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2017年3月17日

キンメダイがいるなら、ギンメダイもいる?

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 キンメダイ(金目鯛)は、美味しい食用魚として、有名ですね。タイ(鯛)の名が付きますが、おめでたい席に使われるマダイ(真鯛)とは、遠縁です。
 マダイは、スズキ目【もく】タイ科マダイ属に属します。対して、キンメダイは、キンメダイ目【もく】キンメダイ科キンメダイ属に属します。目【もく】のレベルで分類グループが違うのは、遠縁といえます。遠縁なら、なぜ、タイの名が付いたのでしょう?
 単純に、キンメダイの外見が、マダイに似るからです。体色が赤く、体型も似ています。でも、キンメダイのほうが、ずっと目が大きいですね。この目が、角度によっては、金色に光るように見えます。だから、キンメダイ(金目鯛)です。
 キンメダイの目が大きいのは、深海魚だからです。深海魚には、暗い所でよく見えるように目を発達させたものと、逆に、視覚を諦めて、目を退化させたものとがいますね。キンメダイは、前者です。キンメダイと同じ方法を選んだ深海魚は、何十種もいます。
 例えば、ギンメダイ(銀目鯛)が、そうです。キンメダイと、種名が紛らわしいですね。
 この種名は、ギンメダイが、キンメダイに似ることから、付きました。ただし、ギンメダイの体色は、赤くありません。目が大きいのは、同じです。その目が、角度によっては、銀色に光って見えます。だから、ギンメダイ(銀目鯛)と名付けられました。
 ギンメダイは、以前、キンメダイと近縁だと考えられていました。同じキンメダイ目【もく】に属するとされました。けれども、最近では、この分類は否定されています。
 現在、ギンメダイは、ギンメダイ目【もく】ギンメダイ科ギンメダイ属に属するとされます。ギンメダイ目【もく】には、ギンメダイ科一つしか、科がありません。ギンメダイ科には、ギンメダイ属一つしか、属がありません。類縁の少ないグループです。
 ギンメダイも、キンメダイと同じように、食べられるのでしょうか? 食べられます。図鑑などには、「あまり美味しくない」と、書かれています。
 確かに、キンメダイの美味しさと比べたら、負けるでしょう。しかし、私が食べた感じでは、ギンメダイも、悪くありません。煮付けで食べたら、美味しかったです(笑)
図鑑↓↓↓↓↓には、
残念ながら、キンメダイ(金目鯛)も、ギンメダイ(銀目鯛)も、載っていません。かわりに、日本に分布する魚類が、五十種以上が載っています。
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 過去の記事でも、深海魚を取り上げています。また、「タイ(鯛)」の名が付く魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
食べられる深海魚? ハダカイワシ(2017/1/13)
巨大な深海魚とは?(2013/7/15)
深海魚には、長い名前が多い?(2013/1/21)
リュウグウノツカイは、一種ではない?(2011/12/12
おめでタイ!にも、いろいろいます(2008/1/4)




2017年2月24日

オオカミは、獣肉以外も食べる?

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 オオカミ(狼)といえば、代表的な肉食獣ですね。誰もが、子供の頃、童話で、オオカミの話を聞いているでしょう。「オオカミと七匹の子ヤギ」で語られるように、オオカミは、ヒツジ(羊)やヤギ(山羊)などを襲って食べるものと思われています。
 それは、間違いではありません。ただ、家畜を襲って食べるようになったのは、歴史的には、最近のことです。人間が、家畜を生みだす前から、オオカミは生きていました。当然、その頃には、野生の草食獣を襲って食べていました。
 テレビ番組などで、野生のオオカミが、シカ(鹿)などを襲う場面を見た方も、いるでしょう。あのように、オオカミの主食は、シカなどの有蹄類だとされてきました。
 ところが、最近の調査で、「そうとは限らない」という結果が出ました。肉食獣が、獣肉を食べるのでなければ、いったい、何を食べるのでしょうか?
 それは、魚です。カナダで行なわれた調査で、少なくとも、海辺に棲むオオカミは、食べ物の多くを、海に依存することがわかりました。中でも、多いのは、サケ(鮭)です。
 サケは、産卵期になると、大量に川に上ってきますね。あれを利用できるなら、確かに、有利でしょう。じつは、サケは、シカよりも、蛋白質と脂肪とが、豊富だからです。
 サケの産卵期には、オオカミの食料のうち、なんと四分の一が、サケで占められるといいます。先述の、カナダでの調査結果です。「魚食オオカミ」ですね(笑)
 二〇一七年になって、かつての日本にも、「魚食オオカミ」がいたらしいとわかりました。北海道にいた、エゾオオカミ(蝦夷狼)です。エゾオオカミの一部は、カナダの海辺のオオカミと同じように、サケなどの海産物を、大量に食べていたようです。
 エゾオオカミは、とっくに滅びているのに、なぜ、そんなことがわかったのでしょうか? 残された標本を調べたからです。科学技術が進んだおかげで、骨などの標本から、食べていた物がわかるようになりました。これだから、標本を残すのは、大事ですね。
 エゾオオカミが滅んだことは、取り返しがつきません。せめてもの供養に、彼らが、自然界で果たしていた役割を、できるだけ、詳しく知りたいものです。
図鑑↓↓↓↓↓には、
残念ながら、オオカミは載っていません、かわりに、オオカミと同じイヌ科の哺乳類が、二種ほど
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 過去の記事でも、オオカミについて取り上げています。また、オオカミの食べ物になるサケやシカについても、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
エゾシカとケラマジカとは、同じ種か?(2012/6/18)
チュパカブラ? ニホンオオカミ? 謎の生物の正体は(2009/3/30)
同じ種なのに名が違う? 桜鱒(サクラマス)と山女(ヤマメ)(2006/3/20)
イヌの祖先はオオカミか?(2005/12/26)
森を育てるサケ(2005/9/13)


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2017年1月13日

食べられる深海魚? ハダカイワシ

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 深海生物といえば、ヒトの手の届かない所で、ひっそり生きている印象が強いですね。
 ところが、実際には、日本人は、深海生物とわりと親しんでいます。なぜなら、食用にされている深海生物がいるからです。アンコウ、タチウオ、キンメダイなどは、食用魚として、知られますね。これらは、みな深海魚です。
 魚類以外でも、ホタルイカ、サクラエビ、ズワイガニなどの深海生物が、食用にされています。深海生物の研究にも、これほど恵まれた国は、少ないだろうと思います。
 深海生物を、もっと利用しようという動きも、出ています。例えば、現在、食べられていない深海魚の中に、食用になるものがあるのでは、といわれます。
 未利用の深海魚のうち、ハダカイワシの仲間は、食用として有望視されています。ハダカイワシの仲間は、とても数が多いと考えられるからです。
 イワシと名が付いても、ハダカイワシは、イワシとは遠縁です。まるで違うグループです。ハダカイワシ目【もく】ハダカイワシ科に属する種を、ハダカイワシと総称します。
 ややこしいことに、ハダカイワシ科の中に、ハダカイワシという種名の種がいます。この種名ハダカイワシを含め、ハダカイワシ科には、二百種以上が含まれます。
 ハダカイワシ科の種は、以前から、食用にされることがありました。ただし、その利用は、ごく限られた地域にとどまりました。安定して漁獲されないからです。
 最近、一般に売られ始めたハダカイワシ科の種もあります。センハダカという一種が、そうです。駿河湾に分布するハダカイワシです。ハダカイワシ科ハダカイワシ属に属します。駿河湾のサクラエビ漁で、以前から、混獲【こんかく】されていました。
 混獲されても、市場には、出されません。漁師さんたちが、自分たちで食べるだけでした。それはもったいないと、一般に売られるようになりました。
 ハダカイワシ科には、脂質が多過ぎて、食用に適さない種もあります。幸いなことに、センハダカには、そういうことがないとわかりました。駿河湾の新しい名産品として、定着すればいいなと思います。
図鑑↓↓↓↓↓には、
残念ながら、ハダカイワシの仲間は、載っていません。かわりに、日本近海や淡水にすむ魚が、五十種以上が掲載されています。



 過去の記事でも、深海生物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヌタウナギは、スーパー繊維の持ち主?(2016/4/8)
メヒカリ(目光)の正式名称は?(2016/3/4)
アカマンボウは、マンボウの仲間か?(2015/7/31)
三種が一種に? ダンゴウオ科の魚たち(2015/5/18)
巨大な深海魚とは?(2013/7/15)




2016年12月24日

ワカケホンセイインコ

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ワカケホンセイインコ  画像
和名:ワカケホンセイインコ
学名:Psittacula krameri manillensis
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東京 品川区【2016.12.17】




2016年10月28日

サメの繁殖方法いろいろ、その2

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 先週、このブログで、サメの繁殖方法について、紹介しましたね。今回は、その続きです。前回は、サメの繁殖方法に、卵生と卵胎生があると書きましたね。
 サメには、他の繁殖方法もあります。胎生です。まるで哺乳類のように、体内の「子宮」で、子供を育てるサメがいます。「魚なのに、子宮があって、胎児を育てるの?」と、驚く方が多いでしょう。胎生は、哺乳類だけが発明したやり方ではありません。
 サメの「子宮」は、卵管が大きくふくれて、発達したものです。例えば、ホホジロザメなどは、そういう「子宮」を持ちます。ホホジロザメは、胎生のサメの一種です。
 二〇一六年になって、ホホジロザメの繁殖方法で、驚くべきことがわかりました。ホホジロザメの母親は、子宮内に、「乳」を分泌します。子供は、その「乳」を飲んで育ちます。
 サメの仲間で、「子宮ミルク」を分泌することが確認されたのは、ホホジロザメが初めてです。これまでは、サメと同じ軟骨魚類のエイの一部―オニイトマキエイ(マンタ)など―で、子宮ミルクが知られていただけでした。
 胎生のサメには、哺乳類に似た胎盤を持つ種もいます。例えば、シュモクザメの仲間などが、そうです。メジロザメ目【もく】シュモクザメ科シュモクザメ属の種ですね。
 シュモクザメ属の種が妊娠すると、最初のうち、子供は、母体の子宮内で、卵の卵黄を栄養にして育ちます。卵黄がなくなると、卵黄を包んでいた卵黄嚢【らんおうのう】が、胎盤に変わります。母体から、胎盤を通じて、子供は栄養をもらいます。哺乳類のように、「へその緒」で、子供とお母さんとがつながっています。
 ここまで、サメの繁殖方法を、卵生と卵胎生と胎生とに分けて、説明してきました。けれども、じつは、卵生と卵胎生と胎生とは、はっきり分けられるものではありません。
 とりわけ、卵胎生と胎生との区別は、難しいです。サメの場合、繁殖方法が変化に富んでいて、卵胎生とも胎生ともいえる形式のものが、無数に存在します。
 卵胎生か胎生か、明確にすることに、あまり意味はありません。言葉の定義より、豊かなサメの繁殖方法に触れて、それを明らかにするほうが、実りが多いでしょう。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本近海に分布するオグロメジロザメ、ネムリブカ、カスザメが掲載されています。
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 過去の記事でも、サメの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
サメの繁殖方法いろいろ(2016/10/21)
水着、飛行機、ラケット、サメの科学力(2016/6/3)
サメには、歯医者が要らない?(2014/9/1)
ネムリブカは、眠るサメ?(2008/8/11)
ホオジロザメ(ホホジロザメ)は本当にヒトを食うか?(2005/11/25)





2016年10月21日

サメの繁殖方法いろいろ

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 今回は、サメの繁殖方法について、紹介しましょう。
 サメの繁殖方法は、バリエーションに富んでいます。大きく分けると、普通の魚のように卵を産むものと、子供を産むものとがいます。子供を産むものの中でも、詳しく見てみると、体内での子供の養育方法に、違いがあります。
 卵を産むサメについては、他の魚と同じです。親は、海底の海藻などに、卵を産みつけます。あとは、面倒を見ません。ネコザメ目【もく】ネコザメ科のネコザメや、メジロザメ目【もく】トラザメ科のトラザメなどが、このような卵生のサメです。
 卵を卵のまま産まず、体の中で孵化【ふか】させて、それから産むサメがいます。体内で、卵の栄養をもとに、子が育ちます。卵胎生と呼ばれる繁殖方法ですね。
 母親の体内で、「自分以外の卵の栄養」を使って、子が育つ方法もあります。この場合、母親は、子にならない栄養専門の卵を、体内に持ちます。自分の卵の栄養を使って、ある程度まで育った子は、そのような栄養専門の卵を食べて、さらに育ちます。
 ネズミザメ目【もく】ネズミザメ科のネズミザメや、ネズミザメ目オナガザメ科のマオナガなどが、このような卵食【らんしょく】による繁殖を行ないます。
 ネズミザメ目オオワニザメ科のシロワニという種は、卵食型の繁殖をします。その中でも、特殊なやり方です。卵ばかりでなく、同じ母親の体内で育つ子供同士で、共食いをします(!) 最終的には、二匹しか、生き残りません。
 シロワニの繁殖方法は、ヒトには、恐ろしく思えますね。しかし、この方法には、利点があります。他の子を食べて育つおかげで、産まれるまでに、大きく育つことができるのです。シロワニの子は、生まれた時に、すでに、全長が1m以上もあります。
 これだけ大きくなっていれば、子ザメといえども、敵に襲われる危険性は、少ないでしょう。卵食や共食いは、凶暴さを示すものではなく、生き残りのためです。
 こんな繁殖方法のシロワニは、さぞかし、凶暴なサメだと思うでしょう。意外なことに、シロワニは、おとなしいサメです。ヒトが襲われることは、まず、ありません。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本近海に分布するオグロメジロザメ、ネムリブカ、カスザメが掲載されています。
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 過去の記事でも、サメの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
水着、飛行機、ラケット、サメの科学力(2016/6/3)
サメには、歯医者が要らない?(2014/9/1)
サメやエイには、鰾【うきぶくろ】がない?(2014/5/12)
魚類というグループは、ない?(2014/3/31)
ノコギリザメと、ノコギリエイとは、違う? 同じ?(2012/7/16)




2016年9月25日

日本の自然を世界に開いたシーボルト

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 シーボルトの名は、おそらく、ほとんどの方が、聞いたことがあるでしょう。江戸時代に、二度にわたって来日した、ドイツの人ですね。
 当時、ヨーロッパの国で、日本と交易していたのは、オランダだけでした。このため、シーボルトはドイツ人ですが、オランダ商館の一員として、日本に来ました。
 シーボルトには、とても多くの功績があります。その中に、日本の動植物の標本を、大量に収集し、研究したことが挙げられます。シーボルトがいなければ、日本の動植物の研究は、今より、何十年も遅れていたかも知れません。
 そのシーボルトが、実際に集めた動植物の標本を、今、国立科学博物館で、見ることができます。「日本の自然を世界に開いたシーボルト」という企画展の会場に、展示されています。シーボルト没後も、標本は、ヨーロッパで、大切に保管されていました。
 シーボルトの標本は、今でも、動物学や植物学の役に立っています。例えば、現在では絶滅したとされる、ニホンカワウソの標本を、シーボルトは収集しています。ニホンカワウソを研究する手がかりは、もはや、そのような標本しかありません。
 動物や植物に詳しい方なら、ラテン語の学名を調べていて、気がついたことはありませんか? 特に、日本の植物の場合、ラテン語の学名の後ろに、「Siebold【シーボルト】」や、「Siebold & Zuccarini【シーボルト&ツッカリーニ】」と付くものが、多いです。
 例えば、タマアジサイという植物は、ラテン語の学名Hydrangea involucrataの後ろに、Sieboldと付きます。日本のクリ(栗)は、ラテン語の学名Castanea crenataの後ろに、Siebold & Zuccariniと付きます。
 Zuccariniとは、シーボルトと一緒に日本の植物を研究した、ドイツの植物学者ツッカリーニを指します。ラテン語の学名の後ろに、人名が付くのは、その学名を命名した人を示します。シーボルトとツッカリーニが、いかに多くの植物を命名したか、わかります。
 企画展の会場では、最近になって、シーボルトの標本を調べて、新たにわかったことも、紹介されています。没後150年経っても、彼の功績は、輝き続けています。

図鑑↓↓↓↓↓には、シーボルトが研究した日本の動植物が、千八百種ほどが掲載されています。
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 企画展「日本の自然を世界に開いたシーボルト」の情報は、以下のページにあります。
日本の自然を世界に開いたシーボルト(国立科学博物館の公式サイト内ページ)


 過去の記事でも、現在、開催中の、生物に関するイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ウルトラ植物博覧会2016(2016/8/17)
格好いい海のハンターたち(2016/7/12)

2016年9月16日

ネコもライオンも、ペットにできる?

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 ネコ(猫)は、人間にとても好かれる生き物ですね。ネコのかわいさは、今さら言うまでもありません。ネコをペットにしている人は、世界中に、おおぜいいます。
 ネコは、哺乳類のうち、食肉目【しょくにくもく】ネコ科に属します。同じ食肉目ネコ科には、ライオンも属します。同じネコ科なら、ライオンもペットになるでしょうか?
 これは、大概の方が否定するでしょう。いくら同じネコ科でも、ライオンは、危険すぎますよね。少なくとも、日本の普通の民家で、ライオンが飼えるとは思えません。
 けれども、これと似たことを、普通の人がやってしまう場合があります。特に、爬虫類などの、ペットとして馴染みが薄い生き物を飼う場合には、注意が必要です。
 例えば、ボールニシキヘビというヘビの一種がいます。このヘビは、とても性質がおとなしいです。毒もありません。もてあますほど大きくもなりません。爬虫類の中で、ペットとして飼うなら、お勧めできる種です。ニシキヘビ科ニシキヘビ属の一種です。
 同じニシキヘビ科ニシキヘビ属に、アミメニシキヘビという種がいます。この種は、世界のヘビの中でも、最大級に大きくなる種です。毒はありませんが、その大きさゆえに、危険です。実際に、ヒトが襲われて、食べられた例が、いくつも報告されています。
 ボールニシキヘビと、アミメニシキヘビとは、とても近縁な種同士です。同じ科で、同じ属ですからね。なのに、その生態も性質も、まるで違います。ボールニシキヘビが飼えたからといって、アミメニシキヘビを飼うのは、無謀すぎます。
 ボールニシキヘビとアミメニシキヘビとの関係は、ネコとライオンとの関係に似ています。普通の人は、ネコをペットにしても、ライオンをペットにしようとは思わないでしょう。しかし、馴染みの薄い動物を飼う場合には、そのような判断がききにくいです。
 いわゆる、エキゾチック・ペットと呼ばれる、変わったペットを飼うことを、否定するつもりはありません。ただし、そういったペットを飼う場合には、イヌやネコを飼う場合以上に、正しい知識と、覚悟が求められます。「○○と近縁種だから、○○と同じ飼い方でいいんだよね」などと、安易な考えを持たないよう、強くお願いいたします。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する動植物が、千八百種ほども掲載されています。
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 過去の記事でも、飼育されることがある生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
も御覧下さい。
ハリネズミは、ネズミじゃない?(2014/8/18)
トカゲモドキの美人コンテスト?(2013/11/11)
カブトムシとクワガタムシ、どちらが長生き?(2013/10/7)
害魚が益魚に? うろこの秘密(2010/3/8)
リスも冬眠する?(2009/12/18)






「動く野鳥コレクション」がApp Storeのエンターテイメントカテゴリにて「ベスト新着アプリ」としてご紹介いただいております!!

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2016年7月19日

驚異の深海生物がいっぱい!

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 千葉県立中央博物館で、面白い展覧会が開かれています。「驚異の深海生物―新たなる"深"世界へ―」です。早速、行ってまいりました。とても興味深い展覧会でした。
 この展覧会では、何と言っても、実物の深海生物の標本が、たくさん見られることが、すごいです。深海関係の展覧会でも、ここまで多くの実物標本が展示されるのは、めったにありません。種としても、数が少なく、変わった姿のものが来ています。
 変わった姿の深海魚と言えば、タウマティクティスが、横綱級です。タウマティクティスとは、ラテン語の学名Thaumatichthysを、そのまま読んだ名です。奇想天外な姿のために、ビックリアンコウという日本語名も付いています。
 タウマティクティス(ビックリアンコウ)は、下顎【あご】より、上顎のほうが長いです。下顎からはみ出た上顎の部分に、発光器が付いています。この発光器で、獲物をおびき寄せるのではないかといわれます。生きた姿を見た人は、誰もいないので、本当の生態は、わかっていません。標本ですら、一般公開されるのは、まれなことです。
 魚類以外の深海生物も、充実しています。例えば、ヤドカリの仲間のキンチャクヤドカリという種がいます。普通のヤドカリは、貝類の殻を借りて、宿にしますね。ところが、キンチャクヤドカリは、イソギンチャクを宿にします。
 イソギンチャクには、骨がないため、柔らかいです。キンチャクヤドカリは、そのようなイソギンチャクを背負って、脚でぐぐーっと引っ張り上げます。ちょうど、ヒトがパンツをはくような状態で、ヤドカリの腹部に、イソギンチャクをはきます。
 こんな不思議な生態の生物たちに、会ってみたいですよね? 会場には、このような深海生物たち(の実物標本)が、まだまだ、たくさんいます。巨大な口のフクロウナギ、巨大な胃袋のオニボウズギス、鉄の鎧【よろい】を持つウロコフネタマガイ(スケイリーフット)、世界最深の深海の底に棲むカイコウオオソコエビなどです。
 甲殻類のタナイス目【もく】で最大の種、エンマノタナイスもいます。深海生物がお好きなら、このような地味な種も、お見逃しありませんように。

図鑑↓↓↓↓↓には、キアンコウ、ズワイガニ、タラバガニなど掲載されています。
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 「驚異の深海生物」展の情報は、以下のページにあります。
驚異の深海生物―新たなる"深"世界へ―(千葉県立中央博物館の公式サイト内ページ)
 過去の記事でも、現在開催中の生物関係のイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
格好いい海のハンターたち(2016/7/12)
江戸の博物学(2016/7/2)

2016年7月12日

格好いい海のハンターたち

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 国立科学博物館で、「海のハンター展」という展覧会が開かれています。海のハンター、つまり、捕食動物たちを紹介する展覧会です。早速、行ってまいりました。
 最初に、古代の海のハンターたちが紹介されています。ここでは、脊椎動物の顎【あご】の進化について、解説されています。ぜひ、この解説パネルをお読み下さい。私たち脊椎動物にとって、顎の獲得が、いかに画期的なことだったか、わかります。
 古代の次は、現代の海に棲むハンターたちが現われます。深海、極域、外洋、浅海と、四つの生息域ごとに、紹介されています。
 深海には、「これって、本当に魚なの?」と訊きたくなる、奇妙な姿の深海魚がいます。その姿は、暗く、冷たく、食べ物の乏しい深海に適応したものです。奇妙に見えても、その姿は、深海で獲物を捕え、生きるのに、都合が良い姿です。
 極域は、とてつもない寒さが、生き物を苦しめます。そんな中でも、例えばペンギンなどは、氷山の浮かぶ海に潜って、獲物を捕えています。会場では、ペンギンに小型カメラを背負ってもらって、撮影した映像を見ることができます。
 外洋は、高速で泳ぐ魚が多い世界です。外洋には、身を隠すものがないため、敵から逃れるには、速く泳ぐしかありません。そういった獲物を捕えるには、ハンターたちは、もっと速く泳がなければなりません。クロマグロなどが、高速で泳ぐ理由です。
 浅海は、私たちヒトに馴染み深い世界ですね。ここでは、マダイ、サワラ、ヒラメ、アナゴなど、食卓によくのぼる魚たちが、紹介されています。ヒトが食べるこれらの魚たちも、海中では、貪欲なハンターなのですね。
 全体を通して、最も多く展示されているのは、サメ類です。サメ類は、四億年以上も前に、地球に現われました。それ以来、絶滅の危機を乗り越えて、捕食者として進化してきました。このために、海のあらゆる領域で、多様なハンターになっています。
 会場では、サメたちの、ハンターとして研ぎ澄まされた能力が、紹介されています。格好いいです。サメが好きな方にとっては、天国のような展覧会です(笑)
図鑑↓↓↓↓↓には、日本近海に棲むサメ類など、海のハンターが何種も掲載されています。
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 海のハンター展については、以下のページに情報があります。
海のハンター展 公式サイト


 過去の記事でも、現在、開催中の、生物に関する展覧会を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
江戸の博物学(2016/7/2)

2016年7月 2日

江戸の博物学

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 うっとうしい梅雨の季節ですね。今回は、雨でも、室内で楽しめる催しを紹介しましょう。静嘉堂【せいかどう】文庫美術館で開催中の「江戸の博物学」展です。
 江戸時代は、情報の限られた鎖国の時代でした。とはいえ、文化レベルが低かったわけではありません。少ない情報の中で、世界を知ろうと、一生懸命な人たちがいました。その人たちのおかげで、博物学が発達しました。
 博物学とは、現代の植物学・動物学・医学・天文学・地質学などを、すべて一緒にした学問です。当時は、科学が発展途上だったために、まだ、分野がはっきり分かれていなかったのですね。博物学は、未熟ながらも、世界を知るための科学でした。
 博物学の成果は、書籍という形で、世に発表されました。それらの書籍が、現代にまで残っています。おかげで、現代の私たちも、江戸時代の博物学を知ることができます。
 「江戸の博物学」展の会場には、江戸時代の博物学の書籍が、たくさん展示されています。多くの書籍には、絵が付いています。例えば、『大和本草【やまとほんぞう】』、『本草図譜【ほんぞうずふ】』などの植物図鑑には、植物の絵があります。
 会場の書籍を見比べれば、同じ江戸時代でも、時代が下るにつれて、博物学が発達してゆくのが、わかります。前述の『大和本草』と『本草図譜』とを比べると、十八世紀初頭の『大和本草』のほうが、十九世紀半ばの『本草図譜』より、明らかに絵が稚拙です。
 『大和本草』と『本草図譜』との間には、百年以上の時間差があります。この間、百年以上にわたって、博物学の積み重ねがあったということです。『本草図譜』くらいになると、現代に持ってきても、遜色ないレベルの絵です。美しいです。
 会場で、特に見るべきなのは、『鱗鏡【うろこかがみ】』という書籍です。これは、江戸時代の魚類図鑑です。多くの魚、イカ、タコ、エビ、カニなど、水中に棲む生物が描かれています。本書が一般公開されるのは、これが初めてだそうです。
 『鱗鏡』は、きっと、大切に秘蔵されてきたのでしょうね。保存状態がよく、彩色が鮮やかです。江戸時代の博物学の精華を、楽しむことができます。

図鑑↓↓↓↓↓には、江戸の博物学の書籍にも載っている、日本の動植物が掲載されています。
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 「江戸の博物学」展に関する情報は、以下のページにあります。
江戸の博物学~もっと知りたい!自然の不思議~(静嘉堂文庫美術館の公式サイト内ページ)

2016年6月 3日

水着、飛行機、ラケット、サメの科学力

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 サメは、海の捕食者として有名ですね。サメの体には、捕食者であるための特徴が、いくつもあります。今回は、そのような特徴の一つを、紹介しましょう。
 サメの特徴の一つとして、「サメ肌」があります。サメの皮膚は、ざらざらしています。サメの皮膚を、顕微鏡で見ると、小さな棘のようなものが生えています。それが、サメの鱗【うろこ】です。この鱗のために、ざらざらした感触の皮膚になっています。
 「サメ肌」は、海を泳ぐのに、重要な役割を果たします。意外なことに、すべすべした皮膚より、ざらざらした皮膚のほうが、水の抵抗が少なくて済むのです。
 つまり、少ない力で、より速く泳ぐことができます。捕食者であるサメには、重要なことですね。速く泳がなければ、獲物を捕まえることができません。
 最近、この「サメ肌」を応用して、人間用の水着が作られました。少し話題になったので、御存知の方もいるでしょう。競泳用の水着です。0.1秒を争う競泳の世界では、少しでも水の抵抗が減らせるなら、有利ですね。
 「サメ肌」は、他にも、いろいろなところに応用されています。
 例えば、「サメ肌」の構造を真似て作られたフィルムが開発されました。このフィルムは、船に貼られます。すると、水の抵抗が減るので、船は、より速くなります。ヨットレースのヨットや、オリンピック競技のボートなど、タイムを競う船に使われます。
 「サメ肌」で、水の抵抗が減らせるなら、空気の抵抗も減らせるのではないでしょうか? そう考えた人々によって、飛行機に「サメ肌」を応用する研究がされています。
 飛行機の場合、速さを追求するために、「サメ肌」が研究されるのではありません。主な目的は、燃料を節約するためです。空気の抵抗が少しでも減れば、使う燃料が減ります。飛行機は、燃料のコストが非常に高いため、燃料の節約に、大きな意味があります。
 空気の抵抗を減らすのでは、テニスのラケットにも、「サメ肌」を応用したものがあります。これで、高速で安定したスイングができるようになったそうです。
 何億年もかけて進化してきたサメには、ヒトが学ぶところが、たくさんありますね。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本近海に分布するサメが、三種ほど掲載されています。
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 過去の記事でも、サメの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
サメには、歯医者が要らない?(2014/9/1)
サメやエイには、鰾【うきぶくろ】がない?(2014/5/12)
サカタザメは、サメ? それとも、エイ?(2012/12/17)
ノコギリザメと、ノコギリエイとは、違う? 同じ?(2012/7/16)
カスザメは、海中の天使?(2008/12/1)
などです。



2016年4月21日

生き物に学び、くらしに活かす

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 国立科学博物館で、小規模ながら、面白い企画展が開かれています。「生き物に学び、くらしに活かす」です。早速、見に行ってまいりました。
 企画展の内容は、題名のとおりです。厳しい自然界に、見事に適応している生き物たちに学んで、人間の暮らしに活かそうというものです。すでに実用化された技術や、これから実用化されそうな技術が、紹介されています。未来に夢が描けます。
 例えば、競泳用の水着には、サメに学んで作られたものがあります。
 サメは、海の中で、獲物を捕えるために、速く泳がなければなりませんね。なぜ、サメが速く泳げるのか、それには、さまざまな体の仕組みが、関わっています。
 その一つが、皮膚の構造にあります。サメの皮膚は、速く泳ぐために、余計な水の抵抗を減らすようにできています。この皮膚の構造を真似て、競泳用水着が作られました。実際に、余計な水の抵抗を減らして、泳げるようになったそうです。
 また、建物の外壁に使われるタイルで、「汚れのつきにくいタイル」があります。これは、なんと、カタツムリの殻の構造を研究して、作られました。
 カタツムリは、雨の中を這い回ることが多いですね。じめじめした中を行動するのに、カタツムリの殻には、コケもつかず、いつもきれいです。
 その秘密は、殻の微細な構造にありました。カタツムリの殻は、雨に当たると、汚れが流れ落ちやすい構造になっています。この構造を真似て、タイルが作られました。
 もっと身近なところでは、マジックテープ(面ファスナー)があります。マジックテープは、ある植物の構造を真似て作られたことを、御存知でしたか?「ひっつき虫」と呼ばれる植物の果実です。草むらを歩くと、衣服にくっついてくる植物の果実ですね。
 「ひっつき虫」は、一種だけの植物ではありません。たくさんの種があります。マジックテープの開発者は、直接的には、ゴボウの果実を参考にしたといわれます。
 このように、生き物に学んだ技術を活かす学問を、バイオミメティクス(生物模倣)といいます。会場では、楽しいバイオミメティクスの例を、いくつも見ることができます。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本の動植物が、千八百種ほど掲載されています。
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 「生き物に学び、くらしに活かす」の情報は、以下のページにあります。
生き物に学び、くらしに活かす(国立科学博物館の公式サイト内ページ)


 過去の記事でも、生き物に関する、現在開催中のイベントを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
江戸から昭和、平成へ、薬草の博物誌(2016/3/8)


2016年4月 8日

ヌタウナギは、スーパー繊維の持ち主?

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 ヌタウナギという生物の名を、聞いたことがおありでしょうか? 名前のとおり、外見は、ウナギに似て、細長いです。多くのヌタウナギの仲間は、深海に棲みます。
 外見が似ていても、ヌタウナギは、ウナギとは、まったく違う生物です。厳密に言えば、魚類ですらありません。魚類より、もっと原始的な脊椎動物です。ヌタウナギに近縁なのは、ヤツメウナギです。ヤツメウナギとヌタウナギと合わせて、円口類と呼ばれます。
 先述のとおり、円口類は、魚類とは違うグループです。現存する脊椎動物の中では、最も原始的とされます。が、便宜的に、魚類に入れられることが多いです。
 ヌタウナギには、魚類のウナギとは違う、いくつもの特徴があります。外見で、すぐに気づくのは、眼がないことです。暗い深海で暮らすため、彼らは、事実上、視覚を捨てたと考えられています。かわりに、嗅覚や触覚を発達させました。
 ヌタウナギの顔を見ると、顔の先端に、「口」が開いているように見えます。ところが、これは、口ではありません。鼻孔です。鼻孔が大きいので、口に見えてしまうのですね。嗅覚を発達させたために、こうなりました。本当の口は、顔の下側にあります。
 ヌタウナギの「ヌタ」とは、どういう意味でしょうか? これは、彼らが、ヌタヌタした粘液を分泌することに由来します。この粘液は、ヌタウナギが獲物を捕えたり、敵の攻撃を防いだりするのに使われます。分泌された粘液は、水を吸って量が増えます。
 水中で増えたヌタヌタは、強力な武器になるようです。ヌタヌタが鰓にからんで、窒息してしまう生き物もいます。水中から、ヌタヌタを引き上げてみると、透明なゼリー状の塊になっています。とても丈夫で、引っ張っても、ちぎれません。
 近年、このヌタヌタが、注目されています。人間の役に立つかもしれないからです。
 ヌタヌタを調べると、非常に細い繊維状になっています。この繊維は、なんと、同じ太さのナイロン繊維や、ケブラー繊維よりも、丈夫だとわかりました。人工的に、この繊維を再現できれば、ナイロンやケブラーにとって代わるかも知れません。
 いつか、ヌタウナギから学んだ繊維が、私たちの体を飾る日が来るでしょうか。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ヌタウナギは載っていません。かわりに、日本の魚類が、五十種以上掲載されています。
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 過去の記事でも、円口類【えんこうるい】を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヤツメウナギは、魚類か?(2012/2/6)
などです。


2016年3月27日

未来をひらく、海からの贈り物

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 お子さんたちは、春休みですね。春休み向けのイベントが、各地で開かれています。そのようなイベントの一つに、行ってまいりました。東京の科学技術館のイベントです。
 科学技術館で、「海!!未来をひらく!海からの贈り物」という展覧会が開かれています。海の生物から学んだ、さまざまな科学技術が、紹介されています。
 会場の入り口には、直径約2mの「ミステリーサークル」の模型があります。これは、体長がわずか10cmほどの魚が、海底に作るものです。その魚は、アマミホシゾラフグという、フグの一種です。奄美大島付近の海に棲んでいます。
 アマミホシゾラフグが作る「ミステリーサークル」は、卵を産みつけるための場所です。この「ミステリーサークル」の形を調べると、中心に産みつけられた卵に、常に新鮮な海水が送られるようになっていることが、わかりました。
 この形を研究すれば、海の土木工事に、役立つかも知れません。魚から教わる科学技術ですね。会場では、アマミホシゾラフグがサークルを作る映像を、見ることができます。
 会場の奥へ行くと、生きたオワンクラゲがいます。下村脩さんのノーベル賞で有名になった、オワンクラゲです。このクラゲから発見されたGFPという物質が、生物学の研究に、非常に役立っています。生きたオワンクラゲは、水族館でも、見る機会が少ないです。
 会場では、海藻から作られたハンドクリームを、試すこともできます。アカモクという海藻から、作られたクリームです。アカモクは、ワカメやコンブと同じ褐藻【かっそう】というグループに属します。秋田県や新潟県では、昔から、食用にされていました。
 アカモクに限りませんが、海藻には、ぬめりがありますよね。このぬめりには、ヒトの体に良い作用をもたらす物質が含まれています。例えば、保湿作用などです。これを利用して、ハンドクリームが作られました。塗ってみたら、さらりとした感触でした。
 会場では、他にも、生きたヌタウナギ(深海魚の一種)や、サメの皮膚を研究して作られたテニスラケットなどが、見られます。規模は、小さな展覧会です。説明員の方から、いろいろとお話を聞くことができます。ぜひ、話しかけてみて下さい。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本の海に分布する魚類や、無脊椎動物掲載されています。
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 過去の記事でも、現在、開催中の生物関係のイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
江戸から昭和、平成へ、薬草の博物誌(2016/3/8)
エミール・ガレの愛した植物たち(2016/1/31)

2016年3月 4日

メヒカリ(目光)の正式名称は?

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 日本は、魚食文化が盛んな国です。地方ごとに、名物といわれる魚がいます。今回は、そのような魚の仲間を紹介しましょう。メヒカリです。
 二〇一六年現在、メヒカリと言えば、福島県いわき市の名物が知られます。この魚は、正式な日本語名(標準和名)を、マルアオメエソといいます。ヒメ目【もく】アオメエソ科アオメエソ属の一種です。名のとおり、大きな眼が、青っぽく光って見えます。
 マルアオメエソには、そっくりな別種がいます。アオメエソです。同じアオメエソ科アオメエソ属に属します。あまりにも似ているために、外見では、区別が付けがたいです。市場では、アオメエソも、マルアオメエソと区別せずに、メヒカリと呼ばれます。
 マルアオメエソと、アオメエソとは、主に、分布域で区別されます。おおむね、千葉県以北の海にいるものは、マルアオメエソです。アオメエソは、神奈川県以南の海に分布します。ですから、いわき市の名物になっているのは、マルアオメエソのほうです。
 名物にされているのに、マルアオメエソの生態は、よくわかっていません。眼が大きいのは、水深200mより深い、深海によく行くからだと考えられています。深海のかすかな光をとらえるために、眼が発達したのですね。アオメエソも、同じだと考えられます。
 メヒカリと呼ばれるのは、マルアオメエソやアオメエソばかりではありません。アオメエソ科とは、まったく類縁の遠い魚も、メヒカリと呼ばれることがあります。
 例えば、標準和名をニギスという魚が、そうです。ニギスは、ニギス目【もく】ニギス科ニギス属に属する一種です。目【もく】のレベルで分類が違うので、マルアオメエソやアオメエソとは、遠縁です。ですが、同じように、眼が大きく、光って見えます。
 ニギスも、食用にされる魚です。日本海から、太平洋岸では神奈川県以南の海に、広く分布します。この種は、別名が多く、そのために、他種の魚と、混同されがちです。メヒカリ以外に、ギス、メギス、キツネエソ、オキイワシなどの別名があります。
 前記のとおり、日本は魚食文化が盛んなゆえに、地方ごとの魚の別名が多いです。同じ名で呼ばれても、ある魚と別の魚とが、同じ種とは、限りません。注意が必要です。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、マルアオメエソ、アオメエソ、ニギスは載っていません。かわりに、日本に分布する魚が、五十種以上掲載されています。
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 過去の記事でも、食用になる魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
サワラは、春の魚か?(2015/3/30)
コハダの正式名称は?(2015/2/2)
ハタハタ、タラ、アンコウの共通点は?(2015/1/26)
あれもイワシ? これもイワシ?(2014/6/2)
大鯰(オオナマズ)は、実在するか?(2011/10/24)
などです。



2016年1月 9日

縄文時代の生き物とは?

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 神奈川県立歴史博物館で、ちょっと面白い展覧会が開かれています。「縄文の海 縄文の森」です。主に、縄文時代の動植物について、取り上げられています。
 縄文時代の遺跡、貝塚からは、動植物の遺骸が、大量に出土します。当時の人々が、食べた後に捨てたものです。特に、貝殻が多いために、貝塚と呼ばれます。
 貝塚の貝には、どんな種があるのでしょうか? 二枚貝では、アサリ、ハマグリ、ヤマトシジミ、サルボウ、マガキなどが多いです。現代でも、食用にされる貝たちですね。
 巻貝では、アカニシ、ダンベイキサゴ、スガイ、コシダカガンガラ、ツメタガイなどの種が、貝塚から見つかります。こちらも、現代でも食用にされる貝ばかりです。
 貝塚からは、魚の骨も、よく出土します。スズキ、ボラ、クロダイなどが多いです。これらの種も、現代の食用魚たちですね。沿岸の海に棲む魚たちです。
 中には、不思議な遺物もあります。例えば、マグロの骨です。マグロは、外洋に棲む魚です。しかも、大型魚で、猛スピードで泳ぎます。縄文人は、どうやってマグロを捕ったのでしょうか? 縄文時代には、エンジンもソナーもGPSもありませんのに。
 マグロの骨は、それなりの量が見つかります。縄文人が、恒常的にマグロを捕る技術を持っていたのは、確実です。その技術がどんなものだったのかは、まだ謎です。
 貝塚からは、陸上の鳥や獣の骨も出土します。獣(哺乳類)の骨では、ニホンジカとイノシシとの骨が、圧倒的に多いです。縄文人が、この二種の哺乳類を、よく食べていたことがわかります。釣り針などに加工された、シカの角も出てきます。
 縄文時代の遺跡からは、現代には見られない動物の骨も、見つかります。ニホンアシカ、ニホンオオカミ、ニホンカワウソ、オオヤマネコなどの骨です。どの種も、日本では絶滅してしまいました。オオヤマネコだけは、歴史時代に入る前に、絶滅したようです。
 植物では、クルミ、トチノキ、ミズキなどの果実が出土しています。やはり、食用になる植物ばかりです。面白いことに、クルミの果実を模した土器も、見つかっています。縄文人は、食用になる動植物を、大切に思い、扱っていたのでしょう。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する動植物が、千八百種以上掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 「縄文の海 縄文の森」に関する情報は、以下のページにあります。
縄文の森 縄文の海(神奈川県埋蔵文化財センターの公式サイト内ページ)
神奈川県立歴史博物館の公式サイト
 過去の記事でも、動植物を扱った展覧会を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
日本のスゲ、勢ぞろい(2015/12/19)
ブドウから生まれる奇跡、ワイン展(2015/11/7)

2015年12月11日

一挙に十種以上!? シマドジョウ属の新種たち

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 ドジョウは、皆さん、御存知の魚ですね。童謡にも登場するほど、昔から、日本人に親しまれています。ところが、ドジョウの仲間の分類は、二十一世紀になっても、確定していません。コイ目【もく】ドジョウ科の分類は、今なお、検討されている最中です。
 ドジョウ科には、多くの属が含まれることは、確実です。それらのうち、ここでは、シマドジョウ属を取り上げましょう。日本の本州、四国、九州に分布するドジョウです。
 かつて、シマドジョウ属には、シマドジョウという種が、ただ一種だけ含まれると考えられました。けれども、二十世紀の半ばには、シマドジョウ属には、多くの種が含まれるという説が、広く認められるようになりました。
 シマドジョウ属の種シマドジョウから、まず、イシドジョウという種と、ヒナイシドジョウという種とが、分離されました。その後の種の分離は、なかなか進みませんでした。
 多種が混ざっていることが確実視されながらも、シマドジョウという種が、図鑑などで採用されることが、長く続いてきました。二〇一〇年代になって、シマドジョウというあやふやな種を廃止して、多種に分離することが、提案されました。
 種の分離が進む前から、形態の特徴に基づいて、シマドジョウ属は、便宜的に、グループ分けがされてきました。シマドジョウ種群、スジシマドジョウ種群、ヤマトシマドジョウ種群、イシドジョウ種群です。これらのうち、イシドジョウ種群は、前記のイシドジョウと、ヒナイシドジョウとを合わせたグループです。
 シマドジョウ種群は、四種に分けられました。ニシシマドジョウ、ヒガシシマドジョウなどの種です。スジシマドジョウ種群は、少なくとも、五種に分けられることになりました。アリアケスジシマドジョウ、タンゴスジシマドジョウなどの種です。
 ヤマトシマドジョウ種群は、いまだ、研究が進んでいません。当面、オオヨドシマドジョウという一種だけが、分離されています。他にも種があることは、確実です。
 シマドジョウ属の分類は、今後も、しばらくは落ち着かないでしょう。普通の人には、正しい種名を知るのが難しい状況が、続きそうです。
図鑑↓↓↓↓↓には、ドジョウが掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 過去の記事でも、ドジョウの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
アユモドキ亜科の分類は?(2013/11/4)
アユモドキは、アユの仲間か?(2013/10/28)
どじょっこにも、いろいろいます(2010/4/26)
などです。



2015年10月 9日

鳥か魚か哺乳類か? ネズッポ科のものたち

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 ヤマドリという名を聞いて、皆さんは、どんな生き物を思い浮かべますか? ほとんどの方は、キジ科の鳥、ヤマドリ(山鳥)を思い浮かべるでしょう。
 ところが、日本には、ヤマドリという名の魚もいます。ほぼ、日本全域の海に分布する魚です。小さな魚なので、食用には、されません。ダイビングをやる方には、観賞するのに、喜ばれます。体色が美しいためです。伊豆の海で、よく見られます。
 ヤマドリは、ネズッポ科コウワンテグリ属に属する一種です。こんな鳥と紛らわしい種名が、なぜ、付いたのでしょうか? それは、はっきりしません。
 ネズッポ科という、科の名前も、面白いですね。この仲間には、どこか、ネズミを思わせるところがあるようです。ネズッポ科には、ネズッポや、ネズミゴチといった種名の魚が、属します。他の種でも、方言名で、ネズッポなどと呼ばれるものが多いです。
 海釣りをやる方なら、ネズミゴチ(鼠鯒)は、御存知かも知れませんね。キス釣りの外道で、よく釣れるからです。外道でも、天ぷらなどにすると、美味しい魚です。
 コチ(鯒)と名が付いても、ネズミゴチは、マゴチ(真鯒)やメゴチ(女鯒)とは、近縁ではありません。マゴチやメゴチは、コチ科に属します。コチ科は、ネズッポ科とは遠縁です。方言名で、ネズミゴチを、「メゴチ」と呼ぶ地方もあるので、注意が必要です。
 ネズッポ科の魚には、先述のヤマドリのように、観賞用に喜ばれる種もいれば、ネズミゴチのように、食用にされる種もいます。観賞用のネズッポ科の種で、最も有名なのは、ニシキテグリでしょう。沖縄などのサンゴ礁に棲む魚です。
 ニシキテグリは、ヤマドリと同じく、ネズッポ科コウワンテグリ属に属します。コウワンテグリ属には、華やかな色彩の種が多いのですね。ニシキテグリも、いかにもサンゴ礁の魚らしい華やかさです。この種は、観賞魚として、飼育されることもあります。
 他のネズッポ科の種では、例えば、ベニテグリなども、鮮やかな赤い体色を持ちます。しかし、ベニテグリは、深い海に棲むため、飼育も、見に行くのも、容易ではありません。美しい体色には気遣われずに、食用にされています。


 過去の記事でも、紛らわしい種名を持つ生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
クラゲダコとタコクラゲ、実在するのは、どっち?(2015/6/8)
コデマリとオオデマリとは、どう違う?(2014/5/2)
シャコとアナジャコとは、違う? 同じ?(2013/4/15)
ゴジュウカラは、シジュウカラより年上?(2009/12/11)
カニでないカニがいる?(2006/12/24)
などです。


2015年8月12日

生き物を描く

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 神奈川県立 生命の星・地球博物館へ、行ってまいりました。特別展「生き物を描く サイエンスのための細密描画」を、見てまいりました。
 この展覧会では、「芸術としての生物の絵」ではなく、「自然科学としての生物の絵」が、取り上げられています。生物図鑑に載っている絵、といえば、わかっていただけるでしょうか。図鑑の絵は、普通、美術館にある絵とは、違いますよね?
 生物図鑑の生物の絵は、何よりも、正確さが求められます。芸術的な美しさは、二の次です。けれども、機械的に正確に描けばいいわけではありません。ヒトの目で見た時に、その生物種の特徴が、わかりやすくなくてはいけません。
 でなければ、図鑑の絵を見ても、どの種なのか、わからないことになってしまいます。それでは、図鑑の役割を果たせませんね。
 これだけ、デジタル写真が発達した時代になっても、多くの図鑑で、写真のみならず、絵が多用されています。それは、なぜでしょうか?
 この展覧会の絵を見ていただけば、その答えが、わかります。機械的に正確な写真よりも、絵のほうが、細かい部分がわかりやすいのです。また、写真では、生態の「決定的瞬間」を撮るのが、難しいですね。絵なら、自由に描くことができます。
 不思議なことに、生物学的な正確さを追求した絵は、芸術的な美しさをも、そなえるようになります。優れた図鑑の絵は、決して、無味乾燥ではありません。
 例えば、展覧会の会場にある、杉浦千里さんの作品を御覧下さい。エビ・カニなどの、甲殻類を描いたものです。入ってすぐのコーナーにあります。
 多くの方は、杉浦さんの作品に、衝撃を受けるでしょう。精密無比にして、色彩は鮮明だからです。本物以上に本物の甲殻類が、そこにいます。画面から飛び出して、ごそごそと動きだしそうです。生命感にあふれた絵は、芸術の高みに達しています。
 他にも、田淵行男さんの蝶類の絵、今関六也さんの菌類(キノコ類)の絵など、素晴らしい生物画が見られます。絵を描く手順についても、紹介されています。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する無脊椎動物、昆虫、植物などが、二千種ほど掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 特別展「生き物を描く サイエンスのための細密描画」の情報は、以下のページにあります。
特別展「生き物を描く サイエンスのための細密描画」(生命の星・地球博物館の公式サイト内ページ)


 過去の記事でも、夏休み中の生物に関するイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
スカイツリーの大昆虫展(2015/7/22)


2015年7月31日

アカマンボウは、マンボウの仲間か?

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 魚に詳しくない方でも、マンボウは、御存知でしょう。近年は、一部の水族館で飼われて、人気者になっていますね。あの独特の姿は、一度見たら、忘れられません。
 あんな姿の魚は、他にいるとは、思えませんね。ところが、マンボウと似た姿の魚が、他にもいます。その魚には、アカマンボウという種名が付いています。
 アカマンボウも、マンボウと同じように、前後に短い、寸詰まりの体型をしています。左右の厚みがなく、薄い体なのも、マンボウと同じです。ただし、尾鰭【おびれ】は、マンボウとは違います。普通の魚と同じ、二股に分かれた形をしています。
 この尾鰭のおかげで、アカマンボウは、マンボウよりは、普通の魚に近い形です。大きさは、マンボウよりも少し小さくて、全長2mくらいです。尾鰭、胸鰭【むなびれ】、背鰭【せびれ】などの鰭は、赤く色づいています。このために、種名が、アカマンボウです。
 アカマンボウは、外洋の表層や中層を、漂うように泳ぐと考えられてきました。しかし、それは、憶測にすぎませんでした。外洋域にいるために、観察が難しい魚だからです。
 最近の研究により、アカマンボウは、予想以上に、活発な魚であることがわかりました。なんと、恒温性を持つ魚だというのです。つまり、哺乳類や鳥類と同じように、周囲の温度にかかわらず、自分の体温を一定に保てるということです。
 魚の中では、マグロの仲間や、ホホジロザメが、ある程度の恒温性を持つことがわかっています。マグロも、ホホジロザメも、活発な捕食者ですね。いつでも全速力で、獲物を追えるように、恒温性を獲得しました。ということは、アカマンボウも?
 報道された限りでは、マグロやホホジロザメよりも、アカマンボウのほうが、高い恒温性を持つようです。それは、アカマンボウが、水深200m以下の、深海にも棲むからだと考えられます。冷たい深海で恒温性を保つのは、並みならぬことでしょう。
 恒温性が共通していても、アカマンボウは、マグロの仲間でも、ホホジロザメの仲間でもありません。マンボウの仲間とも、違います。アカマンボウは、アカマンボウ目【もく】アカマンボウ科アカマンボウ属に属します。
図鑑↓↓↓↓↓には、アカマンボウは載っていませんが、マンボウなどが掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 過去の記事で、マンボウを取り上げています。また、マグロや、ホホジロザメも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
「翻車魚」と書くのは、どんな魚?(2009/7/13)
マグロ(鮪)は温血魚?(2006/10/18)
ホオジロザメ(ホホジロザメ)は本当にヒトを食うか?(2005/11/25)
などです。


2015年7月 1日

ママカリの正式名称は?

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 岡山県の名物の一つ、ママカリを御存知ですか? ママカリという名の、小さな魚を酢じめにしたものです。「隣に飯【まま】を借りに行くほど、美味しい」ことから、ママカリ(飯借り)という名が付いたといわれます。
 ところが、魚類図鑑で、「ママカリ」を調べても、出てこないことが多いです。その理由は、ママカリという名が、正式な日本語名(標準和名)ではないからです。
 ママカリの標準和名は、サッパといいます。でも、この名は、ほとんど、学術的な場でしか、使われません。一般的には、ママカリの名のほうが、ずっと有名です。
 これと似た例を、以前、このブログで取り上げましたね。コノシロです(コハダの正式名称は?(2015/2/2))。寿司になるコハダは、標準和名を、コノシロという魚です。
 日本人は、昔から、魚介類をよく食べてきました。このために、魚介類には、通俗的に使われる名と、標準和名とが、まるで別ものという種が、多いです。通俗名は、地方ごとに違いますが、学術的には、それでは困るからです。
 くしくも、サッパ(ママカリ)とコノシロ(コハダ)とは、近縁な種同士です。どちらも、ニシン目【もく】ニシン科に属します。サッパは、ニシン科のサッパ属です。コノシロは、ニシン科のコノシロ属です。科が同じなのは、近縁と言えます。
 近縁な種同士でも、外見がまったく違うことが、よくあるものです。けれども、サッパとコノシロとの場合は、外見も似ています。どちらも、全長は20cmほどで、鱗【うろこ】がきらきらしています。棲む場所も似ています。海の沿岸域や、河口付近に棲みます。
 実際、サッパとコノシロとは、同じ所に棲んで、同じように漁獲されることがあります。このため、昔の人は、この二種を、混同していたふしがあります。その証拠に、この二種には、同じような方言名が残っています。
 コノシロは、関西では、ツナシと呼ばれます。サッパも、関西方面で、チナシ、ツナシなどと呼ばれます。ラテン語の学名では、サッパのほうに、Sardinella zunasiと付いています。もちろん、関西の方言名から、学名が付けられました。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、サッパ(ママカリ)は載っていません。かわりに、日本近海の魚が、四十種ほど掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 過去の記事でも、生物の方言名などについて取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
コハダの正式名称は?(2015/2/2)
同名異種? ネコノシタとクマノギク(2014/9/19)
一つの種に、二つの種名がある?(2013/5/13)
ハラキリグモとは、どんなクモ?(2012/7/23)
一種ではない? アオリイカ(2012/1/6)
などです。



2015年5月18日

三種が一種に? ダンゴウオ科の魚たち

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 生物の分類は、難しいです。外見がそっくりな別種があったり、似ても似つかないのに近縁な種があったりするからです。時には、一種だと思われていた中に、複数の種がいたり、逆に、複数の種だとされていたものが、同一種に収まるとわかったりします。
 今回は、「複数の種が、一種にまとめられた」例を紹介しましょう。ダンゴウオ科の魚類の話です。ダンゴウオ科の種は、名のとおり、団子状の丸い体をした魚です。
 これまで、ダンゴウオ科には、28種が属するとされてきました。ところが、調べてみると、おかしなことがわかりました。雄ばかりが見つかっている種と、雌ばかりが見つかっている種があるのです。そんなに偏【かたよ】るには、理由があるはずですね。
 それらの偏りがあるのは、コンペイトウ、コブフウセンウオ、ナメフウセンウオという三種でした。コンペイトウ―冗談みたいですが、正式な日本語名です―は、雌しか見つかっていません。コブフウセンウオとナメフウセンウオは、雄しか見つかっていません。
 ごく最近、研究によって、この偏りの理由が、明らかになりました。この三種は、じつは、同一種だというのです。これは、卵から仔魚を孵化させて、育てることにより、わかりました。それまでは、成長過程を、誰も観察したことがありませんでした。
 観察された卵は、深海の貝殻の中に産まれていました。その卵は、コブフウセンウオの雄が守っていました。卵とコブフウセンウオとを採集し、飼育環境で、観察を続けました。すると、仔魚ごとに、生育の仕方に違いが現われました。
 雌の魚は、すべて、コンペイトウになりました。雄の魚は、すべて、コブフウセンウオになった後、ナメフウセンウオになりました。
 つまり、同一種の中で、性別による差と、成長段階による差があるのですね。それらの特徴を、種の特徴だと見誤っていたわけです。三種は、一種に統一されることになるでしょう。種名をどうするかは、まだ、決まっていません。
 ダンゴウオ科のように、深い海に棲む種が多いグループは、今後も、同じような事態が起こりえるでしょう。観察が難しいからです。今後の研究成果が、楽しみですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ダンゴウオ科の魚は載っていません。かわりに、日本近海に分布する魚が、五十種ほど/b>掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 今回のダンゴウオ科のニュースは、以下のページに、詳しい情報が載っています。
PRESS RELEASE(2015/2/20)(※直接、pdfファイルにつながります)


 過去の記事でも、複数の種が、同一種にまとめられた例を取り上げています。また、親と子とで、別種のように姿が違う魚も取り上げています。よろしければ、以下の記事もお読み下さい。
魚類も、変態する?(2014/2/17)
複数の科が、一つの科に? 魚の分類が変わる(2009/1/29)
などです。



2015年3月24日

わくわく! 大アマゾン展

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 国立科学博物館で、楽しい展覧会が開かれています。大アマゾン展です。早速、行ってまいりました。アマゾンの動物・植物・菌類に、たっぷり会えます。
 会場の最初のコーナーには、化石がたくさんあります。古生物のコーナーなのですね。ここでの見どころは、大きな翼竜の化石や、保存状態の良い昆虫の化石です。トンボやキリギリスなど、現代の昆虫によく似た姿の化石が、見られます。
 次のコーナーからは、現生の生物たちが、紹介されています。剥製【はくせい】標本と、骨格標本とが多いです。哺乳類のコーナーでは、ぜひ、南米独自の哺乳類グループに、注目して欲しいですね。アリクイ、ナマケモノ、アルマジロたちです。
 アリクイと、ナマケモノと、アルマジロとは、かつて、貧歯目【ひんしもく】という一つのグループに、まとめられていました。現在では、二つの目【もく】に分けられています。アルマジロが被甲目【ひこうもく】、ナマケモノとアリクイとが有毛目【ゆうもうもく】です。被甲目と有毛目とは、南米大陸で独自に進化したと考えられています。
 鳥類のコーナーは、きらびやかです。インコ、ハチドリ、オオハシ、マイコドリ、タイランチョウなど、派手な種の鳥が多いからです。ここでも、南米独自のグループを、見逃さないで欲しいです。ツメバケイ、ジャノメドリ、ラッパチョウなどの鳥たちです。
 爬虫類のコーナーでは、何よりも、巨大なアナコンダに驚きます。長さ5m以上もある大蛇を、目の当たりにできる機会なんて、そうはありません。こんな大きさの生きた大蛇は、ヒトを食べることもできます。会場にあるのは、標本ですから、安心です。
 水生生物のコーナーでは、アマゾンカワイルカと、ガンジスカワイルカとの頭骨を、比較できます。同じように河に棲むイルカなのに、まるで頭骨が違います。
 植物のコーナーでは、水草が特集されています。アマゾン川の水草は、激しい水位の変動に、どのように対応するかという問題を抱えています。中には、驚くべき方法で、対応している種があります。その方法は、会場の解説を読んでみて下さい。
 御家族連れでも、カップルでも、お一人でも、春のお出かけに良い展覧会でしょう。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、アマゾン川流域の生物は載っていません。かわりに、日本に分布する生物が、千種以上掲載されています。ban_zukan.net.jpg
インターネット生物図鑑-zukan.net-


 大アマゾン展の情報は、以下のウェブサイトにあります。
大アマゾン展 公式サイト
 過去の記事でも、南米の動植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
じつは食べられる? カンナ(2014/9/12)
ピーマンとトウガラシとは、同じ? 違う?(2014/8/8)
白鷺だけど、白くない? アマサギ(2014/4/21)
トケイソウの果実が、パッションフルーツ?(2013/8/16)
人を殺せるカエルがいる?(2013/6/3)
などです。


2015年2月 8日

ツグミ

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ツグミ 画像
和名:ツグミ
学名:Turdus naumanni
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東京 新宿区【2015.01.24】
図鑑↓↓↓↓↓には、ツグミ掲載されています。
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2015年2月 2日

コハダの正式名称は?

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 冬は、寒い代わりに、食べ物が美味しいですね。江戸前寿司の「コハダ」なんて、いかがでしょうか? いわゆる「光りもの」の一種として、喜ばれるお寿司ですよね。
 コハダの寿司や刺身には、きらきらと光る皮が付いています。いかにも、魚らしいですね。ところが、魚類図鑑で「コハダ」を調べても、多くは、載っていません。
 じつは、「コハダ」という名は、正式な日本語の種名(標準和名)ではないのですね。標準和名は、コノシロといいます。普通は、この種名で、図鑑に載っています。
 標準和名のコノシロは、あまり知られていません。この種には、コハダ以外にも、別名が多いです。例えば、関西では、一般的に、ツナシと呼ばれます。
 コノシロという名が知られないのは、江戸時代に理由があるといわれます。コノシロという名が、「この城」に通ずるために、「コノシロを食べる」ことを、武士が嫌ったというのですね。「コハダ」のように、別の名に呼び変えて、食べていました。
 コノシロは、冬に旬【しゅん】を迎えます。このために、漢字名は、「魚へんに冬」で、「鮗」と書かれます。けれども、「鮗」という字は、中国には、ありません。日本で作られた国字です。中国で、コノシロの仲間を表わすには、別の漢字が使われます。
 それは、「魚へんに祭」という字です。環境依存文字なので、ここには、直接、書かないでおきますね。なぜ、コノシロが「魚へんに祭」で表わされるのかは、不明です。
 ややこしいのは、「魚へんに祭」の字で表わされる魚が、コノシロだけではないことです。中国では、コノシロに近縁な、複数の種の魚が、「魚へんに祭」の字で書かれます。例えば、標準和名を、ドロクイという種(日本での漢字名は、泥喰)が、そうです。
 ドロクイは、コノシロと同じく、ニシン目【もく】ニシン科ドロクイ亜科に属します。コノシロは、ドロクイ亜科のコノシロ属で、ドロクイは、ドロクイ属です。
 ドロクイとコノシロとは、外見が似ています。日本近海に棲むことも、同じです。でも、日本近海のドロクイは、とても数が減ってしまいました。そのために、現在は、ほとんど食用にされません。昔は、ドロクイも、コノシロのように、食べられていたようです。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、コノシロやドロクイは、載っていません。かわりに、日本近海の魚が、五十種ほどが掲載されています。
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 過去の記事でも、食用にされる魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
南極の魚は、凍らない?(2014/7/7)
あれもイワシ? これもイワシ?(2014/6/2)
味が良いから、アジ(鯵)?(2009/11/6)
キュウリウオは、キュウリの香り?(2009/4/17)
などです。


2015年1月26日

ハタハタ、タラ、アンコウの共通点は?

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 今回は、魚の名前クイズをしてみましょうか。ハタハタと、タラと、アンコウには、名前に、ある共通点があります。その共通点とは、何でしょうか?
 「どれも、冬に美味しい魚!」と答えた方が、多いかも知れませんね。正解、と言いたいところですが、残念ながら、違います。いえ、これらの魚が、冬に美味しいことを、否定するのではありません。魚の「名前」クイズであることに、鍵があります。
 ハタハタと、タラと、アンコウとを、漢字で書いてみましょう。ハタハタは、「鰰」と、もう一つ、漢字名があります。「魚へんに雷」と書く字(環境依存文字)です。タラは、「鱈」ですね。アンコウは、「鮟鱇」と書きますね。これらの漢字名に、共通点があります。
 どれも、魚へんの字ですね。でも、魚へんの漢字なんて、たくさんあります。その中から、この三つを選んだのには、理由があります。これらの漢字は、中国から来たのではなくて、日本で作られました。国字と呼ばれるものですね。
 「鰰」も、「魚へんに雷」の字も、「鱈」も、鮟鱇の「鱇」も、中国には、ない字でした。鮟鱇の「鮟」だけは、中国から来た漢字です。とはいえ、中国では、アンコウとは、関係のない字でした。「鱇」と組み合わせて、アンコウの意味にしたのは、日本人です。
 現在では、中国へ、「鱇」の字が、逆輸入されました。中国でも、「鮟鱇」で、アンコウを指すようになったそうです。同じことが、「鱈」でも、起こりました。「鱈」の字が、逆輸入されて、中国でも、タラを指すようになりました。
 「鰰」と、「魚へんに雷」とは、現在でも、中国では、ほとんど使われていないようです。ハタハタという魚自体に、中国では、馴染みがないためでしょう。
 「鱈」という国字は、傑作の部類だと思います。「雪が降る頃に取れる魚」という意味を、ちゃんと踏まえているからです。「鰰」と「魚へんに雷」も、ハタハタの性質を表わしています。「冬の雷が鳴る頃に取れる魚」ということで、「魚へんに雷(神鳴り)」です。
 「鮟鱇」については、由来が、よくわかっていません。魚へんに、「安康」という、おめでたい意味の漢字を付けたのではないかといわれます。掲載されています。
図鑑↓↓↓↓↓には、アンコウの一種、キアンコウが掲載されています。
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 過去の記事でも、アンコウなどの食用魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
味が良いから、アジ(鯵)?(2009/11/6)
知られざる美味? 寒鯔【かんぼら】(2009/1/19)
カサゴ(笠子)は、似たもの同士の一族(2007/11/26)
アンコウは釣りの名手(2006/1/27)
などです。



2014年11月16日

国立科学博物館の生物たち

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 この秋、国立科学博物館で、面白い催しが、いくつも開かれています。生物に関わる展示も、多いです。早速、行ってまいりました。
 まずは、特別展「ヒカリ展」です。この特別展は、光に関わることすべてを紹介しています。その中に、光る生物の紹介があります。光る生物には、自然に光るものと、人工的に光らせるようにしたものとがあります。両方が展示されています。
 自然に光る生物では、光るサンゴが、美しいです。生きたサンゴが、水槽に入っているのを、見ることができます。光る深海魚も、自然に光る生物ですね。会場には、光る深海魚として、ヒカリキンメダイと、マツカサウオとがいます。
 人工的に光らせた生物としては、「光る花」や、「光るカイコ」がいます。もともとは光らない植物やカイコに、光るための遺伝子を入れて、光らせるようにしました。この光を、不自然だと嫌うのか、美しいと好きになるかは、人によるでしょう。
 次に、企画展「ヨシモトコレクションの世界」です。この会場では、たくさんの哺乳類の剥製【はくせい】標本に、迎えられます。どの標本も、とてもよくできています。まるで生きているようです。これらは、もと、ヨシモトさんという日系人の持ち物でした。
 ヨシモトさんのコレクションが、なぜ、科学博物館にあるのでしょう? なぜ、こんなに多くの剥製標本を、ヨシモトさんは集めたのでしょう? これらの答えは、会場にあります。答えを知れば、ヨシモトさんの志に、心を打たれるでしょう。
 最後に、NEWS展示「昭和天皇のヒドロ虫類ご研究を通した国際交流」です。昭和天皇は、海洋生物の研究者でもありました。中でも、ヒドロ虫【ちゅう】というグループの専門家でした。ヒドロ虫の研究は、地味な分野で、やっている人が少ないです。
 このため、昭和天皇は、外国のヒドロ虫研究家とも、よく連絡を取り合い、研究に励まれました。その足跡が、ベルギーの博物館に残っていました。遠いベルギーで、昭和天皇が、自ら採集された生物の標本が、見つかったのです。会場では、それらの標本や、昭和天皇がご研究に使われた顕微鏡などを、見ることができます。
図鑑↓↓↓↓↓には、ホタル、ウミホタル、オワンクラゲなどの光る生物や、ヒドロ虫類のカツオノエボシ、ハナガサクラゲ、ハネウミヒドラなどが掲載されています。
ban_zukan.net.jpgインターネット生物図鑑-zukan.net-


 国立科学博物館の催しについては、以下のページに案内があります。
ヒカリ展 公式サイト
ヨシモトコレクションの世界(国立科学博物館の公式サイト内ページ)
昭和天皇のヒドロ虫類ご研究を通した国際交流(※注:直接、pdfにつながります)
などです。


2014年9月 1日

サメには、歯医者が要らない?

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 日本人で、歯医者が好きな方は、少ないでしょう。あの、虫歯を削られる音と振動とは、嫌なものですよね(苦笑) ヒトの場合、虫歯などで永久歯を抜いてしまうと、そのあとには、歯は生えてきません。これが、新しい歯が生えてくるなら、楽ですよね。
 ヒト以外の生物には、何回、歯が抜けても、また生えてくるものがいます。有名なところでは、サメがそうですね。例えば、サメが、他の魚を襲った時に、何本か、歯が折れたとします。すると、同じ並びにある歯が、そろって外側へ移動し始めます。
 同時に、口の内側から、同じように一そろいの歯が生えてきます。古い歯は、外側へ移動した後、みな抜け落ちます。こうして、新しい歯が、口の中にそろいます。
 ヒトも、こんなふうだったら、どんなにいいだろうと思いますね。残念ながら、哺乳類に生まれた時点で、それは無理です。哺乳類は、生涯にただ一度、乳歯から永久歯への生え替わりしかしない動物だからです(ごく一部に、例外はあります)。
 じつは、哺乳類以外の動物では、生涯に何度も歯が生え換わるものが多いです。爬虫類がそうです。爬虫類から哺乳類へ進化した時点で、哺乳類は、一度しか歯替わりしないようになりました。なぜそうなったのかは、進化の謎です。明らかに、不便ですよね。
 そもそも、歯を発明したのは、魚類でした。歯がないよりは、あったほうが、便利ですね。大きい食べ物を咬みちぎったりできますから。強い肉食性のサメは、まさに、そのように歯を使っています。サメは、どうやって、あんな歯を作ったのでしょうか?
 秘密は、サメの鱗【うろこ】にあります。サメの鱗を、顕微鏡で観察すると、サメの歯にそっくりな形のものがあります(種によっては、そうではありません)。このような鱗が、口の中に入って、大型化し、歯になったと考えられています。
 私たち哺乳類の歯も、元をたどれば、魚類の歯に行き着きます。つまり、私たちの歯は、元は魚類の鱗だったのですね。びっくりです。
 現代の哺乳類の歯は、固くて頑丈で、体内の骨に似ています。けれども、由来は、骨ではなくて、皮膚にありました。長い進化の果てに、歯は骨に似たものになりました。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本近海に棲むサメが、三種ほど載っています。また、日本の哺乳類は、八十種以上掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-


 過去の記事でも、動物の歯に関わることを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
独立種か? 亜種か? カワネズミ(2013/10/21)
アカボウクジラの歯の謎が、解ける?(2008/12/25)
ネズミでないネズミがいる?(2007/12/21)
哺乳類のウサギは、なぜ単独でウサギ目なのですか?(2005/10/30)
などです。



2014年8月26日

知の地層、インターメディアテク

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 夏休みも、そろそろ、終わりですね。宿題が片付かなくて、焦っている方も多いのではないでしょうか?(笑) 今回は、夏休みの自由研究に役立ちそうな博物館を紹介しましょう。インターメディアテクという博物館です。
 ここは、新しい博物館です。開館して、まだ一年しか経ちません。なのに、展示物や、展示の仕方が、古めかしいです。それは、わざとそうしているのですね。ヨーロッパの歴史ある博物館を、イメージしているそうです。
 とはいえ、標本に古い物が多いのは、本当です。ここにあるのは、明治時代から、東京大学によって、集められてきた標本だからです。東京大学の総合研究博物館のコレクションが、ここで公開されています。むろん、最近の新しい標本もあります。
 展示室内では、大型の骨格標本が、目立ちます。クジラ、イルカ、オットセイ、キリン、ウマなどの骨格標本に、見下ろされます。もう少し小さいところでは、イヌ、ネコ、カピバラなどの骨格標本もあります。もっとずっと小さい、モグラ、コウモリ、ハツカネズミなどの骨格標本も、見ることができます。
 哺乳類ばかりでなく、鳥類、爬虫類、両生類、魚類の骨格標本もあります。哺乳類と鳥類と爬虫類については、剥製【はくせい】の標本も、展示されています。
 特に、鳥類の剥製標本は、充実しています。ちょうど今、「アヴェス・ヤポニカエ――日本の鳥」という特別展示が、行なわれています。この企画では、鳥の剥製標本の隣に、同種の鳥の博物画を並べて、展示しています。見比べることができるのですね。
 博物画とは、主に、十九世紀以前の時代に描かれた絵です。動物や、植物や、鉱物といった自然の産物を、可能な限り、事物に即して、正確に描きました。なぜなら、それは、自然を分類し、体系づけるための絵だったからです。科学の芽生えですね。
 日本では、明治時代になってから、本格的に科学が始まりました。でも、江戸時代以前の日本に、科学の芽がなかったわけではありません。会場にある博物画が、それを示しています。日本の科学は、長い時間に積み重ねられた、知の地層の上にあるのですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本に生息する野生生物が、二千種近くも掲載されています。ban_zukan.net.jpgインターネット生物図鑑-zukan.net-


 インターメディアテクの情報は、以下の公式サイトにあります。
インターメディアテク 公式サイト


 過去の記事でも、夏休みの自由研究に役立つ博物館を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
どうする? どうなる! 外来生物(2014/7/23)
古代から現生へ、哺乳類たち(2014/7/22)
毒毒毒毒毒毒毒毒毒展【もうどくてん】(2014/7/17)
などです。


2014年7月23日

どうする? どうなる! 外来生物

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 最近、ニュースで、外来生物が取り上げられることが多いですね。アライグマ、カミツキガメ、ブラックバス(オオクチバスなどの総称)といった名前を、聞いたことがおありでしょう。これらは、みな、ここ数十年の間に、日本にやってきた外来生物です。
 今、外来生物が問題になっているのは、人間の手によって、急速に、大量に、生物が運ばれるからです。あまりにも急速かつ大量なので、在来の生物たちが、それに対応できません。その結果、自然環境が荒れてしまいます。人間にも、被害が出ます。
 このような外来生物の実態が、よくわかる展覧会が、開かれています。特別展「どうする? どうなる! 外来生物」です。会場は、神奈川県立生命の星・地球博物館です。
 この展覧会では、外来生物の思わぬ害についても、知ることができます。例えば、外来生物は、必ずしも、外国から来たものではないことは、御存知ですか?
 国内であっても、本来の生息地ではない場所にやってきたのなら、それは、外来生物です。北海道の生き物を九州に運んだりしては、ダメということですね。
 会場では、新たな外来生物が、次々に現われている例が、報告されています。例えば、リュウキュウベニイトトンボです。この種は、細長いイトトンボの一種です。
 リュキュウベニイトトンボは、本来、九州南部から南西諸島にかけて分布します。ところが、二〇〇六年に、突然、神奈川県で、この種が確認されました。どこから、どのようにして侵入したのかは、まだ、解明されていません。
 九州北部以北には、リュウキュウベニイトトンボと似た別種の、ベニイトトンボが分布します。ベニイトトンボは、絶滅危惧種です。もし、関東に、リュウキュウベニイトトンボが定着してしまったら、それでなくても少ないベニイトトンボの生息地が、奪われるかも知れません。リュウキュウのほうが、繁殖力が強いため、その可能性は高いです。
 ベニイトトンボとリュウキュウベニイトトンボとは、よく似ています。神奈川県以外の地方でも、「希少なベニイトトンボがいると思って喜んでいたら、リュウキュウベニイトトンボだった」ことが、あるかも知れません。身近な自然の破壊は、恐ろしいですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本の在来生物が、一〇〇〇種以上掲載されています。ban_zukan.net.jpgインターネット生物図鑑-zukan.net-


 「どうする? どうなる! 外来生物」の情報は、以下のページにあります。
どうする? どうなる! 外来生物(生命の星・地球博物館の公式サイト内ページ)
 過去の記事でも、生き物関係の催しを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
毒毒毒毒毒毒毒毒毒展【もうどくてん】(2014/7/17)

2014年7月17日

毒毒毒毒毒毒毒毒毒展【もうどくてん】

 東京、池袋のサンシャイン水族館で、面白い催しをやっています。「毒」という字を九つ並べて、「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展」です。これで、【もうどくてん】と読むそうです。
 毒のある生物ばかりを集めて、展示しているのですね。さっそく、行ってみました。
 入ると、すぐに、ハナミノカサゴがいます。毒がある魚です。全身が縞模様で、大きな鰭【ひれ】があり、ゆったりと優雅に泳いでいます。
 ハナミノカサゴが美しいのも、ゆったり泳ぐのも、毒があるからです。派手な模様は、「毒があるぞ」と警告するためです。毒のおかげで、敵に襲われることはまずないので、速く泳ぐ必要がありません。有毒生物に、動きが遅いものが多いのは、このためです。
 会場内で、動かない点では、オニダルマオコゼが、横綱級でしょう。やはり、毒のある魚です。ハナミノカサゴと違って、華やかな外見ではありません。むしろ、ごつごつして、岩のようです。じっとしていると、海底の岩にしか見えません。
 オニダルマオコゼは、他の魚を襲って食べる肉食魚です。自分を岩のように見せるのは、獲物に気づかれないためです。毒があっても、地味な種もいるわけです。
 他に、動きの遅い毒生物としては、スローロリスがいます。これは、サルの一種です。哺乳類ですね。哺乳類で有毒なものは、少ないです。スローロリスは、肘【ひじ】の内側に、毒を出す腺を持ちます。この毒をなめ取って、全身に広げるのだそうです。
 魚類や哺乳類以外にも、たくさんの毒生物を、会場で見ることができます。アカクラゲ、ムラサキハナギンチャク(以上、刺胞【しほう】動物)、タガヤサンミナシ、ヒョウモンダコ(以上、軟体動物)、ラッパウニ、アデヤカキンコ(以上、棘皮【きょくひ】動物)、ベトナムオオムカデ、ゴライアスバードイーター(以上、節足【せっそく】動物)、ジュウジメドクアマガエル(両生類)、アメリカドクトカゲ(爬虫類)などです。
 少ないながら、有毒の植物も、展示されています。伝説的な毒植物、マンドラゴラが見られますよ。実在する植物ですが、日本で見られるのは、珍しいです。
 小規模な展示なので、サンシャイン水族館本体と合わせて見るのが、お勧めです。

図鑑↓↓↓↓↓には、ムラサキハナギンチャク、ヒョウモンダコ、ラッパウニなど日本に棲む有毒生物が掲載されています。ban_zukan.net.jpgインターネット生物図鑑-zukan.net-


 毒毒毒毒毒毒毒毒毒展【もうどくてん】については、以下のサンシャイン水族館のサイトに、案内が載っています。
 また、休日などは、混雑することもあるようです。お出かけ前に、サンシャイン水族館のツイッターを確認すると、混雑状況がわかって、便利です。

毒毒毒毒毒毒毒毒毒展【もうどくてん】~毒を持つ生き物~
サンシャイン水族館のツイッター

2014年7月 7日

南極の魚は、凍らない?

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 蒸し暑い季節になってきましたね。少し、涼しくなるように、今回は、南極の話をしましょう。南極海に棲む魚たちの話です。とても冷たい海に棲む魚たちですね。
 素朴な疑問として、「南極海などの極地の海に棲む魚は、なぜ凍らないのか?」と感じたことがありませんか? これは、もっともな疑問です。南極海の水温は、?2℃近くにまで下がることがあります(海水は、淡水と違って、0℃では凍りません)。
 普通の魚は、こんな低温では、生きられません。体が凍ってしまいます。ところが、そんな水温の中で、平気で生きている魚たちがいます。例えば、スズキ目【もく】ノトテニア亜目【あもく】に属する種が、そうです。南極海で、多く見られる魚たちです。
 ノトテニア亜目の魚たちは、なぜ、凍らないのでしょうか? 彼らの血液に、その秘密があります。彼らの血液には、ある種の糖タンパク質が、豊富に含まれています。それは、不凍タンパク質と呼ばれるものです。名のとおり、凍りにくい物質です。
 他にも、ノトテニア亜目には、寒さを乗り切る仕組みがあります。低温でも、体内でよく働く酵素【こうそ】や、代謝能力を備えています。
 これらの能力のために、ノトテニア亜目の魚たちは、体が凍りません。氷の下の南極海でさえ、生きることができます。コオリイワシ、ボウズハゲギスなどの種が、そのような生活をしています。特に、コオリイワシは、氷下の南極海に多い種です。
 コオリイワシは、南極海で暮らすペンギンやアザラシの、重要な食べ物となっています。この種は、体にたくさんの脂肪を蓄えているため、ペンギンやアザラシにとっては、栄養たっぷりの食べ物です。脂肪が多すぎて、ヒトの食べ物には、向きません。
 けれども、ノトテニア亜目の中には、ヒトの食用になっている種もあります。例えば、マジェランアイナメという種が、そうです。日本に、たくさん輸入されています。
 「マジェランアイナメなんていう魚、聞いたことがないぞ?」という方が、多いでしょう。でも、「メロ」や「銀ムツ」という名は、聞いたことがありませんか? メロや銀ムツとは、マジェランアイナメの通称です。遠い南極海の魚も、日本に無縁ではありません。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ノトテニア亜目の魚は載っていません。代わりに、日本近海の魚が、五十種ほどが掲載されています。
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 過去の記事でも、南極などの極地に暮らす生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
北極圏にも、トカゲがいる?(2012/12/7)
北極と南極には、同じ生き物がいる?(2009/2/21)
哺乳類で、最も長生きなのは、クジラ?(2008/8/1)
ペンギンが絶滅する? 南極の危機(2007/12/13)
世界最大のイカは、ダイオウイカではない?(2007/2/23)
などです。



2014年6月 2日

あれもイワシ? これもイワシ?

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 イワシ(鰯)は、日本人に馴染みのある魚ですね。食用魚として、重要です。ところが、日本語の正式名称(標準和名)を、「イワシ」という種名の魚は、存在しません。
 「イワシ」と呼ばれる魚には、複数の種が含まれます。普通、「イワシ」と呼ばれるのは、マイワシ(真鰯)、ウルメイワシ(潤目鰯)、カタクチイワシ(片口鰯)の三種です。
 この三種は、確かに、外見が似ています。どれも、小型で、すんなりしていて、背の青い魚です。海中では、表層に、群れをなして暮らすところも、同じです。
 けれども、これら三種の中には、仲間外れがいます。それは、カタクチイワシです。
 カタクチイワシは、ニシン目【もく】カタクチイワシ科に属します。対して、マイワシとウルメイワシとは、ニシン目ニシン科に属します。
 昔、生物学が進んでいない頃は、これら三種は、外見どおり、近縁だと思われました。このために、同じ「イワシ」の名が付いたのですね。のちに、違うグループだとわかってからも、「イワシ」の名は、引き継がれています。
 近縁でなくとも、外見が似るのには、理由があります。三種とも、生態が似るからです。生態が同じならば、体の形も同じほうが、都合が良いのですね。群れになるのは、敵から身を守るためです。小型で弱い魚なので、群れでなくては、敵に対抗できません。
 日本人は、小型で弱々しく見える魚には、「イワシ」という名を付ける傾向があります。ニシン科にも、カタクチイワシ科にも属さないのに、「○○イワシ」という種名の魚が、何十種もいます。セキトリイワシ、トウゴロウイワシ、ハダカイワシなどです。
 これらの「○○イワシ」たちは、分類学的には、ばらばらです。例えば、トウゴロウイワシは、トウゴロウイワシ目【もく】トウゴロウイワシ科に属します。セキトリイワシは、ニギス目【もく】セキトリイワシ科に属します。ハダカイワシは、ハダカイワシ目【もく】ハダカイワシ科に属します。セキトリイワシとハダカイワシとは、深海魚です。
 これらの「○○イワシ」たちは、あまり食用にされません。日本の食卓に並ぶのは、ニシン科のマイワシなどか、カタクチイワシ科のカタクチイワシなどが、ほとんどです。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ニシン科のイワシもカタクチイワシ科のイワシも載っていません。かわりに、日本近海の魚が十種ほどが掲載されています。
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 過去の記事でも、日本で食用にされる魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
魚か鳥か? シマアジ(2011/3/14)
味が良いから、アジ(鯵)?(2009/11/6)
キュウリウオは、キュウリの香り?(2009/4/17)

ヒラメとカレイとシタビラメ、どう違う?(2008/9/12)
カサゴ(笠子)は、似たもの同士の一族(2007/11/26)
などです。


2014年5月12日

サメやエイには、鰾【うきぶくろ】がない?

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 魚に、鰾【うきぶくろ】があることは、皆さん、御存知でしょう。鰾は、水中で、浮力を保つのに役立つ器官です。鰾の調子が悪くなると、魚は、泳ぐのが困難になります。
 ところが、中には、鰾を持たない魚もいます。例えば、サメやエイの仲間が、そうです。泳ぐために必要な器官なら、なぜ、サメやエイには、鰾がないのでしょうか?
 それを知るには、鰾の起源を知らなければなりません。三億年以上もの昔、現在の魚の祖先が、鰾という器官を発達させました。けれども、地球上に魚が現われたのは、少なく見積もっても、四億年以上前です。鰾を持たない魚が、長く栄えていました。
 つまり、水中を泳ぐにあたって、鰾は、どうしても必要な器官ではありません。それなら、なぜ、魚は、鰾を持つようになったのでしょうか?
 じつは、魚の鰾は、最初から、鰾だったわけではありません。鰾が誕生した時、それは、肺でした。現代のハイギョ(肺魚)が持つような肺を、古代の魚も、持っていました。
 肺は、空気を呼吸するための器官ですね。例えば、現代のハイギョは、乾季と雨季のある地域に棲みます。乾季には、水がなくなります。乾季のハイギョは、土の中にこもって、空気を呼吸して、生き延びます。ハイギョに似た魚類から、両生類が進化しました。
 現代の鰾を持つ魚たちは、みな、肺を持つ魚を、祖先に持ちます。一度は、上陸への道を歩みかけたのに、また、水中に戻ったわけです。水に不自由しない環境で暮らすなら、肺は、必要ありませんね。そのために、肺は、鰾に変わりました。
 もとは呼吸器官だったものが、浮力調節器官に、転用されたのですね。サメやエイ(軟骨魚類)は、祖先が、肺を持ちませんでした。このため、鰾を持ちません。
 現在、硬骨魚類と呼ばれる魚たちは、ほとんどが、鰾を持ちます。コイ、サケ、スズキ、マンボウ、マアジなど、みな、そうです。もう、空気呼吸とは、縁のない魚ばかりですね。
 過去に、上陸への道を歩まなかった魚たちは、サメやエイを除いて、大部分、絶滅してしまいました。その理由は、わかっていません。がら空きになった水中に、上陸しかけた魚の一部が、戻ってきました。そして、現代、鰾を持つ魚が、水中で栄えています。

図鑑↓↓↓↓↓には、日本の魚類が、五十種以上が掲載されています。
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 過去の記事でも、鰾【うきぶくろ】を持つ魚類や、鰾を持たない魚類を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
サカタザメは、サメ? それとも、エイ?(2012/12/17)
フクロウナギは、ウナギの仲間か?(2011/2/21)

超深海でも活発なのは、シンカイクサウオ?(2008/11/11)
しゃべるナマズがいる?(2006/8/11)
などです。


2014年4月28日

深海生物に会える、たまがわ深海大図鑑展

 ゴールデンウィークですね。連休中に楽しめそうな展覧会に、行ってまいりました。玉川高島屋で開かれている「たまがわ深海大図鑑展」です。
 小規模ながら、見どころが多い展覧会です。まず、必見なのは、シアターで見られる深海の映像です。大画面で見られるので、迫力があります。透明で見えにくい生物の姿も、ハイビジョン映像で、くっきり見られます。
 会場には、たくさんの深海生物の標本があります。普通、標本というと、色も形も崩れてしまって、何だかよくわからないものが多いですね? ところが、この会場には、そうではない標本があります。プラスチックに封入された標本です。
 これらのプラスチック標本は、体色も、形も、美しいままです。例えば、クリガニの甲羅の棘も、ハダカイワシの銀色の鱗【うろこ】も、そのまま残っています。
 じつは、このプラスチック標本の中に、新種らしい深海魚がいるそうです。会場の係員さんから、お話を聴くことができました。それは、「チヒロホシエソ属の一種」というラベルが付いた標本です。世界初の新種(?)を、見られるチャンスですね。
 会場には、生きた深海生物も、展示されています。オウムガイ、ヤマトトックリウミグモ、ヌタウナギ、ボタンエビ、チゴダラ、ウチワエビ、ヨコスジヤドカリなどが、見られます。特に、生きたチゴダラが見られるのは、奇跡的なほど、珍しいです。
 生きた深海生物の中には、触れるものもいます。オオグソクムシに触れます。最近、絶食することで有名になった、ダイオウグソクムシの近縁種です。
 他にも、何種か、触れる深海生物が、待機しています。私が行った時には、オオグソクムシと同時に、タカアシガニにも触らせてもらえました。
 触れる標本としては、ホンフサアンコウ、ヌタウナギ、ヨロイザメの表皮もあります。触ってみると、感触の違いがわかって、面白いです。
 会場では、他にも、ダイオウイカのカラー魚拓や、タスマニアキングクラブの剥製【はくせい】、サクラエビの透明標本など、とても貴重なものに、会うことができます。
図鑑↓↓↓↓↓には、キアンコウ、ズワイガニ、タカアシガニなど、日本付近の深海に棲む生物が掲載されています。
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 たまがわ深海大図鑑展の情報は、以下のページにあります。
たまがわ深海大図鑑展(玉川高島屋ショッピングセンターの公式サイト内ページ)

 過去の記事でも、連休のお出かけによいイベントを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
華麗な花の饗宴『フローラの神殿』大公開(2014/4/17)
などです。



2014年3月31日

魚類というグループは、ない?

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 近年の生物学の進歩は、目覚ましいですね。数年前までの常識が、ころりと引っくり返ることもあります。今回は、そのような例を紹介しましょう。魚類の例です。
 魚類を知らない人は、いないでしょう。多くの人の知識では、魚類とは、「水中に棲む脊椎動物で、鰓【えら】や鱗【うろこ】を持つもの」という定義ではないでしょうか?
 少し詳しい人ならば、「魚類は、軟骨魚類と硬骨魚類に分けられる」と覚えているかも知れませんね。軟骨魚類とは、名のとおり、全身の骨が、軟骨でできている魚類です。サメやエイの仲間です。硬骨魚類は、それ以外の、硬い骨を持つ魚類です。
 伝統的には、魚類は、魚綱【ぎょこう】、または、魚上綱【ぎょじょうこう】という分類グループとして、まとめられてきました。その中に、軟骨魚綱【なんこつぎょこう】や硬骨魚綱【こうこつぎょこう】が含まれるようになっていました。
 ところが、現在では、この分類方法は、ほぼ廃止されています。魚綱や魚上綱という分類グループは、存在しません。硬骨魚綱も、解体されています。軟骨魚綱だけは、意味のある分類グループとして、残されています。
 分類学の上では、もはや、「魚類」をまとめる分類グループは、ないと考えられています。軟骨魚綱と、かつての硬骨魚綱とは、思われていた以上に、類縁が遠いのですね。硬骨魚綱は、条鰭綱【じょうきこう】と、肉鰭綱【にくきこう】とに分割されました。
 私たちが普通に思い浮かべる「魚」は、大部分が、条鰭綱に含まれます。マグロもサケもウナギもアジもキンギョも、みな条鰭綱です。肉鰭綱に含まれるのは、ハイギョやシーラカンスです。この肉鰭綱から、両生類が進化したと考えられています。
 じつは、最近の説では、肉鰭綱の中に、両生類も爬虫類も鳥類も哺乳類も含まれるといわれています。つまり、ハイギョやシーラカンスは、条鰭綱の「魚類」よりも、両生類や爬虫類や鳥類や哺乳類に近縁だ、ということです。
 これは、普通の人の感覚とは、離れていますね。とはいえ、感覚的に正しいことが、科学的に正しいとは限りません。科学の進歩は、思わぬことを明らかにすることがあります。


図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する「魚類」、五十種ほどが掲載されています。
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 過去の記事でも、「魚類」について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
メダカという種はいない?(2014/1/6)
アユモドキ亜科の分類は?(2013/11/4)

アユモドキは、アユの仲間か?(2013/10/28)
巨大な深海魚とは?(2013/7/15)
などです。



2014年2月17日

魚類も、変態する?

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 両生類が、変態することは、よく知られていますね。オタマジャクシが、カエルになります。親子なのに、オタマジャクシとカエルとは、まるで似ていませんね。
 同じように、親子でまるで似ていない種が、魚類にもあります。親子で、別種だと思われていた魚もいます。以前、このブログで、その例を取り上げました。クジラウオ目【もく】の例です(複数の科が、一つの科に? 魚の分類が変わる(2009/1/29))。
 前記のクジラウオ目の中では、リボンイワシ科(別名、トクビレイワシ科)に属するとされていた魚たちが、じつは、クジラウオ科の稚魚だとわかりました。
 科のレベルで違うとされるほど、外見が似ていない親子です。ここまで違えば、稚魚から成魚になるに際して、「変態する」という言葉を使えるでしょう。
 他の例では、マンボウも、稚魚と成魚とで、ずいぶん姿が違います。成魚は、お馴染みの、後半身が切れたような姿ですね。稚魚は、もっと丸くて、全身に棘があります。生きている金平糖のようです。小さくて弱い稚魚には、棘が必要なのでしょう。
 もっと身近な魚では、ウナギ目【もく】のものが、「変態」します。ウナギ目の稚魚は、レプトケファルスと呼ばれます。ヤナギの葉のように、平たく、細長い形で、透明です。その繊細な様子を見ると、これが、あの黒くて長いウナギになるとは、思えません。
 ニホンウナギの場合、成魚は、レプトケファルスの二十倍近い大きさになります。けれども、すべてのレプトケファルスが、そのように大きくなるわけではありません。
 レプトケファルスの姿のままで、成魚と同じくらい大きくなる種もいます。それから、成魚に「変態」するのです。例えば、ソコギス目【もく】の種が、そうです。ソコギス目のレプトケファルスには、全長が1メートル以上になるものもいます。
 初めて、そのような巨大なレプトケファルスが発見された時には、大騒ぎになりました。これが稚魚ならば、何十倍もの大きさになると考えられたからです。「これこそ、伝説の大海蛇の正体」などといわれました。のちに、そのままの大きさで成魚になることが判明し、騒ぎは収まりました。大海蛇の正体ではなくて、ちょっと残念ですね(笑)

図鑑↓↓↓↓↓には、ウナギ(ニホンウナギ)やマンボウが掲載されています。
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 過去の記事でも、変態する魚であるウナギの仲間や、マンボウを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ウミヘビ(海蛇)は、魚? 爬虫類?(2011/4/18)
フクロウナギは、ウナギの仲間か?(2011/2/21)
ウナギとオオウナギとは、違う? 同じ?(2010/5/21)
「翻車魚」と書くのは、どんな魚?(2009/7/13)
複数の科が、一つの科に? 魚の分類が変わる(2009/1/29)
などです。



2014年1月27日

動植物名のオイランは、差別用語か?

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 クサキョウチクトウ(草夾竹桃)という植物を、御存知でしょうか? 多くの方は、聞いたことがない名前だと思います。では、フロックスという名は?
 こちらなら、聞いたことがある方が多いでしょう。フロックスは、世界各国で栽培される園芸植物です。これの正式な日本語名(標準和名)が、クサキョウチクトウなのですね。
 クサキョウチクトウという名前は、長過ぎて、覚えにくいうえに、言いにくいですね。このために、ラテン語の学名から取った、フロックスという名が、普及しました。
 「もっと短くて、覚えやすい日本語名を付ければ良かったのに」と思いますよね。じつは、昔は、そういう名前がありました。オイランソウ(花魁草)という名です。
 オイランソウという名が、使われなくなったのには、理由があります。花魁【おいらん】が、差別的な用語だから、というのです。
 そのわりには、他の植物で、花魁の名が付いた種があります。アザミの一種の、オイランアザミ(花魁薊)です。この種は、改名しようという話を、聞いたことがありません。フロックスと違って、有名でない種のために、大目に見られているのでしょう。
 動物にも、花魁の名が付いた種があります。例えば、魚類には、オイランハゼというハゼの一種がいます。オイランヨウジというヨウジウオの一種もいます。貝類には、オイランカワザンショウという巻貝の一種がいます。
 オイランの名が付く動物には、色や模様が華やかな種が多いです。そこから、花魁が連想されたのでしょう。種名を付けた人にしてみれば、特徴を適確に表わしたかっただけで、差別をするつもりなど、毛頭なかったと思います。この問題は、難しいですね。
 現在の日本では、職業としての花魁は、絶滅しました。ですから、花魁という呼び名で、差別される側の人は、いないわけです。すでに、花魁は、歴史上だけの存在です。
 このような状況では、あまり問題にしても、仕方がないのでは、と思います。やり過ぎると、言葉狩りになってしまいます。もし、改名しろと主張するなら、短くて覚えやすく、特徴を表わした代案を、示す必要があるでしょう。

図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する動植物が、千種以上が掲載されています。
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 過去の記事でも、動植物の種名に関することを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
深海魚には、長い名前が多い?(2013/1/21)
トゲアリトゲナシトゲトゲの秘密(2011/6/6)
学名と標準和名とは、違う? 同じ?(2009/8/7)

トンビやオケラは、存在しない?生き物の名前の話(2008/4/11)
新しい名前で出ています――魚類の改名(2007/2/2)
などです。



2014年1月 6日

メダカという種はいない?

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 メダカは、昔から、日本人に親しまれてきた魚ですね。童謡の『めだかの学校』に歌われるほどです。近年は、絶滅危惧種に指定されたことでも、有名になりました。身近だったメダカが、絶滅しそうなほど減ってしまったなんて、衝撃的ですよね。
 じつは、種名として見れば、「メダカ」は、すでに消えています。現在、メダカという種名の魚は、いません。それは、「メダカ」が絶滅したからではありません。
 これまで、日本には、「メダカ」という一種が、広く分布していると考えられていました。ところが、「メダカ」は、二つの種に分けられることが、わかりました。研究が進んだためです。キタノメダカという種と、ミナミメダカという種とに、分けられました。
 キタノメダカは、種名のとおり、北日本に分布します。ミナミメダカは、南日本に分布します。この二種の間には、雑種ができることがあります。丹後【たんご】や但馬【たじま】地方(京都府北部や兵庫県北部)には、そのような雑種集団がいます。
 丹後や但馬の交雑集団は、一応、キタノメダカに入れられています。これらの地方は、キタノメダカとミナミメダカの分布の境界域なので、交雑が起こります。
 「メダカ」の分類については、以前から、議論がありました。「メダカ」は一種ではないという説が、根強かったのです。二種どころか、もっと多くの種に分けられるという意見もあります。近い将来、「メダカ」の種は、もっと細分化されるかも知れません。
 種より大きな分類レベルでも、「メダカ」の分類に、変更がありました。目【もく】や科のレベルです。「メダカ」は、近年、くるくると分類が変えられた魚でした。図鑑やウェブサイトによって、どのように分類されているかが、非常に違います。
 古い図鑑などでは、「メダカ」は、「メダカ目【もく】メダカ科メダカ属」とされていることがあります。現在では、こうではないことが多いです。キタノメダカと、ミナミメダカとは、普通、「ダツ目【もく】アドリアニクチス科メダカ属」に分類されます。
 キタノメダカと、ミナミメダカとの分類は、まだまだ、流動的です。近い将来、何らかの変更がある可能性が高いです。それは、科学が進歩している証拠でもあります。

図鑑↓↓↓↓↓には、メダカが掲載されています。
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 過去の記事でも、「メダカ」を取り上げています。また、近年、分類が変更された(されつつある)生き物も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ハオリムシ(羽織虫)の分類は?(2012/12/10)
六本脚でも、昆虫ではない?(2012/4/2)
ラフレシアは、世界最大の花か?(2012/1/20)
野ネズミは、ネズミ科じゃない?(2011/10/3)
ちょっと待って! メダカの放流(2008/4/25)
などです。



2013年11月22日

ブナの生存戦略

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 ブナは、日本の落葉広葉樹林を代表する木です。北海道の南部から、九州まで分布します。日本の固有種です。ブナ科ブナ属に属します。
 同じブナ科ブナ属の種は、北半球の温帯域に、広く分布します。ヨーロッパに分布するヨーロッパブナや、北米の東部に分布するアメリカブナが有名です。日本のブナ属としては、ブナ以外に、イヌブナという種があります。
 近年、日本の白神山地のブナ林が、知られるようになりましたね。世界遺産に登録されたからです。ブナの天然林としては、奇跡的に残ったことが、評価されました。
 ブナに限らず、日本では、天然林が残っていることが、珍しいですね。日本列島には、古くから人が住んで、土地の利用が進んだからです。多くの森林が、切り開かれました。
 ブナの場合、木材として、あまり質が高くないことが、幸いしたといわれます。腐りやすいうえに、曲がりやすいために、建築材としては、使えません。薪【たきぎ】や炭にしたり、安い日用品を作るのに使われたりする程度でした。
 おかげで、伐られることが少なく、ブナ林が残ったのだろうということです。白神山地については、地元の人々の保護活動が実ったことも、大きいです。
 ブナの果実は、多くの野生動物の食べ物になっていると推定されています。けれども、ブナの果実は、安定した食べ物とはいえません。豊作と不作の波が大きいからです。これは、ブナの生存戦略の一つだと考えられています。
 普段の年、ブナは、少しの果実しか付けません。それでは、少ない動物しか養えませんね。ところが、五年から十年に一度、果実が大豊作になる年があります。
 いきなり大量の果実ができても、食べる動物が少なければ、食べきれずに、余ります。余った果実は、芽を出して、次世代のブナとなります。このように、「普段は不作で、たまに豊作」という戦略を取ることで、うまく世代をつないでいるのですね。
 ブナの果実は、ヒトも食べることができます。とはいえ、前述の理由で、いつも食べるわけにはゆきません。昔は、飢饉の時の食料にされたといいます。

図鑑↓↓↓↓↓には、ブナとイヌブナが掲載されています。
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 過去の記事でも、ブナ科の植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
シイ(椎)の本名は、スダジイ?(2012/9/14)
古事記に登場するカシの木(2012/2/2)
オークは、楢(ナラ)の木? 樫(カシ)の木?(2011/10/28)
などです。


2013年11月 4日

アユモドキ亜科の分類は?

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 先日、このブログで、アユモドキという魚について、取り上げましたね(アユモドキは、アユの仲間か?)。今回は、この魚の分類について、取り上げましょう。
 アユモドキは、ドジョウ科アユモドキ亜科アユモドキ属に属します。アユモドキのラテン語の学名は、長らく、Leptobotia curta【レプトボティア・クルタ】とされてきました。Leptobotia【レプトボティア】というのが、「アユモドキ属」を指していました。
 ところが、近年、アユモドキ亜科の分類が、変更されています。研究が進んだためです。それまで、同じ属だとされた種同士を、別の属に分けるべきことが、わかってきました。アユモドキも、従来の「アユモドキ属」とは、別の属にすべきだとされました。
 アユモドキは、Leptobotia【レプトボティア】属ではなく、Parabotia【パラボティア】属に属するとされるようになりました。したがって、ラテン語の学名も、Parabotia curta【パラボティア・クルタ】と変更されています。
 ややこしいことに、日本語の分類名では、アユモドキは、「アユモドキ属」で、変わりはありません。これは、新しい属名のParabotia【パラボティア】属のほうを、「アユモドキ属」に命名し直したからです。
 アユモドキの旧属名、Leptobotia【レプトボティア】は、消えてしまったわけではありません。ただ、日本語名が、「アユモドキ属」ではなくなっただけです。レプトボティア属に属する魚たちは、今も存在します。東南アジアに分布する種が多いです。
 アユモドキ亜科には、Parabotia属やLeptobotia属以外にも、Botia【ボティア】属などが含まれます。昔は、アユモドキ亜科の種は、ほとんどがBotia属だとされていました。アユモドキ亜科を、ボティア亜科と呼ぶこともあったほどです。
 Botia【ボティア】属は、研究が進むにつれて、小さくなってゆきました。昔は、似た感じの種を、みなBotia属にひっくるめていたのですね。それが、それぞれの特徴を持つ種ごとに、Leptobotia属やParabotia属などに、細分化されるようになりました。
 生物の分類は、たびたび、このように変わることがあります。御注意下さい。

図鑑↓↓↓↓↓には、アユモドキが掲載されています。
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 過去の記事でも、アユモドキについて取り上げています。また、生物の分類についても、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
亜目や亜科の「亜」とは、なに?(2009/8/28)
一つの種に、複数の学名は、あり?(2009/8/24)
学名で分類がわかるって、本当?(2009/8/17)

学名と標準和名とは、違う? 同じ?(2009/8/7)
などです。


2013年10月28日

アユモドキは、アユの仲間か?

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 今回は、日本の天然記念物に指定されている魚を紹介しましょう。アユモドキです。
 アユモドキは、日本の淡水に棲む魚です。アユと名がつきますが、アユの仲間ではありません。ドジョウ科アユモドキ亜科アユモドキ属に属します。よく見ると、口もとに、ヒゲがあります。それで、ドジョウの仲間だとわかります。
 ドジョウの仲間は、普通、水の底のほうにいます。そこで、じっとしていることが多いです。ところが、アユモドキは、そうではありません。普通の魚と同じように、水の中層で、活発に泳ぎます。ドジョウ科の種としては、変わりだねです。
 アユモドキには、他にも、変わった点がいくつかあります。その一つが、分布の問題です。アユモドキは、日本国内にしか分布しません。しかも、日本国内でも、ごく限られた場所にしか、いません。京都府の一部と、岡山県の一部だけです。
 なぜ、こんなに飛び離れた場所に、分布しているのでしょうか?
 この謎は、まだ解けていません。ひょっとしたら、昔は、他の地域にもいた可能性があります。それが、絶滅してしまったのかも知れません。あるいは、もとから、このような分布だった可能性もあります。今となっては、調べるのが難しいですね。
 海外をも含めて、アユモドキの分布を見ると、また、不思議なことが、わかります。
 日本に分布するアユモドキ亜科の種は、アユモドキだけです。けれども、海外には、たくさんのアユモドキ亜科の種がいます。それらの種は、ほとんどが、東南アジアに分布します。タイ、マレーシア、インドネシアなどの国々です。
 日本のアユモドキは、アユモドキ亜科の中では、数少ない例外です。東南アジアの外、はるか東北方向の島国、日本に分布しますから。アユモドキ亜科の分布域の、北端にして東端といえます。仲間内では、ずいぶんと寒い所に棲むことになります。
 アユモドキ亜科の故郷は、やはり、東南アジアなのでしょう。そこから、どのようにして、アユモドキが日本にたどり着いたのかは、わかりません。ようやく着いた日本で、彼らは、故郷の東南アジアと似た生息地を見出したのでしょうか。
図鑑↓↓↓↓↓には、アユモドキが掲載されています。
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 過去の記事でも、ドジョウの仲間を取り上げています。また、アユモドキのように、飛び離れた分布をしている魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
どじょっこにも、いろいろいます(2010/4/26)
琵琶湖で発見された「エンツイ」とは、どんな魚?(2007/11/8)
などです。


2013年8月21日

魚類図鑑の革命を起こした人とは?

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 神奈川県立 生命の星・地球博物館へ行ってまいりました。特別展「益田 一【ますだ はじめ】と日本の魚類学」を見るためです。
 益田一さんの名は、ダイビングをやる方なら、一度は耳にしたことがあるでしょう。日本の職業ダイバーの草分けといえる方です。水中写真家の草分けでもありました。
 現在、日本の優れた魚類図鑑の中で、益田さんの影響を受けていないものは、ありません。それほど、日本の魚類学に、大きな貢献をした方です。
 スキューバダイビングというものが実用化されるまで、人類は、水中の世界を、ほとんど見たことがありませんでした。生きている魚の姿を見ることも、少なかったわけです。ましてや、水中で魚の写真を撮るなど、思いもよらぬことでした。
 このために、魚類図鑑といえば、魚の絵が描いてあるものでした。それが常識だったのです。「生きている魚を撮った写真で、図鑑を作る」のは、長い間の夢でした。
 その夢は、日本では、事実上、益田一さんにより、かなえられました。益田さんが協力して作られた魚類図鑑は、枚挙にいとまがありません。現在では、写真の載った魚類図鑑のほうが、普通ですね。それまでの常識を壊して、魚類図鑑に、革命を起こしました。
 益田さんは、いくつもの魚の新種も発見しています。新種の発見には、多くの人が関わるので、益田さん一人の業績とは言えないかも知れません。とはいえ、益田さんの力がなければ、発見できなかった種があるのは、事実です。
 展覧会の会場には、益田さんが発見に関わった魚の標本や、写真が、展示されています。益田さん御自身が撮影した写真も、多いです。中には、ラテン語の学名に、「masudai」と付いた種もあります。むろん、益田さんにちなんで名づけられたものです。
 会場には、益田さんが製作に関わった魚類図鑑も、展示されています。私自身、見覚えがある図鑑が、いくつもありました。日本で、魚好きの方なら、これらの図鑑のどれかに、お世話になっているはずです。間接的に、益田さんにお世話になっていますね。
 魚好きの方、ダイビングをやる方は、行って損はない展覧会だと思います。

図鑑↓↓↓↓↓には、日本産の魚類が、五十種ほど掲載されています。
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特別展「益田 一【ますだ はじめ】と日本の魚類学」に関する情報は、以下のサイトにあります。
特別展「益田 一【ますだ はじめ】と日本の魚類学」(神奈川県立 生命の星・地球博物館の公式サイト内ページ)


過去の記事でも、現在、開催中の生き物に関する展覧会を取り上げています。夏休みの自由研究に役立ちそうな展覧会が多いです。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
日本の誇るべき『大日本魚類画集』(2013/8/15)
じつは先進国だった? 江戸の園芸文化(2013/7/31)
大昆虫展 in 東京タワー(2013/7/23)
マンモスYUKAと、現生のゾウとの関係は?(2013/7/20) 
特別展「深海」には、深海生物がいっぱい!(2013/7/11)などです。



2013年8月15日

日本の誇るべき『大日本魚類画集』

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 今年の夏は、暑いですね。暑さ除けになる展覧会に行ってまいりました。東京ステーションギャラリーで開かれている「大野麥風【おおの ばくふう】展」です。
 大野麥風は、明治から昭和にかけて活躍した画家です。一般には、ほとんど名が知られていませんね。しかし、今回、実物の作品を見たことで、「この人は、今後、何百年も名を残すべき画家だ」と、確信しました。見ておいて、損はありません。
 麥風の業績は、いくつもあります。ここでは、生き物に関することに絞って紹介しましょう。特に大きな業績は、『大日本魚類画集』の原画を担当したことです。
 『大日本魚類画集』は、美しい木版画で、日本の魚類を紹介した本です。淡水魚も、海水魚も、載っています。この木版画が、芸術と科学との融合のお手本になっています。生物学的に正確な生態を表わしつつ、芸術的な美しさに到達しています。
 例えば、フナのような、地味な魚でも、麥風の手にかかれば、精緻【せいち】な美しさを表わします。同じく、地味なマイワシも、流れるような群れで描かれています。今にも、ぴちぴちと、画面から跳ね出してきそうです。写真以上の迫真性です。
 南西諸島など、一部の海域を除いて、日本産の魚には、派手さがありません。そんな魚たちを、「これほど美しく描く手段があったのか」と、驚嘆させられます。
 麥風の魚たちは、群れをなすものは、群れで描かれています。また、魚が暮らす周囲の環境も、適確に描かれています。例えば、「海の岩礁で、フジツボやイソギンチャクと一緒にいる」、「砂の海底にじっとしている」、「藻が生えた淡水にいる」などです。
 『大日本魚類画集』は、解説文も、格調高く、面白いです。けれども、絵を見るだけでも、自然に、魚の生態がわかるように作られています。
 麥風の画業は、一朝一夕になされたものではありません。麥風以前の人々の、博物画【はくぶつが】の伝統を受け継いでいます。会場には、江戸時代に描かれた、魚類や、海産無脊椎動物の絵もあります。麥風以後の博物画も、展示されています。
 涼やかな水中の絵を見ると、暑さが引きます。暑気払いに、いかがですか?


図鑑↓↓↓↓↓には、日本産の魚類が、五十種ほど掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-



 大野麥風【おおの ばくふう】展の情報は、以下のサイトにあります。
大野麥風展(東京ステーションギャラリーの公式サイト内ページ)


 過去の記事でも、現在、開催中の生物に関する展覧会を紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
じつは先進国だった? 江戸の園芸文化(2013/7/31)
大昆虫展 in 東京タワー(2013/7/23)
マンモスYUKAと、現生のゾウとの関係は?(2013/7/20) 
特別展「深海」には、深海生物がいっぱい!(2013/7/11)などです。


2013年7月15日

巨大な深海魚とは?

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 深海は、いまだ、ヒトの手が届きにくい場所ですね。そこに棲む深海魚には、神秘性を感じます。でも、最近は、書籍やウェブサイトで、深海魚の画像が見られるようになりました。奇妙な姿の画像を、見たことがある方は多いでしょう。
 あのような画像では、誤解されやすいことがあります。深海魚の大きさが、わかりにくいのですね。怪物的な姿からして、「大型の魚が多い」と思われがちです。
 実際の深海魚は、ほとんどが、小型です。実例を挙げてみましょう。
 ハダカイワシの仲間―最も平凡な深海魚といえます―は、多くが、全長10cmにもなりません。チョウチンアンコウの一種、ペリカンアンコウは、たいてい、全長5cm未満です。鋭い牙があり、鬼のような顔のオニキンメも、全長15cmほどに過ぎません。
 中には、大型になる深海魚もいます。有名なリュウグウノツカイなどは、全長が、2mから3mになります。深海のウナギの一種、シギウナギも、全長1mを越えます。
 とはいえ、リュウグウノツカイやシギウナギは、細長い魚です。なよなよしていて、強そうには見えません。大型の深海魚には、このような種が多いです。
 その理由は、深海には、食べ物が少ないからだと考えられます。例えばマグロのように、大型で頑丈な魚は、たくさんの餌を食べなければなりません。体を維持するためです。深海で、それだけの餌を探すのは、難しいのですね。
 では、大型で頑丈な深海魚は、存在しないのでしょうか? そんなことは、ありません。
 オンデンザメというサメの一種がいます。日本の駿河湾などで、見つかっています。この種は、全長が3m以上にもなります。体型は、ずんぐりしているものの、サメらしい体型のサメです。胃の内容物から、肉食であることが確認されています。
 深海で、どうやって、こんな体を維持しているのでしょうか? これは、はっきりわかっていません。口に入る物を、手当たり次第に食べるといわれます。
 オンデンザメは、寒い海域では、浅い海でも見られます。彼らは、深海魚というよりは、寒い海に適応した魚のようです。その生態には、まだまだ、謎が多いです。図鑑↓↓↓↓↓には、ゴマオンデンザメは載っていませんが、日本近海に棲むサメが、三種ほどb>掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-
過去の記事でも、深海魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
深海魚には、長い名前が多い?(2013/01/21)
リュウグウノツカイは、一種ではない?(2011/12/12)
複数の科が、一つの科に? 魚の分類が変わる(2009/01/29)
本当にあった不思議なカレイの話(2008/01/25)
ラブカはなぜ「生きている化石」か?(2007/01/27)
などです。

2013年7月11日

特別展「深海」には、深海生物がいっぱい!

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 国立科学博物館で開催中の特別展「深海-挑戦の歩みと驚異の生きものたち-」に、行ってまいりました。話題のダイオウイカなど、見てまいりました。
 何と言っても、「深海生物図鑑」のコーナーが、圧巻です。めったに見られない深海生物の標本が、三百点以上も、並んでいます。どれも、貴重なものです。
 深海には、大型の生物が多いと思っている方が、いるかも知れませんね。最近、話題になった、ダイオウイカや、ダイオウグソクムシの印象が強いせいでしょう。
 けれども、実際には、小型の生物のほうが、ずっと多いです。実物の標本を見ると、「こんなものなの?」と、がっかりされるかも知れません。
 そんな印象を引っくり返してくれるのが、映像資料です。会場に流されている映像では、生き生きとした深海生物の姿を、見ることができます。
 中で、必見なのは、フウセンクラゲ目【もく】の一種の映像です。透明な体が、虹のように輝いて、本当に美しいです。有櫛動物門【ゆうしつどうぶつもん】に属する生物です。
 もちろん、ダイオウイカの実物標本もあります。近づいて、じっくり見られます。触手に付いた吸盤も、普通のイカより、ずっと大きいです。でも、普通のイカと同じように、ぎざぎざのリングが付いているのが、わかります。
 ダイオウイカほど目立たなくても、見るべき標本が、いくつもあります。私のお勧めは、ダイオウホウズキイカですね。ダイオウイカと同じくらい、大きくなるイカです。
 会場にあるのは、ダイオウホウズキイカの幼体です。普通のイカより、小さいくらいです。うっかりすると見逃しそうです。が、これを見逃すのは、もったいないです。
 ダイオウホウズキイカは、南極海の深海に棲みます。南極の深海とは、二重に行きにくい所ですね。このため、ダイオウホウズキイカの標本を得るのは、非常に難しいです。ダイオウイカ以上に、この標本が見られるのは、幸運です。
 その他、たくさんの深海生物に、会場で会うことができます。ここには、とても書ききれません。ぜひ、会場で、御自分の目で、確かめて下さい。

図鑑↓↓↓↓↓には、タカアシガニ、ズワイガニ、キアンコウなどの深海生物が掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-



特別展「深海」については、以下のサイトに、情報があります。
特別展「深海」(国立科学博物館の公式サイト内ページ)
特別展「深海」公式サイト


 過去の記事でも、深海の生物について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
タカアシガニは、世界最大のカニ?(2009/1/30)
マッコウクジラは人間を襲うか?(2007/3/19)
世界最大のイカは、ダイオウイカではない?(2007/2/23)
深海のイカ、続々と生態を解明中(2007/2/23)
ダイオウイカは食べられない。残念!(2005/10/20)

などです。

2013年4月15日

シャコとアナジャコとは、違う? 同じ?

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 シャコ(蝦蛄)は、寿司だねとして、お馴染みですね。エビに似た、海の生き物です。エビやカニと同じく、甲殻類に属します。
 同じ甲殻類でも、シャコとエビとでは、だいぶ縁が遠いです。綱【こう】、または、亜綱【あこう】のレベルで、分類が違います。(生き物の分類については、以前のコラム「生物分類の、目【もく】や科とは、なに?(2009/08/12)」を御覧下さい)
 エビとシャコよりも、エビとカニのほうが、ずっと近縁です。エビとカニとは、同じ綱【こう】の中の、同じ目【もく】に属するからです。エビとカニとは、まるで姿が違うのに、意外ですね。エビとシャコとは、姿が似ていても、近縁ではない例です。
 シャコは、トゲエビ綱【こう】―学説によっては、トゲエビ亜綱【あこう】―口脚目【こうきゃくもく】というグループに属します。このグループは、多くの種が、海底の砂や泥に、穴を掘って巣とします。寿司だねになるシャコも、そのような一種です。
 紛らわしいことに、日本の一部の地方では、シャコの仲間ではない甲殻類を、シャコと呼ぶことがあります。それは、正式な種名(標準和名)を、アナジャコという種です。
 アナジャコは、姿がシャコに似ています。生態も、シャコと同じように、海底に穴を掘って棲みます。日本の一部の地方では、シャコと呼ばれて、食用にされます。
 これだけ似ているのに、アナジャコは、シャコよりも、エビやカニに近縁です。エビやカニと同じく、軟甲綱【なんこうこう】十脚目【じゅっきゃくもく】に属します。でも、じつは、エビやカニよりも、近縁な甲殻類がいます。それは、ヤドカリの仲間です。
 ヤドカリの仲間は、十脚目の中の、異尾下目【いびかもく】というグループです。この異尾下目の中に、アナジャコも含まれます(学説によっては、アナジャコの仲間を、異尾下目に含めません。それでも、異尾下目と近縁だとはされます)。
 ここまで、亜綱やら下目やら、見慣れないグループ名が出てきましたね。多くの方は、混乱されたのではないかと思います。簡単に言ってしまえば、シャコは、シャコという独自のグループで、アナジャコは、ヤドカリのグループです。
図鑑↓↓↓↓↓には、アナジャコが掲載されています。
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ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、アナジャコと近縁なヤドカリのグループを取り上げています。また、生き物の分類についても、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヤドカリとイソギンチャクとは、仲良し?(2012/03/19)
亜目や亜科の「亜」とは、なに?(2009/08/28)
生物分類の、目【もく】や科とは、なに?(2009/08/12)
カニでないカニがいる?(2006/12/24)
何匹いるかな?(ヤドカリ)(2005/11/15)
などです。

2013年3月25日

得意技で守ります、ハゼとテッポウエビ

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 生き物の世界には、共生という現象があります。異種の生き物同士が、共に暮らすことです。今回は、その一例を紹介しましょう。ハゼとテッポウエビとの例です。
 ハゼは、魚の仲間ですね。海の沿岸域に多い魚です。多くの種は、小型です。専門的には、スズキ目【もく】ハゼ亜目【あもく】に属する種を、ハゼと総称します。
 ハゼの仲間の一部に、テッポウエビと共生するものがいます。テッポウエビとは、名のとおり、エビの仲間です。テッポウエビ科に属する種を、テッポウエビと総称します。
 これまでに、六十種以上のハゼが、テッポウエビの仲間と共生することがわかっています。ずいぶん多いと思いますか? これでも、ハゼの仲間のごく一部なのです。ハゼ亜目に属する種は、二千百種(!)を越えるからです。
 テッポウエビのほうは、二十種以上が、ハゼと共生するとわかっています。テッポウエビ科全体の種数は、いまだ不明ですが、三百種以上いることは確実です。それらのうち、実際には、どれだけの種が、ハゼと共生するのかは、わかっていません。
 ハゼとテッポウエビとは、どのように共生するのでしょうか? 彼らは、すみかを共有します。海底の砂や泥に穴を掘って、棲んでいます。穴を掘るのは、テッポウエビの役割です。ハゼよりも、テッポウエビのほうが、穴掘りが得意だからです。
 ハゼのほうは、見張り役を引き受けます。テッポウエビよりも、ハゼのほうが、眼がいいからです。危険なものが近づいたら、ハゼは、テッポウエビに警報を出します。互いに得意なことを分担して、協力しているわけです。
 先に書いたとおり、テッポウエビは、あまり眼が良くありません。言葉があるわけでもないのに、どうやって、ハゼは、テッポウエビに警報を伝えるのでしょうか?
 じつは、テッポウエビは、ほとんど常に、長い触角を、ハゼの体のどこかに触れています。ハゼは、危険を感じると、背びれや尾びれを細かくふるわせます。その振動が、警報になります。触角で警報を感じて、テッポウエビは、巣穴に逃げ込みます。
 得意技を生かして、共生するハゼとテッポウエビの姿は、微笑ましいですね。

図鑑↓↓↓↓↓には、日本のハゼの仲間が、二種載っています。また、日本に分布するエビの仲間も、十種以上が掲載されています。
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過去の記事でも、ハゼやエビに関する記事を取り上げています。また、共生する生物についても取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヤドカリとイソギンチャクとは、仲良し?(2012/03/19)
アマエビ? いえ、ホッコクアカエビです(2012/02/27)
幸せな共生の形、ドロバチとダニ(2010/12/20)
そっくりさんがいっぱい、スジエビ(2010/02/01)
ミナミトビハゼ画像(2007/09/06)
などです。

2013年1月21日

深海魚には、長い名前が多い?

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 日本で一番、長い名前の魚は、何という種名でしょうか?
 この答えは、長らく、ミツクリエナガチョウチンアンコウでした。十六文字ですね。
 これでは、長すぎて、どういう意味の種名なのか、把握しにくいと思います。意味のわかりやすいように区切りますと、「ミツクリ(箕作)エナガ(柄長)チョウチン(提灯)アンコウ(鮟鱇)」となります。深海魚の、チョウチンアンコウの仲間です。
 箕作【みつくり】とは、人の名前です。魚類学の発展に、大きく貢献した、箕作さんという方がいました。その方を顕彰して、付けた名前です。柄長【えなが】とは、この種の頭に付いている釣りざお状の物が、長いことに由来します。
 ところが、最近になって、もっと長い種名が現われました。ウケグチノホソミオナガノオキナハギです。十七文字ですね。こちらも、意味がわかるように区切りますと、「ウケグチノ(受け口の)ホソミ(細身)オナガノ(尾長の)オキナ(翁)ハギ(剥)」です。
 この種は、カワハギの仲間です。最後の「ハギ」は、それを示します。それに、「受け口である」、「細身」、「尾が長い」、「ヒゲがあって、お爺さん(翁【おきな】)のよう」といった特徴を付けて、こんな長い種名になりました。この種は、深海魚ではありません。
 しかし、もっと長い種名の魚もいます。ジョルダンヒレナガチョウチンアンコウです。十八文字ですね。これも、区切ってみますと、「ジョルダン(外国の魚類研究者の名前)ヒレナガ(鰭長)チョウチン(提灯)アンコウ(鮟鱇)」となります。
 「ジョルダン~」は、「ミツクリ~」と同じく、チョウチンアンコウの仲間です。同じ深海魚です。深海魚には、長い種名のものが多いのでしょうか?
 一概には言えませんが、深海魚の種名は、長くなる傾向はある、といえます。なぜなら、近年、発見された種が多いからです。深海の調査が進んだためですね。既存の種と区別するために、特徴を羅列した種名にすれば、長くなってしまいます。
 「ウケグチノ~」と「ジョルダン~」とは、日本近海に分布しません。このため、今でも、「日本最長の種名の魚は、ミツクリエナガチョウチンアンコウだ」という考えもあります。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本近海に棲む魚が、四十種以上が掲載されています。
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 過去の記事でも、チョウチンアンコウなど、深海魚を取り上げています。また、面白い種名の生物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
リュウグウノツカイは、一種ではない?(2011/12/12)
謎の生物、ブンブクチャガマ(2011/07/11)
トゲアリトゲナシトゲトゲの秘密(2011/06/06)
鮟鱇(アンコウ)鍋にはならないチョウチンアンコウ(2006/02/03)
アンコウは釣りの名手(20060/1/27)
などです。

2013年1月20日

ミナミトビハゼ

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ミナミトビハゼ 画像
和名:ミナミトビハゼ
学名:Periophthalmus argentilineatus
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沖縄 金武【2012.12.15】

2012年12月17日

サカタザメは、サメ? それとも、エイ?

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 エイが、サメに近縁な魚類であることは、皆さん、御存知でしょう。サメとエイとは、どちらも、軟骨魚綱【なんこつぎょこう】に属します。固い骨を持たず、軟骨だけを持つ魚のグループです。このグループは、鰾【うきぶくろ】も持ちません。
 サメとエイとの区別は、通常は、簡単です。エイの体型が、特徴的だからです。エイは、ほとんどの種が、上下に押しつぶされたような、平たい体をしています。
 ところが、中には、サメなのかエイなのか、判然としない種もいます。「○○サカタザメ」という種名の種が、そうです。単に「サカタザメ」という種名の種もいます。
 「○○サカタザメ」たちの体型は、まさに、サメとエイとの中間型です。体の前半分は、エイのように平たいです。けれども、後ろ半分は、サメのようにスマートな、魚の形です。
 では、「○○サカタザメ」は、サメなのでしょうか? エイなのでしょうか? 名前に反して、エイの仲間です。鰓孔【えらあな】が、体の下側(腹側)に付いているからです。これは、エイの特徴です。サメならば、体の横側に鰓孔があるはずです。
 エイの中でも、「○○サカタザメ」たちは、サメに近い仲間だと考えられています。外見のとおりですね。「サメから、エイが進化する過程を残している」といわれることもあります。エイの中では、原始的なグループではないかといわれます。
 ただし、これには、異論もあります。「サメからエイが進化したのではなく、サメとエイとが、共通の祖先から、別々に進化した」という意見もあります。
 そもそも、エイの仲間の分類自体が、確定していません。かつては、エイは、エイ目【もく】という一つの目【もく】にまとめられていました。けれども、現在では、四つの目【もく】に分けられるのが、一般的です。ノコギリエイ目【もく】、ガンギエイ目【もく】、シビレエイ目【もく】、トビエイ目【もく】の四つです。
 「○○サカタザメ」たちは、ガンギエイ目に属するとされます。同じ目【もく】には、ガンギエイなどの種が属します。ガンギエイは、「○○サカタザメ」の体の後ろ半分を縮めて、よりエイらしくした体型です。近縁なだけに、似た部分があるのですね。

図鑑↓↓↓↓↓には、アカエイが掲載されています。
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http://www.zukan.netぜひご利用下さい。
過去の記事でも、エイやサメの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ノコギリザメと、ノコギリエイとは、違う? 同じ?(2012/07/16)
海の妖怪ジェニー・ハニヴァー、その正体は?(2009/08/26)
カスザメは、海中の天使?(2008/12/01)
百種を越える魚類が発見される(2008/09/30)
新種のエイ、新種のイルカを発見(2008/08/26)
などです。

2012年9月10日

ハタが、絶滅の危機に?

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 ハタ(羽太)と呼ばれる魚がいますね。釣りをする方は、御存知でしょう。磯釣りの大物として、人気があります。食べても、美味しい魚です。
 ハタとは、一般的には、スズキ目【もく】ハタ科ハタ亜科に属する種の総称です。ハタ科の中の、ヌノサラシ亜科の一部の種も、ハタと呼ばれることがあります。
 正式な種名(標準和名)を、「ハタ」という種は、ありません。たいてい、「○○ハタ」という種名が付きます。アオハタ、アカハタ、カスリハタ、ホウキハタなどです。
 いくつかの種には、「○○アラ」という種名が付きます。「アラ」とは、ハタの仲間の別名です。スジアラ、コクハンアラ、オオアオノメアラなどの種がいます。
 標準和名を、単に「アラ」という種もいます。地方によっては、標準和名アラでない種を、「アラ」と呼びます。有名なのは、九州の「アラ料理」の「アラ」ですね。この「アラ」は、標準和名クエという種を指します。クエも、ハタ科ハタ亜科に属する一種です。
 魚の呼び名には、方言名が、とても多いです。注意が必要ですね。
 ハタの仲間は、大型になることが知られます。例えば、前記のクエなどは、全長1mを越えることがあります。もっとも、そんな大物は少ないです。釣り人の憧れの的です。
 大きな体にふさわしく、ハタの類は、貪欲です。他の魚や、イカ類、甲殻類などを食べます。肉食性なのですね。貪欲さのために、釣りの対象として、好まれます。
 大型で肉食性となれば、海では、とても強い魚ですね。敵が少ないはずなのに、ハタの仲間が減っているという報告があります。少なくとも、一部は、ヒトのせいです。
 カリブ海など、一部の海域では、明らかに、ヒトの乱獲によって、ハタが減っています。ハタのような大型肉食魚がいなくなることは、海に、非常な悪影響をもたらします。小型の魚類などが、増えすぎてしまうのです。捕食者がいなくなるからですね。
 増えすぎた魚類は、生態系のバランスを崩します。一時的に増えた生物も、やがては数を減らします。結局、あらゆる生物にとって、良くない結果になります。
 海は、無限ではありません。過剰な漁獲は、控えたいですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ハタの仲間は載っていません。そのかわり、日本近海に棲む魚が、五十種ほどが掲載されています。
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http://www.zukan.netぜひご利用下さい。
過去の記事でも、大型の肉食魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ネムリブカは、眠るサメ?(2008/08/11)
人食いザメより、サメ食い人のほうが多い?(2007/05/31)
マグロ(鮪)は温血魚?(2006/10/18)

ワニに見えてもワニじゃない、ガーパイク(2006/09/16)
ホオジロザメ(ホホジロザメ)は本当にヒトを食うか?(2005/11/25)
などです。

2012年7月16日

ノコギリザメと、ノコギリエイとは、違う? 同じ?

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 少しでも、生き物に興味がある方ならば、ノコギリザメという名を、聞いたことがおありでしょう。サメの仲間ですね。では、ノコギリエイという名を聞いたことは? 
 ノコギリザメと、ノコギリエイとは、同じ種なのでしょうか? 違います。ノコギリエイは、名のとおり、エイの仲間です。
 ノコギリザメとは、ノコギリザメ目【もく】ノコギリザメ科に属する種の総称です。この中に、ノコギリザメという種名の一種もいます。
 ノコギリエイのほうは、ノコギリエイ目【もく】ノコギリエイ科の総称です。種名をノコギリエイという種については、いるのかいないのか、はっきりしません。ノコギリエイ科の分類が、組み直されている最中だからです。
 ノコギリザメと、ノコギリエイとが、似た名になったのは、姿が似るからです。どちらも、頭の先端に、鋸【のこぎり】状の長い構造物が付いています。体のほうは、どちらもスマートで、普通のサメに似た姿です。ここで、疑問を感じる方がいるでしょう。
 エイといえば、上下につぶれたような、平たい魚のはずです。サメに似た体形なのに、なぜ、ノコギリエイは、エイの仲間なのでしょうか?
 じつは、サメとエイとの区別は、体形だけによるのではありません。いくつもの違いがあります。中で、最もわかりやすいのは、鰓孔【えらあな】の位置の違いでしょう。ノコギリエイは、他のエイと同じ位置に、鰓孔があります。
 サメは、体の両横に鰓孔があります。エイは、体の下側(白くなっている腹側)に鰓孔があります。たとえ体が平たくなくても、腹側に鰓孔が並んでいれば、エイです。
 逆に、体が平たくても、体の横に鰓孔があれば、サメです。例えば、カスザメというサメの仲間がいます。この仲間は、エイのように、体が平たいです。カスザメについては、以前、このブログで取り上げましたね(カスザメは、海中の天使?(2008/12/01))。
 ノコギリザメ科では、種名ノコギリザメが、日本近海で見られます。ノコギリエイのほうは、熱帯域に多いです。日本では、南西諸島あたりまで行かないと、見られません。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ノコギリザメもノコギリエイも載っていません。そのかわり、日本近海に分布するサメとエイの仲間が、四種ほど掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.netぜひご利用下さい。
過去の記事でも、サメやエイの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海の妖怪ジェニー・ハニヴァー、その正体は?(2009/08/26)
カスザメは、海中の天使?(2008/12/01)
百種を越える魚類が発見される(2008/09/30)
新種のエイ、新種のイルカを発見(2008/08/26)
ネムリブカは、眠るサメ?(2008/08/11)
などです。

2012年3月 5日

謎多き魚、アカメ

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 日本の固有種の一つに、アカメという魚がいます。西日本の沿岸部の海に分布します。河口付近で、よく見られます。海水魚というより、汽水魚といったほうが、いいかも知れません。汽水【きすい】とは、海水と淡水とが混じり合った水です。
 アカメ(赤目)という種名ですが、普段、目は赤くありません。暗い所で、何かの光を反射した時に、目が赤く光って見えます。
 地方によっては、別種の魚を、アカメと呼ぶことがあります。けれども、正式な種名(標準和名)をアカメというのは、スズキ目【もく】アカメ科アカメ属の本種だけです。
 この魚には、謎が多いです。まず、分布域がはっきりしません。西日本(浜名湖以西)の太平洋沿岸にしかいないことは、確かです。主に見られるのは、高知県と宮崎県です。他の地域では、どの範囲まで分布しているのか、わかっていません。
 例えば、伊豆諸島の八丈島や、沖縄にも、アカメがいるという噂があります。しかし、噂だけで、確認はされていません。
 繁殖の様子も、わかっていません。誰も、産卵を観察していないのです。いつ、どこで、どうやって産卵しているのか、謎のままです。
 一番の謎は、水温の謎でしょう。これは、アカメを飼育することにより、新たに加わった謎です。この種が好む水温は、予想より高いことがわかりました。27℃から30℃です。この水温は、アカメが多く見られる四国や九州の海より、明らかに高いです。
 好む水温からすれば、アカメは、熱帯域の魚のはずです。実際、アカメと非常に近縁な種が、アジアの熱帯域に広く分布します。バラムンディという種です。
 ところが、アカメは、ずっと寒い、日本本土の沿岸にいます。夏ならばまだしも、冬の冷たい水温に、アカメは、どうやって耐えているのでしょうか?
 これについては、面白い説があります。海底のどこかに、温泉が湧いているのではないかというのです。温泉があれば、周囲の水温は高くなりますね。そこで、アカメは、冬を越すというわけです。これが本当なら、アカメは、温泉好きの魚ですね(笑)
図鑑↓↓↓↓↓には、アカメが掲載されています。
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過去の記事でも、アカメを取り上げています。また、アカメ以外の日本の固有種も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
小笠原諸島のトカゲたち(2011/09/26)
ジネズミは、ネズミじゃない?(2010/10/15)
日本のサンショウウオに、変動あり(2010/10/04)
ノグチゲラは、キツツキ科か?(2010/01/04)
アカメは海水魚? 淡水魚?(2010/09/20)
などです。

2012年2月18日

コイ

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コイ  画像
和名:コイ
学名:Cyprinus carpio
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

東京 新宿【2012.02.09】

図鑑↓↓↓↓↓には、コイが掲載されています。
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2012年2月 6日

ヤツメウナギは、魚類か?

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 ヤツメウナギという生き物を、御存知でしょうか? ウナギと付いても、ウナギと近縁ではありません。姿がウナギに似るため、こんな名が付いただけです。
 ヤツメ(八つ目)というのも、誤解を招く名ですね。実際には、眼が八つあるわけではありません。眼の後ろに、鰓孔【えらあな】が並ぶのが、眼のように見えるのです。本当の眼は、二つです。
 ヤツメウナギについて調べようと思ったら、普通は、魚類図鑑を開くでしょう。ヤツメウナギは、水中に棲みますし、鰭【ひれ】もあります。どう見ても、魚類に見えますね。
 ところが、「ヤツメウナギは、魚類ではない」という説があります。何を根拠に、そんな説が出るのでしょうか? 魚類でないなら、何なのでしょうか?
 普通の魚類と、ヤツメウナギとは、いくつかの重大な違いがあります。最もわかりやすいのは、「顎【あご】がない」点でしょう。ヤツメウナギの口は、体の前端に開いた、円い穴に過ぎません。顎がないため、口は、ぽかんと開けたままです。開閉できません。
 この口の様子から、ヤツメウナギの仲間は、円口類と呼ばれます。円口類は、魚類が顎を得る前の性質を、現代まで残していると考えられます。その点では、生きている化石といえます。円口類には、ヤツメウナギの他に、ヌタウナギの仲間が入ります。
 円口類を、魚類に含めるかどうかは、学者により、意見が違います。でも、魚類図鑑には、普通の魚と一緒に載っていることが多いです。
 顎の獲得は、偉大な発明でした。私たちの口を考えれば、わかりますね。顎があるおかげで、口を開けっぱなしではなく、開閉することができます。大きな食べ物を噛みちぎったり、固い食べ物を噛み砕いたりすることもできます。
 顎がないヤツメウナギには、そんなことはできません。では、どうやって食べているのでしょうか? その円い口で、他の魚に吸いつき、血を吸います。液体を食べています。
 まるで、吸血鬼のような生活ですね。顎のある、強力な魚たちに混じっては、そのような技を身につけなければ、しぶとく生き残ってこられなかったのでしょう。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ヤツメウナギは載っていません。かわりに、日本の魚類が五十種以上が掲載されています。
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過去の記事でも、ウナギや、ウナギに似た魚類を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ウナギとアルパカがお出迎え、東大の総合研究博物館(2011/07/27)※展示期間は終わりましたが、記事の文中に、ウナギの最新情報があります。
ウミヘビ(海蛇)は、魚? 爬虫類?(2011/04/18)
フクロウナギは、ウナギの仲間か?(2011/02/21)
ウナギとオオウナギとは、違う? 同じ?(2010/05/21)
ウナギの繁殖の謎は解けたか?(2006/07/21)※二〇〇六年の記事ですので、少し情報が古いです。
などです。

2012年1月31日

カメラマンは鳥!? バイオロギング展

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 東京の上野にある、国立科学博物館に、行ってまいりました。現在、ここでは、「動物目線の行動学 バイオロギング」という企画展が開かれています。
 バイオロギングとは、聞き慣れない言葉ですね。これは、最近、作られた言葉です。バイオbio=生き物、ロギングlogging=記録すること、という意味です。ヒト以外の生き物が、自分の行動を、自ら記録することです。なぜ、そんなことができるんでしょうか?
 もちろん、これには、人間が関わっています。生き物を研究する手段の一つとして、出てきました。具体的な例を挙げてみましょう。
 マユグロアホウドリという鳥がいます。名のとおり、アホウドリの一種の海鳥です。
 マユグロアホウドリには、謎がありました。それは、彼らの食べ物のことです。
 海鳥の彼らは、当然、海の魚などを食べています。これまでの調査で、彼らの食べ物には、深海魚が含まれることがわかっていました。
 ところが、マユグロアホウドリは、深海魚が獲れるほど、深く潜ることはできません。なのに、なぜ、深海魚を得られるのでしょうか?
 この謎を解くために、バイオロギングが使われました。マユグロアホウドリの背中に、小型のカメラを取り付けたのです。このカメラは、自動的に、写真を撮り続けられるようになっていました。つまり、「鳥目線」で見た世界を、写した写真です。
 数日後、カメラが回収されました。撮られた写真を調べると、中に、複数のマユグロアホウドリが、シャチを追って飛んでいる写真がありました。
 これにより、マユグロアホウドリが食べ物を得るのに、シャチを利用しているらしいことが、わかりました。シャチは、深海まで潜ることができます。そこで、深海魚を捕まえます。獲物を食べるのは、海面近くに浮上してからです。
 シャチが、海面近くで食べ散らかした深海魚を、マユグロアホウドリが取ってゆくのだろうと考えられています。バイオロギングのおかげで、初めてわかったことです。バイオロギング展に行くと、このような興味深い例を、いくつも見ることができます。

図鑑↓↓↓↓↓には、バイオロギング展で紹介されているシャチ、マンボウ、カブトガニなどが掲載されています。
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国立科学博物館のバイオロギング展のページ


過去の記事でも、生き物に関する博物館の展示を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
世界のクジラ模型展(2012/1/18)


2011年12月12日

リュウグウノツカイは、一種ではない?

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 二〇一二年の干支、辰【たつ】は、十二支のうちで、唯一、架空の動物です。けれども、まるで実在するかのように、多くの伝承がありますね。「海の底に、竜が棲む竜宮がある」という話などが、代表的です。夢のある伝承ですね。
 日本人は、ある魚に、龍宮の名を付けました。リュウグウノツカイです。いかにも、深い海の底にいそうですね。そのイメージどおり、深海魚です。深さ200mほどの海で、生活していると考えられています。背びれの一部が長く、美しい姿をしています。
 他の深海魚と同じように、リュウグウノツカイの生態も、ほとんど知られません。観察が難しいからです。普段、どんな姿勢で泳いでいるのかさえ、意見が割れています。「立ち泳ぎをしている」説と、「普通の魚のように、横に泳いでいる」説とがあります。
 めったに人目に触れないにもかかわらず、リュウグウノツカイの名は、深海魚の中では、知られているほうです。名前の印象が強いことと、体の大きさによるのでしょう。
 リュウグウノツカイは、全長が2~3mになります。大きなものでは、5mを越えます。長さは、硬骨【こうこつ】魚類の中で、最長です。深海魚では、異例の大きさです。
 硬骨魚類とは、軟骨ではなく、硬い骨を持つ魚のグループです。魚の中から、サメやエイ―彼らは、軟骨魚類です―を除いたものが、硬骨魚類と思っていいです。
 リュウグウノツカイは、長らく、太平洋・大西洋・インド洋に、同じ一種が分布していると思われてきました。ほぼ、全世界の深海にいると思われてきたわけです。
 しかし、以前から、「リュウグウノツカイと呼ばれる中には、複数の種が含まれるのでは?」という意見がありました。リュウグウノツカイ科リュウグウノツカイ属には、二、三種が含まれるかも知れません。
 リュウグウノツカイとは、正式な日本語の種名(標準和名)です。ラテン語の学名については、やはり、意見が割れています。図鑑やウェブサイトにより、学名が違います。
 もし、リュウグウノツカイ属が、二、三種に分割されるとしたら、それぞれ、違う種名が付くでしょう。でも、「リュウグウノツカイ」の名は、残して欲しいですね。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、リュウグウノツカイは載っていません。けれども、深海に起源を持つウナギや、キアンコウが掲載されています。
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過去の記事でも、深海魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
複数の科が、一つの科に? 魚の分類が変わる(2009/01/29)
超深海でも活発なのは、シンカイクサウオ?(2008/11/11)
本当にあった不思議なカレイの話(2008/01/25)
ラブカはなぜ「生きている化石」か?(2007/01/27)
鮟鱇(アンコウ)鍋にはならないチョウチンアンコウ(2006/02/03)
などです。

2011年12月 5日

これでも魚類です、タツノオトシゴ

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 来年、二〇一二年は、辰年【たつどし】ですね。それにちなんで、竜に似た生き物を取り上げましょう。タツノオトシゴ(竜の落とし子)です。
 タツノオトシゴの仲間は、いつも立ち泳ぎをしています。魚には見えませんね。けれども、立派な魚類です。トゲウオ目【もく】ヨウジウオ科タツノオトシゴ属に属します。
 タツノオトシゴ属には、なん十種もの種が属します。中に、「タツノオトシゴ」という種名の種が含まれます。一般的には、タツノオトシゴ属全体を指して、タツノオトシゴと呼ぶことが多いです。みな、種名タツノオトシゴと、似た姿をしているからです。
 面白いことに、タツノイトコや、タツノハトコという種名の魚もいます。この二種は、ヨウジウオ科タツノイトコ属に属します。科が同じですから、タツノオトシゴの近縁種と言えます。が、属が違うので、「タツノオトシゴの一種」とは、言えません。
 タツノイトコや、タツノハトコは、タツノオトシゴとは違って、立ち泳ぎをしません。普通の魚と同じく、横になって泳ぎます。しかし、顔を見ると、タツノオトシゴと似ています。口が尖った顔です。もう一つ、尾で物に巻き付くのも、共通の特徴です。
 ヨウジウオ科には、タツノオトシゴ属や、タツノイトコ属でなくとも、「尾で物に巻き付く」魚たちがいます。トゲヨウジ、スミツキヨウジなどの種です。これらの種には、尾びれがありません。尾は、巻き付くことに特化しているからです。泳ぎには使われません。
 すべてのヨウジウオ科の魚が、「尾で巻き付く」のではありません。普通の魚と同じように、尾びれを持ち、普通に泳ぐ種もいます。ヨウジウオ、ノコギリヨウジなどの種が、そうです。でも、彼らの顔は、やはり、タツノオトシゴに似ています。
 興味深いことに、ヨウジウオ科には、英語でシードラゴンsea dragon(海の竜)と呼ばれる種が、なん種か、います。外国の人から見ても、この仲間には、竜を思わせるところがあるのでしょう。ちなみに、シードラゴンたちは、巻き付く尾を持ちません。
 どうやら、ヨウジウオ科の尖った顔が、竜を連想させるようです。タツノオトシゴの場合は、ごつごつした外皮も、竜らしいですね。よくぞ、この名を付けたと思います。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、タツノオトシゴは載っていません。けれども、広い意味でタツノオトシゴと近縁な(同じトゲウオ目【もく】)アオヤガラ、ヘラヤガラが掲載されています。
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過去の記事でも、タツノオトシゴの仲間を取り上げています。また、干支にちなんだ動物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
アマミノクロウサギは、生きている化石か?※二〇一一年の干支、ウサギの仲間です。
海藻に擬態【ぎたい】? ヘラヤガラ(2010/11/26) ※ヘラヤガラは、広い意味で、タツノオトシゴと近縁です。「たつのこ」という方言名があります。
「ゴンボネズミ」の正体は?(2010/11/19)※二〇一一年の干支、ウサギの仲間です。
最小の脊椎動物?が発見される(2009/02/14)
などです。

2011年10月24日

大鯰(オオナマズ)は、実在するか?

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 日本の民話には、とてつもなく大きい鯰(ナマズ)が登場することがありますね。例えば、茨城県の鹿島神宮にまつわる話で、語られます。「ヒトが乗れる大きさがある」などと言われたりします。そのような大型のナマズは、日本にいるのでしょうか?
 日本で、最も普通に見られるナマズの仲間は、「ナマズ」という種名のものです。他種のナマズと区別するために、マナマズと呼ばれることもあります。この種は、言われるほど大きくなりません。せいぜい、60cmくらいです。
 もっと大きくなるナマズの仲間が、日本にいます。日本に分布するナマズで、最大なのは、ビワコオオナマズという種でしょう。この種は、全長1mほどになります。
 ビワコオオナマズは、民話の大鯰のモデルなのでしょうか? そうとは限りません。「オオナマズ」といっても、全長1mでは、ヒトが乗るには、小さすぎますね。
 加えて、ビワコオオナマズは、分布が限られています。日本国内でも、琵琶湖と、淀川水系にしか分布しません。前述の鹿島神宮の場合などは、そもそも、ビワコオオナマズが分布しない地域です。話が成り立ちませんね。
 じつは、江戸時代より前には、普通のナマズ(種名ナマズ)も、鹿島神宮付近には、分布しなかったのではないかといわれます。
 種名ナマズは、本来、西日本にしか分布しなかったようです。種名ナマズの分布は、ヒトによって、広げられました。食用になるためです。東日本の人々にとっては、見慣れぬ不気味な魚だったのかも知れません。そのため、民話の材料にされたのでしょうか。
 民話や伝説の大鯰は、誇張されたものでしょう。あくまで「お話」です。
 それでも、ビワコオオナマズは、日本の淡水魚では、最大級の種の一つに入ります。ビワコオオナマズと同等か、それ以上に大きくなる淡水魚と言えば、日本の在来種では、イトウ、チョウザメ、オオウナギ、コイくらいしかいません。
 なお、海外へ目を向ければ、巨大なナマズの種が、たくさんいます。それこそ、ヒトが乗れそうなオオナマズもいます。それらの種は、ぜひ、水族館で、御覧下さい。

図鑑↓↓↓↓↓には、ナマズ科のナマズ、ビワコオオナマズが掲載されています。
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過去の記事でも、ナマズを取り上げています。また、大型になる日本の淡水魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
日本最大の淡水魚とは?(2010/07/26)
ウナギとオオウナギとは、違う? 同じ?(2010/05/21)
しゃべるナマズがいる?(2006/08/11)
ナマズ(鯰)は地震を予知するか?(2006/05/30)
などです。

2011年8月22日

オコゼ? いえ、オニカサゴです

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 オコゼと呼ばれる魚を、御存知ですか? 海の岩礁にいる魚です。白身で、美味しい魚として知られます。美味しさに反して、外見が醜いことでも、有名です。
 じつは、オコゼと呼ばれる魚には、複数の種が含まれます。正式な種名(標準和名)を「オコゼ」という種は、いません。たいてい、「○○オコゼ」という種名が付きます。オニオコゼ、ハオコゼ、ミシマオコゼなどです。
 中には、「○○オコゼ」という標準和名ではないのに、「オコゼ」と呼ばれる魚もいます。それらの多くは、「○○カサゴ」という標準和名が付きます。イズカサゴ、エボシカサゴ、オニカサゴなどです。なぜ、こんなことになっているのでしょうか?
 昔の日本人は、「オコゼ」と「カサゴ」とを、あまり区別しなかったのですね。岩礁地帯に棲んで、ごつごつした外見の魚は、みな「オコゼ」か「カサゴ」と呼んだようです。中で、特に醜いものを、「オコゼ」と呼ぶことが多かったと見られます。
 現在の分類学では、「○○オコゼ」と「○○カサゴ」とは、近縁とは限りません。例えば、ミシマオコゼは、スズキ目【もく】ミシマオコゼ科に属します。ハオコゼは、カサゴ目【もく】ハオコゼ科に属します(分類には、異説があります)。この二種は、遠縁ですね。
 ややこしいことに、「○○オコゼ」と、「○○カサゴ」には、遠縁なものと、近縁なものとが混じっています。例えば、イズカサゴとオニカサゴとは、同じカサゴ目フサカサゴ科に属します。科のレベルまで同じなので、これは、近縁な種同士といえます。
 「○○カサゴ」の中でも、オニカサゴは、鬼という種名にふさわしいです。外見が恐ろしげなのを、鬼にたとえたのですね。もう一つ、オニカサゴには、毒があります。毒を持つのは、背びれの棘【とげ】です。この点も、鬼にふさわしく思われたのでしょう。
 オコゼと呼ばれる種の多くは、オニカサゴのように、背びれの棘に毒を持ちます。ヒトに対しても、強烈に作用する毒が多いです。しかも、彼らは、海中の岩にそっくりです。ダイバーの方などは、うっかり手を置いたりしないよう、御注意下さい。
 そんな毒魚でも、食べれば美味しいです。鬼より怖いのは、ヒトの食欲ですね(笑)


図鑑↓↓↓↓↓には、オニカサゴ、カジカなど、オコゼと呼ばれることがある魚が掲載されています。
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過去の記事でも、オコゼと呼ばれることがある魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
カジカ(鰍)の迷宮(2009/12/21)※標準和名カジカという魚も、オコゼと呼ばれることがあります。
カサゴ(笠子)は、似たもの同士の一族(2007/11/26)
秋に美味しい鰍【かじか】(2006/11/13)
などです。

2011年7月27日

ウナギとアルパカがお出迎え、東大の総合研究博物館

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 夏にふさわしい展覧会が、東京大学の総合研究博物館
で開かれています。「鰻【うなぎ】博覧会」と、「アルパカ×ワタ」の、二つの展覧会です。
 ウナギは、日本の夏に欠かせませんね。縄文時代の遺跡からも、ウナギの骨が発掘されています。北海道から沖縄まで、各地の遺跡から出ています。「鰻博覧会」の会場には、日本のどこの縄文遺跡から、ウナギの骨が出たのかを、展示してあります。
 ウナギの繁殖の謎は、有名ですね。二〇〇九年になるまで、天然のニホンウナギの卵は、誰も見たことがありませんでした。どこの海域で産卵するのかも、知られませんでした。
 二〇〇九年、ついに、長年の謎が解かれます。日本のはるか南東、マリアナ諸島の西側の海域で、ニホンウナギの卵が発見されました。「鰻博覧会」の会場で、その卵を見ることができます。ニホンウナギの産卵海域を、具体的に示した模型もあります。
 ウナギの完全養殖の試みも、進んでいます。完全養殖とは、飼育しているウナギを繁殖させて、次々に世代を重ねてゆかせることです。実験室では、完全養殖ができるようになりました。会場で、養殖されたウナギの幼生を見ることができます。
 生きているウナギの幼生は、必見です! ウナギの幼生は、普通の魚の形をしていません。細長い木の葉のような形で、透き通っています。神秘的で、美しいです。
 この形の幼生は、レプトセファルスと呼ばれます。ニホンウナギのレプトセファルスが、生きた姿で、一般に公開されるのは、極めて珍しいことです。
 「アルパカ×ワタ」のほうは、博物館の二階が会場です。こちらは、南米アンデスの織物の文化を紹介しています。アンデスの織物は、動物のアルパカや、植物のワタからできています。展覧会の題名は、そこから取られています。
 こちらの会場には、アルパカの剥製【はくせい】標本があります。また、ワタの標本や、織物を染める染料植物の標本もあります。こちらの会場は、狭いために、それほど多くの展示物はありません。会場入口がわかりにくいので、御注意下さい。
 今年の夏は、二つの展覧会で、自然と古代文化の神秘に触れるのは、いかがでしょう?

図鑑↓↓↓↓↓には、ウナギが掲載されています。
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過去の記事でも、ウナギについて取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
フクロウナギは、ウナギの仲間か?(2011/02/21)
ウナギとオオウナギとは、違う? 同じ?(2010/05/21)
ウナギの繁殖の謎は解けたか?(2006/07/21)※この記事を書いた当時は、野生のニホンウナギの卵は、発見されていませんでした。
などです。
「鰻【うなぎ】博覧会」と、「アルパカ×ワタ」については、以下のページに案内があります。
鰻博覧会(東京大学総合研究博物館の公式サイト内ページ)
アルパカ×ワタ(東京大学総合研究博物館の公式サイト内ページ)

2011年4月 9日

海の生き物と遊ぼう、よしもとおもしろ水族館

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 水族館へ行ってまいりました。横浜中華街にある、よしもとおもしろ水族館です。
 ここは、あのお笑いのよしもとが経営しています。ですから、普通の水族館とは、一味、違います。「魚博士」のタレント、さかなクンが、解説板に登場しています。
 面積は、そんなに広くありません。そのかわり、水槽ごとに、工夫が凝らされています。中華街の散策ついでに、ぶらりと寄るのに、いいですね。
 多くの水槽には、クイズが付いています。クイズには、正解を答えたいですよね? それには、水槽の生き物たちを、よく観察しなければいけません。そうしているうちに、生き物の知識が付いてしまいます。楽しいお勉強です。
 サンゴ礁に棲む、きれいな魚が、たくさんいます。映画で有名になったカクレクマノミや、ナンヨウハギなどです。サンゴの仲間も、何種もいます。
 ヒトにとって御馳走になる、イセエビや、アワビや、サザエもいます。ヒラメとカレイとが、一緒に入っている水槽もあります。どちらがどうなのか、比べることができますね。
 変わった姿の魚もいます。例えば、オニダルマオコゼは、海底の岩にそっくりです。水槽の中には、置き物の「にせオニダルマオコゼ」もあります。どれが生きている魚で、どれが置き物か、見分けられるでしょうか?(笑)
 クラゲたちの水槽もあります。ふわふわと漂うように泳ぐクラゲには、癒されますね。
 個人的には、カブトクラゲの水槽と、ケヤリムシの水槽が気に入りました。
 カブトクラゲは、クラゲと付いても、普通のクラゲとは、遠縁のグループです。泳ぐ時、体の一部が、虹のように光ります。この種を飼う水族館は、珍しいです。
 ケヤリムシは、釣り餌にするゴカイの仲間です。頭部に、ふさふさした鰓冠【さいかん】というものが付いています。それが、水中で、花のように開きます。とても美しいです。
 現在、ここの水族館では、「NO UMA【ノーユーマ】展」という企画もやっています。UMAとは、未確認動物のことです。例えば、人魚や、ドラゴンも、UMAといえます。そんな不思議な生き物が、水族館に!? どんなものかは、観に行ってみて下さい(笑)


図鑑↓↓↓↓↓には、日本の近海に分布する魚類や、無脊椎動物がたくさん載っています。
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よしもとおもしろ水族館の公式サイトは、以下にあります。
よしもとおもしろ水族館

2011年3月14日

魚か鳥か? シマアジ

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 シマアジと聞いて、何を連想しますか? 大概の方は、魚の一種を思い浮かべるでしょう。日本で、普通に食用にされる魚ですね。スズキ目【もく】アジ科の一種です。
 ところが、もう一種、シマアジという種名の生き物がいます。何だと思いますか?
 もう一種のほうは、鳥類です。カモ目【もく】カモ科の一種です。
 なぜ、魚と鳥とで、まったく同じ種名が付いたのでしょうか? 語源を探ってゆくと、共通点が見えてきます。どちらも、ヒトにとって美味しいことです。
 魚のアジの仲間(アジ科)は、食用魚が多いことで知られます。シマアジ以外に、マアジなども食用にされますね。そもそも、魚のアジ(鯵)という名は、「味が良いから付いた」といわれます(語源には、異説もあります)。
 鳥のアジのほうも、「味が良いから付いた」とされます。カモ肉は、美味しい物の代名詞ですね。「カモがネギをしょってくる」などという諺【ことわざ】もあります。古語では、現在のコガモや、トモエガモや、シマアジをまとめて、アジガモと呼んだようです。
 カモ科に属する鳥の種は、たくさんいます。それらの中から、なぜ、コガモや、トモエガモや、シマアジを指して、アジガモと呼んだのでしょう? これは、わかっていません。
 ちなみに、鳥類には、アジサシという種名のものもいます。こちらは、アジガモとは遠縁です。チドリ目【もく】カモメ科に属します。アジサシのほうは、魚のアジに由来する名だと、はっきりしています。アジなどの魚を捕って食べるため、「鯵刺し」です。
 「魚のアジの名は、鳥のアジガモに由来する」説もあります。「アジガモと同じように、美味しい魚だから」らしいです。ただし、この説に、明確な根拠はありません。
 アジガモという名は、現在では、ほとんど消えてしまいました。日本で普通に見られる鳥では、わずかに、シマアジの種名に、名を残すだけです。
 鳥のシマアジは、日本では、旅鳥になることが多いです。春と秋にしか見られないわけですね。おまけに、数も少ないです。バードウォッチングで、見られたら、ちょっと自慢できる種かも知れません。機会があれば、挑戦してみて下さい。
図鑑↓↓↓↓↓には、鳥のシマアジ、コガモ、トモエガモ、および、魚のマアジが掲載されています。
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過去の記事でも、違う分類グループで、同じ名前の生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ゴンズイの名の由来は?(2009/06/19)
都鳥【みやこどり】の正体は、ユリカモメ?(2009/01/23)
ホトトギスは鳥? それとも植物?(2007/10/05)
昆虫にも、「ミミズク」がいる?(2007/07/09)
などです。

2011年2月21日

フクロウナギは、ウナギの仲間か?

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 深海には、浅い海では考えられない姿の生き物がいますね。フクロウナギ(袋鰻)や、フウセンウナギ(風船鰻)は、その代表でしょう。
 フクロウナギの姿を、御存知ですか? 一度、画像検索してみて下さい。細長い体に、巨大な口が付いています。子どもが、いたずらで描いた絵みたいです。
 フウセンウナギのほうも、かなり異常な姿です。フクロウナギほどではありませんが、やはり口が大きいです。体は細長いです。その体に、巨大な胃袋が付いています。
 「こんなに変わった魚は、日本近海にはいない」とお思いですか? フクロウナギのほうは、日本近海にいます。フウセンウナギのほうは、確認されていません。
 彼らは、なぜ、こんな姿になったのでしょう? 正確なところは、わかっていません。彼らが、深海で、実際に餌を取っているところが、観察されていないからです。
 深海が、食べ物の少ない環境なのは、確かです。そのような環境で、少しでも多くの食べ物を得るために、こんな姿になった、と推測されています。
 フクロウナギと、フウセンウナギとは、近縁だとされています。明らかに、姿が似ていますからね。フクロウナギとは、フウセンウナギ目【もく】フクロウナギ科に属する一種です。フウセンウナギとは、フウセンウナギ目フウセンウナギ科に属する種の総称です。
 フクロウナギも、フウセンウナギも、外見だけでなく、体の内部構造も変わっています。鰓蓋【えらぶた】を支える骨や、肋骨【ろっこつ】や、鰾【うきぶくろ】や、鱗【うろこ】などを持ちません。魚類として、常識外れです。
 このために、彼らの分類には、昔から議論がありました。近年、彼らのミトコンドリアDNA解析が行なわれました。それによると、フクロウナギも、フウセンウナギも、普通のウナギ―ウナギ目【もく】ウナギ科に属します―に近縁だ、という結果が出ました。
 どうやら、フウセンウナギ目【もく】全体が、ウナギ目に入れられることになりそうです。これまでは、その異常さのために、彼らが普通のウナギに近縁だとは、思われなかったようです。普通のウナギの起源の秘密も、深海にあるのかも知れません。

図鑑↓↓↓↓↓には、普通の食用にされるウナギが掲載されています。
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過去の記事でも、深海の生物を取り上げています。また、普通のウナギも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ウナギとオオウナギとは、違う? 同じ?(2010/05/21)
複数の科が、一つの科に? 魚の分類が変わる(2009/01/29)
超深海でも活発なのは、シンカイクサウオ?(2008/11/11)
本当にあった不思議なカレイの話(2008/01/25)
ウナギの繁殖の謎は解けたか?(2006/07/21)
などです。

2010年12月18日

奇跡の復活! クニマス

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 とても嬉しいニュースが、飛び込んできました。「絶滅したと思われたクニマスという魚が、生きていた」というのです。
 クニマスは、サケ科の魚です。世界中で、日本の秋田県の田沢湖にだけ分布していました。最後に田沢湖でクニマスが確認されたのは、1940年ころです。それ以来、約70年が経ちました。世界からクニマスは消えてしまったと思われました。
 ところで、再発見された場所は、田沢湖ではありません。山梨県の西湖【さいこ】です。富士五湖の一つですね。なぜ、こんな離れた場所に、クニマスがいるのでしょうか?
 じつは、1935年ころ、田沢湖から西湖へ、クニマスの卵が持ち込まれたことがあるそうです。その時の子孫が、生き残っていたと考えられます。
 クニマスについては、詳しいことがわかっていません。調査が進む前に、絶滅した(と思われた)からです。「サケ科の中で、どの位置に分類されるのか」という、基本的なことさえ不明です。以前から、「クニマスは、独立種なのか?」という議論がありました。
 クニマスは、同じサケ科の中の、ヒメマスという種に似ています。このため、「クニマスは独立した『種』ではなく、ヒメマスの『亜種』だ」という意見があります。
 いっぽう、「クニマスはヒメマスに似るが、伝承によれば、生態が違う。独立種だ」という意見もあります。ヒメマスの亜種とすれば、クニマスのラテン語の学名は、Oncorhynchus nerka kawamuraeです。独立種ならば、Oncorhynchus kawamuraeです。
 この議論には、永遠に決着がつかなと考えられました。クニマスの生きた個体が、もはや見られなかったからです。しかし、再発見のおかげで調査が進むでしょう。
 なお、ニュースによっては、「クニマスは、ベニザケの亜種」と説明しています。これは、間違いではありません。ヒメマスとベニザケとは、同じ種だからです。正確には、ベニザケのうち、海へ下らずにずっと淡水で過ごすものをヒメマスと呼びます。
 再発見されても、クニマスの将来は、安心できません。おそらく、個体数は、とても少ないはずです。早急に、彼らを保護する手だてが進んで欲しいですね。


クニマス再発見のニュースは、以下に載っています。
絶滅種クニマス、70年ぶり確認=秋田・田沢湖の固有種、山梨・西湖で-京大教授ら(時事通信、2010/12/15)


図鑑↓↓↓↓↓には、日本のサケ科の魚が、五種ほど掲載されています。
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過去の記事でも、「絶滅か?」と思われた生き物の再発見を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ミフウズラは、ウズラじゃない?(2009/03/24)
ヒヨケザルの新発見、メガネザルの再発見(2008/11/20)
絶滅種?のシカとカエルが、再発見される(2008/10/14)
新種・珍種がざっくざく、南硫黄島【みなみいおうとう】(2008/06/10)
ダイトウウグイス復活!(2008/05/29)

2010年11月26日

海藻に擬態【ぎたい】? ヘラヤガラ

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 生き物の世界には、擬態【ぎたい】という現象があります。他の生き物や周囲の物の姿をまねることですね。わかりやすい例を、挙げてみましょうか。
 昆虫のバッタを御存知でしょう。多くのバッタは、草むらにいます。そして、緑色ですね。草と同じ色をしています。これは、草に紛れて、敵から逃れようというわけです。
 バッタの例は、擬態のほんの一例です。生き物の世界には、もっといろいろな擬態をするものがいます。中には、何に擬態しているのか、わかりにくいものもいます。
 例えば、ヘラヤガラという魚がいます。海の魚です。体も顔も、全体的に細長いです。
 この魚は、海底に頭を向けて泳ぐことが多いです。逆立ちの状態ですね。たいてい、海藻やカイメンやサンゴなど、底から生えるものに寄り添っています。どうやら、海藻やカイメンやサンゴなどに擬態しているようです。
 ヒトの目で見るとヘラヤガラの擬態は、あまり成功しているように見えません。それでも、彼らが生き続けているからには、効果はあるのでしょう。
 ヘラヤガラの擬態は、敵から逃れるためだけではありません。獲物の目をごまかすためにも役立ちます。そういう擬態もあるのですね。
 ヘラヤガラは、肉食性です。小魚やエビなどを食べます。獲物をつかまえるには、気づかれてはいけませんね。気づかれないよう、忍び寄るのに擬態が役立ちます。
 ヘラヤガラの口は、細長く、筒状です。彼らの頭部の大部分を、口が占めています。この口を、スポイトのように使って、すばやく獲物を吸いこみます。
 「逆立ち擬態」以外に、ヘラヤガラには「大型の魚に寄り添って泳ぐ」習性もあります。これも、擬態の一種なのでしょうか? 詳しいことはわかっていません。もしかしたら、大きな魚のおこぼれを狙っているだけかも知れません。
 ところで、ヘラヤガラはヒトの食用になるのでしょうか? 普通は、食べられることはありません。でも、毒があるわけではありません。骨が多いため、食べられる部分が少ないのだそうです。わざわざ捕って食べるほどではないということですね。

図鑑↓↓↓↓↓には、ヘラヤガラが掲載されています。
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過去の記事でも、擬態【ぎたい】について取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
パウルくんは、マダコ(真蛸)か?(2010/09/13)※タコの仲間は、擬態が得意です。
アシナガバチ? いえ、カシコスカシバです(2008/09/15)
木に化けて冬を越す? シャクガ(2007/12/14)
葉隠れの術を使う? ナナフシ(2006/11/20)
などです。

2010年9月20日

アカメは海水魚? 淡水魚?

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 魚は、普通、海か淡水か、どちらか片方だけに棲みますね。両方に棲む魚は、ほとんどいません。ところが、中には、海水魚とも淡水魚ともつかない魚がいます。
 アカメは、そんな一種です。スズキ目【もく】アカメ科に属する魚です。
 アカメと呼ばれる魚には、複数の種が含まれます。ややこしいですね。日本の場合、魚類の方言名が多いため、こうなってしまいます。けれども、正式な種名(標準和名)をアカメという魚は一種しかいません。ここでは、標準和名アカメを取り上げます。
 アカメは、汽水【きすい】域に棲む魚、といわれます。汽水とは、海水と淡水とが混ざった水です。河口や陸に入り込んだ内湾や海とつながった湖などが、汽水域です。
 生まれたばかりのアカメの稚魚や、幼魚は、汽水域に棲みます。成魚になると、外洋に出ることもあるようです。が、普通は、沿岸の海に棲みます。稚魚も幼魚も成魚も、純粋な淡水域には入らない、といわれます。どちらかといえば、海水魚ですね。
 アカメの幼魚と成魚とは、ずいぶん違う姿をしています。幼魚には、縞模様があります。これは、アマモなどの海草の茂みに紛れるためと考えられています。実際、アカメの幼魚は、汽水域の海草の茂みにいることが多いです。
 成魚になると、縞模様は消えます。それでも、時おり、汽水域へやってきます。これは、餌を探したり、寄生虫を弱らせて落としたりするためではないか、と考えられています。
 アカメは、日本の固有種です。昔は、西日本の太平洋沿岸に、たくさん棲んでいました。食用に、漁獲されていたほどです。
 しかし、現在、アカメの生息がはっきりと確認されているのは、高知県と宮崎県のみです。徳島県にも、少数いるようです。他に、愛媛県、大分県、和歌山県、静岡県(浜名湖)などで確認されたことがあります。分布の北限は、静岡県といえるでしょう。
 現在では、アカメは、保護動物にされています。でも、状況が良くなっているとは言いにくいです。アカメが暮らすには、人間に荒らされない沿岸の海が、必要だからです。野生の生き物と、どのように折り合いを付けるのか、人間が試されていると思います。


図鑑↓↓↓↓↓には、アカメが掲載されています。
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過去の記事でも、汽水【きすい】域に棲む生き物を取り上げています。また、アカメと同じスズキ目【もく】に属する魚も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
睨みを利かせるお父さん? オヤニラミ(2008/06/13)※オヤニラミは、アカメと同じスズキ目【もく】です。
シラウオ、シロウオ、どちらが本当?(2008/02/29)
ヨシとアシは同じもの?(2006/09/08)
栄養たっぷりの寒しじみと土用しじみ(2006/01/20)※シジミの一種、ヤマトシジミは汽水に棲みます。

2010年7月26日

日本最大の淡水魚とは?

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 日本で、最も大きくなる淡水魚とはどの種でしょうか?
 これは、答えるのが難しい質問です。生き物の体の大きさには、個体差があるからです。魚のように、水中のものはさらに難しいです。目撃情報が、あてにできないからです。
 釣り人に訊けばいい、とお考えですか? 釣り人の情報は、こと大きさに関しては、割り引いて考えなくてはなりません。諺【ことわざ】に言いますね、「逃がした魚は大きい」と。釣り人は、自分が釣った(あるいは、逃がした)魚は、大きく言うものです(笑)
 このような中で、あえて「日本最大の淡水魚」を決めるとすれば、それは、イトウではないかといわれます。
 イトウは、体長が1mを越えます。大型のものでは、2mを越えます。サケ科の一種です。多くのサケ科の種と同じく、川で生まれて、海で育ち、川で産卵します。
 現在、イトウの分布は、ほぼ北海道に限られます。青森県にごく少数が残っているようです。どちらにせよ、北方系の魚です。関東以南にはいません。
 イトウの大きさに匹敵する淡水魚となると、日本では、ハクレン、コクレン、アオウオ、ソウギョくらいしかいません。これら四種は、外来魚です。しかも、本州の利根川水系など、限られた水域にしかいません。北海道では見られません。
 日本在来の種で、北海道にいる巨大魚となれば、イトウでほぼ決まりです。
 南日本では、オオウナギが最大の淡水魚ではないでしょうか。オオウナギは、普通のウナギとは違う種です。以前、このコラムで取り上げましたね(ウナギとオオウナギとは、違う? 同じ?(2010/05/21))。
 じつは、昔は、北海道に、イトウに匹敵する大きさの淡水魚がいました。チョウザメの仲間です。チョウザメの仲間もサケのように、海で育って、川で産卵します。
 チョウザメの仲間は、研究が進む前に、日本では絶滅してしまいました。どの種のチョウザメが、日本にいたのかもはっきりしていません。
 イトウも絶滅が心配されています。チョウザメの二の舞にはしたくありませんね。


図鑑↓↓↓↓↓には、イトウ
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過去の記事でも、サケ科の魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヤマメからニジマスが生まれる?(2007/09/20)
同じ種なのに名が違う? 桜鱒(サクラマス)と山女(ヤマメ)(2006/03/20)
森を育てるサケ(2005/09/13)
などです。

2010年5月21日

ウナギとオオウナギとは、違う? 同じ?

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 ウナギは、日本人に親しまれる魚ですね。食用として有名です。それ以外にも、民話や諺【ことわざ】に登場しますね。
 言い伝えの中では、「とてつもなく大きなウナギがいる」ことになっています。「ヒトの身長と同じくらいの長さがある」などといわれます。そんなに大きなウナギは、実在するのでしょうか? 広い意味で言えば実在します。
 普通に食用にされるウナギは、そんなに大きくなりません。食用にされるのは、ニホンウナギやヨーロッパウナギといった種です。これらの種は、大きくなってもせいぜい全長1mくらいです。
 これらのウナギとは別に、オオウナギという種がいます。正式な日本語の種名が「オオウナギ」です。ニホンウナギやヨーロッパウナギと近縁ですが別の種です。
 オオウナギは、全長が2m近くになることがあります。太さも、胴回り50cmほどにもなります。このくらいの大きさになると魚に見えません。大蛇のようです。
 しかも、オオウナギの体色は、ニホンウナギのような「背が黒、腹が白」ではありません。全身が、黄褐色と黒褐色のまだら模様です。ますます魚に見えませんね。
 日本人ですと「オオウナギが食べられるのかどうか」が、気になりますね。食べられはするものの、美味しくないそうです。
 オオウナギは、暖かいところに分布します。日本では、おおむね、和歌山県以南に分布するようです。南西諸島では、ニホンウナギより、オオウナギのほうが数が多いです。
 民話などに登場する「大ウナギ」は、オオウナギをニホンウナギと混同したものではないでしょうか。もしかしたら、言い伝えにある「大蛇」の一部も、オオウナギが正体かも知れません。オオウナギは、雨の夜などに、陸上をはうことがあるからです。
 オオウナギだけでなく、ニホンウナギも陸をはうことがあります。ウナギの仲間は、短い時間なら、陸にいられるのですね。皮膚呼吸ができるからです。こういう点も、昔の人には、神秘的に見えたでしょう。伝説が生まれても不思議ではないと思います。


図鑑↓↓↓↓↓には、ウナギが載っています。
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過去の記事でも、ウナギやオオウナギと紛らわしい大蛇について取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
日本に、大蛇はいるか?(2008/09/26)
ウナギの繁殖の謎は解けたか?(2006/07/21)
ニシキヘビの危険度は?(2005/09/14)
などです。

2010年4月26日

どじょっこにも、いろいろいます

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 ドジョウは、日本人に親しい魚ですね。『どじょっこ、ふなっこ』や『どんぐりころころ』など、童謡にも歌われます。そのわりに、生態が知られているとは言えません。
 ドジョウとは、コイ目【もく】ドジョウ科に属する種の総称です。ややこしいことに、ドジョウ科には、単に「ドジョウ」という種名の種もいます。
 日本に分布する種だけでも、ドジョウ科には、十種以上いるだろうといわれます。「だろう」というのは、正確には何種いるのか、わかっていないからです。
 ドジョウ科の種は、どの種も地味です。外見では、区別が付けにくいです。そのうえ、昔は、水田などにたくさんいました。身近すぎて、研究が進まなかったのでしょう。
 日本で最も普通なのは、種名ドジョウです。食用にされるのは、この種です。食用のドジョウには、カラドジョウという別種が混じることがあります。
 他に、イシドジョウ、シマドジョウ、フクドジョウ、ホトケドジョウなどの種がいます。アユモドキ―日本の天然記念物に指定されています―もドジョウ科の魚です。
 種名ドジョウ以外の種は、分布が限られているものが多いです。限られた地域にしかいない、ということです。その地域で、無差別に開発が進んだら絶滅しかねません。
 そういう種は、たいがいの場合、一応の保護はされています。けれども、充分な状態とは、言いにくいです。特に、最近、見つかった種はそうです。スジシマドジョウ、ナガレホトケドジョウなどです。日本でも、最近になって新種が見つかるのですね。
 これらの種には、日本語名はあっても、ラテン語の学名が付いていません(正式な日本語名とは、学名でなく、標準和名といいます)。正式に、学界で認められていません。
 スジシマドジョウは、元は、シマドジョウの中に含まれていました。現在は、シマドジョウと似ていても、違う種とされています。同じように、ナガレホトケドジョウは、ホトケドジョウの中に入れられていました。現在は、違う種になっています。
 このような「新種の発見」は、まだ、あるかも知れないといわれます。「発見されて早々に、絶滅の危機」などということにはしたくありませんね。


図鑑↓↓↓↓↓には、ドジョウ科のドジョウとアユモドキが載っています。
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 過去の記事でも、ドジョウと同じく日本の淡水に棲む魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ちょっと待って! メダカの放流(2008/04/25)
貝に卵を産む? 不思議な魚たち(2007/03/30)
鯉(コイ)は本当に滝を登るか?(2006/04/24)
などです。

2010年3月 8日

害魚が益魚に? うろこの秘密

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 二〇〇八年のことですが、興味深いニュースがありました。ある種の魚の鱗【うろこ】が、防弾チョッキの開発に役立つかも知れないというのです。
 防弾チョッキというと軍事技術ですね。「そんな恐ろしいものの話は、聞きたくない」方もいるでしょう。でも、待って下さい。このような技術は、平和利用できます。
 今回のニュースになったのは、ポリプテルス・セネガルスという魚です。アフリカに分布します。日本にはいません。けれども、熱帯魚としてペット屋で売られています。
 ポリプテルスの仲間は、特殊な鱗を持ちます。「ガノイン鱗」と呼ばれるものです。この鱗は、とても丈夫です。これのために、ポリプテルスの仲間は、怪我や病気をしにくいと考えられています。
実際、ポリプテルスの仲間は、長生きすることが知られます。
 この鱗を調べたところ、厚みがないのに『防御能力が非常に際だっている』ことがわかりました。この構造を真似れば、軽くて丈夫な「衝撃防止服」を作れそうです。
 「衝撃防止服」は、防弾チョッキとは限らないでしょう。例えば、建築現場など、危険な場所で作業する人の服にぴったりです。スポーツ選手のユニフォームにも、良さそうです。万が一、事故があっても、服のおかげで、命が助かるかも知れません。
 ガノイン鱗を持つ魚は、ポリプテルスだけではありません。ガーパイクの仲間も、ガノイン鱗を持ちます。ガーパイクの仲間は、北米から中米に分布します。
 同じガノイン鱗でも、ポリプテルスのものとガーパイクのものとでは構造が違います。しかし、丈夫なことは同じです。ガーパイクの鱗も、研究する価値はあるでしょう。
 ガーパイクの仲間は、多くが、「熱帯魚」ではありません。温帯に棲みます。この点が、ポリプテルスと違います。つまり、日本の普通の気候に適応しやすいわけです。
 これは、飼いやすさにつながります。飼いやすい生き物は、研究しやすいですね。
 今の日本で、ガーパイクの仲間は、外来魚として問題になっています。もしも駆除するならば、ただ殺すのではなくて、研究材料にしたらどうでしょうか? 手近な自然に学べることは、たくさんあると思います。


図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ポリプテルスや、ガーパイクは載っていません。そのかわり、日本の魚が五十種以上が掲載されています。
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「ポリプテルスと防弾チョッキ」のニュースは、以下に載っています。
西アフリカ原産の魚のウロコ、未来の防弾チョッキのモデルに 米研究(AFPBBニュース 2008/07/28)
 過去の記事でも、ガーパイクなど、日本の外来魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
琵琶湖で発見された「エンツイ」とは、どんな魚?(2007/11/08)
ワニに見えてもワニじゃない、ガーパイク(2006/09/16)
などです。

2010年2月 8日

天然記念物なのに、絶滅しそうなのは、なぜ?

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 天然記念物という言葉を聞いたことがおありでしょう。貴重な動物や植物、鉱物が指定されます。有名なものには、ツシマヤマネコ、ヤンバルクイナなどがいます。
 天然記念物に指定されると捕獲・採集などが禁止されます。保護されるわけですね。
 ここで、不思議に思った人はいませんか? 保護されているのなら、なぜ、ツシマヤマネコやヤンバルクイナは「絶滅しそうだ」と騒がれるのでしょうか?
 じつは、日本の「天然記念物」という制度には不備が多いのです。できた時代が、古いためです。もちろん、良いところもありますが。
 天然記念物には、国が指定するものと地方自治体が指定するものとがあります。ここでは、国が指定するものについて説明します。
 天然記念物は「文化財保護法」という法律に基づく制度です。法律の名に、注目して下さい。「文化財」です。「生き物」や「動植物」ではありません。
 「文化財」とは、人間が手を入れたものですね。そもそも、この法律は「人間が手を入れたものを保護する」のが目的です。自然の生き物を保護する目的にはそぐいません。
 この法律ができたのは、一九五〇年です。この法律の前身となる法律が、一九一九年にできています。じつに、大正九年のことです。この頃の古い考えを法律は引きずっています。現在の考えでは「天然」とは言いがたいものが、天然記念物に含まれます。
 例えば、「日本犬」が天然記念物に指定されています。普通にいる柴犬も天然記念物です。捕獲禁止のはずの天然記念物が、飼われているなんてびっくりですね。
 昔は、家畜であろうと野生動物であろうと「生き物」は、一くくりにされたのでしょう。家畜は家畜で、保護するべきだと思います。けれども、野生動物と家畜とを同じ基準で保護するのは無理がありますね。今のままの法律では不自由です。
 法律を変えるのは、大変なことです。国民の同意がなければ、変えてはいけないものでしょう。でも、良い方向へ変えるなら、国民の同意が得られるのではないでしょうか。


図鑑↓↓↓↓↓には、ツシマヤマネコ、ヤンバルクイナなどたくさんの天然記念物が掲載されています。
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 過去の記事で、天然記念物に指定された生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
カメの腹筋? セマルハコガメ(2009/09/28)
貝に卵を産む? 不思議な魚たち(2007/03/30)※国指定の天然記念物のミヤコタナゴを取り上げています。
ヤンバルクイナは絶滅寸前?(2006/10/2)
天然記念物というものはどういうものですか?(2006/03/28)
などです。

2010年1月25日

ハリセンボンに、毒はあるか?

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 ふぐ料理が美味しい季節ですね。日本人は、昔からフグを食べてきました。毒があるとわかっているのに、です。フグには、すべて、毒があるのでしょうか?
 この答えは、フグの定義によって、違ってきます。フグ目【もく】フグ科に属する種は、ほとんどが、何らかの形で、毒を持つようです。
 フグ目でも、フグ科以外に属する種には、毒がないものが多いです。例えば、ハリセンボン科や、マンボウ科―マンボウもフグ目です―の種には、毒はありません。
 ハリセンボン(針千本)という名は、よく知られますね。名に反して、ハリセンボンには、千本の針はありません。せいぜい、四百本くらいだそうです。
 ハリセンボンとは、フグ目ハリセンボン科に属する種の総称です。この仲間の外見は、普通のフグに似ます。ただし、それは、膨らんでいない状態の時です。膨らむと、「いがぐり」のように、棘だらけになります。
 この棘が、ハリセンボンが毒を持たない理由でしょう。棘で防御していれば、毒を持つ必要はありませんね。興味深いことに、マンボウも、幼魚のうちは棘を持ちます。マンボウの場合、成魚は非常に大きいので、棘で身を守る必要がないのでしょう。
 どうせなら、ハリセンボンは、棘に加えて毒もあれば、もっと強そうですよね。フグの仲間なのに、なぜ、そうならなかったのでしょう? それは、自然界には、「なるべく無駄なことをしない」という法則が働くからです。
 棘を作ったり、毒を持ったりするには、エネルギーがかかります。防御手段を持ちすぎると、敵にやられなくても、食べ物が足りなくて、死んでしまうかも知れません。このために、「棘と毒」のような、何重もの防御手段を持つ種は、少ないです。
 ところが、ハリセンボンには、棘が利かない敵がいます。そう、ヒトですね。
 沖縄などの地方では、ハリセンボンを食べます。棘だらけの皮をむけば、美味しく食べられます。旬【しゅん】は、フグと同じく、冬だそうです。
 ハリセンボンが、ヒトに対抗するには、進化の時間が足りなかったようですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、ハリセンボン科の一種ヒトヅラハリセンボンが掲載されています。
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過去の記事でも、フグ目【もく】に属する種(マンボウ)を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
「翻車魚」と書くのは、どんな魚?(2009/07/13)

2009年12月21日

カジカ(鰍)の迷宮

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 鍋【なべ】の季節ですね。鍋料理は、日本が誇る文化の一つだと思います。地方ごとに、いろいろな食材の鍋料理がありますね。
 道南(北海道の南部)では、『かじか』という魚の鍋料理に人気があります。本州以南でいう「カジカ」と北海道でいう『かじか』とは、同じ種でしょうか?
 違います。正式な種名を「カジカ」という魚は、本州以南にしか分布しません。では、北海道の『かじか』は、正式な種名を何というのでしょう?
 じつは、北海道の『かじか』には、複数の種が混じります。ケムシカジカ、オクカジカ、トゲカジカ、シモフリカジカ、ニジカジカなどをまとめて『かじか』と呼んでいます。これらの種は、すべて海の魚です。正式種名カジカは、淡水の魚です。
 前記の種のうち、ケムシカジカやトゲカジカは美味しい魚として知られます。ケムシカジカ、オクカジカ、トゲカジカなどの種には、ナベコワシ(鍋壊し)という別名があります。「美味しさのあまり、鍋の底までつついて壊してしまう」からだそうです。
 「○○カジカ」という種名の魚は、たくさんいます。先に挙げたのはその一部です。これらの「○○カジカ」は、みな近縁なのでしょうか?
 そうとは限りません。多くの「○○カジカ」は、カサゴ目カジカ科に属します。けれども、例えばケムシカジカは、カサゴ目ケムシカジカ科に属します。細かい分類には関係なく、カサゴ目のうちで、正式種名カジカに似るものを「○○カジカ」としています。
 「○○カジカ」には、美味しい魚が多いです。このため、それぞれの地方で漁獲され、方言名が付けられました。これが、事態をややこしくしています。
 例えば、ケムシカジカには、トウベツカジカという方言名があります。トゲカジカには、ホンカジカ、マカジカ、オキカジカ、ヤリカジカなどの別名があります。こんなに「○○カジカ」だらけでは、普通の人には、何が何だかわかりませんね。
 研究者の間でも、「○○カジカ」の分類は、混乱しているようです。昔から食べられているのに、種名さえ定かでないわけです。自然界には、研究の余地がありますね。


図鑑↓↓↓↓↓には、正式種名カジカが掲載されています。
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 過去の記事で、正式種名カジカを取り上げています。また、カジカガエルというカエルの一種も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
カジカガエルは、河の鹿(シカ)?(2009/06/05)
秋に美味しい鰍【かじか】(2006/11/13)

2009年12月13日

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コイ 画像
和名:コイ
学名:Cyprinus carpio
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東京都 新宿区【2009.11.18】

図鑑↓↓↓↓↓には、スコイが掲載されています。
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2009年11月 6日

味が良いから、アジ(鯵)?

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 アジは、食用魚として日本人に知られますね。「味が良いから、アジという名が付いた」と説があるほどです。ただし、名の由来には異説もあります。
 アジと呼ばれる魚には、複数の種が含まれます。シマアジ、マアジ、マルアジ、ムロアジ、メアジなどです。これらの種はみなスズキ目【もく】アジ科に含まれます。地方によりますが、単に「アジ」というとマアジ(真鯵)を指すことが多いです。
 アジ科の種には、互いに似たものが多いです。アジ科で特徴的なのは、「ぜいご」とか「ぜんご」などと呼ばれる鱗【うろこ】ですね。尾の付け根から頭にかけて、大きめのぎざぎざした鱗が通っています。これが「ぜいご」です。
 アジ科の魚に、すべて「ぜいご」があるわけではありません。例えば、カンパチ、ヒラマサ、ブリなどには「ぜいご」はありません。カンパチやブリもアジ科に属します。
 「ぜいご」や「ぜんご」とは通称です。正式には、稜鱗【りょうりん】と呼ばれます。盾状鱗【たてじょうりん】、楯鱗【じゅんりん】などと呼ばれることもあります。が、楯鱗【じゅんりん】とは、普通はサメの鱗を指す言葉です。「ぜいご」とは違います。
 アジ科のうち、アジ亜科に含まれる種に、稜鱗【りょうりん】があります。何のためにあるのでしょう? 詳しくは、わかっていません。「側線【そくせん】という感覚器官と、何らかの関係がある」と考えられています。
 側線とは、水の動きを探知する器官です。ヒトで言えば、耳のようなものです。耳は、空気の振動を、音として感じますね。アジは、側線に沿って、稜鱗が付いています。
 稜鱗のおかげで、アジの仲間は、すぐにそれとわかります。けれども、仲間うちでは、種の見分けが難しいです。地球の裏側にいるアジにも、マアジとよく似た種がいます。
 例えば、南米の太平洋岸には、チリマアジという種がいます。地中海には、ニシマアジがいます。ニュージーランドの近海には、ニュージーランドマアジが分布します。
 これらのアジは、日本に輸入されています。日本古来のアジのようでも、輸入ものの場合があります。日本の食卓を満たすには、もはや、輸入に頼らざるを得ないのですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、マアジが掲載されています。
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 過去の記事でも、食用になる魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
知られざる美味? 寒鯔【かんぼら】(2009/01/19)
カサゴ(笠子)は、似たもの同士の一族(2007/11/26)
マグロ(鮪)は温血魚?(2006/10/18)
などです。

2009年9月30日

アオスジアゲハ【ハイスピード撮影】

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アオスジアゲハのハイスピード撮影。210fpsで撮影しました。アオスジアゲハ 動画
和名:アオスジアゲハ 
学名:Graphium sarpedon nipponum

東京都 港区【2009.09.28】

図鑑↓↓↓↓↓には、アオスジアゲハが掲載されています。
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2009年8月26日

海の妖怪ジェニー・ハニヴァー、その正体は?

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 夏休み、水族館に出かけた方はいませんか? 最近は、水族館に、大きな水槽があることが増えましたね。おかげで、大型の魚が、生きた姿で、見られます。
 例えば、エイの仲間には、大型になるものが多いです。水族館では、あの独特なエイの姿を、じっくり見ることができます。一度、エイを腹側から見てみて下さい。
 腹側からエイを見ると、面白い形をしています。まるで、ヒトの顔のようです。眼が二つ、口が一つあるように見えます。
 もちろん「ヒトの顔」と見るのは錯覚です。口は、確かにエイの口ですが、眼に見える部分はエイの眼ではありません。鼻の穴です。本当のエイの眼は背の側にあります。
 昔の人も、エイのこのような姿を、面白いと感じたのでしょう。エイの干物で、お土産物が作られるようになりました。カリブ海の沿岸などにあると聞きます。ジェニー・ハニヴァーJenny Haniverというものです。
 ジェニー・ハニヴァーは、「悪魔の魚」や「海の妖怪」のミイラなどといわれます。土地ごとに、さまざまな伝説があります。伝説には、民俗学的な価値があるでしょう。けれども、ジェニー・ハニヴァーそのものは、エイの干物を加工しただけです。
 どこの国の人も、エイには、不気味さを感じるのでしょうか。日本にも、エイを「妖怪の一種」とする伝承があります。「赤えい」という妖怪です。
 妖怪の赤えいは、とてつもなく大きな魚です。あまりにも大きいため、島と間違えられるといわれます。このような巨大魚の伝説は、世界各地にありますね。アラビアン・ナイトにも登場します。日本の場合、なぜかそれが「赤えい」だとされました。
 アカエイというエイの一種は、実在します。が、むろん、実物のアカエイは島ほど大きくはなりません。長い尾を入れても、せいぜい2m以内です。妖怪の「赤えい」と実在するアカエイとがなぜ同じ名なのかはわかりません。
 実在するアカエイは、日本近海では平凡な魚です。水族館でもよく飼われています。ぜひ、生きているジェニー・ハニヴァー(笑)の姿を確かめて下さい。



図鑑↓↓↓↓↓には、実在する魚のアカエイは掲載されています。
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 過去の記事でも、エイや、エイに似た魚を取り上げています。また、「人魚のミイラ」など、妖怪とされる生き物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
チュパカブラ? ニホンオオカミ? 謎の生物の正体は(2009/03/30)
カスザメは、海中の天使?(2008/12/01)
新種のエイ、新種のイルカを発見(2008/08/26)
人魚のミイラが実在する?(2007/04/01)
「かすべ」と言う魚を(2005/11/10)
などです。

2009年8月20日

地球と宇宙の環境科学展、お知らせ

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 夏休みの催しを、また一つ、見に行ってきました。『消えた生き物の謎と秘密』というものです。『地球と宇宙の環境科学展』という副題が付いています。東京のお台場近くの、日本科学未来館で、開催中です。
 この展覧会は、まず、地球の歴史をざっと振り返ります。その過程で、これまで地球に繁栄した生き物をいくつか紹介しています。
 古いところでは、今から六億年ほども昔の生物が解説されています。エディアカラ生物群と呼ばれる生物たちです。これの少し後に、有名なバージェス動物群が登場します。カンブリア紀(約五億四千五百万年前~約五億五百万年前)最強の動物とされるアノマロカリスが、巨大なロボットになって再現されています。
 その後には、海にしかいなかった生物が陸に上がったことが解説されています。そして、恐竜の登場と絶滅です。恐竜の代表として、ヴェロキラプトルとティラノサウルスのロボットが、迫力ある姿を見せてくれます。触れる化石もあります。
 現代に生きる生物たちも、たくさん紹介されています。アマミノクロウサギやツシマヤマネコの剥製【はくせい】標本があります。これらは、生きた姿を見るのが難しいですね。標本でも見られるのは幸運です。
 会場には、たくさんの解説板があります。すべての解説を読むと、かなり時間がかかります。解説をじっくり読みたい方は、時間に余裕を持って行きましょう。
 また、会場では、映像も多用されています。どれも興味深いので、つい、足を止めてしまいます。でも、これらの映像は、一つ一つが長いです。こちらも、うっかりすると時間が足りなくなります。「解説は苦手、映像だけ見たい」という方も、やはり時間には余裕を持ちましょう。
 個人的には、ヒトが滅ぼした生物の紹介に心を打たれました。「もう、彼らには会えないのか」と思うと、悲しくなります。絶滅鳥のドードーの模型など、よくできているだけに悲劇が際立ちます。「こんな悲劇を繰り返してはいけない」と、考えさせられました。

 展覧会『消えた生き物の謎と秘密』は、以下に公式サイトがあります。
~地球と宇宙の環境科学展~ 消えた生き物の謎と秘密

 過去の記事でも、夏休みのイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
写真展、昆虫4億年の旅(2009/07/22)

図鑑↓↓↓↓↓には、日本の生き物が、千八百種以上掲載されています。
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2009年7月13日

「翻車魚」と書くのは、どんな魚?

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 題名の「翻車魚」は、何と読むのか、おわかりでしょうか? 答えは「まんぼう」です。あの巨大な魚です。後半身が切れたような、独特の姿ですね。
 「翻車魚」という漢字は、どう見ても、当て字ですね。魚の中でも、難読名として知られます。なぜ、こんな漢字名が付いたのでしょうか? 
 正確なところは、わかっていません。一説では、「マンボウが日光浴をする様子が、大きな車輪のように見えたのではないか」といわれます。
 マンボウは、時おり、海面近くで、「日光浴」らしき行動をします。その時には、体を横倒しにします。あの体型は、横から見ると、円い輪郭ですね。車輪のように、見えないこともありません。だから、「車が翻【ひるがえ】る魚」なのでしょうか。
 マンボウが、なぜ、「日光浴」をするのかも、わかっていません。「日光浴ではなく、海鳥に、体の寄生虫を食べてもらうための行動だ」という説もあります。
 マンボウの生態は、謎だらけです。少なくとも、「のんびりと海を漂うだけ」では、ありません。見た目以上に、遊泳力があります。生息域は、深海にまで及びます。
 以前、マンボウは、「クラゲなど、遊泳力の弱いプランクトンばかりを食べる」と思われた時期がありました。「積極的に餌を追うほど、遊泳力がない」と思われたからです。これは、間違いだとわかりました。マンボウは、エビなども食べます。
 最近、マンボウは、水族館で飼われることが増えましたね。飼育されていても、わからないことが多いです。いっぽうで、マンボウは、古くから食用にされています。
 マンボウには、いくつもの方言名があります。ウキ、ウキキ、クイザメなどです。古くから知られなければ、豊かな方言名は、生まれないでしょう。昔の人は、あんな大きい魚を、どうやって捕ったのでしょうか? 小型の個体だけを、狙ったのかも知れません。
 ウキやウキキという方言名は、「浮き」や「浮き木」という意味のようです。前記の「日光浴」の様子から付けられた、と考えられます。では、「クイザメ」は? 「体の半分を、サメに食いちぎられたようだから」だそうです。発想は、昔の人も同じですね(笑)



図鑑↓↓↓↓↓には、マンボウが掲載されています。
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 過去の記事でも、大型の魚や、珍しい魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
最小の脊椎動物?が発見される(2009/02/14)
複数の科が、一つの科に? 魚の分類が変わる(2009/01/29)
新種のエイ、新種のイルカを発見(2008/08/26)
希少なサメ(鮫)、メガマウスの撮影に成功(2007/06/12)などです。

2009年6月26日

横縞なのに、タテジマキンチャクダイ?

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 魚の名前を知って、不思議に思ったことがありませんか?
 例えば、タテジマキンチャクダイです。名前に「タテジマ(縦縞)」と付いていますね。当然、縦縞【たてじま】模様の魚だろうと考えます。けれども、タテジマキンチャクダイの実物は、どう見ても、横縞【よこじま】模様です。
 タテジマヤッコという魚も、同じです。横縞なのに、「タテジマ」ヤッコです??
 魚を、普通に泳いでいる姿勢ではなく、頭を上にして、見て下さい。タテジマキンチャクダイや、タテジマヤッコの縞模様は、縦に見えますよね。
 魚の縞模様は、頭を上にした状態で、判断されるようです。なぜ、こうなったのかは、わかりません。「紛らわしいことをしないでくれ」と思いますよね(笑)
 では、普通に見て、縦縞模様の魚には、「ヨコジマ」と付いているのでしょうか?
 そのとおりです。ヨコジマアイゴ、ヨコシマクロダイ(幼魚)、ヨコシマサワラなどの魚は、普通の姿勢で見ると、縦縞模様です。頭を上にすると、横縞になります。
 ところが、ヨコシマタマガシラという魚がいます。普通の姿勢で見て、横縞模様です。「タテジマ」ヤッコと同じ方向の縞模様なのに、「ヨコシマ」タマガシラです。
 そのうえ、タテスジハタという魚を知ると、混乱が増します。「タテスジ(縦筋)」なのに、頭を上にすると、横縞模様なのです。つまり、普通の状態で、縦縞です。
 スジ(筋)とシマ(縞)とで、模様を呼び分けているわけでもないのですね。ヨコスジイシモチ、ヨコスジクロゲンゲ、ヨコスジカジカなどは、「ヨコスジ(横筋)」なのに、普通の姿勢だと、縦縞です。タテスジハタと、同じ方向の縞模様です。
 さらに、混乱することがあります。ヨコスジフエダイという魚がいるからです。
 この魚は、普通の姿勢で見て、横に一本、筋があります。頭を上にすれば、縦筋のはずですが、名前は、「ヨコスジ」フエダイです。
 結局、スジ(筋)と呼ぼうが、シマ(縞)と呼ぼうが、模様を見る方向は、統一されていません。これでは、魚に詳しくない人は、大混乱ですよね。私もそうです(笑)



図鑑↓↓↓↓↓には、タテジマキンチャクダイが掲載されています。
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 過去の記事でも、たくさんの魚を取り上げています。ここで書いたキンチャクダイの仲間や、カジカの仲間や、フエダイの仲間も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
食中毒に注意、バラフエダイ(2008/06/23)
死滅回遊魚【しめつかいゆうぎょ】とは、どんな魚?(2007/11/05)
秋に美味しい鰍【かじか】(2006/11/13)などです。

2009年4月17日

キュウリウオは、キュウリの香り?

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 春たけなわですね。今回は、春の味覚を紹介しましょう。キュウリウオです。
 キュウリウオは、魚の一種です。サケのように、川で生まれて、海で育ちます。サケと同じく北方系の魚です。ロシアや、カナダの沿岸に多いです。
 日本では、北海道で漁獲されます。食用にするためです。旬【しゅん】は春です。
 でも、本州以南では、あまり馴染みがありませんね。シシャモと混同されることが多いようです。シシャモに近縁で、姿が似ているためでしょう。
 キュウリウオは、キュウリウオ目【もく】キュウリウオ科キュウリウオ属に属します。シシャモは、キュウリウオ目キュウリウオ科シシャモ属です。科のレベルまで同じなのは、近縁といえます。キュウリウオのほうが、下顎【したあご】が大きく、受け口です。
 以前、キュウリウオなどのキュウリウオ科の魚は、サケ目【もく】に分類されていました。それが、最近、キュウリウオ目として、サケ目から独立しました。
 元・サケ目で、現・キュウリウオ目の魚には、食用魚として有名なものが多いです。シシャモや、キュウリウオ以外に、アユや、ワカサギも、キュウリウオ目に属します。
 キュウリウオとは、面白い名ですね。漢字で書けば、「胡瓜魚」です。獲れたてのキュウリウオに、キュウリの香りがあることから、付けられました。
 アイヌ民族も、この魚を食用にします。アイヌ語では、フラルイチェプなどと呼ばれるそうです。フラルイチェプとは、「においの強い魚」という意味です。
 キュウリウオは、春、産卵のために、川へ上ります。この時を狙って、漁獲されます。
 サケは、川で産卵した後、死んでしまいますね。けれども、キュウリウオは、産卵後、死ぬとは限りません。一生のうちに、何回か、産卵を繰り返すようです。
 昔から食用にされているのに、キュウリウオの生態は、未解明のことが多いです。日本近海のキュウリウオは、寿命がどのくらいなのか、何年で成熟するのか、など、わからないことだらけです。ただ、「肉は白身で、低脂肪、高たんぱく」とわかっています。
 せっかくの春の味覚です。魚屋で見かけたら、美味しくいただきたいですね。



図鑑↓↓↓↓↓には、キュウリウオ掲載されています。
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 過去の記事でも、キュウリウオ目の魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ワカサギは、キュウリウオ目? サケ目?(2009/03/02)
 シラウオ、シロウオ、どちらが本当?(2008/02/29)
 日本を代表する美魚、アユ(2006/06/09)


2009年3月 2日

ワカサギは、キュウリウオ目? サケ目?

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 ワカサギの穴釣りは日本の冬の風物詩ですね。でも、ワカサギは穴釣りでばかり捕られるわけではありません。普通の釣りや刺し網などでも捕られます。
 穴釣りの印象が強いためか、ワカサギは純粋な淡水魚だと誤解されることがあります。中には海に棲むワカサギもいます。サケのように海に下るものがいるのです。
 とはいえ、沿岸から離れることはありません。海では内湾に棲みます。
 本来のワカサギの生態は、海と川を行き来するものだったと考えられています。「川で生まれ、海で育ち、産卵のために再び川へ」というサイクルです。サケと同じですね。
 ところが、何らかの原因で、海へ行かないワカサギがいます。「閉ざされた湖に放流された」といった場合です。物理的に海へ下れなくなるわけですね。けれども、海へと下る道があっても必ず下るとは限りません。
 大ざっぱに分けるとワカサギには、「海へ下るもの」「海の代わりに、川から湖へ下るもの」「一生、湖にいるもの」がいます。同じ湖で暮らすワカサギ同士でも、海へ下るものとそうでないものがいたりします。なぜ、こうなるのかはまだ不明です。
 海と川を行き来する習性はサケに似ますね。このため以前、ワカサギはサケと同じサケ目【もく】に分類されていました。今でも、そう書くところもあります。
 しかし近年は、キュウリウオ目【もく】に分類されることが、多くなりました。キュウリウオ目には、アユやシラウオなども属します。アユもシラウオも旧サケ目です。サケ目から、多くの種が新設のキュウリウオ目に移されました。
 ワカサギの分類については他にも確定していないことがあります。日本のワカサギが、独立した種なのかどうかわかっていません。北米に分布するもの(ラテン語の学名で Hypomeus transpacificus)と同種かも知れないといわれます。
 北米のものと同種とする説では、日本のワカサギの学名は Hypomeus transpacificus nipponensis となります。北米のものの亜種という扱いです。独立種とする説では Hypomeus nipponensis という学名です。いろいろあってややこしいですね。
  


図鑑↓↓↓↓↓には、ワカサギが掲載されています。
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 過去の記事でも、キュウリウオ目【もく】(サケ目【もく】)の魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 シラウオ、シロウオ、どちらが本当?(2008/02/29)
 日本を代表する美魚、アユ(2006/06/09) 
 

2009年2月15日

メガネモチノウオ

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 メガネモチノウオ 画像
和名:メガネモチノウオ
別名:ナポレオンフィッシュ
学名:Cheilinus undulatus
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沖縄 国頭郡  【2009.01.31】
  

2009年2月14日

最小の脊椎動物?が発見される

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 新種発見のニュースです。五種の魚類が、発見されました。どれも、タツノオトシゴの仲間です。トゲウオ目【もく】ヨウジウオ科タツノオトシゴ属に属します。
 五種とも、たいへん小さい種です。成長しても、体の長さは2.5cm未満です。脊椎動物の中では、ほぼ、最小の生き物といえるでしょう。
 このような極小のタツノオトシゴは、通称、ピグミーシーホースと呼ばれます。英語での通称、pygmy seahorseを、そのまま読んだものですね。
 正式な学名は、ラテン語で付けられます。日本語名は、どの種も、まだ、付いていません。以下に、ラテン語の学名を、紹介しますね。
 Hippocampus severnsiは、標準的な体長が、1.5cmしかありません。severnsiという名は、ダイバーのMike Severnsさんの名にちなんで、付けられました。Severnsさんが、この種の発見や調査に、貢献したからです。
 Hippocampus pontohiは、標準的な体長が、1.7cmです。pontohi という名も、Hence Pontohさんというダイバーにちなんで、付けられました。
 Hippocampus satomiaeは、標準的な体長が、1.4cmです。satomiaeという名は、日本人の大西サトミさんにちなんで、付けられました。大西さんも、ダイバーです。
 Hippocampus waleananusは、前の三種と違って、地名から名づけられました。waleananusという名は、インドネシアの小さな島、ワレア島にちなんでいます。
 Hippocampus debeliusは、やはり、ダイバーの名にちなんで、名づけられた種です。その名誉を受けたのは、Helmut Debeliusさんという方です。
 これら五種のうち、最後のH. debeliusだけが、紅海に分布します。あとの四種は、インドネシアの海に分布します。
 こんな小さな種が、次々に発見されるなんて、素敵ですね。一般のダイバーの協力により、発見や調査がされたのが、素晴らしいです。「普通の人でも、科学の発見に関われる」と証明したからです。こんなダイバーが、増えて欲しいですね。

 新種のピグミーシーホース(極小のタツノオトシゴ)のニュースは、以下に載っています。
 世界最小の脊椎動物、新種5種を発見(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/02/05)
 新種のピグミーシーホースに日本人名(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/02/05)
 紅海で発見、新種のピグミーシーホース(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/2/5)
 H. severnsiと、H. pontohiおよびH. satomiaeの詳しい解説は、以下にあります。解説は英語です。
 Three new pygmy seahorses described from Indonesia(practical fishkeepingのサイト内)
 今回の発見に関わった日本人ダイバー大西サトミさんは、インドネシアのバリ島で、ダイビングショップを開いてらっしゃいます。興味がある方は、以下のサイトを御覧下さい。日本語で読めます。
 SARI Dive & cottage



図鑑↓↓↓↓↓には、タツノオトシゴと同じトゲウオ目【もく】の魚、アオヤガラヘラヤガラが掲載されています。
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2009年2月10日

クマノミの危機、タナゴの復活

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 魚類に関するニュースが二つありました。良いニュースと悪いニュースです。
 先に、悪いニュースを、やっつけてしまいましょう。熱帯の海の魚が、危機になるかも知れません。大気のCO2(二酸化炭素)が増加すると、魚の鼻が利かなくなるというのです。映画『ファインディング・ニモ』で有名な、クマノミの仲間で実験されました。
 この仕組みは、以下のとおりです。大気のCO2が増えると、海中のCO2も増えます。そうなった海中では、クマノミの嗅覚が障害を起こします。匂いがわからなくなるのですね。これは、野生の生き物には致命的なことです。危険を察知できないからです。
 CO2の増加による地球温暖化説には、異論もあります。けれども、CO2の増えすぎが良くないことは、確かですね。私たちには、ある程度、地球環境に対する責任があります。
 CO2でニモもピンチに?海水酸性化、嗅覚損なう(共同通信 2009/02/03)
 次は、良いニュースです。日本固有種の魚に復活の兆しがあります。
 日本の淡水魚には、固有種が多いです。代表として、タナゴの仲間があります。コイ科タナゴ亜科に属する種をタナゴと総称します。ややこしいことに、この中に、単に「タナゴ」という種名の魚もいます。日本には、元来、十七種ほどが分布していました。
 近年、タナゴの仲間は、激減しました。環境汚染と、外来種の移入のためです。
 特に、外来種の移入は、深刻です。外来魚は、タナゴ類のすみかを奪ったり、直接、彼らを食べたりするからです。ブラックバスと、ブルーギルが、有名な外来魚ですね。
 タナゴ類の敵は、日本にもともといました。そこへ、新しい敵が増えてしまったわけです。ブラックバスやブルーギルは、肉食魚です。どんどん、タナゴ類を食べてしまいました。新しい敵への対処は、そう簡単には、できません。
 琵琶湖など、固有種が多い水域では、外来魚の駆除が始まっています。その成果を確かめるため、二〇〇八年の十一月、滋賀県の野田沼で、魚類調査が行なわれました。
 この調査で、日本の固有種が増えていると、確認されました。イチモンジタナゴ、カネヒラ、ヤリタナゴなどです。外来魚の駆除は、固有種の保護に、とても効果があるとわかりました。このような成果は、全国に広がって欲しいですね。
 絶滅危機のイチモンジタナゴ復活 湖北の野田沼 外来魚駆除が効果(京都新聞 2009/02/03)


図鑑↓↓↓↓↓には、クマノミ、ハマクマノミ、正式種名タナゴ、ニッポンバラタナゴ、ミヤコタナゴなどが掲載されています。

 過去の記事でも、クマノミや、タナゴの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 死滅回遊魚【しめつかいゆうぎょ】とは、どんな魚?(2007/11/05)
 貝に卵を産む? 不思議な魚たち(2007/03/30)
 クマノミの親子関係(2005/10/31)
 ニモのお父さんはお母さんだった?(2005/10/28)
などです。


2009年1月29日

複数の科が、一つの科に? 魚の分類が変わる

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 先日、深海魚に関して、興味深いニュースがありました。これまで、違うグループに分類されていた魚が、同じグループだと判明したのです。
 それは、クジラウオ目【もく】と呼ばれるグループの魚たちです。クジラウオ目は、カンムリキンメダイ目【もく】とも呼ばれます。このグループは、いま、分類が見直されている最中です。今回は、目【もく】の下の、科【か】という分類単位が、変わりました。
 クジラウオ目には、いくつかの科が含まれます。中に、クジラウオ科、ソコクジラウオ科、リボンイワシ科という三つの科がありました。リボンイワシ科は、トクビレイワシ科とも呼ばれます。この三つの科が、一つの科にまとめられると、判明しました。
 たとえて言えば、これは、「ネコとイヌが、同種の雄と雌でした」という感じです。ネコとイヌとは、同じ食肉目【しょくにくもく】に属します。けれども、科のレベルでは、ネコは食肉目のネコ科に、イヌは食肉目のイヌ科に属します。
 深海魚は、研究が進んでいません。このような分類の見直しは、これからもありそうです。詳しい経緯は、以下のリンク先記事をお読み下さい。
 深海魚の3科、実は1つだった=DNA解析で判明・国際チーム(時事ドットコム2009/0/26)
 前記と似た別のニュースも、ありました。こちらは、魚類の新種のニュースです。
 南米のベネズエラで、ナマズの新種が、発見されました。ラテン語の学名を、Lithogenes wahariと付けられています。日本語名は、ありません。
 ナマズというのは、ナマズ目【もく】に属する魚の総称です。ナマズ目の中には、たくさんの科が含まれます。今回の新種は、ナマズ目のうちの、二つの科の特徴を持ちます。アストロブレプス科と、ロリカリア科です。
 この二つの科も、一つの科になるのでしょうか? そうなるかも知れませんし、ならないかも知れません。今回の新種のため、新しい科ができる可能性もあります。
 もともと、アストロブレプス科と、ロリカリア科とは、近縁だといわれてきました。今回の新種は、その証拠といえます。この二つの科の、共通の祖先の姿を残しているのではないか、と推測されています。詳しくは、以下のリンク先記事をお読み下さい。
 岩に登る奇妙なナマズ、新種に認定(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/01/22)
  


図鑑↓↓↓↓↓には、日本のナマズ四種を含む魚類が、五十種以上掲載されています。
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  過去の記事でも、深海魚や、ナマズの仲間を取り上げています。今回のニュースにあるように、雄と雌とが極端に違う深海魚のチョウチンアンコウも、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 超深海でも活発なのは、シンカイクサウオ?(2008/11/11)
 鮟鱇(アンコウ)鍋にはならないチョウチンアンコウ(2006/02/03)
 しゃべるナマズがいる?(2006/08/11)


2009年1月19日

知られざる美味? 寒鯔【かんぼら】

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 寒い季節は、海の幸【さち】が美味しいですね。鮟鱇【あんこう】、寒鰤【かんぶり】などが、有名です。中に、寒ボラというものがあることを、御存知ですか?
 寒ボラとは、寒い季節に捕れるボラのことです。ボラは、日本沿岸の海にいる魚ですね。昔から、食用に漁獲されています。趣味の釣りの対象にもされます。
 ボラが、一番美味しいのが、冬です。この時期のボラは、最も脂がのるからです。
 けれども、現在、食用としては、ボラは人気がありません。「臭【くさ】い」と言われることが、多いですね。こうなったのは、人間のせいです。
 ボラは、沿岸の海に棲みます。沿岸の海は、人間によって、汚染されやすいです。汚染された海のボラは、身が臭くなります。幸か不幸か、ボラは、汚染に強いのですね。
 きれいな海の寒ボラは、本当に美味しい、と聞きます。美味をなくしたのは、人間自身です。こんなふうにしておいて、グルメブームなんて、おかしいですね。
 近年は、一時期ほど、海の汚染が、ひどくなくなりました。ボラがいなかった海に戻ってきたり、臭くないボラが捕れたりということが、増えたようです。
 「ボラの群れが、川を上った」というニュースが、流れることがありますね。ボラは、本来、海に棲む魚です。しかし、時おり、群れで川へ上ります。淡水域へ入るのは、若いボラのようです。なぜ、このように川を上るのかは、わかっていません。
 海がきれいだった時代、ボラは、もっと人間に親しい魚でした。沿岸で、大量に捕れるからです。ありがたい食べ物だったのでしょう。美味しいので、高級魚とされた地域もありました。「出世魚」なのは、その名残でしょう。
 出世魚とは、成長につれて、呼び名が変わる魚ですね。成長段階が同じでも、地方により、呼び名が違います。例えば、関東では、イナ→ボラ→トド、などと呼んだようです。
 私は、海水浴の最中、ボラに会ったことがあります。大きな眼が、印象的でした。すぐ近くまで来たのに、驚きました。ボラは、あまりヒトを恐れないようです。
 ボラとヒトが、一緒に泳げる海を、後世に残したいですね。



図鑑↓↓↓↓↓には、ボラが掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net


 過去の記事でも、冬に美味しい魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ハコベという植物は、ない?(2009/01/05) 
 ギンブナ(銀鮒)の種名は、大混乱中(2008/10/27) 
 カサゴ(笠子)は、似たもの同士の一族(2007/11/26)
ハマチはブリの子か?(2007/01/19)  
 秋に美味しい鰍【かじか】(2006/11/13)



などです。

2008年12月10日

ブリ

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 手持ちの古い切手はもうごく僅かです。寒ブリが美味い季節になってまいりましたので、ブリの切手をご紹介いたします。
 この切手は、1966-67年に、魚介シリーズで発行されたものです。この魚介シリーズは、有名な日本画家に依頼して12種類の切手としてだされたものです。 ブリ 切手画像
和名:ブリ
学名:Seriola guinqueradiata
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

日本切手 奥村土牛/画 【1967年2月10日 魚介シリーズ】


その他の魚介シリーズ
 サザエ(2008/01/29)





2008年12月 6日

忙中に「食」と「農」あり、博物館へ

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 師走ですね。誰もが忙しそうです。こんな時だからこそ心を養うことを忘れたくありませんね。そう思って、博物館へ行ってまいりました。
 行ったのは、東京農業大学の付属博物館です。「食と農」の博物館という名です。
 お酒や食べ物が好きな方は、行って損はありません。全国の日本酒の蔵元のうち、多くが東京農大の卒業生が経営するところだそうです。
 ニワトリの資料も充実しています。日本在来品種のニワトリは今では珍しいですね。それらの立派な剥製【はくせい】標本が多くあります。
 死んだ標本が苦手な方は、博物館の隣のバイオリウムがお勧めです。バイオリウムとは、生きた動植物がたくさん見られる温室です。
 ここの目玉は、何といってもキツネザルでしょう。原猿類【げんえんるい】という、原始的なサルの仲間です。ラテン語の学名で、レムールlemurとも呼ばれます。
 生きたレムールが見られるところは、動物園でも、少ないです。ここでは、何十頭ものレムールが、元気に跳ね回るのを見られます。
 爬虫類のマダガスカルヒルヤモリや、ケヅメリクガメも、見られます。ヒルヤモリは、レムールと同じく、アフリカ沖の島国マダガスカルに棲むヤモリです。ケヅメリクガメは、アフリカ大陸の、陸上に棲むカメです。
 植物も、熱帯の珍しい種が、いろいろ見られます。熱帯の中でも、乾燥地の種が多いですね。サボテンや、アロエの仲間などです。バオバブの木もあります。小さいながらも、幹が太い特徴が、よく現われています。
 他に、熱帯魚のベタなどもいます。熱帯魚は、売っていますので、家に連れて帰れます。
 嬉しいことに、ここは、入場無料です。手軽なお出かけに、いかがでしょうか。
 場所がちょっとわかりにくいのが、欠点ですね。住宅街の中に、埋もれるようにあります。入口の、大きなニワトリの置物が、目印になります。
 開館時間は、季節により変わります。博物館のウェブサイトで、お調べ下さい。


 東京農業大学「食と農」の博物館のウェブサイトは、以下にあります。
 東京農業大学「食と農」の博物館



図鑑↓↓↓↓↓には、動物、植物、合わせて1800種以上が掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net


 過去の記事でも、お出かけにぴったりな博物館を紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 動物? 植物? 「菌類のふしぎ」がわかる(2008/10/22)
馬肥ゆる秋に、馬の博物館へ(2007/10/6 
などです。


2008年12月 1日

カスザメは、海中の天使?

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 十二月、日本では、にわかキリスト教徒が増えますね(笑) 今回は、クリスマスにちなんで、海に棲む「天使」の話をしましょう。
 英語で、angel sharkと呼ばれるサメ(鮫)がいます。直訳すれば、「天使ザメ」ですね。これは、日本語名を、カスザメ(糟鮫)というサメの仲間です。
 なぜ、カスザメは、「天使ザメ」なのでしょうか? 理由は、カスザメの姿にあります。
 カスザメは、普通のサメとは、まったく違う姿です。上下に平たい形です。サメというより、エイにそっくりです。けれども、よく見れば、エイとは違います。
 大きな違いは、ひれの形と、鰓穴【えらあな】の位置にあります。
 エイは、上から見ると、円い体に、細長い尾が付いていますね。いわば、フライパン型です。胸びれと体とは、一体化していて、区別できません。
 対して、カスザメは、上から見ると、菱型【ひしがた】に見えます。胸びれが、大きく横に張り出しているからです。胸びれと体とは、はっきり区別できます。この胸びれを、「天使の翼」に見立てて、「天使ザメ」になったようです。
 もう一つ、エイとカスザメとの大きな差は、鰓穴です。エイの鰓穴は、体の下側(腹側)にあります。カスザメの鰓穴は、体の横側(首の脇)にあります。
 姿が似ていても、エイとカスザメとは、縁が遠いです。エイとは、軟骨魚綱【なんこつぎょこう】のうちの、シビレエイ目【もく】、ノコギリエイ目、ガンギエイ目、トビエイ目に属する種の総称です。カスザメのほうは、軟骨魚綱のうち、カスザメ目【もく】に属する種の総称です。カスザメ目の中に、カスザメという種名の魚もいます。
 カスザメという日本語名は、何に由来するのでしょうか? これは、わかっていません。そのかわり、カスザメには、わかりやすい別名が、いくつかあります。
 例えば、インバネス、トンビ、マントなどという別名です。これらは、むろん、洋服の名前から来ています。「天使ザメ」もいいですが、これらの名前も、素敵ですね。マントをひるがえすヒーローみたいだ、と思います。



図鑑↓↓↓↓↓には、カスザメ目【もく】の代表、種名カスザメ掲載されています。
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 過去の記事でも、サメの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ネムリブカは、眠るサメ?(2008/08/11) 
 希少なサメ(鮫)、メガマウスの撮影に成功(2007/06/12) 
 定置網に「ウバザメ」!! 茨城県日立沖(2007/04/25)
 などです。



2008年11月20日

ミナミトビハゼ

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 キュート。ミナミトビハゼ 画像
和名:ミナミトビハゼ
学名:Periophthalmus argentilineatus
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

沖縄 東村  【2008.11.15】
  

2008年11月11日

超深海でも活発なのは、シンカイクサウオ?

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 二〇〇八年の十月、日本のそばの海で、新たな発見がありました。水深が約7700mもある超深海で、活発に動く魚の姿が撮影されました。場所は、日本の茨城県沖です。日本海溝【にほんかいこう】という、世界中でもきわだって深い海です。
 撮影されたのは、シンカイクサウオという魚だろうといわれます。正確な種名は、わかりません。もしかしたら、シンカイクサウオに似た別種かも知れません。
 このニュースで、驚くべきことはいくつかあります。まず、約7700mもの超深海で、生きた魚の動画が撮れたことです。もう一つは、これほどの深海に、17尾もの魚が集まってきたことです。さらに、超深海の魚が意外に活発なことです。
 深海の中でも、6000mを越える海は、特に変わった世界です。この深さでは、水圧が600気圧を越えます。こんな圧力のもとでは、普通の生き物の細胞は壊れてしまいます。細胞どころか、それを作る蛋白質【たんぱくしつ】自体が壊れます。
 シンカイクサウオは、そんな超深海で生きられる数少ない魚です。今のところ「世界で最も深い海に棲む魚」の一種です。8000m近い海に棲めます。同じくらいの深さに棲めるのは、ヨミノアシロ、カイコウビクニンなどごく限られた種の魚です。
 ちなみに、甲殻類(エビやカニの仲間)などは一万mの深さにも棲んでいます。
 シンカイクサウオは、6000mより浅い海に現われることはないそうです。完全に、超深海に適応しているのでしょう。蛋白質さえ壊れる世界に、どのように適応しているのかはよくわかっていません。鰾【うきぶくろ】がないのは知られています。
 一部で、シンカイクサウオはカサゴの一種と報道されています。これは、間違いとは言いきれませんが正確とも言えません。広い意味では、シンカイクサウオはカサゴの仲間です。カサゴ目【もく】クサウオ科に属するからです。
 けれども、シンカイクサウオは、食用魚のカサゴとはずいぶん違います。超深海に適応しているからです。カサゴの一種というよりは、クサウオ科の一種としたほうがよいでしょう。こういう特殊な生き物は、どのように説明したらいいのか悩みます。



 約7700mの超深海で撮影された魚のニュースは、以下にあります。
 超深海で生きた魚類の撮影に成功(産経ニュース 2008/10/21) 
 



図鑑↓↓↓↓↓には、今回、撮影されたのと同じカサゴ目【もく】の魚が何種か掲載されています。
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 過去の記事でも、深海の生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 タスマニア沖で、二百以上の新種を発見(2008/10/14) 
 ウミユリ(海百合)は、海底に咲く花?(2008/08/25)
本当にあった不思議なカレイの話(2008/01/25) 
 新種のクシクラゲ?発見(2007/06/13)
などです。



2008年10月27日

ギンブナ(銀鮒)の種名は、大混乱中

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 フナ(鮒)は、日本人に馴染みが深い淡水魚ですね。住宅街の池などにも、よくいます。
 フナとは、コイ科フナ属に属する種の総称です。単に「フナ」といえば、キンブナ(金鮒)という種か、ギンブナ(銀鮒)という種を指すのが、普通ですね。他のフナ属の種は、「○○ブナ」と、正式な種名で呼ばれることが、多いです。
 フナ属の種は、分類が難しいことで、知られます。どの種も、姿が似ているからです。フナ属の分類は、研究者の間でも、意見が分かれています。
 例えば、「ギンブナ」は、正式な日本語名です。ところが、「ギンブナ」を調べると、本やウェブサイトにより、ラテン語の学名が、違います。私が調べた範囲では、以下の三つの学名がありました。
Carassius langsdorfi
Carassius auratus langsdorfi
Carassius gibelio langsdorfi
 こうなるのは、研究者によって、ギンブナの分類が、違うからです。
 Carassiusとは、「フナ属」を指すラテン語の学名です。Carassius langsdorfiの場合は、「フナ属の中の、langsdorfiという独立種」を表わします。
 Carassius auratus langsdorfiなら、「フナ属のauratusという種の中の、langsdorfiという亜種」を示します。Carassius gibelio langsdorfiなら、「フナ属のgibelioという種の中の、langsdorfiという亜種」を示します。
 亜種とは、「種を分けるほどではないけれども、違いがある」グループを指します。つまり、「ギンブナ」は、独立した種なのか、それとも、他の独立種の中の亜種なのかさえ、はっきりしません。「フナ」の中の、ギンブナだけでも、これだけ混乱しています。
 ナガブナや、キンブナにいたっては、いまだに、ラテン語の学名が、付いていません。調査が進んでいないため、分類ができないのですね。
 フナ属の種は、朝鮮半島や、中国にも分布します。しかし、朝鮮半島や中国の「フナ」が、日本のものと同種なのかどうか、不明です。こんな状況では、無理もありませんね。



図鑑↓↓↓↓↓には、ギンブナが掲載されています。
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 過去の記事でも、分類の紛らわしい生き物を、取り上げています。また、ラテン語の学名についても、解説があります。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 サクラソウとプリムラは、同じ? 違う?(2008/04/07)
 シロアリとアリとは、どう違う?(2007/06/11)
 梅にウグイス? いえメジロです(2007/03/12)
 コウイカとヤリイカはどう違う?(2006/11/10)
 学名ってなんですか?(2005/09/30)
などです。


2008年10月14日

タスマニア沖で、二百以上の新種を発見




 またまた、オーストラリアから大量に新種発見のニュースです。タスマニア島の沖の海で、274もの新種が発見されました。そこは、水深2000mの深海です。
 これらの新種には、以下のグループに属するものがいます。魚類、棘皮動物【きょくひどうぶつ】、節足動物【せっそくどうぶつ】、刺胞動物【しほうどうぶつ】、海綿動物【かいめんどうぶつ】などです。魚類の他は、無脊椎動物ですね。
 発見された中には、ヒトデや、クモヒトデの仲間が、多いようです。ヒトデとクモヒトデは、棘皮動物に含まれます。ヒトデは、棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】ヒトデ綱【こう】に属します。クモヒトデは、棘皮動物門クモヒトデ綱【こう】に属します。
 ヒトデ綱では、Marginaster属の新種などが見つかっています。Marginasterとは、ラテン語の学名です。一部で、Marginastersea属とされているのは、つづり間違いです。
 クモヒトデ綱では、トゲナガクモヒトデ科の新種やOphiomitrella属の新種、Amphioplus属の新種などが見つかりました。OphiomitrellaやAmphioplusというのも、ラテン語の学名です。日本語名がないグループが多いですね。
 節足動物では、カニやエビの新種が発見されました。カニでは、クリガニ科のTrichopeltarion属の新種などが見つかっています。日本の駿河湾などにいる、オオツノクリガニの近縁種です。Trichopeltarionという名もラテン語の学名です。
 エビでは、タラバエビ科ジンケンエビ属の新種などが見つかりました。ジンケンエビ属は、日本付近の浅い海にも多くいます。ハクセンエビや、エリマキエビなどです。
 刺胞動物では、サンゴの新種などが発見されました。なんと、二千年前から生きているサンゴの群体があるようです。このサンゴが、こんなに長生きなのは、深海に棲むためとされます。冷たい深海では、生き物の成長速度が遅くなるのです。
 オーストラリアの領海は、調査されていない海域のほうが広いそうです。調べれば、もっと多くの新種が発見されるでしょう。私たちが知る地球は、ほんの一部分でしかありません。そう思えば、謙虚になれますね。


 今回、発見された新種のニュースは、以下にあります。
 タスマニア島沖で、新種の海洋生物274種類を発見(AFPBBニュース 2008/10/09) 
 海洋生物の新種多数、再び豪近海で発見(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/10/09) 
 深海底に潜んでいた新種のカニ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/10/09)
 深海のサンゴに生息する新種のヒトデ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/10/09) 
 海の山に生息する新種のヒトデ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/10/09) 
 新種のトゲナガクモヒトデ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/10/09)
 などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、日本周辺に分布するヒトデ、カニ、エビ、サンゴなどが掲載されています。
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 過去の記事でも、オーストラリア周辺での新種発見を、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 百種を越える魚類が発見される(2008/09/30) 
 オーストラリアのサンゴ礁で、数百の新種を発見(2008/09/25) 

2008年10月 5日

サケ

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 1966-67年に、魚介シリーズで発行されました。この魚介シリーズは、有名な日本画家に依頼して12種の切手がだされました。 サケ 切手画像
和名:サケ
学名:Oncorhynchus keta
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

日本切手 森田沙伊/画 【1966年12月01日 魚介シリーズ】


その他の魚介シリーズ
 





図鑑↓↓↓↓↓には、サケが掲載されています。

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2008年10月 2日

ハラボソトンボ

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 ハラボソトンボ 画像
和名:ハラボソトンボ
学名:Orthetrum sabina sabina
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沖縄 南城  【2008.09.06】
  

2008年9月30日

百種を越える魚類が発見される

 魚類について、びっくりニュースです。一度に113種もの新種が、発見されました。すべて、サメやエイの仲間です。軟骨魚類と呼ばれるグループです。
 先日、「百種以上の無脊椎動物が発見された」ニュースがあったばかりですね。( オーストラリアのサンゴ礁で、数百の新種を発見(2008/09/25)) 今回も、どこかの海域が調査されて、このような発見がされたのでしょうか?
 そうではありません。博物館を調査することにより、今回の発見がされました。
 博物館「による」調査でなく、博物館「を」調査したことに御注目下さい。「博物館の標本」を、調べたのです。複数の博物館の標本が、調査されました。オーストラリア、ニュージーランド、および、ヨーロッパの博物館です。
 どこの博物館にも、膨大な標本があるものです。それら全部が、詳しく調べられているとは限りません。調査が進まないままの標本が、多いものです。
 そうなる原因はいくつかあります。主な原因は、お金と人手が足りないことでしょう。
 今回の調査には、お金と人手が付いたのですね。おかげで、たくさんの標本を調べることができました。一年半をかけて、DNAの分析が行なわれたそうです。
 この「DNA分析」も、今回の調査で、注目すべきことです。百種以上もの新種を発見できたのは、これのおかげです。
 生物の種には、似たもの同士が少なくありません。外見だけでは、区別が難しいものが多いです。DNA(遺伝子)を分析すれば、似た種同士を区別できます。
 今回の調査では、「これまで一種だと思われていたものが、五種に分かれた」例が、あったといいます。外見がそっくりなため、そうなっていたのですね。このような例は、きっと、他にもたくさんあるでしょう。
 世界中の博物館には、まだまだ貴重な標本が眠っています。これから、「博物館で、新種発見」というニュースが、増えるかも知れませんね。そうなって欲しいです。標本を知ることは、今、生きているものを知ることにつながるからです。



 「113種の新種魚類」のニュースは、以下にあります。
 サメとエイの新種113種を認定(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/09/21)
 数億年泳ぎ続けていた新種のガンギエイ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/09/19)
 ノコギリザメの新種(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/09/19)
 豪最大の淡水動物オトメエイも新種(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/09/19)  
 新種のガルパーシャークは絶滅寸前(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/09/19)
 新種のスピアトゥースシャーク(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/09/19)



図鑑↓↓↓↓↓には、日本周辺に分布するサメとエイが、四種掲載されています。
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2008年9月12日

ヒラメとカレイとシタビラメ、どう違う?

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 ヒラメ(鮃)とカレイ(鰈)とは、よく似ていますね。どうやって区別するのでしょうか? 「左ヒラメに右カレイ」という言葉は、本当でしょうか?
 この問題は、難しいです。「ヒラメ」や「カレイ」が、どんな魚を指すのか、場合によって違うからです。例えば、正式な種名と、魚屋での呼び名とは、違います。
 「ヒラメ」は、普通には、正式な種名をヒラメという魚を指します。高級魚とされるのは、このヒラメです。カレイ目ヒラメ科に属する種です。眼が、体の左側にあります。
 ヒラメ科には、正式な種名「ヒラメ」以外に、多くの種がいます。それらの種をまとめて、「ヒラメ」と呼ぶこともあります。ヒラメ科の種は、みな、体の左に眼があります。
 「左ヒラメ」は、正しいのですね。ところが、「右カレイ」は、そうとは限りません。
 「カレイ」と呼ばれる魚には、たくさんの種が含まれます。魚屋などでは、カレイ目カレイ科に属する種を、まとめて「カレイ」と呼ぶことが多いです。それ以外に、カレイ目ダルマガレイ科、カレイ目ボウズガレイ科などの種に、「○○ガレイ」という種名が付いています。全部合わせると、百種以上の「○○ガレイ」がいます。
 カレイ科の種には、右に眼があるものが多いです。けれども、左に眼がある種もいます。他にも、例えば、ダルマガレイ科の種は、みな、左に眼があります。ボウズガレイ科の種は、同じ種の中でも、眼が右にあるものと、左にあるものとがいます。
 ダルマガレイ科の種は、正式な種名が「○○ガレイ」なのに、「ヒラメ」と呼ばれることがあります。眼が左にあるからです。ややこしいですね。
 では、シタビラメ(舌鮃)は? 「シタビラメ」にも、たくさんの種が含まれます。カレイ目の中の、ウシノシタ科と、ササウシノシタ科に属する種を、まとめて「シタビラメ」と呼びます。正式な種名は、「○○ウシノシタ(牛の舌)」というものが、多いです。眼の位置は、ウシノシタ科の種が左、ササウシノシタ科の種が右です。
 食用魚などでは、このような混乱が、よくあります。人間と関係が深いため、通称や方言名が、多いのですね。通称などと、正式な種名とは、分けて考えることが必要です。
  


図鑑↓↓↓↓↓には、正式な種名ヒラメと、メイタガレイが掲載されています。
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 過去の記事でも、ヒラメやカレイの仲間を取り上げています。また、生き物の名前に関する記事もあります。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 トンビやオケラは、存在しない? 生き物の名前の話(2008/04/11)
 本当にあった不思議なカレイの話(2008/01/25)
 新しい名前で出ています――魚類の改名(2007/02/02)
などです。


2008年8月29日

孵化【ふか】と羽化【うか】とは、どう違う?

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 夏休みも、終わりですね。宿題に励む方々が、多いでしょう。そこで今回は、生き物の、間違えやすい用語について、解説しますね。
 孵化【ふか】という言葉がありますね。似た言葉で、羽化【うか】というのも、あります。この二つは、よく混同されます。新聞などでも、時おり、間違えています。
 孵化とは、「卵から、子どもが生まれること」です。この言葉は、ほぼ、どんな生き物に対しても、使われます。例えば、以下のようなものです。
 「チョウ(蝶)の卵から、ケムシ(毛虫)が生まれる」、「メダカの卵から、稚魚【ちぎょ】が生まれる」、「カエルの卵から、オタマジャクシが生まれる」、「ニワトリの卵から、雛【ひな】が生まれる」、これらすべてが「孵化」です。羽化ではありません。
 羽化のほうは、主に、昆虫に使われる言葉です。「昆虫が、最後の脱皮をして、成虫になること」を、「羽化」といいます。成虫になると、昆虫は、脱皮しません。
 ところが、ややこしいことが、あります。昆虫は、種によって、成長の仕方に、違いがあるのです。例えば、トンボとチョウとでは、以下のとおり、異なります。
 トンボは、「卵→幼虫(ヤゴ)→成虫」という具合に、成長します。チョウは、「卵→幼虫(イモムシなど)→蛹【さなぎ】→成虫」という具合です。違いますよね?
 トンボには、蛹という段階が、ありません。トンボ以外では、カゲロウや、セミなどが、同じように成長します。蛹の段階がなく、幼虫から、直接、成虫になります。
 蛹から成虫になる場合でも、幼虫から成虫になる場合でも、「羽化」です。つまり、「チョウの蛹から、チョウの成虫が出てくる」ことも、「トンボの幼虫が、脱皮して、成虫になる」ことも、「羽化」と呼びます。孵化ではありません。
 昆虫には、もっと別の成長の仕方をするものも、います。孵化や羽化という段階を、持たない場合も、あります。例えば、「成虫が、卵を産まずに、幼虫を産む」種がいます。これなどは、「孵化」の段階がないわけです。
 生物の用語は、辞書を引いてから使ったほうが、確実ですね。
 


図鑑↓↓↓↓↓には、400種の昆虫が掲載されています。それぞれの種に、成長段階の解説が、付いています。
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 過去の記事でも、孵化【ふか】や、羽化【うか】に関することを、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
●孵化【ふか】に関連する記事
 【魚類】睨みを利かせるお父さん? オヤニラミ(2008/06/13)
 【無脊椎動物】田んぼの生きている化石、カブトエビ(2007/06/08)
 【鳥類】郭公(カッコウ)はずるい鳥か?(2007/05/25)
 【爬虫類】雌(メス)しかいないトカゲがいる?(2007/03/06)
 【両生類】樹上に卵を産むモリアオガエル(2006/07/10)
 【昆虫】子どもの揺籠【ゆりかご】を作る虫、オトシブミ(2006/06/12)
●羽化【うか】に関連する記事【すべて昆虫】
 アブラゼミの羽化直後の観察(2007/07/18)
 とんぼの眼鏡は水色めがね? シオカラトンボ(2007/05/04)
 はかないようでしぶとい? カゲロウ(2006/09/04)
などです。


2008年8月26日

新種のエイ、新種のイルカを発見

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 二つの新種のニュースが、届きました。一つは魚類で、もう一つは哺乳類です。

 魚類のほうは、エイの新種です。通称「マンタ」と呼ばれるエイを、御存知ですか? 正式な日本語名では、オニイトマキエイという種です。この種が、二種に分かれるらしいことが、判明しました。新しい種名は、まだ、付いていません。
 これまで、「オニイトマキエイ」とされていたものには、大きさや、生態が違うグループが、二つあるようです。小さいほうのグループは、沿岸の海に棲みます。一年中、同じ海域にいます。ダイバーが出会うのは、ほとんどが、こちらのグループです。
 大きいほうのグループは、主に、外洋に棲むようです。広い海域を、回遊していると見られます。こちらのグループは、これまで、存在が知られませんでした。
 この研究成果により、「オニイトマキエイ」という種名は、なくなるかも知れません。少なくとも、新しい種名が、一つは、できるでしょう。

 哺乳類の新種は、カワイルカの一種です。南米のボリビアで、発見されました。
 以前から、ボリビアには、カワイルカ(淡水のイルカ)がいることが、知られました。それは、「アマゾンカワイルカ」だと思われていました。アマゾンカワイルカは、ブラジル、ペルー、コロンビア、ベネズエラなどに分布します。
 ところが、ボリビアのカワイルカは、「アマゾンカワイルカとは、別種らしい」と、判明しました。体色や、歯の数などが、他の水域のアマゾンカワイルカとは、違うそうです。
 ボリビアのカワイルカには、新たな種名が付けられました。ラテン語の学名を、Inia boliviensisといいます。日本語名は、「ボリビアカワイルカ」のようです。

 前記のように、今まで一つの種だと思われたものが、二つ以上の種に、分かれることがあります。新種の発見には、このような場合も、多いです。自然は、まだまだ多くの神秘を、人間から隠しているのでしょう。

 新種のエイのニュースと、新種のカワイルカのニュースは、以下にあります。
 マンタの新種が発見される(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/07/31)
 ボリビアのカワイルカは新種と判明(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/08/20) 



図鑑↓↓↓↓↓には、五十種以上の魚類と、八十種以上の哺乳類が掲載されています。
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2008年8月11日

ネムリブカは、眠るサメ?

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 サメ(鮫)といえば、恐ろしい魚の代名詞ですね。けれども、ヒトを襲うサメは、そう多くありません。ホホジロザメなど、ごく一部の種だけです。
 大部分のサメは、ヒトを、食べ物にしません。近年、ようやく、それが知られてきました。逆に、一部では、サメに人気が出ています。観賞用として、です。
 例えば、ネムリブカなどは、ダイビングをする人に、人気があります。
 ネムリブカは、サンゴ礁の海に、普通にいるサメです。体がスマートで、いかにも「サメらしい」姿です。大きさも、1mをゆうに越えます。迫力がありますね。
 それでいて、性質は、おとなしいです。そのうえ、平凡なサメなので、出会いやすいです。「実際に、近くで見られるサメ」として、ダイバーに喜ばれます。
 ネムリブカがおとなしいのは、夜行性だからです。普通、ダイバーが潜るのは、昼間ですね。ネムリブカが、休む時間帯です。肉食の生き物でも、休息中は、おとなしいものです。昼のネムリブカは、じっとしているか、のんびりと動くだけです。
 しかし、夜のネムリブカは、違います。夜は、活発です。他の魚などを、襲って食べます。夜にダイビングをする時には、近づかないようにしましょう。
 昼のネムリブカも、いたずらしてはいけません。ヒトだって、眠りを邪魔されれば、怒りますよね。サメも同じです。そっと、観察しましょう。
 「眠り」と書きましたが、ネムリブカの「眠り」=休息については、わからないことが多いです。ヒトと違い、完全に意識を失って眠ることは、ないようです。
 「サメは、ずっと泳ぎ続けていないと、死ぬ」という話を、聞いたことがありませんか? 「サメは、泳ぎ続けないと、呼吸ができない。だから、眠らない(休息しない)」というものです。この話は、誇張されたものです。そのようなサメは、ほとんどいません。
 多くのサメは、泳ぎ続けなくても、ちゃんと呼吸ができます。ネムリブカも、そうです。鰓蓋【えらぶた】を動かして、水を、鰓【えら】に通す仕組みがあります。
 サメには、いろいろ「伝説」が付きものです。でも、本当の姿は、まだ、謎です。 


図鑑↓↓↓↓↓には、ネムリブカや、同じメジロザメ目の、オグロメジロザメが掲載されています。
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 過去の記事でも、サメの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も、御覧下さい。
 「希少なサメ(鮫)、メガマウスの撮影に成功(2007/06/12)
 人食いザメより、サメ食い人のほうが多い?(2007/05/31)
 定置網に「ウバザメ」!! 茨城県日立沖(2007/04/25)
 ラブカはなぜ「生きている化石」か?(2007/01/27)
 ホオジロザメ(ホホジロザメ)は、本当にヒトを食うか?(2005/11/25)
などです。
 


2008年7月28日

気分はアマゾン探検隊? 大アマゾン展




 夏休み、全開ですね。各地で、生き物関係の催しが、開かれています。そのような催しの一つに、行ってまいりました。「大アマゾン展」です。
 展示されているのは、南米のアマゾン河に棲む魚たちです。ナマズ(鯰)の仲間が多いですね。「日本初公開」という種も、何種も展示されています。
 同じナマズでも、種ごとに、姿が違います。鎧【よろい】のようにいかつい鱗【うろこ】の種が、何種かいました。スマートで縞模様が美しい種や、銀色に輝く種もいました。
 すべてのナマズに共通なのは、ひげがあることです。大型のナマズは、ひげも長いです。どんなに長いひげでも、器用に動かすことができます。
 ナマズ以外の魚も、展示されています。ヨツメウオ、ピラニア、デンキウナギ(電気鰻)、アロワナ、淡水カレイ、淡水エイなどです。どれも、日本の川にはいない種です。
 ヨツメウオ(四つ眼魚)は、実際には、二つの眼しか持ちません。ですが、一つの眼を、二つの眼のように使います。眼の上半分を水上に出して、空中を視ます。同時に、眼の下半分で、水中を視ます。「二つの眼を四つ分使うから、ヨツメウオ」というわけです。
 ピラニアは、顎が発達して、獰猛【どうもう】そうに見えます。でも、ヒトを襲うことは、まず、ありません。獰猛な印象は、誇張されたものです。
 デンキウナギの展示個体は、とても大型でした。胴回りが太くて、迫力があります。日本で見られるデンキウナギとしては、最大級ではないでしょうか。
 アロワナは、ピラルクと同じ水槽に入っていました。どちらの種も、鱗の一枚一枚が大きいです。独特の色合いがあります。アロワナは、プラチナ色にきらめいていました。
 カレイやエイは、普通、海にしか棲めません。それが、アマゾンでは、淡水にいます。なぜそうなったのかは、わかっていません。淡水エイは水玉模様で、かわいいです。
 魚以外に、カエルが二種、展示されていました。ピパという種と、ベルツノガエルという種です。ピパは、まるで踏んづけられたように平たく、個性的な姿です。
 熱帯魚が好きなら、必見の展覧会です。会期が短いので、お早めに。


 「大アマゾン展」の公式ページは、以下にあります。
 大アマゾン展(玉川高島屋ショッピングセンター)
 


図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、アマゾンの魚は載っていません。そのかわり、日本の魚が、50種以上、掲載されています。
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 過去の記事で、他の夏休みイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 箱根で自然と芸術にひたる、花と美術の展覧会(2008/06/17)
 生物学を楽しく学べる? ダーウィン展(2008/03/20) ※現在は、大阪会場で開催中(~2008/09/21迄)
 「ファーブルにまなぶ」、虫の声の聴き方?(2007/10/11)
※現在は、滋賀県立琵琶湖博物館で開催中(~2008/08/31迄)


2008年6月23日

食中毒に注意、バラフエダイ

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 食中毒の季節ですね。生き物には、毒を持つものも多いですから、中毒は付きものです。今回は、「食中毒を防ぐ方法」の一端を、伝えますね。
 バラフエダイという魚がいます。主に、サンゴ礁の海に棲みます。日本近海では、南日本以南に分布します。全長1mに達する、大型の魚です。
 この魚は、釣り人に人気があります。大型で、引きが強いので、面白いのでしょう。
 ところが、食用にされることは、少ないです。「当たる」ことが多いからです。
 同じバラフエダイを食べても、当たることと、当たらないことがあります。地域によっては、普通に、バラフエダイを食べます。いっぽう、「中毒する」と恐れられて、食べられない地域もあります。なぜ、こんな違いがあるのでしょう?
 バラフエダイは、毒を持つ時と、持たない時があるのです。このようになる理由は、バラフエダイの毒が、「シガテラ毒」だからです。
 シガテラ毒とは、熱帯の海産物に、よくある毒です。バラフエダイ以外にも、たくさんの海生生物が、シガテラ毒を持ちます。この毒を持つのは、魚に限りません。
 最初に、シガテラ毒を作るのは、海のプランクトンです。渦鞭毛藻【うずべんもうそう】と呼ばれる生き物です。暖かい海に多いです。小さすぎるため、肉眼では見えません。
 生き物が、有毒の渦鞭毛藻を食べると、体に毒がたまります。その生き物が、別の生き物に食べられると、食べた生き物に、毒が移行します。
 こうして、海の生き物に、どんどん、シガテラ毒が広まります。ある海域に、有毒の渦鞭毛藻が発生すれば、その海域の生き物は、みな、毒化する可能性があります。同じ種の生き物でも、有毒の渦鞭毛藻がいなければ、シガテラ毒は、現われません。
 バラフエダイは、シガテラ毒を、体にためやすいのですね。その理由は、バラフエダイが、強い肉食の魚だからです。毒を持つ生き物を、たくさん食べて、体に毒を濃縮させてしまいます。体の大きなバラフエダイほど、毒化している可能性が高いです。
 バラフエダイらしき魚は、口に入れないほうが、安全ですね。



図鑑↓↓↓↓↓には、バラフエダイが掲載されています。
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 過去の記事でも、サンゴ礁の海にいる生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 鼈甲【べっこう】になるだけじゃない、タイマイ
 シマダコは、縞ダコか島ダコか?(2008/03/03)
 国際サンゴ礁年とは、どんなもの?(2007/12/24)
 死滅回遊魚【しめつかいゆうぎょ】とは、どんな魚?(2007/11/05)
 海中の一角獣【いっかくじゅう】? テングハギ(2007/07/23)
などです。

2008年6月13日

睨みを利かせるお父さん? オヤニラミ

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 二〇〇八年の父の日は、六月十五日です。これにちなんで、今回は、「子育てをするお父さん」の話をしましょう。ヒト以外の生き物の話です。
 生き物の世界では、子育てをするものは、少数派です。例えば、大部分の魚は、母親ですら、子育てをしません。「子育てをする魚」は、まれな存在です。
 オヤニラミは、「子育て魚」の一種です。日本の淡水に棲みます。河川の中流などの、流れの緩やかなところが、生息域です。水中に、障害物が多い場所を、好みます。ヨシなどの植物が生えたり、大きめの石が転がっていたりする場所です。
 障害物が多い場所を好むのには、理由があります。オヤニラミは、ヨシの茎などに、卵を産みつけるからです。安全に子育てできる場所を、選ぶのでしょう。
 卵は、むろん、雌(メス)が産みます。しかし、卵の世話は、雄(オス)が行ないます。
 雄は、卵のそばに、いつも付いています。口や胸びれで、卵へと、新鮮な水を送ります。敵から卵を守ります。近づくものがあると、雄は激しく攻撃します。
 卵が孵化【ふか】しても、「お父さん」の仕事は、終わりません。生まれたての稚魚【ちぎょ】たちは、数日間、「お父さん」に守られます。
 オヤニラミは、スズキ目スズキ科に属します。スズキ目ケツギョ科に分類する学説もあります。どちらにせよ、日本のスズキ目では、唯一、純淡水に棲む種です。
 他のスズキ目でも、汽水域【きすいいき】(淡水が混じる海水域)に来るものはいます。アカメ、スズキなどがそうです。けれども、一生を淡水で過ごすのは、日本では、オヤニラミだけです。貴重な種ですね。なのに、ずいぶん減ってしまいました。
 原因は、主に、河川の護岸工事だといわれます。コンクリートで固められたら、川岸には、植物が生えませんね。石も、取り除かれます。そんな単調な水中では、オヤニラミは、繁殖できません。稚魚が隠れる場所すら、ありませんよね。
 最近では、生き物に配慮した護岸工事も、行なわれるようになりました。そういうものは、ぜひ、広めてもらいたいです。魚もヒトも、安心して、子育てしたいですよね。


 過去の記事でも、生き物の世界の「子育てをするお父さん」を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 育児には父親も参加、オオゴキブリ(2007/06/15)
 子育てに張り切るお父さん、タマシギ(2006/06/17)
 コオイムシの雄は子煩悩【こぼんのう】?(2006/05/05)
 クマノミの親子関係(2005/10/31)



図鑑↓↓↓↓↓には、オヤニラミや同じスズキ目のスズキや、アカメが掲載されています。
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2008年5月16日

ガーナの宝冠:西アフリカの希少な生き物たち




 今、横浜市が、アフリカに染まっています。第四回アフリカ開発会議が、横浜で開かれるからです。このブログも、便乗しますね(笑) アフリカの生物を、紹介しましょう。
 昨年(二〇〇七年)十二月に、西アフリカのガーナから、「多くの新種がいる」と発表されました。新種の発見場所は、アテワ自然保護区です。新種ばかりでは、ありません。これまで知られている種でも、希少なものの生息が、確認されました。
 例えば、カエルです。ラテン語の学名を、Conraua derooiという種がいます。日本語名は、ありません。アカガエル科ゴリアテガエル(ゴライアスガエル)属に属します。
 Conraua derooiは、「世界で最も絶滅に近いカエル」といわれます。今後、生き残る可能性があるのは、アテワに棲むものだけだ、と考えられています。
 鳥類では、モモグロサイチョウや、リベリアクロヒタキなどの生息が、確認されました。モモグロサイチョウは、サイチョウ科ナキサイチョウ属の鳥です。リベリアクロヒタキは、ヒタキ科クロヒタキ属に属します。どちらも、数が少ない種です。
 哺乳類では、霊長類(サルの仲間)で、絶滅に近い種が、確認されました。オリーブコロブスや、ラテン語の学名をColobus vellerosusという種(日本語名なし)などです。
 昆虫では、八種の新種が発見されました。すべて、キリギリスの仲間です。アテワでしか、生息が確認されていません。また、希少なチョウ(蝶)も、確認されました。ラテン語の学名を、Mylothris atewaという種です。日本語名は、ありません。シロチョウ科シロチョウ亜科に属します。モンシロチョウの類縁ですね。
 昆虫以外の節足動物でも、新種が発見されました。クモ綱【こう】クツコムシ目【もく】クツコムシ科の種です。クモとダニの中間のような姿をしています。ラテン語の学名を、Ricinoides atewaと名づけられたようです。
 魚類や植物でも、珍しい種が、確認されています。中でも、シダ植物のCyathea manniana(ラテン語の学名、日本語名はなし)は、興味深いです。この種は、ヘゴ科ヘゴ属に属します。木生シダといって、樹木になるシダです。Cyathea mannianaと似た種は、ブラジルとマダガスカルにしか、分布していないそうです。
 たった一つの自然保護区で、この様子です。アフリカ全体では、どれほどの生き物がいるのでしょう? この多様性を、保ち続けたいですね。


 西アフリカのガーナで発見/確認された生き物については、以下に載っています。
 ガーナの熱帯林で、キリギリスや節足動物など9種の新種、 希少な生物種を発見(コンサベーション・インターナショナル・ジャパン 2007/12/06)
 ガーナで、新種、希少種、絶滅危惧種【ぜつめつきぐしゅ】などを発見(コンサベーション・インターナショナル 2007/12/06) ※英語の解説です。
 新種動物をガーナで発見(OCCULuTION 2007/12/08) ※新種の節足動物(クツコムシ)などの写真が載っています。


 前記の、発見/確認された生き物の情報や、写真は、以下にもあります。
 最も絶滅に近いカエル、Conraua derooiの写真(Arkive) ※解説は英語です。
 アフリカ最大の蝶といわれるドルーリーオオアゲハの写真(ぷてろんワールド)
 シロチョウの一種Mylothris atewaの写真(ガーナの蝶たち) ※解説は英語です。

 クツコムシ目の解説(Wikipedia日本語版)

 シダ植物のCyathea mannianaの写真、全体像(metafro)
 シダ植物のCyathea mannianaの写真、ゼンマイ状の若葉(metafro)
 シダ植物のCyathea mannianaの写真、葉(metafro)

 横浜の、第四回アフリカ開発会議のサイト
 横浜の「アフリカ月間」の案内

2008年5月 3日

ブラジルで、14もの新種を発見

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 またもや、新種発見のニュースです。今度の舞台は、南米のブラジルです。なんと、一挙に、十四種が発見されました。
 種の内訳は、魚類が八種、両生類が一種、爬虫類が三種、鳥類が一種、哺乳類が一種です。うち、いくつかの種を、紹介しましょう。
 爬虫類三種のうちの一種は、脚【あし】がないトカゲです。ピグミーテグー科バキア【Bachia】属の一種、と考えられています。この仲間は、日本には分布しません。
 「脚がないトカゲとは、ヘビ(蛇)ではないのか?」と思う方がいるでしょう。トカゲとヘビの違いは、脚の有無だけではありません。他に、いくつもの違いがあります。
 大きな差の一つは、トカゲには、瞼【まぶた】があることです。ヘビには、瞼がありません。ですから、ヘビは、まばたきをしません。
 今回の新種「脚がないトカゲ」にも、瞼があります。バキア属の特徴として、透明な瞼を持つはずです。このため、バキア属のトカゲは、目を閉じても、見ることができます。
 鳥類の新種は、とても小さなキツツキです。キツツキ科ヒメキツツキ属の一種、とされています。ヒメキツツキの仲間も、日本には分布しません。
 両生類の新種は、一見、ヒキガエルに似ています。英語名を、「角のあるヒキガエルhorned toad」というほどです。けれども、ヒキガエル科ではありません。ユビナガガエル科ツノガエルモドキ属の一種、とされます。ツノガエルモドキも、日本には、分布しません。
 これらの種が発見されたのは、ブラジルのセラードと呼ばれる地域です。ここは、自然の宝庫です。前記の新種以外にも、たくさんの貴重な種がいます。
 例えば、鳥類のスミレコンゴウインコや、クロアイサや、マメシギダチョウ、および、哺乳類のアメリカヌマジカや、ミツオビアルマジロなどです。みな、絶滅の危機にある種です。彼らにとって、セラードは、最後の楽園かも知れません。
 残念ながら、この楽園が、おびやかされています。人間による開発が、進んでいるからです。何とか、この野生の王国を、残したいですね。


 ブラジルの新種のニュースは、以下に載っています。
 ブラジルの草原で、「脚がないトカゲ」などの新種が発見される(コンサベーション・インターナショナル 2008/04/29) ※英語の解説です。
 ブラジルの草原で発見された新種たちの写真(コンサベーション・インターナショナル、2008/04/29) ※英語ですが、写真集ですので、観るだけで楽しめます。


 過去の記事でも、新種の発見を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 両生類は、肺がなくても生きられる?(2008/05/01)
 タンザニアで、新種の哺乳類を発見!(2008/04/16)
 再発見! オキナワトゲネズミ(2008/03/07)
 インドネシアのパプアで、新種の哺乳類を発見(2007/12/19)
 霊長類【れいちょうるい】が絶滅の危機に?(2007/11/01)
 ベトナムで、新種の発見ラッシュ(2007/09/27)
 新種のクシクラゲ? 発見(2007/6/13)
などです。


2008年4月25日

ちょっと待って! メダカの放流

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 メダカは、春の小川に似合う魚ですね。かつては、日本中、どこでも見られました。
 ところが、近年、メダカが、絶滅危惧種【ぜつめつきぐしゅ】に指定されました。これは、日本人に、衝撃を与えました。最も平凡だった魚が、絶滅しそうなのですから。
 メダカの危機は、広く報道されました。このため、各地で、保護活動が盛り上がりました。メダカが棲める水場が整備されたり、メダカが飼育されて増やされたりしました。
 保護活動が盛んになるのは、良いことです。けれども、中には、問題のある保護活動もありました。保護するつもりが、逆効果になることも、あります。
 例えば、メダカの放流です。一時期、各地で流行しました。現在でも、よく行なわれますね。過去にメダカがいたのに、絶滅した場所へ、再びメダカを放つことです。
 このような放流には、とても注意が必要です。下手なやり方をすると、自然を荒らしてしまいます。なぜでしょう?
 メダカには、地域個体群【ちいきこたいぐん】があるからです。地域個体群とは、地域ごとの、特徴のある群れのことです。同じ種でも、地域によって、特徴が違うのですね。
 地域個体群は、地域ごとの財産です。違う地域のものと、混ぜてはいけません。それは、その地域本来の自然とは、違うものですね。混ぜたら、自然破壊です。
 以前は、地域個体群のことが、あまり知られていませんでした。そのために、「本来とは違う地域の個体群が、放流される」といった事故が、起こりました。
 誤りを防ぐには、どうしたらいいでしょう?
 まず、やたらに放流しないことです。確実に、その地域の個体群だとわかるまで、放流は控えましょう。専門知識のある人に、訊いてからにすべきです。
 特に、ペットショップや、人家で飼われているものを、そのまま放流してはいけません。そのようなメダカは、人間が作った品種であることが多いです。人工的な品種は、野外に放つべきではありません。放流する前に、メダカの素性を、きちんと調べましょう。
 正しい知識を広めることが、本当に、メダカの保護につながります。


 近年、メダカの地域個体群について、さまざまなニュースがあります。詳しくは、以下のページなどを御覧下さい。
  蘇るメダカ(湘南新聞 2005/07/09)
 藤沢メダカの学校をつくる会
などです。


 過去の記事でも、メダカと同じ日本の淡水魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 土用の丑【うし】には何を食べる?(2007/07/27)
 貝に卵を産む? 不思議な魚たち(2007/03/30)
 秋に美味しい鰍【かじか】(2006/11/13)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、メダカが掲載されています。
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2008年2月29日

シラウオ、シロウオ、どちらが本当?

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 寒さの中にも、春の便りが聞かれますね。春が旬【しゅん】の食べ物も、出回ってきました。春の味覚といえば、皆さんは、何を思い浮かべるでしょうか?
 シラウオ(白魚)は、春の味覚として、有名なものの一つですね。以前は、サケ目シラウオ科に属する魚とされていました。現在は、キュウリウオ目シラウオ科とされることが多いです。サケ目の多くの種が、新設のキュウリウオ目へと、移されました。
 生き物の分類が変わることは、よくあります。学問は、常に、進歩しているからです。
 生きているシラウオは、透明です。ガラス細工のような美しさです。白魚という名は、死んだ時の色から、付けられました。死ぬと、透明感が消え、白い体色になります。
 シラウオは、川の下流域、汽水【きすい】湖、沿岸の海などで、漁獲されます。汽水域(淡水と海水が混じるところ)が、彼らのすみかのようです。「ようです」というのは、彼らの生態が、はっきりわかっていないからです。
 以前、シラウオは、産卵のため、川をさかのぼるといわれました。けれども、それが本当かどうか、今は疑問が持たれています。
 シラウオは、徳川家康の好物だったと伝えられます。そんなに昔から食べられているのに、基本的な生態が、わかっていないのですね。生き物の生態を知るのは、難しいことです。水中の生物は、特に難しいのですね。直接の観察が、しにくいからです。
 ややこしいことに、シラウオには、とても似た別種の魚がいます。その名も、シロウオ(素魚)といいます。名前だけでなく、外見もそっくりです。生きている時は透明で、ガラス細工のようです。やはり食用になります。旬が春なのも、シラウオと同じです。おまけに、川の下流域や、沿岸の海に棲むことまで、同じです。
 ここまで似れば、当然、混同されますね。昔から、両種は混同されてきました。地方により、シラウオをシロウオと呼んだり、シロウオをシラウオと呼んだりします。
 しかし、シロウオは、シラウオとは縁が遠いです。スズキ目ハゼ科に属します。ハゼの一種なのですね。「他人の空似」も、ここまで来れば、感心してしまいます。


 過去の記事でも、キュウリウオ目(サケ目)や、スズキ目ハゼ科の魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ミナミトビハゼ(2007/09/06)
 ミナミトビハゼ(2007/05/27)
 日本を代表する美魚、アユ(2006/06/09)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、シロウオ(素魚)は載っていませんが、シラウオ(白魚)が掲載されています。
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2008年2月21日

チンアナゴ

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 チンアナゴ 画像
和名:チンアナゴ
学名:Heteroconger hassi
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沖縄  沖縄美ら海水族館  【2008.02.01】


2008年2月19日

メガネモチノウオ【別名:ナポレオンフィッシュ】

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 メガネモチノウオ【別名:ナポレオンフィッシュ】 画像
和名:メガネモチノウオ【別名:ナポレオンフィッシュ】
学名:Cheilinus undulatus
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

沖縄  沖縄美ら海水族館  【2008.02.01】


2008年1月26日

オヤビッチャ

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 ブセナ・ケープ(岬)海中展望塔より。しつこいですが、水族館ではありません(笑)。入場料を払って、海中を見学します。ちょっと(かなり)ピンが甘いですね。ご愛敬ということで失礼いたします。オヤビッチャ 画像。
和名:オヤビッチャ
学名:Abudefduf vaigiensis
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沖縄 名護 【2008.01.12】


2008年1月25日

本当にあった不思議なカレイの話




 奇跡としか言いようのないニュースが、飛び込んできました。千葉県銚子市【ちょうしし】の沖で捕れた魚に、人が書いた手紙が付いていた、というのです。その手紙は、十五年も前に、小学生の女の子が、風船に付けて飛ばしたものでした。
 驚くことに、その手紙の文字は、ちゃんと読める状態でした。おかげで、手紙を書いた人の身元が、判明しました。小学生だった女の子は、現在、大学生で、健在だそうです。当時、神奈川県川崎市内の小学校から、手紙を飛ばしたとのことです。
 報道によれば、手紙を運んだのは、サメガレイという魚です。カレイ(鰈)の一種です。あの、目が片側に寄った、平たい魚の仲間ですね。食用になることで、有名です。
 サメガレイも、食用になる魚です。今回、見つかったものも、食べるために漁獲されました。漁師さんが、魚の仕分け中に、手紙が付いているのに気づいたそうです。
 カレイの中でも、サメガレイは、深い海に棲みます。主に、クモヒトデを食べているようです。クモヒトデは、深海に多い生物だからでしょう。「郵便屋さん」になったカレイは、おそらく、水深千m付近にいたはず、といいます。
 手紙の保存状態が良かったのも、奇跡ですね。他の魚でなく、サメガレイだからこそ、こんなことが起こった、と推測できます。
 サメガレイには、「鱗【うろこ】がない」という特徴があります。そのかわり、表側の皮膚が、ざらざらしています。鮫肌【さめはだ】だから、サメガレイと名づけられました。この鮫肌は、たっぷりの粘液に覆われています。
 たぶん、手紙は、サメガレイの鮫肌に、うまく引っかかったのでしょう。そのうえ、粘液に覆われれば、保護されますね。長い間、海中にあったのに、きれいに保存されたのは、このためだと思われます。
 人間の活動は、深海にまで、影響しているのですね。今回の事件で、改めて、わかりました。例えば、うっかり毒物を流したら、深海魚が絶滅するかも知れません。
 今回のように、小学生の手紙ならば、微笑ましくて、いいですね。


 手紙を運んだカレイのニュースは、以下にあります。
 <手紙>風船で飛ばして15年…カレイが届ける?(毎日新聞 2008/01/24)
 14年前の風船手紙、底引き網漁で水揚げのカレイがお届け(読売新聞 2008/01/24)



図鑑↓↓↓↓↓には、
残念ながら、サメガレイは載っていませんが、同じカレイの仲間のメイタガレイが掲載されています。
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2008年1月23日

ツノハタタテダイ

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 ブセナ・ケープ(岬)海中展望塔より。ツノハタタテダイ 後ろハマフエフキ画像。
和名:ツノハタタテダイ
学名:Heniochus varius
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

沖縄 名護 【2008.01.12】


2008年1月16日

ハマフエフキ

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 ブセナ・ケープ(岬)海中展望塔より。水族館ではありません。ハマフエフキ 画像。
和名:ハマフエフキ
学名:Lethrinus nebulosus
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

沖縄 名護 【2008.01.12】


2008年1月 4日

おめでタイ!にも、いろいろいます

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 新しい年がやってきました。新年らしく、おめでたい生き物を取り上げましょう。
 タイ(鯛)は、日本で、縁起が良い生き物の代表ですね。タイと名が付く魚は、とても多いです。単にタイといえば、普通は、マダイ(真鯛)という種を指します。あの、きれいな赤い体色の魚です。普通の人が思い浮かべる「タイ」ですね。
 マダイにそっくりなのに、種が違うタイもいます。キダイ(黄鯛)やチダイ(血鯛)などです。マダイと同じく、赤っぽくて、左右に平たい体型をした魚です。素人には、区別が付けにくいですね。キダイやチダイは、マダイの代わりに、お祝い事に使われることもあります。見た目も味もそんなに変わりませんから、不当ではないでしょう。
 他にも、たくさんの「何とかダイ」がいます。有名なのは、クロダイ、イシダイ、キンメダイ、アコウダイなどですね。フエダイ、ニザダイ、スズメダイ、キンチャクダイなどもいます。これらの「タイ」は、みな同じ仲間でしょうか?
 違います。同じ「タイ」の名が付いても、異なるグループの種が多いです。
 例えば、マダイは、スズキ目タイ科に属します。キダイ、チダイ、クロダイは、同じスズキ目タイ科です。一般的には、これらスズキ目タイ科の種が、「本当のタイ」とされます。
 他のタイは、どうでしょう? イシダイは、スズキ目イシダイ科です。フエダイは、スズキ目フエダイ科に属します。スズメダイとキンチャクダイも、スズキ目のスズメダイ科、キンチャクダイ科に属します。ニザダイも、スズキ目のニザダイ科です。
 スズキ目以外の「タイ」も多いです。例えば、キンメダイは、キンメダイ目キンメダイ科に属します。アコウダイは、カサゴ目フサカサゴ科に属します。
 タイという名は、「平たい」に由来するようです。日本人は、マダイのように、「平たくて、赤っぽい魚」を尊ぶのですね。そのような魚に、みな「~ダイ」という名を付けました。分類に関係なく、タイと名が付く魚は、二百種以上もいるそうです。
 このために、分類学的には、ややこしくなってしまいました。日本人は、「タイ」に愛着があるのでしょう。「幸せになりタイ」願いがこもっているのかも知れません。


 過去の記事でも、「~ダイ」と名が付く魚を取り上げています。また、「○○ダイ科」の魚も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 死滅回遊魚【しめつかいゆうぎょ】とは、どんな魚?(2007/11/05)
 海中の一角獣?テングハギ(2007/07/23) ※テングハギはニザダイ科
 房総では良く釣れる魚の花鯛(ハナダイ)は…(2006/05/01)
 クマノミの親子関係(2005/10/31) ※クマノミはスズメダイ科
 ニモのお父さんはお母さんだった?(2005/10/28)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、タイ科の「タイ」は載っていません。かわりに、キンチャクダイ科、スズメダイ科、ニザダイ科、フエダイ科の魚が掲載されています。
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2007年11月26日

カサゴ(笠子)は、似たもの同士の一族

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 カサゴは、磯釣りの対象になる魚ですね。岩場にいる魚らしく、ごつごつした姿をしています。海中では、海藻の生えた岩にそっくりです。
 じつは、カサゴと呼ばれる魚は、一種ではありません。いくつもの種が含まれます。アヤメカサゴ、フサカサゴ、ユメカサゴ、イズカサゴなどです。ややこしいことに、単に「カサゴ」という種名の魚もいます。おおむね、フサカサゴ科フサカサゴ亜科に属する種が、まとめてカサゴと呼ばれます。
 カサゴの仲間は、どれもよく似ています。種によって、分布する海域や、生息する深度が、少しずつ違います。そうやって、棲み分けているのですね。
 例えば、フサカサゴは、本州中部以南の暖かい海に分布します。普通の「カサゴ」は、もう少し寒い海にもいます。北海道南部以南に分布します。
 棲み分けているとはいえ、カサゴの仲間は、似た種が、同じような場所に棲むことが多いです。しかも、同じ種でも、体色などに幅があります。真っ赤に見えるものと、真っ黒に見えるものとが、まったく同じ種、ということもあります。
 おかげで、カサゴの仲間は、分類が難しいです。「うっかりすると、カサゴに間違うくらい似ている」ために、ウッカリカサゴと名づけられた種がいるくらいです。冗談みたいですが、「ウッカリカサゴ」が正式な種名です。
 「カサゴ一族」が似ているのは、みな、似た生活をするからです。海底の岩礁域で、あまり動きません。エビや小魚などの獲物を、待ち伏せて捕らえます。待ち伏せるのに、目立っては困りますね。だから、「カサゴ一族」は、全員、海底の岩に似ています。
 カサゴの仲間は、食用魚としても知られます。どれも、白身の魚ですね。白身なのは、生態と関係しています。魚の白い筋肉は、瞬発力に優れた筋肉です。「じーっと待ち伏せていて、獲物が近づいたら、すばやく捕らえる」という動きに適しています。
 だいたい、秋から冬にかけてが、カサゴの仲間の旬【しゅん】です。ちょうど、これからの季節ですね。煮つけや鍋物が美味しいです。どうぞ、御賞味下さい。


 過去の記事でも、秋から冬に美味しい魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ハマチはブリの子か?(2007/1/19)
 秋に美味しい鰍【かじか】(2006/11/13) 
 アンコウは釣りの名手(2006/1/27) などです。
 


図鑑↓↓↓↓↓には、カサゴとオニカサゴも掲載されています。
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2007年11月15日

シーラカンスの新種?発見

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 生きている化石のシーラカンスは、話題に事欠きませんね。近年、「インドネシアのスラウェシ島近海で、シーラカンスの新種が見つかった」というニュースがありました。
 それまで、「シーラカンスは、アフリカ南東部のコモロ諸島近海にしかいない」と考えられていました。ラテン語の学名を、ラティメリア・カルムナエLatimeria chalumnaeという種です。インドネシアのシーラカンスは、これとは違う新種だと判断されました。ラティメリア・メナドエンシスLatimeria menadoensisという学名が付いています。
 最近、さらに、第三の生息域が発見されました。東アフリカのタンザニア沖です。ここで、続々とシーラカンスが捕獲されました。漁師さんたちが、普通の魚を捕ろうとしていたのに、シーラカンスが捕れてしまった、といいます。
 はじめ、タンザニアのシーラカンスは、「本来の生息域であるコモロ近海から、流されてきたのでは?」と考えられました。けれども、二〇〇七年に行なわれた調査により、「タンザニア沖に、シーラカンスの生息域がある」と確認されました。なんと、日本の調査隊による成果です。福島県にある水族館「アクアマリンふくしま」の調査隊でした。
 タンザニアのシーラカンスは、第三の種なのでしょうか? これは、まだわかっていません。現在までの調査では、新種の可能性があるようです。
 新種でなくとも、新しい生息域が判明したのは、嬉しいですね。しかし、喜んでばかりはいられません。判明した理由が、問題だからです。なぜ、今になって、タンザニア沖で、シーラカンスが捕れるようになったのでしょうか?
 その理由は、タンザニア沿岸の海で、魚が減ったためです。漁師さんたちは、困ってしまいました。魚を求めて、より沖の海へ行ったのですね。そこが、シーラカンスの生息域でした。漁業資源の枯渇という、深刻な問題が、根底にあります。
 このままでは、シーラカンスの生存も、危うくなりかねません。海全体が健全でないのに、一種だけ無事なことは、あり得ないからです。シーラカンスを含めた魚も、漁師さんたちも、豊かに暮らせる海にしたいですね。


 タンザニア沖シーラカンスのニュースは、以下にあります。
 【科学】生きた化石シーラカンスの謎を追え(Yahoo!ニュース・産経新聞 2007/11/05)
 シーラカンス続々捕獲/タンザニア沖で30匹以上(東奥日報 2007/09/21)


 タンザニア沖で、シーラカンスの撮影に成功した「アクアマリンふくしま」のウェブサイトは、以下にあります。また、東京工業大学、国立科学博物館などでも、シーラカンスの研究が進められています。
 アクアマリンふくしま(日本語トップページ)
 東京工業大学 岡田研究室(右上にシーラカンスのページ入口があります)
 国立科学博物館(トップページ)



 二〇〇七年の11月24日(土)に、シーラカンスのシンポジウムが開かれます。会場は、福島県にある「 いわき明星大学」です。一般の人でも、参加費を払えば、参加できるようです。興味がおありの方は、以下のページを御覧下さい。
 ザ・シーラカンス シーラカンスの謎に迫る!2007(アクアマリンふくしまのサイト内ページ)


 過去の記事でも、シーラカンスを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 えっ シーラカンスを捕まえた?!(2007/5/22)
 シーラカンスの動画撮影に成功! その後は?(2007/1/20)
 シーラカンスはなぜ「生きている化石」か?(2006/6/1)

などです。


2007年11月 8日

琵琶湖で発見された「エンツイ」とは、どんな魚?

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 また、悲しいニュースがありました。「琵琶湖で、新たな外来種の魚が発見された」と報道されましたね。「エンツイ」と呼ばれる魚です。
 「エンツイ」とは、魚の原産地の、中国での名です。日本語の名は、ありません。日本には、本来、分布しないからですね。
 もとの中国語からすれば、「エンツイ」とは、だいぶ「なまった」発音です。「エンツュイ」、「エンツユイ」、「エンチュイ」などとも呼ばれます。
 より正確には、「イェン・ツー・ユイ」という感じに発音します。漢字で書けば、「臙脂魚」です。まれに、成魚が臙脂【えんじ】色になるため、このように名づけられたのでしょう。ラテン語の学名を、Myxocyprinus asiaticusといいます。
 エンツイ改めイェンツーユイは、コイ目に属します。広い意味では、コイの仲間ですね。けれども、コイと違って、コイ科ではありません。コイ目サッカー科に属します。サッカーとは、球技のサッカーsoccerではありませんよ(笑)サッカーsuckerという名の魚がいるのです。主に、北米に分布する魚のグループです。
 イェンツーユイは、中国の長江流域に分布します。サッカー科の中で、唯一、北米以外に分布する種です。なぜ、一種だけこんなに離れているのかは、わかっていません。
 今回見つかったイェンツーユイを、写真で見ると、奇妙な形をしていますね。背中が高く盛り上がっています。そこに、大きな背びれが付いています。これは、幼魚の姿です。成魚は、スマートな形です。普通の魚と変わりません。
 イェンツーユイは、観賞魚として、日本に輸入されています。確かに、幼魚の形は、面白いですね。しかし、成魚が、1mを越えるほど大きくなることを、忘れてはいけません。「それほどの大型魚を飼う」と覚悟ができなければ、飼うべきではありません。
 外来種自身には、罪はありません。いつも、ここのブログに書いているとおりですね。ペットを売る人、買う人、管理する人など、みんなの責任が、問われています。


 琵琶湖で発見された「エンツイ」改め「イェンツーユイ」のニュースは、以下にあります。
 琵琶湖で中国産外来魚を捕獲 「エンツイ」を初確認(京都新聞 2007/11/05)


 「エンツイ」こと「イェンツーユイ」のニュースは、他にも、以下のようなものがあります。レコードチャイナの写真を見ますと、「臙脂魚」(臙脂【えんじ】色の魚)や「美人魚」の名が納得できますね。
 獅子顔の巨大怪魚、出現―四川省ろう中市(レコードチャイナ 2007/05/08)
 安徽:15万尾の「臙脂魚」を長江に放流(livedoorニュース 2007/04/23)
 漁師が長江で未知の魚を捕獲、俗称は「アジア美人魚」―重慶市(レコードチャイナ 2006/12/13)


 過去の記事でも、外来種について取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ワニに見えてもワニじゃない、ガーパイク(2006/09/16)
 オオトカゲは危険生物?(2006/08/22)
 飼う前によく考えましょう、カミツキガメとワニガメ(2006/04/5)
 ミドリガメ(アカミミガメ)から病気がうつるのは本当?(2006/03/13)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、コイ、タナゴ、ドジョウなど、コイ目の魚が十種以上掲載されています。
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2007年11月 5日

死滅回遊魚【しめつかいゆうぎょ】とは、どんな魚?

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 だんだん寒くなってきましたね。季節は、海の中にもめぐります。
 例えば、伊豆の海を見てみましょう。伊豆は、ダイビングスポットとして人気です。おかげで、たくさんの種の魚が、ダイバーに観察されています。
 初夏から初冬にかけて、伊豆では、きれいな魚がたくさん見られます。クマノミ、ハマクマノミ、ツノダシ、タテジマキンチャクダイなどです。これらの多くは、サンゴ礁に棲む魚です。本来、もっと南の海にいるものたちです。
 温かいとはいえ、伊豆の海は、サンゴ礁ができるほどではありません。なぜ、サンゴ礁の魚が、伊豆にいるのでしょうか?
 彼らは、南の海からやってきます。海流に乗ってくるのです。伊豆の場合なら、黒潮ですね。日本の太平洋岸を通る暖流です。
 伊豆の海でも、初夏から初冬にかけては、かなり温かいです。南の海の魚が、普通に暮らせます。ところが、温度が下がってくると、そうはいきません。南海生まれの魚たちは、大部分が、冬に死んでしまいます。春になると、南から、新しい幼魚たちがやってきます。
 このような魚を、死滅回遊魚と呼びます。死滅しては、新たに回遊してくることを、繰り返すからです。死滅回遊魚は、南海の魚とは限りません。けれども、日本近海では、「南から北へ来て、冬に死滅する魚」が、こう呼ばれることが多いです。
 死滅回遊は、無駄なことに見えますね。なぜ、こんなことが起こるのでしょうか?
 同じ場所では、生きられる数が、限られるからです。すみかが足りないものは、別の場所へ、すみかを求めるしかありません。そうなるのは、たいてい、新たに生まれた幼魚です。彼らは、生きるために旅立ちます。死滅するために、旅するのではありません。
 たまたま、行き着いた先が、生きるのに適さない場所ですと、死滅回遊になってしまいます。でも、中には、生きやすい場所に着くものもいるでしょう。ひょっとして、そこは、思わぬ新天地かも知れません。リスクがあっても、旅立つ利点があります。
 自然は厳しいです。どの生き物も、その中で、精一杯、生きているのでしょう。

 過去の記事でも、サンゴ礁に棲む魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 海中の一角獣【いっかくじゅう】? テングハギ(2007/7/23)
 クマノミの親子関係(2005/10/31)
 ニモのお父さんはお母さんだった?(2005/10/28)   などです。
   


図鑑↓↓↓↓↓には、サンゴ礁の魚として、クマノミ、ハマクマノミ、タテジマキンチャクダイ、ツノダシ、テングハギ、バラフエダイなどが掲載されています。
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2007年9月20日

ヤマメからニジマスが生まれる?

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 ヤマメという魚がいますね。日本の渓流に棲む魚です。食用や釣り対象として、人気がありますね。そのため、養殖もされています。
 一方、ニジマスという魚がいます。ヤマメと同じ、サケ科に属する種です。やはり、川魚として、食卓に上りますね。日本各地で、大々的に養殖されています。
 ニジマスは、もともと、北米に分布する魚でした。食用にするため、日本に移入されました。同じサケ科でも、ヤマメとは違う種です。
 ところが、先日、衝撃的なニュースがありました。人工的に、ヤマメにニジマスを生ませることに成功した、というのです。
 これは、「ヤマメの腹だけを借りて、ニジマスの卵を産ませた」わけではありません。「ヤマメに、ニジマスの卵の元になる細胞を移植した」のです。ヤマメの腹で育っても、細胞は、ヤマメの卵ではなく、ニジマスの卵になりました。
 正確には、移植されたのは、精原細胞【せいげんさいぼう】という細胞です。普通は、精子の元になる細胞です。雄(オス)のヤマメにニジマスの精原細胞を移植すると、ニジマスの精子になり、雌(メス)のヤマメに移植すると、ニジマスの卵になったそうです。
 この実験結果は、いろいろなことを示唆しています。例えば、精子になるはずの細胞でも、環境によっては卵になることがわかりました。また、ヤマメとニジマスでできるならば、同様に近縁な魚同士でも、同じことができるかも知れません。「絶滅しそうな種の細胞を、近縁な別種に移植して、数を増やす」といった可能性も、ありますね。
 このように、生命の発生を操作する研究には、賛否両論があります。けれども、研究を止めることは、得策ではないでしょう。病気を治す方法や、絶滅しそうな生き物を救う方法が、発見される可能性があるからです。
 よく言われるとおり、科学技術そのものには、罪はないと思います。善悪は、使い方次第です。生命を弄【もてあそ】ぶのは、いけませんよね。良い方向へと、研究が発展することを望みます。

 「ヤマメがニジマスを生んだ」ニュースは、以下のページに載っています。
 ニジマスしか生まない代理ヤマメ両親の作出に成功(科学技術振興機構・東京海洋大学)

 過去の記事でも、ヤマメなどのサケ科の魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 同じ種なのに名が違う? 桜鱒(サクラマス)と山女(ヤマメ)(2006/3/20)
 森を育てるサケ(2005/9/13)


図鑑↓↓↓↓↓には、ニジマスもヤマメも掲載されています。
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 国立大学法人東京海洋大学
 独立行政法人科学技術振興機構


2007年9月 6日

ミナミトビハゼ

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和名:ミナミトビハゼ
学名:Periophthalmus argentilineatus

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沖縄 豊見城 【2007.08.25】
 

2007年7月27日

土用の丑【うし】には何を食べる?

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 もうじき、土用の丑の日ですね(2007年は、来週7月30日)。日本では、すっかり「ウナギを食べる日」になっています。この日にウナギを食べる習慣は、江戸時代に定着したようです。
 もともと、「土用の丑の日に、ウの付く物を食べると、夏負けしない」という言い伝えがありました。これに従うなら、ウナギにこだわる必要はありませんね。試しに、食用魚のうちで、ウの付くものを探してみました。
 ウグイという魚がいます。川魚として賞味されます。甘露煮や、鮒鮨【ふなずし】に似た鮨【すし】にされることが多いですね。
 ウグイは、必ずしも淡水にいるとは限りません。一部、海に降るウグイがいます。サケのように、いったん海で暮らしてから、戻ってくる個体がいるのですね。なぜ、海に降るものと、そうでないものがいるのかは、わかっていません。
 川釣りをやる方には、ウグイはお馴染みのはずです。ところが、実際にウグイを釣っているのに、「ウグイなんて魚は知らない」という方がいます。なぜでしょう?
 じつは、ウグイは、とても別名が多い魚です。地方によって、呼び名が違います。有名な別名としては、ハヤ、アカハラ、イダ、マルタなどがあります。釣り人は、魚の名を、こういった地方名で覚えていることが多いです。このために、「実物を知りながら、正式な名前を知らない」ことがあるわけです。
 もう一つ、ややこしいことがあります。ウグイには、他によく似た種があることです。別の川魚と、ウグイが混同されていることが、よくあります。
 ウグイ、オイカワ、カワムツなどの種が、一緒くたにされることが多いですね。地方によっては、これらの種を、すべて同じ名(ハヤなど)で呼ぶこともあります。
 最もややこしいのは、マルタという川魚がいることです。マルタはウグイの近縁種で、外見もそっくりです。おかげで、長らく、ウグイとマルタとは混同されてきました。
 ウグイの旬は、冬といわれます。夏の土用には、ふさわしくない食べ物かも知れません。けれども、機会があれば、食べてみたいですね。日本伝統の食材の一つですから。


 過去の記事で、土用の丑の日にちなみ、ウナギを取り上げています。また、ウグイと同様、海に降るサケやサクラマスも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ウナギの繁殖の謎は解けたか?(2006/7/21)
同じ種なのに名が違う? 桜鱒(サクラマス)と山女(ヤマメ)(2006/3/20)
森を育てるサケ(2005/9/13)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、ウグイが掲載されています。ウグイと混同されやすいオイカワも載っています。ウグイやオイカワの地方名も、たくさん紹介されています。
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2007年7月23日

海中の一角獣【いっかくじゅう】? テングハギ

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 熱帯の海には、色とりどりの魚がいますね。温帯の魚を見慣れた目には、珍しく見えます。サンゴ礁の海には、色だけでなく、形も変わった魚がいますね。
 テングハギは、そんな魚の一種です。顔に突起があります。この突起を、天狗の鼻に見立てたのでしょう。全体の形は、ちょっとカワハギに似ています。
 ややこしいことに、テングカワハギという名の魚もいます。テングカワハギも、サンゴ礁の海に棲みます。テングハギとテングカワハギは、ときどき混同されます。似た点が多いからですね。けれども、両種はまったく別種です。テングハギは、ニザダイ科テングハギ属に属します。テングカワハギは、カワハギ科テングカワハギ属に属します。
 テングハギ属には、他にも、顔に突起がある種がいます。ヒメテングハギ、ツマリテングハギなどです。でも、テングハギ属すべてに、突起があるわけではありません。ミヤコテングハギのように、突起がない種も多いです。
 なぜ、テングハギの顔には、突起があるのでしょうか? この理由はわかっていません。「雄(オス)が雌(メス)に求愛する時に使う」という説があります。しかし、この説では、テングハギの雄にも雌にも突起がある理由が、説明できません。
 突起は、幼魚の頃にはありません。成長とともに、突起が大きくなります。これからすれば、テングハギの突起は、成熟の度合を示すものとは言えそうです。
 テングハギの仲間は、英語名をunicornfishといいます。「一角獣(ユニコーン)魚」という意味ですね。頭に一本の角があるという、伝説の獣にちなんでいます。日本名の「天狗」と共通した雰囲気なのは、面白いですね。どちらも伝説の存在です。
 強そうな外見に反して、テングハギは、おとなしい魚です。海藻を主に食べるようです。このため、モズクの漁場を荒らすといわれることがあります。これには、確定的な証拠はありません。南の海では平凡な魚なのに、はっきりと生態がわかってはいません。
 テングハギは、ダイバーに人気があります。ユーモラスな姿のためですね。サンゴ礁の海でダイビングする機会があったら、実物の彼らを見てみたいです。


 過去の記事でも、サンゴ礁の海に棲む生き物を、いろいろ取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
サンゴ礁の海を守るナマコ(2006/7/22)
クマノミの親子関係(2005/10/31)
ニモのお父さんはお母さんだった?(2005/10/20)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、テングハギが掲載されています。
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2007年6月21日

ハリセンボン






和名:ハリセンボン
学名:Diodon holocanthus
 潮溜まりで優雅に泳ぐハリセンボン。

※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

沖縄 読谷村 【2007.05.18】


2007年6月12日

希少なサメ(鮫)、メガマウスの撮影に成功




 静岡県から、びっくりニュースが届きました。東伊豆町の沖の海に、メガマウスという巨大なサメが現われました。
 メガマウスは、たいへん珍しいサメです。これまで、世界で三十八例しか見つけられていません。今回が三十九例目です。日本では、十一例目だそうです。
 メガ(=大きい)マウス(=口)という名のとおり、とても大きい口のサメです。体自体も大きいです。今回見つかった個体は、体長4.5mもあったそうです。
 体や口が大きくても、メガマウスは、おとなしいサメです。大きな口を開けて、プランクトンを食べています。こんなに大きいのに、発見例が少ないのは、普段は深海にいるためらしいです。たまたま、浅いところに浮上した時に、目撃されるようです。
 東伊豆町のメガマウスは、定置網に入ったところを発見されました。連絡を受けて、静岡県の下田市にある下田海中水族館の人が、調査に行きました。
 メガマウスは、元気に網の中を泳いでいたそうです。これは非常に珍しいことです。ヒトに発見されるメガマウスは、たいてい弱った状態だからです。
 今回は、元気に泳ぐメガマウスの動画が撮影できました。このような映像が撮れたのは、なんと世界で二例目だそうです。この映像によって、メガマウスの謎が、少しでも解けたら、嬉しいですね。
 定置網のメガマウスは、標識を付けられて、放流されました。こんなに大きいサメを、飼育できる施設がないからです。
 正確に言えば、ないことはありません。けれども、生態のわからない巨大なサメを、長く飼うのは難しいことです。輸送も困難ですね。水族館の人は、「貴重なサメを、下手に死なせてしまうより、野生で暮らさせてあげるほうがいい」と判断したのでしょう。
 日本近海には、比較的、メガマウスが多いようです。初めてメガマウスの雌(メス)が見つかったのは、日本でした。今回のメガマウスも、雌です。放された「彼女」は、今も日本近海を、悠々と泳いでいるでしょうか。


 定置網に入ったメガマウスのニュースは、以下のページにあります。
 「メガマウスザメ撮った 東伊豆沖(静岡新聞)

  過去の記事でも、サメの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 人食いザメより、サメ食い人のほうが多い?(2007/5/31)
 定置網に『ウバザメ』!! 茨城県日立沖(2007/4/25)
 ラブカはなぜ「生きている化石」か?(2007/1/27)
などです。

 下田海中水族館 飼育日誌
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2007年5月31日

人食いザメより、サメ食い人のほうが多い?【ワシントン条約締結国会議6月3日~15日】




 二〇〇七年の六月三日から、十五日まで、ワシントン条約の会議が行なわれます。場所は、オランダのハーグです。ワシントン条約締結国会議としては、十四回目になります。
 日本も、ワシントン条約の締結国の一つです。今回の会議にも、もちろん出席します。会議では、日本が主導的な立場を取ることを期待したいですね。日本は、たくさんの生き物や、その派生物を輸入しているからです。
 会期中には、多くの議題が議論される予定です。今回は、漁業規制について、多くのことが取り上げられるのでは、といわれます。例えば、今回の会議では、サメの規制が話し合われる予定です。
 普通の人は、「サメの数が減っている」なんて、思いもしないでしょう。普段、「サメを食べている」という意識がある人は、少ないからです。
 世界では、大量のサメが、食用に漁獲されています。日本近海でも、たくさん捕られています。例えば、日本の東北地方では、モウカザメと呼ばれるサメが、よく食べられます。モウカザメという名は方言名で、標準和名はネズミザメというサメです。
 今回の会議で、ネズミザメに近縁なニシネズミザメの取引規制が、議題に上げられています。また、アブラツノザメというサメの規制も、議題に上げられています。
 アブラツノザメも、日本近海で捕られています。そのまま食べたり、練り製品の材料にされたりします。肝油【かんゆ】の原料としても、重要です。世界的に見ると、英国の有名な食べ物、フィッシュ・アンド・チップスの材料にされることが多いです。
 サメといえば、人食いザメを連想する人もいるでしょう。実際には、「サメを食べる人」のほうが、はるかに多いです。このために、獲られ過ぎて、絶滅しそうなサメがいるわけです。サメよりも、ヒトのほうがずっと強いですね。
 私たちは、自分たちが、とても強力な生き物であることを、忘れてはいけないと思います。強力なものは、気づかないうちに、弱いものを虐待しがちです。強力なぶん、私たちは、他の生き物を尊重する義務がある、と考えるべきでしょう。


 以下のページに、今回のワシントン条約会議について、詳しい情報があります。規制が提案されている種の一覧も、載っています。
 第14回ワシントン条約締結国会議(トラフィック・イーストアジア・ジャパン 2007/05/24)
 ワシントン条約附属書改正提案一覧(トラフィック・イーストアジア・ジャパン 2007/05/30)
 ワシントン条約会議にむけ、保全すべき10の生物を発表(WWFジャパン 2007/05/16)


 過去の記事でも、ワシントン条約会議の議題になっている生き物を取り上げています。宝石サンゴと、ヨーロッパウナギです。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 宝石のサンゴはサンゴ礁のサンゴか?(2007/3/5)
 ウナギの繁殖の謎は解けたか?(2006/7/21)



図鑑↓↓↓↓↓には、オグロメジロザメ、ネムリブカなどのサメやウナギや、サンゴの仲間が掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net
ぜひご利用下さい。

2007年5月27日

ミナミトビハゼ

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和名:ミナミトビハゼ 
学名:Periophthalmus argentilineatus
 ミナミトビハゼの周りにいるのは、オキナワハクセンシオマネキ【学名:Uca lactea perplexa 】です。トビハゼは、愛嬌がありますね。

※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

沖縄 東村 【2007.05.18】


2007年5月22日

えっ シーラカンスを捕まえた?!



 生きた化石といわれているシーラカンスを、インドネシアの漁師が捕獲したそうです。 驚きのニュースですね。

 そのシーラカンスのニュースは、以下のページにあります。ご覧ください。
 インドネシア沖で漁師がシーラカンスを捕獲(2007/05/21  世界日報)
 

 シーラカンスについての過去の記事は、以下にあります。
 シーラカンスの動画撮影に成功! その後は?(2007/01/20)
 シーラカンス(2006/12/26)
 シーラカンスはなぜ「生きている化石」か?(2006/6/1)

 そのほかのシーラカンスに関するニュースは、以下のページにあります。
 アクアマリンが2度目のシーラカンス撮影(福島放送) (2006/12/23)

2007年4月25日

定置網に『ウバザメ』!!  茨城県日立沖

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 毎日肌寒い日が続きますが、皆さんはお元気でお過ごしですか?
 さて、また珍しい生物が定置網に混獲されたという報道がありました。体長約8.6メートル、体重4.6トンの巨大サメです。『ウバザメ』という『ジンベイザメ』の次に大きくなるサメです。残念ながらその『ウバザメ』は亡くなってしまいましたがアクアワールド茨城県大洗水族館で、骨格標本などにする予定だそうです。
 40年ほど前はたくさんの『ウバザメ』が定置網にかかったそうでうが、最近はあまり見かけなかったそうです。しかもこんな巨大な個体が見つかったのですからびっくりですね。続報を楽しみに待ちましょう。


 『ウバザメ』のニュースは以下の通りです。
 ウバザメ:日立沖に“珍客” 定置網にかかる /茨城(毎日新聞 2007/04/25)
 体長9メートルのウバザメ水揚げ 茨城・日立の漁港に(神戸新聞 2007/04/25)

 アクアワールド茨城県大洗水族館→トップページの最新トピック速報版
 日本最大級ウバザメ混獲についてもご覧ください。

2007年4月21日

深海生物が好きな人、集まれ! 相模湾【さがみわん】の生物展覧会

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 東京・上野の国立科学博物館で、特別展『花』が開かれています。昨日御案内しましたね。(花のことがいろいろわかる、展覧会『『花 FLOWER ~太古の花から青いバラまで~』』) 科学博物館で、もう一つ、とても面白い展覧会が開かれています。
 それは、「相模湾の生物 きのう・きょう・あす」です。神奈川県沿いの海、相模湾の生物を紹介しています。私は観てきました。
 深海生物ファンなら、「相模湾」という名に、聞き覚えがあるはずです。相模湾は、世界でも有数の、深海生物の宝庫ですね。
 この展覧会は、深海生物ファンには必見です。相模湾の深海生物の動画が観られます。一般家庭では望むべくもない大画面で、です。有櫛動物【ゆうしつどうぶつ】のチョウクラゲの仲間が泳ぐ姿や、カニの一種のエゾイバラガニが夫婦(つがい)でいる様子が、写されています。
 チョウクラゲの仲間は、普通の人ではめったに会えない生き物です。蝶(チョウ)という名のとおり、透明な体で、羽ばたくように泳ぎます。優雅なその動きを見ていると、神秘的な気分になります。
 エゾイバラガニのつがいは、なんと、雄(オス)が雌(メス)を持ち運びます。他の雄に、雌を取られないためのようです。大きな雄が、小柄な雌を鋏【はさみ】でつかみ上げる様子は、滑稽【こっけい】で笑ってしまいます。
 他にも、貴重な展示物がたくさんあります。私のお勧めは、クモヒトデの仲間、テヅルモヅルの標本です。樹木のように細かく枝分かれした腕が、よく保存されています。
 もう一つのお勧めは、コトクラゲの標本です。コトクラゲは、日本でこれまでに三例しか報告がない、たいへん珍しい生物です。チョウクラゲと同じ有櫛動物の一種です。
 この展覧会は、地味ですが、マニアにはたまりません(笑) 一見、冴えない標本が、世界的に貴重なものであることが多いです。あまり宣伝されていないためか、会場は空いています。ぜひ、会場で、「深海生物ひとり占め」気分を味わって下さい。


 過去の記事でも、深海生物を取り上げています。また、有櫛動物【ゆうしつどうぶつ】のツノクラゲも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ホタルイカはなぜ光る?(2007/4/12)
 ラブカはなぜ「生きている化石」か?(2007/1/27)
 クラゲと付いてもクラゲでない? ツノクラゲ(2006/7/29)
 

2007年4月10日

魚が消えた!

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 2007年01月22日(月)より01月26日(金)まで、日本の神戸国際会議場で、アメリカ、オーストラリアなどの国際機関が集結し、マグロについての諸問題について考える会合が開かれましたね。この会合のことは以前こちらのブログでもお伝えしました。

 さて、 その後の最新情報をお伝えします。WWFの最新活動情報、ナショナルジオグラフィックの特集で、マグロのことが伝えられています。以下のリンク先を、是非ご覧ください。
 

 EUは地中海クロマグロの自主的な資源の保全を!(2007/04/04 WWFジャパン)
 特集:地球の悲鳴 魚が消えた海『マグロの危機を検証』(ナショナルジオグラフィック 2007/04号 大特集トピック)
 特集:地球の悲鳴 魚が消えた海『マグロをつくる-日本の漁業』(ナショナルジオグラフィック 2007/04号 大特集トピック)
 
 過去の記事もあわせて御覧下さい。
 マグロ(鮪)は温血魚?(2006/10/18)
 日本が消費するまぐろは、(2006/01/10)

 まぐろに関する最新のニュースやトピックなどは、以下のページにあります。
 マグロ類地域漁業管理機関(RFMOs)合同会合の開催のプレスリリース(水産庁) (2006/12/25)
 マグロについて:マグロをめぐる問題(WWFジャパン)

2007年4月 2日

魚と持ちつ持たれつ? イシガイ科の二枚貝たち

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 先日のコラムで、貝に産卵するタナゴの仲間を紹介しましたね。〔貝に卵を産む? 不思議な魚たち〕 今回は、産卵されるほうの貝(産卵母貝)を紹介しましょう。
 前のコラムに書いたとおり、産卵されるのは、イシガイ科の二枚貝です。イシガイ科の貝は、みな淡水に棲みます。日本には、十五種ほどが分布します。有名な種としては、イシガイ、カラスガイ、ドブガイ、マツカサガイなどがいます。
 イシガイ科の種は、どれも、黒っぽくて地味です。外見は、似た種が多いです。普通の人には、種の区別をしにくいですね。淡水の二枚貝は、全部「カラスガイ」だと思う方もいるようです。一般に「カラスガイ」と呼ばれる貝には、正式種名カラスガイ以外の種が、よく混じっています。注意が必要ですね。
 貝の体のどこに、タナゴ類が卵を産むのでしょう? 鰓【えら】です。ヒトでいえば、肺に当たる呼吸器官ですね。そんなところに産卵されて、苦しくないのかと心配になります。毎年、無事に子魚が育つところを見ると、致命的ではないのでしょう。
 じつは、貝のほうは貝のほうで、魚を利用しています。イシガイ科の貝たち自身も、子ども時代に、魚のお世話になっています。
 イシガイ科の子ども(幼生)は、グロキディウム幼生といいます。グロキディウム幼生は、貝類でも、イシガイ科だけに見られる幼生です。この幼生は、オイカワや、ヨシノボリ類などの淡水魚に寄生します。ひれにくっついて、そこから栄養をもらって、暮らします。魚にしてみれば、不愉快でしょう。ヒトにとってのシラミのようなものです。
 以前、イシガイ科のグロキディウム幼生は、タナゴ類に寄生すると思われていました。お互いに、子ども時代を保護し合う関係だと考えられたのです。ところが、違いました。イシガイ科の幼生は、タナゴ類とは全く別種の魚たちに、寄生します。
 タナゴ類が生きるには、イシガイ科の貝が必要です。イシガイ科の貝が生きるには、タナゴ類とは別の魚が必要です。一つの生き物を守るには、他のいろいろな生き物も、守らなければいけないのですね。生態系をまるごと保護する大切さを感じます。


 過去の記事でも、淡水や汽水に棲む二枚貝を取り上げています。また、貝に産卵する魚たちも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 貝に卵を産む? 不思議な魚たち(2007/03/30)
 牡蠣(カキ)はなぜ寒い時期が旬か?(2006/2/4)
  この投稿のほかにも、貝に関するコラム、Q&Aなど盛りだくさんです。過去の記事は各カテゴリーよりどうぞご覧ください。


図鑑↓↓↓↓↓には、
イシガイ、カラスガイ、ドブガイ、マツカサガイが掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-
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2007年3月30日

貝に卵を産む? 不思議な魚たち

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 水ぬるむ春ですね。春が来るのは、地上だけではありません。水の中にもやってきます。
 春の水中では、多くの生き物が、繁殖期を迎えます。日本の淡水では、タナゴの仲間などが、繁殖期になりますね。(秋に繁殖するタナゴ類もいます)
 タナゴとは、コイ目コイ科タナゴ亜科に属する魚たちです。日本には、十六種ほどが分布します。タナゴ亜科の中に、タナゴという種もいます。ややこしいですね。おおむね、フナを小さくしたような姿をしています。日本の淡水魚では、平凡なグループでした。
 『でした』というのは、このグループの多くが、絶滅の危機に瀕しているからです。淡水という環境は、人間の都合により、改変されやすいのですね。このため、タナゴたちのすみかが、奪われています。日本にいる種のうち、八種以上が、環境省のレッドリストに挙がっています。半分以上の種が危ない、ということですね。
 タナゴの仲間が、特に数を減らしたのには、理由があります。彼らの繁殖方法が、特異だからです。彼らは、なんと、水中の二枚貝に、卵を産みつけます。
 日本の淡水には、イシガイ科の二枚貝が棲みます。イシガイ、カラスガイ、ドブガイ、マツカサガイなどです。これらの貝が、タナゴ類の産卵場になります。種によって、好みの貝があるようです。例えば、ミヤコタナゴは、主にマツカサガイに産卵します。
 タナゴの仲間は、なぜ、貝に産卵するのでしょう? おそらく、安全のためです。
 卵は、身を守る術を持ちません。その時期に、貝の殻の中で守ってもらえば、安全ですね。貝にとっては、きっと迷惑でしょう。体内に卵を産まれるのですから。
 この習性のため、タナゴの仲間は、二枚貝がいなければ、繁殖できません。タナゴ類だけを保護しても、意味がないのです。貝が健全に棲める環境でなければ、タナゴたちも棲めません。子どもを育てる家がなかったら、ヒトも困りますよね。魚も同じです。
 前記のとおり、タナゴ類は、多くが保護の対象です。けれども、中には、捕獲や飼育が許可されている種もあります。それらの種を飼う機会があれば、ぜひ、繁殖に挑戦してみて下さい。彼らの不思議な習性は、体験してみる価値があります。


 過去の記事でも、日本に分布する淡水魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 秋に美味しい鰍【かじか】(2006/11/13)
 しゃべるナマズがいる?(2006/8/11)
 などです。この投稿のほかにも、淡水魚や魚に関するコラム、Q&A、画像など盛りだくさんです。過去の記事は各カテゴリーよりどうぞご覧ください。
図鑑↓↓↓↓↓には、
タイリクバラタナゴ、ニッポンバラタナゴ、タナゴ、ミヤコタナゴ、タナゴ類が産卵するイシガイ、カラスガイ、ドブガイ、マツカサガイが掲載されています。
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ぜひご利用下さい。

2007年2月28日

Castle lakeの魚釣り

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 このおじ様は、真っ暗な時間から魚釣りをしていました。

※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

アメリカ ノース・カルフォルニア【2007.01.19】

2007年2月 2日

新しい名前で出ています――魚類の改名



 先日、日本魚類学会から、「差別語を含む魚の標準和名を改名する」という発表がありましたね。ここのブログでもお伝えしました。差別語を含む生き物の名は、改名すべき?(2007/1/9))
 このたび、その改名がなされたという報道がありました。詳細は以下の通りです。
 差別的語を含む標準和名の改名とお願い(2007/2/01 日本魚類学会)


 結局、32種の魚が改名されました。
 変えられたのは、種名だけではありません。属名や科名など、分類単位の名も、一部が改名されました。やはり、差別語を含む名があったからです。
 改名された魚の、種名などの一覧は、以下のページにあります。
 日本産魚類の差別的標準和名の改名最終勧告(2007/2/01 日本魚類学会)

 今回の改名に当たっては、学会の内外から、多様な反応があったそうです。賛成する意見ばかりではなく、反対する意見も多かったようです。
 日本魚類学会では、内外から寄せられたさまざまな意見を、ウェブサイトで公開しています。このように、公に議論をすることは、とても大切ですね。
 学会員からの意見に対する回答(日本魚類学会)
 会員以外の方から寄せられたご意見等への考え方(日本魚類学会)

鰯(イワシ)の頭も信心から?

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 かつて、日本の節分には、「イワシの頭を戸口に挿す」風習がありました。今では、ほぼ絶滅した風習ですね。今、そんなことをしたら、臭くて近所迷惑といわれるでしょう。
 その臭さこそが、イワシが節分に使われた理由です。昔の日本では、魔除けとして、臭いものが使われることがありました。魔物は悪臭を嫌うと信じられたからです。節分の夜は、魔物が出歩くという俗信があったため、魔除けを戸口に挿しました。
 イワシが魔除けにされたのには、「庶民が手軽に使えるものだから」という理由もあったでしょう。イワシの仲間は、日本の沿岸の海にたくさん棲みます。大量に漁獲されるため、安価でした。庶民の食べ物だったのですね。
 身近なわりに、イワシについては知られていません。じつは、「イワシ」という種の魚はいません。普通、「イワシ」と呼ばれるのは、マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシの三種です。マイワシとウルメイワシは、ニシン目ニシン科に属します。カタクチイワシは、ニシン目カタクチイワシ科に属します。カタクチイワシだけ遠縁ですね。類縁とは関係なく、外見の似た種が、まとめて「イワシ」と呼ばれました。
 どの種のイワシも、水族館ではめったに見ませんね。それは、イワシの仲間が飼いにくいからです。イワシの体は、ちょっとしたことでも傷つきやすいです。そうなれば、イワシは、すぐ死んでしまいます。
 イワシの仲間は、みな大群を作って暮らします。このために、いっぺんに大量に漁獲できます。彼らが群れを作るのは、弱いからです。
 彼らには、たくさんの敵がいます。マグロの仲間、サメの仲間、イルカ・クジラの仲間などです。海に棲む大型の肉食生物のほとんどは、イワシを食べます。
 海の肉食生物の生活は、イワシが支えているのですね。ヒトだけでなく、他の生き物にとっても、イワシは大切な食料です。もしもイワシがいなくなったら、海の生き物は、壊滅的な打撃を受けるでしょう。人間だけが、独占していい魚ではありません。
 海の恵みを支えると考えれば、イワシを信心するのも、間違いとはいえませんね。


 過去の記事で、イワシについて取り上げたものがあります。以下の記事も御覧下さい。


魚類についての質問です。(2005/9/24)
Clupeidaeについて教えてください。(2005/9/22)
アンチョビーについて調べています。教えてください。(2005/9/10)

2007年2月 1日

マグロについての会議の結果は?

 2007年01月22日(月)~01月26日(金)まで、日本の神戸国際会議場で、アメリカ、オーストラリアなどの国際機関が集結し、マグロの諸問題について考える会合が開かれました。また、1月29日からは、マグロ資源の国際管理機関「大西洋まぐろ類保存国際委員会」(ICCAT)の中間会合が行われていました。
 その結果についての詳細は以下の通りです。
 マグロ類地域漁業管理機関(RFMOs)合同会合の結果についてのプレスリリース(水産庁) (2007/02/01)
 違法漁船廃絶へ連携 神戸マグロ会議が閉幕 (2007/01/27 神戸新聞)
 クロマグロ漁獲枠 日本は3年後23%減 保存国際委が決定 (2007/02/01 北海道新聞)

 マグロについての諸問題については、過去の記事でもお伝えしています。以下の記事も御覧下さい。
 マグロ類地域漁業管理機関(RFMOs)合同会合の開催 (2007/01/23)
 マグロ(鮪)は温血魚?(2006/10/18)
 日本が消費するまぐろは (2006/01/10)

 マグロに関する最新のニュースやトピックなどは、以下のページにあります。
 マグロ資源管理のための国際機関の会合、閉幕 (2007/01/31 WWFジャパン)
 マグロについて:マグロをめぐる問題(WWFジャパン)

2007年1月27日

ラブカはなぜ「生きている化石」か?

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 先日、静岡県の駿河湾で、深海ザメの「ラブカ」が見つかりましたね。沼津市のあわしまマリンパークにより、生きた姿が動画撮影されました。
 以前から、駿河湾にラブカが棲むことは知られていました。駿河湾は、岸近くにもかかわらず、たいへん深い海です。世界有数の、深海魚の宝庫です。
 ラブカは、時おり、サクラエビ漁の網にかかることがあります。サクラエビは、駿河湾の名産品ですね。水深200mほどの深海に棲みます。一緒に網に入ることからすると、サクラエビと同様、ラブカも、浅海と深海とを行き来しているのかも知れません。
 今回のラブカは、漁の網に入ったのではありません。偶然、発見されたようです。
 発見されたのは、西伊豆の海域です。この海域では、深海から、急に上昇する流れが起きやすいです。今回のラブカは、このような流れに巻き込まれたのかも知れません。
 ラブカは、生きている化石と呼ばれます。原始的な特徴を残しているからです。いったい、ラブカのどこが原始的なのでしょうか?
 一番わかりやすいのは、口です。普通のサメは、口が体の下側に付いていますね。けれども、ラブカの口は、体の一番前、先端に付いています。普通の魚みたいですね。サメとしては、これが、原始的な特徴です。
 普通のサメは、なぜ、体の下側に口があるのでしょう? じつは、鼻が発達したためです。普通のサメの鼻は、尖っていますね。あの中には、匂いを感じる細胞が、いっぱい詰まっています。その細胞の場所を確保するために、口は、鼻のそばに位置できなくなりました。結果として、体の下側に追いやられたのですね。
 ラブカが深海魚であることは、原始的であることと、関わりがあります。棲みやすい浅海は、進化したサメたちに奪われてしまいました。ラブカは、棲みにくい深海へ逃げ込んで、生き長らえました。シーラカンスなども、ラブカと同じパターンです。
 原始的なものは、進化したものに追われて、棲みにくい場所に棲むことが多いです。このために、深海には、不思議な生き物がたくさんいるのですね。



 過去の記事でも、深海に棲む生き物を取り上げています。また、ラブカと同じサメの仲間も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 シーラカンスの動画撮影に成功! その後は?(2007/1/20)
 脚があるのに歩かない? サクラエビ(2006/3/27)
 関連記事は以下の通り
 あわしまマリンパーク、珍しい深海ザメの撮影に成功(2007/01/24)
 

2007年1月24日

あわしまマリンパーク、珍しい深海ザメの撮影に成功

 深海にすむ生きた化石といわれる深海ザメの撮影に成功したというニュースが報道されました。
 報道の詳細は以下の通りです。
 あわしまマリンパーク、珍しい深海ザメの撮影に成功【画像】(2007/01/24 ロイター)
 あわしまマリンパーク、珍しい深海ザメの撮影に成功【ニュース本文】(2007/01/24 ロイター)


 撮影が行われた「あわしまマリンパーク」は、以下のページにあります。動画も公開されています。ありがたいですね。
 あわしまマリンパーク【トップページ】
 緊急特集!『生きた化石 深海の鮫ラブカ』(あわしまマリンパーク)


 この深海鮫ラブカと同様に、生きた化石といわれているシーラカンス関する記事は以下のページにあります。
 シーラカンスについての過去の記事は、以下にあります。
 シーラカンスの動画撮影に成功! その後は?(2007/01/20)
 シーラカンス(2006/12/26)
 シーラカンスはなぜ「生きている化石」か?(2006/6/1)

シーラカンスに関するニュースは、以下のページにあります。
 アクアマリンが2度目のシーラカンス撮影(福島放送) (2006/12/23)

2007年1月23日

マグロ類地域漁業管理機関(RFMOs)合同会合の開催

 2007年01月22日(月)より、日本の神戸国際会議場で、アメリカ、オーストラリアなどの国際機関が集結し、マグロについての諸問題を考える会合が開かれています。この会合は01月26日(金)まで、5日間の予定です。

 マグロについては、過去の記事でもお伝えしています。以下の記事も御覧下さい。
 マグロ(鮪)は温血魚?(2006/10/18)
 日本が消費するまぐろは、(2006/01/10)

 マグロに関する最新のニュースやトピックなどは、以下のページにあります。
 マグロ類地域漁業管理機関(RFMOs)合同会合の開催のプレスリリース(水産庁) (2006/12/25)
 マグロ消費海外で拡大、「刺し身」年9万2000トン (2007年01月23日 読売新聞)
 マグロについて:マグロをめぐる問題(WWFジャパン)

2007年1月20日

シーラカンスの動画撮影に成功! その後は?

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 二〇〇六年の五月に、「スラウェシ島(インドネシア)で、日本の調査チームが、シーラカンスの生きている姿を撮影した」というニュースがありましたね。この時、撮影されたシーラカンスはどうなったのでしょうか? 捕獲されたのでしょうか?
 結論を先に書くと、捕獲されていません。この時の調査は、捕獲が目的ではなかったようです。シーラカンスの捕獲は、めったなことでは、許可されません。貴重な魚だからです。自然に暮らす姿を、映像におさめるのが目的だったのでしょう。
 生態を動画撮影したこと自体、たいへんな成果です。生きたシーラカンスの自然な姿は、ほとんど知られていないからです。
 今、この調査の成果を、日本の水族館で見ることができます。場所は、福島県にある、アクアマリンふくしまです。この水族館が、前記の調査を主導しました。ここで、『ザ・シーラカンス』という企画展を開催中です【特別企画展『ザ・シーラカンス』。例の動画も、大画面で見られます。
 シーラカンスの動画は、最近、いくつか撮られています。嬉しいことですね。けれども、生々しい映像のせいか、誤解が広まっているようです。「インドネシアの海でダイビングすれば、シーラカンスに会える」という誤解です。
 ダイビングで、シーラカンスに会うことは、まずありません。シーラカンスは深海魚です。ヒトが泳げる範囲に来るのは、「事故」といっていいです。隕石に当たるくらいの確率だと思って下さい。
 ダイビングで会えなくても、水族館で鮮明な映像が見られるのは、ありがたいですね。アクアマリンふくしまは、二〇〇七年以降も、シーラカンスの調査を続けるそうです。いつか、日本の水族館で、生きたシーラカンスに会えるかも知れません。


 シーラカンスについての過去の記事は、以下にあります。
 シーラカンス(2006/12/26)
 シーラカンスはなぜ「生きている化石」か?(2006/6/1)

 シーラカンスに関するニュースは、以下のページにあります。
 アクアマリンが2度目のシーラカンス撮影(福島放送) (2006/12/23)

2007年1月19日

ハマチはブリの子か?

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 冬の味覚として有名なものに、ブリがありますね。寒鰤【かんぶり】という呼び名があるくらいです。西日本や北陸では、お正月の食材として人気があります。
 最近、魚屋に出回るブリは、養殖ものが多いですね。養殖ブリは、ハマチと呼ばれることがあります。けれども、ハマチとは、本来、養殖ブリを指す名ではありませんでした。
 ブリが出世魚【しゅっせうお】であることは、御存知の方が多いでしょう。出世魚とは、成長段階によって、呼び名が変わる魚のことです。ハマチとは、ブリの成長段階の一つを指す名です。養殖したブリを、「ハマチ」の成長段階で出荷することが多いために、養殖ブリをハマチと呼ぶようになりました。
 ブリの呼び名は、地方により、たいへん差があります。どの成長段階をどの名で呼ぶのか、地方によって違います。昔から、日本各地で、ブリが好まれた証拠ですね。地方色豊かな呼び名は、文化の豊かさを表わします。混乱を招くこともありますが。
 例えば、大阪方面では、ブリの成長段階につれ、ツバス、ハマチ、メジロ、ブリと呼び分けます。成長しきったものが「ブリ」ですね。これが高知方面ですと、モジャコ、ワカナ、ハマチ、メジロ、ブリとなるようです。ブリの中でも特に大きいものを、オオイナと呼ぶこともあるそうです。富山方面では、ツバエソ、フクラギ、ブリ、オオブリなどと呼ばれます。東京方面では、ワカシ、イナダ、ワラサ、ブリですね。
 ブリの他には、スズキやボラなどが出世魚です。どの出世魚も、縁起が良いものとして喜ばれます。お正月や、お祝いの膳に使われます。
 多くの出世魚に共通するのは、沿岸の海に棲むことです。どの成長段階でも沿岸にいて、漁獲できるために、出世魚になったのでしょう。
 ブリも沿岸の魚です。ブリの体型は、マグロのような紡錘【ぼうすい】形ですね。マグロと同様、外洋でも立派に暮らせそうです。でも、ずっと沿岸にいます。沿岸の海のほうが、豊かだからでしょう。彼らは、日本列島に沿って回遊します。おかげで、私たち日本人は、ブリの恵みを受けてきました。日本の海の豊かさに感謝ですね。

2006年12月28日

ドンコという魚

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 ドンコという魚の、画像を探していますが、見つかりません。どうやって探せばいいですか?


 「ドンコ」と呼ばれる魚には、複数の種が入り混じっています。
 日本全国に通用する「標準和名」でドンコと呼ばれる魚と、特定の地方でしか通じない方言名でドンコと呼ばれる魚とが、ごちゃ混ぜになっているのですね。非常にややこしいです。
 ですから、単純に「ドンコ」で画像を探しても、ずばりお探しの魚が見つかる可能性は少ないでしょう。
 以下に「ドンコ」と呼ばれる魚の標準和名を列挙しておきます。参考にしてみて下さい。

●標準和名でドンコと呼ばれるもの:
  ドンコ(ドンコ科)
●方言名でドンコと呼ばれるもの:
  チチブ(ハゼ科)
  カジカ(ハゼ科)
  スジハゼ(ハゼ科)
  ゴクラクハゼ(ハゼ科)
  エゾイソアイナメ(チゴダラ科)
  イタチウオ(アシロ科)

2006年12月26日

シーラカンス

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 シーラカンスの画像が見たいのですが、「シーラカンス」で検索してもなかなか見つかりません。


 シーラカンスという呼び名は、絶滅種をも含めたシーラカンス類全部を呼ぶ通称です。現在生きている特定の種を指すものではありません。
 現在生きているシーラカンスの画像を探すなら、「Latimeria chalumnae ラティメリア・カルムナエ」という学名(国際的に通用する生物名)で探してみるといいでしょう。

学名については以下のページをご覧ください。
学名ってなんですか?(2005/09/30)

2006年11月13日

秋に美味しい鰍【かじか】

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 漢字で「鰍」と書く魚を御存知ですか? カジカと読みます。日本の淡水に棲む魚です。食べると美味しいです。秋から冬にかけてが旬なので、「鰍」だそうです。
 けれども、「カジカなんて食べたことがない」という方が多いでしょうね。そういう方でも、もしかしたら、気づかず食べているかも知れません。
 ゴリという魚を食べたことはありませんか? あるいは、オコゼやヤマノカミという魚を食べたことは? どれも、カジカの別名です。
 カジカは、とても別名が多い魚です。日本の各地で食用にされ、地方ごとに方言名が付けられたためです。おかげで、釣ったり食べたりしているのに、カジカの名を知らない人が多いですね。例えば、北陸の金沢で言う「ごり料理」は、カジカ料理のことです。漢字では、鮴【ごり】と書かれますね。
 ところが、ややこしいことに、ゴリ、オコゼ、ヤマノカミといった名は、他種の魚にも使われます。オコゼやヤマノカミの場合は、正式な種名がオコゼ、正式な種名がヤマノカミという魚がいます。ゴリについては、ハゼ科のマハゼやヨシノボリなどを、そう呼ぶこともあります。どの魚も、カジカとは全くの別種です。
 さらにややこしいことに、カジカと呼ばれる魚は、複数います。むろん、正式な種名をカジカという魚は、一種だけです。それ以外に、よく似た別種を、カジカと呼ぶことがあります。正式種名ヤマノカミ、正式種名アユカケなどの魚が、カジカと呼ばれます。
 カジカやゴリという名だけでは、それが正式には何という種なのか、わかりません。身近な魚でも、こんなふうに混乱している例があるのですね。
 他にも、カジカには、ややこしい問題があります。正式な種名をカジカと呼ばれる魚は、一種ではなく、複数の種に分けるべきだという意見があります。
 カジカの中には、明らかに、生態が違うグループが含まれます。それが種の違いによるのか、そうでないのか、研究者の間でも、意見が分かれています。
 カジカのように、現代科学でも、混乱していることはたくさんあります。でも、だからこそ面白いです。自分の手で混乱を治められるかも、と思えば、ロマンがありますよね。


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には、カジカは掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年10月18日

マグロ(鮪)は温血魚?

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 マグロは、日本で最も人気がある食用魚の一つですね。人気があり過ぎて、乱獲されているようです。このままでは、マグロが食べられなくなるかも知れません。
 それは嫌ですよね。どうすれば、マグロの数と日本の食文化と、両方を守れるでしょうか? まずは、マグロについて知ってみましょう。きっと、解答のヒントがあります。
 マグロというのは、一種の魚ではありません。スズキ目サバ科マグロ属に属する種の総称です。食用にされるのは、クロマグロ、ミナミマグロ、メバチマグロ、キハダマグロ、ビンナガマグロなどです。
 どの種のマグロでも、形は似ています。見事な紡錘【ぼうすい】形をしていますね。弾丸のような形、といえばおわかりでしょうか。これは、高速で泳ぐための適応です。
 マグロは、一生、高速で海中を泳ぎ続けます。そうしないと死んでしまいます。こうなったのは、マグロが、外洋に棲む魚だからです。
 海中で、最も生き物が多いのは、外洋ではなく、沿岸の海です。沿岸のほうが、食べ物が豊富だからです。沿岸の海に比べれば、外洋は砂漠のようなものです。そこで生きるには、特別な能力が必要ですね。乏しい食べ物を見つけ、確実に得る能力です。
 マグロは肉食魚です。他の魚などを捕食します。外洋で、少ない獲物を見つけるには、広い範囲を泳ぎ回らなければいけません。獲物を追って捕らえるには、高速が必要です。獲物を見逃さないように、目も大きく発達させました。だからマグロはぎょろ目です。
 高性能の泳ぎを維持するのは、大変です。いつでもエンジン全開で、筋肉が動かなければなりません。そのために、マグロは、周囲の水温よりも、体温を高くしています。高い体温を保つ器官として、彼らの体には、奇網【きもう】という組織があります。
 奇網を持つ魚類には、他に、ホホジロザメがいます。肉食魚として有名なサメですね。彼らも、高性能の泳ぎのために、奇網を持ちます。また、マグロに近縁なカツオも、奇網を持ちます。カツオも、高速で泳ぐ魚ですね。
 マグロとホホジロザメとは、遠縁です。が、同じ目的(速く泳ぐ)のために、同じ組織を発達させました。生き物はなんと巧妙なのだろうと、思わずにはいられません。


 2006年10月10日~13日の4日間、【Commission for the Conservation of Southern Bluefin Tuna(みなみまぐろ保存委員会)】の、年次会議が開かれました。
 以下のページなどで、会議の結果が報じられています。また、この会議のニュースもリンクいたしました。
 マグロの個体数を守ることと日本の食文化に関することですから、改めて考える良い機会です。ニュースはリンクが外れる可能性が大きいですが、どうぞ皆様お早めにご参照ください。
 ミナミマグロの漁獲枠が半減?CCSBT会議はじまる(2006年10月6日 WWFトピック)
 みなみまぐろ、日本の過剰漁獲が争点か(2006年10月5日 WWFトピック)
 ミナミマグロ:07年以降の漁獲枠削減 日本は半減(毎日新聞 2006年10月16日)

 過去の記事で、マグロと同じく奇網【きもう】を持つ魚類を紹介しています。以下の記事も御覧下さい。
 カツオ(鰹)は寒がり?(2006/4/28)
 ホオジロザメのことを調べています。(2006/10/03)
 ホオジロザメ(ホホジロザメ)は本当にヒトを食うか?(2005/11/25)

2006年10月 7日

ハコフグとハリセンボンは

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ハコフグとハリセンボンは、神奈川県の三浦半島のどの辺に生息していますか?教えてください!!!!

ある生き物が、どの地域のどの場所に生息しているのか、正確に知るのはとても難しいことです。それだけで、何年もかかる研究材料になるくらいです。
残念ながらこの御質問には答えられませんが、三浦半島の横須賀市にある「横須賀市自然・人文博物館」というところで調べられるかもしれません。ここの博物館は、横須賀市の自然、歴史、三浦半島の自然全般を扱っているからです。
 横須賀市自然・人文博物館」のHPは、以下のとおりです。
 横須賀市自然・人文博物館
ご興味あれば、一度訪ねて展示資料のガイドブックや資料などを調べてみてはいかがでしょうか?

2006年10月 3日

ホオジロザメのことを調べています。

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ホオジロザメのことを調べています。詳しく調べられるサイトを教えてくれませんか?

 ホオジロザメというのは、通称ですね。標準和名は「ホホジロザメ」といいます。
 ホホジロザメは、人食い鮫といわれることが多いですね。けれども、実際には、人を襲うことは稀です。
 ホホジロザメに関しては、以前こちらでも取り上げています。以下の記事を御参照下さい。
 ホオジロザメ(ホホジロザメ)は本当にヒトを食うか?

 また、以下のサイトに詳しく載っています。
 人食いザメ(国立科学博物館 魚類研究室 魚コラムシリーズ)
 サメ図鑑

2006年9月25日

サンマ(秋刀魚)はなぜ秋に捕れる?

 サンマは、日本の秋を代表する味覚ですね。誰もが知っている魚の一種です。秋になると、日本近海でサンマが捕れるようになります。なぜでしょう?
 答えは、「食べごろのサンマが、秋に日本近海を通るから」です。
 サンマは回遊魚です。生涯、同じ海域に留まることをしません。一年中、海の中を移動しています。卵の期間でさえ、海流に乗って移動しているようです。
 日本の近くに来たとしても、卵だったり、幼魚だったりしたのでは、食べごろとは言えませんね。適度に育ったサンマが、日本近海を通るのが、秋なのです。
 平凡な食用魚なのに、サンマの生態は、まだ、よくわかっていません。とても広い海域に分布することはわかっています。北半球の、温帯の太平洋全域に分布するようです。
 こんなに広く分布するのでは、調査するのがたいへんですね。ある一頭のサンマが、どこで生まれて、どこへ移動するのか、追跡するのは至難の技です。
 今のところ、サンマは、太平洋を反時計回りに回遊しているとされます。すべてのサンマが、太平洋全体を、ぐるりと回るのではありません。北西太平洋群、中央太平洋群、東部太平洋群など、いくつかの群れに分かれるようです。群れごとに、一定の海域を回遊すると考えられています。日本近海にいるのは、北西太平洋群です。
 北西太平洋のサンマは、黒潮の流れる海域で産卵します。おおむね西日本近海ですね。幼魚のうちは、この黒潮海域で育ちます。それから、黒潮に乗って北上します。これが春から夏にかけてですね。北の海のほうが餌が多いので、餌を求めて行くのでしょう。
 オホーツク海などの北の海で、サンマはたっぷり餌を食べます。そのために大きく成長します。脂も乗ります。秋になれば、サンマは暖かい海へと戻ります。脂の乗ったサンマが、日本列島に沿う形で南下します。そこを人間がいただくのですね。
 秋のサンマには、ドコサヘキサエン酸(DHA)や、エイコサペンタエン酸(EPA)などが豊富に含まれています。これらは、ヒトの体や脳に良い栄養素として有名ですね。まさに自然の恵みです。秋の食卓には、ぜひサンマを載せましょう。


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には、残念ながら、サンマは載っていませんが50種ほどの日本で見られる魚類が掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年9月16日

ワニに見えてもワニじゃない、ガーパイク

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 近年、外来生物について、騒がれることが多いですね。ガーパイクという魚も、外来生物です。本来は、北米から中米に分布します。日本にはいないはずでした。
 ガーパイクは、ガー、ガーフィッシュとも呼ばれます。ガーフィッシュというと、日本のサヨリやダツといった魚を指すこともあります。紛らわしいので、ここではガーパイクと呼びましょう。ガーパイクは、サヨリやダツの仲間ではありません。
 ガーパイクには、七種ほどが含まれます。どの種も、観賞魚として人気があります。美しいからではありません。生きている化石ともいえる古代魚だからです。
 ガーパイクの仲間は、恐竜と同じ時代に栄えました。その頃の原始的な特徴を、今に残します。わかりやすい特徴としては、鱗【うろこ】があります。彼らの鱗は、網目が体を覆っているように見えます。硬鱗【こうりん】と呼ばれる硬い鱗です。
 ガーパイクは、どの種もみな、口が長く尖っています。この口と、硬鱗のせいで、体を柔軟に曲げることができません。また、口と硬鱗は、彼らをワニに似せて見せます。
 加えて、彼らは大型になります。最小種といわれるショートノーズ・ガーでも、80cmくらいです。最大種のアリゲーター・ガーでは、3mにもなるといいます。
 ワニのような大型魚を、飼いきれなくなる人が多いのでしょう。日本の各地で、こっそり放されたらしいガーパイクが見つかっています。アリゲーター・ガーが多いですね。北海道、埼玉県、滋賀県、大阪府、熊本県などで捕獲例があります。
 前記の二種以外に、スポッテッド・ガー、ロングノーズ・ガーなど、複数の種が、日本に輸入されています。ガーパイクは、一部の種を除けば、熱帯魚ではありません。温帯に棲む魚です。ですから、日本の野外でも生き延びてしまいます。
 日本の池や川に、1mを越すような大型肉食魚が居着いたら、どんなに危険か、おわかりでしょう。ヒトに対してより、在来の野生生物に対して危険です。
 外来生物のペットを、全面的に否定はしません。ただ、予備知識もなく飼う人が、あまりにも多いです。無知なまま生き物を飼うのは、マナー違反ですね。


これまで、ここのブログでは、何種もの外来生物を取り上げています。以下のコラムも御参照下さい。

セアカゴケグモは猛毒グモ?
オオトカゲは危険生物?(2006/8/22)
妖怪の正体見たりウシガエル(2006/8/7)
飼う前によく考えましょう、カミツキガメとワニガメ(2006/4/5)
ミドリガメ(アカミミガメ)から病気がうつるのは本当?(2006/3/13)
など

2006年8月29日

東京湾の魚に関することを調べています

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東京湾の魚を調べているのでしたら、ちょうど最近出版されましたお勧めの本があります。


河野 博【こうの ひろし】監修、東京海洋大学魚類額研究室 編 2006年、『東京湾 魚の自然誌』、平凡社、本体価格2800円


 江戸時代から豊富な海産物を提供してきた東京湾の最新研究データを、様々な方向から紹介しています。単に、食文化だけではなく、魚の生活を通して『現代の東京湾』を探る本です。とても楽しく読める本だと思います。

2006年8月22日

ベタ(闘魚)について知りたいのですが

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 ベタ(闘魚)について知りたいので、飼っている方がいらしたら教えてください。家で飼い始めたベタは、飼ってから2週間後白かった体色が黒っぽくなりました。
 水槽の水は、常に清潔を保ちカルキ抜きもしているので問題は無いと思うのですが、病気でしょうか。
 簡単に飼えると聞いて何も知らずに飼ってしまったので知識がありません。よろしければ教えてください。

ベタは、たいへん丈夫な魚です。熱帯魚の中で、最も飼いやすい種といっていいくらいです。
最低限、温度や水質に気を使ってやれば、金魚と同じくらいの感覚で飼えます。

魚の体が白っぽくなる場合は、病気のことが多いです。けれども、黒っぽくなる病気は、あまりありません。
ベタのオスは、成熟すると非常に美しい色になります。その過程で、一時的に黒っぽくなっているのかも知れませんね。
元気で食欲もあるようなら、とりあえずは大丈夫だと思います。
熱帯魚に関しては、入門者用の飼育指南書が、いくつも出版されています。ちょっと大きい本屋さんに行けば、手に入ります。ぜひ、そういう本を入手して、読んで下さい。
いろいろ知ることは、面白いです。末永く元気に飼ってあげた方が、魚にとっても幸せです。

2006年8月15日

ビーチで写した、魚の名前を

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ニューカレドニアへ旅したときに、ビーチで写した、魚の名前を調べています。マルコバンとイトヒキアジをたして2で割ったような魚なのです。
 もし、思い当たる名前がありましたら、教えていただけませんか?

 魚は、とても種類が多いです。そのうえ、同じ種でも体色などの変異が多いです。実物標本があったとしても、種を同定するのは簡単ではありません。
 まして、写真もなく、言葉だけで種を同定するのは、不可能に近いです。写真があったとしても、同定するのは難しいですね。
 それでも、『ニューカレドニアの海に分布していて、マルコバンとイトヒキアジを足して二で割ったような魚』といいますと、いくつかの種が浮かびます。その魚は、おそらく、マルコバンやイトヒキアジが属するのと同じアジ科の魚でしょう。

 以下に、候補となるアジ科の魚を挙げます。

 標準和名:クボアジ
 学名:Atropus atropus
 全長:30cm
 特徴:イトヒキアジと同様体に横縞がある。背びれと尻びれの棘の一部が長く伸びている。体型はイトヒキアジほど前後に詰まっておらず、マルコバンに似ている。

 標準和名:ウマヅラアジ
 学名:Alectis indicus
 全長:50cm
 特徴:成魚になると全身銀色でマルコバンに似るが、マルコバンより角張った体型をしていて、背びれはマルコバンほど長く伸びない。幼魚のうちは前後に詰まった体型で横縞があり、背びれと尻びれの棘の一部が長く伸びるのでイトヒキアジに似る。

 標準和名:ヨロイアジ
 学名:Carangoides armatus
 全長:25cm
 特徴:体色は銀色。体型はマルコバンに似るが、もっと吻が長い。背びれと尻びれの一部が伸びる。雄は背びれと尻びれの棘の一部も伸びるので、マルコバンと区別しやすい。

 標準和名:リュウキュウヨロイアジ
 学名:Carangoides hedlandensis
 全長:25cm
 特徴:ヨロイアジにそっくりで、海中ではほとんど区別が付かない。

 標準和名:キイヒラアジ
 学名:Carangoides uii
 全長:20cm
 特徴:ヨロイアジにそっくりで、海中では区別が付けにくい。ただし、ヨロイアジの雄のように背びれと尻びれの棘の一部が長く伸びることはない。

 上記の魚ではない可能性も大です。図鑑などで、上記の魚の図と、ニューカレドニアで撮られた写真と、比べてみてはいかがでしょうか。

2006年8月11日

しゃべるナマズがいる?

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 魚は、普通、声を出さない生き物ですね。ところが、釣り上げたり、たもですくったりした魚が、「鳴く」ことがあります。彼らは、本当に、声を出しているのでしょうか?
 魚は、哺乳類や鳥類のように声を出すのではありません。体内の鰾【うきぶくろ】を震わせたり、鰭【ひれ】を体にこすりつけたりして、音を立てます。どんな魚でも、音を出せるわけではありません。特定の種だけが、「鳴く」ことができます。
 有名なのは、ギギとギバチですね。どちらも、日本の淡水に棲むナマズの仲間です。鰭をこすりつけて「鳴く」魚たちです。「鳴き声」は、ギーギーとか、ギュウギュウといった感じに聞こえます。ギギやギバチという種名は、これらの「声」から来ています。
 ギギやギバチは、なぜ「鳴く」のでしょう? おそらく、敵を脅すためです。
 ギギとギバチは、同じナマズ目ギギ科に属します。この仲間には、共通する特徴があります。背鰭【せびれ】と胸鰭【むなびれ】に、鋭い棘【とげ】を持つことです。この棘には毒があり、刺されるとたいへん痛いそうです。
 「鳴く」ことにより、彼らは、「手を出すと危険だぞ」と知らせます。釣った魚が鳴きだしたら、ヒトでもびっくりしますよね。気味悪がって、逃がしてくれるかも知れません。
 ギバチの脅し効果について、面白い説があります。江戸の本所【ほんじょ】七不思議の一つ、「置いてけ堀」の正体は、ギバチだというものです。
 置いてけ堀で魚を捕ると、誰もいないのに「置いてけ」という声がしたそうです。無視しても、声はしつこく付きまといます。結局、魚を置いていくことになります。この謎の声を、ギバチが出すというのですね(ギギは関東に分布しません)。江戸時代の暗い夜は不気味です。その中でなら、ギバチの出す音も、人の声に聞こえた、というわけです。
 個人的には、この説には無理がある気がします。けれども、完全に否定はできません。外国に、talking catfishと呼ばれる「鳴くナマズ」がいるからです。「しゃべるナマズ」という意味ですね。彼らも、ギギやギバチと同様の音を出します。それを「しゃべる」と表現したのは、外国でも、置いてけ堀のような伝説があったのかも知れませんね。

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には、ギギとギバチが掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年8月 3日

タイの名前の由来について

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タイの名前の由来について知りたいのですが、教えてくれませんか?

 古代の日本では、タイとは呼ばなかったようですね。平たい魚なので、おひら、平魚、と呼ばれていたようです。
 東京の魚市場では、現在でも、タイ類を平物【ひらもの】と呼ぶそうです。「タイ」の呼び名は、もとは朝鮮半島から移入されたようです。朝鮮半島の言葉がなまって、現在の「タイ」に落ち着いたと見られます。

2006年7月21日

ウナギの繁殖の謎は解けたか?

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 土用の丑の日【2006年は明後日の23日】といえば、ウナギですね。この日にウナギを食べる習慣は、江戸時代に作られました。けれども、「ウナギが夏痩せに効く」とは、奈良時代からいわれています。
 千二百年以上もお馴染みなのに、ウナギは、謎が多い魚です。産卵場所がわからないのは有名ですね。海で生まれるのに、わざわざ川に上る習性は、いまだに最大の謎です。
 日本に野生でいるウナギは、ニホンウナギとオオウナギです。普通、日本でウナギといえば、ニホンウナギを指します。食用にするのは、ニホンウナギのほうです。オオウナギは、食べられるとはいえ、あまり美味しくないそうです。日本の養殖ウナギの中には、ヨーロッパウナギやアメリカウナギもいます。
 ニホンウナギの産卵場所は、長い間謎でした。二十一世紀になって、やっと、産卵場所を絞り込むのに成功しました。日本のはるか南の、マリアナ諸島近海です。
 そんなに遠くから、ウナギの稚魚は、どうやって日本に来るのでしょう? これは、まだ判明していません。おそらく、海流に乗ってくると推測されています。
 それ以上に謎なのが、親ウナギが、どうやってそこまで戻るかです。戻るには、海流に逆らって泳がなければなりません。産卵場所までは何千kmもあります。いくらウナギが丈夫な魚でも、そんなに体力があるものでしょうか?
 このことから、「日本にいるウナギは、本来の生息場所からはぐれたものでは?」という意見があります。本当は別の地域に棲むはずのものが、間違って日本に来てしまった、ということです。その意見によれば、「日本のウナギは、産卵場所へ帰ろうとしても帰れず、子孫を残せないグループ」だそうです。
 産卵場所が絞り込めても、謎は尽きません。日本のウナギに限らず、野生ウナギの産卵場面は、誰も目撃していません。野生ウナギの卵も発見されていません。「ウナギの繁殖の謎を解いた」とは、言えない状況です。
 身近なのに謎だらけのウナギは、自然の神秘の象徴でしょう。見えざる自然の仕組みが、私たちに美味しいウナギを恵んでくれているのですね。

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2006年6月29日

ホンソメワケベラは、他の魚と共生しあっていますよね。

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 共生する生物の勉強をしています。ホンソメワケベラは、他の魚と共生しあっていますよね。そこでホンソメワケベラという魚のことを詳しく知りたいです。教えてください。

 ホンソメワケベラは、他の魚の体を掃除する魚として有名ですね。
 この魚は、ハタなどの大きな魚の体の表面や、鰓や口の中などをつつきます。そこに付いているごみや、寄生虫を食べるためです。
 他の魚にとっては、そうしてもらうと体がきれいになりますね。病気にならずにすみます。ですから、ホンソメワケベラが近づくと、掃除をしてくれと催促します。じっとして、鰓や口を広げるのが、催促のしるしです。
 時には、ホンソメワケベラに掃除をしてもらいたい魚が、列を作って順番を待っていることもあります。微笑ましい光景ですね。
 掃除をする習性から、ホンソメワケベラは「魚の掃除屋さん」・「魚のお医者さん」などと呼ばれます。ホンソメワケベラの英語名のcleaner fishというのも、「掃除をする魚」という意味です。
 ホンソメワケベラの基本的なデータを、以下に示しましょう。

 標準和名:ホンソメワケベラ
 学名:Labroides dimitiatus【ラブロイデス・ディミティアトゥス】
 英語名:cleaner fish【クリーナー・フィッシュ】
 分類:硬骨魚綱スズキ目ベラ亜目ベラ科
 体長(頭の先から尾びれの付け根まで):10cm
 分布:千葉県以南の日本近海、南部太平洋(ハワイなど)、インド洋
 生息域:浅い珊瑚礁のある海に生息します。

 ホンソメワケベラは、小さい頃はメスで、大きくなるとオスになる、という性転換を行ないます。この種に限らず、魚には性転換を行なう種が多いです。ホンソメワケベラが属するベラ科には、特に多く見られます。
 ホンソメワケベラは、一頭のオスが何頭かのメスをひきつれて、ハーレムと呼ばれる群れで暮らします。何かの理由でオスがいなくなると、ハーレム内で最も体の大きいメスが、オスに性転換します。そうして群れが維持されます。
 ホンソメワケベラ以外にも、他の魚を掃除する魚がいます。ホンソメワケベラに近縁なスミツキソメワケベラやソメワケベラなども、他の魚を掃除します。
 ホンソメワケベラがいると、他の魚が健康になりますね。そのために、水族館では、大きな魚と一緒にホンソメワケベラを飼っていることがあります。大きい水族館なら、たいがいいるでしょう。観に行ってみてはいかがでしょうか。

2006年6月 9日

日本を代表する美魚、アユ

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 アユ釣りの季節になりました。釣りの中でも、アユの友釣り【ともづり】は、とても人気がありますね。これは、アユが持つ独特の習性を利用しています。
 成熟したアユは、なわばりを持つ習性があります。彼らは、水中の石をなわばりとして守ります。これは食べ物を守っていることになります。彼らは、石に生えた藻を食べるからです。アユの体に香りがあるのは、藻の香りが移ったものです。
 友釣りでは、おとりのアユを、他のアユのなわばりに泳がせます。アユがおとりを追いかけるところを、針で引っかけて釣ります。
 友釣りはあまりに有名です。そのため、すべてのアユがなわばりを持つと思われがちですね。そうとは限りません。成熟しても、なわばりを持たないアユがたくさんいます。そのようなアユは、群れを作って暮らします。
 アユの外見や暮らし方には、個体差と地域差が激しいです。例えば、体の大きさは、体長10cmほどで成熟するものもいれば、30cmほどにまで成長するものもいます。また例えば、産卵期は、早いものは八月下旬に始まります。遅いものは年を越して、翌年の二月にまで渡ります。こんなに違うものが、同じ種だなんて不思議ですね。
 中でも、南西諸島に分布するものは、本土のものとの差が大きいです。このため、リュウキュウアユという亜種に分けられます。また、琵琶湖には、独特の特徴を持つ「コアユ」と呼ばれるものがいます。コアユは亜種にはされていないようです。
 昔は、地方ごとに特徴を持ったアユが分布していました。ところが、最近はそれが乱れています。環境破壊と、無差別な放流のためです。
 リュウキュウアユの場合、沖縄本島にいたものは、河川改修により絶滅しました。現在、沖縄本島にいるリュウキュウアユは、奄美大島から持ち込まれたものです。
 本土においても、各地土着のアユと、琵琶湖のコアユが交雑してしまいました。無差別にコアユを放流したためです。これは、生き物にとって大切な地域性を失わせることです。
 地域性をなくすのは、人間のためにもなりません。開発や放流には、慎重を期して欲しいですね。

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2006年6月 1日

シーラカンスはなぜ「生きている化石」か?

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 「生きている化石」と呼ばれる生物は、世界中にたくさんいます。なかで最も有名なのは、シーラカンスでしょう。先日、日本の調査隊が、生きている姿を動画撮影したというニュースがありましたね。インドネシアのスラウェシ島沿岸でのことです。
 シーラカンスが「生きている化石」とされるのは、原始的な形質を残しているからです。最もわかりやすいのは、鰭【ひれ】の形でしょう。手足のように見えますね。これは、鰭の付け根にまで骨があるからです。普通の魚は、鰭には骨がありません。
 鰭に骨があっても、そんなに良いことはなさそうです。なぜ、こんな鰭になったのかは不明です。一説では、「浅い水中で有利だからでは」といわれます。骨のある鰭で底を蹴れば、進みやすいですね。
 遠い昔、そのようにして浅い水中にいた魚から、両生類が進化したと考えられています。シーラカンスは、その頃の魚の姿を残しています。
 ただし、シーラカンスの仲間が、両生類の直接の祖先かどうかは、まだわかっていません。シーラカンスの仲間が栄えた当時には、同じような魚類が他にもいたからです。姿が似ている別の魚から、両生類が進化したのかも知れません。
 現在、シーラカンスの仲間は、二種しか見つかっていません。南アフリカ近海に棲むラティメリア・カルムナエ Latimeria chalumnaeと、インドネシア近海に棲むラティメリア・メナドエンシス Latimeria menadoensisです。これらの長たらしい名は、どちらもラテン語の学名です。正式な日本語名は付いていません。シーラカンスというのは通称です。
 二種のラティメリアは、深さ100m~200mほどの海に棲みます。もともとは浅い水中に適応したはずなのに、深海に棲んでいます。後から現われた魚類に追いやられたため、と考えられています。
 シーラカンスは、不器用なタイプなのですね。普通の魚のように、すいすいとは泳げません。すみかを深海へ変えることで、かろうじて生き残ってきたのでしょう。彼らのおかげで、私たちは、生物の歴史の秘密を垣間見ることができます。

2006年5月30日

ナマズ(鯰)は地震を予知するか?

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 先日、インドネシアのジャワ島で、大きな地震がありました。現在わかっているだけで、五千人を越える死者が出たようです。
 このような地震があると、「地震を予知できないのか?」という声が上がりますね。日本には、「ナマズが地震を予知する」という俗信があります。これは本当でしょうか?
 結論を先に書けば、「まだわかっていない」です。日本では、ナマズと地震との関係が、七十年ほども前から研究されているそうです。なのに、なかなか結果が出ません。実際に研究するとなると、難しい問題が山積みだからです。
 ナマズの行動を観察するには、長期間、ナマズを飼育する必要があります。飼育するには、ナマズの体の仕組みや、生態を知らなければなりませんね。野生生物の生態を知るのは、難しいことです。野生での生態を再現できるように飼うのは、もっと難しいことです。
 もし、ナマズが地震を予知するとしたら、なぜ、そんなことができるのでしょう? これは、「電気の異常を感知するからではないか」と推測されています。
 ナマズは電気に敏感です。ナマズの皮膚には、電気を感じる感覚器がたくさんあります。水は電気を通しやすいので、電気に敏感であることは、いろいろと有利です。ナマズは、周囲のちょっとした「電気環境」の違いを知って、食べ物を見つけるようです。この「電気感覚」が、地震の予知に使われるのかも知れません。
 地震の前には、地中で電気的変化が起こります。ナマズにしてみれば、普段と違う「電気環境」になるでしょう。何かがおかしいと感じて、異常行動を起こすかも知れません。
 ここまで書いてきたのは、日本のナマズについてです。全てのナマズの種に、前記のことが当てはまるわけではありません。ナマズ目に属する魚は、世界に二千種以上もいます。そんなに多くの種が、同じ「電気感覚」を持つはずはありませんよね。
 日本だけでも、十種ほどのナマズが分布します。地震研究に使われるのは、日本語で普通に「ナマズ」と呼ばれる種です。お馴染みの長いひげを持つ魚です。
 地震国である日本の「電気環境」は、彼らにとってはどんな感じなのでしょうね。


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には、ナマズ、ビワコオオナマズが載っています。ぜひご利用下さい。

2006年5月27日

ハリセンボンの名前の由来について

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ハリセンボンの名前の由来について知りたいのですが、教えてくれませんか?

 ハリセンボンの名の由来は、見た目どおり「針千本」です。
 実際には、ハリセンボンの針は500本程度だそうです。あの針は、鱗が変化したものだそうです。


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には、ヒトヅラハリセンボンが掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年5月18日

山女(ヤマメ)の名前の由来について

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山女(ヤマメ)の名前の由来について知りたいのですが、教えてくれませんか?

 生き物の名前の由来は、たいてい諸説があります。「これがそうだ」とはっきりわかっているほうが少ないです。ヤマメについても事情は同じです。以下に書くことは、あくまでも一つの説だと考えて下さい。
 ヤマメは、その姿の美しさを女性的とみなして山女、山女魚とした、とのことです。


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には、ヤマメが掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年5月 1日

房総では良く釣れる魚の花鯛(ハナダイ)は・・・

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 海釣りが趣味で、よく近くの房総へ出かけます。房総では良く釣れる魚の花鯛(ハナダイ)は、真鯛によく似た姿と形をしていて、青い斑点が体にあります。このハナダイには、正式名称は別にあるのでしょうか? またハナダイの特徴や生態などをお教えいただければうれしいです。


 じつは、日本には、あちこちに花鯛【はなだい】と呼ばれる魚がいます。地方により、どの種の魚を指すのかが違います。
 房総で花鯛【はなだい】と呼ばれるのは、標準和名でチダイという魚です。房総では、花鯛釣りは人気があるそうですね。専門にされる方も多いと聞きます。

 チダイの情報は、以下のとおりです。

 標準和名:チダイ
 学名:Evynnis japonica[エヴィンニス・ジャポニカ]
 分類:スズキ目スズキ亜目タイ科
 分布:日本近海では北海道以南の海。朝鮮半島南部、台湾、フィリピン、南シナ海。
 全長:40cmほど

 えらぶたの後ろのふちが血のように赤いことから「血鯛」という。
 大型のマダイは1mを越えるが、チダイはそこまで大きくはならない。水深数十mの沿岸の岩礁や砂礫底にすむ。外見がマダイに似て美しいので、マダイの代用品として用いられる。マダイが産卵して味が落ちた夏に旬を迎える。釣り以外に、はえ縄や刺し網や定置網で漁獲される。食べ方はマダイと同じ。養殖もされている。

2006年4月28日

鰹(カツオ)は寒がり?

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 ホトトギスと並ぶ初夏の風物詩は、カツオですね。毎年、初夏に、計ったように日本近海に現われます。彼らはどこから、どうやって来るのでしょうか?
 カツオは、もともと熱帯の魚です。日本より南の海に棲んでいます。夏が近づくと、その南の海から、日本列島へと暖かい海流が接近します。黒潮と呼ばれる海流ですね。カツオは、黒潮に乗って日本近海へやって来ます。
 では、故郷を離れて、わざわざ日本近海へ来るのはなぜでしょう?
 じつは、熱帯の海は、一般に思われているほど、生き物の数が多くありません。特に、水中を漂うプランクトンの数は、寒い海のほうが多いのです。ですから、プランクトンを食べる小魚も、寒い海のほうがたくさんいます。クジラ類が寒い海に多いのも、これと関係があります。寒い海には、クジラの食べ物であるオキアミや小魚が多いのですね。
 カツオも、小魚を食べ物とします。食べ物が少ないところより、多いところに棲もうとするのは自然ですね。彼らは海流に乗って、食べ物の豊富な海域を目指します。そこがたまたま日本近海だったわけです。
 カツオにとって、日本近海は寒いところでしょう。寒くても、たくさん餌を食べたいカツオたちが、日本近海までやって来ます。寒がり(笑)なので、暖流に乗ってくるわけですね。秋、黒潮が南に後退するにつれて、カツオも南へ戻ってゆきます。
 中には、とても寒がりなカツオ(?)もいるようです。食べ物が少なくても、暖かいところにいたいのでしょうね。日本近海へ来ないで、一年中熱帯にいるカツオも確認されています。旅をするものとしないものが、なぜできるのか、正確なことは不明です。
 食用魚として有名なのに、カツオの生きた姿はほとんど見られませんね。水族館にもあまりいません。飼育が難しい魚だからです。
 もし、生きたカツオを見る機会があれば、腹部をよく見て下さい。カツオの特徴であるはずの、縞【しま】模様がありません。あの模様は、カツオが死んでから現われます。魚類図鑑の写真や絵を見て、「模様がない」とびっくりしないで下さいね。

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には、残念ながらカツオは掲載されていませんが、ホトトギスは掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年4月24日

鯉(コイ)は本当に滝を登るか?

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 端午の節句といえば、鯉幟【こいのぼり】ですね。青空に泳ぐ鯉幟を見るのは、気持ちが良いものです。男の子の健やかな成長を祈るのにふさわしいですよね。
 鯉幟は、「鯉が滝を登って龍になる」伝説にちなんで、作られたようです。昔、男の子は立身出世が望まれました。そういう時代には、「鯉の滝登り伝説」が、良いお手本とされたのでしょう。「龍になる」のは伝説としても、コイが滝を登るのは本当でしょうか?
 じつは、コイにはあまり跳躍力がありません。滝を登るのは無理です。ただ、身の軽い若いコイは、かなりの高さまで跳ねることがあります。
 「滝登り伝説」の発祥地は中国です。中国には、他にも、コイに関する伝説が多くあります。コイの養殖も、中国では二千年以上前から行なわれました。伝説が多いのも、早くから養殖されたのも、古来親しまれた証拠ですね。
 そのわりに、コイは謎が多い魚でもあります。一番の謎は、「原産地がどこかわからない」ことです。
 コイは、古くから食用や観賞用として飼育されました。そのために、早い時代から各地へ移入されました。人為的に分布が広げられたわけです。現在、コイは、世界中の淡水域に分布しています。おかげで、原産地がわからなくなりました。
 コイの原産地は、中央アジアという説が有力です。日本には、中国から伝わったという説が根強くあります。最近では、もともと日本にもいたらしいとわかってきました。
 野生のコイや食用のコイは、黒っぽく、地味ですね。観賞用の錦鯉(ニシキゴイ)とは、別種のようです。しかし、野生のコイも食用のコイもニシキゴイも、種としては同じ「コイ」です。ニシキゴイは、日本人が作った観賞魚の傑作です。
 今も、各地でよくコイが放流されますね。姿が美しいニシキゴイが好まれます。けれども、どんな魚でも、本来いなかった水域に放つのは問題です。コイのような大型魚は、特に慎重でなければいけません。在来の魚をおびやかす可能性があるからです。
 人間の不注意で、コイやその他の魚たちが、不幸にならないようにしたいですね。


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には、コイや日本で見られる魚類が55種、掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年4月21日

鯉のぼり


残念ながら嵐が来る前の暗い画像であまり美しくないのですが、町全体で端午の節句のお祝いをしていました。すごい量の鯉のぼりです。この町の子供たちは大切にされていますね。

 【沖縄 国頭村 2004.04.30】

※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

2006年4月20日

魚の名前に興味があって

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はじめまして、こんにちは。私は、魚の名前に興味があって、魚の名前の由来をしらべています。ぶり、めじろ、はまち、つばすの名前の由来なのですが、どのように調べればよろしいでしょうか? お教えていただけないでしょうか?

 魚の名前の由来を調べるのでしたら、以下の書籍を参考になさると良いでしょう。
▲世界大博物図鑑2 魚類
荒俣 宏著、平凡社、1989年、本体価格15,535円

▲図説 魚と貝の大事典
望月 賢二監修/魚類研究会編、柏書房、1997年、本体価格18000円


 また、ブリ・メジロ・ハマチ・ツバスなどの名について調べるなら、
 以下の書籍も参考になります。
 
▲食材魚貝大百科〈第3巻〉イカ・タコ類ほか+魚類
多紀 保彦・奥谷 喬司・近江 卓監修/中村 庸夫企画・写真、平凡社、2000年、本体価格2800円

 どれも高価で手に入りにくい本なので、図書館で探して調べられると良いでしょう。がんばってくださいね。

2006年4月 8日

ボウズハゼの名前の由来

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ボウズハゼの名前の由来について知りたいのですが、教えてくれませんか?

 ボウズハゼは、頭部が丸くて、体はヌルヌル、ツルツルです。この丸い頭が、坊主頭を思わせたからのようですよ。



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には、残念ながらボウズハゼは掲載されていませんが、ハゼ科の汽水域でよく見られるマハゼ、ミミズハゼが掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年3月29日

ヒラメの名前の由来について

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ヒラメの名前の由来について知りたいのですが、教えてくれませんか?

 「ひらめ」という言葉には、「平らなもの」という意味があります。ヒラメという名前は、ずばり、平たい魚だからそう付けられました。

2006年3月20日

同じ種なのに名が違う? 桜鱒(サクラマス)と山女(ヤマメ)

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 桜は、日本人にとても好まれる花ですね。動物にも「桜」の名を付けられたものが何種かいます。サクラマスもその一種です。普通に食用にされる「マス」ですね。
 サクラマスは、サケ科(サケ・マス類)の一種です。他の多くのサケ科と同じく、サクラマスも川と海とで暮らします。川で生まれ、海へと下って育ちます。成熟すると再び川へ戻って、産卵します。
 桜が咲く頃、川へ上るために、サクラマスと名付けられたようです。ただし、上る時期は、地域によって違います。必ず桜の花期と一致するわけではありません。
 サクラマスの中には、海へ行かず、一生川に棲むものがいます。そういう個体を「陸封【りくふう】型」と呼びます。海へ下るものは「降海【こうかい】型」と呼ばれます。陸封型と降海型とは、外見が違います。降海型は、全身が一様な銀色です。陸封型は、体の横にパーマークと呼ばれる斑紋があります。名前も、陸封型ではヤマメと呼ばれます。
 渓流釣りで有名なヤマメと、よく食卓に上るサクラマスとが同じ種なんて、驚きですね。サケ科の魚には、このように、陸封型と降海型がある種が多いです。ヤマメと並ぶ渓流魚のイワナにも、降海型がいます。陸封型をイワナと呼ぶのに対し、降海型をアメマスと呼びます。同じく渓流魚のアマゴも陸封型で、降海型はサツキマスと呼ばれます。
 川と海を行き来するのは、たいへんなエネルギーを使います。生きるのには不利そうですよね。なぜ、サケ科の魚にこんな生態のものが多いのかは、わかっていません。
 陸封型のサケたちには、「本当は海へ行きたいのだけれど、何らかの障害があって行けない」ものが多いようです。サケ科の魚は暑さが苦手なため、暑い平地を避けて、山地の渓流にいる陸封型もいます。自然の障害はよくても、人工的な障害は問題です。
 例えば、川にダムができると、サクラマスやアメマスやサツキマスは、川へ上れません。実際に、それが原因で、降海型のサケ・マスが絶滅した川もあります。もったいないですよね。サケ・マスは、日本人が昔から食べてきた自然の恵みですのに。
 陸封型と降海型と、両方の魚影が濃い川にしたいものです。

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には、ヤマメ(サクラマス)とイワナ(アメマス)が掲載されています。
もちろん植物の桜の、オオシマザクラやヤマザクラなども載っています。ぜひご利用下さいね。

2006年2月 5日

ホンソメワケベラについて教えてください

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ホンソメワケベラについて教えてください

 ホンソメワケベラについては、以下の国立科学博物館のページに詳しく載っています。 
国立科学博物館 ホンソメワケベラのページ

2006年2月 3日

鮟鱇(アンコウ)鍋にはならないチョウチンアンコウ

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 深海魚の中で一番有名なのは、チョウチンアンコウでしょう。有名なわりに、その実態は知られていません。極めて珍しい魚だからです。獲れたものは貴重なため、みな標本にされます。私の知る限り、食べたという報告はありません。
 「えっ? アンコウ食べたことあるよ」という方もいるでしょう。よく混同されますが、鍋などにして食べられるアンコウと、チョウチンアンコウは違います。アンコウは、アンコウ目アンコウ科に分類されます。チョウチンアンコウは、アンコウ目チョウチンアンコウ科に分類されます。
 彼らは、まず、棲む深さが違います。アンコウ類は、500mくらいまでの海にしかいません。チョウチンアンコウ類はもっと深く、700m以上の深海に棲みます。
 次に、暮らし方が違います。アンコウ類は、海底にべったり貼りつくようにして暮らします。ほとんど泳ぎません。海底にいやすいように、上下に平たい体型をしています。対して、チョウチンアンコウ類は、深海の中層を漂うように泳いでいます。体型は平たくありません。むしろ丸っこいものが多いです。
 アンコウ類にもチョウチンアンコウ類にも、頭の上に「釣り竿」のようなものがあります。これはイリシウムというものです。アンコウ類のイリシウムは光りません。チョウチンアンコウ類のイリシウムは、まさに提灯【ちょうちん】のように光ります。彼らはとても暗い深海に棲むので、イリシウムの光で餌になる動物をおびき寄せます。
 チョウチンアンコウ類の特徴として、雌雄の大きさがひどく違うことがあります。イリシウムを持ったチョウチンアンコウは、じつはすべて雌です。雄はイリシウムを持たず、雌の十分の一以下の大きさしかありません。まったく別の種のようです。アンコウ類はこんなことはありません。雌雄ほぼ同じ大きさで、区別しにくいです。
 チョウチンアンコウの仲間には、小さな雄が大きな雌に寄生する種があります。雌の体に雄がかじりついて、一生を過ごします。これは、出会いの少ない深海魚ならではの工夫です。人間からは情けなく見えても、彼らなりに必死に生きているのですね。

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には、残念ながらチョウチンアンコウは載っていませんが、アンコウ鍋にするキアンコウは、掲載されています。是非ご利用ください。

アンコウ鍋にするキアンコウのコラムアンコウは釣りの名手