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2006年4月21日

端午の節句に欠かせない菖蒲(ショウブ)

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 五月五日は端午の節句ですね。日本の伝統行事の一つです。初夏の風情がある節句として、古人に喜ばれました。平安時代の文学『枕草子』にも登場します。
 端午の節句には、昔から、ショウブという植物が付きものでした。ショウブには良い香りがあるからです。昔の人は、ショウブの葉を髪に挿したり、着物のたもとに入れたり、家の屋根に葺【ふ】いたりしました。そうして香りを楽しみました。娯楽の少ない時代、爽やかな香りは、気分を明るくしてくれたでしょう。
 ショウブのように、良い香りがある植物は、たいてい薬用成分を含んでいます。つまり、薬草です。ヒトが「良い香りだ」と感じるのは、人体に良い薬用成分を感知しているのでしょう。気温が上がって、疫病がはやり始める初夏、薬草を身につけるのは、理にかなっています。ショウブをお風呂に入れる菖蒲湯も、体に良いといわれますね。
 重宝がられる葉に対して、ショウブの花はどうでしょう? とても地味で、観賞用になりません。と書くと、「あれ?」と思う方がいるでしょう。日本の各地に、観賞用の「花菖蒲(ハナショウブ)園」が存在しますよね。
 じつは、ショウブとハナショウブとは、全く違う種です。ショウブはショウブ属、ハナショウブはアヤメ属に属します。名前が似ていて、ややこしいですね。
ハナショウブのほうは、御存知のとおり、美しい花が咲きます。ショウブの花とは似ても似つきません。
 さらに、ややこしいことがあります。漢字で「菖蒲」と書くと、「しょうぶ」以外に「あやめ」とも読みます。ハナショウブに似た、美しい花が咲くアヤメのことですね。
 昔の日本では、ショウブ、ハナショウブ、アヤメが混同されていました。どれも、水辺に生えて、すんなりと細長い葉があるからです。アヤメ属の種(ハナショウブやアヤメなど)は、生息場所や葉の形が、互いに似ています。そのため、いまだにアヤメ属の種と、ショウブが混同されることがあります。カキツバタやキショウブもアヤメ属です。
 美しい花がなくても、ショウブの青葉には、清々しさが漂います。端午の節句には、平安貴族になった気分で、ショウブを飾ってみてはいかがでしょうか。


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には、ショウブ属のショウブが掲載されています。また、アヤメ、カキツバタ、キショウブなどのアヤメ属の植物も掲載されています。ぜひご利用下さい。

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コメント

Posted by higashi at 2009年6月17日 10:12

ちがいますよ。
あやめを屋根に葺くのは、邪気払いの呪術です

Posted by 松沢 千鶴 at 2009年6月29日 19:43

 御指摘ありがとうございます > higashiさん。


 おっしゃるとおり、ショウブを屋根に葺くのは、邪気払いの呪術ですね。
 そのような呪術は、ショウブが良い香りを持つことから、生まれたのではないでしょうか。


 世界の各地に、香草を呪術に使う例があるのは、きっと、そういうことだと思います。

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