼと共生するとわかっています。テッポウエビ科全体の種数は、いまだ不明ですが、三百種以上いることは確実です。それらのうち、実際には、どれだけの種が、ハゼと共生するのかは、わかっていません。
 ハゼとテッポウエビとは、どのように共生するのでしょうか? 彼らは、すみかを共有します。海底の砂や泥に穴を掘って、棲んでいます。穴を掘るのは、テッポウエビの役割です。ハゼよりも、テッポウエビのほうが、穴掘りが得意だからです。
 ハゼのほうは、見張り役を引き受けます。テッポウエビよりも、ハゼのほうが、眼がいいからです。危険なものが近づいたら、ハゼは、テッポウエビに警報を出します。互いに得意なことを分担して、協力しているわけです。
 先に書いたとおり、テッポウエビは、あまり眼が良くありません。言葉があるわけでもないのに、どうやって、ハゼは、テッポウエビに警報を伝えるのでしょうか?
 じつは、テッポウエビは、ほとんど常に、長い触角を、ハゼの体のどこかに触れています。ハゼは、危険を感じると、背びれや尾びれを細かくふるわせます。その振動が、警報になります。触角で警報を感じて、テッポウエビは、巣穴に逃げ込みます。
 得意技を生かして、共生するハゼとテッポウエビの姿は、微笑ましいですね。

図鑑↓↓↓↓↓には、日本のハゼの仲間が、二種載っています。また、日本に分布するエビの仲間も、十種以上が掲載されています。
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過去の記事でも、ハゼやエビに関する記事を取り上げています。また、共生する生物についても取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヤドカリとイソギンチャクとは、仲良し?(2012/03/19)
アマエビ? いえ、ホッコクアカエビです(2012/02/27)
幸せな共生の形、ドロバチとダニ(2010/12/20)
そっくりさんがいっぱい、スジエビ(2010/02/01)
ミナミトビハゼ画像(2007/09/06)
などです。

2013年3月11日

光合成するクラゲがいる?

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 クラゲは、海に棲む動物ですね。最近は、水族館で人気があります。ふわふわと漂うように泳ぐ姿が、「癒し系」といわれます(笑)
 クラゲの泳ぐ姿は、美しいと、私も思います。でも、海中の小さな生物にとっては、クラゲは、恐ろしい肉食動物でしょう。多くのクラゲは、他の生物を食べます。
 魚など、比較的、大きな生物を食べることもあります。もっと小さな、プランクトン生活をする甲殻類などは、もっとよく食べられているようです。
 ところが、中には、ほとんど何も食べないクラゲがいます。例えば、サカサクラゲなどが、そうです。彼らは、どうやって、生きるための栄養を得るのでしょうか?
 サカサクラゲの場合、体内に、藻類【そうるい】が共生しています。藻類は、太陽光で光合成をして、栄養分を作ります。その栄養分を、クラゲがもらって、生きています。
 おかげで、サカサクラゲは、ほとんど、食事の必要がありません。そのかわり、常に、太陽の光に当たり続ける生活をしなければなりません。
 サカサクラゲが、名のとおり、逆さで暮らすのは、ここに理由があります。体内の藻類に、光が当たりやすくしているのでしょう。彼らは、日本では、鹿児島以南の、暖かく、浅い海に棲みます。そういう海なら、藻類に、光合成をしてもらいやすいですね。
 普段、サカサクラゲは、砂地の海底に、逆さになって、口腕【こうわん】(口の周囲の触手)をひらひらさせています。まるで、イソギンチャクのようです。けれども、彼らは、普通のクラゲと同様に、泳ぐこともできます。
 餌を取る必要がないなら、強い刺胞【しほう】も必要なさそうですね。刺胞とは、すべてのクラゲが持つ武器です。眼に見えないほど小さな、槍のようなものです。クラゲが「刺す」のは、この刺胞の働きです。強い刺胞ですと、ヒトにも効くわけです。
 サカサクラゲも、それなりに強い刺胞を持ちます。ヒトが刺されて、痛いと感じる程度です(クラゲの刺胞の効果には、個人差があります)。餌を取る必要がないのに、なぜ、これだけ強い刺胞を持つのか、その理由は、わかっていません。
図鑑↓↓↓↓↓には、サカサクラゲが掲載されています。
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過去の記事でも、クラゲの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
不老不死のクラゲがいる?(2011/01/07)
海中の透明で長いもの、な~んだ?(2010/04/01)
泳がないクラゲがいる?(2009/07/27)
美しい日本固有種、カミクラゲ(2009/03/13)
海藻【かいそう】? いいえ、イラモはクラゲです(2007/07/16)
などです。









2013年2月11日

温泉に入る貝がいる?

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 寒い日が続きますね。こう寒いと、温泉に入って、温まりたくなります。うらやましいことに、一年じゅう、温泉に入っている生き物がいます。
 普通、40℃ほどもあるお湯の中では、暮らせる生き物はいません。たとえ露天の温泉であっても、魚も貝も、水生昆虫も、見ませんよね。ところが、非常に珍しいことに、温泉の中で暮らす巻貝がいます。オンセンミズゴマツボという種です。
 オンセンミズゴマツボは、世界中で、日本にしか分布しません。日本の中でも、大分県の湯布院【ゆふいん】温泉にしかいません。湯布院の生息地がなくなったら、この種が絶滅したことになります。昔は、同じ大分県の、他の温泉地にもいたそうです。
 残念ながら、この種の分布域は、次第に狭くなっています。なぜでしょうか? 人間が、環境を改変したことが、主な原因だと考えられています。
 この種が棲むのは、温泉が湧いている所です。ということは、人間が温泉を利用するために、開発しやすい所ですね。お湯を導くために、コンクリートの水路を作られたりしたら、オンセンミズゴマツボは、そこでは生きられないでしょう。
 この種は、とても小さな巻貝です。貝殻の高さが、4mmほどしかありません。小さくても、貴重な種です。今のところ、世界で唯一の、温泉に棲む巻貝だからです。
 なぜ、オンセンミズゴマツボは、温泉に棲むようになったのでしょうか? これについては、わかっていません。同じミズゴマツボ科に属する種(ミズゴマツボなど)は、普通の淡水や、汽水に棲みます。オンセンミズゴマツボも、元は、そうだったのでしょう。
 温泉に棲むことには、利点と欠点とがあります。利点は、外敵や、競争相手が少ないことです。特殊な環境なので、棲める生き物が少ないのですね。
 欠点は、高温に適応しなければならないことです。これが難しいために、温泉に棲む巻貝は、世界中で、オンセンミズゴマツボただ一種なのでしょう。
 最近になって、地元の大分県で、オンセンミズゴマツボを保護する機運が、盛り上がってきました。貴重な貝は、地元の人たちの誇りになるものだと思います。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、オンセンミズゴマツボは載っていません。かわりに、日本の淡水域に棲む貝が、四種ほど掲載されています。
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過去の記事でも、温泉に棲む(といわれる)生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
温泉に入る昆虫がいる?(2012/06/25)
謎多き魚、アカメ(2012/03/05)
白鳥(ハクチョウ)は冬の使者(2006/01/11)
ニホンザルは世界北限のサル(2005/11/14)
などです。

2013年1月 7日

ゾウクラゲは、クラゲじゃない?

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 海の生き物には、クラゲのように、ふわふわと漂うものが、たくさんいます。今回は、その中の一グループを取り上げましょう。ゾウクラゲです。
 ゾウクラゲと言われて、どんな生き物なのか、思い浮かぶ方は、少ないでしょうね。透明で、柔らかく、骨を持たない生き物です。大型の個体ですと、40cmを越えるものもいます。が、普通は、20cmにもなりません。海中を、漂うように泳ぎます。
 ゾウクラゲの形は、説明するのが難しいですね。魚の頭と骨を取り去って、透明にした感じ、といえるでしょうか。体には、尾びれや、胸びれのようなものがあります。
 印象としては、たしかに、クラゲに近いです。けれども、ゾウクラゲは、クラゲの仲間―刺胞【しほう】動物―ではありません。クシクラゲの仲間―有櫛【ゆうしつ】動物―でもありません。では、いったい、何の仲間でしょうか?
 なんと、彼らは、巻貝の仲間です。サザエやタニシの仲間ですね。専門的に言えば、軟体動物です。よく見ると、小さな殻を持つ種もあります。でも、殻の中に、体を全部引っ込めることは、できません。殻に隠れるより、泳ぐほうに特化しています。
 ハダカゾウクラゲのように、殻を退化させて、完全になくした種もいます。泳ぎを重視するなら、殻は邪魔なだけですからね。同じような進化を遂げたものとして、ハダカカメガイがいます。ハダカカメガイとは、クリオネの正式名称(標準和名)です。
 クリオネ(ハダカカメガイ)と、ゾウクラゲとは、同じ巻貝の仲間です。どちらも、とても貝には見えませんね。両者は、巻貝の中では、さほど近縁ではありません。
 ゾウクラゲという名は、どこから付いたのでしょうか? 彼らの口が、長く伸びて、ゾウの鼻のようになっているからです。この口先には、歯舌【しぜつ】と呼ばれる器官があります。固い歯に当たる器官です。これを使って、小さな甲殻類などを食べます。
 歯舌は、ほとんどの巻貝が持つ器官です。これのために、殻のないハダカゾウクラゲでも、巻貝の仲間だとわかります。でなければ、きっと、分類に苦労したでしょう。ゾウクラゲのように、固い部分が少ない生き物は、分類の手がかりが少なく、難しいのです。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ゾウクラゲは載っていません。かわりに、日本近海に棲む巻貝が、二十種以上が掲載されています。
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 過去の記事でも、ゾウクラゲのように、殻を持たない貝の仲間を取り上げています。また、普通に殻を持つ巻貝も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヒトデを泣かせる貝がいる?(2012/02/13)
ウミウシは、海のナメクジか?(2011/01/14)
所属はどこですか? カサガイたち(2010/04/19)
ウミウシは何の仲間?(2008/12/29)
ハダカカメガイ(クリオネ)は流氷の天使か?(2006/01/09)
などです。

2012年12月24日

どんな形にもなれる? カイメン(海綿)

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 海綿動物【かいめんどうぶつ】という動物がいます。通常、「カイメン」と、カタカナで書かれます。大部分が、海に棲む生き物です。ごく一部に、淡水に棲む種がいます。どこの海に行っても、間違いなく見られる生き物の一つです。
 けれども、カイメンは、どんな動物なのか、説明するのが難しいです。理由の一つは、カイメンの形が、不定形のものが多いからです。「これ」と決まった形がないため、「こういう生き物だよ」と示すのが、難しいのですね。
 例外はあります。種によっては、常に決まった形になるものもいます。
 例えば、トウナスカイメンという種があります。トウナスとは、カボチャの別名です。この名のとおり、トウナスカイメンは、カボチャにそっくりな形になります。実物のカボチャよりは、ずっと小さいです。海底に、小さなカボチャが鎮座した状態でいます。
 ツノマタカイメンという種もいます。この種は、サンゴのような樹木状です。枝分かれして、先端が角のように尖ります。このため、ツノマタカイメンという名になりました。
 ザラカイメンや、ワタトリカイメンのように、「おおむね、コップ状」になる種もあります。「おおむね」というところが、くせものです。コップ状でないこともあるわけです。
 コップが浅くなって「お皿状」になったり、逆に深くなって「筒状」になったり、形がひしゃげて「つぶれた紙コップ」状になったりします。いくつかの「コップ」がつながって、樹木状になることすらあります。
 それでも、ザラカイメンや、ワタトリカイメンは、まだ、一定の形があるほうです。ダイダイイソカイメンや、クロイソカイメンに至っては、まるで決まった形がありません。
 ダイダイイソカイメンと、クロイソカイメンは、日本の海岸で、最も平凡に見られる種です。鮮やかな橙色の、コケのようなものが、磯の岩に貼りついていたら、それがダイダイイソカイメンだと思って、間違いはありません。黒ければ、クロイソカイメンです。
 これら二種のイソカイメンは、よく見ると、表面がでこぼこしています。少し盛り上がったところに、小さな穴が開いています。これが、カイメンとしての特徴です。

図鑑↓↓↓↓↓には、ザラカイメン、ダイダイイソカイメン、ツノマタカイメン、ワタトリカイメンが掲載されています。
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過去の記事でも、カイメンの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
カイメン(海綿)は、多細胞動物の祖先?(2009/11/13)
オーストラリアの深海で、新種発見(2009/01/22)
ウミウシは何の仲間?(2008/12/29) ※ウミウシには、カイメンを食べる種がいます。
鼈甲【べっこう】になるだけじゃない、タイマイ(2008/06/20)※タイマイは、カイメンを食べます。
カイメン(海綿)とは、どんな生き物?(2007/07/20)
などです。

2012年12月10日

ハオリムシ(羽織虫)の分類は?

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 深海生物がお好きな方なら、ハオリムシという名を聞いたことがおありでしょう。主に深海に棲む無脊椎動物です。英語名のチューブワームで呼ばれることもあります。
 英語名のとおり、ハオリムシは、細長い管(チューブ)の中で、生活しています。管は、海底の岩などに付いています。管の中の体は細長く、眼も口もありません。
 眼がないのは、不思議ではありませんね。深海生物ですから。でも、口がないのは、どういうわけでしょうか? 食べ物を、どうやって食べるのでしょうか?
 ハオリムシは、そもそも、「食べる」ことをしません。このため、排泄【はいせつ】もしません。口ばかりでなく、肛門も、消化器官もありません。
 では、どうやって、生きるための栄養を得ているのでしょうか? 他の生物が作る栄養を、もらって生きています。そのための生物が、ハオリムシの体内にいます。
 それは、硫黄酸化細菌【いおうさんかさいきん】という、微生物です。ものすごい数が、ハオリムシの体内に棲みます。ハオリムシの体重の半分近くが、硫黄酸化細菌の重さだといわれます。この細菌を、体内に棲ませる代わりに、栄養を受け取っています。
 口も肛門も消化器官もないなんて、想像を絶する生き物ですね。このために、ハオリムシは、どこに分類されるのか、長いあいだ議論されてきました。
 一時期、ハオリムシのために、有鬚動物門【ゆうしゅどうぶつもん】という分類グループが提唱されました。門【もん】とは、とても大きな分類グループの単位です(「生物分類の、目【もく】や科とは、なに?」(2009/08/12)を御参照下さい)。
 これほど、他の生物とは、かけ離れていると考えられたわけです。けれども、その後の研究で、それほどかけ離れてはいないらしいと、わかってきました。
 現在では、ハオリムシは、環形動物門【かんけいどうぶつもん】に属するとされることが多いです。ゴカイに近縁だと考えられています。あの、釣り餌にするゴカイです。
 分類が変わっても、ハオリムシが、貴重な生物であることは、変わりません。今後、さらに研究が進めば、もっと驚きの発見が、あるかも知れませんね。
過去の記事でも、環形動物【かんけいどうぶつ】の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
泳ぐゴカイがいる?(2011/02/14)
海の毛虫も蝶(チョウ)になる? ウミケムシ(2010/03/15)
ミミズは、土中の働き者(2009/10/09)
オーストラリアのサンゴ礁で、数百の新種を発見(2008/09/25)
海中のクリスマスツリー? イバラカンザシゴカイ(2005/12/09)
などです。

2012年11月26日

イモガイの毒は、ヒトをも殺す?

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 貝の仲間は、日本人に親しい生き物ですね。島国の日本では、海に棲む貝を食べることが多いです。潮干狩りなどという娯楽もありますね。
 多くの貝は、ヒトにとって、安全で、捕りやすい生き物です。動きが遅いからですね。
 けれども、中には、ヒトにとって危険な貝もいます。イモガイ科の種がそうです。
 イモガイ科は、巻貝の仲間です。熱帯や亜熱帯の海に、多く分布します。日本では、南西諸島に多いです。世界の海には、五百種ほどいるといわれます。
 イモガイ科の貝は、すべて、毒を持つことで知られます。その毒は、獲物をとらえて食べるために使われます。ヒトに毒を使うのは、本来の使い方でありません。
 ヒトが、イモガイに刺されてしまうのは、不幸な事故です。イモガイらしき貝を見つけたら、不用意に手を出さないことが大切です。
 イモガイ科の貝は、みな肉食性です。大きく分けて、魚食性、貝食性、虫食性の三グループになります。魚食性の種は、魚を食べます。貝食性の種は、他の貝を食べます。虫食性の種は、ゴカイなどの環形動物【かんけいどうぶつ】を食べます。
 食性が違う種であれば、毒の種類も違います。それぞれの獲物に、効きやすい毒を持つわけです。ですから、例えば、貝食性の種の毒は、魚にはほとんど効かないようです。
 ヒトにとっては、魚食性の種が問題になります。魚食性のイモガイの毒が、ヒトにも効いてしまうのです。魚とヒトとは、同じ脊椎動物なので、そうなるようです。
 「ヒトがイモガイに刺された」事故では、アンボイナと、シロアンボイナという二種によるものが、圧倒的に多いそうです。どちらも、魚食性の種です。
 ところが、中には、貝食性にもかかわらず、ヒトに効く毒を持つ(らしい)種がいます。タガヤサンミナシという種です。貝食性なのに、なぜ、そんな毒を持つのかは、わかっていません。魚食性の他の種と、混同されている可能性もあります。
 結局、イモガイ科のうち、どの種が危険なのかは、区別しがたいです。危険を避けるには、やはり、イモガイらしき貝に、手を出さないことに尽きるでしょう。
図鑑↓↓↓↓↓には、イモガイ科のアンボイナと、ナガアジロイモが掲載されています。
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過去の記事でも、毒がある生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
日本にも、コブラがいる?(2012/03/12)
オコゼ? いえ、オニカサゴです(2011/08/22)
カミキリムシ? いえ、カミキリモドキです(2011/07/05)
ウミヘビ(海蛇)は、魚? 爬虫類?(2011/04/18)
海の毒まんじゅう? イイジマフクロウニ(2010/08/23)
などです。

2012年10月22日

コウモリダコは、タコ? イカ?

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 深海には、いろいろと、変わった生き物がいますね。今回は、深海の、タコやイカの仲間―頭足類【とうそくるい】といいます―を紹介しましょう。コウモリダコです。
 コウモリダコは、水深600m~900mほどの海に棲みます。体長は、おおむね10cmほどです。タコと名がついても、普通に思い浮かべられるマダコ―食用になるタコですね―とは、ずいぶん姿が違います。
 八本の腕があるのは、マダコと同じです。けれども、その腕の間には、膜があります。膜で、八本の腕が、つながっているのですね。これを広げると、コウモリの翼のように見えるため、コウモリダコと名づけられたようです。
 八本の腕以外に、コウモリダコには、二本の細いひも状のものが付いています。フィラメントと呼ばれる器官です。もとは、二本の腕だったものが、このように進化したと考えられます。フィラメントが、何の役に立っているのかは、わかっていません。
 ここで、不思議に感じた方がいるでしょう。フィラメントが腕なら、コウモリダコは、十本腕ですね。十本腕なのは、イカであって、タコではありませんよね?
 じつは、コウモリダコは、タコでもイカでもない頭足類だとされています。進化の過程で、タコとイカとが分離する、その前の姿を、残していると考えられています。
 つまり、コウモリダコは、「生きている化石」です。シーラカンスなどと、同じです。
 コウモリダコの姿には、腕以外にも、タコらしくない部分があります。胴体― 一般的に、タコの頭と呼ばれる部分―に、イカの「えんぺら」のような「ひれ」が付いています。これも、イカとタコとが分離する前に、持っていた形質です。
 このような「ひれ」は、深海に棲む、多くのタコが持っています。ジュウモンジダコ、ヒゲナガダコ、メンダコなどの種が、そうです。深海に棲むタコには、原始的な形質を残したものが多い、ということですね。なぜなのでしょうか?
 それは、棲みやすい浅い海を、より進化したタコに、取られてしまったからだと考えられます。棲みにくい深海が、生きている化石の避難場所になっています。

図鑑↓↓↓↓↓には、コウモリダコは載っていません。かわりに、日本近海に棲むイカやタコの仲間が、十五種以上掲載されています。
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過去の記事でも、生きている化石と呼ばれる深海生物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
アンモナイトが生きている?(2011/05/30)
日本初の大発見、セイスイガイ(勢水貝)(2010/06/21)
貝類は、昔、ミミズだった? カセミミズ(2009/09/25)
「ウミユリ(海百合)は、海底に咲く花?(2008/08/25)
シーラカンスの新種?発見(2007/11/15)
などです。

2012年10月15日

脊索【せきさく】動物と、脊椎【せきつい】動物とは、違う? 同じ?

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 私たちが、「動物」と言う時、それは、脊椎【せきつい】動物を指すことが、多いですね。哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類を合わせたグループが、脊椎動物です。脊椎骨【せきついこつ】などの骨を持つものたちですね。ヒトも、この仲間です。
 脊椎動物と似た言葉で、脊索【せきさく】動物というものがあります。この二つの言葉は、同じ動物を指すのでしょうか? いいえ、違います。
 現在の一般的な分類学では、「脊索動物の中に、脊椎動物が含まれる」とされます。
 脊索動物は、脊索動物門【せきさくどうぶつもん】という、とても大きな分類グループです。脊索動物門の中に、脊椎動物亜門【せきついどうぶつあもん】が含まれます。
 他に、脊索動物門には、頭索動物亜門【とうさくどうぶつあもん】と、尾索動物亜門【びさくどうぶつあもん】とがあります。頭索【とうさく】動物(亜門)には、ナメクジウオが分類されます。尾索【びさく】動物(亜門)には、ホヤやサルパが分類されます。
 頭索動物と、尾索動物とは、どちらも、脊椎骨は持ちません。そのかわり、脊索【せきさく】という、柔らかい背骨のようなものを持ちます。脊椎動物も、産まれる前の段階で、脊索を持ちます。この特徴が共通するため、みな合わせて「脊索動物」とされます。
 ところが、最近、「脊椎動物と、頭索動物、尾索動物とは、互いに、それほど近縁ではない」という意見が、出てきました。分類の研究が進んだためです。
 ひょっとしたら、脊椎動物「亜門」は、脊椎動物「門」に昇格されるかも知れません。この考えでは、頭索動物「亜門」も頭索動物「門」に、尾索動物「亜門」も尾索動物「門」に昇格されます。脊索動物門は、解体されて、なくなります。
 この分類は、確定したわけではありません。脊索動物門が、残る可能性もあります。
 脊索動物の分類については、以前も、このブログで取り上げましたね(ホヤは脊索【せきさく】動物? 原索【げんさく】動物?(2007/8/28))。以前のコラムで書いたとおり、脊索動物の分類は、近年、変わったばかりです。目まぐるしいことですが、これも、研究者さんたちが、がんばっている証拠です。今後の研究成果が、また、楽しみですね。

図鑑↓↓↓↓↓には、脊索【せきさく】動物とされるナメクジウオ、ホヤ、サルパなどが、六種掲載されています。
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過去の記事でも、脊索【せきさく】動物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヒトの祖先は、ナメクジウオ?(2008/06/20)
海中のイルミネーション? ヒカリボヤ(2007/12/10)
ホヤは脊索【せきさく】動物? 原索【げんさく】動物?(2007/08/28)

サルパとは、どんな生き物?(2007/05/31)
原始的に見えても魚に近い? ホヤ(海鞘)(2006/08/28)

などです。

2012年9月17日

節足動物【せっそくどうぶつ】は、解体されるか?

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 地球上には、膨大な数の動物が棲んでいますね。その中で、とても繁栄しているグループがあります。節足動物【せっそくどうぶつ】と呼ばれるグループです。
 節足動物には、昆虫が含まれます。これだけで、ものすごい数ですね。陸上動物の中では、種の数も、バリエーションも、段違いに多いのが、昆虫です。節足動物門【せっそくどうぶつもん】昆虫綱【こんちゅうこう】に属するものたちです。
 昆虫と同じく、陸に棲む節足動物には、クモやサソリの仲間がいます。クモも、サソリも、昆虫ではありません。節足動物門の蛛形綱【ちゅけいこう】に属します。
 海にも、たくさんの節足動物がいます。エビやカニの仲間が、代表的です。エビやカニの類は、節足動物門の軟甲綱【なんこうこう】に属します。
 と、ここまで書いてきました。けれども、現在、節足動物の分類については、議論されている最中です。ひょっとすると、節足動物門というグループは、なくなるかも知れません。複数の門に、解体されるかも知れない事態です。
 節足動物が、一つの門にまとめられてきたのは、それなりの理由があります。何より、体の仕組みが、互いに似ています。これは、節足動物全体に共通する祖先がいて、その祖先から、枝分かれして進化してきた結果だと考えられていました。
 ところが、近年、研究が進むと、「節足動物全体に共通する祖先は、いないのではないか」という意見が出てきました。体の仕組みが似ているのは、別々の祖先から、それぞれに進化してきた結果であって、偶然の産物だというのです。
 ある説によれば、節足動物門は、三つの門に解体されます。単肢【たんし】動物門、鋏角【きょうかく】動物門、甲殻【こうかく】動物門です。この説では、昆虫綱は、単肢動物門に含まれます。蛛形綱は鋏角動物門に、軟甲綱は甲殻動物門に分類されます。
 この分類が正しいかどうかは、結論が出ていません。これとは、まったく違った分類になる可能性も、高いです。まだ、当分は、議論が続くでしょう。
 「節足動物」たちの分類については、流動的だと思っておいたほうがいいです。
図鑑↓↓↓↓↓には、昆虫以外の節足動物が、五十種以上、載っています。昆虫も、四百種ほどが掲載されています。
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過去の記事でも、節足動物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
六本脚でも、昆虫ではない?(2012/04/02)
地球を制覇? ワラジムシの仲間たち(2011/11/25)

宿主をあやつる、フクロムシの驚異(2011/10/17)
ウミサソリは、サソリの祖先か?(2010/12/10)
最も原始的な昆虫? イシノミ(2010/11/12)
などです。

2012年8月27日

深海には、肉食生物が多いか?

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 深海には、奇妙な生態の生物が多いですね。今回は、それらを紹介しましょう。
 近年、有名になった深海生物に、オオグチボヤがあります。ホヤの一種ですね。名のとおり、大きな「口」を持ちます。正確には、この「口」は、入水孔【にゅうすいこう】というものです。普通のホヤでは、体内に海水を取り入れるのに、使います。
 オオグチボヤの場合は、海水を取り入れるのだけに、使うのではありません。流れてくる小動物を、ぱくりと食べるのに使います。まさに「口」と同じ使い方ですね。このために、オオグチボヤの入水孔は、まるで口のように、大きく発達しました。
 普通のホヤは、他の動物を食べることはしません。入水孔から海水を吸いこみ、海水中の有機物を濾【こ】しとって、食べます。本来は、肉食性ではないのですね。
 ホヤとは遠縁の深海生物でも、オオグチボヤと似た生態のものがいます。例えば、ハエジゴクイソギンチャクです。イソギンチャクの一種です。オオグチボヤとは、門【もん】のレベルで、分類が違います。非常に遠縁ということです。
 普通のイソギンチャクは、植物の花に似た姿ですね。花びらのような、たくさんの触手があります。その触手の真ん中に、口があります。
 ハエジゴクイソギンチャクは、植物のハエジゴクに、姿が似ます。ハエジゴクは、食虫植物です。捕虫葉という、特殊な形の葉で、ぱくりと挟【はさ】みこんで、虫を捕ります。この捕虫葉に、ハエジゴクイソギンチャクは、形も機能も、そっくりです。
 ハエジゴクの捕虫葉のように、ハエジゴクイソギンチャクは、触手の生えた体で、獲物を挟みこみます。口を開いて獲物を待つ様子は、オオグチボヤと似ています。
 なぜ、非常に遠縁同士なのに、オオグチボヤと、ハエジゴクイソギンチャクとは、生態が似たのでしょうか? これは、深海生物であることと、関係しています。
 深海は、食べ物が乏しいです。えり好みする余地は、ありません。大きい物でも小さい物でも、確実に取って食べなければ、死んでしまいます。オオグチボヤとハエジゴクイソギンチャクとは、どんな物でも丸呑みできるように、「大口」を発達させました。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、オオグチボヤとハエジゴクイソギンチャクとは、載っていません。そのかわり、日本近海に棲むホヤやイソギンチャクが、それぞれ三、四種ずつが掲載されています。
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過去の記事でも、深海の生物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
コトクラゲは、深海生物か?(2012/01/16)
リュウグウノツカイは、一種ではない?(2011/12/12)
地球を制覇? ワラジムシの仲間たち(2011/11/25)

アンモナイトが生きている?(2011/05/30)
泳ぐナマコがいる?(2011/03/07)
などです。

2012年7月23日

ハラキリグモとは、どんなクモ?

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 ジグモ(地蜘蛛)というクモを、御存知でしょうか? 名のとおり、地面に巣を作るクモです。木の根もとや、塀【へい】の根もと、家屋の根もとなどに、地面から、細長い袋のようなものが伸びていることがあります。これが、ジグモの巣です。
 少し前まで、ジグモは、子供の良い遊び相手でした。私も、子供の頃に、ジグモ捕りをしたことがあります。地面の上の袋の部分をつまんで、そっと引っ張ると、するすると抜けてきます。その袋の中に、ジグモがいます。
 私のように、不器用な子供でも(笑)、丁寧にやりさえすれば、ジグモ捕りはできます。ジグモには、ヒトを傷つけるほどの武器はありません。そんなこともあって、手軽な遊びだったのでしょう。今の子供も、ジグモ捕りで遊んだりするのでしょうか?
 ジグモは、日本の本州・四国・九州に分布します。ジグモが分布する地方には、必ずと言ってよいほど、ジグモの方言名があります。それは、ジグモが、日本人に親しまれた証拠でしょう。日本のクモの中では、最多の方言名を持つといわれます。
 ジグモの方言名には、アナグモ、ツチグモ、フクログモなど、その生態を表わしたものが多いです。土に穴を掘って、袋状の巣を作ることから、付いた名でしょう。モグラグモ、ドログモ、カベグモなどというのも、生態から付いたと思われます。
 中に、ハラキリグモ、セップクグモ、サムライグモなどという方言名もあります。これは、ジグモを使った子供の遊びに由来します。ちょっと残酷な遊びですが。
 ジグモの体を折り曲げて、鋏角【きょうかく】(口の部分にある、太い触角のようなもの)を腹に付けると、ジグモは、自分の腹を、鋏角で切り裂いてしまいます。これを、切腹に見立てたわけです。切腹からの連想で、付いた方言名も多いです。
 他に、ジグモの方言名には、意味のわからないものもあります。オメンカチカチ、ケンケンボトボト、ジキジキオンマ、ペンペラハナコなどです。これらは、いったい、どういう意味なのか、興味をそそられますね。
 お住まいの地域で、方言名を探して、意味を考えてみるのも、楽しいかも知れません。

図鑑↓↓↓↓↓には、ジグモが掲載されています。
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過去の記事でも、クモの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
鬼も美女もいる? オニグモの仲間たち(2011/08/15)
クモの中の目利き? ハエトリグモ(2010/10/29)
人面グモ? いえ、ハナグモです(2009/04/10)
パプア・ニューギニアで、五十以上の新種を発見か?(2009/03/27)
女武者の闘い? コガネグモのクモ合戦(2007/06/04)
などです。

2012年7月 2日

マベガイからできるのが、マベ真珠?

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 真珠は、誰もが知っている宝石ですね。真珠が貝から作られることも、知られています。
 真珠を作る貝には、たくさんの種があります。普通、「真珠」、「本真珠」、「パール」と呼ばれるのは、アコヤガイから作られたものです。
 「本真珠」以外の真珠は、アコヤガイ以外の貝から作られるのでしょうか? そのとおりです。中で、有名なのが、「マベ真珠」や「マベパール」と呼ばれるものです。
 「マベ真珠」や、「マベパール」を御覧になったことがありますか? 半球形をしていますね。普通の真珠が、きれいな球形をしているのとは、違います。
 「マベ真珠」や「マベパール」とは、半球形の真珠の呼び方なのでしょうか? これについては、正しいとも、正しくないとも言えます。以下に、理由を説明しますね。
 もともと、「マベ真珠」や「マベパール」とは、マベガイという種の貝からできる真珠を指しました。マベガイも、アコヤガイと同じく、真珠を作るために養殖されています。
 けれども、マベガイには、完全な球形の真珠を作らせるのが難しいのですね。なぜなのかは、はっきりしません。ともかくも、このために、マベガイには、半球形の真珠を作らせるようになりました。宝飾品に加工しやすいからでしょう。
 半球形の真珠は、マベガイの真珠以外にも、存在します。完全な球形の真珠を、わざわざ半球形に加工することもあります。先に述べたとおり、宝飾品にセットするには、都合のいい形だからです。ですから、「半球形の本真珠」というものも、存在します。
 宝石業界では、マベガイの真珠でなくとも、半球形の真珠を「マベ真珠」や「マベパール」と呼ぶことがあります。本来は、誤用なのですが。
 マベガイの「マベ」とは、どういう意味でしょうか? これについても、わかりません。南西諸島の方言名に由来するのは、確かです。マベガイは、南西諸島近海などの、暖かい海に分布します。南西諸島では、「マービィー」という感じの発音になるそうです。
 マベガイは、アコヤガイと近縁です。同じウグイスガイ科に属します。ウグイスガイ科には、真珠を作る貝の多くが含まれます。そのような貝たちは、真珠母貝と呼ばれます。

図鑑↓↓↓↓↓には、マベ(ガイ)、アコヤガイが掲載されています。
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過去の記事でも、真珠を作る貝を取り上げています。また、真珠と並ぶ海の宝石サンゴ(珊瑚)についても、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海の中にも、ウグイスがいる?(2011/05/02)
「ムール貝やパーナ貝とは、どんな貝?(2008/12/12)※ムール貝やパーナ貝からも、真珠が取れることがあります。
宝石の珊瑚【さんご】はサンゴ礁のサンゴか?(2007/03/05)
真珠貝【しんじゅがい】の秘密(2006/06/16)
牡蠣(カキ)はなぜ寒い時期が旬【しゅん】か?(2006/02/04)※カキからも、真珠が取れることがあります。
などです。

2012年6月 4日

平家の怨霊が、ヘイケガニになった?

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 ヘイケガニ(平家蟹)は、有名なカニの一種ですね。平家の怨霊がカニになったという話で、知られます。そんな話が生まれたのは、このカニの背中(甲羅)に、ヒトの顔に似た模様があるからです。怒ったヒトの顔に見えます。
 むろん、「怨霊がカニになった」科学的な証拠は、ありません。では、なぜ、ヘイケガニの背には、ヒトの顔に似た模様があるのでしょうか?
 じつは、多くの種のカニに、ヒトの顔に似た模様があります。例えば、ヒライソガニ―磯で、普通に見られる種です―の甲羅にも、人面模様があります。ヒライソガニなど、ほとんどのカニは、うっすらとしか模様が見えないため、騒がれないのですね。
 ヘイケガニは、たまたま、極端に模様がはっきりしています。人面模様は、カニの筋肉の付き方にしたがって現われます。筋肉の付き方が、甲羅にくっきり反映されると、「人面」になります。筋肉の発達したヒトの、腹の筋肉が、割れて見えるようなものです。
 ヘイケガニの人面模様は、何かの役に立っているのでしょうか? 海の底で、あの模様で敵を脅すなら、面白いですね。ところが、実際の暮らしぶりは、それとは正反対です。普段、生きているヘイケガニは、あの模様を見せません。
 ヘイケガニと、その近縁種(ヘイケガニ科のカニたち)とには、面白い性質があります。背中に、貝殻などを背負って暮らすのです。種によっては、ヒトデやウニやナマコを背負うものもいます。なぜ、こんな不自由そうなことをするのでしょうか?
 それは、カモフラージュのためと考えられています。「自分はカニではない」と見せかけて、敵の目を逃れようというわけです。
 ヘイケガニ科のカニは、よく見ると、脚の数が足りません。はさみの付いた脚を入れても、六本しかないように見えます。けれども、もっとよく見ると、小さな四本の脚が付いています。この四本の脚は、貝殻などを背負う、専用の脚です。
 武士の名が付くわりに、ヘイケガニ科のカニたちは、臆病ですね。でも、これも、生きる知恵の一つです。無駄な争いはしない、ということでしょう。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ヘイケガニは載っていません。そのかわり、ヒライソガニなど、日本のカニが、十種以上が掲載されています。
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過去の記事でも、カニの仲間を取り上げています。また、平家に関わる名の生き物や、人面模様のある生き物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
イソガニとイワガニ、どっちがどっち?(2009/08/21)
人面グモ? いえ、ハナグモです(2009/04/10)
タカアシガニは、世界最大のカニ?(2009/01/30)※タカアシガニの背にも、うっすらと、ヒトの顔に似た模様があります。
実盛虫【さねもりむし】の正体は、ウンカ?(2008/08/06)
などです。

2012年5月14日

アワビより高級? ヒザラガイ

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 アワビは、日本人にお馴染みの貝ですね。高級食材として、有名です。以前、このブログで、アワビについて取り上げました(アワビという種名の貝はいない?(2008/1/14))。
 一般庶民には、なかなか、アワビは口に入りませんね。ところが、アワビよりずっと安くて、アワビに似た味の貝がいるというのです。日本の磯に、普通に棲む貝です。
 ただし、その貝は、魚屋では売られません。入手するなら、自分で磯に行って、取ってくるしかありません。値段はただですが、手間がかかります。
 それは、ヒザラガイという貝の仲間です。アワビとは、遠縁です。巻貝ではありません。二枚貝でもありません。ヒザラガイの仲間は、多板綱【たばんこう】という、独自のグループにまとめられています。ヒザラガイ綱【こう】と呼ばれることもあります。
 普通のヒザラガイは、全体的に、わらじのような形をしています。背中に、八枚の小さな貝殻が並んでいます。大きさは、数cmしかないものが、ほとんどです。
 この小ささが、問題です。食べる部分が、ごく少ないのです。加えて、彼らは、磯の岩に、がっちりと付いています。「苦労して取って、食べでがない」のでは、いくら美味しくても、取る気になれませんよね。
 中には、例外があります。オオバンヒザラガイという種は、よく食べられていました。この種は、長さ25cmにもなります。この大きさのために、食べでがあるわけです。
 オオバンヒザラガイは、日本では、北海道に分布します。かつて、アイヌの人たちは、この種を食用にしました。アイヌ語では、ムイ、メヨ、ケロなどと呼ばれるそうです。現在は、あまり一般的な食べ物ではないようです。
 アイヌの民話に、オオバンヒザラガイが登場します。それによれば、オオバンヒザラガイは、アワビと仲が悪く、そのために、棲む場所を分けるようになったといいます。
 この民話は、オオバンヒザラガイと、アワビとの分布の違いを、説明したものです。実際には、生態の違いによって、棲む場所が分かれています。身近な食べ物だっただけに、オオバンヒザラガイも、アワビも、よく観察されたのでしょう。

図鑑↓↓↓↓↓には、ヒザラガイが掲載されています。
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過去の記事でも、ヒザラガイを取り上げています。また、ヒザラガイのように、アイヌの物語に登場する生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
貝の執念、岩をも削る? ヒザラガイ(2010/05/24)
神話に彩られたヒエ(稗)の起源(2011/09/16)
北国の魔法の植物? イケマ(2010/01/01)
などです。

2012年4月16日

ミミズは、どこまで大きくなる?

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 ミミズは、誰もが知っている生き物ですね。そのわりに、知られていないことが多いです。例えば、ミミズが、どのくらいの大きさになるか、御存知でしょうか?
 大きさは、種によって違います。ミミズには、日本に分布するだけでも、なん十種もの種があります。小さい種ですと、体の長さが1mmほどしかありません。小さい種は、イトミミズ目【もく】に属するものに多いです。ナミハゲヒメミミズなどです。
 大きいほうでは、ハッタミミズという種が知られます。長さ60cmに達します。日本では、この種が最大だとされます。ナガミミズ目【もく】ジュズイミミズ科に属します。
 ただし、これは、伸びた時の長さです。ミミズには、骨がありません。このため、体は伸縮自在です。同じ個体でも、伸びた時と縮んだ時とでは、ずいぶん長さが違います。
 ハッタミミズは、国内の分布が限られています。現在のところ、石川県と滋賀県でしか、確認されていません。なぜ、こんな不自然な分布なのでしょうか?
 それは、ハッタミミズが、外来種だからです。もともと日本にいなかったものが、外国から持ち込まれました。持ち込まれた時期や経緯については、はっきりしません。日本に入ったのは、江戸時代以降ではないかといわれます。
 ハッタミミズの故郷がどこなのかも、突き止められていません。熱帯のどこかだろうと推定されています。熱帯には、このような大型種のミミズが多いからです。
 世界を見れば、オーストラリアに、体長3mに達するミミズがいるそうです。ラテン語の学名を、Megascolides australisという種です。日本語名は、ついていません。
 こんなに大きなミミズなら、大蛇のように太いのでは?と思いますよね。ところが、太さのほうは、さほどではありません。大蛇並みのミミズは、実在しないといわれます。
 その理由は、ミミズには、呼吸器官が発達していないからです。詳しい説明は省きますが、一定以上の太さになると、全身に酸素を行き渡らせることが、できなくなります。
 未確認動物の噂として、「大蛇以上に太く、長いミミズ」が挙がることがあります。ミミズの体を考えれば、このような噂は、噂に過ぎないでしょう。残念ですが(笑)
図鑑↓↓↓↓↓には、シマミミズが掲載されています。
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過去の記事でも、ミミズの仲間(環形【かんけい】動物)を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
泳ぐゴカイがいる?(2011/02/14)
海の毛虫も蝶(チョウ)になる? ウミケムシ(2010/03/15)
ミミズは、土中の働き者(2009/10/09)
オーストラリアのサンゴ礁で、数百の新種を発見(2008/09/25)(2011/05/21)
海中のクリスマスツリー? イバラカンザシゴカイ(2005/12/09)
などです。

2012年3月19日

ヤドカリとイソギンチャクとは、仲良し?

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 生き物の世界には、「共生」という現象があります。別種の生き物同士が、生活を共にすることですね。「共生」は、互いに得をするか、少なくとも、損をしない関係です。
 互いに得をする共生関係のことを、相利共生と呼びます。相利共生の有名な例として、ヤドカリとイソギンチャクとの関係があります。
 ヤドカリは、名のとおり、貝の殻を借りて、暮らしますね。その殻の上に、イソギンチャクが付くことがあります。この関係には、互いに益があります。イソギンチャクは、ヤドカリに運んでもらえます。ヤドカリは、イソギンチャクの毒で、敵から守られます。
 すべての種のヤドカリが、イソギンチャクを付けるわけではありません。イソギンチャクのほうも、ヤドカリと共生するのは、一部の種です。
 有名な例としては、ケスジヤドカリとヤドカリイソギンチャク、ソメンヤドカリとベニヒモイソギンチャクの組み合わせがあります。どの種のヤドカリが、どの種のイソギンチャクを付けるのか、おおむね決まっています。
 ヤドカリと共生するイソギンチャクには、クビカザリイソギンチャク科の種が多いです。ヤドカリのほうは、ヤドカリ科ヤドカリ属の種が多いです。
 イソギンチャクがヤドカリの殻に付くのは、どういう仕組みでしょうか? イソギンチャクが(勝手に?)付くのでしょうか? それとも、ヤドカリが付けるのでしょうか?
 じつは、両方あります。例えば、大西洋に分布する、日本のヤドカリイソギンチャクに近縁なある種は、イソギンチャクのほうが、自力で殻に付くそうです。イソギンチャクは、移動できないように見えますが、速度が遅いだけで、移動もできます。
 ヤドカリのほうが、積極的にイソギンチャクを付ける例もあります。ソメンヤドカリは、自発的に、ベニヒモイソギンチャクを付けることで知られます。「引越し」の時には、新しい殻に、イソギンチャクを移します。
 少なくとも、ソメンヤドカリは、「意識して」、イソギンチャクと共生するわけですね。小さな体のどこに、そんな知恵が宿るのか、とても不思議に思います。
図鑑↓↓↓↓↓には、ヤドカリの仲間のタラバガニが載っています。また、イソギンチャクの仲間も、六種ほどが掲載されています。
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過去の記事でも、ヤドカリの仲間や、イソギンチャクの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
イソギンチャクは、闘う?(2011/06/20)
刺すイソギンチャクがいる?(2010/02/22)
どっちがどっち? スナイソギンチャクと、スナギンチャク(2009/10/05)
カニでないカニがいる?(2006/12/24)
何匹いるかな?(ヤドカリ)(2005/11/15)
などです。

2012年2月27日

アマエビ? いえ、ホッコクアカエビです

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 生き物の中には、普段、使われる名前と、正式な種名とが、違うものがあります。今回は、そのような一種を取り上げましょう。ホッコクアカエビです。エビの一種です。
 ホッコクアカエビという名を、ほとんどの方は、聞いたことがないでしょう。しかし、おそらく、多くの方が、食卓で見た経験があるはずです。この種は、アマエビ(甘エビ)という名で呼ばれることが多いです。
 アマエビならば、寿司や刺身のネタとして、知られますね。身に甘みがあるため、甘エビと呼ばれます。正式な日本語の種名(標準和名)は、ホッコクアカエビです。
 図鑑などで調べる場合は、「ホッコクアカエビ」という標準和名を知らないと、探すのに苦労します。けれども、寿司屋で注文する場合は、「アマエビ」でないと、通じないでしょう。場合ごとに、使い分ける必要があります。
 私たちが食べているホッコクアカエビは、すべて雌(メス)です。この種には、雌しかいないのでしょうか? そんなことはありません。ちゃんと雄(オス)もいます。ただ、食用にされるサイズのホッコクアカエビは、すべて雌です。
 サイズという言葉が出ましたね。ここに、鍵があります。ホッコクアカエビの雌は、必ず、雄より大型です。食べるほどのサイズになるのが、雌ばかりということです。
 なぜ、そうなるのでしょうか? それは、ホッコクアカエビが、雄から雌へと性転換するからです。小さいうちは雄で、大きくなると、雌に変わります。
 このエビは、11年くらい生きると考えられています。その寿命のうち、だいたい、4歳までは雄です。5歳になると、多くの個体が、雌へと性転換します。6歳以降は、雌として生きます。このデータは、日本海に棲むホッコクアカエビの場合です。
 ホッコクアカエビは、タラバエビ科に属します。この科の種には、食用になるものが多いです。トヤマエビ、ボタンエビ、ホッカイエビ、モロトゲアカエビ、ホンホッコクアカエビなどの種です。市場に出回る「アマエビ」には、モロトゲアカエビや、ホンホッコクアカエビが混じることがあるそうです。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ホッコクアカエビは載っていません、かわりに、日本近海に棲むエビが、十種以上が掲載されています。
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過去の記事でも、エビの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
そっくりさんがいっぱい、スジエビ(2010/02/01)
平たい体は何のため? ウチワエビ(2008/12/19)
おせち料理の海老【えび】はクルマエビ?(2007/01/11)
海中のサンタクロースはエビ?(2006/12/10)
脚があるのに歩かない? サクラエビ(2006/03/27)
などです。

2012年2月13日

ヒトデを泣かせる貝がいる?

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 ヒトデは、漁業者に嫌われる生き物です。せっかく養殖した貝を、食い荒らすからです。ヒトデにしてみれば、「もともと、そういう生き物なんだ」と反論したいでしょうね。貝のように、動きの遅い生き物を食べて、ヒトデは生きています。
 貝しか食べないわけではありません。動物なら、ほぼ、何でも食べます。強い肉食性なのですね。ただ、普通、動きの速い生き物は、ヒトデには、つかまりません。
 動きの遅い貝たちにとって、ヒトデは、たいへん恐ろしい敵でしょう。ところが、逆に、ヒトデを食べる貝がいます。有名なのは、巻貝のホラガイの仲間です。
 ホラガイの仲間は、大きくて、見るからに強そうです。でも、もっとずっと小さな貝でも、ヒトデを食べるものがいます。その名も、ヒトデナカセ(ヒトデ泣かせ)です。
 ヒトデナカセも、巻貝の一種です。殻の長さが、せいぜい1cmにしかなりません。アオヒトデや、ゴマフヒトデという種に寄生します。ヒトデの体表にくっついて、文字どおり、生き血を吸います。管状の口を突き刺して、体液を吸うのです。
 他にも、小さな貝で、ヒトデに寄生するものがいます。ヒトデヤドリニナと呼ばれる貝たちです。やはり、巻貝の仲間です。ヤツデヒトデに寄生するヤツデヒトデヤドリニナ、アカヒトデに寄生するアカヒトデヤドリニナなどの種がいます。
 ヒトデナカセは、ヒトデの体表に付くだけですが、アカヒトデヤドリニナなどは、ヒトデの体内にまで食い入ります。寄生されたアカヒトデは、その部分が、こぶ状に膨らみます。こぶの頂点に、アカヒトデヤドリニナの殻が、ちらっと見えています。
 ヒトデナカセや、ヒトデヤドリニナの仲間は、研究が進んでいません。広い海の中で、小さな貝が、いつ、どうやって宿主のヒトデを見つけるのか、謎のままです。
 ヒトデナカセに近縁な種の化石が、なんと、約四億年前の地層から見つかっています。ヒトデと一緒に化石化していることから、その時代にも、ヒトデに寄生していたことがわかりました。四億年も前から、同じ生活をしているわけです。ヒトデにとっては、迷惑な「生きている化石」でしょうね。
図鑑↓↓↓↓↓には、アオヒトデ、アカヒトデ、ヤツデヒトデなどが掲載されています。
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過去の記事でも、ヒトデや、ヒトデに関わる生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヒトデとクモヒトデとは、どう違う?(2010/09/27)
ヒトデ退治は法螺【ほら】じゃない? ホラガイ(2008/07/25)
オニヒトデは、サンゴ礁の悪役?(2008/07/18)
貝と付いても貝じゃない? モミジガイ(2007/04/27)
ヒトデは海のギャングスター?(2006/04/14)
などです。

2012年1月31日

カメラマンは鳥!? バイオロギング展

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 東京の上野にある、国立科学博物館に、行ってまいりました。現在、ここでは、「動物目線の行動学 バイオロギング」という企画展が開かれています。
 バイオロギングとは、聞き慣れない言葉ですね。これは、最近、作られた言葉です。バイオbio=生き物、ロギングlogging=記録すること、という意味です。ヒト以外の生き物が、自分の行動を、自ら記録することです。なぜ、そんなことができるんでしょうか?
 もちろん、これには、人間が関わっています。生き物を研究する手段の一つとして、出てきました。具体的な例を挙げてみましょう。
 マユグロアホウドリという鳥がいます。名のとおり、アホウドリの一種の海鳥です。
 マユグロアホウドリには、謎がありました。それは、彼らの食べ物のことです。
 海鳥の彼らは、当然、海の魚などを食べています。これまでの調査で、彼らの食べ物には、深海魚が含まれることがわかっていました。
 ところが、マユグロアホウドリは、深海魚が獲れるほど、深く潜ることはできません。なのに、なぜ、深海魚を得られるのでしょうか?
 この謎を解くために、バイオロギングが使われました。マユグロアホウドリの背中に、小型のカメラを取り付けたのです。このカメラは、自動的に、写真を撮り続けられるようになっていました。つまり、「鳥目線」で見た世界を、写した写真です。
 数日後、カメラが回収されました。撮られた写真を調べると、中に、複数のマユグロアホウドリが、シャチを追って飛んでいる写真がありました。
 これにより、マユグロアホウドリが食べ物を得るのに、シャチを利用しているらしいことが、わかりました。シャチは、深海まで潜ることができます。そこで、深海魚を捕まえます。獲物を食べるのは、海面近くに浮上してからです。
 シャチが、海面近くで食べ散らかした深海魚を、マユグロアホウドリが取ってゆくのだろうと考えられています。バイオロギングのおかげで、初めてわかったことです。バイオロギング展に行くと、このような興味深い例を、いくつも見ることができます。

図鑑↓↓↓↓↓には、バイオロギング展で紹介されているシャチ、マンボウ、カブトガニなどが掲載されています。
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国立科学博物館のバイオロギング展のページ


過去の記事でも、生き物に関する博物館の展示を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
世界のクジラ模型展(2012/1/18)


2012年1月16日

コトクラゲは、深海生物か?

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 今回は、海の珍しい生き物を紹介しましょう。コトクラゲです。
 クラゲといえば、普通は、海を泳ぐものですよね。ところが、コトクラゲは、泳ぎません。海底の岩などに付いています。形も、普通のクラゲと違い、笠形ではありません。古代ギリシャの竪琴【たてごと】に似た形です。だから、「琴クラゲ」です。
 コトクラゲが珍しい理由は、二つあります。一つは、めったに捕獲できないからです。もう一つは、分類が、多くのクラゲと違うからです。
 めったに捕獲できないのは、数が少ないからでしょうか? そうではないかも知れません。たまたま、ヒトが行きにくい場所にいるだけで、数は、さほど少なくないかも知れません。どのような場所に多くいるのか、まだ、わかっていないのです。
 コトクラゲは、深海生物だと報じられることがあります。それは、間違いではありません。実際に、水深200mを越える海で、見つかっています。
 けれども、深海にしか、いないわけではなさそうです。コトクラゲ、もしくは、コトクラゲに近縁な種が、ダイバーが行ける、浅い海でも見つかっています。
 分類の話をしましょう。コトクラゲは、有櫛動物門【ゆうしつどうぶつもん】というグループに属します。お馴染みのミズクラゲや、カツオノエボシなどのクラゲは、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】に属します。門という、大きなレベルで、分類が違います。
 有櫛動物門の中でも、コトクラゲは、変わった部類に入ります。多くの有櫛動物たちは、刺胞動物のクラゲと同じように、海中を泳ぎます。でも、コトクラゲは、泳ぎません。
 コトクラゲは、有櫛動物門の中の、扁櫛目【へんしつもく】というグループに属します。扁櫛目は、クシヒラムシ目【もく】とも呼ばれます。このグループは、多くの種が、海底の物に付いて暮らします。他の生き物に付くこともあります。
 コトクラゲについては、わかっていないことだらけです。深海にいるものと、浅海にいるものとが、同一種なのかどうかも、不明です。そもそも、見ることが難しいために、研究が進みません。研究が進めば、扁櫛目の中から、新種が見つかりそうです。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、コトクラゲは載っていません。けれども、同じ有櫛動物【ゆうしつどうぶつ】のツノクラゲが掲載されています。
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過去の記事でも、コトクラゲと同じ有櫛動物【ゆうしつどうぶつ】を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海中の透明で長いもの、な~んだ?(2010/04/01)
クラゲは刺胞【しほう】動物? 腔腸【こうちょう】動物?(2007/08/24)
新種のクシクラゲ? 発見(2007/06/13)
クラゲと付いてもクラゲでない? ツノクラゲ(2006/07/29)
などです。

2012年1月 6日

一種ではない? アオリイカ

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 日本人は、海産物が好きですね。魚以外で、よく食べられる海の生き物に、イカの仲間がいます。スルメイカ、コウイカ、ヤリイカなどの種名を、聞いたことがおありでしょう。
 中で、高級なイカとして知られるものに、アオリイカがいます。日本各地の漁港で、水揚げされています。土地ごとに、さまざまな方言名で呼ばれます。ミズイカ、モイカ、シロイカ、アカイカ、バショウイカなどです。
 方言名を使うのは、悪いことではありません。それぞれの土地では、親しみのある名でしょう。けれども、学術的に研究する場合には、方言名は、悩みのタネになります。同じ種なのに、違う名で呼ばれたら、混乱しますよね。
 このために、標準和名というものが決められています。アオリイカの場合は、「アオリイカ」が標準和名です。ラテン語の学名は、Sepioteuthis lessonianaとされます。
 「アオリイカ」は、北海道から沖縄までの、広い範囲の海に、分布するとされています。土地ごとに方言名があるのは、分布が広いためですね。
 ところが、近年、困った事態が起きています。「アオリイカ」と呼ばれるイカの中には、複数の種があるのでは?というのです。明らかに、外見や生態の違うものが、混じっているからです。少なくとも、三種には分けられるだろうといわれています。
 最終的には、きちんと種名が分けられて、おのおの「○○アオリイカ」といった種名が付くでしょう。もちろん、ラテン語の学名も、それぞれ、違ったものが付くはずです。
 しかし、現在のところは、まだ、標準和名も、ラテン語の学名も、分けられていません。もう少し研究が進まないと、ちゃんと命名できないようです。
 でも、違いがあるなら、それを示す名前が必要ですね。研究者のあいだでは、仮の名前が付けられて、三種が区別されていると聞きます。「アオリイカの中の通称:白イカ」、「アオリイカの中の通称:赤イカ」、「アオリイカの中の通称:クァイカ」という具合です。
 この中で、通称:赤イカと、通称:クァイカは、南方系です。沖縄や小笠原に多いです。本州以北にいるのは、通称:白イカだろうといわれています。

図鑑↓↓↓↓↓には、アオリイカが掲載されています。
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過去の記事でも、イカの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
モンゴウイカ(紋甲イカ)というイカは、いない?(2009/12/28)
光るイカは、ホタルイカだけじゃない?(2009/06/22)
海中を泳ぐ槍【やり】? ヤリイカ(2008/02/18)
世界最大のイカは、ダイオウイカではない?(2007/02/23)
コウイカとヤリイカはどう違う?(2006/11/10)
などです。

2011年11月25日

地球を制覇? ワラジムシの仲間たち

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 子どもの頃、ワラジムシやダンゴムシと遊んだことが、ありませんか? 地面の落ち葉などをどけると、下から、ぞろぞろ出てきますね。小さくて、脚がたくさんある虫です。
 ワラジムシとダンゴムシとは、外見がそっくりです。見分け方は、以前、このブログで取り上げました(ワラジムシとダンゴムシとは、どう違う?(2008/11/3))。
 ワラジムシやダンゴムシにそっくりな生き物は、海にも棲んでいます。グソクムシ(具足虫)の仲間です。ワラジムシやダンゴムシと同じく、節足動物門【せっそくどうぶつもん】軟甲綱【なんこうこう】等脚目【とうきゃくもく】に属するグループです。
 大昔、等脚目が地球に現われたばかりの頃は、どの種も、海に棲んでいたと考えられています。グソクムシの仲間は、そのまま、何億年も経っても、海に棲み続けています。
 いっぽう、同じ等脚目から、陸へ進出するものも現われました。現在のワラジムシやダンゴムシは、そのグループです。海から陸へ、生活を大転換したわけです。今では、とてもそうとは信じられないほど、陸で普通に見られますね。
 中には、陸の岩に、穴を開けて棲むものまで現われました。以前、ブログで紹介したとおりです(虫が島を壊す? ナナツバコツブムシ(2007/06/28))。また、フナムシ―海辺の陸に棲みますね―も、同じ等脚目です。そういえば、ワラジムシに似ていますよね。
 海に棲む仲間も、負けていません。グソクムシの仲間には、深海に棲むものがいます。500mから700mくらいの海底に多いと聞きます。時には、4000mを越える深海でも見られます。陸の地中から深海まで、なんと多様な環境にいるのでしょう!
 かけ離れた環境に棲むもの同士でも、共通点があります。例えば、陸のダンゴムシでも、海のグソクムシでも、歩くための脚の数は、七対(十四本)です。これが、等脚目の特徴なのですね。全長1cmほどの種でも、30cmになる種でも、同じ数です。
 他にも、共通する特徴があります。彼らは、大きくなるために、脱皮をします。その時、体の前半分と後ろ半分と、半分ずつ脱皮します。どの種でも、このやり方が同じです。
 七対の脚で、どこにでも進出した彼らは、地球の覇者かも知れませんね。

図鑑↓↓↓↓↓には、等脚目【とうきゃくもく】のオカダンゴムシ、フナムシ、ワラジムシが掲載されています。
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過去の記事でも、等脚目の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ワラジムシとダンゴムシとは、どう違う?(2008/11/03)
オーストラリアのサンゴ礁で、数百の新種を発見(2008/09/25)
新種・珍種がざっくざく、南硫黄島【みなみいおうとう】(2008/06/10)
虫が島を壊す? ナナツバコツブムシ(2007/06/28)
などです。

2011年11月 7日

魚の養殖を支えるワムシ(輪虫)

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 ヒトにとって重要でも、存在が知られない生き物は、多いものです。今回は、そういう生き物を取り上げましょう。ワムシです。
 大部分の方は、ワムシという生き物の名を、聞いたこともないでしょう。水産業に携わる方なら、聞いたことがあるかも知れませんね。
 ワムシは、水中に棲む生物です。淡水中に多いです。海中にも、少数の種がいます。とても小さくて、普通、肉眼では見えません。いわゆるプランクトンの仲間です。淡水の動物性プランクトンとしては、ミジンコと並んで、最も平凡なものの一つです。
 ミジンコは、よく、魚の餌になりますね。ワムシも同じです。淡水魚を養殖する場合には、餌にするために、ワムシも養殖することがあります。
 特に、ワムシは、稚魚の餌として重要です。小さいからですね。体の小さい稚魚は、小さい餌しか食べられません。ワムシがいなかったら、自然界でも、養殖の場合でも、稚魚たちは、深刻な餌不足になるでしょう。淡水魚がいなくなります。
 ワムシは、淡水の生態系を支える存在です。私たちの食卓を、底辺で支えてくれています。そんなワムシは、何の仲間でしょうか? ミジンコと近縁なのでしょうか?
 違います。ミジンコは、節足動物門【せっそくどうぶつもん】というグループに属します。ワムシは、輪形動物門【りんけいどうぶつもん】というグループに属します。門というのは、とても大きな分類単位です。大きく分類が異なる、ということです。
 ワムシとは、輪形動物門に属する種の総称です。ワムシという種名の種は、ありません。主な種として、ツボワムシ、ドロワムシ、スジワムシ、ヒルガタワムシなどがいます。
 ワムシ(輪虫)や、輪形動物という名は、なぜ、付いたのでしょうか? 文字どおり、体の一部が、輪のように見えるからです(種によっては、例外もあります)。
 平均的なワムシの姿は、釣鐘を逆さにしたような形です。その「釣鐘」の口の部分に、細かい毛がたくさん付いています。毛が動くと、口の部分が、くるくると回転する輪のように見えます。顕微鏡で観察すると、なかなか愛らしいと感じますね。

図鑑↓↓↓↓↓には、アツボワムシが掲載されています。
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過去の記事でも、水中のプランクトンを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
産み分け自在? ミジンコの繁殖事情(2010/07/05)
サルパとは、どんな生き物?(2007/05/31)
豊作の妖精ホウネンエビ(2006/05/15)
などです。

2011年10月17日

宿主をあやつる、フクロムシの驚異

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 寄生生物という名の響きは、ちょっと怪しげですよね。実際、寄生生物には、私たちの想像を絶する生活ぶりのものが多いです。
 今回は、そのような寄生生物の仲間を紹介しましょう。フクロムシです。
 磯で、カニやヤドカリの腹部に、袋状のものが付いているのを、見たことがありませんか? それは、フクロムシの一種かも知れません。
 フクロムシの仲間は、海に棲みます。カニ、エビ、ヤドカリなどの節足動物に寄生します。最も目にする可能性が高いのは、おそらく、ウンモンフクロムシという種でしょう。この種は、磯によくいるイソガニ、イワガニ、ヒライソガニに寄生するからです。
 ウンモンフクロムシは、一見、カニの卵のように見えます。カニの腹部から、フクロムシの体の一部がはみ出して見えるため、「卵を抱いている」と勘違いされやすいです。
 カニの卵のように見える部分は、フクロムシの体の一部です。エキステルナと呼ばれます。この部分には、フクロムシ自身の卵が、いっぱい詰まっています。
 フクロムシの本体は、カニの体内にあります。こちらは、インテルナと呼ばれます。インテルナは、植物の根のように、カニの体中に張り巡らされています。この部分が、カニから栄養を奪います。カニにとっては、災難ですね。
 災難は、他にもあります。寄生された宿主は、繁殖ができなくなるのです。
 なぜ、そうなるのでしょうか? 繁殖とは、とてもエネルギーを使う行為だからです。フクロムシにとっては、宿主から取れる栄養が、減ることになります。「そんな行為は許せない」とばかりに、フクロムシは、宿主の繁殖能力を奪います。
 ウンモンフクロムシに寄生されたカニが、雄だった場合は、さらに悲劇的なことになります。雄なのに、雌のようにふるまうカニになります。まるで卵を抱く雌のように、カニは、フクロムシのエキステルナの世話をします。
 宿主のカニは、結局、フクロムシの繁殖の手伝いまでさせられます。外見からは、袋のようにしか見えない生き物が、ここまでするとは、自然の驚異の一つですね。

図鑑↓↓↓↓↓には、ウンモンフクロムシの宿主となるイソガニ、イワガニ、ヒライソガニが掲載されています。
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過去の記事でも、寄生生物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ススキの下で、何を思う? ナンバンギセル(2010/09/10)
恐るべき?社会寄生、トゲアリ(2010/07/12)
年に二回、花が咲く? エゴノキ(2010/05/28)
ハリガネムシ(針金虫)は、ヒトに寄生する?(2008/08/27)
キチョウの雄(オス)が雌(メス)になる?(2007/09/03)
などです。

2011年9月19日

命名の傑作、ツキヒガイ(月日貝)

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 生き物の種名は、種の特徴を、はっきり表わした名がいいですね。加えて、覚えやすければ、なお、いいです。けれども、そんな名を思いつくのは、難しいです。
 私が知る範囲で、良い種名だと感じるものを、挙げてみましょう。ツキヒガイです。二枚貝の一種です。ホタテガイや、イタヤガイと近縁です。イタヤガイ科に属します。
 二枚貝の殻の模様は、普通、二枚とも同じですね。ところが、ツキヒガイは、片方が赤一色、もう片方が白一色と、くっきり分かれています。この殻の様子を、日(太陽)と月にたとえて、ツキヒガイという種名になりました。命名者は、センスのある人ですね。
 二枚貝の殻は、体の左右に沿って付いています。つまり、片方が右の殻で、もう片方が左の殻です。ツキヒガイの場合、白いほうが右の殻で、赤いほうが左の殻、と決まっています。普段は、赤いほう(左殻)を上にして、海底に横たわっています。
 先述のとおり、ツキヒガイは、ホタテガイと近縁です。ということは、ホタテガイと同じように、殻をぱくぱくして、泳げるのでしょうか? そのとおりです。
 ツキヒガイも、泳ぎます。けっこう速いです。この特技のおかげで、ツキヒガイは、海底に無防備に転がっていられます。危険が迫ったら、泳いで逃げればいいわけです。
 ツキヒガイには、似た種名の違う種が、いくつかあります。クラゲツキヒガイ、ワタゾコツキヒガイなどです。これら二種は、ツキヒガイとは、あまり近縁ではありません。どちらの種も、二枚貝の仲間です。ワタゾコツキヒガイ科に属します。
 ツキヒガイ(月日貝)から「日」を取ったツキガイ(月貝)という種もいます。ツキガイも、二枚貝ですが、ツキヒガイとは遠縁です。ツキガイ科に属します。この種は、二枚の殻が白くて円いです。それを月にたとえたのでしょう。
 では、ヒガイという種はいるのでしょうか? います。しかし、漢字で書くと、「日貝」ではありません。「杼貝」です。杼【ひ】とは、機織りに使う道具の一種です。
 ヒガイ(杼貝)は、ツキヒガイとは、ずいぶん遠縁です。二枚貝ではなく、巻貝です。巻いた殻の形が、杼に似るために、杼貝と名づけられました。

図鑑↓↓↓↓↓には、ツキヒガイが掲載されています。
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過去の記事でも、二枚貝の仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海の中にも、ウグイスがいる?(2011/05/02)
ムール貝やパーナ貝とは、どんな貝?(2008/12/12)
新種のシャコガイ発見(2008/09/04)
安物から高級食材へ、アカガイ(赤貝)(2008/05/02)
四百年、生きた貝がいる?(2007/11/01)
などです。

2011年8月15日

鬼も美女もいる? オニグモの仲間たち

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 生き物には、「オニ○○」という種名のものが、よくいますね。大型の種に、よく付けられます。今回は、その一種を取り上げましょう。オニグモです。クモの一種です。
 オニグモは、確かに、日本産のクモの中では、大きいほうです。けれども、最大種ではありません。日本最大のクモといわれるのは、オオジョロウグモという種です。
 オニグモは、日本全国で、普通に見られるクモです。家の軒下などにも多いです。いかにもクモらしい、大きな円形の網を張ります。網を張るのは、夜だけです。夜行性なのですね。毎日、夕方に張った網を、朝には片づけてしまいます。
 人家の近くで、夜、円形の網を張っている、灰色っぽい大きなクモがいたら、それは、オニグモの可能性が高いです。必ずそうであるとは限りません。
 ややこしいのは、「オニグモ」と呼ばれるクモが、正式な種名オニグモでない場合があることです。方言で、他種のクモを「オニグモ」と呼ぶことがあります。逆に、正式な種名オニグモを、方言で、別の名で呼ぶこともあります。ますます、ややこしいですね。
 正式な種名オニグモは、コガネグモ科オニグモ属に属します。このグループに属する種は、ほとんどみな、「○○オニグモ」という種名が付きます。
 中に、アカオニグモという種と、アオオニグモという種がいます。赤鬼と青鬼とが、揃っているところが、面白いですね。これら二種の種名は、体色から付いています。アカオニグモは、腹部が赤く、アオオニグモは、腹部が薄青いです。
 ただし、アカオニグモの雄(オス)は、腹部が赤くありません。黄色っぽいです。大きさも、雌(メス)よりずっと小さく、別種のように見えます。
 じつは、クモの仲間は、みなそうです。雌のほうが、雄よりずっと大きく、種の特徴がわかりやすいです。例えば、アオオニグモの場合も、雄は、雌よりずっと小さいです。腹部も目立たず、青いクモというよりは、緑色のクモに見えます。
 オニグモ属には、ビジョオニグモという種もいます。「鬼」に「美女」とは、思いきった種名ですね。クモ好きの方に言わせると、この種の雌は、「美女」揃いなのだそうです。


図鑑↓↓↓↓↓には、正式な種名オニグモが掲載されています。
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過去の記事でも、クモの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
クモの中の目利き? ハエトリグモ(2010/10/29)
人面グモ? いえ、ハナグモです(2009/04/10)
女武者の闘い? コガネグモのクモ合戦(2007/06/04)
ジョロウグモの理【ことわり】(2006/10/19)
人家の頼もしい用心棒、アシダカグモ(2006/08/25)
などです。

2011年8月 1日

海中の植物園? サンゴの仲間たち

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 海の生き物には、「ウミ○○」といった種名が付くものが、多いですね。「○○」には、陸の生き物の名が入ります。私たちが、陸の生き物のほうを、見慣れているためでしょう。中には、動物なのに、植物の名が付くものもあります。例えば、サンゴの仲間です。
 サンゴの仲間は、脚がありません。まるで陸上の植物のように、移動しないで暮らします。そのうえ、ひらひらした触手が、葉や花びらを連想させます。
 けれども、サンゴは、植物ではありません。動物です。刺胞動物門【しほうどうぶつもん】花虫綱【はなむしこう、または、かちゅうこう】というグループに属します。
 今回は、植物の名が付いたサンゴの仲間を、紹介しましょう。
 ハナヤサイサンゴというサンゴの一種があります。ハナヤサイとは、カリフラワーの日本語名です。群体の様子が、カリフラワーに似るために、こんな名になりました。
 ハナヤサイサンゴは、花虫綱の中の、イシサンゴ目【もく】ハナヤサイサンゴ科に属します。同じ科には、ショウガサンゴ(生姜サンゴ)という種名のものもいます。
 イシサンゴ目といえば、熱帯の海のサンゴ礁を形成する、主なグループです。このグループでは、ミドリイシ科が有名ですね。スギノキミドリイシ、サボテンミドリイシなどの種があります。やはり、群体の様子から、種名が付いています。
 他に、イシサンゴ目には、ウミバラ科というグループもあります。スジウミバラ、レースウミバラなどの種があります。どんな美しいサンゴだろうと思いますよね。でも、私が見た限りでは、「海の薔薇」という名は、ちょっと大げさだと思います(笑)
 ウミバラ科には、キッカサンゴという種もあります。菊花サンゴという意味の種名です。こちらも、菊の花に見えるかと言われれば、難しいかも知れません。
 イシサンゴ目のビワガライシ科には、アザミサンゴという種があります。ふさふさと触手を伸ばす様子が、アザミの花に見えたようです。
 前記の種は、どれも、熱帯のサンゴ礁で見られるものです。種名は、やや牽強付会でも、健康なサンゴは美しいです。熱帯の海へ行ったら、ぜひ観察してみて下さい。

図鑑↓↓↓↓↓には、ハナヤサイサンゴ、ミドリイシの一種などのサンゴが掲載されています。
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過去の記事でも、サンゴの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海の生き物と遊ぼう、よしもとおもしろ水族館(2011/04/09)
世界最長寿のサンゴが発見される?(2009/04/04)
白保【しらほ】のサンゴは普通と違う? アオサンゴ(2008/11/17)
宝石の珊瑚【さんご】はサンゴ礁のサンゴか?(2007/03/05)
サンゴ礁と台風の関係(2005/09/02)
などです。

2011年7月25日

眼も脚もない? カイガラムシの不思議

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 皆さんは、「昆虫の特徴は?」と訊かれて、答えることができますか?
 脚が六本ある。そうですね、正しいです。体が、頭と胸と腹との三つに分かれている。これも正しいです。複眼【ふくがん】という眼を持つ。これも、昆虫の特徴です。
 ところが、例外があります。前記の特徴がない昆虫も、いるのです。
 その例外の一つが、カイガラムシの仲間です。カメムシ目【もく】カイガラムシ上科【じょうか】に属する昆虫たちです。カイガラムシという名でも、貝の仲間ではありません。
 農業や園芸をやる方なら、カイガラムシは、御存知でしょう。この仲間は、農作物や園芸植物の害虫として知られます。彼らは、みな、植物食です。口を植物に突き刺して、栄養のある液を吸います。吸われ過ぎれば、植物が弱ってしまいます。
 カイガラムシは、植物の上で一生を過ごします。食べ物の上で、一生、暮らすわけです。これなら、食べ物を探して、動き回る必要はありませんね。このために、多くのカイガラムシの種は、脚をなくしてしまいました。
 ずっと動かずにいるなら、眼も必要ありません。脚をなくしたカイガラムシの多くは、複眼もなくしました。さらには、頭・胸・腹という、体の区分まで、なくした種が多いです。そのような動きやすい体は、必要ない、ということでしょう。
 でも、敵に襲われたら、どうするのでしょうか? 脚がないのでは、逃げようがありませんよね。彼らの多くは、逃げるより、隠れることを選んでいます。
 カイガラムシの多くの種は、体の上に、綿【わた】状のものや、蝋【ろう】状のものを背負っています。おかげで、彼らは、まるで昆虫には見えません。植物に付いたごみくずのように見えます。「昆虫」を食べるつもりの動物には、見つかりにくそうです。
 先に、カイガラムシは、害虫として有名だと書きましたね。このような昆虫は、研究が進んでいるのが普通です。けれども、カイガラムシは、この点でも例外です。分類さえ、定まっていません。カイガラムシ上科の中で、どの種が、どの科に入るのか、研究者によって意見が違います。身近な昆虫でも、謎が多いことの例ですね。

図鑑↓↓↓↓↓には、カイガラムシの一種、ツノロウムシが掲載されています。
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過去の記事で、カイガラムシと同じように、植物の害虫といわれる昆虫を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
冬越しは木の中で、カミキリムシたち(2011/02/07)
実盛虫【さねもりむし】の正体は、ウンカ?(2008/08/06)
謎の円盤UFO? いえ、カメノコハムシです(2008/03/10)
横に歩くのは何のため? ヨコバイ(2008/02/25)
イネクロカメムシは福田【ふくだ】の虫?(2007/10/08)
などです。

2011年7月11日

謎の生物、ブンブクチャガマ

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 ブンブクチャガマという生き物の名を、聞いたことがおありでしょうか? 漢字では、分福茶釜、または、文福茶釜と書かれます。冗談みたいな名ですね。でも、これが、正式な日本語名(標準和名)です。
 こんな面白い名が付いたのは、どんな生物でしょうか? ウニの一種です。専門的に言えば、棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】ウニ綱【こう】に属します。
 彼らは、他のウニと同じく、海に棲みます。全身、棘だらけです。けれども、恐ろしい生き物ではありません。普段は、海底の砂や泥にもぐって生活しています。
 普通のウニは、球形の体に、棘がありますね。ところが、ブンブクチャガマの体は、球形ではありません。なんと、ハート形です。なぜ、こんな形なのでしょうか?
 それは、彼らの生態と関係がある、と考えられています。球形より、ハート形のほうが、砂や泥の中を進むのに、都合の良い形のようです。
 ブンブクチャガマには、近縁な種が何種もいます。ネズミブンブク、セイタカブンブク、オカメブンブク、ヒラタブンブクなどの種です。どれも、ウニ綱ブンブク目【もく】に属する種です。ブンブク目の種は、おおむね、姿も生態も似ています。
 中には、深海に棲むブンブク目の種もいます。ウルトラブンブクという種です。怪獣の名前みたいですが、これが標準和名です。
 「ウルトラ」ブンブクの名が付いたのは、ブンブク目の中で、とても大きい種だからです。とはいえ、10cmから15cmくらいです。普通のブンブクチャガマは、5cmくらいです。もともと、この仲間は、そんなに大きくないのですね。
 ウルトラブンブクは、大きさ以外にも、変わった点があります。ブンブク目なのに、普段、海底にもぐっていないらしいのです。なぜそうなのかは、わかっていません。
 ブンブク目のウニは、研究があまり進んでいません。砂や泥にもぐっていて、観察しにくいためでしょう。それにしては、面白い名を付けたものだと思います。ウニの研究者には、独創的な方が多いのでしょうか?(笑)

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ブンブクチャガマは載っていません。かわりに、日本近海のウニの仲間が、十種ほど掲載されています。
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過去の記事でも、ウニの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
タコノマクラの花びら模様は、いったい何?(2008/01/25)
突然の人気者? スカシカシパン(2008/01/10)
海中のオブジェ? パイプウニ(2007/11/16)
棘だけでは足りない? ウニの防御作戦(2007/08/11)
などです。

2011年6月20日

イソギンチャクは、闘う?

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 イソギンチャクは、日本の海で、普通に見られる生き物ですね。日本の磯に多いのは、ウメボシイソギンチャクや、ミドリイソギンチャクといった種です。
 水中でひらひらしているイソギンチャクは、平和的な生き物に見えます。ところが、そうとは限りません。隣同士のイソギンチャクで、「闘う」ことがあります。
 ウメボシイソギンチャクを、例に取ってみましょう。この種は、よく、いくつかの個体が集まって、岩などに付いています。その場合、あまり、隣同士で喧嘩しているようには見えません。実際、平和に共存していることも多いです。
 では、「闘う」のは、どんな場合でしょうか? どうやって「闘う」のでしょう?
 イソギンチャクが闘うか否かは、彼らの繁殖と関わっています。同じ遺伝子を持つイソギンチャク同士は、闘いません。それは、「自分と同じもの」だからです。
 ウメボシイソギンチャクなどの種は、クローン繁殖を行なうことができます。クローンとは、「ある個体と、まったく同じ遺伝子を持つ個体」です。いわば、コピーですね。こういったクローン同士では、闘うことはありません。
 闘いになるのは、遺伝子が違う個体同士が、隣になった場合です。互いに、相手を「自分とは違うもの」とみなすからですね。
 遺伝子が違うイソギンチャク同士が、隣り合うと、「闘う」ための、特別な器官を発達させます。どんな器官かは、種によって違います。
 ウメボシイソギンチャクの場合は、周辺球【しゅうへんきゅう】と呼ばれる器官です。触手の周辺に付く、球状の器官です。ナゲナワイソギンチャクなどの場合は、キャッチ触手という、特別な触手が発達します。普通の触手より、太くて長い触手です。
 これらの器官には、相手を突き刺す刺胞【しほう】細胞が、びっしりと付いています。これで、互いに攻撃し合います。たいていは、どちらかがその場から退却して(イソギンチャクは、場所を移動することができます)、闘いが終わります。
 平和そうに見えても、イソギンチャクの世界も、大変だとわかりますね。

図鑑↓↓↓↓↓には、ウメボシイソギンチャク、ミドリイソギンチャクが掲載されています。
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過去の記事でも、イソギンチャクの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
刺すイソギンチャクがいる?(2010/02/22)
どっちがどっち? スナイソギンチャクと、スナギンチャク(2009/10/05)
管の中の花? ハナギンチャク(2009/04/27)
イソギンチャクは逆さのクラゲ?(2008/04/21)
などです。

2011年5月30日

アンモナイトが生きている?

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 アンモナイトといえば、有名な絶滅動物ですね。恐竜が栄えたのと同じ時代に、繁栄しました。タコやイカの親類に当たる生き物です。海に、たくさん棲んでいました。
 誰でも、一度くらい、アンモナイトの復元図を見ているのではないでしょうか? ぐるぐると、ヒツジの角のように巻いた殻を背負い、多くの触手を生やしています。
 恐竜が滅びたのと同じ時期―白亜紀の終わり、約六千五百万年前―に、アンモナイトも、絶滅したといわれます。ところが、一説によれば、アンモナイトの生き残りが、現代にもいるといいます。その生き残りとは、トグロコウイカだとされます。
 トグロコウイカは、深海に棲みます。そのため、普通は、人目に触れることはありません。食用に漁獲されることもありません。ほとんど知られない生き物です。
 トグロコウイカの外見は、普通のイカにそっくりです。復元図のアンモナイトとは、まるで似ていません。なのに、なぜ、「アンモナイトの生き残り」説が出るのでしょう?
 その秘密は、トグロコウイカの胴体部分にあります。胴体には、少し、膨らんだところがあります。その膨らみの中に、ぐるぐると巻いた殻が入っています。この殻の外見も、構造も、アンモナイトの殻に似ています。
 さらに、トグロコウイカには、興味深い特徴があります。頭部(眼のある部分)と触手とを、胴体の中に引っ込めることができるのです。この特徴は、アンモナイトと共通するといわれます。アンモナイトは、殻の中の胴に、頭部と触手を引っ込めました。
 アンモナイトの栄えた期間は、長いです。中には、多様な種が、含まれます。後期の種の中には、外見が、現在のイカに似るものがあったかも知れないといわれます。殻がむきだしではなくて、イカのような肉質で覆われていた、という訳です。
 ぐるぐる巻いた殻が、肉質に覆われていたら......その姿は、まさに、トグロコウイカそのものでしょう。「アンモナイトの生き残り」といわれる理由が、わかりますね。
 トグロコウイカが、アンモナイトの生き残りなのかどうかは、確定していません。もし、そうだとしたら、やはり、深海には、古代のロマンがあると言えますね。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、トグロコウイカは載っていません。トグロコウイカに似たコウイカ、シシイカ、スジコウイカ、ヒメコウイカなどが掲載されています。
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過去の記事でも、深海に棲む古代的な生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
日本初の大発見、セイスイガイ(勢水貝)(2010/06/21)
貝類は、昔、ミミズだった? カセミミズ(2009/09/25)
ウミユリ(海百合)は、海底に咲く花?(2008/08/25)
シーラカンスの新種?発見(2007/11/15)
ラブカはなぜ「生きている化石」か?(2007/01/27)
などです。

2011年5月 2日

海の中にも、ウグイスがいる?

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 春深い季節ですね。ウグイスの声にも、深みが増してきたようです。
 ところで、海の中にもウグイスがいると、御存知でしょうか? そればかりか、ツバメも、ホトトギスも、ヒバリも、クジャクもいます。
 じつは、これらは、貝の名前です。ウグイスガイや、ホトトギスガイという種名の貝がいるのですね。ツバメガイ、ヒバリガイ、クジャクガイもいます。これらは、みな、正式な日本語の種名(標準和名)です。ここに挙げた種は、どれも、二枚貝です。
 ウグイスガイは、二枚貝綱【にまいがいこう】ウグイスガイ目【もく】ウグイスガイ科ウグイスガイ属に属します。ツバメガイも、属名まで、同じ分類です。
 同じウグイスガイ科ウグイスガイ属には、マベガイも属します。属は違いますが、アコヤガイも、ウグイスガイ科に属します。アコヤガイは、アコヤガイ属です。
 マベガイや、アコヤガイは、「真珠ができる貝」として、知られますね。真珠貝といえば、普通は、アコヤガイを指します。他にも、ウグイスガイ科には、真珠の養殖に使われる種があります。鳥でも貝でも、「ウグイス」は、人間に好まれるようですね(笑)
 ホトトギスガイは、ウグイスガイとは遠縁です。二枚貝綱イガイ目【もく】イガイ科ホトトギスガイ属に属します。同じイガイ科に、ヒバリガイとクジャクガイも属します。ただし、属は違います。ヒバリガイはヒバリガイ属、クジャクガイはクジャクガイ属です。
 イガイ科という名で、ぴんと来た方がいるかも知れませんね。イガイ科には、ムラサキイガイが属します。通称、ムール貝といえば、おわかりでしょう。食用になる貝ですね。
 イガイ科には、他にも、食用になる種があります。イガイ、ミドリイガイ、モエギイガイなどです。これらの「○○イガイ」は、イガイ科イガイ属に属します。
 なぜ、海に棲む貝に、水鳥でもない鳥の名が付けられたのでしょうか?
 ウグイスガイ科の場合は、「貝殻の形が、鳥に似る」ためです。ホトトギスガイは、「殻の模様が、ホトトギスの羽毛の模様に似る」ためです。クジャクガイは、「殻の内側の光沢が、クジャクの羽毛に似る」ためです。ヒバリガイについては、わかりませんでした。

図鑑↓↓↓↓↓には、ウグイスガイ科のアコヤガイ、マベ(ガイ)が載っています。イガイ科のイガイも掲載されています。
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過去の記事でも、ウグイスガイ科に属する貝や、イガイ科に属する貝を取り上げています。また、鳥のウグイス、ツバメ、ホトトギスなども取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ムール貝やパーナ貝とは、どんな貝?(2008/12/12)※イガイ科の貝を取り上げています。
ホトトギスは鳥? それとも植物?(2007/10/05)※植物にも、「ホトトギス」があります。
真珠貝【しんじゅがい】の秘密(2006/06/16)※ウグイスガイ科の貝を取り上げています。
渡るツバメ、越冬するツバメ(2005/10/17)
などです。

2011年4月23日

深海の宝物、宝石サンゴ展

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 上野の国立科学博物館に行ってまいりました。『宝石サンゴ展』を見るためです。
 宝石サンゴとは、何でしょうか? 文字どおり、宝石になるサンゴを指します。じつは、熱帯の海で普通に見られるサンゴは、宝石になりません。このことは、以前、このブログで取り上げましたね(宝石の珊瑚【さんご】はサンゴ礁のサンゴか?(2007/3/5))。
 宝石になるサンゴは、種が限られています。ほとんどが、深海に棲む種です。このために、宝石サンゴの生きた姿を見るのは、難しいです。展覧会では、その貴重な映像を見ることができます。深海探査艇【しんかいたんさてい】が撮ったものです。
 宝石サンゴの中で、ほぼ唯一、浅い海に棲む種があります。ベニサンゴという種です。この種は、地中海の浅い海に分布します。このため、古くから人間に利用されてきました。十八世紀以前の宝飾品に使われたサンゴは、ほぼすべて、この種です。
 ベニサンゴが使われたアンティークジュエリーが、この展覧会に展示されています。
 十九世紀になると、日本の近海で、宝石サンゴが発見されました。その時から、現在に至るまで、日本は、宝石サンゴの大産地です。展覧会では、深海にある宝石サンゴを、どのようにして採ってきたのか、その歴史が紹介されています。
 会場は、全体的に照明が落とされていて、深海のイメージです。その中で見る実物のサンゴの標本や、映像は、神秘的です。深海生物が好きな方に、お勧めです。
 多くの宝石サンゴは、白か、ピンクか、赤色です。けれども、黒色や金色の宝石サンゴもあります。これらの宝石サンゴは、白~ピンク~赤系の宝石サンゴとは、分類が違います。遠縁なのに、不思議と同じく宝石になり、同じように深海に棲みます。
 展覧会では、これらの珍しい黒サンゴや金サンゴも、標本を展示しています。
 また、会場では、素晴らしい珊瑚の宝飾品が、たくさん見られます。名工が作った超絶的な技巧の作品や、ジュエリーデザインを学ぶ学生さんたちが作った、清新な作品です。宝飾品が好きな方も、観に行って損はありません。
 宝石サンゴは、深海で、何百年もかけて育ちます。竜宮城の宝物のようですね(笑)


図鑑↓↓↓↓↓には、アオサンゴ、イボヤギ、ハナヤサイサンゴ、ミドリイシなどのサンゴの仲間がたくさん載っています。
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宝石サンゴ展は、以下に公式のページがあります。
宝石サンゴ展(国立科学博物館の公式サイト内)
過去の記事でも、サンゴの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
世界最長寿のサンゴが発見される(2009/04/04)※黒サンゴと金サンゴが取り上げられています。
白保のサンゴは普通と違う? アオサンゴ(2008/11/17)
国際サンゴ礁年とは、どんなもの?(2007/12/24)
などです。

2011年4月 9日

海の生き物と遊ぼう、よしもとおもしろ水族館

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 水族館へ行ってまいりました。横浜中華街にある、よしもとおもしろ水族館です。
 ここは、あのお笑いのよしもとが経営しています。ですから、普通の水族館とは、一味、違います。「魚博士」のタレント、さかなクンが、解説板に登場しています。
 面積は、そんなに広くありません。そのかわり、水槽ごとに、工夫が凝らされています。中華街の散策ついでに、ぶらりと寄るのに、いいですね。
 多くの水槽には、クイズが付いています。クイズには、正解を答えたいですよね? それには、水槽の生き物たちを、よく観察しなければいけません。そうしているうちに、生き物の知識が付いてしまいます。楽しいお勉強です。
 サンゴ礁に棲む、きれいな魚が、たくさんいます。映画で有名になったカクレクマノミや、ナンヨウハギなどです。サンゴの仲間も、何種もいます。
 ヒトにとって御馳走になる、イセエビや、アワビや、サザエもいます。ヒラメとカレイとが、一緒に入っている水槽もあります。どちらがどうなのか、比べることができますね。
 変わった姿の魚もいます。例えば、オニダルマオコゼは、海底の岩にそっくりです。水槽の中には、置き物の「にせオニダルマオコゼ」もあります。どれが生きている魚で、どれが置き物か、見分けられるでしょうか?(笑)
 クラゲたちの水槽もあります。ふわふわと漂うように泳ぐクラゲには、癒されますね。
 個人的には、カブトクラゲの水槽と、ケヤリムシの水槽が気に入りました。
 カブトクラゲは、クラゲと付いても、普通のクラゲとは、遠縁のグループです。泳ぐ時、体の一部が、虹のように光ります。この種を飼う水族館は、珍しいです。
 ケヤリムシは、釣り餌にするゴカイの仲間です。頭部に、ふさふさした鰓冠【さいかん】というものが付いています。それが、水中で、花のように開きます。とても美しいです。
 現在、ここの水族館では、「NO UMA【ノーユーマ】展」という企画もやっています。UMAとは、未確認動物のことです。例えば、人魚や、ドラゴンも、UMAといえます。そんな不思議な生き物が、水族館に!? どんなものかは、観に行ってみて下さい(笑)


図鑑↓↓↓↓↓には、日本の近海に分布する魚類や、無脊椎動物がたくさん載っています。
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よしもとおもしろ水族館の公式サイトは、以下にあります。
よしもとおもしろ水族館

2011年3月21日

ウミウシ? いえ、ヒラムシです

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 近年、海の生き物では、ウミウシが人気だと聞きます。カラフルで、面白い形のものが多いからでしょう。しかも、動きが遅いので、ゆっくり観察できます。
 ところが、海には、ウミウシと似て異なる生き物もいます。ヒラムシの仲間です。
 ヒラムシとは、名のとおり、とても平たい生き物です。厚みがなく、細長い楕円形をしています。長いところで、2~4cmくらいの大きさです。多くの種は、海底を這って生活します。一部に、泳いだり、他の生き物に寄生したりするものがいます。
 ヒラムシの体には、硬い部分がありません。全体が軟らかく、海底を這うところが、ウミウシと似ます。けれども、ウミウシとは、とても遠縁です。
 ヒラムシは、扁形動物門【へんけいどうぶつもん】渦虫綱【うずむしこう】に属します。ウミウシは、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】腹足綱【ふくそくこう】に属します。「門」という大きいレベルで、分類が違います。
 扁形動物【へんけいどうぶつ】などといわれても、普通の人には、何の仲間なのか、ぴんと来ないでしょう。プラナリアの仲間と言えば、おわかりでしょうか。
 あの、生物実験に使われるプラナリアは、正確には、ナミウズムシという種です。ナミウズムシも、平たいですね。これは、扁形動物の特徴です。
 ナミウズムシは、淡水に棲みますが、ヒラムシの仲間は、海水に棲みます。カラフルな種が多いのは、ヒラムシの特徴です。この点が、ウミウシと紛らわしいのですね。
 じつは、「カラフルなヒラムシは、ウミウシに擬態【ぎたい】しているのでは?」といわれます。わざとウミウシに似ているわけです。なぜでしょうか?
 それは、おそらく、有毒なウミウシが多いからです。ウミウシがカラフルなのは、「私を食べると、毒にあたるよ」と、周囲の生き物に警告しているのですね。ヒラムシは、それをまねて、自分が食べられないようにしているようです。
 もしかしたら、ヒラムシにも、毒があるのかも知れません。彼らについては、わかっていないことが多いです。これからの研究が、楽しみな生き物です。
図鑑↓↓↓↓↓には、ヒラムシは載っていませんが、ウミウシの仲間が掲載されています。
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過去の記事でも、扁形動物【へんけいどうぶつ】を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
プラナリアは、美術モデル?(2010/01/18)
梅雨時のエイリアン? コウガイビル(2008/05/30)

2011年3月 7日

泳ぐナマコがいる?

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 日本人にとって、ナマコは、お馴染みの生き物ですね。食用にされるからです。日本で食用にされるのは、ほとんどが、マナマコという種です。
 魚屋で見るナマコ(マナマコ)は、水底でごろんとしていますね。軽快な生き物には見えません。ところが、ナマコの仲間には、泳げる種も存在します。
 それは、深海に棲むナマコたちです。分類学的にいえば、棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】ナマコ綱【こう】板足目【ばんそくもく】に属する種が多いです。
 泳ぐナマコとして有名なのは、ユメナマコです。深海探査艇が撮影した映像のおかげで、有名になりました。半透明の紅色をした、美しい種です。板足目のクラゲナマコ科に属します。体に、ひれが付いていて、踊るように泳ぎます。
 オケサナマコという種もいます。泳ぐ姿が、「おけさ」を踊るように見えることから、名づけられました。板足目のクマナマコ科に属します。体は、やはり半透明の紅色です。ひれが付いていることも、ユメナマコと同じです。
 深海のナマコが、すべて泳ぐわけではありません。泳がない種もいます。センジュナマコ、エボシナマコなどです。けれども、深海に、泳ぐナマコが多いことは、確かです。
 例えば、ユメナマコの場合、食べ物は、海底の砂や泥です。より正確には、砂や泥に含まれる有機物を食べます。ですから、食べ物は、海底にあるわけです。泳ぐ必要はありません。ならば、なぜ、泳ぐのでしょうか? いくつかの説があります。
 そのうちの一つの説が、「海底の土砂崩れから、逃れるためでは」というものです。
 ユメナマコが多く棲む海に、駿河湾【するがわん】や相模湾【さがみわん】があります。どちらの湾も、海底に急斜面が多いです。このため、時おり、土砂崩れが起きます。海底を這うだけでは、土砂崩れから逃れられません。泳げれば、圧倒的に有利ですね。
 海底の土砂崩れには、良い面もあります。食べ物の少ない深海に、浅い海から、食べ物を運んでくれます。だから、土砂崩れが多い海に、ユメナマコが多いのですね。厳しい環境の深海に、適応した結果でしょう。

図鑑↓↓↓↓↓には、トラフナマコ、バイカナマコ、マナマコが掲載されています。
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過去の記事でも、ナマコの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
トラフナマコは、虎縞【とらじま】のナマコ?(2009/11/27)
食用ナマコはどんなナマコか?(2007/01/22)
サンゴ礁の海を守るナマコ(2006/07/22)
などです。

2011年2月14日

泳ぐゴカイがいる?

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 深海には、思いもかけない生き物が、たくさんいます。浅い海に棲むものの仲間でも、姿や生態が違うものが、多いですね。例として、ゴカイの仲間を挙げてみましょう
 ゴカイを御存知でしょうか? 海釣りをする方なら、よく御存知でしょう。釣り餌として、一般的に使われますね。細長い体をして、脚がたくさんあります。
 ゴカイとは、多くの場合、環形動物門【かんけいどうぶつもん】多毛綱【たもうこう】に属する生き物の総称です。この仲間は、たいへん種の数が多いです。現在わかっているだけでも、八千種以上いるといわれます。
 釣り餌にされるのは、浅い海に棲むゴカイです。それらのゴカイは、通常、海底の砂や泥の中に棲みます。岩の間や、ヤドカリの殻の中(!)などにいる場合もあります。いずれにしろ、どこかに隠れて棲むのが普通です。
 ところが、深海に棲むゴカイには、海中をゆうゆうと泳ぐものが、珍しくありません。
 二〇一〇年に、新種として、話題になったゴカイがいました。インドネシアとフィリピンの間の深海に分布します。このゴカイは、とても長い脚を持ちます。その脚を、櫂【かい】のように使って、泳ぎます。頭には、長い触手があります。
 このゴカイには、Teuthidodrilus samae【テウティドドリルス・サマエ】というラテン語の学名が付けられました。日本語名は、付いていません。
 この種以外にも、深海では、泳ぐゴカイが見つかっています。それらの中には、まだ、種名が付いていないものも多いです。日本の深海探査艇「しんかい6500」が撮影した中にも、泳ぐゴカイが写っています。
 なぜ、深海には、泳ぐゴカイが多いのでしょうか? 私の考えですが、おそらく、深海には魚が少ないことと関係があります。泳いでいても、魚に見つかる可能性が低いのですね。襲って食べられることがなければ、泳いでも平気、ということでしょう。
 浅い海のゴカイは、特別な防御策を持つ種でない限り、大っぴらに泳いだり、歩いたりできません。そんなことをすれば、たちまち、魚に食べられてしまうでしょう。

図鑑↓↓↓↓↓には、ゴカイの仲間のウミケムシ、イバラカンザシゴカイが掲載されています。
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二〇一〇年に発見された、新種のゴカイTeuthidodrilus samae【テウティドドリルス・サマエ】のニュースは、以下にあります。
イカのような虫のような?セレベス海で新種環形動物を発見(AFPBBニュース、2010/11/25)
'Squid worm' sucked up by sub is new to science(guardian.co.uk,2010/11/24)
過去の記事でも、ゴカイの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海の毛虫も蝶(チョウ)になる? ウミケムシ(2010/03/15)
オーストラリアのサンゴ礁で、数百の新種を発見(2008/09/25)
海中のクリスマスツリー? イバラカンザシゴカイ(2005/12/09)

2011年1月14日

ウミウシは、海のナメクジか?

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 海に棲む生き物の中に、ウミウシと呼ばれるものがいますね。殻のない巻貝の仲間です。
 殻のない貝といえば、ナメクジを思い出しますね。実際、ウミウシは、英語でsea slug(海のナメクジ)と呼ばれます。ウミウシは、海に棲むナメクジの仲間なのでしょうか?
 この答えは、「そうだ」とも、「そうでない」とも言えます。なぜなら、ウミウシには、分類上、多様なグループが含まれることがわかってきたからです。
 少し前まで、ウミウシとは、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】腹足綱【ふくそくこう】後鰓亜綱【こうさいあこう】に属する生き物だ、と考えられていました。ところが、近年、この分類は、採用されなくなりつつあります。
 どんな研究者でも、「ウミウシが、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】腹足綱【ふくそくこう】に属する」ところまでは、一致しています。問題は、その先です。
 じつは、腹足綱の分類は、大きく見直されている最中です。腹足綱とは、簡単に言えば、巻貝の仲間すべてです。ナメクジも、カタツムリも、サザエも、アワビも、ホラガイも、みんな入ります。つまり、巻貝の分類自体が、見直されています。
 二〇一一年現在では、後鰓亜綱というグループ名は、ほとんど使われなくなりました。
 どうやら、ウミウシと呼ばれるものには、「巻貝の仲間で、海に棲んでいて、殻が(見え)ない」こと以外には、共通点がないようです。少なくとも、分類上の共通点は、ありません。ウミウシとは、前記の条件を満たす生き物の、通称と考えてよいでしょう。
 例えば、アメフラシという「殻の退化した貝」がいます。日本の磯で、普通に見られます。腹足綱の中の、アメフラシ科に属します。目【もく】の分類は、決まっていません。
 同じアメフラシ科に属する種に、ウミナメクジという種名のものがいます。名のとおり、外見は、緑のナメクジという感じです。でも、陸のナメクジとは、遠縁です。
 逆に、ナメクジに似ないのに、ナメクジに近縁な「ウミウシ」もいます。イソアワモチという種です。普通のウミウシと違い、空気呼吸します。ナメクジと同じですね。最近の分類では、イソアワモチの仲間は、ナメクジと同じ目【もく】にされています。

図鑑↓↓↓↓↓には、ウミウシの仲間のアオウミウシ、シロウミウシ、ミノウミウシ、アメフラシが掲載されています。
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過去の記事でも、ウミウシの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ウミウシは何の仲間?(2008/12/29)
いじめると雨が降る? アメフラシ(2007/04/23)

2011年1月 7日

不老不死のクラゲがいる?

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 お正月ですので、おめでたい話をしましょうか。不老不死の話です。
 古くから、不老不死は、ヒトの夢ですね。今のところ、「不老不死のヒトがいる」確実な証拠はありません。他の生き物では、どうでしょうか?
 「不老不死の生き物」は、実在します。ベニクラゲという、クラゲの仲間です。一時期、マスコミで騒がれましたから、御存知の方もいるでしょう。二〇〇四年には、ヤワラクラゲというクラゲも、不老不死であることが発見されました。
 クラゲの仲間は、みな、不老不死なのでしょうか? そんなことはありません。非常に短い寿命が確認されているクラゲもいます。
 クラゲの仲間は、成長段階が、はっきりわかっている種のほうが少ないです。ですから、今後も、不老不死のクラゲが見つかる可能性はあります。もしかしたら、日本近海で、とても平凡に見られるクラゲも、不老不死かも知れません。
 例えば、ミズクラゲです。日本の海水浴場に、よく現われますね。生物の教科書にも、よく載っています。成長段階が、はっきりわかっているからです。
 ミズクラゲは、卵から生まれて、成長段階ごとに、姿を変えます。それぞれの成長段階には、名前が付いています。卵→プラヌラ→ポリプ→ストロビラ→エフィラ→親のクラゲ、という順番です。これらのうち、ストロビラの段階に、秘密があります。
 ストロビラは、体に、いくつものくびれができた状態です。やがて、くびれの部分から体が分かれて泳ぎだします。泳ぎだしたのが、エフィラです。後には、エフィラにならなかった部分が、海底にくっついて残っています。
 この残りの部分が、「不老不死」である可能性があります。残りの部分は死なずに、再び成長することがあるからです。残りの部分が、またストロビラになって、エフィラを生みます。それを繰り返せば、「不老不死」ですよね。
 ミズクラゲが、本当に不老不死なのかどうかは、確認されていません。確認されたとしても、私は驚きません。自然の驚異には、限りがないと思っているからです。


図鑑↓↓↓↓↓には、ミズクラゲが掲載されています。
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過去の記事でも、クラゲの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
刺す海藻? いえ、クラゲです(2010/8/02) 

海中の透明で長いもの、な~んだ?(2010/04/01)
泳がないクラゲがいる?(2009/07/27)
美しい日本固有種、カミクラゲ(2009/03/13)
生物学で大活躍、オワンクラゲ(2008/08/04)
などです。

2010年12月20日

幸せな共生の形、ドロバチとダニ

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 ダニといえば、普通は嫌われ者ですね。他の動物の血を吸ったり、アレルギーの原因になったりするからです。
 ところが、最近、他の動物の役に立つダニが発見されました。二〇〇八年のことです。
 そのダニは、キタドロバチヤドリコナダニという種名です。名のとおり、キタドロバチというハチ(蜂)の巣に棲みます。
 キタドロバチは、ミツバチなどと違い、集団生活をしません。単独で暮らします。母親になるハチが、独力で、子のために巣を作ります。このハチの巣に、キタドロバチヤドリコナダニが棲むことは、以前から知られていました。
 ダニは、巣の中で、キタドロバチの幼虫の体液を吸って育ちます。これでは、ただの寄生虫に見えますね? でも、通常、体液を吸われても、キタドロバチの幼虫には害はありません。逆に、ダニは、幼虫を守る働きをするとわかりました。
 キタドロバチには、恐ろしい敵がいます。その敵を、ダニが退治してくれるのです。
 キタドロバチの敵とは、クロヒラタコバチという別の種のハチです。このハチは、キタドロバチの巣に侵入して、キタドロバチの幼虫に卵を産みつけます。クロヒラタコバチの幼虫が孵化【ふか】すると、キタドロバチの幼虫を食べてしまいます。
 ここで、ダニの出番です。ダニは、押し入ってきたクロヒラタコバチを攻撃します。おおむね、七匹以上のダニがいればクロヒラタコバチを殺せるそうです。
 ダニは、いわば、キタドロバチの用心棒です。キタドロバチの幼虫は、守ってもらうかわりに、自分の体液を与えるわけです。ギブ・アンド・テイクが成り立っていますね。
 ダニは、昆虫に似ていますが、昆虫の仲間(昆虫綱【こんちゅうこう】)ではありません。クモ綱【こう】ダニ目【もく】に属するものを、ダニと総称します。
 ダニの仲間は、二万種以上いるといわれます。数が多いだけに、暮らし方も多様です。キタドロバチヤドリコナダニのように、他の生き物の役に立つダニは、他にもいるでしょう。こんな面白い生態は、解明が進んで欲しいですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、ハチの仲間が、十種以上掲載されています。
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キタドロバチと、キタドロバチヤドリコナダニとの関係は、以下のページに詳しく載っています。
ダニを用心棒にするハチがいた! ~アトボシキタドロバチとキタドロバチヤドリコナダニとの相利関係~(森林総合研究所のサイト内ページ)
過去の記事でも、共生する生き物同士を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
光るイカは、ホタルイカだけじゃない?(2009/6/22) ※イカと細菌の共生です。
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キチョウの雄(オス)が雌(メス)になる?(2007/09/03) 
※キチョウ(チョウの一種)と細菌との共生です。
腸内細菌が進化の決め手? マルカメムシ(2007/06/21) 
※マルカメムシ(カメムシの一種)と細菌との共生です。
海中のサンタクロースはエビ?(2006/12/10) ※エビの一種と魚との共生です。
花が咲かないのに実がなる? イチジク(2006/10/06) 
※イチジクとイチジクコバチ(ハチの一種)との共生です。
などです。

2010年12月10日

ウミサソリは、サソリの祖先か?

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 生き物の名前は、棲む場所を反映することが多いです。例えば、海の生き物で陸上生物に似るものは、「ウミ○○」と名付けられることがありますね。
 けれども、たいていの「ウミ○○」は、名の由来となった陸上生物とは遠縁です。まったく違う生き物であることが、珍しくありません。
 例を挙げてみますと「ウミシダ」などがいます。陸上生物のシダは植物ですね。ところが、ウミシダは動物です。棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】に属します。
 珍しい例として、陸上生物と関係がある「ウミ○○」もいます。ウミサソリです。
 ウミサソリは、はるか昔に絶滅した生き物です。名のとおり、海に棲んでいました。現在、陸に棲むサソリの直接の祖先ではないか、といわれます。
 ただし、この説には異論もあります。ウミサソリは、サソリの直接の祖先ではなく、カブトガニに近縁だという説などがあります。
 ウミサソリが、サソリの祖先ではないとしても同じ節足動物門【せっそくどうぶつもん】に属することは間違いありません。また、姿に共通性があることも確かです。ウミサソリには、尾に毒針を持つ種が多いです。
 もしも、ウミサソリがサソリの祖先だとするとサソリは、「最も早い時期に、陸を歩いた動物」かも知れません。シルル紀末期(四億一千万年前ごろ)の地層から、ウミサソリが海岸を歩いた跡が見つかっています。海から陸へ進出したのですね。
 現生のサソリには、書肺【しょはい】と呼ばれる器官があります。呼吸するための器官です。ウミサソリの化石を調べたところ、サソリの書肺に似た器官が見つかりました。このことなどから、「ウミサソリは、サソリの祖先」説が唱えられています。
 節足動物の中で、サソリが原始的なものであることには異論はありません。四億年以上前に、地球に現われました。昆虫さえ、現われる前のことです。
 その頃の陸は、植物が進出して間もないです。陸を歩く動物は、まだ現われていません。サソリは、空白の大地に第一歩を踏み出しました。陸上動物の先達ですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、マダラサソリが掲載されています。
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過去の記事でも、サソリを取り上げています。また、サソリに似たサソリモドキや、ウミサソリと近縁かも知れないカブトガニも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
サソリ? いえサソリモドキです(2006/09/29)
生きている化石は背泳ぎ上手、カブトガニ(2005/11/23)
サソリの毒はどんな毒?(2005/10/11)
などです。

2010年10月29日

クモの中の目利き? ハエトリグモ

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 クモといえば、「網を張るもの」と思う方が多いでしょうね。実際には、網を作らないクモがたくさんいます。中で、最もヒトに身近なのは、ハエトリグモの仲間でしょう。
 ハエトリグモは、人家でもよく見られますね。小さなクモです。たいていは、体長が1cmもありません。床や壁を、ぴょんぴょん跳ねながら歩いています。
 名のとおりハエトリグモは、ハエを捕って食べます。ハエ以外のものを、食べないわけではありません。自分に捕まえられる大きさの昆虫なら、何でも食べます。人家にいる場合は、ハエのような害虫を捕ってくれることが多いです。ありがたいクモですね。
 ハエトリグモとは、ハエトリグモ科に属するクモの総称です。多くの種があります。有名な種は、ネコハエトリ、チャスジハエトリなどです。人家に棲むものばかりではありません。野外にもいます。多くの種が、網を作りません。自由に歩いて、餌を探します。
 網を作らなくても、糸を出せないわけではありません。他のクモと同じように、お尻から糸を出します。網を作らないなら、糸を何に使うのでしょうか?
 主な用途は、命綱【いのちづな】のようです。彼らは歩く時、常に細い糸を、後ろに出しています。細すぎる糸のため、ヒトの目には、見えにくいです。
 私は、この命綱の用途を、目撃したことがあります。一頭のハエトリグモが、物干し竿【ざお】を歩いていました。そのクモが、飛ぶハエを捕るために、竿からジャンプしたのです。ハエをつかんだまま、クモはお尻の糸で、竿にぶら下がっていました。
 ハエトリグモが、こんな芸当ができるのには秘密があります。彼らは、クモの中では、抜群に眼が良いのです。眼で獲物の位置を知り、距離を測って、飛びかかります。
 網を張るクモ、例えばジョロウグモなどは、眼が良くありません。彼らは、獲物が網にかかったことを、眼で見て知るのではないのです。震動で知ります。触ってみるまで、それが本当に獲物かどうか、網を張るクモにはわからないようです。
 ハエトリグモの場合は、そんなことはありません。高性能な眼のおかげです。その性能については、研究途上です。私たちの姿は、どんなふうに見えているのでしょうね。


図鑑↓↓↓↓↓には、ハエトリグモの一種、ネコハエトリが掲載されています。
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過去の記事でも、クモの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
人面グモ? いえ、ハナグモです(2009/04/10)
女武者の闘い? コガネグモのクモ合戦(2007/06/04)
ジョロウグモの理【ことわり】(2006/10/19)
などです。

2010年10月20日

ジョロウグモ

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ジョロウグモ 画像
和名:ジョロウグモ
学名:Nephila clavata
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

東京都 新宿【2010.09.29】

図鑑↓↓↓↓↓には、ジョロウグモが掲載されています。
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2010年9月27日

ヒトデとクモヒトデとは、どう違う?

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 ヒトデは、多くの人に知られている生き物ですね。磯へ行けば、わりと簡単に見られます。釣りの時、お目にかかった人も多いでしょう。
 名前も姿もヒトデと似た生き物として、クモヒトデがいます。クモヒトデは、ヒトデと近縁なのでしょうか? どこが、どう違うのでしょうか?
 専門的に言えば、ヒトデとは、棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】ヒトデ綱【こう】に属する生き物の総称です。クモヒトデとは、同じ棘皮動物門ですが、クモヒトデ綱【こう】に属する生き物の総称です。分類の「門」が同じでも、「綱」が違いますね。
 この分類を、わかりやすく、たとえてみましょうか。私たちヒトは、
脊索動物門【せきさくどうぶつもん】
哺乳綱【ほにゅうこう】に属します。
カエルの仲間は、同じ脊索動物門ですが、
両生綱【りょうせいこう】に属します。
「門」が同じで、「綱」が違いますね。
 つまり、ヒトデとクモヒトデとは、ヒトとカエルくらいの差があります。
 ヒトデも、クモヒトデも、海でたいへん栄えています。そのわりに、クモヒトデの実物を見た人は、少ないでしょう。それは、クモヒトデが、ヒトに見つかりにくいからです。
 クモヒトデは、多くの種が、深海に棲みます。当然、人目にはつきませんね。でも、浅い海に棲む種も、たくさんいます。ならば、なぜ、目につかないのでしょう?
 一つは、クモヒトデが、海底の石や、砂の下に隠れていることが多いからです。もう一つは、クモヒトデの動きが、すばやいからです。すぐに見失ってしまいます。
 クモヒトデと、ヒトデとの違いが、ここにあります。ヒトデの動きは、遅いですね。ヒトの目で、確実に動きを追える程度です。クモヒトデは、もっとずっと速いです。五本の腕を振り動かして、しゃしゃっと動きます。あっという間に、また隠れてしまいます。
 磯へ行ったら、潮だまりの石を、そっと、どかしてみましょう。クモヒトデが見られるかも知れません。磯にいるのは、イソコモチクモヒトデなどの種です。
 ダイビングをやる方なら、多くのクモヒトデを、見る機会があるでしょう。クモヒトデの研究は、進んでいません。観察すれば、思わぬ発見につながる可能性があります。


図鑑↓↓↓↓↓には、ヒトデの仲間(ヒトデ綱【こう】の生き物)が八種掲載されています。
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過去の記事でも、ヒトデ、ナマコ、ウミシダなどの棘皮動物【きょくひどうぶつ】を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
トラフナマコは、虎縞【とらじま】のナマコ?(2009/11/27)
タスマニア沖で、二百以上の新種を発見(2008/10/14)
ウミユリ(海百合)は、海底に咲く花?(2008/8/25)
オニヒトデは、サンゴ礁の悪役?(2008/7/18)
などです。

2010年9月13日

パウルくんは、マダコ(真蛸)か?

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 今年は、サッカーのW杯の年でした。今年のW杯で、最も有名になったのは、選手でも監督でもないでしょう。タコのパウルです(笑)。 ドイツの水族館のタコですね。
 パウルは、雄のマダコだといわれます。マダコという種は、日本の近海にもいます。世界で最も普通に食用にされるタコが、マダコです。ヨーロッパ近海にいるマダコも、日本近海にいるマダコと、同じ種、ということになっています。
 ところが、この分類が、怪しいという説があります。「マダコの分布が広すぎる」というのです。確かに、マダコは、世界中の温帯の海に分布するといわれます。これほどの広い範囲に、同一種が分布するのは不自然だという主張は、無理もありません。
 じつは、タコの分類は、学者泣かせです。とても難しいからです。まず、何を基準に種を決めるべきかが、悩ましいです。
 例えば、ヒトのような脊椎動物には、骨がありますね。また、貝類には、貝殻があります。このように、体に硬い部分がある生き物は、標本を作りやすいです。その標本を、詳しく調べることもしやすいです。そうして、分類を決めることができます。
 タコには、骨も、殻もありません。体には、一切、硬い部分がありません。ですから、標本を作りにくいです。タコのような、軟らかい生き物を、長く保存できる標本は、近年になって、開発されたばかりです。
 加えて、タコは、外見が変幻自在です。テレビなどで、見た方もいるでしょう。色も、模様も、形も、くるくると変わります。岩や、海藻や、魚など、さまざまなものに擬態【ぎたい】できます。これでは、模様などで分類することも、難しいですね。
 中には、特徴的な模様を持つ種もいます。ヒョウモンダコや、シマダコなどです。おかげで、これらのタコは、種を決めやすいです。
 マダコには、これといった特徴がありません。けれども、少しずつ、研究が進んできました。近い将来、日本近海の「マダコ」と、ヨーロッパ近海などの「マダコ」とは、別の種にされる可能性が高いです。パウル君は、「マダコ」でなくなるかも知れません。


図鑑↓↓↓↓↓には、マダコをはじめ、五種のタコが掲載されています。
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過去の記事でも、タコの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
タコ(蛸)にも「手足」がある?(2009/07/20)
六本脚【あし】のタコ(蛸)がいる?(2008/03/08)
シマダコは、縞ダコか島ダコか?(2008/03/03)
タコ(蛸)の旬【しゅん】は冬か夏か?(2007/02/19)
などです。

2010年8月23日

海の毒まんじゅう? イイジマフクロウニ

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 ウニといえば、とげとげの姿でおなじみですね。ウニの仲間は、海藻を食べるおとなしい動物です。そのために、あんな防御方法が必要なのでしょう。
 中には、棘【とげ】だけでなく、毒まで持つウニがいます。例えば、フクロウニ目【もく】に属する種が、そうです。フクロウニ目の種は、主に、深海に棲んでいます。ですから普通は、ヒトの害になることはありません。
 一種だけ、ダイバーに恐れられる種がいます。イイジマフクロウニという種です。この種は、浅い海にいるからです。フクロウニ目には珍しいことです。
 イイジマフクロウニは、日本近海に分布するウニの中では大型です。赤紫のような、独特の色をしています。動く時に、ふにゃふにゃと、少しずつ形がゆがみます。これらの特徴があるため、他種のウニと間違えることは、まずありません。
 イイジマフクロウニがふにゃふにゃしているのは、体が軟らかいためです。普通のウニは、棘の下に、硬い殻があります。フクロウニ目の種は、この殻がまるで袋のように、軟らかいのですね。だから、「フクロ」ウニです。
 殻が軟らかいかわりでしょうか、フクロウニ目の種は、棘に毒を持ちます。イイジマフクロウニの場合、ヒトが刺されると、時に失神するほど痛いそうです。決して、触ってはいけません。ヒトに対して、本当に危険な種の一つです。
 こんなに強力な武器があるなら、イイジマフクロウニは無敵に見えますね。ところが、彼らにも、敵はいます。意外なことに、それは、小さなカニの仲間です。
 海中のイイジマフクロウニを観察すると、縞【しま】模様のカニが載っていることがあります。ゼブラガニというカニの一種です。彼らは、毒棘を持つウニの上で、生活します。イイジマフクロウニ、ラッパウニなどです。
 ゼブラガニは、ウニの毒棘に守ってもらっています。なのに、彼らは、毒棘をむしって、食べてしまいます。このため、「はげ頭」や「モヒカン」状にされているウニが、少なくありません。ウニにとっては、災難ですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、イイジマフクロウニが掲載されています。
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過去の記事でも、ウニの仲間を取り上げています。ウニと同じ棘皮動物【きょくひどうぶつ】のヒトデなども、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
オニヒトデは、サンゴ礁の悪役?(2008/07/18)
突然の人気者? スカシカシパン(2008/01/10)
棘だけでは足りない? ウニの防御作戦(2007/08/11)
などです。

2010年8月 2日

刺す海藻? いえ、クラゲです

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 海水浴の季節ですね。今回は、海水浴の時注意すべき生き物を紹介しましょう。
 岩場の周りを泳いだ後で、皮膚が痛んだり、みみず腫れのようになったりしたことはありませんか? 「クラゲに刺された」と思うかも知れませんね。でも、海中を見ても、クラゲらしきものがいないとします。では、何に刺されたのでしょうか?
 クラゲの仲間には、一見、クラゲに見えない種もいます。岩場をよく見てみましょう。鳥の羽根のようなものが、生えていないでしょうか? だとしたら、それに刺された可能性があります。「羽根のようなそれ」は、おそらくクラゲの仲間です。
 羽根に似たクラゲの仲間には、「○○ガヤ」という種名のものが多いです。シロガヤ、クロガヤ、フトガヤなどです。ここに挙げた三種は、どれもヒトを刺します。
 「○○ガヤ」の多くは、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】ヒドロ虫綱【ひどろちゅうこう】軟クラゲ目【もく】ハネガヤ科に属します。この仲間は、みなクラゲらしくない姿です。同じヒドロ虫綱には、刺すクラゲとして有名な、カツオノエボシが属します。
 ヒドロ虫綱に属する種が、すべて刺すわけではありません。ヒドロ虫綱には、ノーベル賞で有名になったオワンクラゲも属します。オワンクラゲが刺すとは聞きませんね。
 ハネガヤ科の「○○ガヤ」とオワンクラゲとは、比較的近縁です。ヒドロ虫綱の中で、同じ軟クラゲ目に属するからです。それにしては、ハネガヤ科の種とオワンクラゲとは、似ても似つきませんね。オワンクラゲは、クラゲらしい形です。
 「海藻に似た、刺すクラゲ」については、以前も、このコラムで取り上げています(海藻【かいそう】? いいえ、イラモはクラゲです(2007/07/16))。イラモとハネガヤ科の種とは、近縁のように見えますね。ところが、そうではありません。
 イラモは、刺胞動物門の中の、鉢虫綱【はちむしこう】に属します。ハネガヤ科の種とは、綱【こう】のレベルで分類が違います。たいへん大きな違いです。
 分類の違いはさておき、「刺す」点では、イラモもハネガヤ科の種も、注意すべき生き物です。海中の岩場で、それらしいものを見つけたら触らないほうがいいですね。

図鑑↓↓↓↓↓には、シロガヤが掲載されています。
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過去の記事でも、ヒトを刺す刺胞動物【しほうどうぶつ】を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海藻【かいそう】? いいえ、イラモはクラゲです(2007/07/16)
鰹(カツオ)を連れてくるクラゲがいる?(2007/05/14)
電気クラゲとはどんなクラゲ?(2006/08/01)
などです。

2010年7月 5日

産み分け自在? ミジンコの繁殖事情

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 科学技術はどんどん進んでいますね。最近は、ある程度、子供の性別を産み分けられると聞いています。真偽のほどは定かではありません。
 ヒト以外の生き物では、事情が違います。生き物によっては、はるか昔から、雄(オス)・雌(メス)の産み分けをしています。どんな生き物が、産み分けをするのでしょうか?
 例えば、ミジンコがそうです。学校の理科に登場しますね。淡水にいる、小さなプランクトンです。中には海に棲む仲間もいます。
 ミジンコと呼ばれる生き物には、たくさんの種がいます。ここでは、正式な種名をミジンコという種の話をしましょう。淡水に棲む、平凡なプランクトンです。
 種名ミジンコは、卵で繁殖します。けれども、普段は「卵を産む」ことはありません。体内で、卵を孵化【ふか】させて、子供の状態で産みます。
 産まれる子供は普通、すべて雌(メス)です。母親と、まったく同じ遺伝子を持つ「娘」です。生物学的には、クローンと呼ばれるものですね。親の複製です。
 ところが、たまに、雄(オス)が産まれることがあります。どのような仕組みでそうなるのか、完全にはわかっていません。「生息条件が悪くなった場合に、そうなることが多い」のはわかっています。
 仕組みはわからなくても、理由は、はっきりしています。雄が産まれるのは、「遺伝子のプールをかき混ぜて、多様な個体を生みだすため」です。
 生息条件が悪くなったら、それまでと同じ生き方では、生き残れないかも知れません。親の複製では、「それまでと同じ生き方」になる可能性が高いです。それを避けて、多様な生き方の個体を産むなら、多様な遺伝子を持つ子を産むのが早道です。
 雄と雌とがいれば、遺伝子を混ぜ合わせて、多様な遺伝子を持つ子が産まれます。結果として、どの子かは生き残るでしょう。
 ミジンコには、ヒトのような頭脳はありません。なのに遠い昔から、産み分けをしてきました。生き残るためです。小さな体にも、生命の神秘が詰まっていますね。
図鑑↓↓↓↓↓には、ミジンコが掲載されています。
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 ミジンコは、小さいながらも、節足動物【せっそくどうぶつ】の仲間です。過去の記事でも、同じように、淡水に棲む節足動物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
そっくりさんがいっぱい、スジエビ(2010/02/01)
田んぼの生きている化石、カブトエビ(2007/06/08)
豊作の妖精ホウネンエビ(2006/05/15)
などです。

2010年6月21日

日本初の大発見、セイスイガイ(勢水貝)

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 二〇一〇年の四月、日本の近海で、新種の貝が発見されたという報道がありました。これは、たいへん珍しいグループに属する種です。貝類の進化を知るために、重要です。大発見なのに、あまり話題にされませんでした。ここで紹介しましょう。
 発見された貝は、正式な日本語名(標準和名)を、セイスイガイと名づけられました。この貝が採集された時、使われた船の名「勢水丸」にちなんだそうです。
 セイスイガイは、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】単板綱【たんばんこう】に分類されます。普通の貝も、同じ軟体動物門に属します。が、その下の綱【こう】のレベルで、分類が違います。二枚貝なら、二枚貝綱【にまいがいこう】に分類されます。巻貝なら、腹足綱【ふくそくこう】に分類されます。
 これまで、日本近海では、単板綱に属する種は未発見でした。セイスイガイが、どのくらいの大発見なのか、私たちヒトの例でたとえてみましょう。
 ヒトは、脊索動物門【せきさくどうぶつもん】哺乳綱【ほにゅうこう】に属します。通称、哺乳類と呼ばれるグループですね。たとえて言えば「日本列島に一種も哺乳類がいなかったのに、初めて、哺乳類に属する種が見つかった」というのと同じレベルです。
 セイスイガイの外見は、カサガイという巻貝の仲間にそっくりです。けれども、カサガイは、腹足綱に属します。単板綱とは、体の構造がまったく違います。カサガイについては、「所属はどこですか? カサガイたち」(2010/4/19)を参照して下さい。
 セイスイガイは、なぜ、今まで見つからなかったのでしょうか? 深海に棲むからです。約800mの水深から採集されました。三重県の志摩半島沖です。
 単板綱の種は、世界中で三十種ほどしか見つかっていません。じつは、生きている種より、化石のほうが先に発見されました。単板綱は、絶滅したグループだと思われてきたのです。それが、一九五〇年代に、生きている種が発見されました。
 つまり、単板綱の種は、生きている化石です。三億年以上前に栄えて、ごくわずかが生き残ったと考えられています。こんな新種が、まだ見つかるのは楽しいことですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、セイスイガイは載っていません。かわりに、セイスイガイと同じ軟体動物門【なんたいどうぶつもん】の生き物が、七十種以上載っています。
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新発見のセイスイガイのニュースは、以下に載っています。
志摩沖に新種の貝 三重大研究員ら日本近海で(中日新聞 2010/04/10)
「生きた化石」新種貝発見 三重大研究員ら(西日本新聞 2010/04/09)
3億年前に絶滅の新種貝を公開 三重大研究 グループが発見(西日本新聞 2010/04/10)※セイスイガイの画像があります。

2010年5月24日

貝の執念、岩をも削る? ヒザラガイ

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 海の光景を見て不思議に感じたことがありませんか?
 例えば、海辺や海中にある岩です。それらの中には、キノコのような形をしたものがありますね。下側が細くて上が太い形です。なぜ、こんな形になるのでしょうか?
 一般的にはこれは、「波が削ったのだ」といわれます。「波の届く範囲だけ削れるので、下側だけが細くなった」というわけです。
 これは、間違いではありません。けれども、波以外に他の原因でも岩が削られることがあります。生き物の力によってです。
 岩を削るなんて、どんなに強い生き物かと思いますね。ところが、その正体は、小さな貝です。一種ではなく、多種の貝が「岩を削る」のに、参加しているようです。
 中でも、強力な「岩削り貝」と考えられているのがヒザラガイの仲間です。
 多くの方は、ヒザラガイという名を、聞いたことがないでしょう。しかし、おそらく、ほとんどの方が見ているはずです。
 海辺の岩に、楕円形の奇妙な生き物が貼り付いているのを見たことがありませんか? 背に、七、八枚に分かれた、小さな貝殻を背負っています。それが、ヒザラガイの仲間です。海岸では、とても平凡な生き物です。日本にも全国的に分布します。
 ヒザラガイの仲間は、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】に属します。普通の巻貝や二枚貝と同じです。でも、巻貝や二枚貝とは、あまり近縁ではありません。
 軟体動物門の中の、多板綱【たばんこう】というグループのものを、まとめてヒザラガイと呼びます。中に、単に「ヒザラガイ」という種名の種もいます。ややこしいですね。
 海岸にいるヒザラガイは、多くが、岩に付く藻などを食べています。彼らは、口に、歯舌【しぜつ】という器官を持ちます。これで、岩の表面ごと食べ物をなめ取ります。
 長い間、たくさんのヒザラガイがそうすると......岩の形が変わります。硬い歯舌で、削られるからです。そのような岩は、もろくなって、波にも削られやすくなります。その結果、岩がまるごと崩れることもあります。小さな貝の大きな力ですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、ヒザラガイが載っています。
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過去の記事でも、ヒザラガイのように海岸の岩に貼り付く生き物を取り上げています。また、海岸の岩に穴を開けるナナツバコツブムシも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ペルセベスとは、どんな生き物?(2009/11/30)
フジツボは富士壷? 藤壷?(2008/09/29)
虫が島を壊す? ナナツバコツブムシ(2007/06/28)
牡蠣(カキ)はなぜ寒い時期が旬か?(2006/02/04)
などです。

2010年5月18日

ツノメガニ

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ツノメガニ 画像
和名:ツノメガニ
学名:Ocypode ceratophthalma
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

沖縄県 読谷村 【2010.04.24】

図鑑↓↓↓↓↓には、ツノメガニが掲載されています。
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2010年4月19日

所属はどこですか? カサガイたち

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 春は、潮干狩りの季節です。娯楽と実益を兼ねて、海辺へ行く方もいるでしょう。今回は海岸でよく見られる生き物を紹介します。
 海辺の岩に、小さな円錐【えんすい】形の貝殻が、貼り付いているのを見たことがありませんか? ちょっと見たところでは、フジツボに似ています。
 これらの「円錐形の貝」は、フジツボの仲間ではありません。見た目どおり、貝の仲間です。フジツボは、貝よりもエビやカニに近縁です。
 これら円錐形の貝たちは、カサガイ(笠貝)と総称されます。昔の人がかぶった笠に似るからです。よく見ればフジツボとは、形が違います。時おり位置を動くのも、フジツボとの違いです。フジツボは、一度、付いた場所から離れられません。
 貝には、二枚貝と巻貝とがありますね。カサガイは、巻貝の仲間です。専門的には、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】腹足綱【ふくそくこう】というグループに属します。
 巻貝の仲間なのにカサガイの殻は、巻いていませんね。なぜでしょう?
 じつは、カサガイと呼ばれる種は、すべてが同じグループに分類されるのではありません。いくつもの遠縁なグループにカサガイ型の種がいます。ただし、どの種も、腹足綱に含まれるのは同じです。腹足綱の中で、どのグループに属するかが違います。
 おそらく、最も多く「カサガイ」型の種が含まれるのは、腹足綱カサガイ目【もく】というグループです。このグループは、原始的な形の巻貝と考えられています。「巻貝が、巻くようになる前の姿」を残しているわけです。
 他に、例えば、有肺目【ゆうはいもく】カラマツガイ科の「カサガイ」たちがいます。このグループは、「普通の巻貝のはずが、巻かなくなった」と考えられています。
 カサガイ目の「カサガイ」も、有肺目の「カサガイ」も、外見はそっくりです。すみかも、同じ海岸です。同じように見えても体の構造は違います。
 「カサガイ」の分類はまだ途上です。腹足綱の分類自体が、組み替えの最中だからです。前記の分類も変わる可能性があります。小さな貝の分類も難しいのですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、カサガイ目【もく】のウノアシ、マツバガイ、ヨメガカサが載っています。
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過去の記事で、「カサガイ」と紛らわしいフジツボ、カメノテを取り上げています。また、「カサガイ」と同じく海の岩場に棲む巻貝(アワビなど)や、有肺目の巻貝(カタツムリ)も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
フジツボは富士壷? 藤壷?(2008/09/29)
アワビという種名の貝はいない?(2008/01/14)
カタツムリの殻は右巻き? 左巻き?(2007/06/18)
などです。

2010年4月 1日

海中の透明で長いもの、な~んだ?

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 二十一世紀になっても、海では謎の生物が目撃されますね。シーサーペント(大海蛇)の伝説をほうふつとさせます。今回は、シーサーペントに間違えられそうな生き物を紹介しましょう。海にいて、長い体を持つものたちです。多くは、透明な体です。
 第一は、刺胞動物【しほうどうぶつ】のグループです。クラゲの仲間ですね。クラゲといえば普通は、笠のような形を思い浮かべるでしょう。そうではないクラゲもいます。
 特に、クダクラゲ目【もく】に属する種は、透明な紐【ひも】に見えます。アイオイクラゲ、ボウズニラなどの種は、長さが数m~数十mになることがあります。彼らの紐状の体からは、触手がたくさん垂れています。透明で細長いシャンデリアのようです。
 第二は、有櫛動物【ゆうしつどうぶつ】のグループです。クシクラゲと呼ばれる仲間です。クダクラゲと紛らわしいですね。でも、刺胞動物のクラゲとは違います。
 有櫛動物の中に、オビクラゲという種がいます。名のとおり、透明な帯【おび】状です。刺胞動物のボウズニラなどに比べると、幅が広く、薄べったいです。たくさんの触手もありません。こちらも、長さが1mを越えることがあります。
 第三は、脊索動物【せきさくどうぶつ】のグループです。ホヤやサルパの仲間です。
 脊索動物の中で長くなるのは、ヒカリボヤ目【もく】に属する種と、サルパ目【もく】に属する種です。時には、長さが数十mにもなります。
 ヒカリボヤは、透明な筒状の体です。真ん中に穴があります。「泳ぐ筒」という表現がぴったりです。この特徴を知れば、他のものと間違えないでしょう。
 サルパのほうは小さな樽【たる】状のものが、いくつもつながっているように見えます。一見、刺胞動物のクダクラゲ目に似ます。しかし、よく見れば、触手はありません。
 第四に、軟体動物のグループにも「長くて透明なもの」がいます。ソデイカなど、一部のイカの卵塊【らんかい】(卵のかたまり)です。透明な筒状なので、ヒカリボヤと紛らわしいです。が、こちらは自力で泳ぎません。流れに漂うだけです。
 こんなにいろいろな生き物がいるとはやはり、海は神秘の宝庫ですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、未確認生物と紛らわしいヒカリボヤや、オオサルパが載っています。
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過去の記事でも、「透明で長い海の生き物」を取り上げています。また、謎の生物についても取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
チュパカブラ? ニホンオオカミ? 謎の生物の正体は(2009/03/30)

海中のイルミネーション? ヒカリボヤ(2007/12/10)
サルパとは、どんな生き物?(2007/05/31)
などです。

2010年3月22日

絶滅種に、再発見の可能性はあるか?

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 ある種の生き物が、絶滅したか、そうでないかは、どのようにして判断されるのでしょうか? 一般的には、「五十年間、観察されなければ絶滅」とみなされます。
 けれども、五十年以上観察されなくても、再発見された「絶滅種」もあります。近年では、オオハシヨシキリの例が有名です。鳥の一種です。
 オオハシヨシキリは、ウグイス科に属します。最初に発見されたのは、一八六七年です。十九世紀ですね。それ以来、二十一世紀になるまで観察されませんでした。
 このため、当然のように「絶滅した」と考えられました。そもそも、この種の存在を疑う意見すらありました。「別種の鳥と間違えたのでは?」というわけです。
 ところが、二〇〇六年になって、再発見されました。約百四十年ぶりです。
 オオハシヨシキリの分布域はわかっていません。おそらく、南アジア地域です。日本には分布しません。狭い日本では、このような例は望めないのでしょうか?
 そんなことはありません。例えば、二〇〇九年に日本で「五十九年ぶりの再発見」というニュースがありました。鳥ではなく、貝類の一種です。
 再発見されたのは、サタミサキゴマガイという種です。陸に棲む巻貝です。カタツムリの一種といえます。ゴマガイ科に属します。
 サタミサキゴマガイは、成体になっても殻の長さが2.2mmほどしかありません。小さくても、種の重要さに変わりはありません。
 日本のように、開発が進んだ国では、大型の生き物が再発見される余地は少ないでしょう。でも、小さい生き物ならば、可能性は大いにあります。
 多少、大きくても鳥類ならば、再発見の余地がありそうです。彼らは、空を飛べるからです。飛べる動物は、行動範囲が広いですね。人目に付かないところへ、避難している可能性があります。日本本土にいなくても、付近の大陸や島にいるかも知れません。
 日本には「近年に絶滅した」といわれる鳥が何種かいます。オガサワラガビチョウ、カンムリツクシガモなどです。彼らの再発見といった奇跡はないものでしょうか。

オオハシヨシキリ再発見のニュースは、以下にあります。
幻の鳥、140年ぶりタイで確認 DNA検査で特定(asahi.com 2007/3/9)

日本で五十九年ぶりに再発見された貝のニュースは、以下にあります。
絶滅種「サタミサキゴマガイ」59年ぶりに発見/南大隅町(南日本新聞 2009/9/11)


図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する珍しい生き物トウキョウサンショウウオ、オガサワラヤモリ、イリオモテヤマネコなど何種も載っています。
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 過去の記事でも、再発見された「絶滅種」について取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヒヨケザルの新発見、メガネザルの再発見(2008/11/20)
絶滅種?のシカとカエルが、再発見される(2008/10/14)
新種・珍種がざっくざく、南硫黄島【みなみいおうとう】(2008/06/10)
ダイトウウグイス復活!(2008/05/29)
などです。

2010年3月15日

海の毛虫も蝶(チョウ)になる? ウミケムシ

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 海の生き物には、「ウミ○○」という種名のものが多いですね。陸上生物の中で、姿が似るものにたとえてこのような名が付けられます。
 似ていても、近縁とは限りません。むしろ、遠縁であるほうが普通です。
 ウミケムシ(海毛虫)も、そういう生き物の一種です。海釣りをやる方なら、ウミケムシに会ったことがあるかも知れませんね。キス釣りなどの外道としてかかります。
 ウミケムシは、ゴカイの仲間です。専門的にいえば、環形動物門【かんけいどうぶつもん】多毛綱【たもうこう】ウミケムシ目【もく】ウミケムシ科の一種です(分類には、異説があります)。ウミケムシ科に属する種をまとめて、ウミケムシと呼ぶこともあります。
 いっぽう、陸の毛虫はどうでしょう? こちらは、もちろん昆虫ですね。専門的には、節足動物門【せっそくどうぶつもん】昆虫綱【こんちゅうこう】に属します。ウミケムシとは、門【もん】のレベルで分類が違います。
 それにしても、実物を見た方なら「ウミケムシ」という種名に納得するでしょう。本当に、毛虫にそっくりです。毛に毒があり、刺すところまで似ています。
 毒があるのは、身を守るためです。毒のおかげで、ウミケムシは海底を、堂々と歩くことができます。彼らを襲うものは少ないです。
 ゴカイの仲間は、一般的に魚の好物です。釣り餌にされるくらいです。ですから、海底の砂や岩の中に、隠れて棲んでいます。ウミケムシは、隠れる必要がありません。
 ウミケムシの類を除けば、ほとんどのゴカイには、毒はありません。ヒトには無害です。なのに「外見が気持ち悪い」と、嫌われることが多いです。
 ところが、ゴカイの仲間の学名を知ると驚きです。ラテン語の学名では、美女ぞろいなのです。主に、ギリシャ神話に登場する美女たちです。
 例えば、オトヒメゴカイの学名は、トロイアの王女ヘーシオネーHesioneに由来します。オニイソメの学名エウニーケーEuniceは、ギリシャ神話の海の妖精から取られています。ゴカイの仲間も、よく見ると独特の美しさがあるからでしょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、ウミケムシが掲載されています。
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 過去の記事でも、環形動物【かんけいどうぶつ】の仲間を取り上げています。また、美女の名から取った学名についても取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
チョウ(蝶)の学名は、美女だらけ?(2010/01/11)
海中のクリスマスツリー? イバラカンザシゴカイ(2005/12/09)
などです。

2010年2月22日

刺すイソギンチャクがいる?

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 今回は、ちょっと危険な生き物の話をしましょう。海で刺す生き物です。
 海で刺すものといえばクラゲが思い浮かびますね。クラゲは、刺胞動物【しほうどうぶつ】というグループに属します。同じグループに、イソギンチャクも属します。
 イソギンチャクが刺すなんて聞いたことがない人が多いでしょう。すべてのイソギンチャクが刺すわけではありません。海水浴で、よく会う種―ウメボシイソギンチャク、ミドリイソギンチャクなど―は、刺しません。安心して下さい。
 けれども中には、刺すイソギンチャクがいます。そういったイソギンチャクは、熱帯の海に多いです。また、ダイビングでなければ行けない程度の深さにいることが多いです。熱帯の海に行く方やダイビングをやる方は、注意が必要です。
 日本近海に、普通に分布する種としては、スナイソギンチャクがいます。この種は、以前、このブログで取り上げましたね(どっちがどっち? スナイソギンチャクと、スナギンチャク(2009/10/5))。スナイソギンチャクは、ヒトを刺します。
 以前に書いたとおり、スナイソギンチャクは、とても美しいです。でも、触らないようにしましょう。観賞用には、良い生き物です。
 ダイバーの方は、カザリイソギンチャクに注意しましょう。この種は、おおむね、水深20m以上のところに棲みます。ですから、海水浴で会うおそれは、まず、ありません。
 カザリイソギンチャクは、昼と夜とで、まったく違う姿になります。昼は、触手を縮めています。イソギンチャクに見えません。全体が、房状のもので覆われています。この房状のものが、ヒトを刺します。素手で触ってはいけません。
 夜のカザリイソギンチャクは、触手を伸ばします。触手だけでなく、体全体も、伸び上がるように大きくなります。イソギンチャクらしい姿です。房状のものは、目立たなくなります。しかし、刺すことに変わりはありません。触らず、見るだけにしましょう。
 夜のカザリイソギンチャクの姿は、神秘的です。英語名に、night anemone(夜のアネモネ)とあるのに納得します。ナイトダイビングをやる方には楽しみとなるでしょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、カザリイソギンチャク、スナイソギンチャク、ミドリイソギンチャクなどが掲載されています。
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 過去の記事でも、イソギンチャクの仲間や、刺す海の生物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
管の中の花? ハナギンチャク(2009/04/27)
イソギンチャクは逆さのクラゲ?(2008/04/21)
海藻【かいそう】? いいえ、イラモはクラゲです(2007/07/16)
などです。

2010年2月 8日

天然記念物なのに、絶滅しそうなのは、なぜ?

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 天然記念物という言葉を聞いたことがおありでしょう。貴重な動物や植物、鉱物が指定されます。有名なものには、ツシマヤマネコ、ヤンバルクイナなどがいます。
 天然記念物に指定されると捕獲・採集などが禁止されます。保護されるわけですね。
 ここで、不思議に思った人はいませんか? 保護されているのなら、なぜ、ツシマヤマネコやヤンバルクイナは「絶滅しそうだ」と騒がれるのでしょうか?
 じつは、日本の「天然記念物」という制度には不備が多いのです。できた時代が、古いためです。もちろん、良いところもありますが。
 天然記念物には、国が指定するものと地方自治体が指定するものとがあります。ここでは、国が指定するものについて説明します。
 天然記念物は「文化財保護法」という法律に基づく制度です。法律の名に、注目して下さい。「文化財」です。「生き物」や「動植物」ではありません。
 「文化財」とは、人間が手を入れたものですね。そもそも、この法律は「人間が手を入れたものを保護する」のが目的です。自然の生き物を保護する目的にはそぐいません。
 この法律ができたのは、一九五〇年です。この法律の前身となる法律が、一九一九年にできています。じつに、大正九年のことです。この頃の古い考えを法律は引きずっています。現在の考えでは「天然」とは言いがたいものが、天然記念物に含まれます。
 例えば、「日本犬」が天然記念物に指定されています。普通にいる柴犬も天然記念物です。捕獲禁止のはずの天然記念物が、飼われているなんてびっくりですね。
 昔は、家畜であろうと野生動物であろうと「生き物」は、一くくりにされたのでしょう。家畜は家畜で、保護するべきだと思います。けれども、野生動物と家畜とを同じ基準で保護するのは無理がありますね。今のままの法律では不自由です。
 法律を変えるのは、大変なことです。国民の同意がなければ、変えてはいけないものでしょう。でも、良い方向へ変えるなら、国民の同意が得られるのではないでしょうか。


図鑑↓↓↓↓↓には、ツシマヤマネコ、ヤンバルクイナなどたくさんの天然記念物が掲載されています。
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 過去の記事で、天然記念物に指定された生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
カメの腹筋? セマルハコガメ(2009/09/28)
貝に卵を産む? 不思議な魚たち(2007/03/30)※国指定の天然記念物のミヤコタナゴを取り上げています。
ヤンバルクイナは絶滅寸前?(2006/10/2)
天然記念物というものはどういうものですか?(2006/03/28)
などです。

2010年2月 1日

そっくりさんがいっぱい、スジエビ

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 スジエビという種名のエビがいます。日本の淡水域で、普通に見られます。透明の体に、筋【すじ】模様があるから、スジエビです。5cmくらいの、かわいいエビです。
 スジエビには、たくさんの別名があります。カワエビ、モエビ、コエビなどです。スジエビという名を知らなくても、これらの名で知っている方も、いるでしょう。
 別名が多いのは、人に親しまれている証拠です。スジエビは、食用や、釣り餌用に捕られます。小さいので、まとめて佃煮などにされることが、多いです。
 日本の淡水域には、スジエビと似た小型のエビが、他にもいます。ヌマエビ、ヌカエビ、ミゾレヌマエビ、ヤマトヌマエビなどです。これらの種は、ヌマエビ科に属します。けれども、スジエビは、ヌマエビ科ではありません。テナガエビ科です。
 ヌマエビ科には、スジエビのような筋模様の種は、いません。とはいえ、水中でぱっと見ただけでは、区別は難しいでしょう。
 スジエビには、他にも、そっくりさんがいます。スジエビと同じく、透明な体に、筋模様があるエビたちです。イソスジエビ、スジエビモドキなどの種です。
 「イソ」スジエビは、名のとおり、磯に棲みます。スジエビモドキも、海に棲む種です。生息場所が違うので、スジエビとは区別できます。イソスジエビのほうが、スジエビモドキより、筋模様の数が多いです。
 棲む場所が違っても、スジエビと、イソスジエビ、スジエビモドキは、互いに近縁です。三種とも、テナガエビ科スジエビ属に属します。
 スジエビ属は、ラテン語の学名をPalaemonといいます。これは、ギリシャ神話の海の神、パライモーンの名にちなみます。パライモーンは、元は人間でした。
 ギリシャ神話の海神といえば、ポセイドーンが有名ですね。パライモーンは、最初から神だったポセイドーンより、人に近しい存在でした。古代の水夫に人気だったようです。
 イソスジエビなどのスジエビ属は、沿岸の海で、人に親しまれています。海神の中でも、パライモーンの名が付けられたのは、そのためではないでしょうか。


図鑑↓↓↓↓↓には、スジエビ、イソスジエビが掲載されています。
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過去の記事でも、エビの仲間を取り上げています。また、ギリシャ神話の海の神の名を持つ生き物も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
平たい体は何のため? ウチワエビ(2008/12/19)
おせち料理の海老【えび】はクルマエビ?(2007/01/11)
海中のサンタクロースはエビ?(2006/12/10)
などです。

2010年1月18日

プラナリアは、美術モデル?

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 プラナリアという生き物を、御存知ですか? 水中に棲む生き物です。小さくて、平たい体をしています。大きさは2cmくらいしかありません。
 「それなら、教科書で見たよ」という方が、多いのではないでしょうか? たいていの生物の教科書には、プラナリアが載ります。実験動物として、よく使われるからです。
 プラナリアには、驚異的な再生能力があります。一頭のプラナリアを半分に切っても、死にません。半分ずつが、それぞれ完全な一個体にまで再生します。
 実験に使われる理由は、再生能力の高さばかりではありません。他に、いくつもの理由があります。なかで注目すべきは、「脳」を持つことです。
 脊椎動物【せきついどうぶつ】は、みな、脳を持ちますね。ヒトや、ニワトリ、トカゲ、カエル、サメ、マグロなどです。けれども、動物全体を見ると、「脳」を持つものは、限られます。例えば、クラゲや、カイメン(海綿)は、脳を持ちません。
 動物が、進化のどの段階から「脳」を持ったのかは重要な問題です。これを調べるには、動物の中で、最初に「脳」を持ったものがどれか知る必要があります。
 プラナリアには、かろうじて「脳」と呼べそうなものがあります。プラナリアの仲間を調べれば、「脳」の起源について得ることがあるでしょう。
 プラナリアの仲間とは、扁形動物門【へんけいどうぶつもん】渦虫綱【うずむしこう】三岐腸目【さんきちょうもく】というグループのことです(分類には、異論があります)。
 じつは、プラナリアとは、一種の動物だけを指す言葉ではありません。前記のグループ全体を指します。一般的には、このグループ内のナミウズムシという種を指すことが多いです。実験動物にされるのも、教科書に載るのも、多くはナミウズムシです。
 プラナリアは、理科の教科書に載るだけとは限りません。ひょっとすると、美術の教科書で、会えるかも知れません。彼らは、ある絵画で立派にモデルを務めています。
 その絵画は、M.C.エッシャーという画家が描いたものです。『偏平虫類』とか『扁虫たち』などと訳される題です。とてもかわいいですよ。ぜひ、画集などで見てみて下さい。


図鑑↓↓↓↓↓には、プラナリア(ナミウズムシ)が掲載されています。
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 過去の記事でも、プラナリアと近縁な生き物(扁形動物【へんけいどうぶつ】)を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
梅雨時のエイリアン? コウガイビル(笄蛭)(2008/05/30)

2009年12月28日

モンゴウイカ(紋甲イカ)というイカは、いない?

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 冬は食べ物が美味しい季節ですね。けれども、近年は食べ物の旬【しゅん】が、わかりにくくなりました。輸入物や栽培・養殖物が増えたためです。
 それ自体は、いけないとは言えません。おおぜいの人を養うには、避けられないことです。でも、せめて「自分たちが、どんな物を食べているか」は知りたいですよね。
 例えば、スーパーでイカを買うとします。ラベルを見てみましょう。「モンゴウイカ」とあるかも知れません。これは、どんなイカでしょうか?
 じつは、正式には「モンゴウイカ」という種名のイカはいません。「モンゴウイカ」には、複数の種が含まれます。中でも、カミナリイカ、トラフコウイカ、ヨーロッパコウイカの三種が多いようです。他の種も、混じっていないとは限りません。
 これら三種は、どれも、コウイカ目【もく】コウイカ科に属します。体内に、プラスチックのような甲【こう】を持つグループです。だから「甲イカ」です。
 モンゴウイカとは「紋様のあるコウイカ」の意味です。前記の三種には、みな縞【しま】模様があります。トラフ(虎斑)コウイカなど、そのものずばりの種名です。
 最初に、モンゴウイカと呼ばれたのは、カミナリイカでした。カミナリイカは、東京湾以西の海に分布します。かつては、日本近海で、たくさん漁獲されました。
 ところが、近年、需要をまかなうほど、捕れなくなってきました。このため、カミナリイカに似た他種が、輸入されるようになりました。それが、トラフコウイカやヨーロッパコウイカです。似た種をまとめて、モンゴウイカと呼ぶようになりました。
 トラフコウイカは、主に、東南アジアで漁獲されます。ですから、ラベルに「モンゴウイカ(マレーシア産)」などとあったら、トラフコウイカの可能性が高いです。
 ヨーロッパコウイカは、名のとおり、地中海を中心に分布します。日本に輸入されるのは、アフリカ西岸産のものが多いです。ラベルに「モンゴウイカ(モーリタニア産)」などとあれば、それはきっと、ヨーロッパコウイカでしょう。
 日本の食卓は、世界につながっています。これを忘れてはいけませんね。


図鑑↓↓↓↓↓には、コウイカ目【もく】コウイカ科のコウイカ、コブシメ、シシイカ、スジコウイカ、ヒメコウイカが掲載されています。
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 過去の記事でも、イカの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海中を泳ぐ槍【やり】? ヤリイカ(2008/02/18)
世界最大のイカは、ダイオウイカではない?(2007/02/23)
コウイカとヤリイカはどう違う?(2006/11/10)
などです。

2009年11月30日

ペルセベスとは、どんな生き物?

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 年末に向けて、御馳走を食べる機会が多くなりますね。近年は、日本にいながら世界各国の料理を食べられるようになりました。
 クリスマスの料理として、ペルセベ【Percebe】を食べた人はいませんか? スペイン料理に登場するものです。ペルセベスとかペルセベ貝などと呼ばれることもあります。海産物の一種です。貝というからには、貝の仲間なのでしょうか?
 違います。ペルセベは貝の仲間ではありません。エビやカニの仲間です。専門的にいえば、節足動物【せっそくどうぶつ】です。日本人に馴染みがある生き物のうちで、近縁なものを挙げるなら、フジツボの仲間といえます。
 フジツボは、以前このコラムで取り上げましたね(ムール貝やパーナ貝とは、どんな貝?(2008/12/12))。フジツボの外見は、まるで貝のようです。けれども、節足動物(エビやカニの仲間)です。節足動物の中には、このように貝に似たグループがいます。
 より正確に言えばペルセベは、フジツボよりもカメノテに近縁です。カメノテも、日本の海岸に、たくさんいます。フジツボと同じく、岩などにくっついて生きるものです。「亀の手」に姿が似るところから、こんな名が付きました。
 日本のカメノテと、スペインのペルセベとは、同種ではありません。が、かなり近縁なのは、確かです。どちらも、節足動物門【せっそくどうぶつもん】顎脚綱【がっきゃくこう】有柄目【ゆうへいもく】ミョウガガイ科に属します。
 フジツボのほうは、顎脚綱のうち、無柄目【むへいもく】に属する種を指します。これは、外見に基づく分類です。柄【え】のあるものとないものとで分けています。
 市場などで、ペルセベを見る機会があればわかるでしょう。ペルセベには、長い柄があります。フジツボには、ありませんね。殻の部分で直接、岩などに付きます。
 日本のカメノテにも、柄があります。ペルセベのものより短めです。
 ペルセベは、誤って、エボシガイと翻訳されることがあります。エボシガイとペルセベとは別種です。エボシガイのほうは、有柄目のエボシガイ科に属します。


図鑑↓↓↓↓↓には、ペルセベと近縁なカメノテが掲載されています。
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 過去の記事で、ペルセベの仲間であるフジツボや、エボシガイを取り上げています。また、ペルセベと似て異なるムール貝なども取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
フジツボは富士壷? 藤壷?(2008/09/29)
殻があっても貝じゃない、エボシガイ(2007/10/22)

2009年11月27日

トラフナマコは、虎縞【とらじま】のナマコ?

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 トラ(虎)は、勇ましい動物の代表ですね。けれども、勇ましいとは言いにくい生き物にも、トラの名が付いています。例えば、トラフナマコです。
 トラフナマコは、名のとおりナマコの一種です。他のナマコと同じく、海底でごろりとしています。食べ物は、海中の砂や泥です。これも、多くのナマコと同じです。
 トラフ(虎斑)ナマコという種名は、体の模様から付きました。確かに、体はまだら模様です。とはいえこの種の模様は、縞【しま】模様とはいえません。雲形【くもがた】模様といったほうがふさわしいです。ちょっと名前負けしています(笑)
 ナマコといえば、日本人は「食べられるかどうか?」が、気になりますね。私の知る限り、トラフナマコを食べたという話はありません。少なくとも、食用に漁獲されてはいません。普通に食用にされるのはマナマコという種です。
 名前に反してトラフナマコは、ちっとも強くなさそうですね。無防備に海底に横たわっているようです。どうやって、敵を防ぐのでしょうか?
 じつは、多くのナマコは体に毒を含みます。トラフナマコにも毒成分があります。道理で、食べられないわけです。食用のマナマコには、ほとんど毒がありません。
 毒があるにしては、どの種のナマコも地味です。有毒生物は、よく派手な色をしていますよね。あれは、「毒があるから食べるな」と、敵に知らせているわけです。
 ナマコのように、外見で有毒だとわからないのは損なはずです。かじられてから吐き出されるより、最初からかじられないほうがいいでしょう。
 ナマコ自身も、そう考えたのでしょうか?(笑) トラフナマコをはじめ、多くのナマコには、毒以外の武器もあります。キュビエ器官というものです。
 キュビエ器官の外見は、白い糸のかたまりのようです。普段は、体の中にあります。
 つつかれたりすると、ナマコは肛門から、キュビエ器官を出します。これは、べたべたとくっついて不快なものです。毒成分も、多く含まれます。これで、たいがいの敵は、退散するようです。トラフナマコは、案外強いのかも知れません。


図鑑↓↓↓↓↓には、トラフナマコが掲載されています。
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 過去の記事でも、ナマコの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
食用ナマコはどんなナマコか?(2007/01/22)
サンゴ礁の海を守るナマコ(2006/07/22)
などです。

2009年11月15日

ジョロウグモ

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ジョロウグモ 画像
和名:ジョロウグモ
学名:Nephila clavata
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

東京都 新宿区【2009.10.16】

図鑑↓↓↓↓↓には、ジョロウグモが掲載されています。
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2009年11月13日

カイメン(海綿)は、多細胞動物の祖先?

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 熱帯の海には、サンゴ礁がありますね。サンゴは、起源が古い動物です。植物ではありません。恐竜が現れるずっと前から、サンゴ礁はありました。
 海の中に、多様な動物が現われたのは、六億年ほど前(エディアカラ紀)だと考えられています。その頃から、サンゴ礁はあったのでしょうか? いえ、ありませんでした。
 けれども、サンゴより前に「サンゴ礁のようなもの」を作った動物がいます。それが、カイメンです。カイメンの大ざっぱな説明は、「カイメン(海綿)とは、どんな生き物?(2007/07/20)」をお読み下さい。
 最近の学説によれば、カイメンは、六億三千五百万年以上前(エディアカラ紀より前)に、すでに現れていました。その頃は、多細胞動物が現われて、間もない時代です。すばやく泳ぐ動物や、強力な武器(触手など)を持つ動物は、ほとんどいませんでした。
 この時代、カイメンは、大繁栄したと考えられています。彼らを襲う動物が、いないに等しかったからです。当時は、サンゴ礁ならぬ「カイメン礁」がありました。地球の動物で、最初に「礁」といえるものを作ったのは、カイメンではないか、といわれます。
 その後、カイメンを食べたり、カイメンと競合したりする生き物が、たくさん現われました。このため、今では大規模な「カイメン礁」は見られません。
 それでも、カイメンは今なお栄えています。熱帯から南極まで、カイメンの棲まない海はまずありません。中には、ヒト一人分ほどの大きさのカイメンもいます。六億年以上もの間、こんなに栄え続ける動物が、他にいるでしょうか? おそらくいません。
 カイメンは、地球上で最初期に現われた、多細胞動物です。かつては、カイメンに似た多細胞動物がいました。カンブリア紀の古杯動物【こはいどうぶつ】です。カイメンと同じく、大規模な「礁」を作り栄えました。しかし、五億年以上前に絶滅しました。
 このように、多くの動物が滅びてもカイメンは生き残ってきました。
 「多細胞動物の祖先とカイメンとは、近縁ではないか」という説があります(異説もあります)。カイメンは、私たちの祖先の姿を残しているのかも知れません。
 カイメンに関する最近の学説は、以下に紹介されています。

動物進化の起源は海綿動物?(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/02/06)

図鑑↓↓↓↓↓には、ザラカイメン、ダイダイイソカイメン、ツノマタカイメン、ワタトリカイメンが掲載されています。
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 過去の記事でも、カイメンを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
オーストラリアの深海で、新種発見(2009/01/22)
ウミウシは何の仲間?(2008/12/29)※ウミウシの中には、カイメンを食べるものがいます。
鼈甲【べっこう】になるだけじゃない、タイマイ(2008/06/20)※タイマイの食べ物は、カイメンです。
などです。

2009年10月 9日

ミミズは、土中の働き者

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 秋は、落ち葉の季節ですね。落ち葉は、やがて朽ちて、土になります。その過程に、ある動物が、強く関わっていることを、御存知ですか?
 農業をやっている方なら、御存知でしょう。その動物とは、ミミズです。
 ミミズは、土中に棲む生き物ですね。土の中で、何を食べているのでしょう? 落ち葉や朽ち木、小動物の遺体などです。ミミズには、口がないように見えますね。でも、ちゃんと、体の前端部分に、口があります。その口で、ぱくぱくと物を食べます。
 食べた後には、当然、糞をします。この糞が、良い腐葉土になります。繊維などがこなれて、粒が細かくなっているのですね。
 良い腐葉土があるところでは、植物がよく育ちます。植物が育てば、いろいろな動物も育ちます。ミミズがいなかったら、多くの動植物が、暮らしに困ることでしょう。
 もちろん、ヒトも、ミミズの恩恵をこうむっています。良い土がなければ、農作物ができません。「ミミズが出たら、土ができてきた証拠」と、農家の方から聞いたことがあります。ミミズは、釣りの餌になるばかりでは、ありません。
 釣りの餌にされるのは、多くが、シマミミズという種です。「ミミズに、種なんてあるの?」と、驚く人がいるかも知れませんね。実際には、たくさんの種があります。
 中でも、シマミミズは、平凡な種です。普通の人が、「ミミズ」といわれて思い浮かべる、ミミズらしい姿のミミズです。野生でも多いですが、釣り餌用に、養殖もされています。
 時おり、異様な姿のミミズが、騒がれることがありますね。「異様に長い」とか、「異様な色」といったミミズです。種によって、ミミズの姿は、いろいろです。普通の人が「異様」と感じても、それが正常な姿、という種もいます。
 例えば、シーボルトミミズという種がいます。この種の体色は、青いです。光が当たると、青緑色に輝いて見えます。しかも、体長が30cmを越えるほどになります。「大きくて、異様な色」なので、嫌いな人は、卒倒しそうになるでしょう。
 異様に見えてもミミズは、ヒトに害をなしません。御安心下さい。

図鑑↓↓↓↓↓には、シマミミズが掲載されています。
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 過去の記事でも、ミミズと同じ環形動物門【かんけいどうぶつもん】に属する生き物を取り上げています。また、ミミズと同じく土中に棲む生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ワラジムシとダンゴムシとは、どう違う?(2008/11/03)
オーストラリアのサンゴ礁で、数百の新種を発見(2008/09/25)
虫が島を壊す? ナナツバコツブムシ(2007/6/28)

2009年10月 5日

どっちがどっち? スナイソギンチャクと、スナギンチャク

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 イソギンチャク(磯巾着)は、海でよく見られる生き物ですね。
 イソギンチャクの仲間は、海の岩場に棲むことが多いです。けれども、砂や泥の海底に、いないわけではありません。例えば、スナイソギンチャク(砂磯巾着)という種は、砂底の海底に棲みます。海岸近くの浅いところでも、見ることがあります。
 スナイソギンチャクに似たものとして、ハナギンチャクの仲間があります。ハナギンチャク(花巾着)は、以前、このブログで取り上げましたね(管の中の花? ハナギンチャク(2009/4/27))スナイソギンチャクと同じく、砂や泥の海底に棲むものです。
 ハナギンチャクと、スナイソギンチャクとは、縁が遠いです。その証拠に、体の仕組みが、大きく違います。スナイソギンチャクは、体の末端に吸盤があります。それで、砂の中の石などにくっついています。ハナギンチャクには、吸盤はありません。
 スナイソギンチャクと紛らわしい生き物は、他にもいます。スナギンチャク(砂巾着)です。よーく見て下さい。スナ「イソ」ギンチャクとは、違う名前です。
 スナギンチャクも、スナイソギンチャクとは、縁が遠いです。スナギンチャクのほうは、基本的に、群体性です。サンゴのように、たくさんの個体が、集まって暮らします。
 スナギンチャクの仲間には、体に砂粒を埋め込んで、補強するものが多いです。だから、「スナ」ギンチャクです。スナ「イソ」ギンチャクと、紛らわし過ぎますよね(笑)
 スナ「イソ」ギンチャクは、イソギンチャク目【もく】に属する一種です。スナギンチャクは、スナギンチャク目【もく】に属する種の総称です。ハナギンチャクは、ハナギンチャク目【もく】に属する種の総称です。目【もく】のレベルで、分類が違います。
 普通の人は、水族館で、スナ「イソ」ギンチャクと会う機会が、多いかも知れません。スナイソギンチャクには、美しい個体が多いからです(個体ごとに、色に変異があります)。水族館では、見栄えがするのですね。私も、水族館で、見たことがあります。
 私が見た個体は、見事な蛍光ピンクでした。まるで人工物みたいでしたが、自然な色だそうです。機会があれば、ぜひ、この生物の実物を、御覧になって下さい。

図鑑には、スナイソギンチャク、スナイソギンチャクと紛らわしいヒメハナギンチャクムラサキハナギンチャクが掲載されています。ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、イソギンチャクや、イソギンチャクに似た生き物を取り上げています。また、イソギンチャクと共生するので有名なクマノミも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
管の中の花? ハナギンチャク(2009/04/27)
世界最長寿のサンゴが発見される(2009/04/04)
イソギンチャクは逆さのクラゲ?(2008/04/21)
などです。

2009年9月30日

楽しい樹洞【じゅどう】の展覧会

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 秋の行楽シーズンですね。たとえ天気が悪くても、楽しめる催しがあります。神奈川県小田原市で開催中の『木の洞【うろ】をのぞいてみたら』も、その一つです。
 これは、生命の星・地球博物館で開催されている特別展です。『樹洞の生きものたち』という副題が付いています。
 樹洞【じゅどう】とは、木に開いた穴のことです。木が病気になったり、動物に掘られたりして開いたものです。木の洞【うろ】とも呼ばれます。
 樹洞には、思われている以上に、たくさんの生き物が棲みます。この展覧会では、その様子を、わかりやすく紹介しています。
 まず、博物館の入口に、大きな材木が置かれています。会場の真ん中にも、大きい材木があります。これは、本物の樹洞そのものを展示しています。
 会場内の材木には、触ることができます。実物の樹洞を、覗【のぞ】きこむこともできます。ぜひ、触って、覗いて、樹洞がどんなものか実感して下さい。
 会場の展示ケースは、なんと、多くの部分が覆われていて見えません(!)少しだけ、ガラスケースが見える部分があります。ちょうど、樹洞を覗くように、展示ケースを覗くためです。樹洞で暮らす生き物を、覗いている気分になれます。
 樹洞を利用する生き物のうち、あまり知られないものも紹介されています。
 例えば、アイフィンガーガエルというカエルです。このカエルは、樹洞にたまった水たまりにしか、産卵しません。幼生(おたまじゃくし)は、みな樹洞で育ちます。
 また、コブナシコブスジコガネという、昆虫の一種がいます。「コブナシ(瘤無し)」なのに「コブスジ(瘤筋)」の「コガネ」ムシという、名前からしておかしいですね。コブスジコガネ科の一種で、瘤【こぶ】がないことから、こんな種名が付きました。
 コブナシコブスジコガネは、つい最近まで、どこに棲むのかわかっていませんでした。じつは、「ある条件の樹洞に棲む」とわかったそうです。その樹洞とは......ぜひ、展覧会へ行って、確かめてみて下さい。

 特別展『木の洞【うろ】をのぞいてみたら』の情報は、以下のページに載っています。
木の洞をのぞいてみたら―樹洞のいきものたち―(生命の星・地球博物館のサイト内)


図鑑↓↓↓↓↓には、リスの仲間、キツツキの仲間など樹洞に棲む生き物が掲載されています。
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2009年9月25日

貝類は、昔、ミミズだった? カセミミズ

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 海の生き物の中で、貝類は、ヒトと関わりが深いですね。二枚貝も、巻貝も、たくさんの種が、食用にされます。日本人で、アサリやアワビを知らない人は、いないでしょう。
 貝類は、進化の最初の段階から、貝殻を持っていたのでしょうか? どうやら、違うようです。貝類の祖先は、殻を持たなかったと考えられています。
 「貝類の祖先に、姿が似るのでは」とされる生き物がいます。カセミミズの仲間です。カセミミズは、以前、このブログで取り上げましたね(海中のミミズ? カセミミズ(2006/8/8)) 名のとおり、外見は、ミミズに似ます。細長い体を持ちます。
 カセミミズの分類には、変遷があります。ずっと昔は、本物のミミズなどと一緒くたにされていました。その後、貝類と共通点があることがわかり、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】に入れられました。
 軟体動物門は、とても大きなグループです。カセミミズや、二枚貝、巻貝の他に、イカやタコの仲間も入ります。あまりにも多様な種が属するので、分類が混乱しがちです。
 軟体動物門の中に、ケハダウミヒモと呼ばれる生き物がいます。カセミミズと同じく、殻を持たないミミズ状です。軟体動物の中でも、ケハダウミヒモとカセミミズとは、近縁だと思われてきました。そのため、同じ無板綱【むばんこう】というグループに、入れられてきました。ところが、最近、「この分類は違うらしい」と、わかってきました。
 現在では、両者は、違う綱【こう】に分類されることが多いです。カセミミズは、軟体動物門の中の溝腹綱【こうふくこう】です。ケハダウミヒモは、軟体動物門の中の尾腔綱【びこうこう】です。綱という上位のレベルで、分類が違うのですね。
 カセミミズと、ケハダウミヒモと、どちらがより軟体動物の祖先に近いのかは、わかっていません。どちらのグループも、研究が進んでいないからです。どこにどれだけ棲むのかを調べるのさえ、難しいです。海底の砂や泥に、潜っている種が多いためです。
 二〇〇八年に、尾腔綱としては、世界最大と思われる種が発表されました。メキシコ湾の深海産です。尾腔綱や溝腹綱の秘密は、深海にあるかも知れませんね。

 世界最大の尾腔綱【びこうこう】のニュースは、以下に載っています。(ニュース記事では、尾腔亜綱【びこうあこう】となっています。この分類は、ケハダウミヒモの仲間を、無板綱【むばんこう】尾腔亜綱に分類した学説によったのでしょう)
深海生物の新種――世界最大の尾腔亜綱(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/11/10)


図鑑↓↓↓↓↓には、カセミミズ―最近の分類では、溝腹綱【こうふくこう】とされます―掲載されています。
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 過去の記事でも、カセミミズや、生物の分類について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
亜目や亜科の「亜」とは、なに?(2009/08/28)
生物分類の、目【もく】や科とは、なに?(2009/08/12)
海中のミミズ? カセミミズ(2006/08/08)
などです。

2009年9月13日

トゲモミジガイ

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トゲモミジガイ 画像
和名:トゲモミジガイ 
学名:Astropecten polyacanthus
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神奈川県 三浦半島【2009.08】

図鑑↓↓↓↓↓には、トゲモミジガイが掲載されています。
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2009年8月28日

亜目や亜科の「亜」とは、なに?

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 以前、このブログで、生物の分類について、説明しましたね(生物分類の、目【もく】や科とは、なに?(09/08/12))。今回は、その時、説明しきれなかった部分を説明しましょう。
 生物を調べていると、時おり、亜目【あもく】や亜科【あか】といった分類単位が出てきます。下目【かもく】、上目【じょうもく】、上科【じょうか】などが、出てくることもあります。これらは、どういう分類単位でしょうか? 
 まず、「亜」を説明しましょう。例えば、亜目といった場合、「目【もく】を分けるほどの差はないけれど、複数の科を含むグループ」です。要するに、「一つ下の分類単位より、少しだけ大きい分類単位」に、「亜」が付くと思って下さい。
 次に、「下」です。例えば、「下目」は、「目【もく】を分けるほどの差はないけれど、複数の科を含んでいて、亜目より小さいグループ」です。大きさ順に並べれば、亜目>下目です。「亜」と「下」は、紛らわしいですね。正直に言えば、私も、「亜」と「下」の差は、よくわかりません(笑)
 では、「上」は? 例えば「上科」といった場合は、「複数の科をまとめたグループで、目【もく】を分けるほどの差がないもの」です。
 これだと、一つ上の分類単位と、重なりそうですね。例えば、「上科」と「下目」があったら、どちらが大きいグループでしょうか?
 答えは、「下目のほうが、上科より大きい」です。実例を挙げてみましょう。
 セミエビというエビの一種がいます。この種の分類を、詳しく書くとこうなります。

節足動物門【せっそくどうぶつもん】
 甲殻亜門【こうかくあもん】
  軟甲綱【なんこうこう】
   真軟甲亜綱【しんなんこうあこう】
    ホンエビ上目【じょうもく】
     十脚目【じっきゃくもく】
      抱卵亜目【ほうらんあもく】
       イセエビ下目【かもく】
        イセエビ上科【じょうか】
         セミエビ科
          セミエビ亜科【あか】
           セミエビ属
            セミエビ

 こんなややこしい分類なのは、節足動物門に、たいへん多様な種が含まれるためです。落語の『寿限無【じゅげむ】』みたいですね(笑)



図鑑↓↓↓↓↓では、目【もく】や科【か】などの分類単位でも、生物を検索することができます。例に挙げたセミエビも掲載されています。
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 過去の記事でも、生物の分類について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
学名で分類がわかるって、本当?(20009/08/17)
チョウ(蝶)はチョウ目【もく】? 鱗翅目【りんしもく】?(2008/07/22)
ホヤは脊索【せきさく】動物? 原索【げんさく】動物?(2007/08/28)
などです。

2009年8月21日

イソガニとイワガニ、どっちがどっち?

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 生き物の中には、紛らわしい名前のものがいますね。例えば、カニの仲間に、イソガニ(磯蟹)という種とイワガニ(岩蟹)という種がいます。
 この二種は、棲む場所もほぼ同じです。どちらも、岩の多い海岸に棲みます。岩礁や磯などと呼ばれる場所ですね。水中から出て歩くことがあるのも、同じです。両種とも、日本では平凡な種です。カニの中では、海水浴で会う可能性が高いです。
 おまけに、この二種は、姿も似ています。どちらも、普通のカニらしい姿です。大きさは、両種とも、甲長(甲羅の幅)3cm~5cmくらいです。体色は、どちらの種も、緑がかった褐色です。イソガニのほうが、明るい色合いのことが、多いです。
 イソガニとイワガニは、近縁なのでしょうか? 生物の世界では、外見がそっくりでも、遠縁のものがよくいますね。
 この二種は実際に近縁です。両種とも、イワガニ科に属します。イソガニは、イワガニ科の中のイソガニ属に、イワガニは、イワガニ科のイワガニ属に属します。
 こんなに似たところだらけでは、区別ができませんね。普通の人が区別するには、図鑑と首っぴきになる必要があるでしょう。
 この二種には、一つ決定的な差があります。外見のことではありません。分布のことです。じつは、イワガニのほうは、後から日本に来ました。外来種です。
 日本のイワガニの故郷は、北米と考えられています。今では、イワガニは、日本中の磯で見られます。日本在来種のイソガニと、仲良く?やっているようです。
 面白いことに、北米では、イソガニとイワガニの立場が逆転しています。もともと、イワガニがいたところへ日本から、イソガニが入りました。今のところは、北米の海岸でも、あまり問題なく、共存しているようです。
 日本のイワガニも北米のイソガニもたくましいですね。ここまで広まってしまうと、外来種として駆除するのは、無理だと思います。駆除を考えるより、彼らの生態を観察するほうが有意義でしょう。夏休みの自由研究にも、ちょうどいいですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、イソガニもイワガニも、掲載されています。
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 過去の記事でも、カニの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
シオマネキは、潮を招く?(2009/06/01)
スベスベマンジュウガニの名の由来は?(2008/8/18)
毛蟹【けがに】は、なぜ毛だらけ?(2007/11/30)
夫婦なのに名が違う?ズワイガニとコウバコガニ(2005/11/11)
などです。

2009年8月20日

地球と宇宙の環境科学展、お知らせ

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 夏休みの催しを、また一つ、見に行ってきました。『消えた生き物の謎と秘密』というものです。『地球と宇宙の環境科学展』という副題が付いています。東京のお台場近くの、日本科学未来館で、開催中です。
 この展覧会は、まず、地球の歴史をざっと振り返ります。その過程で、これまで地球に繁栄した生き物をいくつか紹介しています。
 古いところでは、今から六億年ほども昔の生物が解説されています。エディアカラ生物群と呼ばれる生物たちです。これの少し後に、有名なバージェス動物群が登場します。カンブリア紀(約五億四千五百万年前~約五億五百万年前)最強の動物とされるアノマロカリスが、巨大なロボットになって再現されています。
 その後には、海にしかいなかった生物が陸に上がったことが解説されています。そして、恐竜の登場と絶滅です。恐竜の代表として、ヴェロキラプトルとティラノサウルスのロボットが、迫力ある姿を見せてくれます。触れる化石もあります。
 現代に生きる生物たちも、たくさん紹介されています。アマミノクロウサギやツシマヤマネコの剥製【はくせい】標本があります。これらは、生きた姿を見るのが難しいですね。標本でも見られるのは幸運です。
 会場には、たくさんの解説板があります。すべての解説を読むと、かなり時間がかかります。解説をじっくり読みたい方は、時間に余裕を持って行きましょう。
 また、会場では、映像も多用されています。どれも興味深いので、つい、足を止めてしまいます。でも、これらの映像は、一つ一つが長いです。こちらも、うっかりすると時間が足りなくなります。「解説は苦手、映像だけ見たい」という方も、やはり時間には余裕を持ちましょう。
 個人的には、ヒトが滅ぼした生物の紹介に心を打たれました。「もう、彼らには会えないのか」と思うと、悲しくなります。絶滅鳥のドードーの模型など、よくできているだけに悲劇が際立ちます。「こんな悲劇を繰り返してはいけない」と、考えさせられました。

 展覧会『消えた生き物の謎と秘密』は、以下に公式サイトがあります。
~地球と宇宙の環境科学展~ 消えた生き物の謎と秘密

 過去の記事でも、夏休みのイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
写真展、昆虫4億年の旅(2009/07/22)

図鑑↓↓↓↓↓には、日本の生き物が、千八百種以上掲載されています。
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ぜひご利用下さい。

2009年8月 9日

ヒダリマキマイマイとセイヨウミツバチ

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ヒダリマキマイマイとセイヨウミツバチ 画像
和名:ヒダリマキマイマイ
学名:Euhadra quaesita
和名:セイヨウミツバチ
学名:Apis mellifera
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

東京 新宿区 【2006.08.25】

図鑑↓↓↓↓↓には、ヒダリマキマイマイとセイヨウミツバチが掲載されています。
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2009年7月27日

泳がないクラゲがいる?

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 クラゲといえば、普通は、「海を漂うもの」ですね。正確には、漂うように見えても、ちゃんと泳いでいます。意外に、遊泳力は強いです。
 ところが、中には、泳がないクラゲもいます。では、どうするのでしょう? たいていの「泳がないクラゲ」は、海藻などにしがみつきます。海底に横たわるものもいます。
 泳がないクラゲの代表は、十文字クラゲ綱【こう】十文字クラゲ目【もく】の種です。ササキクラゲ、ジュウモンジクラゲ、ヒガサクラゲ、ムシクラゲなどの種がいます。
 この仲間は、泳ぎたくても泳げません。柄【え】に当たる部分があって、そこで海藻などに付きます。種名にもあるとおり、日傘や、植物の花のように見えます。ただし、大きさは、小さいです。ほとんどの種が、1cmか2cmしかありません。
 以前、十文字クラゲ目【もく】は、鉢虫綱【はちむしこう】に属するとされました。しかし、その特殊さから、独自の十文字クラゲ綱【こう】に分類されるようになりました。
 泳がないクラゲは、十文字クラゲ綱以外にもいます。例えば、ヒドロ虫綱【こう】の種です。エダアシクラゲ、カギノテクラゲ、ハイクラゲなどです。
 これらの種のうち、エダアシクラゲと、カギノテクラゲは、泳ぐことができます。両種とも、普段は、海藻などに付いています。ハイクラゲは、這うだけで、泳げません。
 けれども、分類上は、エダアシクラゲとハイクラゲとが近縁です。同じヒドロ虫綱【こう】花クラゲ目【もく】に属します。カギノテクラゲは、ヒドロ虫綱【こう】淡水クラゲ目【もく】に属します。淡水クラゲという名ですが、海に棲みます。
 カギノテクラゲは、ヒトを刺します。厄介なことに、毒は強烈です。海中で「ちくり」とした後、咳、鼻水、筋肉痛、悪寒などの症状が出たら、このクラゲに刺されたのかも知れません。そうなったら、すぐ水から出て下さいね。
 カギノテクラゲを、恐れすぎることはありません。彼らは、普段は泳がないからです。海藻の茂みなどには、素肌のまま、入らないようにしましょう。
 多くのクラゲは、ヒトには無害です。夏には、ぜひ、海の自然に親しんで下さい。


図鑑↓↓↓↓↓には、泳がないクラゲの一種、カギノテクラゲが掲載されています。
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 過去の記事でも、クラゲを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
美しい日本固有種、カミクラゲ(2009/03/13)
生物学で大活躍、オワンクラゲ(2008/08/04)
淡水にもクラゲがいる?(2007/08/06)
などです。

2009年7月22日

写真展、昆虫4億年の旅

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 夏休みは、生き物関係のイベントがいっぱいですね。そんなイベントの一つに、行ってまいりました。写真家の今森光彦さんの写真展です。静岡市の静岡アートギャラリーで開催中の、『昆虫4億年の旅』です。
 今森さんは、昆虫の写真を撮らせたら、世界でも五指に入る写真家ではないでしょうか。
 今森光彦というお名前を知らなくても、日本人なら、今森さんのフンコロガシ(タマオシコガネ)の写真を、一度は見ていると思います。たいへん克明に、わかりやすく、生態を写した写真だからです。今森さんの写真集『スカラベ』は、衝撃的でした。
 他にも、今森さんは、多くの写真集を発表してらっしゃいます。今回の展覧会では、主に、『昆虫記』と『世界昆虫記』と二つの写真集からの作品を紹介しています。
 展覧会で見る写真は、写真集で見るものとは一味違います。何しろ、大きさが違います。普通は、縦横の長さが1mを越える写真なんて、見る機会がありませんよね?
 大画面で見る昆虫たちは、大迫力です。昆虫たちが、いかに巧みに自然環境に溶け込んでいるかよくわかります。私のお気に入りの作品を、いくつか挙げてみま