
秋が深まってくると、花の数が少なくなりますね。サザンカ(山茶花)は、晩秋に咲く数少ない植物の一種です。童謡の「たきび」の歌詞にも登場しますね。
サザンカの花は、ツバキの花と似ています。同じように寒い時期に咲くこともあって、両者は混同されがちです。けれども、サザンカとツバキとは、違う種です。
サザンカとツバキは、同じツバキ科に属します。しかし、いくつも違いがあります。
最もわかりやすいのは、花の散り方でしょう。サザンカは、花びらが一枚一枚ばらばらに散ります。ツバキは、花全体がばらばらにならず、一輪の形そのままに散ります。
また、サザンカの花には、かすかな香りがあります。ツバキは全く香りません。この差は、おそらく、花粉を運んでもらう動物の違いを表わします。
花粉の運び手の中で、昆虫は香りに敏感です。鳥は香りに鈍感です。鳥だけを呼び寄せたいなら、香る必要はありません。サザンカに香りがあるのは、昆虫を呼ぶためでしょう。ツバキはほとんど鳥に頼っているため、香りを発達させませんでした。
野生のサザンカとツバキとは、明らかに違う種です。ところが、園芸品種は、そうとは限りません。園芸品種には、サザンカとツバキとを交配したものが多いからです。
例えば、カンツバキ(寒椿)という園芸品種の一群があります。これは、サザンカとヤブツバキとが交配して生まれたと考えられています。また、ハルサザンカという園芸品種群があります。ハルサザンカは、サザンカと、ツバキの園芸品種のどれかとが交配して生まれたようです。カンツバキとハルサザンカは、サザンカとツバキとの中間の性質を持ちます。園芸の分野では、サザンカとツバキとは、明確に分けられませんね。
カンツバキやハルサザンカなどの園芸品種は、世界のどこで、どのように誕生したのか、わかっていません。野生のサザンカに限れば、原産地は日本です。本州の西端や、四国、九州、南西諸島に分布します。野生のサザンカの花は、白一色です。
童謡にあるとおり、サザンカは、木枯らしの道を彩ります。サザンカがなかったら、日本の秋は、ずいぶんさびしいものだったでしょう。日本の誇れる園芸植物ですね。
過去の記事で、サザンカに近縁なツバキを取り上げています。以下の記事も御参照下さい。
あんこ椿(ツバキ)は恋の花(2006/2/13)

インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net
には、サザンカや同じツバキ科のヤブツバキが掲載されています。ぜひご利用下さい。