2005年12月 2日
ハブはなぜ危険か?
ハブは、日本で最も危険な毒ヘビとして知られていますね。その認識は間違いではありません。世界的に見ても、ハブは危険な毒ヘビの類に入ります。
ハブが危険なのは、毒の強さのためだけではありません。単純に毒の強さを比較すれば、世界には、もっと猛毒を持つヘビがたくさんいます。ハブの危険性は、毒の量が多いことと、人家の近くに棲んでいることと、攻撃的な性格にあります。特にハブを危険にしているのは、その攻撃性です。
普通のヘビは、ヒトのような大型の動物を恐れます。ヘビのほうが先にヒトを発見すれば逃げだします。こちらから手を出さない限り、攻撃してくることはありません。
ところがハブは、こちらから手を出さなくても攻撃してきます。大型の動物が相手でも、一定の距離に近づけば無差別に攻撃します。遠くにいるように見えても安心できません。縮めていた体を伸ばして、一瞬のうちに50~60cmの距離を詰めてしまいます。ハブの長い体が、宙を飛んでくるように見えるそうです。
暗闇でも、ハブは攻撃の的を外しません。特別な赤外線感知器官を持っているからです。その器官で、周囲と温度差があるものを感知できます。ですから、ヒトのように体温が高い動物は、すぐに感知されてしまいます。
こんなに攻撃的なヘビは、世界的にも少ないです。ハブの悪名が高いのは、毒の強さより、「性格の悪さ」によります。
こうしてみると、ハブは悪いところだらけに見えますね。けれども、ハブには大切な役割があります。小形動物が増えすぎないように、食べて数を減らすことです。ハブが棲む南西諸島には、ほとんど肉食獣がいません。ハブがいなければ、小形動物が増えすぎて、生態系のバランスが崩れてしまいます。
「南西諸島に豊かな自然が残っているのは、ハブのおかげだ」と言う人もいます。ハブを恐れるがゆえに、人々はやたらに山を切り開くことをしませんでした。ハブは人間に、「自然に対して謙虚になること」を教えているのかも知れません。
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松沢千鶴
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