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2008年08月27日

ハリガネムシ(針金虫)は、ヒトに寄生する?

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 寄生虫(寄生生物)というと、何となく、無気味に感じられますね。そのためか、都市伝説のように語られることも、珍しくありません。例えば、こんなふうです。
 「ハリガネムシという、針金そっくりの虫がいる。道にいるのを、針金だと思って拾うと、爪【つめ】の間から、指に入り込む。そうして寄生される」などというものです。
 もちろん、これは「伝説」です。本当ではありません。
 ハリガネムシという生き物がいるのは、本当です。外見が、針金に似るのも、本当です。けれども、ヒトに寄生することは、まずありません。
 厳密に言えば、ごく少数、ヒトに寄生した例があります。しかし、それは、交通事故に遭【あ】うより、ずっと少ない確率です。「交通事故に遭うかも知れないから、家から出るのをやめる」なんてことは、ありませんよね? 心配する必要は、ありません。
 ハリガネムシは、寄生生物です。寄生する相手――宿主【しゅくしゅ】といいます――は、昆虫です。カマキリに、よく寄生します。バッタなど、他の昆虫にも、寄生します。寄生するのは、ハリガネムシの幼虫だけです。成虫は、どんな生き物にも、寄生しません。
 普通に目にするハリガネムシは、成虫です。幼虫は、宿主の体内にいるため、見られないのですね。成虫は、淡水の中で生活します。成虫になると、物を食べません。
 何かの間違いで、ハリガネムシの成虫が、水へ入れないことがあります。そうすると、体が乾燥して、硬くなります。その状態が、「針金そっくり」なのですね。水に入れば、柔らかくなります。陸上でも水中でも、元気な時は、のたうつように動きます。
 近年まで、ハリガネムシは、類線形動物門【るいせんけいどうぶつもん】に属する、という説が、主流でした。最近では、線形動物門【せんけいどうぶつもん】類線形動物亜門【るいせんけいどうぶつあもん】ハリガネムシ目【もく】という説が、有力です。
 本やウェブサイトによっては、線形動物門ではなく、袋形動物門【たいけいどうぶつもん】となっていることもあります。これは、明らかに、古い分類です。
 生き物の分類は、たびたび変わります。調べものをするには、注意が必要ですね。



図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ハリガネムシは載っていません。けれども、ハリガネムシが寄生するカマキリや、バッタの仲間が、合わせて四十種以上が掲載されています。
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 過去の記事で、ハリガネムシが寄生するカマキリやバッタを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 精霊【しょうりょう】バッタとは、どんなバッタ?(2007/08/15)
 トノサマバッタの飛蝗【ひこう】発生?(2007/06/18)
 キリギリスは草食か肉食か?(2006/06/30)
 カマキリは雪を予知する?(2005/11/18)
 などです。


2008年08月25日

ウミユリ(海百合)は、海底に咲く花?

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 深海には、珍しい生き物が、多いですね。ウミユリが、その一つです。
 ウミユリは、棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】ウミユリ綱【こう】に属する「動物」です。広い意味でいえば、ウニやナマコやヒトデの仲間(棘皮動物【きょくひどうぶつ】)です。けれども、ウミユリは、ウニともナマコともヒトデとも、似ていません。
 名のとおり、ウミユリは、植物のように見えます。長い柄【え】で、海底に付いています。ゆっくりならば、移動もできます。柄の先に、花に似た部分があります。
 花びらに見えるのは、腕【うで】です。ヒトデの腕と同じもの、と思って下さい。ヒトデの腕と違うのは、細かい触手のようなもの――羽枝【うし】といいます――が、たくさん付いていることです。羽枝は、餌を取るのに、使われます。
 ウミユリの餌は、海水中の、小さな有機物です。生物の死骸の破片や、プランクトンなどですね。羽枝のある腕で、海水中の食べ物を、かき集めます。
 現生のウミユリは、すべて深海産です。最も浅いところでも、100mを越える海にいます。深いところでは、6000mほどの海にもいます。
 ウミユリは、生きている化石です。大昔、一億年ほど前までは、浅い海にもいたことが、わかっています。なぜ、現在のウミユリは、深海にしか、いないのでしょう? 
 じつは、現在の浅海には、ウミユリから進化した生き物がいます。ウミシダです。
 ウミシダ(海羊歯)も、棘皮動物門ウミユリ綱に属します。ウミユリ直系の子孫です。偶然ですが、やはり、植物のシダに似ます。ウミユリと違い、長い柄が、ありません。
 ウミシダと比べて、ウミユリには、何か、不利な点があるのですね。そのために、「暮らしにくい深海へと、追い出された」と考えられています。
 ウミユリよりも、ウミシダのほうが、活動的です。ウミシダは、かなりの速さで、歩いて移動できます。泳げる種も、多いです。長い柄がない分、有利なようです。
 ウミユリは、時代遅れの生き物かも知れません。しかし、深海で、たくましく生きています。大絶滅の時代を、何回もくぐり抜けました。生き物の大先輩ですね。



図鑑↓↓↓↓↓には、ウミユリは載っていません。そのかわり、ウミユリの直系の子孫、ウミシダの一種(ニッポンウミシダ)が掲載されています。
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 過去の記事で、ウミユリの仲間のウミシダを取り上げています。また、他の深海の生き物も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 本当にあった不思議なカレイの話(2008/01/25)
 植物? いえ動物です。ウミシダ(海羊歯)(2007/11/26)
 新種のクシクラゲ? 発見(2007/06/13)
 希少なサメ(鮫)、メガマウスの撮影に成功(2007/06/12)
 深海にすむ『サメハダホウズキイカ』定置網にかかる(2007/4/17)
などです。


2008年08月22日

ウミヘビ(海蛇)は、危険な毒蛇か?

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 サンゴ礁の海は、生き物の宝庫ですね。思いがけない生き物も、そのメンバーに入っています。例えば、ウミヘビです。名のとおり、海に棲むヘビですね。
 ウミヘビには、たくさんの種がいます。多くが、熱帯の海に棲みます。日本の沿岸では、南西諸島や小笠原諸島で、見られます。本土のほうでも、見られることがあります。
 「ウミヘビは、毒ヘビだ」と、聞いたことがありませんか? これは、本当です。けれども、安心して下さい。大部分のウミヘビは、おとなしいです。危険はありません。
 ウミヘビの生態は、よくわかっていません。水中に棲むため、観察が難しいのですね。何を食べるのか、不明な種もいます。多くの種は、魚類を食べるようです。
 中には、陸に上がるウミヘビもいます。エラブウミヘビなどが、そうです。エラブウミヘビは、比較的、生態が知られるウミヘビです。若いうちは、縞模様が目立ちます。
 すべてのウミヘビが、上陸するわけではありません。多くの種は、一生、陸に上がりません。繁殖さえ、水中で行ないます。水中に、卵ではなく、子どもを産みます。
 エラブウミヘビは、違います。彼らは、毎日、上陸します。休息する時には、陸に上がるのですね。夜行性のため、昼間、陸で休息します。
 彼らは、産卵の時にも、上陸します。彼らの卵は、水中では、育たないからです。
 ヒロオウミヘビや、アオマダラウミヘビも、エラブウミヘビと似た生活をします。これら三種は、外見も似ています。見た目どおり、互いに、近縁です。どの種も、コブラ科エラブウミヘビ属に属します。(コブラ科ではなく、ウミヘビ科という説もあります)
 エラブウミヘビ属の種は、他のウミヘビとは、違うグループのようです。生活の一部を、陸に依存するからです。「他のウミヘビより、後から海へ入った」と考えられています。ウミヘビの進化を知るために、貴重なグループですね。
 エラブウミヘビ属に限らず、ウミヘビには、黒い縞模様のある種が、多いです。これは、警戒色だとされています。「ぼくらは毒があるぞ。危険だから、近寄らないで」と、周囲に示すわけです。彼らの毒は、身を守るためのものなのですね。



図鑑↓↓↓↓↓には、エラブウミヘビが掲載されています。
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 過去の記事でも、ウミヘビの仲間を取り上げています。また、エラブウミヘビと同じく、南西諸島に分布するヘビも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 人に化ける蛇(ヘビ)? アカマタ(2007/8/20)

 「三すくみ」は嘘だった? 蛇はナメクジも平気(2007/2/15)
 ウミヘビ(海蛇)は龍神の使い?(2006/10/30)
などです。


2008年08月20日

常夏【とこなつ】の花とは、どんな花?

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 常夏といえば、現在では、「一年中が夏のような気候」を指しますね。けれども、平安時代の日本では、違いました。常夏とは、植物を指す言葉でした。
 それは、ナデシコ(撫子)のことです。秋の七草の一種として、知られますね。正確には、カワラナデシコという種の草です。秋の七草なのに、なぜ、「常夏」なのでしょう?
 カワラナデシコは、秋にしか、咲かないわけではありません。夏から秋にかけてが、花期です。秋に、夏の名残のように咲く姿から、「常夏」と付けられたようです。
 カワラナデシコは、日本土着の植物です。ナデシコ科ナデシコ属に属します。
 ナデシコ属の植物は、外国にも、多いです。いくつかの種は、日本に移入されました。観て楽しむためです。中国産のナデシコなどは、早くも、平安時代の日本にありました。カラナデシコ(唐撫子)、セキチク(石竹)などと呼ばれるものです。
 土着のカワラナデシコも、早くから、栽培されました。観賞するためです。中国産のナデシコと交配されたりして、多くの品種が作られました。中には、とてつもない品種があります。「花びらが長すぎて、垂れている」というものです。
 それは、「伊勢撫子【いせなでしこ】」と呼ばれる品種の一群です。花びらの長さが、20cm以上になるものもあります。花びらは、それぞれ、先が細かく分かれて、よじれています。まるで、「髪を縦ロールに巻いたお嬢さま」みたいです。
 伊勢ナデシコは、人間が手伝わないと、花が開きません。花びらが変形しすぎたため、開く途中で、引っかかってしまうのですね。特殊な櫛【くし】を使って、人がすいてあげるそうです。まさに「お嬢さま」ですね。
 私は、伊勢ナデシコの実物を、見たことがあります。確かに、見事な花でした。ですが、野にあるカワラナデシコのほうが、好きですね。素朴な風情があります。
 源氏物語に「常夏の女」という人物が、登場します。これは、「夕顔」の別名です。光源氏に愛されながら、若くして亡くなる女性ですね。彼女のイメージには、伊勢ナデシコでは、人工的すぎるでしょう。野のカワラナデシコが、ふさわしいと思います。



図鑑↓↓↓↓↓には、カワラナデシコが掲載されています。
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 過去の記事でも、秋の七草を取り上げています。また、源氏物語に関係する生き物も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 古代の「朝顔」は、キキョウ(桔梗)?(2008/08/08)
 「朝顔」は、謎の植物?(2008/07/21)
 ムクゲ(木槿)は昔、朝顔だった?(2008/07/04)
などです。



2008年08月18日

スベスベマンジュウガニの名の由来は?

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 日本のカニ(蟹)のうち、最も有名なのは、何でしょうか? スベスベマンジュウガニかも知れません。名前が面白いですよね。
 スベスベマンジュウガニは、日本で、普通に見られるカニです。房総半島以南に分布します。深い海へ行かなくても、磯でも見られます。海水浴で、会えるかも知れません。
 なぜ、こんな種名が付いたのでしょうか? スベスベマンジュウガニは、オウギガニ科マンジュウガニ属の一種です。同じマンジュウガニ属の仲間に、アカマンジュウガニ、ホシマンジュウガニなどがいます。饅頭【まんじゅう】のように、丸っこいカニたちです。マンジュウガニの仲間で、「体がすべすべ」だから、スベスベマンジュウガニです。
 カニの中には、他にも、「スベスベ何とか」という種名のものがいます。例えば、スベスベオウギガニです。スベスベオウギガニは、イソオウギガニ科スベスベオウギガニ属に属します。体がすべすべなのは同じでも、スベスベマンジュウガニとは、遠縁です。
 ヤドカリの中にも、スベスベサンゴヤドカリという種がいます。ヤドカリ科サンゴヤドカリ属の一種です。この種も、きっと、体のどこかが「すべすべ」なのでしょう。
 中で、極めつけに、矛盾した種名のカニがいます。「スベスベケブカガニ」です。漢字で書けば、「すべすべ毛深蟹」です。なぜ、こんなに、変すぎる種名なのでしょうか?
 スベスベケブカガニは、ケブカガニ科スベスベケブカガニ属に属します。ケブカガニ科の一種なのに、毛深くないのですね。そこで、スベスベケブカガニと名づけたようです。「面白さを狙って、やったんじゃないか?」と、疑ってしまいますね(笑)
 さて、スベスベマンジュウガニというのは、日本語の名前です。国際的には、ラテン語の学名で、呼ばれます。スベスベマンジュウガニの学名は、Atergatis floridusです。Atergatis【アテルガティス】というのが、「マンジュウガニ属」を示します。
 このAtergatisとは、何と、女神の名前なのですね。古代シリアの魚の女神、アテルガティスから取っています。この女神は、アタルガティスAtargatisとも呼ばれます。
 マンジュウガニの何を見て、女神の名を付けたのでしょうか? これも面白いですね。



図鑑↓↓↓↓↓には、スベスベマンジュウガニが掲載されています。
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 目高蟹【めだかがに】とは、ツノメガニ?(2008/07/07)
 毛蟹【けがに】は、なぜ毛だらけ?(2007/11/30)
 カニでないカニがいる?(2006/12/24)
 タコノマクラの花びら模様は、いったい何?(2008/01/25)
 突然の人気者? スカシカシパン(2008/01/10)
などです。


2008年08月15日

豪華絢爛【ごうかけんらん】、日本のカミキリムシ

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 夏休みの自由研究に、昆虫採集を選んだ人は、いませんか?
 昆虫採集で、私のお勧めは、カミキリムシの仲間ですね。毒などの危険性が、ないからです。安心して、採集できます。そのうえ、美しい種も、多いです。以下に、カミキリムシの中の「美虫」を紹介しましょう。
 例えば、オオアオカミキリです。全身、金緑色をしています。山地の広葉樹林に棲みます。よく似た美種として、アカアシオオアオカミキリ、アオカミキリがいます。
 カラカネハナカミキリも、金属光沢があります。オオアオカミキリより、暗い色合いです。見る角度により、赤紫や、藍色【あいいろ】に光ります。大人っぽい豪華さ、と言えますね。やはり、山地の広葉樹林に棲みます。
 キボシカミキリや、ゴマダラカミキリは、住宅街でも見られるカミキリムシです。この二種は、モノトーンのおしゃれさんです。どちらの種も、長い触角が、白と黒の、二色に塗り分けられています。(地域により、体色には変異があります)
 ルリボシカミキリは、「日本一の美カミキリムシ」との声があります。瑠璃色【るりいろ】の体に、黒い斑点が付いています。ひとめ見たら、忘れられません。山地の広葉樹林に棲みます。昆虫好きなら、一度は、実物に会いたい種ですね。
 こんなに美しいカミキリムシたちは、何を食べるのでしょうか? 種により、違います。例えば、カラカネハナカミキリの成虫は、花の蜜や花粉を食べます。「ハナ」カミキリの名のとおりですね。ゴマダラカミキリの成虫は、生木の樹皮をかじります。
 幼虫は、何を食べるのでしょう? 幼虫の食べ物は、どの種でも、似ています。草の茎や、木の幹を食べます。ただし、細かいところは、違います。どんな種の植物を食べるのか、また、生木を食べるのか、朽ち木を食べるのか、などは、種によって違います。
 おかげで、「どんな種のカミキリムシが、どれだけいるか」がわかると、その地域の植物の状態が、わかります。カミキリムシを見ることで、森林の「健康診断」ができるのですね。昆虫採集も、ちょっと工夫すれば、こんな研究ができます。



図鑑↓↓↓↓↓には、オオアオカミキリ、カラカネハナカミキリ、キボシカミキリ、ゴマダラカミキリ、ルリボシカミキリなど、四十種以上のカミキリムシが掲載されています。
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 過去の記事でも、カミキリムシの仲間を取り上げています。また、夏休みの自由研究に使えそうな昆虫も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 キノコの傘で雨宿り? キノコムシたち(2008/06/16)
 謎の円盤UFO? いえ、カメノコハムシです(2008/03/10)
 トラフカミキリは、スズメバチのそっくりさん(2007/09/21)
などです。



2008年08月13日

夏の海のカモメ? いえ、アジサシです

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 夏休み、海へ出かける方が多いでしょう。海辺で白っぽい鳥を見たら、すべて、カモメ(鴎)だと思っていませんか?
 じつは、「日本近海で、夏に見られる白っぽい鳥」は、カモメでないことが多いです。「カモメでなければ、何なの?」と思うでしょうね。アジサシ(鯵刺)です。
 アジサシも、カモメと同じように、海鳥です。色も、カモメと同様、白っぽいことが多いです。けれども、よく見れば、カモメと違うところがあります。
 まず、見られる季節が違います。カモメの仲間は、多くが冬鳥です。日本では、秋から春先までしか、見られません。(ウミネコなど、一部に、例外の種がいます) 対して、アジサシの仲間は、夏鳥か、旅鳥です。日本では、春から秋口にしか、見られません。
 カモメの仲間は、北方系です。アジサシの仲間は、南方系です。ですから、アジサシの仲間は、暖かい季節にしか、日本にいません。熱帯へ行けば、一年中、見られます。
 次に、カモメとアジサシでは、大きさが違います。普通、アジサシのほうが小型です。
 姿かたちも、違います。全体的に、アジサシのほうが、スマートです。翼は、カモメより、アジサシのほうが、細長い感じです。嘴【くちばし】も、アジサシのほうが、細く、鋭いです。尾の形も、アジサシのほうが、細く、尖った感じです。ツバメのように、両脇が突出した尾の種もいます。
 アジサシの仲間のうち、日本に多いのは、コアジサシと、アジサシです。ややこしいことに、「アジサシ」という種名の鳥がいるのですね。「アジサシ」という言葉は、アジサシという種を指す場合と、アジサシ類全体を指す場合とがあります。
 広い意味では、アジサシの仲間と、カモメの仲間とは、近縁です。同じチドリ目カモメ科に属するからです。カモメ科の中の、アジサシ属、クロアジサシ属などに属する種が、アジサシと呼ばれます。(分類に関しては、異説もあります)
 コアジサシや、種名アジサシの一部にとっては、日本が故郷です。夏、日本で繁殖するからです。彼らが、安心して子育てできる国にしたいですね。 


図鑑↓↓↓↓↓には、コアジサシと、種名アジサシが掲載されています。
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 過去の記事で、アジサシの仲間の写真や、アジサシと紛らわしいカモメを取り上げています。また、これからの季節、海辺で見られる旅鳥も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 シギ(鴫)の嘴【くちばし】は、なぜいろいろある?(2007/08/27)
 コアジサシ【画像】(2007/05/11)
 カモメは冬にしかいない?(2006/10/23)
などです。
 

2008年08月11日

ネムリブカは、眠るサメ?

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 サメ(鮫)といえば、恐ろしい魚の代名詞ですね。けれども、ヒトを襲うサメは、そう多くありません。ホホジロザメなど、ごく一部の種だけです。
 大部分のサメは、ヒトを、食べ物にしません。近年、ようやく、それが知られてきました。逆に、一部では、サメに人気が出ています。観賞用として、です。
 例えば、ネムリブカなどは、ダイビングをする人に、人気があります。
 ネムリブカは、サンゴ礁の海に、普通にいるサメです。体がスマートで、いかにも「サメらしい」姿です。大きさも、1mをゆうに越えます。迫力がありますね。
 それでいて、性質は、おとなしいです。そのうえ、平凡なサメなので、出会いやすいです。「実際に、近くで見られるサメ」として、ダイバーに喜ばれます。
 ネムリブカがおとなしいのは、夜行性だからです。普通、ダイバーが潜るのは、昼間ですね。ネムリブカが、休む時間帯です。肉食の生き物でも、休息中は、おとなしいものです。昼のネムリブカは、じっとしているか、のんびりと動くだけです。
 しかし、夜のネムリブカは、違います。夜は、活発です。他の魚などを、襲って食べます。夜にダイビングをする時には、近づかないようにしましょう。
 昼のネムリブカも、いたずらしてはいけません。ヒトだって、眠りを邪魔されれば、怒りますよね。サメも同じです。そっと、観察しましょう。
 「眠り」と書きましたが、ネムリブカの「眠り」=休息については、わからないことが多いです。ヒトと違い、完全に意識を失って眠ることは、ないようです。
 「サメは、ずっと泳ぎ続けていないと、死ぬ」という話を、聞いたことがありませんか? 「サメは、泳ぎ続けないと、呼吸ができない。だから、眠らない(休息しない)」というものです。この話は、誇張されたものです。そのようなサメは、ほとんどいません。
 多くのサメは、泳ぎ続けなくても、ちゃんと呼吸ができます。ネムリブカも、そうです。鰓蓋【えらぶた】を動かして、水を、鰓【えら】に通す仕組みがあります。
 サメには、いろいろ「伝説」が付きものです。でも、本当の姿は、まだ、謎です。 


図鑑↓↓↓↓↓には、ネムリブカや、同じメジロザメ目の、オグロメジロザメが掲載されています。
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 過去の記事でも、サメの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も、御覧下さい。
 「希少なサメ(鮫)、メガマウスの撮影に成功(2007/06/12)
 人食いザメより、サメ食い人のほうが多い?(2007/05/31)
 定置網に「ウバザメ」!! 茨城県日立沖(2007/04/25)
 ラブカはなぜ「生きている化石」か?(2007/01/27)
 ホオジロザメ(ホホジロザメ)は、本当にヒトを食うか?(2005/11/25)
などです。
 


2008年08月08日

古代の「朝顔」は、キキョウ(桔梗)?

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 キキョウは、秋の七草の一つといわれますね。けれども、キキョウの花は、まだ暑い盛りから、咲き始めます。青い花が、涼しさを誘いますね。
 秋の七草は、万葉集で挙げられました。万葉集の「朝貌【あさがお】の花」は、現在のキキョウを指すとされます。少なくとも、現在のアサガオでないことは、ほぼ確実です。アサガオは、奈良時代末期以降に、日本に来たからです。
 しかし、古代の「朝顔」が、すべてキキョウとは、限りません。昔の日本では、いろいろな種の植物が、「朝顔」と呼ばれました。
 例えば、源氏物語にも、「朝顔」が登場します。源氏物語の「朝顔」は、ムクゲか、現在のアサガオのようです。キキョウとは思えない表現をされています。
 ただし、最も古くから「朝顔」と呼ばれたのは、おそらく、キキョウでしょう。キキョウは、日本土着の植物だからです。他種の「朝顔」は、外来種が多いです。
 野生のキキョウは、日本では、山地の草原に生えます。日当たりが良く、乾いていて、涼しい草原です。朝鮮半島や、中国大陸にも、日本と同種のキキョウがあります。やはり、同じような草原に生えます。大陸のほうには、そのような草原が、多いです。
 じつは、キキョウは、地質時代の「生き証人」です。はるか昔、日本列島は、大陸とつながっていました。氷河時代のことです。その頃から、キキョウは、大陸と、そこにつながった日本とに、分布していました。地続きですから、当然ですね。その頃の日本には、今よりも、乾燥した涼しい草原が、広がっていました。
 やがて、氷河時代が、終わります。日本列島は、大陸から離れました。そのため、日本のキキョウは、朝鮮半島や中国大陸の仲間と、分断されます。でも、キキョウが好む草原は、日本の山地に残りました。おかげで、キキョウは、日本で生きてきました。
 ところが、近年、野生のキキョウが減っています。キキョウが好む草原が、なくなっているからです。草原は、人間によって、開発されやすいのですね。このままでは、せっかくの「生き証人」が、いなくなります。キキョウの場所も、残したいですね。 


図鑑↓↓↓↓↓には、キキョウが掲載されています。
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 過去の記事でも、秋の七草を取り上げています。また、キキョウと同じく「朝顔」の名を持つ植物も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 「朝顔」は、謎の植物?(2008/07/21)
 ムクゲ(木槿)は昔、朝顔だった?(2007/07/04)
 フジバカマは桜餅【さくらもち】の香り?(2007/09/1
 人間とは持ちつ持たれつのススキ(2006/10/01)
 ハギという植物はない?(2005/09/27)
などです。


2008年08月06日

実盛虫【さねもりむし】の正体は、ウンカ?

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 夏は、昆虫が元気ですね。害虫による被害も、大きくなります。
 日本の各地に、害虫を、怨霊【おんりょう】や、妖怪とみなす伝承があります。昔は、それだけ、被害が深刻だったのでしょう。農薬など、ありませんでしたからね。
 中に、実盛虫という伝承があります。平家物語に登場する武将、斎藤実盛【さいとうさねもり】が、虫に化したというものです。虫になった理由には、諸説があります。
 この虫は、烏帽子【えぼし】をかぶった武士の姿に似るそうです。これは、ウンカの類だといわれます。横から見ると、ウンカは、烏帽子の形に見えなくもありません。
 ウンカとは、カメムシ目ヨコバイ亜目に属する昆虫の仲間です。とてもたくさんの種がいます。どの種も、植物の汁を吸います。吸われた植物は、弱ったり、枯れたりします。
 伝承によれば、実盛虫は、イネ(稲)に怨みを持つといいます。そのために、イネを食い荒らすのだそうです。昔の人は、どんなウンカを、この妖怪と見たのでしょうか?
 これは、トビイロウンカの可能性が高いです。このウンカは、イネの汁を吸います。
 トビイロウンカは、もともと、日本には、いませんでした。原産地は、アジアの熱帯地域のようです。寒さに弱いため、日本では、冬を越せません。
 では、どうやって、日本に棲むのでしょう? 彼らは、夏ごとに、海外から来ます。気流に乗って、飛んできます。5mmほどしかない昆虫なのに、驚きですね。
 毎年、トビイロウンカが、日本に来るとは、限りません。日本で、ほとんど見られない年もあります。どういう条件の時、彼らが来るのかは、まだ、わかっていません。
 昔の人にとって、トビイロウンカは、悪夢のようなものだったでしょう。見慣れない虫が、突然、田に大発生するのです。妖怪だと思われるのは、無理もありません。
 トビイロウンカが、斎藤実盛と結びつけられた理由は、謎です。どうやら、「さねもり」と似た言葉で、イネに関係するものがあったようです。一説では、「さのぼり」(=田の神さまを送る行事)だといいます。それがなまって、「さねもり」になり、「実盛虫」と、こじつけられたようです。斎藤実盛にとっては、迷惑なことでしょうね。 


図鑑↓↓↓↓↓には、トビイロウンカが掲載されています。
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 過去の記事でも、妖怪と思われた昆虫などを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 イネクロカメムシは福田【ふくだ】の虫?(2007/10/08)
 精霊【しょうりょう】バッタとは、どんなバッタ?(2007/08/15)
 お菊虫の正体は、ジャコウアゲハ?(2007/08/13)
 ジョロウグモの理【ことわり】(2006/10/19)
 精霊【しょうりょう】トンボとはどんなトンボ?(2006/08/12)
などです。


2008年08月04日

生物学で大活躍、オワンクラゲ

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 夏、海へ行くと、クラゲに会うことがありますね。クラゲは、嫌われることが多いです。「刺す」といわれるからですね。けれども、中には、人間の役に立つクラゲもいます。
 オワンクラゲが、その一つです。お椀【わん】(お碗【わん】)型の体をしているために、この名があります。日本近海で、普通に見られる種です。
 私の知る限り、ヒトが、オワンクラゲに刺された例は、ありません。危険でないクラゲです。海で会っても、安心して下さい。
 オワンクラゲは、「光るクラゲ」として、知られます。ただし、その光り方は、あまり目立ちません。傘のふちが、ほのかに青白くなる程度のようです。
 この光る性質こそが、人間の役に立ちます。オワンクラゲの持つ「光る物質」が、生物学の実験に使われます。その物質は、二種類あります。イクオリンaequorinという物質と、「緑色蛍光たんぱく質」(略称で、GFP)という物質です。
 イクオリンのほうは、カルシウムの実験に使われます。イクオリンは、カルシウムを感知して、発光するからです。イクオリンを使えば、生き物の体の中の、どこにカルシウムがたくさんあるか、すぐにわかります。「光る」性質のおかげですね。
 GFPのほうは、さまざまな遺伝子が、生き物の体のどこで働いているか、調べる場合に、使われます。その方法は、以下のとおりです。
 まず、調べたい遺伝子と、GFPを作る遺伝子とを、つないで一つにします。これを、生き物の体に入れます。その生き物に、ある特定の光を当てると、生き物の体の一部が、光ります。そこに、GFPが現われているのですね。ということは、GFPの遺伝子とつながれた遺伝子(本命の、調べたい遺伝子)も、そこで働いている、とわかります。
 最近、「光るマウス(ネズミ)」や、「光るブタ(豚)」や、「光るダイズ(大豆)」のニュースを、見たことがありませんか? これらは、前記の手順で作られています。
 光る生き物は、決して、遊びで作られるのではありません。生物の仕組みを知るための実験です。海を漂うクラゲが、こんな実験に役立つなんて、驚きですね。

 オワンクラゲの「光る物質」を使った実験のニュースは、以下に載っています。
 光るマウスなどの写真(大阪大学微生物研究所 附属遺伝情報実験センター)
 光るブタ、光る魚などの動画(YouTube)
 光るダイズ(大豆)の写真(閑甚日記inはまぞう 2008/02/08) 


図鑑↓↓↓↓↓には、オワンクラゲをはじめ、十種以上のクラゲが掲載されています。
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 過去の記事でも、クラゲの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ビゼンクラゲと同じ? 違う? スナイロクラゲ(2007/10/12)
 クラゲは刺胞【しほう】動物? 腔腸【こうちょう】動物?(2007/08/24)
 淡水にもクラゲがいる?(2007/08/06)

などです。


2008年08月01日

哺乳類で、最も長生きなのは、クジラ?

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 哺乳類の中で、一番長生きをするのは、何という種でしょうか?
 ヒトでしょうか? ヒトは、時に、百歳を越えますよね。これ以上、長寿の哺乳類なんて、いるのでしょうか? じつは、いるのですね。
 それは、クジラ(鯨)の一種です。ヒゲクジラの仲間の、ホッキョククジラです。
 ホッキョククジラは、名のとおり、北極付近にしかいません。北極周辺の海に、定住します。これは、大型のクジラでは、珍しいことです。たいがいの大型クジラは、高緯度【こういど】の海域(北極や南極の付近)と、低緯度【ていいど】の海域(亜熱帯や熱帯の海)を、往復します。日本近海のザトウクジラなどが、そうですね。
 米国のスクリップス海洋研究所で、ホッキョククジラの眼の標本が、調べられました。眼の中の、アスパラギン酸という、アミノ酸の一種を調べます。これを調べれば、クジラの年齢がわかるのだそうです。その結果、標本の中に、百三十五歳、百五十九歳、百七十二歳、二百十一歳の個体がいました。
 この測定には、「約16%の誤差がある」といいます。それを考慮しても、二百十一歳とされたクジラは、「少なくとも百七十七歳」になります。
 こんな数字は、にわかには、信じられませんね。科学者の間でも、「この測定は、怪しい」とされていました。けれども、この測定の確かさを、裏付ける事実がありました。
 二〇〇七年の六月に、あるホッキョククジラの体内から、十九世紀の銛【もり】が、見つかりました。その銛は、まだ捕鯨が盛んだった頃、十九世紀の終わりにしか、作られなかったものです。そのクジラは、銛を撃たれたものの、逃げのびたのでしょう。どう考えても、年齢は、百二十歳以上です。
 一部では、このクジラが、セミクジラと報道されました。正しくは、ホッキョククジラです。ホッキョククジラとセミクジラとは、近縁な種同士ですが、別種です。
 なぜ、ホッキョククジラは、こんなに長寿なのでしょうか? 理由は、まだ、わかっていません。百年以上も生きたクジラは、海の賢者のような存在でしょうね。

 百年以上生きたホッキョククジラのニュースは、以下に載っています。
 推定120歳のクジラ、体内から19世紀の銛(やじり)の破片を発見(AFPBBニュース、2007/06/14)
 ホッキョククジラは、世界一長生きの哺乳類(アラスカ大学フェアバンクス校 2001/02/15) ※英語の解説です。 


図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ホッキョククジラは載っていません。が、ザトウクジラ、マッコウクジラなど、九種のクジラ・イルカが掲載されています。
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 過去の記事でも、クジラの仲間を取り上げています。また、並外れて長寿の生き物も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 昔は主食だった? サトイモ(2008/06/27)
 世界で最長寿の樹木を発見!(2008/04/23)
 イルカがクジラを救助した!?(2008/03/15)
 四百年、生きた貝がいる?(2007/11/01)
 マッコウクジラは人間を襲うか?(2007/03/19)
 ザトウクジラはホエールウォッチングの人気者(2006/03/13)
 亀(カメ)は本当に長生きか?(2006/01/02)


2008年07月30日

2008年は国際イモ年、それ本当?

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 2008年は、生物に関する、さまざまなイベントの年です。国際サンゴ礁年であり、国際カエル年です。もう一つ、「国際イモ年」でもあります。
 国際イモ年なんて、冗談みたいですね。でも、本当です。英語では、International Year of Potatoといいます。略称IYPです。直訳すれば、国際ジャガイモ年という意味ですね。
 なぜ、国際(ジャガ)イモ年というイベントが、開かれるのでしょうか?
 ジャガイモが、たいへん重要な農作物だからです。世界では、ジャガイモを主食にしている地域が、少なくありません。日本にとっての、イネ(稲)と同じ役割ですね。
 ジャガイモの原産地は、南米のアンデス山脈です。国で言えば、ペルーなどで、栽培化が進みました。インカ帝国を支えた農作物の一つが、ジャガイモです。
 十六世紀、ジャガイモは、ヨーロッパに入りました。そこで、ジャガイモは、大勢の人々を救いました。ヨーロッパの食生活を、劇的に改善したのです。
 ジャガイモは、狭い土地でも、痩せた土地でも、多量に収穫できます。厳しい気候にも、めげません。炭水化物やビタミンCを、たっぷり含みます。これらの性質が、世界各国の人々を、飢えから救いました。今や、ジャガイモは、世界中で、作られています。
 ジャガイモに限らず、イモ(芋)類には、だいたい似た性質があります。狭い土地や、肥えていない土地でも、収穫ができます。炭水化物が豊富です。土地に恵まれない人や、農業技術が未発達な人でも、食べ物を確保することができます。
 つまり、イモ類は、貧しかったり、無力だったりする人の味方ですね。発展途上国で、食べ物がなく、困っている人々を、救うことができます。
 イモ類は、どの種も、似て見えますね。けれども、分類学的には、多様です。例えば、ジャガイモは、ナス科ナス属に属します。サツマイモは、ヒルガオ科サツマイモ属です。サトイモは、サトイモ科サトイモ属です。ヤマノイモは、ヤマノイモ科ヤマノイモ属です。
 日本で、IYPを、あえて「国際イモ年」としたのは、意味があります。「ジャガイモだけでなく、多種のイモが、うまく利用されるように」という思いが、込められています。

 国際イモ年については、以下に、公式サイトがあります。
 IYP【国際イモ年】について 


図鑑↓↓↓↓↓には、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ヤマノイモが掲載されています。
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 過去の記事でも、イモ類や、イモ類に近縁な種を取り上げています。また、国際サンゴ礁年や、国際カエル年に関する記事もあります。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 昔は主食だった? サトイモ(2008/06/27)
 2008カエル年【amphibian ark 2008/YEAR OF THE FROG】(2008/02/29)
 ルリイロツルナスビ(2006/10/20) ※ジャガイモと同じナス科の植物画像
 ハンゲとハンゲショウの関係(2006/07/01) ※ハンゲ(カラスビシャク)はサトイモ科



2008年07月25日

ヒトデ退治は法螺【ほら】じゃない? ホラガイ

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 日本近海にいる中で、最大の巻貝は、何という種でしょうか? おそらく、ホラガイ(法螺貝)でしょう。ホラガイの殻の高さは、40cmにもなることがあります。
 ホラガイは、暖かい海に棲みます。サンゴ礁の海に多いですね。日本では、小笠原諸島や、南西諸島の近海に多いです。関東以北の海には、寒くて棲めないようです。
 こんなに大きくなるために、ホラガイは、何を食べるのでしょうか? ヒトデです。特に、オニヒトデを食べることで、有名です。あの棘だらけのヒトデを、ものともしません。
 ホラガイは、オニヒトデしか、食べないわけではありません。ヒトデ類全般を食べます。
 ホラガイの近縁種にも、ヒトデを食べるものがいます。ボウシュウボラなどです。
 ボウシュウボラは、ホラガイと同じ、フジツガイ科ホラガイ属に属します。ホラガイよりは、涼しい海に多いです。でも、氷があるほど寒い海にはいません。日本近海では、ホラガイに次いで、二番目に大きい巻貝といわれます。殻の高さ20cmほどになります。
 海の生き物で、ヒトデを食べるものは、少ないです。ホラガイやボウシュウボラ(房州法螺)は、数少ない例外です。なぜ、彼らは、ヒトデを食べるのでしょうか?
 この理由は、「多くの生き物が、ヒトデを食べない理由」と、関係があります。
 ヒトデの仲間は、ヒトデサポニンという物質を、体に含んでいます。ほとんどの生き物にとって、この物質は、毒です。ヒトにも毒です。だから、ヒトデは、普通には食用にされませんね。一部で食用にされますが、食べ過ぎれば、毒になるはずです。
 ホラガイやボウシュウボラは、何らかの方法で、ヒトデサポニンを解毒するのでしょう。おかげで、普通なら食べられないものを、食べられるようになりました。
 これは、生きるうえで、とても有利ですね。他の生き物と、食べ物が競合しないからです。食べ物がなくなる可能性が、少ないのですね。
 ホラガイは、オニヒトデ退治の切り札として、期待されます。積極的に、オニヒトデを食べる生き物は、ホラガイくらいしかいないからです。けれども、ホラガイの生態は、まだ、よくわかっていません。過度に期待するのは、禁物でしょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、ホラガイも、ボウシュウボラも掲載されています。
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 過去の記事でも、ホラガイと同じ、巻貝の仲間を取り上げています。また、ホラガイの食べ物になるヒトデも、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 オニヒトデは、サンゴ礁の悪役?(2008/07/18)
 アワビという種名の貝はいない?(2008/01/14)
 貝と付いても貝じゃない? モミジガイ(2007/04/27)
 潮干狩りの悪役、ツメタガイ(2006/04/17)
 ヒトデは海のギャングスター?(2006/04/14)
 鉄の鱗【うろこ】を持つ貝、スケーリーフット(2006/04/02) ※日本語名を「ウロコフネタマガイ」という巻貝の解説です。
などです。

2008年07月22日

チョウ(蝶)はチョウ目【もく】? 鱗翅目【りんしもく】?

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 いつの時代も、昆虫は、子どもに人気がありますね。夏休みの自由研究に、昆虫を取り上げる人も、多いでしょう。ところが、昆虫について調べると、困ることがあります。
 同じ昆虫でも、本やウェブサイトによって、分類が違います。例えば、カラスアゲハというチョウですと、「チョウ目アゲハチョウ科」という場合と、「鱗翅目【りんしもく】アゲハチョウ科」という場合があります。なぜ、こんなことがあるのでしょうか?
 前記の例を見ると、目【もく】という分類単位が、違うことがわかりますね。ここに、ヒントがあります。じつは、昆虫の目【もく】の呼び名は、近年、見直されています。
 以前は、例えば、バッタの仲間なら、直翅目【ちょくしもく】という目【もく】の名でした。それが、「このような漢字名では、難しすぎる」と言われ始めたのですね。直翅目をバッタ目という具合に、呼び替えが進みました。
 けれども、研究者の中には、「呼び替える必要はない」という人もいます。そのため、伝統的な目【もく】の名と、新しい目【もく】の名が、まぜこぜに使われています。
 これは、昆虫に限りません。他のどんな生き物でも、このようなことは、よくあります。
 分類の呼び名が変わるのは、生物学が、進歩している証拠です。研究が進んだために、「これまでの呼び名では、不都合だ」と、わかることがあります。
 現在の分類になるまでには、さまざまな変遷がありました。これからも、分類の呼び名は、変わるに違いありません。学問の進歩は、止まることがないからです。
 生き物に詳しくない人にとっては、面倒くさいですね。でも、これは、どうしようもありません。対策としては、「わからないことに出会ったら、必ず確認する」ことですね。
 以下に、以前からの目【もく】の名と、新しい目【もく】の名の、対応を示しますね。ここに示すのは、主なものだけです。全部は、とても書ききれません。

伝統的な名        最近の名       含まれる主な昆虫
古顎目【こがくもく】   イシノミ目      イシノミの仲間
総尾目【そうびもく】   シミ目        シミの仲間
蜉蝣目【ふゆうもく】   カゲロウ目      カゲロウの仲間
蜻蛉目【せいれいもく】  トンボ目       トンボの仲間
網翅目【もうしもく】   ゴキブリ目      ゴキブリの仲間(時にシロアリ含む)
等翅目【とうしもく】   シロアリ目      シロアリの仲間
蟷螂目【とうろうもく】  カマキリ目      カマキリの仲間
革翅目【かくしもく】   ハサミムシ目     ハサミムシの仲間
直翅目【ちょくしもく】  バッタ目       バッタ、コオロギの仲間
竹節虫目【ななふしもく】 ナナフシ目      ナナフシの仲間
総翅目【そうしもく】   アザミウマ目     アザミウマの仲間
半翅目【はんしもく】   カメムシ目      セミ、ヨコバイ、カメムシの仲間
脈翅目【みゃくしもく】  アミメカゲロウ目   ヘビトンボ、クサカゲロウの仲間
鞘翅目【しょうしもく】  甲虫(コウチュウ)目 カブトムシ、コガネムシの仲間
長翅目【ちょうしもく】  シリアゲムシ目    シリアゲムシの仲間
双翅目【そうしもく】   ハエ目        ハエ、アブ、カ(蚊)の仲間
毛翅目【もうしもく】   トビケラ目      トビケラの仲間
鱗翅目【りんしもく】   チョウ目       チョウ、ガ(蛾)の仲間
膜翅目【まくしもく】   ハチ目        ハチ、アリの仲間


図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する昆虫が、400種ほど掲載されています。
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 過去の記事でも、生き物の分類や、名前について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ネットで、知りたいことを上手に知るには? 番外編(2008/04/14) 
 トンビやオケラは、存在しない? 生き物の名前の話(2008/04/11)
 ホヤは脊索【せきさく】動物? 原索【げんさく】動物?(2007/08/28)
 クラゲは刺胞【しほう】動物? 腔腸【こうちょう】動物?(2007/08/24)
 新しい名前で出ています――魚類の改名(2007/02/02)
などです。

2008年07月21日

「朝顔」は、謎の植物?

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 日本人で、アサガオを知らない人は、いないでしょう。小学校の理科の時間に、登場しますよね。私も、小学生の頃、アサガオのつるが伸びる様子を、観察しました。
 アサガオは、日本が誇る園芸植物の一つです。江戸時代から、たくさんの品種が、作られました。昔の和歌や俳句にも、「朝顔」を詠んだものが多いですね。
 ところが、昔の文芸の「朝顔」は、今のアサガオとは、違う植物かも知れません。アサガオは、日本土着の植物ではないからです。
 アサガオが日本に来たのは、奈良時代か、平安時代といわれます。中国から、伝えられました。当初は、観賞用ではありませんでした。薬用です。アサガオの種子を、薬にしました。ですから、渡来したてのアサガオの花は、今ほど、美しくなかったでしょう。
 では、今のアサガオが来る前の「朝顔」とは、どんな植物だったのでしょうか?
 例えば、万葉集には、「朝顔」が登場する歌が、いくつかあります。「万葉集の『朝顔』は、現在のキキョウ(桔梗)」というのが、有力な説です。
 源氏物語にも、「朝顔」が登場します。主人公の光源氏の女友達に、「朝顔の姫君」という人がいます。朝顔の花について、歌を交わしたことから、この名が付いています。
 源氏物語の「朝顔」が、どんな植物を指すのかは、わかっていません。古来、議論になってきました。平安時代には、今のアサガオは、普及していません。有力な候補として、キキョウ、あるいは、ムクゲが、挙げられています。
 けれども、「渡来して間もないアサガオだった」説もあります。その根拠は、源氏物語に登場する歌にあります。「秋果てて霧の籬【まがき】に結ぼほれあるかなきかにうつる朝顔」という歌です。籬【まがき】とは、垣根の一種です。
 『結ぼほれ』という表現は、朝顔が垣根にからむ様子を、想像させますね。ならば、この「朝顔」は、つる植物でしょう。キキョウもムクゲも、つる性ではありません。
 源氏物語の「朝顔」は、今のアサガオだったのでしょうか? アサガオだとしたら、今よりも小さく、清楚な花だったでしょうか? いろいろ推測するのが、楽しいですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、アサガオが掲載されています。また、古代の「朝顔」であるキキョウやムクゲも載っています。
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 過去の記事でも、源氏物語にかかわる生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ムクゲ(木槿)は昔、朝顔だった?(2008/07/04)
 空蝉【うつせみ】とは、どんなセミ?(2008/06/30)
 源氏物語のヒロインも嘆く? ムラサキの運命(2008/06/06)
 鈴虫はマツムシ、松虫はスズムシ?(2005/10/03)


などです。

2008年07月18日

オニヒトデは、サンゴ礁の悪役?

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 2008年は、国際サンゴ礁年です。日本にも、美しいサンゴ礁がありますね。特に、南西諸島のサンゴ礁は、世界的に評価されています。
 残念ながら、日本のサンゴ礁も、その他の海域のサンゴ礁も、将来が安泰とは言えません。さまざまな原因で、痛めつけられているものが、多いです。
 サンゴ礁を食い荒らす「悪役」とされるのが、オニヒトデです。皆さんも、テレビなどで、見たことがあるのではないでしょうか? 棘だらけの、大きなヒトデです。
 オニヒトデを観察すると、不思議なことに気づきます。ヒトデなのに、腕が5本ではありません。普通のヒトデは、5本腕の星型(☆)をしていますよね。
 5本腕でないヒトデは、他にもいます。ヤツデヒトデや、タコヒトデなどです。ヤツデヒトデは、名のとおり、8本腕のものが多いです。タコヒトデは、たいへん腕の数が多く、20本以上もあります。オニヒトデは、14本から18本の腕を持ちます。