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2006年10月31日

ハロウィーンは南瓜【かぼちゃ】祭り?

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 近年、日本でも、ハロウィーンというお祭りが知られるようになりましたね。このお祭りは、ヨーロッパの古い信仰に由来します。けれども、今では、米国で盛んなお祭りです。カボチャの飾りつけは、米国で起こった風習です。
 ハロウィーンにカボチャを飾る理由は、はっきりしません。もとはカボチャでなく、カブだったといいます。カボチャちょうちんは、カブちょうちんだったのですね。
 八百屋さんで普通に売られるカボチャと、ハロウィーンのカボチャとは、様子が違います。同じカボチャの仲間でも、種が違うからです。食用になるのは同じです。
 ハロウィーンのカボチャは、ペポカボチャという種です。オレンジ色の大きな実がなります。北米南部の原産です。日本では、あまり作られていません。ペポカボチャの小型の変種は、観賞用に使われます。オモチャカボチャ、カザリカボチャなどと呼ばれます。
 日本で普通に作られているのは、ニホンカボチャとセイヨウカボチャです。ニホンとかセイヨウとか名が付いても、日本やヨーロッパの原産ではありません。どちらの種も、中米から南米のどこかが原産です。正確な場所はわかっていません。
 日本で最も古くから作られたのは、ニホンカボチャです。十六世紀に、ポルトガルの貿易船によって伝えられました。この時、ポルトガル人は、カンボジアにあったものを持ち込んだようです。カンボジアがなまって、カボチャと呼ばれるようになりました。
 ニホンカボチャの原種は、温暖で多湿な環境で生まれました。そのために、高温多湿な東アジアに適していました。今では、日本にもすっかり根付いていますね。
 セイヨウカボチャは、十九世紀に日本へやってきました。こちらは、米国から伝えられたようです。セイヨウの名は、ニホンカボチャより後に、西洋から伝わったためです。
 セイヨウカボチャは、高原地帯が原産地です。このため、涼しい気候を好みます。今の日本では、セイヨウカボチャのほうが多く作られています。主産地は北海道です。
 ここに挙げた三種のカボチャは、どれも栄養豊富です。しかも保存が利きます。自然の恵みを表わすお祭りには、ちょうどよいですね。


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には、セイヨウカボチャは掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年10月30日

ウミヘビ(海蛇)は龍神の使い?

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 十一月ともなると、冬の季節風が強くなってきます。海が荒れることが増えますね。このために、海岸に、海の生き物が打ち上げられることがあります。
 ウミヘビもその一つです。この季節、日本海側の島根県や、福井県、秋田県などによく上がります。上がるのは、ほとんどがセグロウミヘビという種です。
 普通、ウミヘビの仲間は、熱帯の海に棲みます。日本では、南西諸島近海に、何種かのウミヘビが分布します。九州以北でウミヘビが見られるのは、珍しいことです。
 セグロウミヘビは、異例なことに、北の海にも現われる種です。時には、北海道近海にまでやってきます。世界一、分布域が広いウミヘビです。
 ウミヘビの中で、最も海に適応したのが、セグロウミヘビといわれます。遊泳力が強く、一生を海で過ごします。陸に上がりたくても、上がれない体になっています。
 普通のヘビは、腹に腹板という鱗【うろこ】を持ちます。腹板のおかげで、足がなくても這うことができます。セグロウミヘビは、腹板を持ちません。海では必要ないために、なくしてしまいました。ですから、陸では動けません。
 他のウミヘビには、陸で休息したり、産卵したりするものもいます。セグロウミヘビは、産卵のために上陸する必要がありません。海中で、卵ではなく子どもを産むからです。
 セグロウミヘビは、名のとおり背が黒いです。対照的に、腹はくっきりと黄色いです。海鳥からは、黒い背が海の色に紛れて、見えにくいですね。海中の生物からは、黄色い腹が海面の明るさに紛れ、見えにくいでしょう。うまくできていますね。
 腹側の目立つ黄色は、警戒色だという説もあります。セグロウミヘビは、猛毒を持つ毒ヘビだからです。サメなどに、「毒があるぞ」と警告しているのかも知れません。
 島根県の出雲地方や、新潟県の佐渡島などでは、セグロウミヘビを「竜蛇さま」として祭ることがあります。神々が出雲に集うとされる十一月頃に、ちょうど打ち上げられるからです。昔の人には、竜宮からのお使いのように思われたのでしょう。迷信深い、などと笑うことはできませんね。自然を敬う心があるのは、よいことでしょう。


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には、残念ながら、セグロウミヘビは載っていませんが、ウミヘビの仲間のエラブウミヘビが掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年10月29日

ミドリカメを長く飼っている方教えてください。

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 ミドリカメを長く飼っている方教えて下さい。茶色の涙を流して手・足の、うろこが剥がれてひび割れしてきました。病気でしょうか?


 それは明らかに病気だと思います。早急に手当てしたほうがいいですよ。実際にカメの症状が見られませんので、どんな人でも正しい診断を下すことはできないでしょう。とにかく、近所の動物病院に片っ端から電話して、ミドリガメを診察してくれるところを探し、病院に連れて行ってあげて下さい。
 なお、以下のサイトへ行くと、爬虫類を診察してくれる全国の動物病院の
一覧があります。お近くの病院に、カメを診てくれるか問い合わせしてみましょう。御参考までに。


 山内イグアナ研究所さんのHP

2006年10月28日

朝日

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沖縄 金武【2006.10.09】

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2006年10月27日

シミは本を食べる?

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 十月二十七日から二週間は、読書週間ですね。秋の夜長を、読書で過ごす人は多いでしょう。そのように本好きな人を、俗に、紙魚【しみ】と呼ぶのを御存知ですか?
 魚という字が付いても、紙魚は魚ではありません。昆虫の仲間です。シミ目シミ科に属する昆虫の総称です。紙を食べる害虫として、昔から知られています。本好きの人が本にかじりつく様子を、シミに譬えたのでしょう。
 大切な本に、「虫食い穴」を見つけたら、がっくりしますよね。こういう被害は、シミの仕業とされてきました。ところが、実際は、そうではないことが多いのです。
 シミの仲間が、紙を食べるのは本当です。けれども、彼らは、紙そのものよりも、紙の表面に付いた糊【のり】を好むようです。シミは、紙の表面をなめるように食べます。「虫食い穴」を開けることは、ほとんどありません。
 では、本に「虫食い穴」を開けるのは何でしょう? それは、シバンムシという別の昆虫です。シミとはとても縁が遠いです。甲虫目シバンムシ科に属する昆虫の仲間です。日本には、フルホンシバンムシ、ザウテルシバンムシなどの種が分布します。
 本がぼろぼろになるほど食害されるのは、たいていシバンムシの仕業です。とはいえ、シミも本の害虫には違いありません。日本に分布するシミ科の種には、ヤマトシミ、セイヨウシミ、マダラシミなどがいます。
 シミ科の昆虫は、どれもよく似ています。そのため、正確に種を決めるのは難しいです。どの種も翅【はね】がなく、飛べません。体色は銀色・灰色・褐色など、地味な色です。蛹【さなぎ】という成長段階がありません。幼虫は、そのままの形で成虫になります。
 これらの特徴は、シミが原始的な昆虫である証拠です。大昔、地球に現われたばかりの昆虫には、翅も、蛹という成長段階もありませんでした。シミは、その頃の昆虫の姿を、今に伝えています。生きている化石ですね。
 害虫といえども、長い進化の歴史を背負っています。読書中にシミに会ったら、生物の歴史に思いを馳せるのもいいでしょう。あまり害虫に栄えられるのは困りますが。


 過去に、生きている化石を取り上げた記事がいくつかあります。以下の記事も御参照下さい。
 ワニに見えてもワニじゃない、ガーパイク(2006/9/16)
 悠仁【ひさひと】さまのお印はコウヤマキ(高野槇)(2006/9/14)・・・など



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には、ヤマトシミが掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年10月26日

四億年前からの生き残り? オウムガイ

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 「生きている化石」と呼ばれる生き物がいますね。古代から、体の仕組みを変えずに生きてきたもののことです。オウムガイ【鸚鵡貝】もその一種です。日本よりずっと南の、フィリピンやパラオの海に棲みます。時たま、殻だけが日本に流れ着きます。
 オウムガイは、イカやタコの仲間です。分類学的にいえば、軟体動物門【なんたいどうぶつもん】の頭足綱【とうそくこう】というグループに属します。頭足綱の中で、とても原始的な性質を残しています。イカとタコの共通の祖先に近いです。
 しかし、オウムガイは、イカともタコとも似ていません。彼らは大きな殻を持ちます。カタツムリのように巻いた殻です。イカもタコも、こんな殻は持ちませんね。
 遠い昔、イカとタコの祖先は、現在のオウムガイのような殻を持っていました。やがて殻を退化させたグループが、イカとタコになります。イカを解体したことがある方は、イカの体内に、甲羅状のものや、ぺらぺらしたひも状のものがあるのを御存知でしょう。それらが殻の名残です。タコは、名残もなく、完全に殻をなくしてしまいました。
 イカとタコの進化を尻目に、オウムガイは、昔のままで生き残りました。オウムガイの直系の祖先(イカとタコの祖先でもあります)は、何と四億年以上前に現われたといわれます。恐竜が現われるより、はるか前です。オウムガイの祖先は、とんがり帽子のような真っ直ぐの殻を持っていました。チョッカクガイ【直角貝】と呼ばれます。
 オウムガイは、アンモナイトと混同されることが多いですね。両者は、似ていても違うものです。どちらも同じ頭足綱で、イカとタコの仲間です。
 アンモナイトは、現在では、化石しか見られません。生きている姿は、オウムガイにそっくりだったようです。殻の構造に違いがあります。アンモナイトの殻にも、オウムガイの殻にも、内部を仕切る板があります。この仕切り板の構造が違います。 
 よく似たアンモナイトが滅びたのに、なぜ、オウムガイは生き残ったのでしょう? この謎は解明されていません。それ以外にも、謎が多い生き物です。海辺に流れ着くオウムガイの殻は、古代からの謎かけをしているのかも知れません。


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2006年10月25日

イソシギ

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沖縄 砂辺【2006.10.09】

2006年10月24日

パンダって

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 パンダって白と黒色ですよね??色がちがう(白黒以外の)パンダっているのですか??

「パンダ」というと、あの白黒のジャイアントパンダばかりが思い浮かべられるようですが、パンダと呼ばれる動物には、もう一種、最近話題になった「風太君」の
レッサーパンダというのがいます。
 もともとは、「パンダ」といえば、このレッサーパンダのことでした。あの白黒のジャイアントパンダは、後からヨーロッパ人に発見されて、レッサーパンダと同じ仲間の動物であることがわかり、二種を区別するために、もともとのパンダをレッサーパンダと呼び、後から見つかったほうをジャイアントパンダと呼ぶようになりました。

2006年10月23日

カモメは冬にしかいない?

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青い海と青い空に、カモメはよく似合いますね。そろそろ、彼らが姿を現わす季節です。
 と書くと、「夏の海でカモメを見たぞ」という方がいらっしゃるでしょう。涼しげなイメージから、カモメは夏の海にいると思っている方も多いようです。
 じつは、カモメの仲間は、夏にはほとんど日本にいません。大部分の種が、秋から冬にかけて、日本に滞在します。冬鳥ですね。「かもめーる」は、季節違いです(笑)
 カモメとは、カモメ科カモメ属に属する鳥の総称です。ややこしいことに、カモメ科カモメ属の一種として、カモメという種がいます。ですから、単に「カモメ」といっただけでは、カモメ属の総称なのか、そのうちの一種なのかわかりません。
 カモメ属の鳥たちは、互いによく似ています。素人には区別がつけにくいです。ますますややこしいですね。日本には、「カモメ」という種の他に、オオセグロカモメ、セグロカモメ、ウミネコ、ユリカモメなどがやってきます。
 日本に来るカモメ属のうち、夏にも日本にいるのは、三種だけです。ウミネコと、オオセグロカモメと、ミツユビカモメです。
 ウミネコは、にゃあにゃあとネコのように鳴くため、「海猫」と名付けられました。夏、日本で繁殖します。関東以南で、夏に見られるカモメ属の鳥は、ウミネコだけです。
 オオセグロカモメは、夏、少数が北海道や東北で繁殖します。ミツユビカモメは、夏に北海道で見られることがあります。繁殖は確認されていません。
 夏のカモメ属は、数が少ないため、楽に識別できそうですね。ところが、海辺の白っぽい鳥がすべてカモメ属かといえば、そうではありません。
 カモメ属と同じカモメ科に、アジサシ属というグループがあります。アジサシ属も、カモメ属と同じように、おおむね白っぽいです。やはり水辺に棲みます。彼らは、夏鳥か旅鳥として、日本にやってきます。ちょうど、カモメ属と入れ替わりですね。「夏の海でカモメを見た」と思っても、それはアジサシの仲間かも知れません。
 カモメでもアジサシでも、長旅をしてきた渡り鳥たちは、歓迎してあげたいですね。



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には、オオセグロカモメ、ウミネコなど、カモメ属の鳥が8種載っています。ぜひご利用下さい。

2006年10月22日

チュウサギ

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和名:チュウサギ
学名:Egretta intermedia



沖縄 金武【2006.10.14】

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には、チュウサギは掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年10月21日

月にヒキガエルがいる?

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 秋は空気が澄んでいます。おかげで、月が美しいですね。古代の人が、お月見という風習を作った気持ちがわかります。
 月にウサギがいるという伝説は、有名ですね。この伝説は、中国から日本に伝わりました。中国には、もう一つ、ヒキガエルが月に住むという伝説があります。
 月をよく見ると、表面に模様が見えます。月のウサギ伝説は、その模様をウサギの姿と見立てたものです。月のヒキガエル伝説は、月のぼこぼこしたクレーター模様を、ヒキガエルの背と見立てたものです。ヒキガエルの特徴をとらえた、面白い発想ですね。
 ヒキガエルの仲間は、世界に広く分布します。どの種のヒキガエルも、外見と習性が似ています。みな、背がごつごつです。脚が短くて、ほとんど跳ねません。カエルの仲間なのに、水に入るのが嫌いです。繁殖期以外、積極的に入ろうとしません。
 「醜くて、のそのそ歩く変なカエル」というのが、世界共通のヒキガエルの印象でしょう。日本のヒキガエルも、前記の外見と習性を持っています。ヒキガエルに様々な伝説があるのは、その独特な外見と習性が、人々の関心を惹いたからでしょう。
 「ヒキガエルに触ると、ヒキガエルと同じいぼができる」という俗信もありますね。実際には、そんなことはありません。ただし、ヒキガエルに毒があるのは、本当です。
 ヒキガエルは、頭の横、耳の後ろ側に、耳腺【じせん】という器官を持ちます。ここから毒液を分泌します。液には、ブフォトキシンという毒成分が含まれます。毒があっても、ヒキガエルは、攻撃的な動物ではありません。毒は、身を守るためだけに使います。
 ヒキガエルに普通に触っただけなら、害はありません。けれども、口や傷口が毒液に触れると、危険です。ヒキガエルに触った後には、必ず手を洗いましょう。
 毒があるからといって、ヒキガエルを害獣扱いするのは、間違いです。家に庭がある方、特に園芸がお好きな方にとっては、ヒキガエルは味方です。ナメクジやハムシなど、園芸植物を荒らす生き物を食べてくれるからです。
 庭石の上で悠然と構える「害虫退治屋ヒキガエル」は、絵になりますよね。>BR>

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2006年10月20日

ルリイロツルナスビ

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和名:ルリイロツルナスビ
学名:Solanum seaforthianum

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沖縄 金武【2006.10.13】

2006年10月19日

ジョロウグモの理【ことわり】

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 クモといえば、網を張る生き物という印象がありますね。クモの網には、さまざまな形があります。大きな円形の網が、最も有名でしょう。
 同じような円形の網を張るクモにも、いろいろな種がいます。よく知られるのは、腹部に黄色の縞模様があるものですね。このような模様のクモは、一種だけではありません。複数の種がいます。
 代表的な種が、ジョロウグモです。比較的大型になるうえ、人家の近くに棲むので、人目につきやすいです。秋口に、黄色い縞模様の、はちきれんばかりに膨れた腹のクモがいたら、ジョロウグモの可能性が高いです。ジョロウグモは、夏の終わりから秋にかけて、急速に成長します。そのために、秋口に目立ちます。
 ジョロウグモは、円形の網を張るクモの代名詞にされています。地方によっては、コガネグモなどの似た種も一まとめにして、ジョロウグモと呼びます。皆さんが思う「ジョロウグモ」が、生物学的に言うジョロウグモとは限りません。正確な種名を知るためには、図鑑などで調べる必要があります。
 ジョロウグモは、漢字で「女郎蜘蛛」や「絡新婦」などと書きます。面白い名ですね。この名の由来には、諸説があります。一説では、メスのほうがオスよりずっと大きいから、といいます。けれども、クモの仲間は、ほぼ例外なく、メスのほうがオスより大きいです。ジョロウグモばかりの特徴ではありません。
 極端に大きさが違うため、別種同士のように見えるクモのカップルも多いです。ジョロウグモもそんな一種です。普通に見られる、ぷっくりと大きな腹のジョロウグモは、すべてメスです。小さなオスは、成体になると、ちゃっかりとメスの網に居候します。そうして、交尾の機会を狙います。体格の差を利用した、巧みな生態ですね。
 ジョロウグモには、妖怪じみた言い伝えがいくつかあります。その名の響きが、不気味さをかき立てたのでしょうか。実際のジョロウグモは、ヒトには無害です。迷信にまどわされなければ、「居候オス」など、興味深い生態を観察できるかも知れません。



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には、ジョロウグモとコガネグモは掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年10月18日

マグロ(鮪)は温血魚?

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 マグロは、日本で最も人気がある食用魚の一つですね。人気があり過ぎて、乱獲されているようです。このままでは、マグロが食べられなくなるかも知れません。
 それは嫌ですよね。どうすれば、マグロの数と日本の食文化と、両方を守れるでしょうか? まずは、マグロについて知ってみましょう。きっと、解答のヒントがあります。
 マグロというのは、一種の魚ではありません。スズキ目サバ科マグロ属に属する種の総称です。食用にされるのは、クロマグロ、ミナミマグロ、メバチマグロ、キハダマグロ、ビンナガマグロなどです。
 どの種のマグロでも、形は似ています。見事な紡錘【ぼうすい】形をしていますね。弾丸のような形、といえばおわかりでしょうか。これは、高速で泳ぐための適応です。
 マグロは、一生、高速で海中を泳ぎ続けます。そうしないと死んでしまいます。こうなったのは、マグロが、外洋に棲む魚だからです。
 海中で、最も生き物が多いのは、外洋ではなく、沿岸の海です。沿岸のほうが、食べ物が豊富だからです。沿岸の海に比べれば、外洋は砂漠のようなものです。そこで生きるには、特別な能力が必要ですね。乏しい食べ物を見つけ、確実に得る能力です。
 マグロは肉食魚です。他の魚などを捕食します。外洋で、少ない獲物を見つけるには、広い範囲を泳ぎ回らなければいけません。獲物を追って捕らえるには、高速が必要です。獲物を見逃さないように、目も大きく発達させました。だからマグロはぎょろ目です。
 高性能の泳ぎを維持するのは、大変です。いつでもエンジン全開で、筋肉が動かなければなりません。そのために、マグロは、周囲の水温よりも、体温を高くしています。高い体温を保つ器官として、彼らの体には、奇網【きもう】という組織があります。
 奇網を持つ魚類には、他に、ホホジロザメがいます。肉食魚として有名なサメですね。彼らも、高性能の泳ぎのために、奇網を持ちます。また、マグロに近縁なカツオも、奇網を持ちます。カツオも、高速で泳ぐ魚ですね。
 マグロとホホジロザメとは、遠縁です。が、同じ目的(速く泳ぐ)のために、同じ組織を発達させました。生き物はなんと巧妙なのだろうと、思わずにはいられません。


 2006年10月10日~13日の4日間、【Commission for the Conservation of Southern Bluefin Tuna(みなみまぐろ保存委員会)】の、年次会議が開かれました。
 以下のページなどで、会議の結果が報じられています。また、この会議のニュースもリンクいたしました。
 マグロの個体数を守ることと日本の食文化に関することですから、改めて考える良い機会です。ニュースはリンクが外れる可能性が大きいですが、どうぞ皆様お早めにご参照ください。
 ミナミマグロの漁獲枠が半減?CCSBT会議はじまる(2006年10月6日 WWFトピック)
 みなみまぐろ、日本の過剰漁獲が争点か(2006年10月5日 WWFトピック)
 ミナミマグロ:07年以降の漁獲枠削減 日本は半減(毎日新聞 2006年10月16日)

 過去の記事で、マグロと同じく奇網【きもう】を持つ魚類を紹介しています。以下の記事も御覧下さい。
 カツオ(鰹)は寒がり?(2006/4/28)
 ホオジロザメのことを調べています。(2006/10/03)
 ホオジロザメ(ホホジロザメ)は本当にヒトを食うか?(2005/11/25)

太陽がいっぱい




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沖縄 砂辺【2006.10.09】

2006年10月17日

シロガシラ

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和名:シロガシラ
学名:Helianthus annuus L.


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沖縄 金武【2006.10.09】


 すっかり、東京も秋らしくなり朝晩は寒いくらいです。去年のように、東京の紅葉が撮れましたらまたご紹介していきたいと思います。
 さて、先日クマが人里に現れることが多いとコラムでふれました。2006年10月5日、日本で「国際クマ会議」が開かれました。これは、アジアでは初めてのことだそうです。
 以下のページなどで、会議の結果が報じられています。ニュースはリンクが外れる可能性が大きいですが、興味深い結果が発表されていますので、どうぞ皆様お早めにご参照ください。

速報!第17回「国際クマ会議」開催報告(2006年10月5日)

 さらに詳しい情報は・・・
国際クマ会議の公式ウェブサイト

クマ(熊)の害を防ぐには(2006年10月9日のコラム)

2006年10月16日

ニャ―っと鳴くカエル

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以前、ニャ―っと鳴くカエルがいると聞きました。本当にいるのですか?教えてください。

 それは、三重県にある鳥羽水族館で公開されたという「ナンベイネコガエル」のことですね、鳥羽水族館のHPに、ニャーと鳴いている鳴き声を映した映像を公開しているようです。URLをご紹介しておきます。
鳥羽水族館-最新情報-ナンベイネコガエルのムービー公開のページ

2006年10月15日

ムカデとヤスデはどう違う?

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 人間に嫌われる生き物の中で、ムカデとヤスデはそうへきかも知れませんね。どちらも、長い体にたくさんの脚を持ちます。彼らを詳しく観察する人は、少ないですね。そのために、両者の違いは、あまり知られていません。
 似て見えても、ムカデとヤスデは、全く違う生き物です。専門的に言えば、ムカデは、節足動物門【せっそくどうぶつもん】のうちの唇脚綱【しんきゃくこう】というグループに属します。ヤスデは、節足動物門のうちの倍脚綱【ばいきゃくこう】に属します。
 これは、たとえて言えば、ヒトとカエルくらい違う関係、といえます。ヒトとカエルは、同じ脊椎動物門【せきついどうぶつもん】に属します。ヒトは、脊椎動物門のうちの哺乳綱【ほにゅうこう】に属します。カエルは、脊椎動物門の両生綱【りょうせいこう】に属します。同じく四本の「手足」を持っていても、全然違いますよね。
 よく見れば、見た目でムカデとヤスデを区別することができます。ムカデとヤスデとでは、脚の数が違います。ムカデは、体の一節につき、一対(二本)の脚があります。ヤスデは、一節につき、二対(四本)の脚があります。つまり、節の数が同じならば、ヤスデのほうが、ムカデの二倍、脚があります。
 脚の数が多いぶん、ヤスデのほうが速そうですね。実際は逆です。ムカデのほうが、ヤスデよりもずっと速く歩けます。これは、両者の食性の違いに関係があります。
 ムカデは肉食性です。昆虫など、他の生き物を捕らえて食べます。捕食するには、動きが素早くなければいけませんね。このために、ムカデはとても速く動きます。
 ヤスデは草食性です。腐葉土などを食べます。時々、動物の死体を食べることもあります。けれども、生きているものを襲って食べることはありません。死体や植物質のものは逃げませんから、速く動く必要はありませんね。
 ムカデとヤスデは、それぞれ、とても多くの種がいるグループです。ムカデは三千種ほど、ヤスデは何と一万種ほどいるといわれます。同じグループでも、これだけいれば、多様な生態のものがいます。それについては、また別の機会に話しましょう。


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には、トビズムカデとヤケヤスデは掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年10月14日

鷺の森

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和名:ダイサギ
学名:Egretta alba

沖縄 金武【2006.09.23】

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には、ダイサギなど、日本で見られるサギ類10種が掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年10月13日

渡りをするチョウ(蝶)がいる?

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 渡りをする動物といえば、鳥が有名ですね。夏に日本に来るツバメや、冬に来るハクチョウが親しまれています。翼の力だけで、何千kmも旅をするなんて、すごいですね。
 鳥と同じように、昆虫も空を飛びます。驚くべきことに、鳥よりもずっと小さい昆虫にも、渡りをするものがいます。
 日本にいる昆虫にも、渡る種がいます。近年、アサギマダラというチョウが、渡ることで知られるようになりました。名のとおり、あさぎ色の模様がある、美しいチョウです。
 アサギマダラは南方系の昆虫です。台湾や南西諸島にたくさん棲んでいます。彼らは、日本の本土では冬を越しにくいようです。寒さが苦手だからです。
 けれども、初夏から秋にかけて、日本には多くのアサギマダラがいます。宮城県などの東北地方や、長野県などの高原でも目撃されます。彼らは、南西諸島などから飛んでくるのです。か弱く見えるチョウが、なぜそんな大冒険をするのか、理由はわかっていません。何がきっかけで渡りを始めるのかなど、わからないことだらけです。
 渡りのルートについては、解明されつつあります。現在、マーキング調査が行なわれています。これは、アサギマダラを生け捕りにして、翅【はね】にマークを付け、再び野外に放つというものです。マークのある個体が再捕獲されれば、前回捕獲された時から、どのくらい移動したかがわかりますね。
 これまでの調査で、アサギマダラの驚異的な移動力が明らかになっています。和歌山県でマークされた個体が、沖縄県の石垣島で再捕獲されたり(移動距離およそ千五百km)、
台湾でマークされた個体が、大分県で再捕獲されたり(移動距離およそ千三百km)しています。彼らは、春に北上し、秋に南下します。
 マーキング調査には、一般の人も参加できます。各地の団体が、一般の人の調査参加を歓迎しています。そのほうが、より多くのデータを集められるからです。
 アサギネット【http://www2h.biglobe.ne.jp/~pen/asaginet000.htm】などのサイトから、参加登録することができます。子どもでも老人でも、昆虫の謎を解く手伝いができます。皆さんも参加してみてはいかがでしょうか。



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には、アサギマダラは掲載されています。また、アサギマダラの食草となるイケマ、ガガイモ、キジョランも載っています。ぜひご利用下さい。


 アサギマダラの渡りについては、以下の本に詳しく載っています。

宮武 頼夫・福田 晴夫・金沢 至 著、2003年、『旅をする蝶 アサギマダラ』、むし社、定価2800円+税


旅をする蝶アサギマダラ


佐藤 英治 著、2006年、『アサギマダラ 海を渡る蝶の謎』、山と渓谷社、定価1600円+税

2006年10月12日

多くの人が和名の由来を質問されるのに驚きました

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誰か正確にご存知な方がいらっしゃいましたら教えて下さい。

 和名は、最大公約数的な呼び名ですね。圧倒的多数の人間が使う名が、標準和名(図鑑に載る名前)になると考えていいでしょう。
 地域によって、ある種の呼び名が違うことは、よくあります。
 けれども、生物学で研究対象としたり、全国の人に向けて特定の種の話をしたりする場合には、それでは困りますよね。
 そこで、標準和名が定められます。だいたい、学者が集まる学会などが提言し、それが既成事実化してゆきます。結構おおらかなものです。
 例えば、日本の爬虫両生類に関して言えば、爬虫両生類学会というところで標準和名を承認し、発表しています。

2006年10月11日

朝日

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沖縄 金武【2006.09.23】

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2006年10月10日

アオカナヘビの寿命は、

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アオカナヘビは、寿命は、何年ですか?アオカナヘビは、どこまで、大きくなるんですか?

 野生動物の寿命については、よくわからないことが多いです。
 例えば、自然界にいる場合と、人が飼育した場合とでは、条件がぜんぜん違いますよね。飼育下の寿命が、野生状態にそのまま当てはまるとは限りません。野生動物の一生を観察し続けることは、とても難しいです。
 参考までに、ニホンカナヘビの例を紹介しておきましょう。ニホンカナヘビを飼育している人によれば、飼育下で5~7年は生きているようです。

 アオカナヘビは、ニホンカナヘビより南に分布しています。そのぶん、寒さに弱いです。飼うのでしたら、温度管理をしっかりしないといけませんね。
 アオカナヘビの大きさは、全長20cmくらいになるようです。30cmを越えることはないようです。

 以下に、アオカナヘビに関するHPを紹介しておきます。

 日本の鱗たち じゃぷれっぷ in FIELD Star

2006年10月 9日

クマ(熊)の害を防ぐには?

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 近年、日本の各地で、クマが人里に現われることが多いですね。人家に入り込んだり、ヒトを襲ったりしたニュースが伝えられます。このために、クマはひたすら恐ろしい獣だと思われているようですね。
 確かに、クマは強力な生き物です。けれども、ちょっとしたことで、害を防ぐことができます。それには、まず、クマの生態をよく知ることです。
 日本に分布するクマは、ヒグマとツキノワグマです。ヒグマは北海道に、ツキノワグマは本州から九州に分布します。ただし、九州のツキノワグマは、ほとんど絶滅しているようです。人間に狩られたためです。武器を持つ人間のほうが、クマよりずっと強いです。
 ヒグマとツキノワグマとでは、少しずつ生態が違います。ヒグマのほうが、肉食傾向が強いといわれます。
 しかし、クマの主食は植物です。ヒグマもツキノワグマも、その点では同じです。両種とも、ドングリやノイチゴが大好きです。機会があれば肉食しますが、積極的に狩をすることは少ないです。食べるためにヒトを襲うことは、ありません。
 では、なぜクマはヒトを襲うのでしょうか? クマがヒトを恐れているからです。
 クマからすれば、ヒトのほうこそ強力で、何をするかわからない、恐ろしい生き物です。ですから、普通はヒトを避けます。うっかり鉢合わせした場合に、びっくりして、攻撃してしまうのですね。鉢合わせしなければ、攻撃はされません。
 クマに襲われないためには、クマと鉢合わせしないことですね。では、クマが人里に出てくるのは、どうやって防げばよいでしょう?
 クマは、食べ物を求めて人里へ来ます。山に食べ物が豊富にあれば、山で暮らすはずですね。今の山は、クマが食べていけるだけの物がありません。人間が、無差別に道路を作るなどして、山の環境を破壊したためです。
 山村の人々にとっては、道路などができるのは良いことです。すべての開発を否定はできません。山村の人々は、昔からクマと共存してきました。その知恵の中に、きっと学ぶべきものがあると思います。


>>>>>>>追記<<<<<<<2006年10月16日
 先日クマが人里に現れることが多いと上記のコラムでふれました。
 さて、先日2006年10月5日、日本で「国際クマ会議」が開かれました。これは、アジアでは初めてのことだそうです。
 以下のページなどで、会議の結果が報じられています。ニュースはリンクが外れる可能性が大きいですが、興味深い結果が発表されていますので、どうぞ皆様お早めにご参照ください。
速報!第17回「国際クマ会議」開催報告(2006年10月5日)

>>>>>>>追記<<<<<<<2006年11月20日
 10月9日ここにも書きましたとおり、今年も『クマが出没した』との報道が多くされていますね。11月17日にWWFから、クマ(ツキノワグマ)の駆除について声明が出されました。
 生物の保護の観点から考える上で、大変参考になる声明だと思います。駆除しないためにはどうしたらいいのか?この機会に、皆さんも考えましょう。
2006年のツキノワグマ異常出没と対策に関する声明(2006年11月17日)


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インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net
には、ヒグマとツキノワグマが掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年10月 8日

セイタカシギ

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和名:セイタカシギ
学名:Egretta alba

沖縄 金武【2006.09.23】

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インターネット生物図鑑-zukan.net-
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には、セイタカシギなど、日本で見られるシギ類18種が掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年10月 7日

ハコフグとハリセンボンは

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ハコフグとハリセンボンは、神奈川県の三浦半島のどの辺に生息していますか?教えてください!!!!

ある生き物が、どの地域のどの場所に生息しているのか、正確に知るのはとても難しいことです。それだけで、何年もかかる研究材料になるくらいです。
残念ながらこの御質問には答えられませんが、三浦半島の横須賀市にある「横須賀市自然・人文博物館」というところで調べられるかもしれません。ここの博物館は、横須賀市の自然、歴史、三浦半島の自然全般を扱っているからです。
 横須賀市自然・人文博物館」のHPは、以下のとおりです。
 横須賀市自然・人文博物館
ご興味あれば、一度訪ねて展示資料のガイドブックや資料などを調べてみてはいかがでしょうか?

2006年10月 6日

花が咲かないのに実がなる? イチジク

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 秋は実りの季節ですね。たくさんの果物が実ります。
 イチジクは、秋の果物の一つですね。漢字では無花果と書いて、イチジクと読みます。
 こんな奇妙な漢字名が付いたのには、理由があります。イチジクは、「花が無いのに果実ができる」植物だと思われたためです。そんなことが本当にあるのでしょうか?
 実際は、イチジクにもちゃんと花が咲きます。ただ、花の付き方が変わっているため、花があるように見えません。ゆえに、花が咲かないと思われました。
 イチジクの花は、一見、小さな果実に見えます。青い未熟な果実を割ってみると、中に、小さな花がぎっしり咲いています。イチジクの花は、果実(のように見えるもの)の内側に咲くのですね。これでは、花がないと思われるのも、無理はありません。
 イチジクの花に惑わされるのは、ヒトだけではありません。昆虫もそうです。ミツバチなどの普通の昆虫は、イチジクの花を訪れることができません。どこに花があるのか、わからないのでしょうね。
 ということは、イチジクは、昆虫に花粉を運んでもらえないことになります。花から花へ花粉が運ばれないと、種子ができません。どうしているのでしょうか?
 じつは、イチジクは、専用の花粉の運び手を持っています。イチジクコバチという昆虫です。イチジクは、イチジクコバチがいないと種子を作れません。イチジクコバチは、イチジクがないと子育てができません。イチジクコバチの幼虫は、イチジクの果実内でしか育たないからです。イチジクとイチジクコバチは、互いに欠かせない存在です。
 イチジクが属するイチジク属の植物は、みな、専用の花粉の運び手を持ちます。例えば、イヌビワにはイヌビワコバチが、アコウにはアコウコバチがいます。なぜ、こんなに緊密な共生関係ができたのかは、わかっていません。
 イチジクは、とても起源が古い栽培植物です。何千年も前から栽培されています。人間が作った植物に、昆虫が適応したのは驚きですね。私たちが思う以上に、生き物には適応力があるのでしょう。


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には、イチジク、イヌビワ、アコウは掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年10月 5日

なまこのことを知りたいです。

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「なまこ」のことを知りたいです。こわた・このこなどのことです。

 ナマコの「こわた」というのは、「このわた」のことですね?
 「このわた」というのは、ナマコの内臓だけを取り出したものです。日本で広く流通している食用ナマコは、マナマコという種です。通常、このわたといえばマナマコの内臓を指します。


「このこ」というのは、ナマコの内臓のうち、卵巣(卵を作る器官)だけを取り出して、干したものです。
 「このわた」も「このこ」も、高級食材として有名です。

2006年10月 4日

美猫

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和名:ノネコ
学名:Felis catus

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沖縄 金武【2006.09.23】


キンモクセイが香る季節になりましたね。過去の記事で、キンモクセイを取り上げました。ご参照ください。
キンモクセイとギンモクセイの謎(2005/9/12)

2006年10月 3日

ホオジロザメのことを調べています。

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ホオジロザメのことを調べています。詳しく調べられるサイトを教えてくれませんか?

 ホオジロザメというのは、通称ですね。標準和名は「ホホジロザメ」といいます。
 ホホジロザメは、人食い鮫といわれることが多いですね。けれども、実際には、人を襲うことは稀です。
 ホホジロザメに関しては、以前こちらでも取り上げています。以下の記事を御参照下さい。
 ホオジロザメ(ホホジロザメ)は本当にヒトを食うか?

 また、以下のサイトに詳しく載っています。
 人食いザメ(国立科学博物館 魚類研究室 魚コラムシリーズ)
 サメ図鑑

2006年10月 2日

ヤンバルクイナは絶滅寸前?

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 ヤンバルクイナという鳥の名を、聞いたことがありますか? 飛べない鳥です。世界中で、日本の沖縄本島にだけ分布します。国の天然記念物に指定されています。
 この鳥が公式に「発見」されたのは、一九八一年でした。沖縄本島には、大勢の人が住みますよね。なのに、なぜ、それまで見つからなかったのでしょう?
 じつは、昔から、地元の人には知られていました。けれども、その鳥が、「まだ学会に知られない新種」だとは、誰も思いませんでした。日本の鳥類は、調査し尽くされていると思われたのですね。自然は、人間が思うより、奥深いものでした。
 「発見」された当時から、ヤンバルクイナは、数が少ない鳥でした。「せいぜい二千羽くらいしかいないだろう」といわれたようです。国際的にも、国内的にも、すぐに保護動物に指定されました。保護の成果は上がったのでしょうか?
 増えるどころか、ヤンバルクイナは減っています。つい最近、衝撃的な報告がありました。二〇〇五年の調査によれば、ヤンバルクイナは、七百十七羽しかいません。これは、本当に危機的な数です。このままでは、確実に、数年以内に絶滅します。
 人類は、これまでに、たくさんの生物を滅ぼしてしまいました。愚かなことです。しかし、人類は、過去に学ぶことができるはずです。
 ヤンバルクイナを含むクイナの仲間は、絶滅しやすいことが知られます。飛べない種が多いこと、分布域が狭い種が多いこと、などが原因とされます。
 絶滅種の例としては、タヒチクイナとハワイクイナがいます。彼らは、それぞれタヒチ島とハワイ島に分布しました。絶滅寸前の種の例としては、グアム島のグアムクイナがいます。これらの種が、有名なリゾート地に分布するのは、皮肉ですね。どこも「自然が豊かな楽園」のはずです。人間の活動が、彼らを追いつめたことを示しています。
 ヤンバルクイナが棲む沖縄も、有名なリゾート地です。タヒチやハワイの悲劇を、繰り返したくありませんね。人間がくつろぐリゾート地の一部を、鳥たちのために分けてもいいでしょう。本来、そこは、彼らの領域でした。


 ヤンバルクイナ、最近のニュースは以下のとおりです。
 国の天然記念物ヤンバルクイナが激減  JanJan 2006/09/17
 [ヤンバルクイナ激減]絶滅防止の抜本策急げ  沖縄タイムス 2006/09/12
など


 過去の記事で、絶滅寸前の種を何種か取り上げています。こちらも御覧下さい。

 鵺【ぬえ】の正体はトラツグミ(2006/8/4)
 新種発見! トゲネズミ(2006/7/10)
 縄文時代からの御馳走、ハマグリ?(2006/2/24)
などです。


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には、ヤンバルクイナは掲載されています。ぜひご利用下さい。

都会派のコオロギ、アオマツムシ(青松虫)

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 夏の終わりから秋にかけては、鳴くコオロギたちが賑やかですね。日本には、たくさんの種のコオロギが棲んでいます。
 緑が少ない住宅地で、思いがけず、コオロギの声を聞いたことがありませんか? リーリーリーと、かなり大きな声が聞かれることがあります。いったいどこで鳴いているのか、不思議ですよね。
 それは、きっとアオマツムシというコオロギの一種です。彼らは樹上に棲みます。街路樹があれば、そこで暮らすことができます。都会に強い昆虫ですね。
 マツムシと付くものの、アオマツムシは、マツムシとは全く違う種です。体型は、マツムシよりもスマートです。体色は、マツムシが淡褐色なのに対して、アオマツムシは緑っぽいです。鳴き声は、マツムシが有名な「チンチロリン」で、アオマツムシが甲高い「リーリーリー」です。か細いマツムシの声に対し、アオマツムシはうるさい感じの声です。
 何よりも、マツムシとアオマツムシとは、生活領域が違います。マツムシは、地面に近い草の上に棲みます。アオマツムシは、前記のように樹上に棲みます。体色の違いは、この生活領域の違いに由来します。マツムシは枯れ草に似た色をしています。アオマツムシは、緑の木の葉に似た色をしています。敵から逃れるために、周囲の環境と色を合わせているのですね。多くの昆虫が、同じ方法を取っています。
 和歌や俳句には、鳴く虫を詠んだものが多いですね。けれども、古歌や古句には、アオマツムシは登場しません。もともと日本にいた昆虫ではないからです。明治時代に、外国から日本に入ってきたといわれます。ですから、昔の日本人は、アオマツムシを知りませんでした。頭上からコオロギの声が聞こえるなんて、昔の日本人は驚くでしょうね。
 アオマツムシは、近年の日本で、数を増やしました。自然が豊かになったためではありません。逆です。自然環境が破壊されて、在来の昆虫が棲めなくなったところに、アオマツムシが進出したのです。それを考えると、複雑な思いがしますね。虫には罪はありません。アオマツムシの声は、私たちに、環境破壊を警告してくれているのでしょう。


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には、アオマツムシとマツムシが掲載されています。ぜひご利用下さい。

2006年10月 1日

人間とは持ちつ持たれつのススキ

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 ススキは、きれいな花が咲く植物ではありません。なのに、丁重に扱われることが多いですね。尾花【おばな】として、秋の七草にも挙げられます。
 地域によっては、ススキを魔除けにするそうです。昔は、なにかしら、ススキに神聖な力があると信じられていました。お月見に使われるのは、その名残でしょう。
 なぜ、ススキに神聖な力があるとされたのかは、わかりません。穂の形に鍵があるようです。そういえば、あの穂は、神事に使う御幣【ごへい】に似ていますね。
 神事は別にしても、秋のススキ野原の光景は、見事です。じつは、あのススキの野原は、自然にできることは少ないです。人間により、作られたものが多いです。なぜ、そんなことが起こるのでしょうか?
 それは、日本で、植物が育ちやすいことと関係があります。日本は雨が多く、日照量も多いですね。放っておくと、どんどん木が育ちます。樹木の下では、限られた植物しか育ちません。日光が届きにくいためです。ススキも、森林では育たない植物です。
 山火事などがあって、森林がなくなると、いち早くススキが生えます。けれども、何年か経つと、木が育ってきます。そのままでは、ススキの野原は、再び森林に戻ります。ススキは、生きるために、常に森林がないところを求めています。
 そこで、人間の出番です。昔の人は、ススキをいろいろな材料に使いました。茅葺【かやぶき】屋根などです。そのために、ススキの供給源を確保する必要がありました。
 人工的に火事を起こせば、ススキ野原を維持できます。いったん燃えると、樹木は、育つまで時間がかかるからです。定期的に野焼きや山焼きをすれば、いつまでも木は育ちません。ずっとススキが生えていられるわけです。
 ところが、最近、この共存関係が崩れています。人間がススキを利用しなくなったからです。野焼きや山焼きをしなくなれば、ススキの生える野原がなくなります。
 人工的であっても、ススキ野原は美しいですね。自然環境を、うまくコントロールしているからでしょう。このような「半人工」環境も、守る価値があると思います。


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には、ススキが掲載されています。ぜひご利用下さい。