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2006年10月27日

シミは本を食べる?

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 十月二十七日から二週間は、読書週間ですね。秋の夜長を、読書で過ごす人は多いでしょう。そのように本好きな人を、俗に、紙魚【しみ】と呼ぶのを御存知ですか?
 魚という字が付いても、紙魚は魚ではありません。昆虫の仲間です。シミ目シミ科に属する昆虫の総称です。紙を食べる害虫として、昔から知られています。本好きの人が本にかじりつく様子を、シミに譬えたのでしょう。
 大切な本に、「虫食い穴」を見つけたら、がっくりしますよね。こういう被害は、シミの仕業とされてきました。ところが、実際は、そうではないことが多いのです。
 シミの仲間が、紙を食べるのは本当です。けれども、彼らは、紙そのものよりも、紙の表面に付いた糊【のり】を好むようです。シミは、紙の表面をなめるように食べます。「虫食い穴」を開けることは、ほとんどありません。
 では、本に「虫食い穴」を開けるのは何でしょう? それは、シバンムシという別の昆虫です。シミとはとても縁が遠いです。甲虫目シバンムシ科に属する昆虫の仲間です。日本には、フルホンシバンムシ、ザウテルシバンムシなどの種が分布します。
 本がぼろぼろになるほど食害されるのは、たいていシバンムシの仕業です。とはいえ、シミも本の害虫には違いありません。日本に分布するシミ科の種には、ヤマトシミ、セイヨウシミ、マダラシミなどがいます。
 シミ科の昆虫は、どれもよく似ています。そのため、正確に種を決めるのは難しいです。どの種も翅【はね】がなく、飛べません。体色は銀色・灰色・褐色など、地味な色です。蛹【さなぎ】という成長段階がありません。幼虫は、そのままの形で成虫になります。
 これらの特徴は、シミが原始的な昆虫である証拠です。大昔、地球に現われたばかりの昆虫には、翅も、蛹という成長段階もありませんでした。シミは、その頃の昆虫の姿を、今に伝えています。生きている化石ですね。
 害虫といえども、長い進化の歴史を背負っています。読書中にシミに会ったら、生物の歴史に思いを馳せるのもいいでしょう。あまり害虫に栄えられるのは困りますが。


 過去に、生きている化石を取り上げた記事がいくつかあります。以下の記事も御参照下さい。
 ワニに見えてもワニじゃない、ガーパイク(2006/9/16)
 悠仁【ひさひと】さまのお印はコウヤマキ(高野槇)(2006/9/14)・・・など



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には、ヤマトシミが掲載されています。ぜひご利用下さい。

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