2005年11月11日
夫婦なのに名が違う?ズワイガニとコウバコガニ
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寒くなると、海の幸が美味しくなってきますね。カニの仲間は、海の幸の代表でしょう。ズワイガニ、松葉【まつば】ガニ、越前【えちぜん】ガニ、コウバコガニなど、いろいろなカニが献立を飾ります。
ここに挙げた四つの名は、実は、みな同じ種を指します。正式な日本語名は「ズワイガニ」で、あとの三つは「ズワイガニ」の別名です。
ズワイガニは、食用としてとても重要で、日本各地で獲られています。そのために方言名が多いのです。加えて、雄と雌とで大きさや味に差があるので、名前が呼び分けられています。雌のほうが雄よりも小さく、卵を持つために味も違います。
ズワイガニとは、もともと石川県や富山県で使われていた名でした。今でもこの地方では、雄だけをズワイガニと呼び、雌をコウバコガニと呼びます。越前ガニとは、福井県での雄の呼び名です。雌はセイコガニと呼ばれます。松葉ガニは、兵庫県北部・鳥取県・島根県などの山陰地方で、雄のズワイガニを呼ぶ名です。この地方では、雌をオヤガニ、セコガニなどと呼びます。
ズワイガニの雌が雄より小さいのには、理由があります。それは、ズワイガニの繁殖の仕方に関わっています。
ズワイガニの雌は、生まれておよそ八年経つと卵を産めるようになります。そうなるやいなや、待ちかまえていた雄が交尾して、雌は産卵します。卵が孵化するまで、雌はおなかに抱いて保護します。孵化すると、雌はすぐに次の産卵をします。
カニは、硬い外皮を何回も脱いで大きくなります。けれども、卵を抱いている間、雌は脱皮できません。雌の成長は産卵した時点で止まってしまいます。雄は卵を抱かないので、雌よりも脱皮する回数が多いです。だから雌よりも大きくなるのですね。
海底では、雄と雌のズワイガニが、まるで手をつなぐように鋏【はさみ】をつないでいることがあります。微笑ましい光景ですね。しかしこれは、雄が他の雄に雌を取られないようにしているのだそうです。「嫉妬深い」などと言っては気の毒でしょう。厳しい生活の中で、自分の子孫を残そうとする工夫です。
松沢千鶴
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