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2010年3月 8日

害魚が益魚に? うろこの秘密

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 二〇〇八年のことですが、興味深いニュースがありました。ある種の魚の鱗【うろこ】が、防弾チョッキの開発に役立つかも知れないというのです。
 防弾チョッキというと軍事技術ですね。「そんな恐ろしいものの話は、聞きたくない」方もいるでしょう。でも、待って下さい。このような技術は、平和利用できます。
 今回のニュースになったのは、ポリプテルス・セネガルスという魚です。アフリカに分布します。日本にはいません。けれども、熱帯魚としてペット屋で売られています。
 ポリプテルスの仲間は、特殊な鱗を持ちます。「ガノイン鱗」と呼ばれるものです。この鱗は、とても丈夫です。これのために、ポリプテルスの仲間は、怪我や病気をしにくいと考えられています。
実際、ポリプテルスの仲間は、長生きすることが知られます。
 この鱗を調べたところ、厚みがないのに『防御能力が非常に際だっている』ことがわかりました。この構造を真似れば、軽くて丈夫な「衝撃防止服」を作れそうです。
 「衝撃防止服」は、防弾チョッキとは限らないでしょう。例えば、建築現場など、危険な場所で作業する人の服にぴったりです。スポーツ選手のユニフォームにも、良さそうです。万が一、事故があっても、服のおかげで、命が助かるかも知れません。
 ガノイン鱗を持つ魚は、ポリプテルスだけではありません。ガーパイクの仲間も、ガノイン鱗を持ちます。ガーパイクの仲間は、北米から中米に分布します。
 同じガノイン鱗でも、ポリプテルスのものとガーパイクのものとでは構造が違います。しかし、丈夫なことは同じです。ガーパイクの鱗も、研究する価値はあるでしょう。
 ガーパイクの仲間は、多くが、「熱帯魚」ではありません。温帯に棲みます。この点が、ポリプテルスと違います。つまり、日本の普通の気候に適応しやすいわけです。
 これは、飼いやすさにつながります。飼いやすい生き物は、研究しやすいですね。
 今の日本で、ガーパイクの仲間は、外来魚として問題になっています。もしも駆除するならば、ただ殺すのではなくて、研究材料にしたらどうでしょうか? 手近な自然に学べることは、たくさんあると思います。


図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ポリプテルスや、ガーパイクは載っていません。そのかわり、日本の魚が五十種以上が掲載されています。
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「ポリプテルスと防弾チョッキ」のニュースは、以下に載っています。
西アフリカ原産の魚のウロコ、未来の防弾チョッキのモデルに 米研究(AFPBBニュース 2008/07/28)
 過去の記事でも、ガーパイクなど、日本の外来魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
琵琶湖で発見された「エンツイ」とは、どんな魚?(2007/11/08)
ワニに見えてもワニじゃない、ガーパイク(2006/09/16)
などです。

2010年3月 5日

ボケの果実は、なぜ少ない?

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 生き物の中には、変わった名前のものがいますね。植物のボケ(木瓜)は、珍名さんのうちに入るでしょう。ボケというのが正式な日本語名(標準和名)です。
 ボケは、古くから園芸植物として栽培されてきました。原産地は中国です。日本には、平安時代に入ったと考えられています。その頃から、美しい花を愛でられました。
 ボケとそっくりな別種として、クサボケ(草木瓜)があります。こちらは、日本原産です。ボケと同じく、バラ科ボケ属に属します。やはり、園芸植物として栽培されます。
 ボケもクサボケも、低木です。草ではありません。どちらの種も草と見まごうほど、小さな木ですね。クサボケのほうが全体的に小さいです。
 ボケや、クサボケは、枝が見えなくなるほど、びっしりと花を付けます。なのに、果実は、それほど多くありません。どう考えても、無駄花が多いですね。なぜでしょう?
 これには、二つの原因があると考えられます。一つは、ボケとクサボケの花には、雄花と両性花が混じることです。雄花は、果実になりません。花粉を出すだけの花です。
 もう一つは、花粉の運び手の問題のようです。ボケやクサボケの花は、都合の良い花粉の運び手を、見つけられていないらしいのです。
 ボケやクサボケが咲くのは、昆虫が少ない早春です。チョウやミツバチは、ほとんどいません。昆虫に花粉を運んでもらうなら、寒さに強いハナアブの類でしょう。
 ところが、昆虫を花粉の運び手とすると都合が悪いことがあります。ボケやクサボケの花には、蜜が多いのです。昆虫は、すぐに満腹してしまいます。体が小さいですからね。これでは、多くの花から花へ、花粉を運んでもらいにくいです。
 では、ボケやクサボケの花粉を運ぶのは、昆虫以外の動物でしょうか? 日本で、考えられる花粉の運び手としては鳥がいます。メジロやヒヨドリは、よく花を訪れますね。
 しかし、ボケやクサボケは低木です。これでは、鳥は訪れにくいでしょう。地上には、鳥の敵が多いからです。敵に襲われやすいところには、来たくないはずです。
 自然の中でボケやクサボケは、どうやって殖えていたのでしょうか? 謎です。


図鑑↓↓↓↓↓には、植物のボケ(木瓜)が掲載されています。
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 過去の記事でも、植物の花粉の運び手について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ネムノキは、本当に眠る?(2009/07/24)
咲いた、咲いた、チューリップ(2009/04/13)
ロウバイ(蝋梅)の花に来るのは、誰?(2009/02/02)
などです。

2010年2月26日

「たらの芽」は、タラノキの芽ではない?

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 日本の早春の味覚に、「たらの芽」がありますね。代表的な山菜です。スーパーにも並びます。売っているものは、栽培品が多いです。
 「たらの芽」は、タラノキの芽だといわれます。これは、間違いではありません。タラノキという種名の樹木は、確かにあります。日本の山に自生します。
 中には、タラノキの芽ではない「たらの芽」があります。例えば、ハリギリの芽です。
 ハリギリは、タラノキに近縁な樹木です。やはり、日本の山に自生します。
 ハリギリもタラノキも同じウコギ科に属します。ただし、属は違います。タラノキは、ウコギ科の中のタラノキ属です。ハリギリは、ウコギ科のハリギリ属です。
 ハリギリの芽も食べられます。ですから、ハリギリの芽を山菜として売るのは、悪くありません。ただ、ハリギリを「たらの芽」として売るのは、誤解を招きますね。
 タラノキの芽(本来の「たらの芽」)とハリギリの芽とを比べると、ハリギリのほうが、あくが強いといわれます。このため、ハリギリを食べない地方もあります。
 これは、好みの問題でしょう。「えぐみが強いほうが、山菜らしくていい」という方もいるはずです。ハリギリとタラノキには、それぞれの良さがあります。売るならそれを生かした売り方を考えて欲しいなと思います。
 タラノキとハリギリには、同じように棘があります。しかし、葉の形などは、似ていません。ハリギリの葉は、キリ(桐)に似ます。「針のあるキリ」ということで、ハリギリ(針桐)と名づけられました。
 キリとハリギリとは、遠縁です。キリは、キリ科に属します(異説もあります)。タラノキやらキリやら、他種と混同されてばかりでハリギリが気の毒ですね。
 有毒植物でなければ、たいていの植物の芽は食べられるそうです。私は、ブドウの芽の天ぷらを食べたことがあります。ブドウの果実と共通する香りがあって、美味しいものでした。もともと食用にする植物の芽なら安心して食べられますね。
 春は、若芽の季節です。味覚でも、春を感じたいですね。

図鑑↓↓↓↓↓には、タラノキ,ハリギリが掲載されています。
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 過去の記事でも、山菜にする植物を取り上げています。また、ハリギリと紛らわしいキリ(桐)も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
桐一葉、落ちて天下の秋を知る?(2009/09/21)
桐【きり】の名前で、きりきり舞い?(2009/05/08)
とろろの材料になるのは、ヤマイモ? ヤマノイモ?(2008/11/07)
などです。

2010年2月22日

刺すイソギンチャクがいる?

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 今回は、ちょっと危険な生き物の話をしましょう。海で刺す生き物です。
 海で刺すものといえばクラゲが思い浮かびますね。クラゲは、刺胞動物【しほうどうぶつ】というグループに属します。同じグループに、イソギンチャクも属します。
 イソギンチャクが刺すなんて聞いたことがない人が多いでしょう。すべてのイソギンチャクが刺すわけではありません。海水浴で、よく会う種―ウメボシイソギンチャク、ミドリイソギンチャクなど―は、刺しません。安心して下さい。
 けれども中には、刺すイソギンチャクがいます。そういったイソギンチャクは、熱帯の海に多いです。また、ダイビングでなければ行けない程度の深さにいることが多いです。熱帯の海に行く方やダイビングをやる方は、注意が必要です。
 日本近海に、普通に分布する種としては、スナイソギンチャクがいます。この種は、以前、このブログで取り上げましたね(どっちがどっち? スナイソギンチャクと、スナギンチャク(2009/10/5))。スナイソギンチャクは、ヒトを刺します。
 以前に書いたとおり、スナイソギンチャクは、とても美しいです。でも、触らないようにしましょう。観賞用には、良い生き物です。
 ダイバーの方は、カザリイソギンチャクに注意しましょう。この種は、おおむね、水深20m以上のところに棲みます。ですから、海水浴で会うおそれは、まず、ありません。
 カザリイソギンチャクは、昼と夜とで、まったく違う姿になります。昼は、触手を縮めています。イソギンチャクに見えません。全体が、房状のもので覆われています。この房状のものが、ヒトを刺します。素手で触ってはいけません。
 夜のカザリイソギンチャクは、触手を伸ばします。触手だけでなく、体全体も、伸び上がるように大きくなります。イソギンチャクらしい姿です。房状のものは、目立たなくなります。しかし、刺すことに変わりはありません。触らず、見るだけにしましょう。
 夜のカザリイソギンチャクの姿は、神秘的です。英語名に、night anemone(夜のアネモネ)とあるのに納得します。ナイトダイビングをやる方には楽しみとなるでしょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、カザリイソギンチャク、スナイソギンチャク、ミドリイソギンチャクなどが掲載されています。
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 過去の記事でも、イソギンチャクの仲間や、刺す海の生物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
管の中の花? ハナギンチャク(2009/04/27)
イソギンチャクは逆さのクラゲ?(2008/04/21)
海藻【かいそう】? いいえ、イラモはクラゲです(2007/07/16)
などです。

2010年2月19日

木花開耶姫【このはなさくやひめ】は、ウメの女神だった?

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 探梅【たんばい】という言葉を御存知でしょうか? 観梅【かんばい】と似て違う言葉です。冬のまだ寒い時期にウメの花を探しながら歩くことです。
 ウメの花盛りに見るのは探梅とは言えません。それは観梅です。
 探梅という言葉には春を待ち望む気持ちがよく表われていますね。ウメの花は、日本の早春を象徴するものです。それを探すのは、春を探すのと同義でしょう。江戸時代の俳句『梅一輪 一輪ほどのあたたかさ』が描く境地です。
 こんなに好まれているのにウメは、日本原産ではありません。中国原産です。歴史時代の早いうちに、日本に入ったと考えられています。
 奈良時代以前は木の花【このはな】といえば、ウメの花を指しました。当時の日本人、少なくとも知識階級の日本人は、サクラよりウメを好んだようです。
 その理由は当時のウメが、外国から来て間もない植物だったからです。外国の進んだ文化を表わす花でした。日本人の外来文化好きは、この頃からあったのですね(笑)
 似た例として、桃(モモ)があります。奈良時代以前の日本では、ウメの花とモモの花とが並び称されました。モモも中国原産の植物です。
 モモといえば、古事記の日本神話に登場するのが有名です。モモの果実を投げつけることによって、黄泉醜女【よもつしこめ】という魔物が追い払われました。モモを魔除けとするのは、中国の思想を受け継いだといわれます。
 ウメは、日本神話に登場しないのでしょうか? それらしき名が、古事記と日本書紀にあります。木花開耶姫【このはなさくやひめ】(漢字表記は他にもあり)です。
 一般的には、木花開耶姫は、サクラ(桜)の花の女神さまとされていますね。けれども、古事記や日本書紀ができた頃、「木の花」とは、ウメの花を指したはずです。
 木花開耶姫は、最初は、ウメの花の女神さまだったのではないでしょうか。平安時代以降、サクラのほうが好まれるようになってから、サクラの女神さまになったのではないかと思います。神さまも、時代に合わせて変わるのでしょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、ウメが掲載されています。
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 過去の記事で、ウメと同じく、古事記などに登場する生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
カワセミと翡翠【ひすい】との関係は?(2009/08/05)
「かげろう」の正体は、イトトンボ?(2008/10/03)
食用ナマコはどんなナマコか?(2007/01/22)
花も実もある魔除けの木、モモ(2006/03/03)
などです。

2010年2月15日

冬にも、カゲロウ(蜉蝣)がいる?

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 冬は、生き物を見ることが少ないですね。特に、昆虫は死に絶えてしまったかのようです。セミもトンボもカブトムシも目にしませんね。
 ところが、いるところにはいるものです。例えば、水の中です。
 日本の淡水中には、たくさんの水生昆虫が棲みます。ゲンゴロウやタガメが有名ですね。他に、トンボの幼虫(ヤゴ)やカゲロウの幼虫もいます。
 幼虫に限っていえば、真冬でもトンボやカゲロウが見られます。水中は、陸上より温度が安定しているからです。トンボやカゲロウは、幼虫の姿で冬を越します。
 カゲロウといえばはかなさを象徴する虫ですね。「真冬の水中で生きている」というと、意外に感じるでしょう。カゲロウの成虫は、確かに数日の命です。けれども、幼虫は数ヶ月にわたって生きます。
 種によっては、早春の三月ごろ成虫になるカゲロウもいます。ナミヒラタカゲロウ、マエグロヒメフタオカゲロウなどです。タニヒラタカゲロウやキョウトヒメフタオカゲロウなどは二月のうちから羽化【うか】(成虫になること)が見られます。
 ややこしいことに、「○○カゲロウ」という種名の昆虫の中に、カゲロウの仲間でないものがいます。ウスバカゲロウ、クサカゲロウなどは、カゲロウ目【もく】の昆虫ではありません。普通にはカゲロウと言えば、カゲロウ目に属する昆虫を指します。
 ウスバカゲロウやクサカゲロウはどこに属するのでしょうか? 彼らは、脈翅目【みゃくしもく】に属します。脈翅目は、アミメカゲロウ目【もく】ともいいます。
 ウスバカゲロウとは、脈翅目のウスバカゲロウ科に属する種の総称です。クサカゲロウは、脈翅目のクサカゲロウ科に属する種の総称です。ただし、ウスバカゲロウとクサカゲロウの分類には異説もあります。異説でもカゲロウ目とは遠縁です。
 カゲロウ目のカゲロウは、すべて幼虫が水中に棲みます。お近くに水のきれいな渓流があれば、早春に羽化するカゲロウが見られるかも知れません。まだ寒い中では、とても弱々しく見えます。彼らにしてみれば、懸命に命の火を燃やしているのでしょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、脈翅目【みゃくしもく】のウスバカゲロウとクサカゲロウが掲載されています。
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 過去の記事でも、カゲロウや、早春に出る昆虫を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
春のチョウ(蝶)? いえ、ガ(蛾)です(2009/03/09)
「かげろう」の正体は、イトトンボ?(2008/10/03)
はかないようでしぶとい? カゲロウ(2006/09/04)
などです。

2010年2月12日

ふきのとうは、食用花?

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 春が恋しい季節ですね。早いところでは、ふきのとうが出ているでしょうか。
 ふきのとうは、フキの花です。普通は、花が開く前つぼみの状態のものを食べます。花らしくない姿のため、食用花といわれてもぴんと来ませんね。
 フキの花には、花びらがありません。このため、開いた姿も地味です。花の姿からは想像しにくいですが、フキはキク科に属します。あの美しいキク(菊)の仲間です。
 フキは、ふきのとう以外の部分も食べますね。茎(葉柄)の部分を食べることは、有名です。葉も佃煮などにして食べられます。
 大きなフキの葉は、食べる以外にも利用できそうですね。実際、アイヌの人たちは、フキの葉をいろいろに利用したそうです。山の中などで、食器がない時はフキの葉でお椀【わん】を作りました。鍋や釜にもなったといいます。
 フキの葉を何枚かつづり合わせれば、レインコートになりました。急に雨にあった時、便利ですね。狩りの途中などで、野宿する時にはフキの葉で屋根を葺【ふ】いて小屋を作ったそうです。衣食住、すべてに使える草ですね。
 アイヌの人たちばかりでなく、昔の日本人も同じようにフキを利用していたのではないでしょうか。ただ、伝承があまり残っていないだけではないかと思います。昔、山里で暮らしていた人々にとっては便利に使えそうなものです。
 フキの利用法で面白いと思ったのは、「食べ物を発酵させるのに使う」ことです。これも、アイヌの人たちの利用法です。
 アイヌの人たちにとって、オオウバユリという植物の根は大切な食料でした。この根から、でんぷんを取った後のかすを、フキの葉何重にも包みます。すると、虫がつかず、発酵がうまく進んだといいます。
 フキの葉には、虫を避ける効果や発酵を進める効果があるのかも知れません。フキの近縁種には、ハーブとして使われるものがあります。昔の知恵を見直してみると、現在の私たちにも役立つことがありそうです。


図鑑↓↓↓↓↓には、フキが掲載されています。また、ウバユリ(オオウバユリは、ウバユリの変種)も載っています。
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 過去の記事でも、食用になる野草を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
田で平たくなるから、タビラコ(田平子)?(2009/01/16)
ハコベという植物は、ない?(2009/01/05)
ハハコグサは、母子草ではない?(2008/02/15)
三月三日は草餅【くさもち】の節句?(2007/03/02)
などです。

2010年2月 8日

天然記念物なのに、絶滅しそうなのは、なぜ?

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 天然記念物という言葉を聞いたことがおありでしょう。貴重な動物や植物、鉱物が指定されます。有名なものには、ツシマヤマネコ、ヤンバルクイナなどがいます。
 天然記念物に指定されると捕獲・採集などが禁止されます。保護されるわけですね。
 ここで、不思議に思った人はいませんか? 保護されているのなら、なぜ、ツシマヤマネコやヤンバルクイナは「絶滅しそうだ」と騒がれるのでしょうか?
 じつは、日本の「天然記念物」という制度には不備が多いのです。できた時代が、古いためです。もちろん、良いところもありますが。
 天然記念物には、国が指定するものと地方自治体が指定するものとがあります。ここでは、国が指定するものについて説明します。
 天然記念物は「文化財保護法」という法律に基づく制度です。法律の名に、注目して下さい。「文化財」です。「生き物」や「動植物」ではありません。
 「文化財」とは、人間が手を入れたものですね。そもそも、この法律は「人間が手を入れたものを保護する」のが目的です。自然の生き物を保護する目的にはそぐいません。
 この法律ができたのは、一九五〇年です。この法律の前身となる法律が、一九一九年にできています。じつに、大正九年のことです。この頃の古い考えを法律は引きずっています。現在の考えでは「天然」とは言いがたいものが、天然記念物に含まれます。
 例えば、「日本犬」が天然記念物に指定されています。普通にいる柴犬も天然記念物です。捕獲禁止のはずの天然記念物が、飼われているなんてびっくりですね。
 昔は、家畜であろうと野生動物であろうと「生き物」は、一くくりにされたのでしょう。家畜は家畜で、保護するべきだと思います。けれども、野生動物と家畜とを同じ基準で保護するのは無理がありますね。今のままの法律では不自由です。
 法律を変えるのは、大変なことです。国民の同意がなければ、変えてはいけないものでしょう。でも、良い方向へ変えるなら、国民の同意が得られるのではないでしょうか。


図鑑↓↓↓↓↓には、ツシマヤマネコ、ヤンバルクイナなどたくさんの天然記念物が掲載されています。
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 過去の記事で、天然記念物に指定された生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
カメの腹筋? セマルハコガメ(2009/09/28)
貝に卵を産む? 不思議な魚たち(2007/03/30)※国指定の天然記念物のミヤコタナゴを取り上げています。
ヤンバルクイナは絶滅寸前?(2006/10/2)
天然記念物というものはどういうものですか?(2006/03/28)
などです。

2010年2月 5日

昔は神さまだった? アビ

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 日本は、八百万【やおよろず】の神々がいる国ですね。昔の日本人は、ありとあらゆるものに神が宿ると考えたようです。動植物が神とされることも多くありました。
 瀬戸内海のある地方では、アビという鳥の仲間が神とみなされたことがありました。正確には、アビ科に属するシロエリオオハムという鳥です。
 アビ科の種はみな水鳥です。カモのように水に浮いて泳ぎます。けれども、アビとカモとは近縁ではありません。カモはカモ科に属します。
 日本で見られるアビ科の種は、アビ、シロエリオオハム、オオハムなどです。日本の多くの地方では冬鳥です。春から夏は、シベリアなどの北方にいます。
 シロエリオオハムが、日本で神とされたのは魚がいる場所を教えてくれたからです。彼らは、魚のいる海域に集まるのですね。魚食性だからです。漁師さんたちは、彼らの群れを目印に漁をしました。シロエリオオハムは、阿比神【あびがみ】と呼ばれたそうです。
 阿比神が教えてくれたのは、もっぱらイカナゴという魚でした。細長い魚です。成魚になると、全長が25cmくらいになります。幼魚のうちに、漁獲することも多いです。インナゴ、コウナゴ、カマスゴなどの方言名で知られています。
 イカナゴの漁は現在も続いています。しかし、アビ漁(シロエリオオハムの群れを目印にする漁)は、絶えてしまいました。日本に来るシロエリオオハムの数が減ったからです。もはや、魚に群れるほどのシロエリオオハムは瀬戸内海では見られません。
 彼らが減った原因は、主に環境破壊と考えられています。まず、彼らが食べるイカナゴが減りました。海底の砂を取りすぎたことが、イカナゴが減った原因だろうといわれます。イカナゴは、砂がない海には棲めません。砂にもぐって休眠するからです。
 アビ漁が行なわれた頃の瀬戸内海では、自然保護のお手本が見られました。神とまで呼ぶ鳥を、大切にしない人などいるはずがありません。豊かな海で、イカナゴを分け合うのは、鳥にとっても人にとっても、幸せなことだったろうと思います。
 自然環境の破壊は、文化まで破壊するのですね。悲しい実例です。


図鑑↓↓↓↓↓には、アビが掲載されています。
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 過去の記事でも、海に棲む鳥を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
都鳥【みやこどり】の正体は、ユリカモメ?(2009/01/23)
オオワシとオジロワシには、流氷が似合う(2008/02/08)
カモメは冬にしかいない?(2006/10/23)

2010年2月 1日

そっくりさんがいっぱい、スジエビ

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 スジエビという種名のエビがいます。日本の淡水域で、普通に見られます。透明の体に、筋【すじ】模様があるから、スジエビです。5cmくらいの、かわいいエビです。
 スジエビには、たくさんの別名があります。カワエビ、モエビ、コエビなどです。スジエビという名を知らなくても、これらの名で知っている方も、いるでしょう。
 別名が多いのは、人に親しまれている証拠です。スジエビは、食用や、釣り餌用に捕られます。小さいので、まとめて佃煮などにされることが、多いです。
 日本の淡水域には、スジエビと似た小型のエビが、他にもいます。ヌマエビ、ヌカエビ、ミゾレヌマエビ、ヤマトヌマエビなどです。これらの種は、ヌマエビ科に属します。けれども、スジエビは、ヌマエビ科ではありません。テナガエビ科です。
 ヌマエビ科には、スジエビのような筋模様の種は、いません。とはいえ、水中でぱっと見ただけでは、区別は難しいでしょう。
 スジエビには、他にも、そっくりさんがいます。スジエビと同じく、透明な体に、筋模様があるエビたちです。イソスジエビ、スジエビモドキなどの種です。
 「イソ」スジエビは、名のとおり、磯に棲みます。スジエビモドキも、海に棲む種です。生息場所が違うので、スジエビとは区別できます。イソスジエビのほうが、スジエビモドキより、筋模様の数が多いです。
 棲む場所が違っても、スジエビと、イソスジエビ、スジエビモドキは、互いに近縁です。三種とも、テナガエビ科スジエビ属に属します。
 スジエビ属は、ラテン語の学名をPalaemonといいます。これは、ギリシャ神話の海の神、パライモーンの名にちなみます。パライモーンは、元は人間でした。
 ギリシャ神話の海神といえば、ポセイドーンが有名ですね。パライモーンは、最初から神だったポセイドーンより、人に近しい存在でした。古代の水夫に人気だったようです。
 イソスジエビなどのスジエビ属は、沿岸の海で、人に親しまれています。海神の中でも、パライモーンの名が付けられたのは、そのためではないでしょうか。


図鑑↓↓↓↓↓には、スジエビ、イソスジエビが掲載されています。
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過去の記事でも、エビの仲間を取り上げています。また、ギリシャ神話の海の神の名を持つ生き物も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
平たい体は何のため? ウチワエビ(2008/12/19)
おせち料理の海老【えび】はクルマエビ?(2007/01/11)
海中のサンタクロースはエビ?(2006/12/10)
などです。

2010年1月31日

ジュウガツザクラ

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ジュウガツザクラ 画像
和名:ジュウガツザクラ 
学名:Cerasus X subhirtella Autumnalis 'Makino'
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東京都 新宿区【2010.01.20】

図鑑↓↓↓↓↓には、ソメイヨシノ、オオシマザクラ、ヤマザクラが掲載されています。
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2010年1月29日

ビロウとビンロウとは、違う? 同じ?

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 寒い日が続きますね。今回は、寒さしのぎに、暖かいところの植物の話をしましょう。ヤシ科の植物です。ヤシ(椰子)といえば、反射的に、南の国が思い浮かびますね。
 ヤシ科の種には、圧倒的に、熱帯のものが多いです。温帯に分布するのは、ほんの少しです。日本の本土に分布するヤシは、シュロ(ワジュロ)と、ビロウくらいです。
 ビロウ(蒲葵)は、日本では、四国南部から九州、南西諸島にかけて分布します。これら以北の地でも、観賞用に植えられることがあります。
 紛らわしいことに、ビンロウジュ(檳榔樹)というヤシの一種もあります。ビンロウ(檳榔)とも呼ばれる種です。ビロウと、ビンロウとは、まったくの別種です。ビンロウジュのほうは、日本の本土には分布しません。ビロウより、寒さに弱いからです。
 なぜ、こんな紛らわしい名前が付いたのでしょうか? 起源は、奈良時代以前にさかのぼります。その頃、ビロウ―ビンロウジュではありません―は、「あぢまさ」と呼ばれていました。古事記や風土記に、「あぢまさ」の名が登場します。
 古代の日本人は、「あぢまさ」に漢字名を当てる時、間違えて「檳榔」を当ててしまいました。「檳榔」は、ビンロウジュのほうを指す名なのに、です。
 平安時代くらいになると、「あぢまさ」を、「びろう」とか「びんろう」などと呼ぶようになります。「檳榔」の読みに引きずられたからでしょう。
 やがて、本物のビンロウジュ(檳榔樹)が、日本で知られました。その時に、漢字名をそのまま読んだ「ビンロウ」という名を、日本語名にしてしまいました。かくして、同じヤシ科に、紛らわしい種名ができたわけです。
 平安時代以前の文書に、「檳榔」が登場したら、それは、まず間違いなく、ビロウを指します。ビンロウジュではありません。現在では、ビロウの漢字名は、「蒲葵」とされることが多いです。「蒲葵」は、正しくビロウを指す漢字名とされます。
 日本の本土では、ヤシ科の植物に、あまり馴染みがありません。そのために、ヤシ科の種が、混同される傾向があります。ヤシ科の種名には、要注意ですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、ビロウ(ビンロウジュではありません)が掲載されています。
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過去の記事でも、種名が紛らわしい植物同士を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
桐油は、キリ(桐)からは採れない?(2009/07/10)
センダン(栴檀)とは、どんな植物?(2009/05/04)
五月五日は、あやめの節句?(2007/4/30) 
などです。

2010年1月25日

ハリセンボンに、毒はあるか?

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 ふぐ料理が美味しい季節ですね。日本人は、昔からフグを食べてきました。毒があるとわかっているのに、です。フグには、すべて、毒があるのでしょうか?
 この答えは、フグの定義によって、違ってきます。フグ目【もく】フグ科に属する種は、ほとんどが、何らかの形で、毒を持つようです。
 フグ目でも、フグ科以外に属する種には、毒がないものが多いです。例えば、ハリセンボン科や、マンボウ科―マンボウもフグ目です―の種には、毒はありません。
 ハリセンボン(針千本)という名は、よく知られますね。名に反して、ハリセンボンには、千本の針はありません。せいぜい、四百本くらいだそうです。
 ハリセンボンとは、フグ目ハリセンボン科に属する種の総称です。この仲間の外見は、普通のフグに似ます。ただし、それは、膨らんでいない状態の時です。膨らむと、「いがぐり」のように、棘だらけになります。
 この棘が、ハリセンボンが毒を持たない理由でしょう。棘で防御していれば、毒を持つ必要はありませんね。興味深いことに、マンボウも、幼魚のうちは棘を持ちます。マンボウの場合、成魚は非常に大きいので、棘で身を守る必要がないのでしょう。
 どうせなら、ハリセンボンは、棘に加えて毒もあれば、もっと強そうですよね。フグの仲間なのに、なぜ、そうならなかったのでしょう? それは、自然界には、「なるべく無駄なことをしない」という法則が働くからです。
 棘を作ったり、毒を持ったりするには、エネルギーがかかります。防御手段を持ちすぎると、敵にやられなくても、食べ物が足りなくて、死んでしまうかも知れません。このために、「棘と毒」のような、何重もの防御手段を持つ種は、少ないです。
 ところが、ハリセンボンには、棘が利かない敵がいます。そう、ヒトですね。
 沖縄などの地方では、ハリセンボンを食べます。棘だらけの皮をむけば、美味しく食べられます。旬【しゅん】は、フグと同じく、冬だそうです。
 ハリセンボンが、ヒトに対抗するには、進化の時間が足りなかったようですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、ハリセンボン科の一種ヒトヅラハリセンボンが掲載されています。
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過去の記事でも、フグ目【もく】に属する種(マンボウ)を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
「翻車魚」と書くのは、どんな魚?(2009/07/13)

2010年1月22日

かわいい悪魔? イイズナ

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 今回は、とてもかわいい生き物を紹介しましょう。イイズナです。哺乳類の一種です。日本では、東北地方の一部と、北海道に分布します。
 イイズナのかわいさは、まず、体が小さいことにあります。全長が、20cmほどしかありません。ハツカネズミと、あまり変わらない大きさです。ただ、胴が長い体型のため、ハツカネズミよりは大きく見えます。ネズミは、尾が長いですからね。
 つぶらな瞳の顔も、かわいいです。最近、ペットとして人気の、フェレットに似ます。
 イイズナの体色は、夏と冬とで違います。夏は、背が茶色で、腹が白です。冬は、全身、白くなります。この体色も、かわいさを増しています。
 こんなにかわいいイイズナは、何を食べるのでしょう? じつは、彼らは肉食です。自分と同じくらいの大きさの、野ネズミなどを襲って食べます。すばしこいため、小鳥さえ、捕らえることができます。見た目に似合わない獰猛【どうもう】さです。
 イイズナは、日本だけでなく、ユーラシア大陸と、北米に、広く分布します。食肉目【しょくにくもく】イタチ科に属します。最小のイタチ、といえるでしょう。イタチ科どころか、肉食性の哺乳類の中で、最小だといわれます。つまり、世界最小の肉食獣です。
 イイズナと似たものに、オコジョがいます。オコジョも、イタチ科の肉食獣です。夏と冬で、体色が変わるのも、同じです。けれども、オコジョとイイズナとは、別種です。
 日本のイイズナは、数が少ないです。特に、本州のイイズナは、絶滅のおそれがあります。加えて、体が小さいため、目撃するのは難しいです。このためか、昔の日本では、謎めいた生き物とされたようです。妖怪のように見られたこともありました。
 外見と性質とのギャップが、イイズナを「妖怪」に見せたのかも知れません。もちろん、実在のイイズナは、小さいだけで、普通の肉食獣です。妖怪ではありません(笑)
 イイズナは、比較的、寒いところに棲みます。現在の日本のように、高温化の傾向があるところでは、棲みにくいでしょう。高温化の責任が、人間にあるとすれば、イイズナの未来も、人間にかかっています。日本のイイズナを、滅ぼしたくありませんね。


図鑑↓↓↓↓↓には、イイズナが掲載されています。
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 過去の記事でも、イイズナと同じく、イタチ科の哺乳類を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
冬に黄色くなる? テン(貂)の謎(2008/12/15)
白貂【しろてん】の正体はオコジョ?(2008/02/01)

2010年1月18日

プラナリアは、美術モデル?

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 プラナリアという生き物を、御存知ですか? 水中に棲む生き物です。小さくて、平たい体をしています。大きさは2cmくらいしかありません。
 「それなら、教科書で見たよ」という方が、多いのではないでしょうか? たいていの生物の教科書には、プラナリアが載ります。実験動物として、よく使われるからです。
 プラナリアには、驚異的な再生能力があります。一頭のプラナリアを半分に切っても、死にません。半分ずつが、それぞれ完全な一個体にまで再生します。
 実験に使われる理由は、再生能力の高さばかりではありません。他に、いくつもの理由があります。なかで注目すべきは、「脳」を持つことです。
 脊椎動物【せきついどうぶつ】は、みな、脳を持ちますね。ヒトや、ニワトリ、トカゲ、カエル、サメ、マグロなどです。けれども、動物全体を見ると、「脳」を持つものは、限られます。例えば、クラゲや、カイメン(海綿)は、脳を持ちません。
 動物が、進化のどの段階から「脳」を持ったのかは重要な問題です。これを調べるには、動物の中で、最初に「脳」を持ったものがどれか知る必要があります。
 プラナリアには、かろうじて「脳」と呼べそうなものがあります。プラナリアの仲間を調べれば、「脳」の起源について得ることがあるでしょう。
 プラナリアの仲間とは、扁形動物門【へんけいどうぶつもん】渦虫綱【うずむしこう】三岐腸目【さんきちょうもく】というグループのことです(分類には、異論があります)。
 じつは、プラナリアとは、一種の動物だけを指す言葉ではありません。前記のグループ全体を指します。一般的には、このグループ内のナミウズムシという種を指すことが多いです。実験動物にされるのも、教科書に載るのも、多くはナミウズムシです。
 プラナリアは、理科の教科書に載るだけとは限りません。ひょっとすると、美術の教科書で、会えるかも知れません。彼らは、ある絵画で立派にモデルを務めています。
 その絵画は、M.C.エッシャーという画家が描いたものです。『偏平虫類』とか『扁虫たち』などと訳される題です。とてもかわいいですよ。ぜひ、画集などで見てみて下さい。


図鑑↓↓↓↓↓には、プラナリア(ナミウズムシ)が掲載されています。
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 過去の記事でも、プラナリアと近縁な生き物(扁形動物【へんけいどうぶつ】)を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
梅雨時のエイリアン? コウガイビル(笄蛭)(2008/05/30)

2010年1月15日

ナンテンの赤い実は、鳥のため?

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 今の季節、ナンテン(南天)が赤い果実を付けていますね。日本では、よく庭に植えられる木です。それは、縁起が良い木とされるからです。
 ナンテンという名は、「難を転ずる」に通じます。このため、鬼門【きもん】や裏鬼門【うらきもん】に植えられます。鬼門や裏鬼門とは、縁起が悪いといわれた方角です。
 「縁起が悪い方角」などというのは迷信です。けれども、ナンテンの縁起が良いとされたのには、語呂合わせ以外に多少の根拠があります。
 ナンテンには、薬効成分があります。葉や果実を漢方薬に使うことがあります。薬になる植物を「縁起が良い」とするのは当然ですね。
 なぜ、ナンテンには、薬効成分があるのでしょうか? まさか、ヒトに利用されることを見越して、薬効成分が生まれたわけではないでしょう。
 一つの仮説として「鳥に、あまりたくさん食べられないようにするため」というものがあります。これには、説明が必要ですね。
 ナンテンの赤い果実は、鳥を惹きつけます。ナンテンは、果実を鳥に食べてもらうことによって、種子をばらまきます。でも、いっぺんにたくさん食べられると、都合が悪いことがあります。少しずつ、あちこちにばらまいてもらうことが、できません。
 ナンテンにしてみれば、あちこちに種子を落としてもらったほうが、生息地を広げることになります。そうするには、少しずつ食べてもらったほうがいいわけです。
 薬は食べ過ぎれば毒になります。例えば、ナンテンの果実をたくさん食べた鳥が、おなかを壊したら? 次からは、その鳥はナンテンの果実を食べようとしないでしょう。空腹に耐えかねた時だけ、少し食べるはずです。
 ナンテンの果実がなるのは、野鳥にとって食べ物が少ない季節です。たいていの野鳥は、少しずつ、ナンテンの果実を食べざるを得ないのではないでしょうか。
 これは、まだ仮説に過ぎません。しかし、ある程度の説得力がありますね。ナンテンは、鳥を利用するつもりが、ヒトに利用されることになったのでしょうか。


図鑑↓↓↓↓↓には、ナンテンが掲載されています。
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 過去の記事でも、赤い果実を付ける植物を取り上げています。これらの植物は、鳥に果実を食べてもらうように進化した、といわれます。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
生垣のスター、サンゴジュ(珊瑚樹)(2009/10/12)
八十年越しの純愛? アオキ(青木)(2008/02/04)
扉【とびら】に挿すトベラの木(2007/01/29) 
などです。

2010年1月11日

チョウ(蝶)の学名は、美女だらけ?

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 昆虫の中でもチョウは、多くの人に好まれますね。美しい種が多いからでしょう。チョウの学名はそれを反映しています。伝説の美女の名が付いたものが多いです。
 以前、「学名は、必ずラテン語で付けられる」とお話ししましたね(学名と標準和名とは、違う? 同じ?(2009/08/07) )。ラテン語は、古代ローマで使われた言語です。そのため、学名に登場する人物名は、ローマ神話のものが多いです。ローマ神話の基になった、ギリシャ神話の人物名もよく使われます。実例をいくつか挙げてみましょう。
 スジグロシロチョウというチョウがいます。日本全国で見られる平凡なチョウです。このチョウの学名は、Pieris meleteといいます。melete(メレテー)とは、ギリシャ神話の女神の名です。芸術の女神、ムーサたちの一員だったと伝わります。
 クロヒカゲというチョウもいます。この種の学名は、Lethe dianaです。diana(ディアナ)とは、ローマ神話の月の女神の名です。ディアナは、狩猟の女神でもあります。勇ましくて、美しい女神さまです。
 ジャノメチョウ、または、ナミジャノメという種名のチョウがいます。この種の学名は、Minois dryasです。dryas(ドリュアス)とは、ギリシャ神話に登場する「樹木の妖精」のことです。命名者はこの種に、「妖精」のイメージを感じたのでしょうか。
 イチモンジチョウは学名を、Limenitis camilla、または、Ladoga camillaといいます。camilla(カミラ)とは、ローマ神話に登場する女狩人の名です。メタブスという王の娘でした。王女さまですね。女神ディアナに仕え、ディアナと似た勇ましい女性でした。
 コミスジというチョウもいます。この種の学名は、Neptis sapphoです。sappho(サッポー)とは、古代ギリシャに実在した女性の名です。生前から、著名な詩人でした。ロマンティックな恋愛詩を残しています。
 中には、「こんな地味なチョウに、なぜこんな名が?」というものもあります。命名の理由は、必ずしも明らかではありません。実物のチョウと、学名とを見比べて、想像の翼を広げてみましょう。隠れた美しさを、発見できるかも知れません。


図鑑↓↓↓↓↓には、スジグロシロチョウ、クロヒカゲ、ジャノメチョウ(ナミジャノメ)、イチモンジチョウ、コミスジが掲載されています。
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 過去の記事でも、ラテン語の学名で、美女の名が付いた生き物を取り上げています。また、今回、学名を取り上げたチョウを、扱った記事もあります。学名について、説明した記事もあります。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
一つの種に、複数の学名は、あり?(2009/08/24)
学名の正しい読み方は?(2009/08/19)
学名で分類がわかるって、本当?(2009/08/17) 
モンシロチョウ(紋白蝶)は、日本にいなかった?(2008/04/04)
クラゲと付いてもクラゲでない? ツノクラゲ(2006/07/29) 
などです。

2010年1月 8日

冬にも、バッタやキリギリスがいる?

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 キリギリスやコオロギの声は、すっかり聞こえない季節になりました。みな、卵を残して、死に絶えてしまったようです。親の昆虫は、どこにもいないのでしょうか?
 確かに、日本のバッタ目【もく】の昆虫には、卵で冬を越すものが多いです。けれども、中には、成虫で冬を越す種もいます。
 とはいえ、冬にキリギリスやバッタを見ることなんて、まずありませんね。彼らは、どこで、どうしているのでしょう? 落ち葉の下などに、じっと隠れています。
 成虫で冬越しをする中で、有名なのは、クビキリギスとツチイナゴです。クビキリギスは、バッタ目のキリギリス科に属します。ツチイナゴは、バッタ目のイナゴ科に属します。
 同じバッタ目でも、クビキリギスとツチイナゴとは、さほど近縁ではありません。なのに、生活サイクルは似ています。夏に卵から孵化【ふか】し、秋に成虫になります。そして、成虫で冬を越します。春になってから、交尾や産卵を行ないます。
 クビキリギスやツチイナゴ以外にも、成虫で冬を越すものがいます。トゲヒシバッタ、ハラヒシバッタ、ハネナガヒシバッタ、ノミバッタなどです。
 前記のうち、トゲヒシバッタ、ハラヒシバッタ、ハネナガヒシバッタは、バッタ目のヒシバッタ科に属します。ノミバッタは、バッタ目のノミバッタ科に属します。
 ヒシバッタ科には、成虫で冬を越す種が多いです。が、すべてのヒシバッタ科が、そうするわけではありません。近縁でも、生活サイクルが同じとは、限らないのですね。
 越冬形態が決まっていない(らしい)種もいます。例えば、ハラヒシバッタは、幼虫で越冬する場合と、成虫で越冬する場合とがあるようです。どういう条件でそうなるのかは、わかっていません。この種の生態には、他にも、不明なことが多いです。
 分類がどうあれ、成虫で越冬するバッタやキリギリスには、共通する要素があります。成虫の体色が、茶色っぽいことです。ただし、体色には、個体差があります。クビキリギスのように、かなりの割合で、緑色の個体が出る種もあります。
 茶色の体色は、冬の風景に合わせているのでしょう。生きる工夫ですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、成虫で越冬するビキリギス、ケラ、ツチイナゴ、トゲヒシバッタ、ハラヒシバッタ、ノミバッタが掲載されています。
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過去の記事でも、バッタやキリギリスの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
便所コオロギ? いえ、カマドウマです(2009/02/06)
キリギリスは草食か肉食か?(2006/06/30)
一文無しどころか万能昆虫のオケラ(2006/03/24) 
などです。

2010年1月 4日

ノグチゲラは、キツツキ科か?

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 今回は、日本の誇る珍しい鳥を紹介しましょう。ノグチゲラです。
 ノグチゲラは、世界のうち、日本の沖縄本島の北部にしか分布しません。日本の固有種です。沖縄県の県鳥になっています。キツツキの一種です。
 そもそも、分布域が狭いため個体数がとても少ないです。少し古いデータですが、一九九二年の調査では、百五十三羽(!)しか確認できなったそうです。
 なぜ、ノグチゲラは、こんなに狭い範囲にしか分布しないのでしょう? 空を飛べるのだから、他の地域へも飛んでいけばいいのに、と思いますよね。
 狭い範囲にしかいないのには、いくつかの理由があります。一つは、彼らが繁殖できる条件を満たすのが難しいことです。
 ノグチゲラの繁殖には、大木が必要です。彼らは、大木に巣穴を掘って、繁殖するからです。少なくとも、樹齢三十年以上の常緑樹が必要だといわれます。
 今では、そのような大木がある地域は少ないです。人間が、伐採してしまったからです。木材を利用したり、道路を作ったりするために、たくさんの木が伐られました。
 私は、木の伐採などの人間の開発を、すべて否定しようとは思いません。けれども、もう少し、自然の資源を大切にする視点が必要だろうと考えます。
 人間の開発が進む前から、ノグチゲラは、あまり広く分布していませんでした。これは、ノグチゲラの分類と関係があるのでは、といわれます。ノグチゲラは、キツツキの中でも、特殊な種なのです。他のキツツキから、隔離された種といえます。
 じつは、ノグチゲラの分類についてははっきり決まっていません。キツツキ目【もく】に属することは確かです。しかし、どの科に属するのかには議論があります。
 日本の他のキツツキは、みな、キツツキ目キツツキ科に属します。ノグチゲラも、暫定的に、キツツキ目キツツキ科に入れられることが多いです。
 おそらく、ノグチゲラは、早い時期に、他のキツツキから分かれて、進化したのでしょう。キツツキ類の進化を探るうえでも、貴重な種です。


図鑑↓↓↓↓↓には、ノグチゲラが掲載されています。
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 過去の記事でも、キツツキの仲間を取り上げています。また、南西諸島に分布する貴重な鳥類も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
街中のキツツキ? コゲラ(2009/01/12)
ヤンバルクイナは絶滅寸前?(2006/10/02)
鵺【ぬえ】の正体はトラツグミ(2006/08/04) ※たいへん希少なオオトラツグミも取り上げています。
などです。

2010年1月 1日

北国の魔法の植物? イケマ

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 あけましておめでとうございます。日本のお正月には、松などの縁起の良い植物が飾られます。今回は、縁起の良い植物の中でちょっと変わったものを紹介しましょう。
 イケマという植物があります。北海道から九州まで、日本の各地に分布する野草です。白く細かい花が夏に咲きます。つる草です。外見には、目立つところはありません。
 この草は、アイヌの人たちにとって、神聖な植物とされます。昔はイケマを使って、病気を追い出す儀式や悪い夢を祓【はら】う儀式を行なったそうです。
 今でも、イケマのお守りを作ることがあると聞きます。イケマには、ゴボウのような太い根があります。これを短く切り、削って、首飾りなどにするそうです。
 イケマとは変わった語感ですね。漢字では、生馬、活馬などと書かれます。これらの漢字は当て字です。イケマという名は、アイヌ語名をそのまま取っています。アイヌ語名が、正式な日本語の種名(標準和名)になっています。
 アイヌ語の「イケマ」を直訳すると「それの足」という意味です。「それ」とは、神さまを遠回しに呼ぶ言い方です。つまり、イケマは「神さまの足」です。この草が、尊ばれていたことがわかりますね。(イケマには、他のアイヌ語名もあります)
 なぜ、イケマは神聖な植物とされたのでしょう? この植物の根をかじると、独特の臭【にお】いがあるからです。この臭いを、魔物が嫌うと信じられました。昔の日本人も、臭うイワシの頭などを魔除けにしましたね。それと同じ発想です。
 イケマは、薬草として使われることもあります。これも、神聖な植物とされた理由でしょう。イケマの薬効については、はっきり解明されていません。
 伝説の中のことですが、イケマは一種の魔法にも使われました。霧が深い時、イケマの根を噛んで、ふっふっと吹けば、霧が晴れたと伝わります。『ハリー・ポッター』の世界みたいですね。アイヌの人たちの、豊かな物語世界を感じます。
 目立たない草に、価値を認めたのは、自然への観察眼が鋭いからでしょう。アイヌのような少数民族の知恵には、学ぶところがあると思います。


図鑑↓↓↓↓↓には、イケマが掲載されています。
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 過去の記事でも、縁起が良いとされる植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
サカキ(榊)は神さまの木?(2008/12/22)
センリョウとマンリョウはどう違う?(2007/01/08)
羽根突きの羽根の原点? ツクバネ(2006/01/04)

2009年12月28日

モンゴウイカ(紋甲イカ)というイカは、いない?

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 冬は食べ物が美味しい季節ですね。けれども、近年は食べ物の旬【しゅん】が、わかりにくくなりました。輸入物や栽培・養殖物が増えたためです。
 それ自体は、いけないとは言えません。おおぜいの人を養うには、避けられないことです。でも、せめて「自分たちが、どんな物を食べているか」は知りたいですよね。
 例えば、スーパーでイカを買うとします。ラベルを見てみましょう。「モンゴウイカ」とあるかも知れません。これは、どんなイカでしょうか?
 じつは、正式には「モンゴウイカ」という種名のイカはいません。「モンゴウイカ」には、複数の種が含まれます。中でも、カミナリイカ、トラフコウイカ、ヨーロッパコウイカの三種が多いようです。他の種も、混じっていないとは限りません。
 これら三種は、どれも、コウイカ目【もく】コウイカ科に属します。体内に、プラスチックのような甲【こう】を持つグループです。だから「甲イカ」です。
 モンゴウイカとは「紋様のあるコウイカ」の意味です。前記の三種には、みな縞【しま】模様があります。トラフ(虎斑)コウイカなど、そのものずばりの種名です。
 最初に、モンゴウイカと呼ばれたのは、カミナリイカでした。カミナリイカは、東京湾以西の海に分布します。かつては、日本近海で、たくさん漁獲されました。
 ところが、近年、需要をまかなうほど、捕れなくなってきました。このため、カミナリイカに似た他種が、輸入されるようになりました。それが、トラフコウイカやヨーロッパコウイカです。似た種をまとめて、モンゴウイカと呼ぶようになりました。
 トラフコウイカは、主に、東南アジアで漁獲されます。ですから、ラベルに「モンゴウイカ(マレーシア産)」などとあったら、トラフコウイカの可能性が高いです。
 ヨーロッパコウイカは、名のとおり、地中海を中心に分布します。日本に輸入されるのは、アフリカ西岸産のものが多いです。ラベルに「モンゴウイカ(モーリタニア産)」などとあれば、それはきっと、ヨーロッパコウイカでしょう。
 日本の食卓は、世界につながっています。これを忘れてはいけませんね。


図鑑↓↓↓↓↓には、コウイカ目【もく】コウイカ科のコウイカ、コブシメ、シシイカ、スジコウイカ、ヒメコウイカが掲載されています。
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 過去の記事でも、イカの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海中を泳ぐ槍【やり】? ヤリイカ(2008/02/18)
世界最大のイカは、ダイオウイカではない?(2007/02/23)
コウイカとヤリイカはどう違う?(2006/11/10)
などです。

2009年12月25日

ウメモドキ? いえ、ツルウメモドキです

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 街はすっかりクリスマスですね。日本でもクリスマスのリース(輪飾り)を、手作りする方が増えました。そのための材料を、園芸店などで売っています。
 よく、リースの材料にされるのがツルウメモドキです。名のとおり、つるになる植物です。赤と黄色の美しい果実が付きます。このため、飾り物に使われます。
 ツルウメモドキという名は、発音しにくいですね。そのせいか、ツルモドキ、ウメモドキなどと呼ばれることがあります。けれども、これらの呼び名には問題があります。
 というのは、ツルウメモドキとは別に、ウメモドキという植物があるからです。この二種は、まったくの別種です。名前が似ていても、遠縁です。ツルウメモドキは、ニシキギ科に属します。ウメモドキは、モチノキ科に属します。
 ウメモドキにも、赤く美しい果実が付きます。これを鑑賞するために、栽培されます。ツルウメモドキとは違い、つる状にはなりません。普通の木です。
 ツルウメモドキの名は、ウメモドキに由来するという説があります。「ウメモドキに似て、つるになる」という意味だといいます。(異説もあります)
 そもそも、ウメモドキという名が、別種のウメ(梅)にちなんでいます。ウメモドキの葉が、ウメに似ることからこの名になったといわれます。
 種名が、ウメモドキに由来する植物がもう一種あります。クロウメモドキです。こちらは、果実がウメモドキに似ることから名付けられたようです。ただし、こちらの果実は黒いです。だから、クロウメモドキです。
 クロウメモドキは、クロウメモドキ科に属します。ウメモドキとも、ツルウメモドキとも、遠縁です。薬用になるため、栽培されることがあります。この木は、つるにはなりません。棘のある木になります。
 前記の三種は、もともと、日本の野山に生える植物です。三種とも近縁な種が、いくつも日本に分布します。野山で、正確に種を見分けるのは難しいでしょう。面白いことに、どの種も果実が美しいです。日本の秋・冬を彩ってくれます。


図鑑↓↓↓↓↓には、ツルウメモドキが掲載されています。
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 過去の記事でも、クリスマスの飾りに使われる植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
サンキライ? いえ、サルトリイバラです(2008/12/08)
ポインセチアはクリスマスの花?(2006/12/14)
クリスマスツリーはモミではない?(2005/11/28)
などです。

2009年12月21日

カジカ(鰍)の迷宮

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 鍋【なべ】の季節ですね。鍋料理は、日本が誇る文化の一つだと思います。地方ごとに、いろいろな食材の鍋料理がありますね。
 道南(北海道の南部)では、『かじか』という魚の鍋料理に人気があります。本州以南でいう「カジカ」と北海道でいう『かじか』とは、同じ種でしょうか?
 違います。正式な種名を「カジカ」という魚は、本州以南にしか分布しません。では、北海道の『かじか』は、正式な種名を何というのでしょう?
 じつは、北海道の『かじか』には、複数の種が混じります。ケムシカジカ、オクカジカ、トゲカジカ、シモフリカジカ、ニジカジカなどをまとめて『かじか』と呼んでいます。これらの種は、すべて海の魚です。正式種名カジカは、淡水の魚です。
 前記の種のうち、ケムシカジカやトゲカジカは美味しい魚として知られます。ケムシカジカ、オクカジカ、トゲカジカなどの種には、ナベコワシ(鍋壊し)という別名があります。「美味しさのあまり、鍋の底までつついて壊してしまう」からだそうです。
 「○○カジカ」という種名の魚は、たくさんいます。先に挙げたのはその一部です。これらの「○○カジカ」は、みな近縁なのでしょうか?
 そうとは限りません。多くの「○○カジカ」は、カサゴ目カジカ科に属します。けれども、例えばケムシカジカは、カサゴ目ケムシカジカ科に属します。細かい分類には関係なく、カサゴ目のうちで、正式種名カジカに似るものを「○○カジカ」としています。
 「○○カジカ」には、美味しい魚が多いです。このため、それぞれの地方で漁獲され、方言名が付けられました。これが、事態をややこしくしています。
 例えば、ケムシカジカには、トウベツカジカという方言名があります。トゲカジカには、ホンカジカ、マカジカ、オキカジカ、ヤリカジカなどの別名があります。こんなに「○○カジカ」だらけでは、普通の人には、何が何だかわかりませんね。
 研究者の間でも、「○○カジカ」の分類は、混乱しているようです。昔から食べられているのに、種名さえ定かでないわけです。自然界には、研究の余地がありますね。


図鑑↓↓↓↓↓には、正式種名カジカが掲載されています。
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 過去の記事で、正式種名カジカを取り上げています。また、カジカガエルというカエルの一種も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
カジカガエルは、河の鹿(シカ)?(2009/06/05)
秋に美味しい鰍【かじか】(2006/11/13)

2009年12月18日

リスも冬眠する?

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 冬、両生類や爬虫類は冬眠しますね。哺乳類の中にも冬眠するものがいます。
 例えば、リスの仲間です。シマリスを飼う方なら御存知でしょう。シマリスは冬眠しますね。すべてのリスが冬眠するのでしょうか? そうとは限りません。
 ここでは、日本に分布するリスについて説明しましょう。
 日本に自然分布するリスは、エゾリス、エゾシマリス、ニホンリスの三種です。このうち冬眠するのは、エゾシマリスだけです。日本の北海道だけに分布するリスです。
 エゾシマリスは、シベリアシマリスの亜種です。シベリアシマリスは、ユーラシア大陸の東部に分布します。ペットショップで売られるのは、同じシベリアシマリスの中の別の亜種です。チョウセンシマリスという亜種だといわれます。
 シベリアシマリスは、どの亜種であろうと冬眠するようです。冬眠とはいえ、両生類や爬虫類のように、完全に眠ってしまうわけではありません。巣の中に食べ物を貯めて、それで春まで過ごします。冬眠というより、巣ごもりというほうが近いです。
 エゾシマリスが巣ごもりするのは、北海道が寒いからでしょうか? 理由の一つとしてそれはあるでしょう。けれども寒くても、巣ごもりしないリスもいます。
 エゾリスは、同じ北海道に分布するのに巣ごもりしません。冬でも、外に出て活動します。ニホンリスも、巣ごもりしません。ニホンリスは、日本の本州以南に分布します。本州以南でも、寒いところはありますよね。それでも、巣ごもりしません。
 厳しい冬、エゾリスやニホンリスは、どうやって食べ物を得るのでしょうか?
 彼らは巣の中ではなく、外に食べ物を貯蔵します。特定の貯蔵庫があるわけではありません。あちこちに、ばらばらに食べ物を隠しておきます。秋までに貯めたものを、冬の間少しずつ食べます。
 同じ地域に棲んで分類上も同じリス科なのに、なぜ巣ごもりする種としない種がいるのでしょうか? 巣ごもりすることにも、しないことにもそれぞれ、利点と欠点があります。どちらの利点を重視するかにより、棲み分けているのではないでしょうか。


図鑑↓↓↓↓↓には、キタリス(エゾリス)、シマリス(エゾシマリス)、ニホンリスが掲載されています。
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 過去の記事でも、リスの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
妖怪が空を飛ぶ? ムササビ(2007/08/10)
モモンガとムササビはどう違う?(2006/12/15)

2009年12月11日

ゴジュウカラは、シジュウカラより年上?

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 冬は、野鳥の観察に良い季節です。山から里へ下りてくる鳥が多いからです。
 今の季節、人間の目に付きやすくなる鳥にゴジュウカラがいます。住宅地の公園などでも、見られることがあります。
 鳥に詳しくなくても、ゴジュウカラは見分けやすい鳥です。体色と行動に、特徴があるからです。ただし体色には、個体により変異があります。
 どの個体にも共通するのは、背が水色であることです。横から見ると、眼を横切る黒い線があります。腹部は、白い場合とオレンジの場合とがあります。
 ゴジュウカラの行動を観察すると「特技」が見られます。日本の鳥では、この種しかできないといわれる技です。これがあればその鳥は、ほぼゴジュウカラに確定です。
 その特技とは、「垂直の木の幹を、頭を下にして降りること」です。
 垂直の幹に止まるだけなら、他の鳥にもできるものがいます。例えば、キツツキの仲間は、みなできます。けれども、頭を下にした状態(逆立ちのような状態)で、垂直の幹に止まれる鳥は他にはいません。
 ゴジュウカラは、この状態でちょんちょんと、幹を回りながら降りてきます。この行動をぱっと見て、「ゴジュウカラだよ」と種名を言えたら格好いいですね(笑)
 なぜ、ゴジュウカラは、こんな行動をするのでしょうか? 主に、樹皮の間の虫を探すためだと考えられています。もちろん、食べるために探します。
 ゴジュウカラ(五十雀)という種名は面白いですね。よく、シジュウカラ(四十雀)と比べられます。ゴジュウカラとシジュウカラとは、近縁なのでしょうか?
 違います。ゴジュウカラは、ゴジュウカラ科に属します。シジュウカラは、シジュウカラ科に属します。ではなぜ、こんな似た種名が付いたのでしょう?
 これは、昔の言い伝えに由来します。昔の日本には、「シジュウカラが年を取ると、ゴジュウカラになる」という言い伝えがありました。こんな言い伝えができた理由は、わかりません。特に似たところはないのに不思議です。


図鑑↓↓↓↓↓には、ゴジュウカラが掲載されています。
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 過去の記事で、ゴジュウカラと比べられるシジュウカラを取り上げています。また、冬によく見られる鳥を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
気まぐれな渡り鳥? キレンジャクとヒレンジャク(2008/03/14)
ネクタイをした鳥? シジュウカラ(四十雀)(2007/02/26)
紋付袴【もんつきはかま】で御挨拶? ジョウビタキ(2007/01/01)
などです。

2009年12月 7日

ヒカゲノカズラは、日陰に生える?

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 生き物の名前には、時おり矛盾しているものがあります。ヒカゲノカズラもその一つです。植物の一種ですね。常緑のつる草です。
 ヒカゲノカズラという名からは、「日陰に生えるつる草」を連想するでしょう。けれども実際には、日陰より日なたを好みます。ヒカゲノカズラの「ヒカゲ」は、日陰ではなく「日影」だという説があります。日影とは日の光を指す言葉ですね。
 「カズラ」のほうも、実態とは少し違います。カズラとは、普通「他のものにからまるつる草」を指しますね。でも、ヒカゲノカズラは、他のものにからまって高い所によじ登ったりしません。つる状ですが、地面を這っているだけです。
 ヒカゲノカズラには、花が咲きません。原始的な植物だからです。植物に花が咲くようになる前の姿を残しています。ヒカゲノカズラの直系の祖先は、三億年以上も昔に現われたと考えられています。恐竜よりはるか昔です。
 ヒカゲノカズラの仲間は、植物の中の生きている化石です。貴重な植物です。
 その割に、ヒカゲノカズラは分布域が広いです。南極とオーストラリア大陸を除く、すべての大陸に分布します。地域ごとに、少しずつ違う亜種が分布します。
 日本では、ヒカゲノカズラといえば、古事記や万葉集に登場することで有名です。昔の日本では、神聖な植物とされました。神事の際などに、髪に飾ったりしたようです。
 昔のヨーロッパでも、この植物は神聖なものとされました。一部では、クリスマスの飾りに使われたといいます。悪い魔法を避けるのにも使われました。
 前記のとおり、ヒカゲノカズラには、花が咲きません。目立つところはない植物です。なのに、なぜ世界の各地で、神聖な植物とされたのでしょうか?
 一つには、この植物が常緑だからでしょう。特に、寒い地域では、冬にも枯れない植物は、神聖に思えるはずです。また、花が咲かないのにどんどん殖える点も、魔法の植物と見えたのでしょう。
 昔の人も、「生きている化石」の不思議さに、感じるところがあったのかも知れませんね。

図鑑↓↓↓↓↓には、ヒカゲノカズラが掲載されています。
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 過去の記事でも、花の咲かない植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヤシ? いいえシダの木です。マルハチ(2007/11/02)
お正月の飾りになぜウラジロ?(2005/12/16)

2009年12月 4日

ハンミョウは、昆虫のトラ(虎)?

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 二〇一〇年の寅年にちなんで、「トラ」の名が付く昆虫を紹介しましょう。ハンミョウです。甲虫目【こうちゅうもく】ハンミョウ科に属する昆虫の総称です。
 「全然、トラの名と関係ないじゃないか」ですって? 日本語名では、そのとおりです。じつは、ハンミョウ科の昆虫は、英語名に「トラ」が付きます。彼らの英語名は、tiger beetleです。「トラの甲虫」といった意味ですね。
 ハンミョウ科の種には、美しい模様があるものが多いです。けれども、虎縞【とらじま】模様ではありません。なぜ、「トラの甲虫」なのでしょうか?
 それは、彼らの性質によります。彼らは、幼虫も、成虫も、肉食性です。他の昆虫を、襲って食べます。自分より大きなミミズなどを、襲うこともあります。彼らの顔には、鎌【かま】のような、大きい顎【あご】があります。こういう点は、トラを思わせますね。
 では、日本語名のハンミョウとは、何に由来する名でしょうか? ハンミョウを漢字で書くと、「斑猫」です。「ぶちネコ」ですね。「派手なまだら模様を、ぶちネコにたとえた」説があります。ただし、この説は、確定しているわけではありません。
 英語ではトラにたとえ、日本語ではネコにたとえるところが、面白いですね。肉食性のハンミョウは、どこの国でも、ネコ科の動物を思わせるのでしょうか。
 ハンミョウ科の種のうち、日本で、最もよく見られるのは、ナミハンミョウでしょう。単にハンミョウといえば、この種を指すことが多いです。
 ナミハンミョウは、美しい種です。緑、白、赤、青紫などのまだら模様で、金属的な光沢があります。普通に目にしやすい昆虫の中では、一、二を争う美しさです。春から秋にかけて、自然の多い遊歩道などで、出会うことがあります。
 ナミハンミョウと道で会うと、よく、ふわふわと飛び立ちます。でも、すぐに地面に降りてしまいます。ハンミョウの仲間は、飛ぶのは得意でないようです。
 そのかわり、彼らは、走るのが得意です。よく見ると、とても長い脚を持ちます。獲物を襲う時、この脚が役立ちます。ネコ科にたとえるなら、チーターかも知れませんね。


図鑑↓↓↓↓↓には、ハンミョウ科の種のうちナミハンミョウ(ハンミョウ)、ニワハンミョウ、トウキョウヒメハンミョウが掲載されています。
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 過去の記事で、ハンミョウ科の昆虫と紛らわしいツチハンミョウを取り上げています。また、肉食のハンミョウが、別の肉食昆虫に捕らえられた画像もあります。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
捕獲!(2007/05/31)※ナミハンミョウが、シオヤアブに捕まったところです。
変態【へんたい】しすぎる昆虫? ツチハンミョウ(2007/03/26)

2009年11月30日

ペルセベスとは、どんな生き物?

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 年末に向けて、御馳走を食べる機会が多くなりますね。近年は、日本にいながら世界各国の料理を食べられるようになりました。
 クリスマスの料理として、ペルセベ【Percebe】を食べた人はいませんか? スペイン料理に登場するものです。ペルセベスとかペルセベ貝などと呼ばれることもあります。海産物の一種です。貝というからには、貝の仲間なのでしょうか?
 違います。ペルセベは貝の仲間ではありません。エビやカニの仲間です。専門的にいえば、節足動物【せっそくどうぶつ】です。日本人に馴染みがある生き物のうちで、近縁なものを挙げるなら、フジツボの仲間といえます。
 フジツボは、以前このコラムで取り上げましたね(ムール貝やパーナ貝とは、どんな貝?(2008/12/12))。フジツボの外見は、まるで貝のようです。けれども、節足動物(エビやカニの仲間)です。節足動物の中には、このように貝に似たグループがいます。
 より正確に言えばペルセベは、フジツボよりもカメノテに近縁です。カメノテも、日本の海岸に、たくさんいます。フジツボと同じく、岩などにくっついて生きるものです。「亀の手」に姿が似るところから、こんな名が付きました。
 日本のカメノテと、スペインのペルセベとは、同種ではありません。が、かなり近縁なのは、確かです。どちらも、節足動物門【せっそくどうぶつもん】顎脚綱【がっきゃくこう】有柄目【ゆうへいもく】ミョウガガイ科に属します。
 フジツボのほうは、顎脚綱のうち、無柄目【むへいもく】に属する種を指します。これは、外見に基づく分類です。柄【え】のあるものとないものとで分けています。
 市場などで、ペルセベを見る機会があればわかるでしょう。ペルセベには、長い柄があります。フジツボには、ありませんね。殻の部分で直接、岩などに付きます。
 日本のカメノテにも、柄があります。ペルセベのものより短めです。
 ペルセベは、誤って、エボシガイと翻訳されることがあります。エボシガイとペルセベとは別種です。エボシガイのほうは、有柄目のエボシガイ科に属します。


図鑑↓↓↓↓↓には、ペルセベと近縁なカメノテが掲載されています。
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 過去の記事で、ペルセベの仲間であるフジツボや、エボシガイを取り上げています。また、ペルセベと似て異なるムール貝なども取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
フジツボは富士壷? 藤壷?(2008/09/29)
殻があっても貝じゃない、エボシガイ(2007/10/22)

2009年11月27日

トラフナマコは、虎縞【とらじま】のナマコ?

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 トラ(虎)は、勇ましい動物の代表ですね。けれども、勇ましいとは言いにくい生き物にも、トラの名が付いています。例えば、トラフナマコです。
 トラフナマコは、名のとおりナマコの一種です。他のナマコと同じく、海底でごろりとしています。食べ物は、海中の砂や泥です。これも、多くのナマコと同じです。
 トラフ(虎斑)ナマコという種名は、体の模様から付きました。確かに、体はまだら模様です。とはいえこの種の模様は、縞【しま】模様とはいえません。雲形【くもがた】模様といったほうがふさわしいです。ちょっと名前負けしています(笑)
 ナマコといえば、日本人は「食べられるかどうか?」が、気になりますね。私の知る限り、トラフナマコを食べたという話はありません。少なくとも、食用に漁獲されてはいません。普通に食用にされるのはマナマコという種です。
 名前に反してトラフナマコは、ちっとも強くなさそうですね。無防備に海底に横たわっているようです。どうやって、敵を防ぐのでしょうか?
 じつは、多くのナマコは体に毒を含みます。トラフナマコにも毒成分があります。道理で、食べられないわけです。食用のマナマコには、ほとんど毒がありません。
 毒があるにしては、どの種のナマコも地味です。有毒生物は、よく派手な色をしていますよね。あれは、「毒があるから食べるな」と、敵に知らせているわけです。
 ナマコのように、外見で有毒だとわからないのは損なはずです。かじられてから吐き出されるより、最初からかじられないほうがいいでしょう。
 ナマコ自身も、そう考えたのでしょうか?(笑) トラフナマコをはじめ、多くのナマコには、毒以外の武器もあります。キュビエ器官というものです。
 キュビエ器官の外見は、白い糸のかたまりのようです。普段は、体の中にあります。
 つつかれたりすると、ナマコは肛門から、キュビエ器官を出します。これは、べたべたとくっついて不快なものです。毒成分も、多く含まれます。これで、たいがいの敵は、退散するようです。トラフナマコは、案外強いのかも知れません。


図鑑↓↓↓↓↓には、トラフナマコが掲載されています。
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 過去の記事でも、ナマコの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
食用ナマコはどんなナマコか?(2007/01/22)
サンゴ礁の海を守るナマコ(2006/07/22)
などです。

2009年11月23日

別名がいっぱい、イタドリ

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 イタドリという草を御存知ですか? 日本に住んでいる人ならば、必ず目にしているはずです(北海道の一部を除きます)。道端や空き地によく生えます。
 日本では、平凡な植物の一種です。普通の人は「雑草」として、見逃しているでしょう。
 歴史的に、この草は日本人にとても親しまれてきました。食用にされ、薬用にされ、子供の遊び道具にされました。春の新芽が食用になり、根が薬用になります。
 現在でも、地方によっては食用にしています。大量に食べるには、あく抜きが必要です。少量ならば、生【なま】で食べても大丈夫です。
 この草には、別名が非常に多いです。親しまれたがゆえですね。地方ごとに、いろいろな名が付けられました。私が知るだけでも、百以上の別名があります。
 主な方言名を挙げてみましょう。イタドリという名を知らなくても、以下の名の中に、「それなら知ってる!」というものがあるかも知れません。
 イタズリ、イタンボ、サシドリ、スイスイ、スカンポ、スッポン、タケスイバ、タジッポ、ダンジ、タンポコ、ハータナ、ハータネ、ポンポンなどです。
 御存知の名はありましたか? いかにも子供がつけそうな名が多いですよね。
 ややこしいのは、他種の植物と同じ名が混じることです。特に、正式種名をスイバという植物と混同されます。スイバにも、スイスイ、スカンポという別名があります。スイバも道端に生える草です。イタドリと同じく食べられます。
 イタドリの漢字名は、「虎杖」です。これで、イタドリと読みます。妙にいかめしくなりますね。なぜ、「虎」かといえば、イタドリの若い茎に縞【しま】模様があるからです。
 『枕草子』に、「虎杖」が登場します。清少納言も『枕草子』の中で、「見た目がそれほどでもないのに、この漢字名は大げさだ」と言っています。
 スカンポといえば、『すかんぽの咲く頃』という童謡がありますね。「土手のすかんぽ、ジャワ更紗【さらさ】」という歌いだしです。この歌の「すかんぽ」がどの種を指すのかは、わかっていません。スイバ説とイタドリ説が拮抗しています。


図鑑↓↓↓↓↓には、イタドリが掲載されています。
ban_zukan.net.jpgイタドリと同じく、スカンポと呼ばれるスイバも載っています。
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 過去の記事でも、別名が多い植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ゴンズイの名の由来は?(2009/06/19)
センダン(栴檀)とは、どんな植物?(2009/05/04)
謎の植物、茱萸【しゅゆ】とは?(2008/09/01)
などです。

2009年11月20日

トラフシジミは、草食性のトラ(虎)?

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 来年、二〇一〇年は、寅【とら】年ですね。それにちなんで、トラ(虎)の名が付いた生き物を、紹介しましょう。
 トラフシジミというチョウ(蝶)がいます。シジミチョウ科の一種です。シジミチョウ科は、大部分が小さく愛らしいチョウです。トラの名は似合いません。
 トラフシジミは、翅【はね】の模様が虎斑【とらふ】であることから、の名が付きました。英語でも、tiger hairstreak(虎のシジミチョウ)と呼ばれるようです。
 ただし、この模様には個体差があります。虎斑がはっきりしない個体もいます。
 春に羽化したものは、はっきりした模様になります。夏に羽化したものは、虎斑がはっきりしません。全体的に褐色がちだからです。こうなる理由はわかっていません。
 トラフシジミは、姿だけでなく、習性もトラらしくありません。彼らは、成虫も幼虫も草食性です。成虫は、他のチョウと同じように花の蜜を吸います。
 この種は、幼虫の食べ物も、花に依存します。幼虫は、花そのものを食べます。
 トラフシジミの幼虫は、「花グルメ」です。いろいろな植物の、花やつぼみを食べます。花がない時は、柔らかい芽や若葉だけを食べるようです。贅沢ですね(笑)
 前記のとおり、トラフシジミの幼虫は、多種の植物を食べます。それも、多様な科にまたがります。クズ、フジ、ニセアカシアなどのマメ科植物、カシワ、クリなどのブナ科植物、ウツギなどのアジサイ科植物、リンゴなどのバラ科植物、その他、ツツジ科や、クロウメモドキ科などの植物を食べます。こんなに何でも食べる種は珍しいです。
 多くのチョウの幼虫は、数種の植物しか食べません。例えば、同じシジミチョウ科のアカシジミを見てみましょう。アカシジミの幼虫は、カシワ、クヌギ、コナラなどのブナ科植物しか食べません。普通は、このように特定の科の植物だけを食べるものです。
 トラフシジミのように、多種の植物を食べることは有利ですね。いろいろな場所に棲めるからです。逆に、多くのチョウはなぜ、特定の種しか食べないのでしょうか? これは、昔から謎です。研究されているもののまだ解かれていません。


図鑑↓↓↓↓↓には、トラフシジミや例に挙げたアカシジミが掲載されています。
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 過去の記事でも、チョウ(蝶)を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
猛毒を食べる? アオスジアゲハ(2009/05/01)
モンシロチョウ(紋白蝶)は、日本にいなかった?(2008/04/04)
キチョウの雄(オス)が雌(メス)になる?(2007/09/03)
冬に飛ぶ蝶(チョウ)もいる?(2006/01/13
などです。

2009年11月16日

植物の世界は、「虎の尾」だらけ?

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 トラノオという植物の名を、聞いたことがありませんか? 漢字で書けば「虎の尾」です。オカトラノオ、カクトラノオ、ルリトラノオなどの種があります。
 これらの種は、花の形が似ています。細かい花が集まって、穂になります。穂先が垂れるものが多いです。この様子を「虎の尾」に見立てたのですね。
 ところが、これらのトラノオは近縁とは限りません。遠縁のものと、近縁のものとが混ざります。トラノオと呼ばれる植物のうち主なものの分類を紹介しましょう。
 日本の野山でよく見るのは、オカトラノオ属の植物です。白い花が集まって「虎の尾」のように垂れて咲きます。ヤブコウジ科、またはサクラソウ科に属するグループです。オカトラノオ、ノジトラノオ、ヌマトラノオなどの種がこのグループです。
 花屋でよく見るのは、カクトラノオです。別名ハナトラノオともいいます。ピンクの花が穂になります。穂先が垂れないので、あまり「虎の尾」らしくありません。原産地は北米です。シソ科カクトラノオ属に属します。日本の一部で、野生化しています。
 日本の山地に多いのは、ルリトラノオ属の植物です。名のとおり、青紫の花が穂に咲きます。ゴマノハグサ科に属します。この属には、ルリトラノオ、ヒメトラノオ、ヒロハトラノオなどが属します。これらの種には、変種が多く、分類が難しいグループです。
 イブキトラノオという種もあります。これも、日本の山地に生えます。白い花が、穂になります。穂先は垂れません。虎の尾というより、猫の尾です。タデ科タデ属に属します。ルリトラノオ属の一変種、イブキルリトラノオとは、まったく別の種です。
 花ではなく、葉を「虎の尾」に見立てたものもあります。トラノオシダです。シダの一種ですから花は咲きません。チャセンシダ科チャセンシダ属に属します。
 熱帯の植物にも、トラノオがあります。代表的なのはキントラノオでしょう。
 キントラノオは日本には自生しません。メキシコ原産です。日本では、温室でなければ育ちません。キントラノオ科キントラノオ属に属します。黄色い花が咲きます。
 こんなにトラノオだらけでは区別が付きませんね。分類には慎重さが必要です。


図鑑↓↓↓↓↓には、トラノオ(虎の尾)と呼ばれる植物のうち、オカトラノオ、トラノオシダが掲載されています。
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 過去の記事でも、名前が紛らわしい植物を、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ニンジン(人参)がいっぱい?(2009/08/31)
この木なんの木、ナンジャモンジャの木?(2009/05/29)
桐【きり】の名前で、きりきり舞い?(2009/05/08)
などです。

2009年11月13日

カイメン(海綿)は、多細胞動物の祖先?

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 熱帯の海には、サンゴ礁がありますね。サンゴは、起源が古い動物です。植物ではありません。恐竜が現れるずっと前から、サンゴ礁はありました。
 海の中に、多様な動物が現われたのは、六億年ほど前(エディアカラ紀)だと考えられています。その頃から、サンゴ礁はあったのでしょうか? いえ、ありませんでした。
 けれども、サンゴより前に「サンゴ礁のようなもの」を作った動物がいます。それが、カイメンです。カイメンの大ざっぱな説明は、「カイメン(海綿)とは、どんな生き物?(2007/07/20)」をお読み下さい。
 最近の学説によれば、カイメンは、六億三千五百万年以上前(エディアカラ紀より前)に、すでに現れていました。その頃は、多細胞動物が現われて、間もない時代です。すばやく泳ぐ動物や、強力な武器(触手など)を持つ動物は、ほとんどいませんでした。
 この時代、カイメンは、大繁栄したと考えられています。彼らを襲う動物が、いないに等しかったからです。当時は、サンゴ礁ならぬ「カイメン礁」がありました。地球の動物で、最初に「礁」といえるものを作ったのは、カイメンではないか、といわれます。
 その後、カイメンを食べたり、カイメンと競合したりする生き物が、たくさん現われました。このため、今では大規模な「カイメン礁」は見られません。
 それでも、カイメンは今なお栄えています。熱帯から南極まで、カイメンの棲まない海はまずありません。中には、ヒト一人分ほどの大きさのカイメンもいます。六億年以上もの間、こんなに栄え続ける動物が、他にいるでしょうか? おそらくいません。
 カイメンは、地球上で最初期に現われた、多細胞動物です。かつては、カイメンに似た多細胞動物がいました。カンブリア紀の古杯動物【こはいどうぶつ】です。カイメンと同じく、大規模な「礁」を作り栄えました。しかし、五億年以上前に絶滅しました。
 このように、多くの動物が滅びてもカイメンは生き残ってきました。
 「多細胞動物の祖先とカイメンとは、近縁ではないか」という説があります(異説もあります)。カイメンは、私たちの祖先の姿を残しているのかも知れません。
 カイメンに関する最近の学説は、以下に紹介されています。

動物進化の起源は海綿動物?(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/02/06)

図鑑↓↓↓↓↓には、ザラカイメン、ダイダイイソカイメン、ツノマタカイメン、ワタトリカイメンが掲載されています。
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 過去の記事でも、カイメンを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
オーストラリアの深海で、新種発見(2009/01/22)
ウミウシは何の仲間?(2008/12/29)※ウミウシの中には、カイメンを食べるものがいます。
鼈甲【べっこう】になるだけじゃない、タイマイ(2008/06/20)※タイマイの食べ物は、カイメンです。
などです。

2009年11月 9日

梓【あずさ】の正体は、キササゲ?

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 アズサと呼ばれる植物がありますね。漢字では「梓」と書きます。これは、どんな植物でしょうか? じつは、これには多くの種が含まれます。
 私が調べた範囲では、以下の植物が「あずさ」と呼ばれます。アカメガシワ、アサダ、オノオレカンバ、キササゲ、サビバナナカマド、ナナカマド、ニシキギ、ハイノキ、ミズメ、リンボクといった種です(サビバナナカマドは、ナナカマドの変種です)。
 これでは「アズサ」の正体が何なのか、わかりませんね。時代や、地方により、アズサと呼ばれる種は違います。具体的には、実物を見て、判断するしかありません。
 前記の種は、互いに、外見が似ているとは言えません。分類上も、遠縁のものが多いです。どんな共通点のために、同じ「アズサ」の名が付いたのかわかっていません。
 例えば、アカメガシワは、トウダイグサ科に属します。アサダとオノオレカンバとミズメは、カバノキ科です。キササゲは、ノウゼンカズラ科です。ナナカマドとリンボクは、バラ科に属します。ニシキギは、ニシキギ科です。ハイノキは、ハイノキ科に属します。
 漢字の「梓」は、もともと何を指したのかわかっています。「梓」は、本来、キササゲを指しました。けれども、キササゲは昔は日本にありませんでした。このため、漢字が日本に入った時に、「梓」をどの植物に当てるべきか混乱したのですね。
 現在の日本では、アズサといえば、「ミズメ」もしくは「キササゲ」を指すことが多いです。ミズメの正式名称を、アズサとする意見もあります。しかし、この名を正式名称にするのは、好ましくないでしょう。明らかに、混乱を招きやすいからです。
 本来の「梓」であるキササゲも、今は、日本にあります。中国から、移入されました。栽培されているものもあれば、野生化しているものもあります。
 梓という漢字を使った言葉に、上梓【じょうし】がありますね。「本を出版する」という意味です。これは、昔の中国で、キササゲの木を版木にしたことに由来します。
 日本では、別の梓【あずさ】であるミズメを、弓にしました。これが、梓弓【あずさゆみ】です。同じ「梓」の字が付いても、別種の植物を、混同してはいけません。


図鑑↓↓↓↓↓には、梓【あずさ】と呼ばれる樹木のうち、アカメガシワ、アサダ、キササゲ、ナナカマド、ニシキギ、ハイノキが掲載されています。
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 過去の記事でも、名を混同しやすい植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
この木なんの木、ナンジャモンジャの木?(2009/5/29)
センダン(栴檀)とは、どんな植物?(2009/5/4)
西洋ヒイラギはクリスマスに、ヒイラギは節分に(2005/12/23)
などです。

2009年11月 6日

味が良いから、アジ(鯵)?

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 アジは、食用魚として日本人に知られますね。「味が良いから、アジという名が付いた」と説があるほどです。ただし、名の由来には異説もあります。
 アジと呼ばれる魚には、複数の種が含まれます。シマアジ、マアジ、マルアジ、ムロアジ、メアジなどです。これらの種はみなスズキ目【もく】アジ科に含まれます。地方によりますが、単に「アジ」というとマアジ(真鯵)を指すことが多いです。
 アジ科の種には、互いに似たものが多いです。アジ科で特徴的なのは、「ぜいご」とか「ぜんご」などと呼ばれる鱗【うろこ】ですね。尾の付け根から頭にかけて、大きめのぎざぎざした鱗が通っています。これが「ぜいご」です。
 アジ科の魚に、すべて「ぜいご」があるわけではありません。例えば、カンパチ、ヒラマサ、ブリなどには「ぜいご」はありません。カンパチやブリもアジ科に属します。
 「ぜいご」や「ぜんご」とは通称です。正式には、稜鱗【りょうりん】と呼ばれます。盾状鱗【たてじょうりん】、楯鱗【じゅんりん】などと呼ばれることもあります。が、楯鱗【じゅんりん】とは、普通はサメの鱗を指す言葉です。「ぜいご」とは違います。
 アジ科のうち、アジ亜科に含まれる種に、稜鱗【りょうりん】があります。何のためにあるのでしょう? 詳しくは、わかっていません。「側線【そくせん】という感覚器官と、何らかの関係がある」と考えられています。
 側線とは、水の動きを探知する器官です。ヒトで言えば、耳のようなものです。耳は、空気の振動を、音として感じますね。アジは、側線に沿って、稜鱗が付いています。
 稜鱗のおかげで、アジの仲間は、すぐにそれとわかります。けれども、仲間うちでは、種の見分けが難しいです。地球の裏側にいるアジにも、マアジとよく似た種がいます。
 例えば、南米の太平洋岸には、チリマアジという種がいます。地中海には、ニシマアジがいます。ニュージーランドの近海には、ニュージーランドマアジが分布します。
 これらのアジは、日本に輸入されています。日本古来のアジのようでも、輸入ものの場合があります。日本の食卓を満たすには、もはや、輸入に頼らざるを得ないのですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、マアジが掲載されています。
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 過去の記事でも、食用になる魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
知られざる美味? 寒鯔【かんぼら】(2009/01/19)
カサゴ(笠子)は、似たもの同士の一族(2007/11/26)
マグロ(鮪)は温血魚?(2006/10/18)
などです。

2009年11月 2日

一度滅びて、復活? ナンキンハゼ

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 紅葉が盛んな季節ですね。皆さんのお近くの紅葉はいかがですか?
 日本で、紅葉が美しい木の一つにナンキンハゼがあります。公園などに、よく植えられています。主に、紅葉を鑑賞するためです。果実の形も面白いです。
 ナンキンハゼの果実は、熟すと果皮がむけます。中から、白い種子がのぞきます。正確には、白いのは、種子ではありません。種子をおおう蝋状【ろうじょう】の物質です。
 種子は、葉が落ちた後も枝先にいっぱい付いています。秋から冬にかけて、白いのが目立ちます。その様子から、「ポップコーンの木」というあだ名があります。
 では、正式名の「ナンキンハゼ」は、なぜ付いたのでしょう? ナンキンとは、中国の地名の「南京」を指します。中国から渡来したので、この名が付きました。
 日本のナンキンハゼは、人のいない山奥にはありません。人里にあります。人為的に、中国から移入されたからです。今では、日本でも野生化しているものがあります。
 ナンキンハゼは、もとは観賞用ではなかったようです。種子の蝋状物質を利用するため、持ち込まれたと見られます。この蝋状物質は、石鹸【せっけん】や蝋燭【ろうそく】などの原料になります。日本のハゼノキの用途と似ていますね(「日本のろうそくを灯すのは、ハゼノキ?」(2009/10/05)を御参照下さい)。だから、ナンキン「ハゼ」です。
 日本へとナンキンハゼが入ったのは、江戸時代といわれます。ところが、それよりはるか昔、一万年以上前には、日本にナンキンハゼが自生していました。化石が見つかっているそうです。何らかの原因で一度滅んでしまったのですね。
 ナンキンハゼが、日本でいったん滅びた理由は不明です。種子の蝋状物質のおかげで、再び、日本で栄えることになりました。蝋状物質には、豊富な油脂が含まれます。
 その油脂の栄養のため、野鳥が、種子を食べに来ます。鳥は、種子を丸呑みします。が、種子自体は、消化しません。蝋状物質だけを消化して、種子は排泄されます。
 ナンキンハゼは、それが狙いです。鳥に、種子を運んでもらえるわけです。まさか、ヒトという生物が、蝋状物質を利用するとは彼らにとって「想定外」でしょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、ナンキンハゼが掲載されています。
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 過去の記事でも、紅葉が美しい植物を取り上げています。また、油脂が利用される植物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
桐油は、キリ(桐)からは採れない?(2009/07/10)
ツタ(蔦)は落葉する?しない?(2006/12/01)
菜の花(ナノハナ)は何の花?(2006/04/07)
などです。

2009年10月30日

オガサワラノスリは、絶滅寸前?

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 秋から冬にかけては、空気が澄みます。たまには、空を見上げてみましょう。思わぬものが、見られるかも知れません。空高く、タカ(鷹)が飛んでいることがあります。
 普通の人には、タカの仲間は馴染みがないでしょう。知られているのは、トンビ(正式な日本語名は、トビ)くらいですね。実際、トビは、住宅地でもよく見られます。
 でも、郊外へ行けば、トビ以外のタカにも、会うことができます。例えば、ノスリは、日本で平凡なタカの一種です。少なくとも、かつては平凡でした。
 ノスリは、タカ目【もく】タカ科に属します。いわゆる猛禽類【もうきんるい】ですね。猛禽の中では、比較的、人家の近くにも棲むほうです。農耕地などに多いです。
 昔の田畑には、ネズミやカエルなどの生き物が、たくさんいました。農薬など使いませんでしたからね。それらの小動物は、ノスリの食べ物になります。食べ物が多いところに棲むのは、当然でしょう。ノスリとヒトとは、ある程度、共存共栄していました。
 ノスリには、不名誉な別名があります。クソトビ、マグソタカなどというものです。こんな名が付いたのは、「鷹狩りに使えないタカだから」だそうです。彼らが捕るのは、主に、ネズミやヘビなどです。鷹狩りの獲物としては、誇れないものですね(笑)
 農村が多かった頃は、ノスリが絶滅することなど、考えられなかったでしょう。都市化が進むにつれ、数が減ってしまいました。それでも、日本のタカとしては、数が多いほうです。今すぐに、絶滅しそうなわけではありません。
 ただし、ノスリの中でも、絶滅に瀕しているグループがいます。オガサワラノスリという亜種です。ノスリという種の中で、小笠原諸島に分布するものたちですね。
 オガサワラノスリは、日本本土にいるノスリと、少しだけ違います。外見の違いとしては、オガサワラノスリのほうが、体色が薄いです。また、オガサワラノスリは、渡りをしません。日本本土のノスリは、日本列島の中を、移動することがあります。
 現在、オガサワラノスリの数は、百羽に満たないといわれます。危機的状況ですね。彼らが安心して繁殖できる環境を、整えてあげたいものです。


図鑑↓↓↓↓↓には、ノスリが掲載されています。オガサワラノスリの画像もあります。
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 過去の記事でも、猛禽【もうきん】といわれる鳥を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
オオワシとオジロワシには、流氷が似合う(2008/02/08)
ハチクマはスズメバチの天敵?(2007/09/24)
トンビは猛禽【もうきん】か?(2006/11/17)
などです。

2009年10月26日

オガサワラオオコウモリは、小笠原唯一の哺乳類?

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 小笠原諸島には、貴重な生き物がたくさんいます。オガサワラオオコウモリは、その一種です。コウモリの仲間ですね。オオコウモリという、大型のコウモリ類です。
 オガサワラオオコウモリは、名のとおり、小笠原諸島と、硫黄【いおう】列島でしか、分布が確認されていません。世界中で、ここにしかいない種です。
 これだけでも、貴重な種だとわかりますね。他にも、オガサワラオオコウモリには、貴重な点があります。小笠原の陸地に自然分布する、唯一の哺乳類なのです。(もちろん、ヒトは、小笠原に住んでいます。人為的に持ち込まれたヤギなどもいます)
 小笠原諸島は、歴史上、一度も、大陸や、大きな島とつながったことがありません。硫黄列島もそうです。このような島を、大洋島、海洋島などと呼びます。海洋島では、哺乳類が少ないです。多くの哺乳類は、海を渡れないからです。
 数少ない例外が、コウモリです。コウモリは、空を飛べますね。おかげで、海洋島へも渡ることができます。クジラなどの海生哺乳類も、例外のうちです。
 飛べるという点では、鳥や昆虫も同じですね。このため、海洋島の陸地では、コウモリと鳥と昆虫とが、栄えることが多いです。逆に言えば、コウモリと鳥と昆虫ばかりが栄えている島があったら、その島は、海洋島である可能性が高いです。
 オガサワラオオコウモリは、小笠原諸島と硫黄列島の歴史を証明する存在といえます。長い間、唯一の陸生哺乳類として、島々で暮らしてきました。
 残念なことに、オガサワラオオコウモリの数は、減っています。その原因は、いくつもあります。現地では、農作物を荒らす害獣として、嫌われていることも一つです。
 オガサワラオオコウモリは、果実や、花の蜜を食べます。果樹などを食い荒らしてしまうわけですね。被害を受けるほうにしてみれば、たまったものではないでしょう。
 けれども、オガサワラオオコウモリとヒトとが、共存できないことはない、と思います。自然の中に、食べ物がたくさんあれば、彼らは、わざわざ、果樹園などには来ないでしょう。小笠原の自然を豊かにすることが、共存の鍵ですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、オガサワラオオコウモリが掲載されています。
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 過去の記事でも、小笠原諸島の生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
オオコウモリは、空飛ぶキツネ?(2009/02/20)
海中のオブジェ? パイプウニ(2007/11/16)
大洋に生きるオガサワラトカゲ(2007/11/09)
ヤシ? いいえシダの木です。マルハチ(2007/11/02)
などです。

2009年10月23日

化学兵器で防御、ゴミムシ

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 ゴミムシと呼ばれる昆虫のグループがいます。このグループには、たいへん多くの種が属します。分類上は、甲虫目【こうちゅうもく】のオサムシ上科【じょうか】のうち、いくつかの科に属するものに「○○ゴミムシ」という種名が付いています。
 「ゴミ」ムシとは、ひどい名前ですね。昔は、ごみためのようなところで見られたためこんな名にされました。今では、ごみためというより森林の落ち葉が積もったような場所に多いです。正確には、種によって棲む場所が違います。
 名前に反して、ゴミムシの仲間には美しい種もいます。例えば、オオキベリアオゴミムシは、金緑色の体に黄色い縁取りがあります。ミイデラゴミムシは、黄色の体に褐色のまだら模様があります。こんなに派手で、敵に狙われないのでしょうか?
 昆虫好きな方なら、ミイデラゴミムシと聞いてぴんと来るかも知れませんね。この種は、「化学兵器」を使うことで有名です。お尻から、刺激性のあるガスを噴出します。特別に強力な「おなら」ですね(笑)。 派手な姿は、「武器があるぞ」という警告です。
 じつは、ミイデラゴミムシ以外にも「化学兵器」を持つゴミムシがいます。例えば、アオゴミムシの仲間は、消毒薬のクレゾールのような臭気を出します。また、セアカヒラタゴミムシは、酸っぱい刺激臭を出します。どちらも、敵を撃退するための武器です。
 このような「化学兵器」が、いつ、どのように発達したのかはわかっていません。ゴミムシの仲間の共通先祖が、「化学兵器」の仕組みを手に入れたのか、それとも、ミイデラゴミムシやセアカヒラタゴミムシといった個々の種ごとにそのような仕組みが進化したのか、解明されていないのですね。
 おそらく、昔の日本人にとって、ゴミムシの仲間は身近な昆虫でした。その証拠に、方言名がいくつもあります。ヘッピリムシ、ヘコキムシなどというものです。
 ヘッピリムシとは、ミイデラゴミムシだけの呼び名と思う人もいるでしょう。実際は、ゴミムシの仲間が、広くそう呼ばれたようです。「ゴミムシで遊んだ子供たちが、『化学兵器』にやられて、悔しまぎれに付けた名前では?」などと想像してしまいますね。


図鑑↓↓↓↓↓には、オオキベリアオゴミムシ、セアカヒラタゴミムシが掲載されています。
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 過去の記事で、ゴミムシと紛らわしいゴミムシダマシ科の昆虫を取り上げています。また、ゴミムシと同じオサムシ科のマイマイカブリも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ミールワームとは、どんな昆虫?(2008/03/28)
日本の陰の昆虫王者? マイマイカブリ(2006/08/5)

2009年10月19日

果実? いえ「虫こぶ」です、イスノキ

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 イスノキという種名の木があります。たいていの人は、この名を聞けば「椅子の木」だと思うでしょう。実際この木は、椅子などの家具に使われます。ただし漢字では、柞【いすのき】と書きます。「椅子の木」が語源ではないようです。
 イスノキには、もう一つ漢字名があります。「蚊母樹」と書いて「いすのき」です。明らかに当て字ですね。なぜ、こんな漢字名があるのでしょうか?
 それは、イスノキに多くの虫が寄生するからです。イスノキには、たくさんの「虫こぶ」ができます。虫こぶが、種の判定の目安になるほどです。
 虫こぶとは何でしょうか? 昆虫などが植物に寄生すると、その部分が、大きくふくらむことがあります。これが「虫こぶ」です。専門的には、ゴールgallと呼ばれます。寄生するのは、昆虫だけではありません。菌類、ウイルスなどの場合もあります。
 イスノキには、枝にも葉にも虫こぶができます。このため、葉がぼこぼこになっていることが、よくあります。枝や葉芽の虫こぶは、果実と間違えられるほど大きくなります。イスノキに虫こぶを作るのは主に昆虫のアブラムシの仲間です。
 モンゼンイスアブラムシ、ヤノイスアブラムシ、イスノフシアブラムシなどが、イスノキに虫こぶを作ります。種によって、どの部分にどのような虫こぶを作るのか違います。虫こぶの中は、空洞です。中に、アブラムシが棲んでいます。
 アブラムシの仲間は複雑な生活史を持ちます。同じ種の成虫なのに、翅【はね】があるものとないものとがいます。翅がある成虫は、小さな蚊【か】のように見えます。
 イスノキの虫こぶからは、時おり、翅のあるアブラムシが出ます。昔の人は、これを見て、イスノキに「蚊の母の樹」という字を当てたのでしょう。
 翅のあるアブラムシが出ると虫こぶには、穴が開きます。これを利用して、イスノキの虫こぶは、楽器(笛)にすることができます。
 江戸時代に、この「虫こぶ笛」を、祭礼に使った記録があります。どんな曲が吹かれたのでしょうね? こんな素朴な楽器は、後の世まで残って欲しいです。

図鑑↓↓↓↓↓には、イスノキが掲載されています。
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 過去の記事でも、イスノキと同じマンサク科に属する植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
トサミズキは、土佐に生える?(2009/03/23)
日向【ひゅうが】には生えない? ヒュウガミズキ(2009/03/16)
アメリカ楓の木について(2007/11/22)

2009年10月16日

生きている化石、イボイモリ

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 日本の南西諸島には、貴重な生き物が、たくさんいますね。イリオモテヤマネコや、ヤンバルクイナが有名です。同じように貴重なのに、あまり有名でないものもいます。
 例えば、イボイモリがそうです。奄美や沖縄に分布するイモリの一種です。
 有名でないのは、イボイモリの外見が冴えないからでしょう。まず、体が小さいです。大型でも、全長20cmくらいです。これでも、イモリ科の中では、大きいほうです。
 色も地味です。普通のアカハライモリと違い、腹は赤くありません。全身、黒褐色です。背には、ごつごつした突起があります。お世辞にも、きれいとは言えません。
 アカハライモリと、イボイモリが違うのは、外見だけではありません。生態も、ずいぶん違います。最も異なるのは、イボイモリが、ほとんど水に入らないことでしょう。
 アカハライモリは、水生の傾向が強いです。成体になっても、多くの時間を、水中で過ごします。それに対し、イボイモリが水中にいるのは、幼生の時だけです。いったん成体になると、産卵の時ですら、水に入りません。
 イボイモリの卵は、水辺の落ち葉の下などに産みつけられます。孵化【ふか】した幼生は、自力で水のところまで行くようです。
 じつは、イボイモリの生態については、わかっていることが少ないです。普段、どんな生活をしているのかも、あまりわかっていません。
 それでも、繁殖期であれば、イボイモリを目撃できる可能性が高いです。水辺の産卵場所に出てくるからです。普段は、まるで目立たない生活をしているようです。
 イボイモリの分布地には、肉食獣といえるものがいませんでした。毒などの武器がないのに、生き残ってこられたのは、このためでしょう。イモリ科の中で、イボイモリは、古い形質を残した存在といわれます。生きている化石ですね。
 その存在が、今、脅かされています。ヒトが作った溝【みぞ】に落ちたり、ヒトが放したマングースに捕食されたりしているからです。ほんの少しの思いやりがあれば、彼らの生活を守れるでしょう。そういう思いやりを、形にしたいですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、イボイモリが掲載されています。また、アカハライモリも載っています。
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 過去の記事でも、イモリの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
イモリとサンショウウオとは、どう違う?(2009/04/20)
両生類は、肺がなくても生きられる?(2008/05/01)
カエル・ツボカビ症のその後(2007/12/03)
最近、アカハライモリのことを(2005/10/13)
などです。

2009年10月12日

生垣のスター、サンゴジュ(珊瑚樹)

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 秋、いろいろな木に、果実が付いていますね。日本の公園などで目立つのは、サンゴジュです。公園樹や街路樹として、好まれる木です。日本に野生もしています。
 サンゴジュがよく植えられる理由は、いくつかあります。第一は、常緑樹だからです。一年中、緑があるのは、ありがたいですね。適度に木陰を作ってくれます。
 第二は、花と果実と、両方が楽しめるからです。サンゴジュの花は、六月から七月頃に見られます。白く、細かい花が、こずえを彩ります。それらが、秋には、赤い果実になります。どちらも美しいので、観賞用になるわけです。
 第三は、防火の機能が優れるから、といいます。これは、どういうわけでしょう?
 多くの樹木は、生木では燃えにくいものです。ですから、防火の機能があります。サンゴジュは、水分が多いため、その機能が優れるのだそうです。サンゴジュを燃やすと、切り口から泡が吹き出るといわれます。このため、アワブキという別名があります。
 ところが、正式な日本語名を「アワブキ」という木があります。紛らわしいですね。正式種名アワブキは、サンゴジュとは、まったく違う種です。分類上も遠縁です。
 サンゴジュは、スイカズラ科(またはレンプクソウ科)ガマズミ属に属します。正式種名アワブキのほうは、アワブキ科アワブキ属です。サンゴジュと同じく、燃やすと、切り口から泡を吹くため、この名が付いたとされます。
 「燃えにくい」とされる木は、他にもあります。例えば、ナナカマドです。北国では、よく植えられる木ですね。果実や、花や、紅葉が美しいからです。
 ナナカマドという名は、「七回、竈【かまど】に入れても、燃え残る」ことが由来といわれます。おそらく、防火の機能も期待されるために、植えられるのでしょう。
 昔、燃えにくい木を植えることは、とても有効な防災手段でした。防災の科学技術が、未発達でしたからね。今でも、その知恵は、学ぶべきだと思います。
 中でも、サンゴジュは、家の周囲の生垣に、あって欲しい木ですね。前記のように、利点がいくつもあるからです。生垣の中のスターかも知れません。

図鑑↓↓↓↓↓には、サンゴジュが掲載されています。また、正式種名アワブキや、ナナカマドも載っています。
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 過去の記事でも、秋に美しい果実が実る木を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
グミと茱萸とは、同じ? 違う?(2008/10/13)
謎の植物、茱萸【しゅゆ】とは?(2008/09/01)

2009年10月 9日

ミミズは、土中の働き者

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 秋は、落ち葉の季節ですね。落ち葉は、やがて朽ちて、土になります。その過程に、ある動物が、強く関わっていることを、御存知ですか?
 農業をやっている方なら、御存知でしょう。その動物とは、ミミズです。
 ミミズは、土中に棲む生き物ですね。土の中で、何を食べているのでしょう? 落ち葉や朽ち木、小動物の遺体などです。ミミズには、口がないように見えますね。でも、ちゃんと、体の前端部分に、口があります。その口で、ぱくぱくと物を食べます。
 食べた後には、当然、糞をします。この糞が、良い腐葉土になります。繊維などがこなれて、粒が細かくなっているのですね。
 良い腐葉土があるところでは、植物がよく育ちます。植物が育てば、いろいろな動物も育ちます。ミミズがいなかったら、多くの動植物が、暮らしに困ることでしょう。
 もちろん、ヒトも、ミミズの恩恵をこうむっています。良い土がなければ、農作物ができません。「ミミズが出たら、土ができてきた証拠」と、農家の方から聞いたことがあります。ミミズは、釣りの餌になるばかりでは、ありません。
 釣りの餌にされるのは、多くが、シマミミズという種です。「ミミズに、種なんてあるの?」と、驚く人がいるかも知れませんね。実際には、たくさんの種があります。
 中でも、シマミミズは、平凡な種です。普通の人が、「ミミズ」といわれて思い浮かべる、ミミズらしい姿のミミズです。野生でも多いですが、釣り餌用に、養殖もされています。
 時おり、異様な姿のミミズが、騒がれることがありますね。「異様に長い」とか、「異様な色」といったミミズです。種によって、ミミズの姿は、いろいろです。普通の人が「異様」と感じても、それが正常な姿、という種もいます。
 例えば、シーボルトミミズという種がいます。この種の体色は、青いです。光が当たると、青緑色に輝いて見えます。しかも、体長が30cmを越えるほどになります。「大きくて、異様な色」なので、嫌いな人は、卒倒しそうになるでしょう。
 異様に見えてもミミズは、ヒトに害をなしません。御安心下さい。

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 過去の記事でも、ミミズと同じ環形動物門【かんけいどうぶつもん】に属する生き物を取り上げています。また、ミミズと同じく土中に棲む生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ワラジムシとダンゴムシとは、どう違う?(2008/11/03)
オーストラリアのサンゴ礁で、数百の新種を発見(2008/09/25)
虫が島を壊す? ナナツバコツブムシ(2007/6/28)

2009年10月 8日

ウとカメ

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ウミウ、ミシシッピーアカミミガメ 画像
和名:ウミウ 
学名:Phalacrocorax capillatus
和名:ミシシッピーアカミミガメ 
学名:rachemys scripta elegans
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※画像をクリックすると大きな画像が見られます。

東京都 港区【2009.09.28】

2009年10月 7日

日本のろうそくを灯すのは、ハゼノキ?

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 北国や山国からは、紅葉の便りが聞かれる頃ですね。日本は、多様な紅葉が見られる国です。桜紅葉【さくらもみじ】、蔦紅葉【つたもみじ】、櫨紅葉【はぜもみじ】など、特定の種の紅葉を表わす言葉があるほどです。
 櫨紅葉の櫨【はぜ】とは、ハゼノキを指します。ハゼノキは、わざわざこんな言葉が作られたほど、美しく紅葉します。日本の秋を代表する樹木の一種です。
 ところが、ハゼノキは、日本の本州には、もとは、なかったようです。南西諸島には、昔からありました。けれども、本州に来たのは、桃山時代か、江戸時代といわれます。
 このように書くと、古典文学に詳しい方は、「そんなはずはない」とおっしゃるでしょう。万葉集に、波自【はじ】という言葉―ハゼノキの古名―があるからです。
 じつは、古代日本で、「はじ」と呼ばれたのは、現在のハゼノキではありません。現在の種名では、ヤマハゼという種か、ヤマウルシという種だったとされます。古代には、この二種をまとめて、「はじ」と呼んだようです。この二種も、美しく紅葉します。
 ハゼノキには、リュウキュウハゼという別名があります。琉球【りゅうきゅう】王国―南西諸島にあった国―から、日本の内地に入れられたためです。
 ハゼノキは、果実から脂肪を取るために、日本の各地に持ち込まれました。ハゼノキの脂肪は、木蝋【もくろう】と呼ばれます。木蝋は、さまざまな用途にされます。
 例えば、日本の伝統的な和蝋燭【わろうそく】は、この木蝋から作られます。ハゼノキが入る前、和蝋燭は、ウルシの果実の木蝋から作られていました。どちらにせよ、和蝋燭の蝋【ろう】は、植物性です。植物性の蝋燭は、煤【すす】が少ないといわれます。
 近年、普通に売っている蝋燭は、石油パラフィンから作られています。つまり、鉱物性です。このような蝋燭は、煤【すす】が多く出ます。
 「蝋燭を点けると、喉【のど】がいがらっぽい」という方が、いませんか? それは、たいてい、煤のせいです。伝統的な和蝋燭なら、煤が少ないので、喉に優しいはずです。一度、ハゼノキ製の和蝋燭を、試してみてはいかがでしょうか。

図鑑↓↓↓↓↓には、ハゼノキが掲載されています。また、古代に「はじ」と呼ばれたヤマウルシも載っています。
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ぜひご利用下さい。

 過去の記事でも、ハゼノキと同じように、紅葉や黄葉が美しい植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
アメリカ楓の木について(2007/11/22)
ツタ(蔦)は落葉する?しない?(2006/12/01)
街路樹は生きている化石、イチョウ(2005/11/21)

2009年10月 5日

どっちがどっち? スナイソギンチャクと、スナギンチャク

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 イソギンチャク(磯巾着)は、海でよく見られる生き物ですね。
 イソギンチャクの仲間は、海の岩場に棲むことが多いです。けれども、砂や泥の海底に、いないわけではありません。例えば、スナイソギンチャク(砂磯巾着)という種は、砂底の海底に棲みます。海岸近くの浅いところでも、見ることがあります。
 スナイソギンチャクに似たものとして、ハナギンチャクの仲間があります。ハナギンチャク(花巾着)は、以前、このブログで取り上げましたね(管の中の花? ハナギンチャク(2009/4/27))スナイソギンチャクと同じく、砂や泥の海底に棲むものです。
 ハナギンチャクと、スナイソギンチャクとは、縁が遠いです。その証拠に、体の仕組みが、大きく違います。スナイソギンチャクは、体の末端に吸盤があります。それで、砂の中の石などにくっついています。ハナギンチャクには、吸盤はありません。
 スナイソギンチャクと紛らわしい生き物は、他にもいます。スナギンチャク(砂巾着)です。よーく見て下さい。スナ「イソ」ギンチャクとは、違う名前です。
 スナギンチャクも、スナイソギンチャクとは、縁が遠いです。スナギンチャクのほうは、基本的に、群体性です。サンゴのように、たくさんの個体が、集まって暮らします。
 スナギンチャクの仲間には、体に砂粒を埋め込んで、補強するものが多いです。だから、「スナ」ギンチャクです。スナ「イソ」ギンチャクと、紛らわし過ぎますよね(笑)
 スナ「イソ」ギンチャクは、イソギンチャク目【もく】に属する一種です。スナギンチャクは、スナギンチャク目【もく】に属する種の総称です。ハナギンチャクは、ハナギンチャク目【もく】に属する種の総称です。目【もく】のレベルで、分類が違います。
 普通の人は、水族館で、スナ「イソ」ギンチャクと会う機会が、多いかも知れません。スナイソギンチャクには、美しい個体が多いからです(個体ごとに、色に変異があります)。水族館では、見栄えがするのですね。私も、水族館で、見たことがあります。
 私が見た個体は、見事な蛍光ピンクでした。まるで人工物みたいでしたが、自然な色だそうです。機会があれば、ぜひ、この生物の実物を、御覧になって下さい。

図鑑には、スナイソギンチャク、スナイソギンチャクと紛らわしいヒメハナギンチャクムラサキハナギンチャクが掲載されています。ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、イソギンチャクや、イソギンチャクに似た生き物を取り上げています。また、イソギンチャクと共生するので有名なクマノミも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
管の中の花? ハナギンチャク(2009/04/27)
世界最長寿のサンゴが発見される(2009/04/04)
イソギンチャクは逆さのクラゲ?(2008/04/21)
などです。

2009年10月 2日

鳥の巣? いえ、カヤネズミの巣です

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 草むらで、鳥の巣らしきものを、見つけたことがありませんか?
 それは、河川敷のヨシ原や、ススキの原にあるかも知れません。草の茎の途中に、小さな球形の巣が付いていることがあります。草を編んで作られています。
 これは、鳥の巣でしょうか? そういう場合もあります。けれども、鳥ではないこともあります。ネズミの一種も、このような巣を作るのです。カヤネズミという種です。
 カヤネズミは、日本最小のネズミといわれます。尾の長さまで入れても、全長は10cm未満です。体重は、15gもありません。世界でも、最小級のネズミです。
 ちなみに、カヤネズミは、日本最小の哺乳類ではありません。コウモリの仲間に、もっと小さいものがいます。日本最小の哺乳類は、クロホオヒゲコウモリでは、といわれます。
 生き物にとって、体が小さいことには、意味があります。体が小さければ、棲める場所が広がります。食べ物も、少なくて済みますね。
 例えば、カヤネズミは、細い草の茎にも、するすると登れます。草の茎に、小さな巣を作りつけることもできます。こういった技がなければ、草むらには棲めませんね。
 カヤネズミは、人家に入ってきません。ヒトには、害を与えないネズミです。
 カヤネズミの存在は、昔から知られていました。彼らが棲むような草原は、昔は、大事なところだったからです。昔の日本人は、かや(ススキやチガヤなど、イネ科の草の総称)を、さまざまに利用しました。かやの供給源として、草原を維持・管理していました。
 しかし、現在の日本では、かやを利用することなど、ほとんどありませんね。かつて維持・管理された草原は、どんどん姿を消しました。このため、カヤネズミのすみかは、ひどく減りました。絶滅してしまった地域もあります。
 カヤネズミの生態には、謎が多いです。小さすぎるために、観察が大変なのですね。でも、前記のように、小さいことには、利点もあります。狭い草原でも、カヤネズミが棲んでいるかも知れません。河川敷のかやの原などは、可能性が高いです。
 かやの原を見つけたら、カヤネズミの巣をそっと、探してみる価値がありそうです。
 「全国カヤネズミ・ネットワーク」という団体が、カヤネズミの調査をしています。カヤネズミの巣を発見された方は、以下のウェブサイトへ報告すると、喜ばれます。
全国カヤネズミ・ネットワーク


図鑑↓↓↓↓↓には、カヤネズミが掲載されています。また、カヤネズミより小さいクロホオヒゲコウモリも載っています。
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 過去の記事でも、ネズミの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
フィリピンで、ネズミの新種を発見(2009/02/26)
再発見! オキナワトゲネズミ(2008/03/07)
水辺の巨大な鼠【ねずみ】の正体は?(2008/01/19)
などです。

2009年9月28日

カメの腹筋? セマルハコガメ

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 カメ(亀)は、誰もが知る動物ですね。何といっても、あの甲羅が特徴です。防御手段として、優れていますよね。
 頭や手足を引っ込めたカメを、見てみましょう。防御体制は完璧、ではありません。よく見ると、隙があります。おなかの甲羅―腹甲【ふっこう】といいます―と、背中の甲羅―背甲【はいこう】といいます―の間が、空いていますよね。ここは軟らかいです。
 これは、どうしても必要な隙間です。この隙間がなければ、カメは、頭や手足を出すことができません。とはいえ、この隙間は、無用心ですね。器用な肉食獣がいたら、ここにうまく食いつくかも知れません。この隙間を、何とかする方法は、ないのでしょうか?
 あります。そういう方法を「発明」したカメの仲間がいます。ハコガメの仲間です。
 ハコガメとは、イシガメ科ハコガメ属に属するカメの総称です。ハコガメには、「腹甲を動かせる」特徴があります。頭や手足を引っ込めたあと、腹甲を動かして、隙間を閉めます。腹甲が、蓋【ふた】になるわけです。まさに「箱亀」です。
 こんな面白いカメは、どこにいるのでしょうか? 日本にも分布します。ただし、南西諸島の、石垣島と西表島にしか、いません。日本の南西端に近いほうですね。
 日本に分布するのは、セマルハコガメという種です。この種は、台湾や、中国大陸にも分布します。日本にいるセマルハコガメと、その他の地域にいるものとは、亜種のレベルで分けられています。日本のものは、ヤエヤマセマルハコガメという亜種です。
 ヤエヤマセマルハコガメは、世界中で、日本にしかいません。貴重な亜種ですね。けれども、もともと、分布地では、平凡なカメだったそうです。あまり強力な敵が、いなかったのでしょう。防御が完璧なためでしょうか。
 状況が変わったのは、人間のせいです。道路で生息地が分断されたり、側溝【そっこう】に落ちて出られなくなったり、ということが増えました。ヒトには、自慢の「蓋ができる甲羅」も通じません。近年、ヤエヤマセマルハコガメは、激減したといわれます。
 長年、生き延びてきた彼らを、私たちの代で、滅ぼしたくありませんね。


図鑑↓↓↓↓↓には、ヤエヤマセマルハコガメが掲載されています。
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 過去の記事でも、カメの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
貴重な日本の固有種、リュウキュウヤマガメ(2009/02/16)
ガラパゴスより、ゾウガメとイグアナの報告(2009/01/27)
絶滅からよみがえる? シャンハイハナスッポン(2008/04/22)
などです。

2009年9月25日

貝類は、昔、ミミズだった? カセミミズ

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 海の生き物の中で、貝類は、ヒトと関わりが深いですね。二枚貝も、巻貝も、たくさんの種が、食用にされます。日本人で、アサリやアワビを知らない人は、いないでしょう。
 貝類は、進化の最初の段階から、貝殻を持っていたのでしょうか? どうやら、違うようです。貝類の祖先は、殻を持たなかったと考えられています。
 「貝類の祖先に、姿が似るのでは」とされる生き物がいます。カセミミズの仲間です。カセミミズは、以前、このブログで取り上げましたね(海中のミミズ? カセミミズ(2006/8/8)) 名のとおり、外見は、ミミズに似ます。細長い体を持ちます。
 カセミミズの分類には、変遷があります。ずっと昔は、本物のミミズなどと一緒くたにされていました。その後、貝類と共通点があることがわかり、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】に入れられました。
 軟体動物門は、とても大きなグループです。カセミミズや、二枚貝、巻貝の他に、イカやタコの仲間も入ります。あまりにも多様な種が属するので、分類が混乱しがちです。
 軟体動物門の中に、ケハダウミヒモと呼ばれる生き物がいます。カセミミズと同じく、殻を持たないミミズ状です。軟体動物の中でも、ケハダウミヒモとカセミミズとは、近縁だと思われてきました。そのため、同じ無板綱【むばんこう】というグループに、入れられてきました。ところが、最近、「この分類は違うらしい」と、わかってきました。
 現在では、両者は、違う綱【こう】に分類されることが多いです。カセミミズは、軟体動物門の中の溝腹綱【こうふくこう】です。ケハダウミヒモは、軟体動物門の中の尾腔綱【びこうこう】です。綱という上位のレベルで、分類が違うのですね。
 カセミミズと、ケハダウミヒモと、どちらがより軟体動物の祖先に近いのかは、わかっていません。どちらのグループも、研究が進んでいないからです。どこにどれだけ棲むのかを調べるのさえ、難しいです。海底の砂や泥に、潜っている種が多いためです。
 二〇〇八年に、尾腔綱としては、世界最大と思われる種が発表されました。メキシコ湾の深海産です。尾腔綱や溝腹綱の秘密は、深海にあるかも知れませんね。

 世界最大の尾腔綱【びこうこう】のニュースは、以下に載っています。(ニュース記事では、尾腔亜綱【びこうあこう】となっています。この分類は、ケハダウミヒモの仲間を、無板綱【むばんこう】尾腔亜綱に分類した学説によったのでしょう)
深海生物の新種――世界最大の尾腔亜綱(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/11/10)


図鑑↓↓↓↓↓には、カセミミズ―最近の分類では、溝腹綱【こうふくこう】とされます―掲載されています。
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 過去の記事でも、カセミミズや、生物の分類について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
亜目や亜科の「亜」とは、なに?(2009/08/28)
生物分類の、目【もく】や科とは、なに?(2009/08/12)
海中のミミズ? カセミミズ(2006/08/08)
などです。

2009年9月21日

桐一葉、落ちて天下の秋を知る?

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 日本の秋の季語に、桐一葉【きりひとは】というのがありますね。この言葉の大もとは、中国にあります。元は、「一葉【いちよう】落ちて天下の秋を知る」でした。大きな桐の葉が落ちる様子が印象深かったのでしょう。
 ところが、ここで言う「桐」は、今の日本のキリではありません。アオギリ(青桐)という、別の種です。アオギリは、漢字では梧桐とも書かれます。
 アオギリは、アオギリ科、またはアオイ科に属します。キリは、キリ科(異説もあります)です。分類上は、遠縁です。では、なぜ、同じ「桐」の字が付くのでしょうか?
 本来、中国で「桐」と呼ばれたのは、アオギリだったと見られます。アオギリは、中国で尊ばれた木でした。「アオギリの木に、鳳凰が住む」という伝説が生まれたほどです。
 アオギリの特徴の一つに、大きな葉があります。ヒトの手のような形をしています。これに似た葉の木に、多く「なんとか桐」という名が付けられました。尊いアオギリに、あやかろうとしたのでしょう。キリ科のキリも、中国名を「泡桐」と付けられました。
 中国から日本へ、「桐」という字が伝わった時、どこかで取り違えが起きました。アオギリではなく、キリのほうに、「桐」の字を当ててしまいました。
 おかげで、アオギリのものだった伝説も、キリに当てられました。日本では、「キリの木に、鳳凰が住む」といわれますね。中国でアオギリが尊ばれるように、日本では、キリが尊ばれます。「桐一葉」という季語も、普通には、アオギリでなく、「キリの葉が落ちる」と解釈されています。
 アオギリも、日本で大事にされないわけではありません。例えば、あるアオギリの林が、国の天然記念物に指定されています。静岡県下田市のアオギリ自生地です。アオギリの自生地としては、ここが、世界最北だといわれます。
 アオギリの分布は、謎が多いです。元来、日本に自生したのか、昔に大陸から持ち込まれたのか、わかっていません。最近の分子生物学を使えば、何かわかりそうです。優先順位が低い研究かも知れませんが、どなたか、やってくれないものでしょうか。


図鑑↓↓↓↓↓には、アオギリもキリも掲載されています。
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 過去の記事で、アオギリと同じく「桐」の字が付くキリや、アブラギリなどを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
桐油は、キリ(桐)からは採れない?(2009/07/10)
桐【きり】の名前で、きりきり舞い?(2009/05/08)
セキヤノアキチョウジとは、どんな意味?(2008/09/05)※「キリツボ」という別名を持つアキチョウジを取り上げています。
などです。

2009年9月18日

秋にも繁殖する? バン

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 鳥の繁殖期といえば、普通は、春から初夏にかけてですね。ところが、まれに、秋に繁殖する姿を、見ることがあります。
 実際、私は見たことがあります。九月に、静岡県内でのことでした。バン(鷭)という種の鳥が、湖に、巣を作っていました。
 バンとは、クイナ科に属する鳥の一種です。多くのクイナ科の種と同じく水鳥です。湖や池などの淡水地に棲みます。カモとは違い、足に水かきはありません。でも、なかなか上手に泳ぎます。大きさは、細身のドバトといった感じです。
 バンの繁殖期は、秋なのでしょうか? 普通は、そうではありません。他の鳥と同じように、春から夏にかけて繁殖します。けれども、時に、秋にも繁殖します。
 じつはバンは、年に二回か三回、繁殖することがあるのですね。それは、いろいろな条件が良い場合です。食べ物がたくさんあったり、気候が安定したりした場合でしょう。一回目の子育てで、親鳥が消耗してしまったら、二回目以降はないはずです。
 条件さえ整えば、多くの種の鳥が、年に二回以上繁殖するようです。例えば、ツバメも、そうすることがあります。できるだけ、多くの子孫を残すためでしょう。
 春から子育てを始めたとしても、三回目の子育てともなれば、秋になります。気候は、どんどん涼しくなります。食べ物も、減ってくるでしょう。子育てには、苦労が多いですね。バンは、どうやって、秋の子育てを乗り切るのでしょうか?
 バンには、ヘルパーというシステムがあります。簡単に言えば、これは、「上の子が、下の子の世話をする」システムです。一回目の繁殖で育った子どもが、二回目以降の子育てを手伝います。「兄や姉が、弟や妹の面倒を見る」わけですね。
 ヘルパーという存在は、他種の鳥でも見られます。オナガやヤブサメなどです。
 二回目以降の繁殖でも、必ずヘルパーがいるとは限りません。先に生まれた子のうち、どの子がどのようにしてヘルパーになるのかは、まだ解明途中です。この微笑ましい存在が、どのように生まれたのか知りたいですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、鳥のバン(鷭)が掲載されています。ヘルパーの画像も載っています。
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 過去の記事でも、カモなど、多くの水鳥を取り上げています。また、バンの画像や、バンと同じクイナ科のヤンバルクイナも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
バン【親とヒナ】(2009/06/17)
バン(2008/10/16)※水かきがない足が、はっきり見える画像です。
バン【愛鳥週間 5月10日~5月16日】(2008/05/10)※幼鳥の画像です。
カモは水に潜るか?(2006/11/27)
ヤンバルクイナは絶滅寸前?(2006/10/02)
鴛鴦(オシドリ)は本当におしどり夫婦か?(2006/03/06)
などです。

2009年9月14日

日本の誇る虫文化【むしぶんか】

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 そろそろ、動物愛護週間ですね。二〇〇九年の動物愛護週間は、九月二十日から二十六日です。この機会に、「動物を愛護する」ことについて、考えてみましょう。
 野生動物を、やたらに飼うのは、良いこととは言えません。けれども、希少なものでなければ、昆虫などの小動物を飼うのは、良い経験になると思います。
 幸い、日本には、世界に誇るべき動物愛護の文化があります。「鳴く虫を愛好する」文化です。キリギリスや、コオロギの声を、愛でることですね。
 これは、世界的に見て、珍しいことだそうです。例えば、ヨーロッパでは、鳴く虫の声は、雑音としかとらえられないようです。
 少なくとも平安時代(千年以上前!)から、日本には、鳴く虫を愛でる文化がありました。『枕草子』でも、虫の声が褒められています。江戸時代になると、庶民の間でも、鳴く虫を飼うことが流行します。芸術的な虫籠【むしかご】も、登場しました。
 コオロギや、キリギリスの仲間には、風流な名前の種が多いです。古くから、愛好されたためでしょう。中でも、クサヒバリ(草雲雀)という種名は、素敵ですね。
 クサヒバリとは、文字どおり、「草むらに鳴くヒバリ」の意味です。コオロギの中でも、特に、その鳴き声が美しいとされたために、このような名が付きました。
 この名の由来は、もう一つあるのでは、と思います。クサヒバリは、朝に鳴くことが多いのですね。日に向かって鳴くヒバリと、印象が重なったのかも知れません。
 コオロギといえば、夕方から夜に鳴く印象が強いですね。しかし、昼間にコオロギが鳴かないわけではありません。じつは、コオロギが鳴くかどうかは、気温によって決まります。具体的な気温は、種によって、少しずつ違います。
 一定以上の暑さでは、コオロギは、鳴きません。ですから、夏の暑い時期は、昼間に鳴かないのです。夕方、涼しくなってから、鳴き始めます。秋になれば、クサヒバリに限らず、ほとんどの種が、昼間から鳴き始めます。昼も涼しいからですね。
 「鳴く虫を愛でる」という風雅な文化は、ずっと続いて欲しいものです。


図鑑↓↓↓↓↓には、クサヒバリなど、日本のコオロギが十種以上掲載されています。
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 過去の記事でも、コオロギや、キリギリスなど、鳴く昆虫を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ミノムシ(蓑虫)は鳴く?(2006/11/15)
キリギリスは草食か肉食か?(2006/6/30)
鈴虫はマツムシ、松虫はスズムシ?(2005/10/03)
などです。

2009年9月11日

新種が続々、アザミ

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 夏から秋にかけては、アザミ(薊)の花の季節ですね。ほとんどのアザミの仲間は、この時期に花を咲かせます。(ノアザミなど、一部の種を除きます)
 アザミとは、キク科アザミ属に属する種をまとめて呼ぶ名です。正式な日本語名として、単に「アザミ」という種はありません。アズマヤマアザミ、フジアザミ、ナンブアザミ、ノハラアザミなど「○○アザミ」という種名になります。
 アザミ属には、たくさんの種が属します。日本だけでも、百種以上が分布します。
 なぜ、アザミ属には、こんなに多くの種があるのでしょうか? どうやら、地域ごとに隔離されると、すぐに新しい種が生まれるようです。今、まさに分化が進んでいるグループなのでしょう。そのためか、限られた地域にしか分布しない種が、多いです。
 例えば、ニッポウアザミという種があります。この種は、日本の大分県と宮崎県でしか、分布が確認されていません。大分県と宮崎県にまたがる日豊海岸【にっぽうかいがん】で、最初に発見されました。だから、日豊薊【にっぽうあざみ】です。
 ニッポウアザミは、他のアザミと同じく、美しい花を咲かせます。山奥ではなく、人里に生える種です。なのに、二〇〇四年に発見されたばかりです。こんなに目立つ種が、こんなに最近まで未発見とは、驚きますね。
 似た例は、他にもあります。二〇〇六年には、宮崎県で、ヒュウガアザミ(日向薊)という新種が、発見されました。このようなことが起こるのは、アザミ属の種が、互いに似ているからです。種の区別を、付けにくいのですね。
 二〇〇九年の二月にも、新種のアザミが、二種、確認されました。キリシマアザミ(霧島薊)と、シライワアザミ(白岩薊)です。どちらも、宮崎県に分布します。
 ヒュウガアザミと、キリシマアザミは、それまで、ツクシアザミという一つの種とされていました。新発見により、ツクシアザミという種の範囲は、だいぶ狭まりそうです。
 こうなると、「身近に、新種のアザミがあるかも?」と思いますよね。道端のアザミを、地道に観察して、記録を取っておけば新発見につながるかも知れません。
 近年のアザミ属の新種のニュースは、以下に載っています。
アザミ新種2種を確認 県内自生、14種に(宮崎日日新聞 2009/2/10)
日本のアザミ-日本列島にアザミは何種あるのか-(国立科学博物館)※pdfファイルです。
ニッポウアザミの画像(日本の植物たち)
キリシマアザミの画像(宮崎植物研究会)


図鑑↓↓↓↓↓には、アズマヤマアザミ、ナンブアザミ、ノアザミ、ノハラアザミ、フジアザミが掲載されています。また、アザミ属と紛らわしいキツネアザミ、タムラソウも載っています。
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 過去の記事でも、アザミの仲間と近縁なキク科の植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
田で平たくなるから、タビラコ(田平子)?(2009/01/16)
ハハコグサは、母子草ではない?(2008/2/15)
九月九日は菊の節句(2006/09/09)
などです。

2009年9月 7日

泳ぎが苦手な水生昆虫? ガムシ

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 日本には、たくさんの水生昆虫が分布します。有名なのは、ゲンゴロウですね。中には、ゲンゴロウに似て、異なる水生昆虫もいます。ガムシ(牙虫)が、その一種です。
 ガムシは、ゲンゴロウと同じく、甲虫です。体が硬い昆虫ですね。外見は、たしかにゲンゴロウに似ています。けれども、区別は、すぐにできます。泳ぎ方が違うためです。
 ゲンゴロウの泳ぎは、とても速いです。しゅしゅしゅーっという感じで、容易につかまりそうにありません。それに比べると、ガムシの泳ぎは、いかにも不器用です。のたのたと、水中を歩いているようです。
 水生昆虫なのに、なぜ、こんなに泳ぎが下手なのでしょうか? その理由は、ガムシの食べ物にあります。ガムシは、主に水生植物を食べます。植物は、逃げませんね。速く泳いで、追いかける必要がありません。ゆっくり泳げばいいわけです。
 ゲンゴロウは、肉食性です。逃げる獲物を、追いかけなければなりません。そのために、速く泳げるようになりました。
 昔、「ガムシは、ゲンゴロウより後に、水生昆虫として進化した」という説がありました。ガムシの泳ぎが、あまりに下手だからです(笑)ゲンゴロウほど、水中にうまく適応していないのだろうと考えられたわけです。
 現在では、この説は、あまり聞きません。はっきりした証拠が、挙がっていないからでしょう。泳ぎが下手でも、「ガムシが、水中生活に適応していない」とはいえません。体の細かい部分を見ると、よくできています。
 例えば、呼吸の仕組みです。ガムシの成虫は、空気を呼吸します。水中で、どうやって呼吸するのでしょう? 翅【はね】と腹部の間に、空気をためるのです。その空気を呼吸します。アクアラング方式ですね。この方法は、ゲンゴロウと同じです。
 ガムシは、ゲンゴロウと比べると、省エネ型の昆虫といえます。草食性になることで、速く泳ぐ必要をなくしました。速く泳がなければ、たくさんのエネルギーを使わずに済みます。これも、自然の知恵ですね。現代風の「エコ」な昆虫といえるかも知れません。


図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ガムシは載っていません。が、ゲンゴロウが掲載されています。
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 過去の記事でも、ゲンゴロウなど、水生昆虫を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
昆虫一のアクアラング王者? ゲンゴロウ(2009/03/27)
アメンボは、水上のスケーター?(2008/01/18)
はかないようでしぶとい? カゲロウ(2006/09/04)
などです。

2009年9月 4日

ニンジン(人参)がいっぱい?

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 生き物には、紛らわしい名を持つものがありますね。例えば、野菜のニンジン以外に、「○○ニンジン」という名の植物が、いく種もあります。オタネニンジン、ツリガネニンジン、ツルニンジンなどです。これらは、みな、近縁なのでしょうか?
 違います。大きく分けると、三つのグループに分かれます。セリ科に属するグループと、ウコギ科に属するグループと、キキョウ科に属するグループです。
 野菜のニンジンは、セリ科に属します。同じセリ科には、セリ、ミツバ、アシタバ、セロリ、パセリなど、多くの野菜が含まれます。人類の食用に、役立っていますね。
 ウコギ科に属するのは、薬用になる「ニンジン」です。オタネニンジンが有名ですね。
 オタネニンジンには、たくさんの別名があります。チョウセンニンジン(朝鮮人参)、コウライニンジン(高麗人参)などです。オタネニンジンという名は、「御種人参」という意味です。かつて、江戸幕府から種子が分配されたので、「御種」と名づけられました。
 オタネニンジンは、元は、日本にありませんでした。けれども、近縁な種が、日本の山野に自生します。トチバニンジン(栃葉人参)という種です。チクセツニンジン(竹節人参)とも呼ばれます。オタネニンジンと同じ、ウコギ科トチバニンジン属に属します。
 トチバニンジンには、オタネニンジンほどの薬効は、ないそうです。それでも、オタネニンジンとは別に、薬用にされることがあります。
 最後に、キキョウ科の「ニンジン」を紹介しましょう。ツリガネニンジンと、ツルニンジンです。どちらも、日本の山野に生える野草です。栽培されることもあります。
 ツリガネニンジン(釣鐘人参)は、キキョウ科ツリガネニンジン属に属します。名のとおり、釣鐘に似た花を咲かせます。山菜として、食べられることもあります。
 ツルニンジン(蔓人参)は、キキョウ科ツルニンジン属に属します。つる植物です。こちらも、山菜として、食べられます。長野県の伊那市で、特産品として育てています。
 初めに「人参」と呼ばれたのは、オタネニンジンのようです。この種が有名になったため、少しでも似ている種には、「○○ニンジン」という名が付いたのでしょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、野菜のニンジンと野草のトチバニンジン、ツリガネニンジン、ツルニンジンが掲載されています。
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 過去の記事でも、野菜になる植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
とろろの材料になるのは、ヤマイモ? ヤマノイモ?(2008/11/07)
謎の「カブラ・ライン」とは?(2007/10/29)
ハロウィーンは南瓜【かぼちゃ】祭り?(2006/10/31)
などです。

2009年8月31日

ガを誘惑する? カラスウリ(烏瓜)

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 今日で夏休みも、終りですね。「宿題の自由研究を、まだやっていない」と焦っている人がいるでしょう。今回は、そういう人に、宿題のヒントを出しますね。
 カラスウリという植物があります。日本の野山に、普通に生えるつる草です。住宅地でも、緑の多いところなら、見られる可能性が高いです。
 この植物を、観察してみたらどうでしょう? 花の咲く様子を観察すると、面白いと思いますよ。なぜなら、カラスウリの花は、形も咲き方も、独特だからです。
 カラスウリの花は、夜だけ咲きます。一晩咲くと、しおれてしまいます。観察するには、徹夜しなければなりません。お子さんは、大人に許可をもらって、徹夜しましょう。
 大人でも、カラスウリの開花を観察するなら、近所の人にことわったほうが良いと思います。夜の道端で、じっとしていたりしたら、不審者として、通報されかねません。
 さて、カラスウリには、白い花が咲きます。花びらの先が、細かく分かれて、広がっています。まるで、白髪を振り乱したようです。なぜ、こんな花なのでしょうか?
 それは、夜の闇で目立つためです。花は、誰かに、花粉を運んでもらわなければなりません。花粉の運び手に目立つように、アピールしています。
 カラスウリの場合、主な花粉の運び手は、スズメガだといわれます。スズメガとは、ガ(蛾)の仲間のうち、スズメガ科に属する種の総称です。体が太く、翅【はね】が細長く、すばやく飛び回るのが特徴です。多くの種のスズメガが、夜に活動します。
 カラスウリの花を観察すれば、スズメガが来るのを、見られるかも知れません。スズメガ以外の生き物が、来る可能性もあります。どんな生き物が、何時ころ、何回来たのかを、しっかり記録しましょう。このような記録は、大事なものです。
 生き物の研究に、何より役立つのは、実際の観察記録です。これにより、それまでの定説が崩されることは、よくあります。もしかしたら、スズメガ以外の生き物が、カラスウリに貢献しているかも知れませんよね。
 最後に、もう一つ。観察するなら、当日の天候と気温も、忘れずに記録しましょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、カラスウリは掲載されています。
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 過去の記事でも、夏休みの自由研究に役立ちそうなことを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
孵化【ふか】と羽化【うか】とは、どう違う?(2008/08/29)
豪華絢爛【ごうかけんらん】、日本のカミキリムシ(2008/08/15)
ネットで、知りたいことを上手に知るには? 番外編(2008/04/14)
トンビやオケラは、存在しない? 生き物の名前の話(2008/04/11)

2009年8月26日

海の妖怪ジェニー・ハニヴァー、その正体は?

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 夏休み、水族館に出かけた方はいませんか? 最近は、水族館に、大きな水槽があることが増えましたね。おかげで、大型の魚が、生きた姿で、見られます。
 例えば、エイの仲間には、大型になるものが多いです。水族館では、あの独特なエイの姿を、じっくり見ることができます。一度、エイを腹側から見てみて下さい。
 腹側からエイを見ると、面白い形をしています。まるで、ヒトの顔のようです。眼が二つ、口が一つあるように見えます。
 もちろん「ヒトの顔」と見るのは錯覚です。口は、確かにエイの口ですが、眼に見える部分はエイの眼ではありません。鼻の穴です。本当のエイの眼は背の側にあります。
 昔の人も、エイのこのような姿を、面白いと感じたのでしょう。エイの干物で、お土産物が作られるようになりました。カリブ海の沿岸などにあると聞きます。ジェニー・ハニヴァーJenny Haniverというものです。
 ジェニー・ハニヴァーは、「悪魔の魚」や「海の妖怪」のミイラなどといわれます。土地ごとに、さまざまな伝説があります。伝説には、民俗学的な価値があるでしょう。けれども、ジェニー・ハニヴァーそのものは、エイの干物を加工しただけです。
 どこの国の人も、エイには、不気味さを感じるのでしょうか。日本にも、エイを「妖怪の一種」とする伝承があります。「赤えい」という妖怪です。
 妖怪の赤えいは、とてつもなく大きな魚です。あまりにも大きいため、島と間違えられるといわれます。このような巨大魚の伝説は、世界各地にありますね。アラビアン・ナイトにも登場します。日本の場合、なぜかそれが「赤えい」だとされました。
 アカエイというエイの一種は、実在します。が、むろん、実物のアカエイは島ほど大きくはなりません。長い尾を入れても、せいぜい2m以内です。妖怪の「赤えい」と実在するアカエイとがなぜ同じ名なのかはわかりません。
 実在するアカエイは、日本近海では平凡な魚です。水族館でもよく飼われています。ぜひ、生きているジェニー・ハニヴァー(笑)の姿を確かめて下さい。



図鑑↓↓↓↓↓には、実在する魚のアカエイは掲載されています。
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 過去の記事でも、エイや、エイに似た魚を取り上げています。また、「人魚のミイラ」など、妖怪とされる生き物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
チュパカブラ? ニホンオオカミ? 謎の生物の正体は(2009/03/30)
カスザメは、海中の天使?(2008/12/01)
新種のエイ、新種のイルカを発見(2008/08/26)
人魚のミイラが実在する?(2007/04/01)
「かすべ」と言う魚を(2005/11/10)
などです。

2009年8月21日

イソガニとイワガニ、どっちがどっち?

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 生き物の中には、紛らわしい名前のものがいますね。例えば、カニの仲間に、イソガニ(磯蟹)という種とイワガニ(岩蟹)という種がいます。
 この二種は、棲む場所もほぼ同じです。どちらも、岩の多い海岸に棲みます。岩礁や磯などと呼ばれる場所ですね。水中から出て歩くことがあるのも、同じです。両種とも、日本では平凡な種です。カニの中では、海水浴で会う可能性が高いです。
 おまけに、この二種は、姿も似ています。どちらも、普通のカニらしい姿です。大きさは、両種とも、甲長(甲羅の幅)3cm~5cmくらいです。体色は、どちらの種も、緑がかった褐色です。イソガニのほうが、明るい色合いのことが、多いです。
 イソガニとイワガニは、近縁なのでしょうか? 生物の世界では、外見がそっくりでも、遠縁のものがよくいますね。
 この二種は実際に近縁です。両種とも、イワガニ科に属します。イソガニは、イワガニ科の中のイソガニ属に、イワガニは、イワガニ科のイワガニ属に属します。
 こんなに似たところだらけでは、区別ができませんね。普通の人が区別するには、図鑑と首っぴきになる必要があるでしょう。
 この二種には、一つ決定的な差があります。外見のことではありません。分布のことです。じつは、イワガニのほうは、後から日本に来ました。外来種です。
 日本のイワガニの故郷は、北米と考えられています。今では、イワガニは、日本中の磯で見られます。日本在来種のイソガニと、仲良く?やっているようです。
 面白いことに、北米では、イソガニとイワガニの立場が逆転しています。もともと、イワガニがいたところへ日本から、イソガニが入りました。今のところは、北米の海岸でも、あまり問題なく、共存しているようです。
 日本のイワガニも北米のイソガニもたくましいですね。ここまで広まってしまうと、外来種として駆除するのは、無理だと思います。駆除を考えるより、彼らの生態を観察するほうが有意義でしょう。夏休みの自由研究にも、ちょうどいいですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、イソガニもイワガニも、掲載されています。
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 過去の記事でも、カニの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
シオマネキは、潮を招く?(2009/06/01)
スベスベマンジュウガニの名の由来は?(2008/8/18)
毛蟹【けがに】は、なぜ毛だらけ?(2007/11/30)
夫婦なのに名が違う?ズワイガニとコウバコガニ(2005/11/11)
などです。

2009年8月19日

学名の正しい読み方は?

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 生物の学名は、必ずラテン語で付けられると、前にお話ししましたね(学名と標準和名とは、違う? 同じ?(2009/08/07))。ラテン語の学名は、どのように読むのが、正しいのでしょうか?
 じつは、「正しい学名の読み方」というものは、ありません。学名をどのように読むのかは、決められていないのです。
 そもそも、ラテン語の読み方自体が、確定していません。同じラテン語でも、時代により、読み方が違います。同じ日本語の文章でも、平安時代と現代とでは、発音が違うようなものですね。どこの時代の読み方が正しい、とは言えません。
 とはいえ、現実問題として発音できないのは困りますね。ラテン語の読み方は、おおむね、ローマ字発音です。日本人なら、ラテン語のアルファベットをローマ字式に読んでいいと思います。
 世界的には、どのように読まれているのでしょうか? 現代では、英語が国際的な標準語になっていますね。そのため、英語式に発音されることが多いです。
 実例を挙げてみましょう。植物のヤマノイモの学名は『 Dioscorea japonica 』です。古典ラテン語ふうに読むと『ディオスコレア・ヤポニカ』となります。英語ふうに読むと『ダイオスコリア・ジャポニカ』です。
 国際会議などの場では、英語ふうに発音したほうが通じやすいでしょう。けれども、それが絶対的に正しいわけではありません。例えば、ドイツの方はドイツ語ふうに、フランスの方はフランス語ふうに、堂々と発音しています。
 学名は、人名や地名から付けられることが多いです。そのような場合「本来の人名や地名と同じ発音にすべきだ」という主張があります。
 しかし、現実には、それは無理でしょう。世界には、たくさんの言語があるからです。すべての言語について、正確に発音できる人などいませんよね。
 日本人が、学名をローマ字発音するのは、恥ずかしくありません。そのかわり、日本語由来の学名を、英語ふうに読まれても許してあげましょう(笑)


図鑑↓↓↓↓↓では、標準和名(正式な日本語名)でもラテン語の学名でも、生物を検索することができます。
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 過去の記事でも、学名について取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
トンビやオケラは、存在しない? 生き物の名前の話(2008/04/11)
新しい名前で出ています―魚類の改名(2007/2/2)
学名ってなんですか?(2005/9/30)
などです。

2009年8月17日

学名で分類がわかるって、本当?

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 以前、「生物の学名は、必ず、ラテン語」という話をしましたね(学名と標準和名は、違う? 同じ?)。今回は、学名の法則について、簡単に書きましょう。
 じつは、学名を見れば、その生物の分類が、わかるようになっています。生物の分類法については、「生物分類の、目【もく】や科とは、なに?」をお読み下さい。
 例えば、ヒトデの仲間のモミジガイの学名は、Astropecten scopariusです。Astropectenとscopariusという、二つの部分がありますね。最初のAstropecten のほうは、属の名前を表わします。scopariusのほうは、種の名前―専門的には、種小名といいます―です。
 Astropectenを、日本語に訳せば、「モミジガイ属」という意味です。これに、scopariusという種小名を付けると、「モミジガイ属の種モミジガイ」という意味になります。
 モミジガイに近縁な、トゲモミジガイも見てみましょう。トゲモミジガイの学名は、Astropecten polyacanthusです。Astropectenという部分が、モミジガイと同じですね。同じモミジガイ属だからです。Astropecten polyacanthusという学名は、「モミジガイ属の種トゲモミジガイ」という意味です。
 この仕組みは、日本人の氏名に似ていますね。日本人の氏名は、最初に氏の名前が来て、後ろに個人の名前が付きます。氏の名前は、家族で共通ですね。「山田太郎さん」といえば、「山田という一家の一員の太郎さん」だと、わかります。
 同じように、例えばトゲモミジガイならば、「モミジガイ一家の一員のトゲモミジガイさん」という具合に、覚えるといいかも知れません。
 なお、学名では、「属の名前は、先頭を大文字で書く(Astropectenのように)」と決まっています。種小名のほうは、必ず、先頭が小文字です(scopariusのように)。
 この仕組みを知ると、学名を見ただけで、ある種と別の種とが同じ属かどうか、わかります。例えば、アオヒトデの学名は、Linckia laevigataです。属名が、モミジガイとは違いますね。「同じヒトデでも、モミジガイ属ではない」とわかります。
 学名を知れば、ちょっと知ったかぶりができて、格好いいかも知れませんね(笑)


図鑑↓↓↓↓↓には、ラテン語の学名でも、標準和名(正式な日本語名)でも、生物を検索することができます。例に挙げたモミジガイ、トゲモミジガイ、アオヒトデも掲載されています。
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 過去の記事でも、生物の学名や、分類について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
生物分類の、目【もく】や科とは、なに??(2009/08/12)
学名と標準和名とは、違う? 同じ?(2009/08/07)
などです。

2009年8月14日

日本最大のトカゲとは?

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 世界最大のトカゲといえば、コモドオオトカゲか、ハナブトオオトカゲですね。二種とも、甲乙付けがたい大きさです。どちらも、全長が3mになることがあります。
 この二種は、両方とも、オオトカゲ科のトカゲです。日本には、オオトカゲ科のトカゲは、分布しません。全長が1mを越えるようなトカゲは、いないのですね。では、日本最大のトカゲは、何という種でしょうか?
 それは、キシノウエトカゲだといわれます。世界中のうち、日本の八重山諸島と、宮古諸島にしか分布しません。日本の固有種です。残念ながら、本土では見られません。
 キシノウエトカゲは、全長が40cm近くなることがあります。体型は、胴体が太く、四肢が短く、尾が長いです。普通に見られるニホントカゲを、そのまま大きくした体型ですね。体色も、ニホントカゲに似て、地味です。ただし、幼体の尾は、鮮やかな青です。
 大きくても、ヒトには無害です。昆虫、カエル、他のトカゲなどを捕食します。カニを食べるのも、観察されています。おそらく、日本のトカゲの中では、最強でしょう。
 キシノウエトカゲは、日本の天然記念物に指定されています。ですから、飼ったり、捕獲したり、傷つけたりすることは、禁止です。
 このように、キシノウエトカゲは、保護されています。なのに、数が減っているといわれます。主な原因は、イタチなど、外来種に捕食されていることのようです。
 これまで、キシノウエトカゲに、敵がいなかったわけではありません。西表島では、イリオモテヤマネコが、本種を捕食しています。捕食されながらも、イリオモテヤマネコとは、共存してきました。長い時間をかけて、バランスを取っていたのですね。
 ところが、そこに、外来種が加わりました。イタチや、インドクジャクなどです。イタチは、ネズミ駆除のために、持ち込まれました。クジャクは、観賞用に飼われたものが、逃げ出したようです。どちらも、人間が、無責任に持ち込んだといえます。
 外来種は、各地で、問題を起こしていますね。けれども、誰かの責任を問い詰めても、問題は解決しません。みんなで、解決策を考えるしかないでしょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、キシノウエトカゲが掲載されています。また、文中に挙げたニホントカゲ、イタチ、イリオモテヤマネコも載っています。
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 過去の記事でも、トカゲの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
コモドオオトカゲは、有毒だった?(2009/05/21)
ヘビと付くのに蛇じゃない、カナヘビ(2008/04/18)
大洋に生きるオガサワラトカゲ(2007/11/09)
などです。

2009年8月12日

生物分類の、目【もく】や科とは、なに?

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 図鑑などで、生き物について調べると、分類が書いてありますね。例えば、ヒトデの仲間のアカヒトデの分類は、以下のようになっています。
 棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】ヒトデ綱【こう】アカヒトデ目【もく】ホウキボシ科アカヒトデ属アカヒトデ
 ここにある門【もん】や綱【こう】や目【もく】とは、何でしょう?
 これらは、分類単位と呼ばれるものです。生物を分類するグループの名前です。
 アカヒトデの例ですと、棘皮動物「門」が、一番大きなグループです。最後の「アカヒトデ」が、一番小さな種【しゅ】というグループです。門>綱>目>科>属>種の順に、だんだん小さなグループになっています。
 「類【るい】がないじゃないか」と思う方がいるでしょう。じつは、「類」とは、正式な分類単位の名前ではありません。いわば、俗語です。何らかの共通点がある生物を、便宜上、まとめて呼ぶ名です。
 よく使われる「類」に、哺乳類や爬虫類がありますね。哺乳類と爬虫類を、正式な分類単位の名前で呼ぶと、哺乳綱【ほにゅうこう】、爬虫綱【はちゅうこう】となります。前記のアカヒトデでいえば、「ヒトデ綱」に当たるところです。
 「類」は、綱【こう】だけを指すのではありません。門や目【もく】や科や属を指すこともあります。どの分類単位を指すのかは、決まっていません。
 おおむね、目【もく】以上の大きなグループは、大分類と呼ばれます。大分類が違うもの同士は、縁が遠いといわれることが多いです。科以下の分類単位が同じものは、縁が近いとされます。目【もく】が同じで科が違うと、「広い意味で近縁」などといわれます。
 ただし、どの分類単位までを「近縁」とするかは、場合によって違います。
 普段、肉眼で見える生き物を分類するなら、上に挙げた「門」から「種」の分類単位を知っていれば、充分でしょう。ここに挙げたもの以外にも、分類単位は存在します。それらについては、別の項で説明しましょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、門【もん】、綱【こう】、目【もく】、科などの分類単位で、生物を検索することができます。例に挙げたアカヒトデも掲載されています。
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 過去の記事でも、生物の分類について取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
白保【しらほ】のサンゴは普通と違う? アオサンゴ(2008/11/17)
ヒトの祖先は、ナメクジウオ?(2008/06/20)
ホヤは脊索【せきさく】動物? 原索【げんさく】動物?(2007/08/28)
などです。

2009年8月10日

タヌキは、腹鼓【はらつづみ】を打つか?

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 現代の日本人で、「タヌキ(狸)やキツネ(狐)が、ヒトに化ける」と本気で信じる人は、いないでしょう。けれども、つい数十年前までは、そのように信じる人が、多くいました。「タヌキが腹鼓を打つ」のも、本当のことだと、信じられたのです。
 タヌキの腹鼓【はらつづみ】を、御存知ですか? 昔の日本では、「タヌキが自分の腹を打って、音を出す」といわれました。これを、タヌキの腹鼓と呼びました。
 こんな話は、今の私たちには、おとぎ話にしか聞こえませんね。むろん、本当のことではありません。ところが、昔は、新聞に、そのような話が、載ったこともあります。
 それは、明治時代の話です。文明開化の世だったはずですね。でも、当時の新聞には、「人家の床下で、タヌキが腹鼓を打った」などという記事が、堂々と載っていました。
 一例を挙げてみましょう。明治十七年(西暦一八八四年)の『郵便報知新聞』に、タヌキの記事が載りました。ある家で飼われるタヌキが、腹鼓を打ったというのです。
 その家は、清水東谷という人の家でした。清水氏は、日本の写真師(写真家)の草分けの一人です。記事には、タヌキが腹鼓を打つ様子が、克明に書かれています。たいへん具体的なので、本当のことではないかと、ちょっと考えてしまいます。
 この「腹鼓を打つタヌキ」は、夜に、その様子を目撃されています。明治時代の夜は、今よりずっと、暗かったでしょう。電灯など、ありませんからね。家の中で、何かの音がしても、その正体を見極めるのは、難しいです。ごそごそ動くタヌキを見て、「腹鼓を打っている」と、勘違いしたのではないでしょうか。
 このような勘違いが起こったのは、「タヌキが腹鼓を打つ」という俗信があったからですね。俗信がなければ、ただ、「何かの音がする」で、終わったでしょう。
 こんな記事を書いたからといって、明治時代の人を、笑うことはできません。私たち自身、後世の人から見れば、同じことをやっているかも知れないからです。
 タヌキの生態は、明治時代に比べれば、解明されました。しかし、まだ、わからないことは多いです。科学的な態度とは、謙虚に、ものごとの本質を追うことだと思います。


図鑑↓↓↓↓↓には、タヌキが掲載されています。
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 過去の記事でも、生き物に関する俗信や怪談めいた話を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
チュパカブラ? ニホンオオカミ? 謎の生物の正体は(2009/03/30)
海中のイルミネーション? ヒカリボヤ(2007/12/10)
妖怪が空を飛ぶ? ムササビ(2007/08/10)
などです。

2009年8月 5日

カワセミと翡翠【ひすい】との関係は?

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 カワセミは、水辺の美しい鳥ですね。近年では、自然保護の象徴ともされます。夏休み、バードウォッチングの対象にもちょうどいいですね。
 この鳥の特徴は、何といっても羽毛の色です。背中は瑠璃色【るりいろ】で、腹はオレンジ色です。「水辺の宝石」という呼び名がぴったりです。
 宝石といえば、カワセミには「ひすい」という別名があります。宝石の一種と、同じ名ですね。漢字で書けば「翡翠」です。翡翠と書いて「かわせみ」と読むこともあります。
 翡翠【ひすい】とは、もともと宝石ではなく、カワセミを指す言葉でした。だから、「翡」にも「翠」にも「羽」という字が含まれます。羽毛のある鳥を指すわけですね。それが、宝石の名に転用されました。
 宝石のヒスイには、確かに、カワセミと似た色合いのものがあります。けれども、すべてのヒスイがカワセミと似るわけではありません。
 一説によれば、ミャンマーのある地方産のヒスイがカワセミの色と似るそうです。そこのヒスイは、赤土の中にあります。そのため、表面が赤っぽく染まります。しかし、内側は緑です。瑠璃【るり】とオレンジのカワセミと似た色合いになるわけです。
 翡翠とは、中国から入ってきた言葉です。日本名の「かわせみ」に「翡翠」という漢字を当てました。では、カワセミという日本語名は何に由来するのでしょう?
 これは、わかっていません。「鳴き声が、昆虫のセミに似るから」という説があります。この説は、こじつけでしょう。カワセミの鳴き声は、あまりセミに似ていません。
 カワセミの別名に「しょうびん」というのがあります。これは、カワセミの古い日本語名「そにどり」に由来します。「そにどり」は、古事記にも登場するほど古い言葉です。
 「そにどり」を漢字で書くと、「翠鳥」です。和歌で「翠鳥【そにどり】の」といえば、「青」にかかる枕詞【まくらことば】です。昔の人も、カワセミの色合いに、心を打たれたのでしょう。
 「そにどり」の語源も、わかっていません。それにつけても、美しい言葉だと思います。


図鑑↓↓↓↓↓には、カワセミが掲載されています。
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 過去の記事でも、カワセミ画像や近縁な鳥や、カワセミと似た瑠璃色の鳥を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
キタ━(゚∀゚)━!!カワセミ(2009/01/03)
キタ━(゚∀゚)━!!カワセミ(2008/12/31)
憧れの鳥か? 妖怪か? アカショウビン(2008/10/06)
翡翠【カワセミ】(2008/04/08)
オオルリは瑠璃色【るりいろ】じゃない?(2007/08/03)
などです。

2009年8月 3日

シデムシは、昆虫の「おくりびと」?

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 二〇〇八年、日本映画の『おくりびと』がヒットしましたね。映画のように、丁寧に清められる最期は、幸せだと思います。人間ならば、清められた後、お墓に入りますね。では、他の生き物の最期は、どうなるのでしょう?
 たいていの生き物は、最終的に、土に還ります。その前に、死体は、多くの生き物に食べられます。死体を食べる生き物としては、ハイエナなどが有名ですね。
 日本には、ハイエナはいません。けれども、死体を専門に食べる生き物はいます。日本の「死体片づけ屋」で有名なものは、昆虫の中にいます。
 それが、シデムシの仲間です。シデムシは、コガネムシなどと同じ、甲虫の一グループです。甲虫目【こうちゅうもく】シデムシ科に属する種を、シデムシと呼びます。
 シデムシ科には、たくさんの種があります。生態は、種によって違います。多くの種は、幼虫も成虫も、死体を食べます。ミミズやネズミなど、小動物が、主な食べ物です。
 シデムシ科は、大きく分類すると、モンシデムシ亜科と、ヒラタシデムシ亜科とに分かれます。これらのうち、モンシデムシ亜科には、興味深い生態が見られます。
 例えば、ヨツボシモンシデムシを見てみましょう。この種の成虫は、死体を見つけても、その場では食べません。まず、死体を土に埋めます。次に、死体を噛み砕いて、肉団子を作ります。成虫が雌(メス)であれば、死体のそばに卵を産みます。
 それから、ヨツボシモンシデムシの成虫は、食事を始めます。そのうちに、卵から幼虫が産まれます。すると、成虫は、ちいちいと鳴いて、幼虫を呼び寄せます。そのうえ、口移しで、幼虫に食べ物を与えることさえするのです!
 これは、立派な「育児」ですよね。モンシデムシの仲間は、親が子の世話をする、珍しい昆虫です。この生態は、『ファーブル昆虫記』にも、書かれています。
 ヒト以外の生き物を、やたらに擬人化するのは、良くありません。しかし、死体を食べるシデムシが、「育児」をするのは、示唆的です。死者から生者へ、命をつなげていますよね。これは、「おくりびと」の儀礼と同じくらい、尊いことだと思います。


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 過去の記事でも、親が子の世話をする昆虫を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
可憐な少女が鬼母に? ジガバチ(2008/05/09)
ハサミムシの鋏【はさみ】は何のため?(2007/05/18)
子どもの揺籠【ゆりかご】を作る虫、オトシブミ(2006/06/12)
などです。

2009年7月31日

サルスベリの木の肌は、なぜ、すべすべ?

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 日本では、真夏に咲く花は、少ないですね。数少ない中に、サルスベリがあります。この花は、花期が長いです。夏じゅう、咲き続けます。
 サルスベリは、日本原産の植物ではありません。中国原産です。いつ、日本に入ったのかには、いくつかの説があります。江戸時代といわれることもあれば、鎌倉時代以前といわれることもあります。万葉時代には、まだ、なかったようです。
 サルスベリとは、面白い名前ですね。この名は、木の幹の様子に由来します。この木の肌は、つるつるです。いかにも滑りやすそうです。「猿が登ろうとしても、滑るだろう」ということから、サルスベリと付けられました。
 サルスベリの木の肌は、まだら模様になっていることがあります。そのような木をよく見ると、少しざらざらした肌と、つるつるの肌とがあります。
 これは、どういう訳でしょうか? じつは、サルスベリの木の皮は、成長につれ、どんどんはがれます。古くなってざらついた肌を、捨てるのですね。そうして、つるつるの状態を保ちます。まだらなのは、皮がはがれている途中だからです。
 木肌がすべすべの樹木は、他にも、たくさんあります。それらの他種が、方言名で、サルスベリと呼ばれることがあります。アオハダ、エゴノキ、ナツツバキ、リョウブなどです。これらの中には、サルスベリと同じく、成長につれ皮がはがれるものもあります。
 木肌をすべすべにすると、有利なことがあるのでしょうか? あります。つる植物に、取り付かれにくくなることです。
 つる植物の中には、巻き付かれる側の樹木にとって、有害なものがあります。つるが成長して、太くなると、樹木を絞め殺してしまうのです(!)
 サルスベリのような樹木なら、つる植物に、巻き付かれにくいです。すべすべなうえに、皮がどんどんはがれるからです。取り付こうとしたつるを、「振りほどく」ことができます。
 植物は、静かに暮らしているように見えますね。その陰には、このような戦いがあります。どんな生き物でも、生きることは、大変なのでしょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、サルスベリが掲載されています。また、方言名でサルスベリと呼ばれることがあるアオハダ、エゴノキ、サルトリイバラ、ナツツバキ、リョウブも載っています。
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 過去の記事でも、夏に花が咲く植物を取り上げています。また、方言名で、サルスベリと呼ばれることがあるサルトリイバラなども、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
サンキライ? いえ、サルトリイバラです(2008/12/08)
ツユクサの青は、染めものに使える?(2007/08/29)
スイレンとハスはどう違う?(2006/07/13)
などです。

2009年7月27日

泳がないクラゲがいる?

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 クラゲといえば、普通は、「海を漂うもの」ですね。正確には、漂うように見えても、ちゃんと泳いでいます。意外に、遊泳力は強いです。
 ところが、中には、泳がないクラゲもいます。では、どうするのでしょう? たいていの「泳がないクラゲ」は、海藻などにしがみつきます。海底に横たわるものもいます。
 泳がないクラゲの代表は、十文字クラゲ綱【こう】十文字クラゲ目【もく】の種です。ササキクラゲ、ジュウモンジクラゲ、ヒガサクラゲ、ムシクラゲなどの種がいます。
 この仲間は、泳ぎたくても泳げません。柄【え】に当たる部分があって、そこで海藻などに付きます。種名にもあるとおり、日傘や、植物の花のように見えます。ただし、大きさは、小さいです。ほとんどの種が、1cmか2cmしかありません。
 以前、十文字クラゲ目【もく】は、鉢虫綱【はちむしこう】に属するとされました。しかし、その特殊さから、独自の十文字クラゲ綱【こう】に分類されるようになりました。
 泳がないクラゲは、十文字クラゲ綱以外にもいます。例えば、ヒドロ虫綱【こう】の種です。エダアシクラゲ、カギノテクラゲ、ハイクラゲなどです。
 これらの種のうち、エダアシクラゲと、カギノテクラゲは、泳ぐことができます。両種とも、普段は、海藻などに付いています。ハイクラゲは、這うだけで、泳げません。
 けれども、分類上は、エダアシクラゲとハイクラゲとが近縁です。同じヒドロ虫綱【こう】花クラゲ目【もく】に属します。カギノテクラゲは、ヒドロ虫綱【こう】淡水クラゲ目【もく】に属します。淡水クラゲという名ですが、海に棲みます。
 カギノテクラゲは、ヒトを刺します。厄介なことに、毒は強烈です。海中で「ちくり」とした後、咳、鼻水、筋肉痛、悪寒などの症状が出たら、このクラゲに刺されたのかも知れません。そうなったら、すぐ水から出て下さいね。
 カギノテクラゲを、恐れすぎることはありません。彼らは、普段は泳がないからです。海藻の茂みなどには、素肌のまま、入らないようにしましょう。
 多くのクラゲは、ヒトには無害です。夏には、ぜひ、海の自然に親しんで下さい。


図鑑↓↓↓↓↓には、泳がないクラゲの一種、カギノテクラゲが掲載されています。
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 過去の記事でも、クラゲを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
美しい日本固有種、カミクラゲ(2009/03/13)
生物学で大活躍、オワンクラゲ(2008/08/04)
淡水にもクラゲがいる?(2007/08/06)
などです。

2009年7月24日

ネムノキは、本当に眠る?

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 ネムノキ(合歓の木)の花が、咲く季節ですね。この木は、薄紅の、糸のかたまりのような花を咲かせます。あの糸のようなものは、花の雄【お】しべです。
 なぜ、ネムノキの雄しべは、あんなに長いのでしょうか? 花粉を運んでもらいやすいように、です。ネムノキの花粉を運ぶのは、昆虫のガ(蛾)だと考えられています。
 ガの多くは、夜に活動します。ですから、夜でも見えやすい花が有利です。薄い色の長い雄しべは、暗い中でも目立つでしょう。
 また、ガの仲間は、ストローのような長い口を持ちます。このため、蜜を吸う時には、花より少し離れていることが多いです。近づかなくても、蜜まで口が届くからですね。これでは、ガの体に、花粉を付けてもらうことができません。
 そこで、ネムノキの花は、雄しべを長くしました。こうすれば、蜜を吸う時、ガの顔に、雄しべが触れます。雄しべから、花粉が、ガの顔に付くわけです。
 ネムノキは、夜、葉が閉じることで有名ですね。ネムノキという名も、そこに由来します。葉が閉じる様子を、「眠っている」と見ました。ネブノキ、ネブタなどという方言名もあります。なぜ、ネムノキの葉は、夜に閉じるのでしょうか?
 これも、ガに花粉を運んでもらうことと、関係があるようです。夜、葉が開いたままでは、暗いシルエットになって、花が隠れてしまうでしょう。「繊細【せんさい】な花が目立つように、葉が閉じるのでは」と考えられています。
 一般的には、ネムノキは、マメ科に属するとされます。しかし、マメ科としては、花の形が特異です。普通のマメ科植物は、蝶形花【ちょうけいか】と呼ばれる形の花です。スイートピーなどの花の形ですね。ネムノキの花は、まったく形が違います。
 このために、ネムノキは、マメ科ではなく、独自のネムノキ科に分類されることもあります。どちらに分類すべきか、まだ確定していません。
 生態を表わす点でも、言葉の響きの点でも、ネムノキとは、良い名だと思います。漢字名の「合歓」も良いですね。上品な色気を感じます。


図鑑↓↓↓↓↓には、ネムノキが掲載されています。
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 過去の記事でも、ネムノキに近縁なマメ科の植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
エニシダは、魔女の帚【ほうき】になる?(2009/04/06)
エイズの薬になる? アフリカの植物たち(2006/12/30)
節分に豆(ダイズ)をまくのはなぜ?(2006/1/23)
などです。

2009年7月20日

タコ(蛸)にも「手足」がある?

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 海開きの季節ですね。海水浴は、自然に親しめる、良い遊びだと思います。
 岩礁のある海岸では、タコに会えるかも知れません。タコは、岩陰などに隠れて棲むのが、普通だからです。もしも会えたら、そっと観察してみましょう。
 日本では、タコは、よく食用にされますね。そのわりに、謎が多い生き物です。例えば、最近、「タコは二本脚【にほんあし】だった」という研究結果が、発表されました。
 タコといえば、八本脚【はっぽんあし】が常識ですね。専門的には、タコのあの触手は、腕【うで】と呼ばれます。なぜ、それが「二本脚」なのでしょうか?
 じつは、タコは、八本の腕を、すべて同じように使うのではありません。八本のうち、主に二本だけを使って、海底を歩きます。残りの六本は、ヒトの手のように使います。「手足」を使い分けるのですね。だから、「二本脚」です。
 この研究は、ヨーロッパのいくつかの水族館が、共同で行ないました。飼育されているタコを、2000例も、観察した結果だそうです。
 海や水族館で、タコに会えたら、どのように腕を使うのか、観察してみたいですね。運が良ければ、「二本脚」で歩くところが、見られるかも知れません。
 観察する際には、あまり触らないようにしましょう。タコが驚いてしまうからです。もう一つ、触らないほうがいい理由があります。種によっては、危険だからです。
 ほとんどのタコは、ヒトには無害です。やたらに恐れる必要は、ありません。けれども、中には、危険な種がいます。有名なのは、ヒョウモンダコという種です。
 ヒョウモンダコは、積極的には、ヒトを襲いません。防御のために、毒を使います。この毒が、ヒトを倒すほど、強力です。この仲間のタコには、決して触らないことです。
 ヒョウモンダコの仲間は、日本の近海にも分布します。他のタコとの区別は、容易です。特徴的な模様があるためです。その模様とは、青い輪の模様です。
 普段のヒョウモンダコは、目立たない色です。危険を感じると、青い輪の模様が、輝くように現われます。このようなタコを見たら、手を出さないようにしましょう。


 「二本脚で歩くタコ」のニュースは、以下にあります。
タコは実際には2本足? 残りの6本は手だった(technobahn 2008/08/17)



図鑑↓↓↓↓↓には、ヒョウモンダコをはじめ、五種のタコが掲載されています。
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 過去の記事でも、タコを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
六本脚【あし】のタコ(蛸)がいる?(2008/03/08)
シマダコは、縞ダコか島ダコか?(2008/03/03)
タコ(蛸)の旬【しゅん】は冬か夏か?(2007/02/19)
などです。

2009年7月17日

アリ(蟻)は、どうやって行列を作る?

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 アリは、都会でも、よく見られる昆虫ですね。うっかりすると、家の中まで入ってきます。食べ物へと列をなす様子などは、お馴染みですね。
 アリは、とても力持ちです。自分の体重より重いものも、平気で運びます。自分だけでは運べないものに行き当たると、同じ巣の仲間を呼びます。
 こうして、アリの行列ができます。この時、アリは、迷子にならないのでしょうか? 巣から離れた場所まで行って、どうやって、巣へ帰るのでしょう?
 じつは、アリは、目印をつけながら歩いています。その目印は、目には見えません。足跡フェロモンと呼ばれる物質です。道標フェロモンとも呼ばれます。この物質は、匂いで探知されます。匂いをたどることで、アリは巣へ帰れます。
 足跡フェロモンだけに、頼るわけではありません。アリは、目や歩いた歩数にも頼ります。なんと、太陽の光を目印にして、方向を判断できるそうです。すごいですね。巣のある方向は、これで判断します。巣までの距離は、歩数で測るといわれます。
 アリの体内には、歩数計があるようです。小さな体に、精密な機能が詰まっているのですね。それらの機能を駆使して、アリは生きています。
 アリにとって重要なのは、匂いの情報です。前記の足跡フェロモンは、匂い情報の一種です。他にも、アリは、さまざまな匂い物質を出します。それによって、仲間のアリに、いろいろな行動を促します。
 例えば、警報フェロモンという物質があります。これの匂いを嗅ぎつけると、巣の中の兵隊アリ(戦いを専門にするアリ)が集まってきます。外敵に対応するためです。
 ところが、同じ警報フェロモンでも、「巨大な敵が来た時の匂い」は、違うようです。どのような仕組みで、違う匂いになるのかは、よくわかっていません。
 「巨大な敵が来たぞ」フェロモンは、普通の警報フェロモンとは、違う行動を起こさせます。これを探知すると、アリたちは、巣から離れます。巨大な敵とは、戦っても勝てないからでしょう。「逃げるが一番」です。うまくできていますね。



図鑑↓↓↓↓↓には、クロオオアリ、クロヤマアリ、トゲアリの三種のアリが掲載されています。
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 過去の記事でも、アリを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
可憐【かれん】なだけでは生きていけない、カタクリ(2008/03/24)
シロアリとアリとは、どう違う?(2007/06/11)
などです。

2009年7月13日

「翻車魚」と書くのは、どんな魚?

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 題名の「翻車魚」は、何と読むのか、おわかりでしょうか? 答えは「まんぼう」です。あの巨大な魚です。後半身が切れたような、独特の姿ですね。
 「翻車魚」という漢字は、どう見ても、当て字ですね。魚の中でも、難読名として知られます。なぜ、こんな漢字名が付いたのでしょうか? 
 正確なところは、わかっていません。一説では、「マンボウが日光浴をする様子が、大きな車輪のように見えたのではないか」といわれます。
 マンボウは、時おり、海面近くで、「日光浴」らしき行動をします。その時には、体を横倒しにします。あの体型は、横から見ると、円い輪郭ですね。車輪のように、見えないこともありません。だから、「車が翻【ひるがえ】る魚」なのでしょうか。
 マンボウが、なぜ、「日光浴」をするのかも、わかっていません。「日光浴ではなく、海鳥に、体の寄生虫を食べてもらうための行動だ」という説もあります。
 マンボウの生態は、謎だらけです。少なくとも、「のんびりと海を漂うだけ」では、ありません。見た目以上に、遊泳力があります。生息域は、深海にまで及びます。
 以前、マンボウは、「クラゲなど、遊泳力の弱いプランクトンばかりを食べる」と思われた時期がありました。「積極的に餌を追うほど、遊泳力がない」と思われたからです。これは、間違いだとわかりました。マンボウは、エビなども食べます。
 最近、マンボウは、水族館で飼われることが増えましたね。飼育されていても、わからないことが多いです。いっぽうで、マンボウは、古くから食用にされています。
 マンボウには、いくつもの方言名があります。ウキ、ウキキ、クイザメなどです。古くから知られなければ、豊かな方言名は、生まれないでしょう。昔の人は、あんな大きい魚を、どうやって捕ったのでしょうか? 小型の個体だけを、狙ったのかも知れません。
 ウキやウキキという方言名は、「浮き」や「浮き木」という意味のようです。前記の「日光浴」の様子から付けられた、と考えられます。では、「クイザメ」は? 「体の半分を、サメに食いちぎられたようだから」だそうです。発想は、昔の人も同じですね(笑)



図鑑↓↓↓↓↓には、マンボウが掲載されています。
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 過去の記事でも、大型の魚や、珍しい魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
最小の脊椎動物?が発見される(2009/02/14)
複数の科が、一つの科に? 魚の分類が変わる(2009/01/29)
新種のエイ、新種のイルカを発見(2008/08/26)
希少なサメ(鮫)、メガマウスの撮影に成功(2007/06/12)などです。

2009年7月10日

桐油は、キリ(桐)からは採れない?

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 桐油という油があります。「とうゆ」もしくは「きりあぶら」と読みます。当然、植物のキリ(桐)から採れる油だと思いますよね? ところが、違います。
 桐油は、アブラギリ(油桐)という植物から採れます。アブラギリは、名前に「桐」が付きますが、キリとは遠縁です。葉の形がキリと似るため、この名にされました。
 アブラギリは、トウダイグサ科に属します。キリは、キリ科です(異説もあります)。
 油が採れるのは、アブラギリの種子からです。この油は、古くから、塗料などに使われました。油紙に塗られたのも、この油です。食用には、なりません。
 ビニール製品のない時代、油紙は、重宝するものでした。水をはじくからです。和傘【わがさ】の材料などにされました。昔は、さぞかし、桐油の需要が多かったでしょう。
 このために、アブラギリは、日本各地で栽培されました。もともと、日本には自生しなかったという説もあります。油を採るため、中国から移入されたというのです。
 今では、西日本に、野生化したアブラギリが見られます。これが、もとから自生するものなのか、移入されたものが野生化したのかは、わかっていません。
 桐油の需要は、昔より減りました。とはいえ、今でも、家具の塗料などには、欠かせません。ただし、現在の桐油は、多くは、アブラギリではない種から採られます。シナアブラギリという種です。この種は、アブラギリと同じく、トウダイグサ科に属します。
 アブラギリの仲間には、油料作物になるものが多いです。油を採取する植物ですね。近年では、ナンヨウアブラギリという種が、注目されています。注目の理由は、バイオ燃料になるからです。石油の代替になるわけですね。
 バイオ燃料は、「夢のエネルギー」ではありません。欠点もあります。けれども、今ほど石油ばかりに依存した状態は、良くありませんよね。要は、使い方です。
 ナンヨウアブラギリは、熱帯でしか育ちません。アブラギリならば、普通に、日本国内で育ちます。身近な燃料として、考えてみる価値はあるでしょう。リスク分散のためにも、利用できるものは、利用したほうが良いのではないでしょうか。



図鑑↓↓↓↓↓には、アブラギリが掲載されています。
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 過去の記事で、アブラギリと紛らわしいキリを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
桐【きり】の名前で、きりきり舞い?(2009/05/08)などです。

2009年7月 6日

汚いなんて言わないで、日本の糞虫たち

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 お食事中の方は、ごめんなさい。今回は、排泄物のお話です。
 世界には、動物の糞を食べる昆虫が、たくさんいます。有名なのは、『ファーブル昆虫記』に登場する「タマオシコガネ」でしょう。フンコロガシと呼ばれる、あの昆虫です。動物の糞を丸めて、転がします。食べるために、そうやって、糞を運びます。
 残念ながら、日本には、ファーブルのタマオシコガネは、いません。けれども、動物の糞を食べる昆虫は、たくさんいます。タマオシコガネと同じ、コガネムシの仲間(甲虫)も、多いです。センチコガネ、エンマコガネ、ダイコクコガネなどです。
 糞を食べる昆虫のうち、甲虫目【こうちゅうもく】に属するものを、通称で糞虫【ふんちゅう】と呼びます。英語でも、dung beetle(糞コガネムシ)と呼ばれます。
 糞虫には、甲虫目コガネムシ科に属する種が多いです。エンマコガネ、ダイコクコガネ、マグソコガネなどです。他に、センチコガネ科に属する種も、多いですね。センチコガネや、ムネアカセンチコガネなどです。
 ただし、ムネアカセンチコガネについては、分類に議論があります。また、この種は、「糞よりも、腐肉や朽ちた植物質など、他の物をよく食べる」といわれます。幼虫は、糞を食べるようですが、成虫が糞を主食にするのかどうかは、不明です。
 日本には、糞を丸める糞虫はいないのでしょうか? います。ダイコクコガネの仲間が、そうです。しかし、丸めた糞を転がすことは、しません。土の中に糞を集めて、そこで丸めます。丸めた糞は、幼虫の食べ物になります。
 糞虫は、一見、ただの汚い虫に見えますね。が、生態系の中では、大切な役割を果たしています。排泄物の分解を進めて、植物などの栄養を、豊かにするのです。「汚い」仕事を、進んで引き受けてくれている、といえます。
 エンマ(閻魔)コガネやダイコク(大黒)コガネなど、糞虫には、神さまの名前が付いたものがいます。これらの名の由来は、わかっていません。もしかしたら、「汚いけれども、大切な仕事」をしている彼らに、敬意を示したのかも知れませんね。



図鑑↓↓↓↓↓には、糞虫の仲間として、クロマルエンマコガネ、センチコガネ、マグソコガネ、ミヤマダイコクコガネ、ムネアカセンチコガネが掲載されています。
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 過去の記事でも、甲虫目【こうちゅうもく】の昆虫を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ハナムグリは、甘党のコガネムシ?(2009/04/03)
コガネムシは、自然体験の宝物(2008/07/14)
日本の陰の昆虫王者? マイマイカブリ(2006/08/05)などです。

2009年7月 3日

ノリウツギは、カミキリムシと仲良し?

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 今の季節に咲く花といえば、アジサイですね。
 アジサイに近縁な植物に、ノリウツギという種があります。アジサイより、少し花期が遅れます。七月頃から咲きます。普通は、山地に生える植物です。
 ノリウツギは、花の姿が、ガクアジサイに似ています。ガクアジサイは、アジサイの原種ですね。このことから、アジサイに近縁なことが、わかります。
 ノリウツギの花は、大部分が、米粒のような、白く細かい花です。中に、白くて大きい花びらの花が、少し混じります。
 この花の仕組みは、ガクアジサイと同じです。果実を付けるのは、小さいほうの花です。大きいほうの花は、果実になりません。装飾花【そうしょくか】と呼ばれるものですね。花全体を、目立たせる役割を果たします。
 こんなふうに、二種類の花を咲かせるのは、なぜでしょう? 大きくて、目立つ花ばかりにすれば、良さそうですね。わざわざ、小さい花を咲かせる理由は、何でしょうか?
 小さい花にも、利点があります。ある種の昆虫たちに、「サービス」しているのです。その相手は、カミキリムシや、コガネムシといった甲虫【こうちゅう】です。
 花に来る昆虫としては、チョウやハチが有名ですね。他にも、花の蜜や花粉を食べる昆虫は、多くいます。特に、ハナカミキリ(カミキリムシの仲間)や、ハナムグリ(コガネムシの仲間)と呼ばれるものたちは、蜜や花粉が主食です。
 ところが、カミキリムシやコガネムシなどの甲虫は、チョウやハチに比べて、不利な点があります。体が大きく、不器用なことです。蜜や花粉が、狭い場所や、奥まった場所にあったら、食べることができません。口が届かないからです。
 ノリウツギの小さいほうの花は、甲虫にも、食事がしやすくできています。花びらなどの飾りがなく、蜜や花粉が、食べやすい位置にあります。
 ノリウツギの花には、ハナカミキリなどの甲虫が、よく訪れています。「サービス」しているからですね。植物と昆虫が、助け合っている様子は、微笑ましいです。



図鑑↓↓↓↓↓には、ノリウツギが掲載されています。
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 過去の記事で、ノリウツギと近縁なアジサイなどを取り上げています。また、ノリウツギの花によく来る甲虫【こうちゅう】も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ハナムグリは、甘党のコガネムシ?(2009/04/03)
アジサイの果実はどこにある?(2007/06/22)
花祭りの甘茶は、お茶の木からできる?(2007/04/05)などです。

2009年6月29日

勘違いで名が付いた? ブッポウソウ

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 生き物には、鳴き声から、名前が付けられることがありますね。「カッコウ」や「ツクツクホウシ」などです。「ブッポウソウ」も、その一種です。
 と書くと、「それは違うのでは?」という方が、きっといるでしょう。
 正式な日本語名を「ブッポウソウ」という鳥は、確かにいます。けれども、その鳥は、「ブッポウソウ」とは、鳴きません。別の鳥の鳴き声が、この鳥のものだと、勘違いされたのですね。実際に「ブッポウソウ」と鳴くのは、コノハズクという鳥です。
 なぜ、こんな間違いが起こったのかは、不明です。ブッポウソウと、コノハズクとは、まるで似ていません。分類上も、遠縁です。ブッポウソウは、ブッポウソウ目【もく】ブッポウソウ科に属します。コノハズクは、フクロウ目【もく】フクロウ科です。
 コノハズクと区別するため、正式な種名ブッポウソウは、「姿のブッポウソウ」と呼ばれます。コノハズクは、「声のブッポウソウ」です。
 姿のブッポウソウは、日本では、夏鳥です。春、日本に来て、夏に繁殖します。秋になると、飛び去ってしまいます。行き先は、東南アジアなどの、南の国です。
 姿のブッポウソウは、美しい鳥です。羽毛の色は、瑠璃色【るりいろ】がかった濃い青です。嘴【くちばし】と脚が、赤いです。南方系の鳥、という感じがします。
 見た目どおり、ブッポウソウ科の種は、みな南方系です。暖かいところが好きなのですね。同じ科では、ブッポウソウと、ニシブッポウソウだけが、温帯で繁殖するようです。ニシブッポウソウは、ヨーロッパなどで繁殖します。日本には分布しません。
 他のブッポウソウ科の鳥たちは、アフリカや、インドなどで繁殖します。日本のブッポウソウと、ヨーロッパなどのニシブッポウソウは、開拓者ですね。ブッポウソウ科にしては、寒い地域に進出しています。その点で、この二種は、貴重な種といえます。
 残念ながら、日本のブッポウソウは、数が減っています。しかし、巣箱をかけることで、数が増えたという報告があります。こんな報告が、増えるといいですね。



図鑑↓↓↓↓↓には、「姿のブッポウソウ/ブッポウソウ」も、「声のブッポウソウ/コノハズク」も掲載されています。
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 過去の記事でも、日本の夏鳥を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
憧れの鳥か? 妖怪か? アカショウビン(2008/10/06)
アマツバメは世界最速の鳥?(2007/10/15)
オオルリは瑠璃色【るりいろ】じゃない?(2007/8/3)などです。

2009年6月26日

横縞なのに、タテジマキンチャクダイ?

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 魚の名前を知って、不思議に思ったことがありませんか?
 例えば、タテジマキンチャクダイです。名前に「タテジマ(縦縞)」と付いていますね。当然、縦縞【たてじま】模様の魚だろうと考えます。けれども、タテジマキンチャクダイの実物は、どう見ても、横縞【よこじま】模様です。
 タテジマヤッコという魚も、同じです。横縞なのに、「タテジマ」ヤッコです??
 魚を、普通に泳いでいる姿勢ではなく、頭を上にして、見て下さい。タテジマキンチャクダイや、タテジマヤッコの縞模様は、縦に見えますよね。
 魚の縞模様は、頭を上にした状態で、判断されるようです。なぜ、こうなったのかは、わかりません。「紛らわしいことをしないでくれ」と思いますよね(笑)
 では、普通に見て、縦縞模様の魚には、「ヨコジマ」と付いているのでしょうか?
 そのとおりです。ヨコジマアイゴ、ヨコシマクロダイ(幼魚)、ヨコシマサワラなどの魚は、普通の姿勢で見ると、縦縞模様です。頭を上にすると、横縞になります。
 ところが、ヨコシマタマガシラという魚がいます。普通の姿勢で見て、横縞模様です。「タテジマ」ヤッコと同じ方向の縞模様なのに、「ヨコシマ」タマガシラです。
 そのうえ、タテスジハタという魚を知ると、混乱が増します。「タテスジ(縦筋)」なのに、頭を上にすると、横縞模様なのです。つまり、普通の状態で、縦縞です。
 スジ(筋)とシマ(縞)とで、模様を呼び分けているわけでもないのですね。ヨコスジイシモチ、ヨコスジクロゲンゲ、ヨコスジカジカなどは、「ヨコスジ(横筋)」なのに、普通の姿勢だと、縦縞です。タテスジハタと、同じ方向の縞模様です。
 さらに、混乱することがあります。ヨコスジフエダイという魚がいるからです。
 この魚は、普通の姿勢で見て、横に一本、筋があります。頭を上にすれば、縦筋のはずですが、名前は、「ヨコスジ」フエダイです。
 結局、スジ(筋)と呼ぼうが、シマ(縞)と呼ぼうが、模様を見る方向は、統一されていません。これでは、魚に詳しくない人は、大混乱ですよね。私もそうです(笑)



図鑑↓↓↓↓↓には、タテジマキンチャクダイが掲載されています。
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 過去の記事でも、たくさんの魚を取り上げています。ここで書いたキンチャクダイの仲間や、カジカの仲間や、フエダイの仲間も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
食中毒に注意、バラフエダイ(2008/06/23)
死滅回遊魚【しめつかいゆうぎょ】とは、どんな魚?(2007/11/05)
秋に美味しい鰍【かじか】(2006/11/13)などです。

2009年6月22日

光るイカは、ホタルイカだけじゃない?

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 深海生物には、光るものが多いですね。深海では、光ると、良いことがあるからです。以前、このブログで書きましたね(ホタルイカはなぜ光る?(2007/04/12)
 海の生き物には、深海に棲まないのに、光るものもいます。それらの中から、今回は、ミミイカを取り上げてみましょう。浅い海に棲むのに、光るイカ(烏賊)です。
 ミミイカの体長は、5cmほどしかありません。でも、食べられます。日本近海で、漁獲されています。けれども、魚屋さんでは、あまり見ません。
 ミミイカは、胴体に付くひれ(えんぺら)が、耳のようです。だから「耳イカ」です。胴体は、丸っこいです。その外見から、ダンゴ(団子)イカと呼ばれることがあります。
 しかし、ミミイカとは別に、正式名称を「ダンゴイカ」というイカがいます。ミミイカと、外見がそっくりです。しかも、同じダンゴイカ目【もく】ダンゴイカ科に属します。ただし、ミミイカはダンゴイカ科ミミイカ属で、ダンゴイカはダンゴイカ属です。
 前記のとおり、ミミイカは、光ります。ホタルイカとは違い、自力で光るのではありません。光るバクテリア(細菌)の力を借りています。体の中に、光るバクテリアを棲ませています。ホタルイカは、自力で発光する器官を持っています。
 ミミイカが光るのは、「自分の影を消して、敵から逃れるため」と考えられています。
 ミミイカの仲間は、重要な生物の研究に使われています。ラテン語の学名を、Euprymna scolopesという種です。この種の日本語名は、ありません。日本近海のミミイカと同じく、ダンゴイカ科ミミイカ属に属します。ハワイ近海などに分布します。
 Euprymna scolopesは、ラテン語の学名をVibrio fischeriというバクテリアと、共生します。このバクテリアは、光るかわりに、イカから栄養をもらっています。
 この二者が、どのように共生しているのかを知れば、人間の役に立つ可能性があります。ヒトに害をなすバクテリアを、無害化する方法が、わかるかも知れないからです。
 光る生物の研究では、オワンクラゲが有名になりましたね。直接、役に立たないとしても、光る生物の研究には、夢があると思います。


 ハワイ近海のミミイカの一種Euprymna scolopesについては、以下のニュースに載っています。
発光するイカ、特効薬のカギを握るか(AFPBBニュース 2009/02/03)


図鑑↓↓↓↓↓には、ミミイカが掲載されています。
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 過去の記事でも、イカの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
海中を泳ぐ槍【やり】? ヤリイカ(2008/02/18)
深海のイカ、続々と生態を解明中(2007/02/23)
コウイカとヤリイカはどう違う?(2006/11/10)
などです。

2009年6月19日

ゴンズイの名の由来は?

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 ゴンズイという名の植物があります。樹木の一種です。魚にも、同じ「ゴンズイ」という種名のものがいます。なぜ、植物と魚で、同名の種がいるのでしょうか?
 この謎を解くには、「ゴンズイ」という言葉の語源を、探る必要があります。ところが、この語源が、わかっていません。より正確に言えば、諸説があります。けれども、定説がありません。決定的な証拠に欠けるからです。
 俗に言われるのは、「ゴンズイとは、役立たないものを指す」説です。でも、この説は、信憑性に欠けます。植物のゴンズイも、魚のゴンズイも、人間の役に立つからです。
 魚のゴンズイは、食用になります。植物のゴンズイは、果実が薬用になります。ゴンズイの果実は美しいので、観賞用に植えられることもあります。
 どうやら、魚のゴンズイと、植物のゴンズイとは、語源が違うようです。同名になったのは、偶然でしょう。「役立たない」説は、後からのこじつけだと思います。
 植物のゴンズイには、方言名が多いです。中には、イヌノクソ、クサギ、ネコノクソノキなど、ひどい名前があります。こんな名が付いたのは、木材が臭いためです。
 臭さのために、ゴンズイの木材は、ほとんど使われません。それを逆手にとって、魔除けにされることはあったようです。「臭い木を焚けば、魔物も逃げる」と思われたのでしょう。センダン、トベラなど、他の魔除けの木と共通する方言名があります。
 ゴンズイの枝を、春先に切ると、樹液があふれるといいます。このことから、アメフリノキ、ショウベンノキなどの方言名もあります。
 ゴンズイの若葉は、食用になります。「臭いのに、食べられるのか?」と驚きますよね。普段の食べ物ではなく、飢饉【ききん】の時など、緊急時の食べ物だったようです。「役に立たない」どころか、いろいろ役に立つ木ですね。
 植物のゴンズイは、ミツバウツギ科ゴンズイ属に属します。ゴンズイ属には、ゴンズイ一種しかありません。世界的には、珍しい植物です。分布域は、東アジアだけです。「臭い」などと言わず、もっと研究対象にされていい植物でしょう。



図鑑↓↓↓↓↓には、植物のゴンズイが掲載されています。
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 過去の記事で、ゴンズイと同じく、魔除けにされた木を取り上げています。また、方言名で「ゴンズイ」と呼ばれることがある植物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
卯月【うづき】に咲くから、ウノハナ?(2009/05/15)
キブシ、キフジ、どちらが本当?(2009/02/27) ※キブシの方言名の一つに「ゴンズイ」があります。
扉【とびら】に挿すトベラの木?(2007/01/29)などです。

2009年6月15日

クローン女王の攻撃? ヤマトシロアリ

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 シロアリといえば、害虫として、有名ですね。梅雨時には、人家のシロアリ被害が、発覚しやすいです。でも、すべてのシロアリが、人家を食い荒らすわけではありません。
 人類が家を建てるようになる前から、シロアリは、地球上にいました。ヒトが現われる前、シロアリは、何を食べていたのでしょうか?
 大部分のシロアリは、朽ち木や落ち葉を食べていました。今でも、ほとんどのシロアリが、そうしています。人家を攻撃するシロアリは、ごく一部の種です。
 シロアリが植物を食べると、植物の中のセルロースが分解されます。セルロースは、分解されにくい物質です。それが、シロアリの働きで、分解できるのですね。結果として、シロアリは、植物が土に返るのを助けます。これは、自然界では、重要な役割です。
 シロアリが「害虫」にされたのは、人間の勝手な都合ですね。けれども、おかげで、シロアリの研究が進みました。退治するには、生態を知らなければいけませんからね。
 とはいえ、シロアリの研究は、まだまだ途上です。大まかな分類さえ、学者によって、意見が違います。図鑑などでシロアリを調べると、等翅目【とうしもく】と、シロアリ目【もく】と、ゴキブリ目【もく】と、三つの分類が出てきます。
 最近は、「シロアリは、ゴキブリ目シロアリ科」という意見が、有力なようです。
 日本で、人家を害するシロアリの代表は、ヤマトシロアリとイエシロアリです。この二種は、比較的、研究が進んでいます。それでも、二〇〇九年、ヤマトシロアリについて、驚くべき発見がありました。
 ヤマトシロアリの女王は、寿命が尽きる前に、次の女王を産みます。産まれる女王は、前の女王の「子」ではなく、「コピー」だというのです。「遺伝子がまったく同じ個体」ということです。クローンと呼ばれるものですね。
 クローン女王は、母親からの遺伝子のみを受け継ぎます。普通のシロアリは、父親からの遺伝子も受け継ぎます。ヤマトシロアリの一つの巣は、「遺伝子的に同じ女王」が、君臨し続けるわけです。なんだか、SFの世界みたいですね。



図鑑↓↓↓↓↓には、ヤマトシロアリが掲載されています。
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 ヤマトシロアリの「クローン女王」については、以下のニュースで報じられています。
女王シロアリ、子供は後継にせず...王の血を入れないワケは?(読売新聞、2009/3/8)
 過去の記事でも、シロアリを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
チョウ(蝶)はチョウ目【もく】? 鱗翅目【りんしもく】?(2008/07/22)
シロアリとアリとは、どう違う?(2007/06/11)

2009年6月12日

ハコネウツギは、箱根には生えない?

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 生き物の名前には、地名が付くことが、よくありますね。普通は、その生き物が産する土地の名を付けます。植物のハコネウツギ(箱根空木)は、その一種です。
 と書くと、「あれ?」と思う方がいるでしょう。「ハコネウツギは、名に反して、箱根山には自生しない」といわれるからです。
 じつは、少数ですが、ハコネウツギは箱根山に自生するようです。「ようです」と書くのには、二つの理由があります。
 一つは、ハコネウツギには、似た種が多いからです。ハコネウツギが属するタニウツギ属は、どの種も互いに似ています。加えて、同種内でも、変異が多いです。そのうえ、同じタニウツギ属ならば、違う種の間でも、簡単に雑種ができます。
 これでは、種の見分けは、難しいですね。ハコネウツギにそっくりでも、それが本当にハコネウツギなのかどうか、慎重に確認しなければなりません。
 もう一つの理由は、ハコネウツギが、よく栽培されるからです。花が美しいためですね。
 栽培される種は、分布を調べるのが難しいです。ある場所に生える植物が、自然分布するものなのか、人間が植えたものなのか、あるいは、栽培されたものから勝手に殖えたのか、見分けるのは困難です。
 ハコネウツギが箱根に自生するとしても、圧倒的に箱根に多いわけではありません。なぜ「箱根」の名が付いたのかは、不明です。
 なお、ハコネウツギを含むタニウツギ属は、ウツギ(別名ウノハナ)とは、遠縁です。タニウツギ属は、タニウツギ科、もしくはスイカズラ科に含まれます。ウツギが属するウツギ属は、アジサイ科、もしくはユキノシタ科です。
 タニウツギ属は、東アジア(主に日本)で進化したグループです。同種内に変異が多かったり、簡単に種間雑種ができたりするのは、「今、盛んに種が分化している(進化している)最中だから」と考えられています。ハコネウツギにも、匂いが強いニオイウツギなどの変種が、いくつかあります。私たちは、進化を目撃しているといえますね。



図鑑↓↓↓↓↓には、ハコネウツギが掲載されています。
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 過去の記事で、ハコネウツギと名前が紛らわしいウツギ(別名ウノハナ)を取り上げています。また、ハコネウツギと近縁なスイカズラも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
卯月【うづき】に咲くから、ウノハナ?(2009/05/15)
スイカズラの漢字名は、なぜ「忍冬」?(2007/12/17)

2009年6月 8日

どれがどの種? コウモリ(蝙蝠)の種名

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 コウモリを知らない人は、まず、いないでしょう。唯一、本当の意味で「空を飛ぶ」哺乳類ですね。けれども、コウモリの種や、生態は、ほとんどの人が、知りません。
 専門的には、コウモリとは、哺乳類の中の、翼手目【よくしゅもく】というグループを指します。翼手目には、全部で、九百種以上もの種が含まれます。日本だけでも、三十種以上が分布します。これらの種の見分けは、難しいです。似た種が多いためです。
 コウモリは、「種名」の見分けも、難しいです。似た「種名」が多いからです。以下に、日本のコウモリのうちで、紛らわしい例を挙げましょう。
 最も間違えやすいのは、「カグラコウモリ」と、「カグヤコウモリ」でしょう。この二種は、まったく違う種です。
 カグ「ラ」コウモリのほうは、石垣島、西表島などの、先島諸島にしか分布しません。カグラコウモリ科カグラコウモリ属に属します。この仲間は、暑い地域に分布します。
 カグ「ヤ」コウモリのほうは、北海道と本州に分布します。ヒナコウモリ科ホオヒゲコウモリ属に属します。この仲間は、熱帯から亜寒帯まで、広く分布しています。
 「クビワコウモリ」と、「クビワオオコウモリ」も、紛らわしいですね。
 クビワコウモリのほうは、日本の本州のごく一部にしか、分布しません。ヒナコウモリ科クビワコウモリ属に属します。
 クビワ「オオ」コウモリのほうは、南西諸島に分布します。オオコウモリ科オオコウモリ属に属します。「オオコウモリの仲間で、首輪のような模様がある」ことから、クビワ「オオコウモリ」と名づけられました。
 ややこしいことに、「オオクビワコウモリ」という種もいます。これは、外国の種です。北米から南米にかけて、広く分布します。クビワコウモリ属に属します。「大型のクビワコウモリであ