2006年8月 4日
鵺【ぬえ】の正体はトラツグミ
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皆さんは、鵺(ヌエ)という妖怪の話を聞いたことがありますか? 平安時代末期に、京の都に現われた妖怪です。夜な夜な宮廷で怪しい鳴き声を立てたといいます。
この妖怪の正体は、トラツグミという鳥だとされています。鵺とは、本来はトラツグミの呼び名でした。今は、妖怪の名として定着していますね。
トラツグミの姿は、普通の鳥です。とりたてて不気味ではありません。ツグミの仲間で、体型はツグミに似ています。体の模様は、ツグミと全く違います。トラ(虎)そっくりな縞【しま】模様です。トラツグミという名は、ここから来ています。
トラツグミの声は、ヒーホーとか、ヒョーヒョーなどと聞こえます。口笛に似ているともいわれます。彼らは、夜や早朝に、森の中でさえずります。森の中から夜に聞こえたら、気味悪いことは間違いありません。暗さのために、トラツグミの本体を見るのは難しいです。昔の人には、妖怪と思えたでしょう。現代では、「UFOの音だ」などと勘違いされることがあるようです。
トラツグミが「虎縞模様」なのには、意味があります。トラ縞は、森や藪【やぶ】の中では、とても目立たない模様です。ちらちらした木洩れ日に紛れるからです。敵に見つからないようにするには、よいですね。森に棲むトラツグミには役立ちます。こんな「忍者」みたいなところも、妖怪といわれた理由かも知れません。
日本には、トラツグミによく似たオオトラツグミという鳥も分布します。これら二種は、姿が瓜二つです。けれども、鳴き声は全然違います。オオトラツグミは、トラツグミのように陰気な鳴き声ではありません。キョロロンという感じの、澄んだ声で鳴きます。
オオトラツグミは、トラツグミの亜種だとされてきました。種を分けるほどの大きな差はない、ということです。しかし、最近の研究では、別種という説が有力です。
世界中で、オオトラツグミは、日本の奄美大島にしかいません。とても数が少ないです。加えて、「忍者」姿のために、観察が難しいです。保護しようにも、生態がわかっていません。幻の妖怪になる前に、彼らを絶滅から救いたいですね。
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には、残念ながら、オオトラツグミは載っていませんが、トラツグミは掲載されています。ぜひご利用下さい。
松沢千鶴
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