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2008年08月25日

ウミユリ(海百合)は、海底に咲く花?

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 深海には、珍しい生き物が、多いですね。ウミユリが、その一つです。
 ウミユリは、棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】ウミユリ綱【こう】に属する「動物」です。広い意味でいえば、ウニやナマコやヒトデの仲間(棘皮動物【きょくひどうぶつ】)です。けれども、ウミユリは、ウニともナマコともヒトデとも、似ていません。
 名のとおり、ウミユリは、植物のように見えます。長い柄【え】で、海底に付いています。ゆっくりならば、移動もできます。柄の先に、花に似た部分があります。
 花びらに見えるのは、腕【うで】です。ヒトデの腕と同じもの、と思って下さい。ヒトデの腕と違うのは、細かい触手のようなもの――羽枝【うし】といいます――が、たくさん付いていることです。羽枝は、餌を取るのに、使われます。
 ウミユリの餌は、海水中の、小さな有機物です。生物の死骸の破片や、プランクトンなどですね。羽枝のある腕で、海水中の食べ物を、かき集めます。
 現生のウミユリは、すべて深海産です。最も浅いところでも、100mを越える海にいます。深いところでは、6000mほどの海にもいます。
 ウミユリは、生きている化石です。大昔、一億年ほど前までは、浅い海にもいたことが、わかっています。なぜ、現在のウミユリは、深海にしか、いないのでしょう? 
 じつは、現在の浅海には、ウミユリから進化した生き物がいます。ウミシダです。
 ウミシダ(海羊歯)も、棘皮動物門ウミユリ綱に属します。ウミユリ直系の子孫です。偶然ですが、やはり、植物のシダに似ます。ウミユリと違い、長い柄が、ありません。
 ウミシダと比べて、ウミユリには、何か、不利な点があるのですね。そのために、「暮らしにくい深海へと、追い出された」と考えられています。
 ウミユリよりも、ウミシダのほうが、活動的です。ウミシダは、かなりの速さで、歩いて移動できます。泳げる種も、多いです。長い柄がない分、有利なようです。
 ウミユリは、時代遅れの生き物かも知れません。しかし、深海で、たくましく生きています。大絶滅の時代を、何回もくぐり抜けました。生き物の大先輩ですね。



図鑑↓↓↓↓↓には、ウミユリは載っていません。そのかわり、ウミユリの直系の子孫、ウミシダの一種(ニッポンウミシダ)が掲載されています。
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 過去の記事で、ウミユリの仲間のウミシダを取り上げています。また、他の深海の生き物も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 本当にあった不思議なカレイの話(2008/01/25)
 植物? いえ動物です。ウミシダ(海羊歯)(2007/11/26)
 新種のクシクラゲ? 発見(2007/06/13)
 希少なサメ(鮫)、メガマウスの撮影に成功(2007/06/12)
 深海にすむ『サメハダホウズキイカ』定置網にかかる(2007/4/17)
などです。


2008年08月18日

スベスベマンジュウガニの名の由来は?

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 日本のカニ(蟹)のうち、最も有名なのは、何でしょうか? スベスベマンジュウガニかも知れません。名前が面白いですよね。
 スベスベマンジュウガニは、日本で、普通に見られるカニです。房総半島以南に分布します。深い海へ行かなくても、磯でも見られます。海水浴で、会えるかも知れません。
 なぜ、こんな種名が付いたのでしょうか? スベスベマンジュウガニは、オウギガニ科マンジュウガニ属の一種です。同じマンジュウガニ属の仲間に、アカマンジュウガニ、ホシマンジュウガニなどがいます。饅頭【まんじゅう】のように、丸っこいカニたちです。マンジュウガニの仲間で、「体がすべすべ」だから、スベスベマンジュウガニです。
 カニの中には、他にも、「スベスベ何とか」という種名のものがいます。例えば、スベスベオウギガニです。スベスベオウギガニは、イソオウギガニ科スベスベオウギガニ属に属します。体がすべすべなのは同じでも、スベスベマンジュウガニとは、遠縁です。
 ヤドカリの中にも、スベスベサンゴヤドカリという種がいます。ヤドカリ科サンゴヤドカリ属の一種です。この種も、きっと、体のどこかが「すべすべ」なのでしょう。
 中で、極めつけに、矛盾した種名のカニがいます。「スベスベケブカガニ」です。漢字で書けば、「すべすべ毛深蟹」です。なぜ、こんなに、変すぎる種名なのでしょうか?
 スベスベケブカガニは、ケブカガニ科スベスベケブカガニ属に属します。ケブカガニ科の一種なのに、毛深くないのですね。そこで、スベスベケブカガニと名づけたようです。「面白さを狙って、やったんじゃないか?」と、疑ってしまいますね(笑)
 さて、スベスベマンジュウガニというのは、日本語の名前です。国際的には、ラテン語の学名で、呼ばれます。スベスベマンジュウガニの学名は、Atergatis floridusです。Atergatis【アテルガティス】というのが、「マンジュウガニ属」を示します。
 このAtergatisとは、何と、女神の名前なのですね。古代シリアの魚の女神、アテルガティスから取っています。この女神は、アタルガティスAtargatisとも呼ばれます。
 マンジュウガニの何を見て、女神の名を付けたのでしょうか? これも面白いですね。



図鑑↓↓↓↓↓には、スベスベマンジュウガニが掲載されています。
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 目高蟹【めだかがに】とは、ツノメガニ?(2008/07/07)
 毛蟹【けがに】は、なぜ毛だらけ?(2007/11/30)
 カニでないカニがいる?(2006/12/24)
 タコノマクラの花びら模様は、いったい何?(2008/01/25)
 突然の人気者? スカシカシパン(2008/01/10)
などです。


2008年08月04日

生物学で大活躍、オワンクラゲ

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 夏、海へ行くと、クラゲに会うことがありますね。クラゲは、嫌われることが多いです。「刺す」といわれるからですね。けれども、中には、人間の役に立つクラゲもいます。
 オワンクラゲが、その一つです。お椀【わん】(お碗【わん】)型の体をしているために、この名があります。日本近海で、普通に見られる種です。
 私の知る限り、ヒトが、オワンクラゲに刺された例は、ありません。危険でないクラゲです。海で会っても、安心して下さい。
 オワンクラゲは、「光るクラゲ」として、知られます。ただし、その光り方は、あまり目立ちません。傘のふちが、ほのかに青白くなる程度のようです。
 この光る性質こそが、人間の役に立ちます。オワンクラゲの持つ「光る物質」が、生物学の実験に使われます。その物質は、二種類あります。イクオリンaequorinという物質と、「緑色蛍光たんぱく質」(略称で、GFP)という物質です。
 イクオリンのほうは、カルシウムの実験に使われます。イクオリンは、カルシウムを感知して、発光するからです。イクオリンを使えば、生き物の体の中の、どこにカルシウムがたくさんあるか、すぐにわかります。「光る」性質のおかげですね。
 GFPのほうは、さまざまな遺伝子が、生き物の体のどこで働いているか、調べる場合に、使われます。その方法は、以下のとおりです。
 まず、調べたい遺伝子と、GFPを作る遺伝子とを、つないで一つにします。これを、生き物の体に入れます。その生き物に、ある特定の光を当てると、生き物の体の一部が、光ります。そこに、GFPが現われているのですね。ということは、GFPの遺伝子とつながれた遺伝子(本命の、調べたい遺伝子)も、そこで働いている、とわかります。
 最近、「光るマウス(ネズミ)」や、「光るブタ(豚)」や、「光るダイズ(大豆)」のニュースを、見たことがありませんか? これらは、前記の手順で作られています。
 光る生き物は、決して、遊びで作られるのではありません。生物の仕組みを知るための実験です。海を漂うクラゲが、こんな実験に役立つなんて、驚きですね。

 オワンクラゲの「光る物質」を使った実験のニュースは、以下に載っています。
 光るマウスなどの写真(大阪大学微生物研究所 附属遺伝情報実験センター)
 光るブタ、光る魚などの動画(YouTube)
 光るダイズ(大豆)の写真(閑甚日記inはまぞう 2008/02/08) 


図鑑↓↓↓↓↓には、オワンクラゲをはじめ、十種以上のクラゲが掲載されています。
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 過去の記事でも、クラゲの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ビゼンクラゲと同じ? 違う? スナイロクラゲ(2007/10/12)
 クラゲは刺胞【しほう】動物? 腔腸【こうちょう】動物?(2007/08/24)
 淡水にもクラゲがいる?(2007/08/06)

などです。


2008年07月25日

ヒトデ退治は法螺【ほら】じゃない? ホラガイ

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 日本近海にいる中で、最大の巻貝は、何という種でしょうか? おそらく、ホラガイ(法螺貝)でしょう。ホラガイの殻の高さは、40cmにもなることがあります。
 ホラガイは、暖かい海に棲みます。サンゴ礁の海に多いですね。日本では、小笠原諸島や、南西諸島の近海に多いです。関東以北の海には、寒くて棲めないようです。
 こんなに大きくなるために、ホラガイは、何を食べるのでしょうか? ヒトデです。特に、オニヒトデを食べることで、有名です。あの棘だらけのヒトデを、ものともしません。
 ホラガイは、オニヒトデしか、食べないわけではありません。ヒトデ類全般を食べます。
 ホラガイの近縁種にも、ヒトデを食べるものがいます。ボウシュウボラなどです。
 ボウシュウボラは、ホラガイと同じ、フジツガイ科ホラガイ属に属します。ホラガイよりは、涼しい海に多いです。でも、氷があるほど寒い海にはいません。日本近海では、ホラガイに次いで、二番目に大きい巻貝といわれます。殻の高さ20cmほどになります。
 海の生き物で、ヒトデを食べるものは、少ないです。ホラガイやボウシュウボラ(房州法螺)は、数少ない例外です。なぜ、彼らは、ヒトデを食べるのでしょうか?
 この理由は、「多くの生き物が、ヒトデを食べない理由」と、関係があります。
 ヒトデの仲間は、ヒトデサポニンという物質を、体に含んでいます。ほとんどの生き物にとって、この物質は、毒です。ヒトにも毒です。だから、ヒトデは、普通には食用にされませんね。一部で食用にされますが、食べ過ぎれば、毒になるはずです。
 ホラガイやボウシュウボラは、何らかの方法で、ヒトデサポニンを解毒するのでしょう。おかげで、普通なら食べられないものを、食べられるようになりました。
 これは、生きるうえで、とても有利ですね。他の生き物と、食べ物が競合しないからです。食べ物がなくなる可能性が、少ないのですね。
 ホラガイは、オニヒトデ退治の切り札として、期待されます。積極的に、オニヒトデを食べる生き物は、ホラガイくらいしかいないからです。けれども、ホラガイの生態は、まだ、よくわかっていません。過度に期待するのは、禁物でしょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、ホラガイも、ボウシュウボラも掲載されています。
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 過去の記事でも、ホラガイと同じ、巻貝の仲間を取り上げています。また、ホラガイの食べ物になるヒトデも、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 オニヒトデは、サンゴ礁の悪役?(2008/07/18)
 アワビという種名の貝はいない?(2008/01/14)
 貝と付いても貝じゃない? モミジガイ(2007/04/27)
 潮干狩りの悪役、ツメタガイ(2006/04/17)
 ヒトデは海のギャングスター?(2006/04/14)
 鉄の鱗【うろこ】を持つ貝、スケーリーフット(2006/04/02) ※日本語名を「ウロコフネタマガイ」という巻貝の解説です。
などです。

2008年07月18日

オニヒトデは、サンゴ礁の悪役?

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 2008年は、国際サンゴ礁年です。日本にも、美しいサンゴ礁がありますね。特に、南西諸島のサンゴ礁は、世界的に評価されています。
 残念ながら、日本のサンゴ礁も、その他の海域のサンゴ礁も、将来が安泰とは言えません。さまざまな原因で、痛めつけられているものが、多いです。
 サンゴ礁を食い荒らす「悪役」とされるのが、オニヒトデです。皆さんも、テレビなどで、見たことがあるのではないでしょうか? 棘だらけの、大きなヒトデです。
 オニヒトデを観察すると、不思議なことに気づきます。ヒトデなのに、腕が5本ではありません。普通のヒトデは、5本腕の星型(☆)をしていますよね。
 5本腕でないヒトデは、他にもいます。ヤツデヒトデや、タコヒトデなどです。ヤツデヒトデは、名のとおり、8本腕のものが多いです。タコヒトデは、たいへん腕の数が多く、20本以上もあります。オニヒトデは、14本から18本の腕を持ちます。
 なぜ、このように、腕が多いヒトデがいるのでしょうか? 理由は、わかっていません。
 腕が多いヒトデでも、子どもの頃は、5本腕です。成長するにつれ、腕の数が増えます。オニヒトデの場合、海底に定着してから、半年ほどで、14本以上の腕を持ちます。
 オニヒトデは、サンゴ礁のサンゴを食べます。しかも、時々、大発生します。大発生の時には、広い範囲のサンゴが、食害されます。これが、悪役とされる理由ですね。
 けれども、サンゴ礁が傷む原因は、オニヒトデだけとは限りません。「根本的な原因は、オニヒトデではないだろう」といわれます。もともと、サンゴが弱っているところへ、オニヒトデが取り付くようです。「諸悪の根源」みたいに言うのは、気の毒ですね。
 時おり、オニヒトデが大発生することは、何十年も前から、知られていました。その原因は、いまだ不明です。オニヒトデの生態は、あまり、わかっていないのですね。
 生態がわからないまま、駆除するのは、危険です。オニヒトデが、サンゴを食べることで、保たれる環境があるはずです。どんな生き物も、自然界で、それなりの役割を果たしています。下手に駆除すると、自然のバランスを、崩してしまうでしょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、オニヒトデが掲載されています。また、ヤツデヒトデなど、他種のヒトデも載っています。
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 過去の記事でも、ヒトデの仲間を取り上げています。また、ヒトデと同じ棘皮動物【きょくひどうぶつ】の仲間も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 タコノマクラの花びら模様は、いったい何?(2008/01/25)
 植物? いえ動物です。ウミシダ(海羊歯)(2007/11/26)
 貝と付いても貝じゃない? モミジガイ(2007/04/27)
 サンゴ礁の海を守るナマコ(2006/07/22)
 ヒトデは海のギャングスター?(2006/04/14)
などです。


2008年07月07日

目高蟹【めだかがに】とは、ツノメガニ?

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 そろそろ、海開きの季節ですね。浜では、いろいろな生き物に会うことができます。
 中でも、カニの仲間は、親しまれていますね。暖かい海では、特に、たくさんのカニが見られます。日本では、南西諸島や小笠原諸島が、カニの宝庫です。
 沖縄県の石垣島に、カニについて、面白い歌が伝わっています。「アンパルヌミダガーマユンタ」という歌です。石垣島のカニたちを歌ったものです。
 「アンパル(網張)」とは、石垣市にある干潟の名です。歌は、そこに棲むカニの生態を、正確に写しているといわれます。アンパルには、コメツキガニ、ツノメガニ、オキナワハクセンシオマネキなど、多くのカニの種が、棲んでいます。
 この歌の主人公は、ミダガーマと呼ばれるカニです。標準語にすれば、「目高蟹【めだかがに】」という意味です。さて、ミダガーマとは、何という種のカニでしょうか?
 これには、いくつかの答えがあります。有力なのは、コメツキガニ説と、ツノメガニ説です。個人的には、ツノメガニ説に、軍配を上げたいですね。
 なぜなら、ツノメガニには、目立つ特徴があるからです。雄(オス)の目の先に、角のような突起があります。雌(メス)には、ごく小さな突起があります。「目高蟹」の名にふさわしいですね。とりわけ、雄は、目玉を立てて、威張っているようにも見えます。
 実際には、ツノメガニは、臆病【おくびょう】です。敵の目を逃れるため、主に、夜に活動します。昼間は、巣穴に潜っていることが多いです。
 ツノメガニは、スナガニ科スナガニ属に属します。スナガニ属のカニは、英語で、ghost crabと呼ばれます。「幽霊ガニ」という意味ですね。ミダガーマ(目高蟹)という、のんびりした響きとは、ずいぶん違います。なぜ、英語では、「幽霊」なのでしょう?
 これには、二つの説があります。一つは、「脚が速くて、幽霊のように、姿を見るのが難しいから」です。もう一つは、「幽霊のように、夜、こそこそと活動するから」です。
 石垣島の歌でも、ミダガーマが浜を行き来する様子が、歌われています。昔の人は、よく見ていました。このように、生き物への温かな眼差しを、忘れたくないものです。


図鑑↓↓↓↓↓には、ツノメガニ、ハクセンシオマネキなど、十種以上のカニが掲載されています。
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 過去の記事でも、カニの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 毛蟹【けがに】は、なぜ毛だらけ?(2007/11/30) 
 カニでないカニがいる?(2006/12/24) 
 夫婦なのに名が違う? ズワイガニとコウバコガニ(2005/11/11)
などです。

2008年06月20日

ヒトの祖先は、ナメクジウオ?




 先日、「脊椎動物【せきついどうぶつ】の祖先が、ナメクジウオだと判明した」ニュースがありました。ナメクジウオが、どんな生き物なのか、知る人は、少ないでしょう。
 ナメクジウオは、魚ではありません。「魚類の、一歩手前の動物」といえます。水中に棲むのは、魚と同じです。泳ぐより、海底の砂に潜っていることが、多いです。
 分類学的には、脊索動物門【せきさくどうぶつもん】頭索動物亜門【とうさくどうぶつあもん】頭索綱【とうさくこう】に属します。頭索綱は、ナメクジウオ綱【こう】とも呼ばれます。小型で、細長く、柔らかい体を持つグループです。
 脊椎動物【せきついどうぶつ】と、脊索動物【せきさくどうぶつ】とは、紛らわしいですね。この二つは、近いけれども、違うものです。脊索動物門【せきさくどうぶつもん】の中に、脊椎動物亜門【せきついどうぶつあもん】が含まれます。魚類も、両生類も、爬虫類、鳥類、哺乳類も、みな、脊索動物門の中の、脊椎動物亜門に属します。
 脊椎動物【せきついどうぶつ】が、何から進化したのかは、以前から、議論の的でした。ナメクジウオは、有力な候補でした。でも、他にも、候補がいたのです。
 脊索動物門の中で、脊椎動物亜門以外のグループとして、頭索動物亜門(ナメクジウオの仲間)以外に、尾索動物亜門【びさくどうぶつあもん】があります。尾索動物亜門には、サルパや、ホヤが属します。サルパやホヤと、ナメクジウオとでは、どちらが脊椎動物に近いのか、わかっていませんでした。それが、はっきりしたわけです。
 今回のニュースの意味は、「サルパやホヤより、ナメクジウオのほうが、脊椎動物に近い」ということです。ナメクジウオは、脊椎動物が生まれた頃の遺伝子を、よく残しています。彼らの遺伝子を調べれば、五億年以上も昔の、生き物の情報が、わかるそうです。
 この研究に使われたのは、フロリダナメクジウオという種です。北米のフロリダに分布します。日本にも、「ナメクジウオ」という種名のものが、分布します。
 ナメクジウオは、きれいな海水にしか、棲めません。そのため、世界各地で、環境汚染に追いつめられています。「進化の生き証人」を、絶滅させてはいけませんね。


 「ナメクジウオの全遺伝情報(ゲノム)を解読した」ニュースは、以下にあります。
 脊椎動物:祖先はナメクジウオ ヒトと遺伝子6割共通(毎日新聞 2008/06/19)
 国際チームがナメクジウオゲノムの解読に成功(日経プレスリリース 2008/06/19)

 今回の研究に使われた「フロリダナメクジウオ」を採集する様子が、以下のブログに載っています。
 ウォルナット・クリーク通信(2006/08/04)


図鑑↓↓↓↓↓には、日本産のナメクジウオが掲載されています。
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 過去の記事でも、ナメクジウオと同じ脊索動物【せきさくどうぶつ】を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 海中のイルミネーション? ヒカリボヤ(2007/12/10)
 ホヤは脊索【せきさく】動物? 原索【げんさく】動物?(2007/08/28)
 サルパとは、どんな生き物?(2007/05/31)
などです。


2008年06月10日

新種・珍種がざっくざく、南硫黄島【みなみいおうとう】

 

南硫黄島という島を、御存知ですか? 大部分の方は、聞いたこともないでしょう。日本の南の果てのほうの、無人島です。小笠原諸島に属します。
 この島で、最近、重大な生物の発見が、いくつもありました。以下に紹介しますね。
 一つは、昆虫の珍種の再発見です。絶滅したと思われた種が、生きていました。ハナアブ(花虻)の一種です。オガサワラハラナガハナアブという種です。
 この種は、1963年に、小笠原の父島と母島で、発見されました。ところが、その後、父島でも母島でも、生息が確認できませんでした。40年以上を経て、再発見です。
 オガサワラハラナガハナアブは、何を食べるのかすら、わかっていません。「ハエ目ハナアブ科ハラナガハナアブ属に属するらしい」と知られるだけです。
 貝の仲間でも、再発見がありました。ナカダノミガイと、タマゴナリエリマキガイです。どちらも、陸の巻貝(カタツムリ)です。両種とも、戦前に、父島で記録されたきりでした。やはり、絶滅したと思われていました。60年以上の空白が、あったわけです。
 ワラジムシの仲間でも、珍しい種が発見されました。節足動物門【せっそくどうぶつもん】軟甲綱【なんこうこう】等脚目【とうきゃくもく】ミズムシ亜目に属する種です。昆虫にも、ミズムシと呼ばれる仲間がいますが、それとは違います。
 この種が新種かどうかは、まだ、確認されていません。けれども、たいへん貴重な種なのは、確かです。なぜなら、陸に棲むからです。等脚目のミズムシには、これまで、陸に棲む種が、見つかっていません。今まで知られる種は、すべて、海水や淡水に棲みます。もしかしたら、南硫黄島のミズムシは、世界初の「陸生ミズムシ」かも知れません。
 その他にも、世界中で、南硫黄島にしかいない生き物が、確認されました。植物のエダウチムニンヘゴ、鳥類のクロウミツバメ、昆虫のミナミイオウヒメカタゾウムシなどです。
 これ以外にも、昆虫や、クモや、カタツムリの新種が見つかっています。希少な生き物も、多数、確認されました。日本にも、まだ、こんな生き物の楽園があるのですね。末永く、この楽園が、維持されて欲しいです。


 南硫黄島の調査の報告は、以下に載っています。※直接、pdfファイルにつながりますので、御注意下さい。
 【速報版】主な調査結果(平成19年07月25日現在)
 【調査結果速報版 第二弾】南硫黄島調査で得られた成果(追加判明分)(平成19年11月22日現在)


 過去の記事でも、小笠原諸島など、島の貴重な生き物を取り上げています。また、数十年の空白を経て再発見された生き物も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ダイトウウグイス復活!(2008/05/29)
 再発見! オキナワトゲネズミ(2008/03/07)

 海中のオブジェ? パイプウニ(2007/11/16)
 メグロはメジロと仲良し?(2007/11/12)
 大洋に生きるオガサワラトカゲ(2007/11/9) ※南硫黄島にもいるトカゲです。
 ヤシ? いいえシダの木です。マルハチ(2007/11/2) ※南硫黄島のエダウチムニンヘゴに近縁な植物です。
 虫が島を壊す? ナナツバコツブムシ(2007/6/28) ※南硫黄島のミズムシと同じ等脚目【とうきゃくもく】の生き物です。
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、マルハチ、ワラジムシ、オガサワラトカゲ、オガサワラオオコウモリ、オガサワラカワラヒワなど、南硫黄島に棲む生き物や、それらに近縁な生き物が掲載されています。
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2008年06月02日

カワニナ(川蜷)は一種じゃない?

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 カワニナは、ホタル(蛍)の餌になることで、知られますね。淡水の、小さな巻貝です。最近は、ホタルのために、「カワニナ」を放流することが多いですね。
 ところが、それには、いくつかの問題があります。場合によっては、「カワニナ」の放流が、環境を破壊してしまいます。そんな事態には、したくありませんね。
 カワニナをよく知れば、そのようなことを防げます。以下で、説明しましょう。
 第一に、「カワニナ」と呼ばれる貝には、複数の種が含まれます。カワニナ科と、トウガタカワニナ科に含まれる種が、「カワニナ」と総称されます。ややこしいことに、カワニナという種名の貝もいます。種名カワニナは、カワニナ科に属します。
 カワニナ科と、トウガタカワニナ科には、多くの種が属します。これらのうち、ホタルの幼虫が食べるのは、種名カワニナと、チリメンカワニナ(カワニナ科に所属)という種だけです。他種の「カワニナ」を放流したら、ホタルのためになりません。
 カワニナ科、および、トウガタカワニナ科の貝は、どの種も似ています。普通の人には、区別が付けがたいです。けれども、種の区別は、しっかりしなければいけませんね。
 第二に、ホタルの種によって、食べる貝が違います。種名カワニナと、チリメンカワニナを食べるのは、ゲンジボタルという種です。他種のホタルを増やしたいなら、カワニナの放流は、無意味です。例えば、ヘイケボタルは、カワニナの仲間を食べません。
 第三に、種名カワニナは、地域変異が激しいです。「種名カワニナは、じつは、十種以上に分かれている」という研究者がいるほどです。これについては、結論が出ていません。が、よその地域の「カワニナ」は、違う種の可能性がある、と言えます。
 本来、地域にいなかった種を持ちこむのは、環境破壊につながります。今、アライグマなどの外来種が、問題になっていますよね。それと同じです。「同じ『カワニナ』だから」と、うっかり放流してはいけません。
 ビオトープなどを作って、自然に親しむのは、良いことです。でも、それには、正しい知識が必要です。正しい知識をもって、楽しく自然観察をしましょう。


 過去の記事で、ホタルを取り上げています。また、カワニナと同じく、淡水に棲む貝も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 魚と持ちつ持たれつ? イシガイ科の二枚貝たち(2007/04/02)
 ホタル(蛍)はなぜ光る?(2006/05/26)



図鑑↓↓↓↓↓には、カワニナが掲載されています。
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2008年05月30日

梅雨時のエイリアン? コウガイビル(笄蛭)

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 梅雨時ですね。この季節に、時おり「怪生物が出現!」と、騒がれる生き物がいます。
 それは、コウガイビルです。大部分の人は、聞いたこともないでしょう。いったい、どんな生き物でしょうか? 「ヒル(蛭)」と付いても、ヒルの仲間ではありません。
 コウガイビルは、プラナリア(ナミウズムシ)の仲間です。プラナリアは、生物学の実験に使われますね。扁形動物【へんけいどうぶつ】というグループに属します。ヒルは、環形動物【かんけいどうぶつ】という、別のグループに属します。
 コウガイビルには、複数の種があります。それらのうち、話題になるのは、ほとんどが「オオミスジコウガイビル(大三筋笄蛭)」です。なぜかといえば、この種が、たいへん大きくなるからです。無脊椎動物の中では、異例の大きさです。
 オオミスジコウガイビルは、とても細長いです。ひも状の体です。幅は、1cmもありません。なのに、長さは、50cmを越えます。時には、1mに達します。
 コウガイビルの外見は、多くの人に、嫌われそうです。質感が、ナメクジに似て、ぬめぬめ、べたべたしています。「ものすごく細長くて、巨大なナメクジ」が、這っているみたいです。そんなものに会ったら、普通の人は、仰天するでしょう。
 コウガイビルと、ナメクジとは、縁が遠いです。ナメクジは、軟体動物【なんたいどうぶつ】というグループに属します。コウガイビルの主な食べ物が、ナメクジです。他に、カタツムリやミミズが、コウガイビルに食べられます。肉食性なのですね。
 コウガイビルは、乾燥に弱いです。日光で体が乾かないように、夜行性です。昼間でも、雨の日は、活動することがあります。このため、梅雨時に、よく目撃されます。
 普通の人が思う以上に、コウガイビルは、身近に、たくさんいます。ヒトには無害です。生態は、よくわかっていません。日本に、どんな種がいるのかさえ、不明確です。
 「怪生物」オオミスジコウガイビルは、元来、日本にいなかったようです。東南アジアか、中国南部が原産地、と推測されています。植木の土などに混じって、日本へ来たのでしょう。その点では、エイリアン(よそから来た存在)と言えますね。


 過去の記事で、コウガイビルの食べ物になるナメクジや、カタツムリを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 カタツムリの殻は右巻き?左巻き?(2007/06/18)
 ナメクジは塩をかけると溶ける?(2006/06/23



図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、コウガイビルは載っていません。が、近縁なナミウズムシ(プラナリア)が掲載されています。
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2008年05月16日

ガーナの宝冠:西アフリカの希少な生き物たち




 今、横浜市が、アフリカに染まっています。第四回アフリカ開発会議が、横浜で開かれるからです。このブログも、便乗しますね(笑) アフリカの生物を、紹介しましょう。
 昨年(二〇〇七年)十二月に、西アフリカのガーナから、「多くの新種がいる」と発表されました。新種の発見場所は、アテワ自然保護区です。新種ばかりでは、ありません。これまで知られている種でも、希少なものの生息が、確認されました。
 例えば、カエルです。ラテン語の学名を、Conraua derooiという種がいます。日本語名は、ありません。アカガエル科ゴリアテガエル(ゴライアスガエル)属に属します。
 Conraua derooiは、「世界で最も絶滅に近いカエル」といわれます。今後、生き残る可能性があるのは、アテワに棲むものだけだ、と考えられています。
 鳥類では、モモグロサイチョウや、リベリアクロヒタキなどの生息が、確認されました。モモグロサイチョウは、サイチョウ科ナキサイチョウ属の鳥です。リベリアクロヒタキは、ヒタキ科クロヒタキ属に属します。どちらも、数が少ない種です。
 哺乳類では、霊長類(サルの仲間)で、絶滅に近い種が、確認されました。オリーブコロブスや、ラテン語の学名をColobus vellerosusという種(日本語名なし)などです。
 昆虫では、八種の新種が発見されました。すべて、キリギリスの仲間です。アテワでしか、生息が確認されていません。また、希少なチョウ(蝶)も、確認されました。ラテン語の学名を、Mylothris atewaという種です。日本語名は、ありません。シロチョウ科シロチョウ亜科に属します。モンシロチョウの類縁ですね。
 昆虫以外の節足動物でも、新種が発見されました。クモ綱【こう】クツコムシ目【もく】クツコムシ科の種です。クモとダニの中間のような姿をしています。ラテン語の学名を、Ricinoides atewaと名づけられたようです。
 魚類や植物でも、珍しい種が、確認されています。中でも、シダ植物のCyathea manniana(ラテン語の学名、日本語名はなし)は、興味深いです。この種は、ヘゴ科ヘゴ属に属します。木生シダといって、樹木になるシダです。Cyathea mannianaと似た種は、ブラジルとマダガスカルにしか、分布していないそうです。
 たった一つの自然保護区で、この様子です。アフリカ全体では、どれほどの生き物がいるのでしょう? この多様性を、保ち続けたいですね。


 西アフリカのガーナで発見/確認された生き物については、以下に載っています。
 ガーナの熱帯林で、キリギリスや節足動物など9種の新種、 希少な生物種を発見(コンサベーション・インターナショナル・ジャパン 2007/12/06)
 ガーナで、新種、希少種、絶滅危惧種【ぜつめつきぐしゅ】などを発見(コンサベーション・インターナショナル 2007/12/06) ※英語の解説です。
 新種動物をガーナで発見(OCCULuTION 2007/12/08) ※新種の節足動物(クツコムシ)などの写真が載っています。


 前記の、発見/確認された生き物の情報や、写真は、以下にもあります。
 最も絶滅に近いカエル、Conraua derooiの写真(Arkive) ※解説は英語です。
 アフリカ最大の蝶といわれるドルーリーオオアゲハの写真(ぷてろんワールド)
 シロチョウの一種Mylothris atewaの写真(ガーナの蝶たち) ※解説は英語です。

 クツコムシ目の解説(Wikipedia日本語版)

 シダ植物のCyathea mannianaの写真、全体像(metafro)
 シダ植物のCyathea mannianaの写真、ゼンマイ状の若葉(metafro)
 シダ植物のCyathea mannianaの写真、葉(metafro)

 横浜の、第四回アフリカ開発会議のサイト
 横浜の「アフリカ月間」の案内

2008年05月02日

安物から高級食材へ、アカガイ(赤貝)

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 大型連休の季節です。気候がちょうど良いので、出かけたくなりますね。
 この季節のレジャーとして、潮干狩りはうってつけです。遊んだ後に、御馳走【ごちそう】まで手に入ります。二〇〇八年は、連休の後半、五月五日ころが、潮干狩りに適しています。五月五日が新月で、大潮だからです。
 潮干狩りの獲物といえば、アサリかハマグリですね。けれども、干潟【ひがた】には、他にも、たくさんの生き物がいます。思いがけないものが、捕れることもあります。
 私は、潮干狩りで、アカガイを捕ったことがあります。名のとおり、身が赤い二枚貝です。殻【から】に、くっきりした筋の模様が刻まれています。
 今でこそ、アカガイは、高級食材として知られます。しかし、昔から、そうだったわけではありません。高度成長期の前までは、東京湾周辺で、アカガイは「庶民の食べ物」だったそうです。安かったからです。それだけ、大量に捕れたのですね。
 地方によっては、昔は、アカガイを食べなかったといいます。私は、神奈川県で、そういう話を聞きました。結構いたのに、食べなかったそうです。その理由は、「身が赤いのが血のように見えて、気持ち悪いから」だと聞きました。
 今では、日本のどこでも、アカガイは、高級食材でしょう。情報伝達が行き届いたことと、大量に捕れなくなったことで、そうなりました。
 アカガイは、内湾の、泥底に好んで棲みます。そのような海の底には、酸素が少ないです。他の貝では、呼吸ができず、死に絶えるような環境でも、アカガイは生きられます。
 なのに、アカガイが減ったのは、どういうわけでしょうか?
 「内湾が埋め立てられやすい」ことが、理由の一つでしょう。海ごと埋められたら、貝が棲むどころではありませんね。もう一つの理由としては、「アカガイでも棲めないほど、海底の酸素が減った」ことが考えられます。
 内湾の環境は、人間の影響を受けやすいです。アカガイの減少に、人間の影響がないとは言えません。彼らが棲める環境を、取り戻したいですね。


 過去の記事でも、潮干狩りで会える生き物を紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 貝と付いても貝じゃない? モミジガイ(2007/04/27)
 潮干狩りの主役、アサリ(2006/04/27)
 潮干狩りの悪役、ツメタガイ(2006/04/17)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、アカガイ、潮干狩りで捕れるアサリやハマグリが掲載されています。
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2008年04月21日

イソギンチャクは逆さのクラゲ?

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 水ぬるむ季節ですね。磯遊びや、潮干狩りに出かける方もいるでしょう。そういうレジャーで、普通に見られるのが、イソギンチャクです。
 イソギンチャクは、ひらひらした触手が美しいですね。植物のように見えますが、動物です。刺胞動物【しほうどうぶつ】というグループに属します。
 同じ刺胞動物には、クラゲが属します。実際、クラゲとイソギンチャクは、体の構造が似ています。どちらも、口の周囲にたくさんの触手があります。そして、口が肛門を兼ねます。つまり、物を食べる口と、食べかすを排出する穴とが、同じです。
 イソギンチャクの場合は、一つしかない口を、上へ向けています。口と反対側の体の端で、海底にくっつきます。クラゲの場合は、上下が逆になります。口が下向きなのですね。体のほうは、お馴染みの笠型です。これで、水中を漂っています。
 日本の海岸で、よく見られるのは、ウメボシイソギンチャクや、ミドリイソギンチャクでしょう。どちらも、浅い海に多い種です。潮が引くと、陸になるところにもいます。
 イソギンチャクは、陸では、生きられません。ただし、短時間ならば、耐えられます。触手を縮めて、まさに「磯の巾着」のようになって、耐えています。
 ウメボシイソギンチャクには、面白い性質があります。彼らは、時々、「子ども」を産みます。口から、小さなイソギンチャクが、ぴゅっ、ぴゅっと吐き出されるのです。「子を産むイソギンチャク」として、ウメボシイソギンチャクは、有名でした。
 ところが、近年、ウメボシイソギンチャクが「子を産む」のは、誤解だと判明しました。彼らが産むのは、自分の「子ども」ではありません。「クローン」です。遺伝子的に、まったく、自分と同じ個体です。自分のコピー(複製)ですね。
 ウメボシイソギンチャクは、体内の組織の一部を、切り離します。それを、体内で「培養」します。やがて、小さなイソギンチャクが育ち、口から吐き出されます。
 すべてのイソギンチャクが、このように増えるわけではありません。イソギンチャクの仲間は、とても多様です。彼らの不思議な暮らしぶりは、いずれまた紹介しましょう。


 過去の記事でも、イソギンチャクや、その仲間の刺胞動物【しほうどうぶつ】を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 クラゲは刺胞【しほう】動物? 腔腸【こうちょう】動物?(2007/08/24)
 海藻【かいそう】? いいえ、イラモはクラゲです(2007/07/16)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、ウメボシイソギンチャク、ミドリイソギンチャクなどのイソギンチャク類が掲載されています。
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2008年03月21日

ムカデのプロポーズは、命がけ?

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 卒業式の季節ですね。卒業式といえば、「告白タイム」という考えは、古いでしょうか。
 異性に思いを伝えるのは、大変ですね。ヒト以外の生き物でも、それは同じです。
 例えば、ムカデです。嫌われることが多い生き物ですね。でも、健気【けなげ】なところもあります。雄(オス)が求愛する様子には、感心します。
 ムカデには、たくさんの種があります。ここでは、オオムカデ目のムカデを、例に挙げましょう。日本で、普通に見られるムカデです。トビズムカデなどの種が、含まれます。
 オオムカデの仲間は、必ず、雄のほうからアプローチします。雄は、雌(メス)にそっと近づきます。そして、触角や脚で、雌に触ります。いきなり触るなんて、ヒトなら、「失礼ね!」と言われるところですね。けれども、ムカデは、目が発達していません。たぶん、ムカデの言葉で、「ねえねえ彼女~」と言いながら、触るのでしょう(笑)
 この時、雄は、雌の横や後ろから触ります。真正面からは、決して、触らないようです。なぜなら、雌に攻撃されるおそれがあるからです。
 これは、肉食性の無脊椎動物には、よく見られる行動です。クモなどでも見られます。ムカデやクモは、基本的に、動くものを、「食べ物」とみなすのですね。生き物は、動くものだからです。たとえ同種でも、顔の前に動くものが来たら、攻撃してしまいます。
 ただし、結婚する気がある雌は、別です。「雄がプロポーズしている」と気づけば、おとなしく、雄の後に付いてゆきます。
 やがて、雄は、精子入りのカプセルを、地面に置きます。置くやいなや、さっと逃げ去ります。そうしないと、またもや、雌に攻撃されるおそれがあるからです。雌は、精子のカプセルを受け取った瞬間、雄のことを忘れてしまうようです。
 ムカデの雄は、大変ですね。雌の様子を、すばやく見抜かなければなりません。ぐずぐずすると、雌に食べられてしまいます(!)
 ムカデに比べれば、ヒトは、まだ気楽ですね。女性にふられても、普通は、命までは取られません。野生生物が、子孫を残すのは、厳しいことなのですね。


 過去の記事でも、ムカデの仲間を取り上げています。ムカデと似たヤスデも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ヤスデが列車を止める?(2007/10/01)
 実在する猫バス? ゲジゲジ(2007/03/09)
 ムカデとヤスデはどう違う?(2006/10/15)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、トビズムカデが掲載されています。
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2008年03月08日

六本脚【あし】のタコ(蛸)がいる?

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 英国から、びっくりニュースが届きました。「脚が六本しかないタコ」が見つかったそうです。西北イングランドにある、ブラックプール海洋生物センターでのことです。
 タコといえば、普通は「八本脚」ですよね。俗に「タコの脚(足)」と呼ばれるのは、専門的には、「腕【うで】」と呼ばれます。タコの腕は、簡単に、数が変わるのでしょうか?
 そんなことはありません。先の海洋生物センターによれば、「こんな例は、これまで、世界のどこでも確認されていない」そうです。少なくとも、確認された範囲では、世界初の「六本腕のタコ」です。この個体には、ヘンリーHenryという愛称が付けられました。
 このタコは、六本腕の新種なのでしょうか? 今のところ、そうではなさそうです。普通のタコの一種なのに、生まれつき、腕の数が少ないとのことです。
 このタコが、何という種なのか、知りたいですね。残念ながら、現時点では、このタコの種が何なのか、発表されていません。仮に「ヘクサパスhexapus」と呼ばれています。
 じつは、「普通のタコが、なぜ、八本腕なのか?」は、わかっていません。六本腕のタコが、元気そうなところを見ると、八本でなければならない理由は、なさそうです。
 タコの祖先は、八本より、ずっと腕の数が多かったことが、わかっています。「生きている化石」オウムガイを御存知ですか? オウムガイは、タコの祖先の形に近いです。普通のタコより、はるかに腕が多いです。
 オウムガイの「腕」は、タコよりも、ずっと細いです。「腕」というより、「触手」ですね。その数は、なんと、九十本ほどもあります。大昔のタコの祖先も、同じように、細い触手を、たくさん持っていました。進化するにつれ、数が減ったのですね。
 「進化」とは、どんどん複雑になることだ、と思う方がいるようです。それは、違います。簡単な構造の生物が、複雑な構造になることばかりが、進化ではありません。複雑な構造の生物が、簡単な構造になることもあります。
 今回の発見は、タコが、六本腕でも生きられることを示しました。もしかしたら、私たちは、「タコの進化の瞬間」を、目撃しているのかも知れませんね。


 「六本腕のタコ」のニュースは、以下にあります。
 珍しい6本足のタコが見つかる=英国(時事通信 2008/03/04)
 世界初の六本脚の「ヘクサパス」【英語です】(Discovery News 2008/03/03) 
 「六本腕のタコ」が飼育されている「ブラックプール海洋生物センター」のサイトです。英語が読める方は、見に行くと興味深いでしょう。
 ブラックプール海洋生物センター


 過去の記事でも、タコや、その仲間のオウムガイを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 シマダコは、縞ダコか島ダコか?(2008/003/3)
 タコ(蛸)の旬【しゅん】は冬か夏か?(2007/02/19)
 四億年前からの生き残り? オウムガイ(2006/10/26)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、マダコなど、タコの仲間が六種、オウムガイが掲載されています。
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2008年03月03日

シマダコは、縞ダコか島ダコか?

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 二〇〇八年は、国際サンゴ礁年です。これにちなみ、サンゴ礁の生き物を紹介しましょう。日本では、南西諸島や、小笠原諸島の近海にいる生き物です。
 シマダコという名を、聞いたことがあるでしょうか? タコの一種です。南日本以南の太平洋に、広く分布します。主に、奄美諸島以南にいます。サンゴ礁の海に多いです。
 シマダコは、タコの仲間で、最も分布域が広いのでは、といわれます。日本近海から、南太平洋の孤島、イースター島付近にまで分布します。
 タコといえば、日本人は、食べられるのかどうかが気になりますね(笑) シマダコは、美味しく食べられます。南西諸島や小笠原諸島で、盛んに食べられているようです。
 多くの日本人は、気づかずに、シマダコを食べている可能性があります。シマダコは、たこ焼きの材料に、よく使われているからです。インドネシアから、「たこ焼き用のタコ」として、輸入されています。切り身にされたら、タコの種なんて、わかりませんね。
 シマダコの体には、特徴的な模様があります。赤褐色の地に、白い斑点が連なっています。とてもきれいです。しかも、大型のタコなので、見栄えがします。斑点の模様が、縞【しま】模様に見えるため、「縞ダコ」と名づけられました。
 ところが、シマダコ以外のタコが、「シマダコ」と呼ばれることがあります。ややこしいですね。沖縄では、別の種のタコを、「シマダコ」と呼ぶようです。
 沖縄の人たちは、地元産のものに、「島」を付けて呼びます。彼らが、「シマダコ」と呼ぶのは、「島ダコ」の意味ですね。これを知らないまま、沖縄の人と、タコの話をしたら、大混乱でしょう。
 シマダコは、蛸壺【たこつぼ】には入らないといわれます。タコのうち、サンゴ礁の海に棲むものには、みな、その傾向があります。その理由は、サンゴ礁に、溝【みぞ】などが多いからです。タコにとっては、隠れ家が多いのですね。わざわざ、蛸壺に入る必要がありません。このために、サンゴ礁の海では、蛸壺の漁が発達しませんでした。
 サンゴ礁の生き物には、思いもよらない生態がありますね。興味が尽きません。


 過去の記事でも、タコの仲間を取り上げています。また、国際サンゴ礁年についても取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 国際サンゴ礁年とは、どんなもの?(2007/12/24)
 タコ(蛸)の旬【しゅん】は冬か夏か?(2007/02/19)
 四億年前からの生き残り? オウムガイ(2006/10/26)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、シマダコが掲載されています。
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2008年02月18日

海中を泳ぐ槍【やり】? ヤリイカ

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 イカを知らない日本人は、いないでしょう。食用として、馴染み深いですね。とんがった体に、十本の腕がある姿が、知られています。
 イカの形は、種によって、少しずつ違います。中でも、特に尖った形をしているのが、ヤリイカです。槍の名のとおりです。英語でも、spear squid(槍イカ)と呼ばれます。
 ただし、ヤリイカは、雄(オス)と雌(メス)とで、だいぶ形と大きさが違います。
 雄は、まさに、ヤリイカの名にふさわしいです。胴の長さが40cm以上にもなり、細長く尖っています。雌は、雄よりずっと小型です。胴の長さ25cmほどにしかなりません。形も、雄よりずんぐりしています。細長いケンサキイカという感じです。
 ヤリイカの凸凹カップルは、繁殖期に見られます。繁殖期は、海域により異なります。伊豆などの温かい海では、真冬が繁殖期になります。北海道などの冷たい海では、春になるようです。ヤリイカの場合、繁殖期が漁期になります。
 繁殖期のヤリイカは、岸の近くにやってきます。岸近くの岩礁に、産卵するからです。そこを、網や釣りで捕るのですね。繁殖期以外には、沖にいます。
 ヤリイカの雄は、雌の産卵に付き添います。このような付き添い行動は、ヤリイカに限りません。多くのイカに見られます。その理由は、わかっていません。人間の立会い出産みたいで、微笑ましいですね。生き物をやたらに擬人化するのは、いけませんが。
 最近では、イカは、観賞用としても人気があります。ダイビングで、イカ