2007年2月16日
シャラの木と沙羅双樹【さらそうじゅ】はどう違う?
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二月の行事は、バレンタインデーだけではありません。じつは、仏教の行事もあります。涅槃会【ねはんえ】という行事です。お釈迦さまの命日に、読経などを行ないます。日本では、伝統的に、二月十五日がその日とされてきました。
涅槃会にちなみ、日本のお寺には、シャラの木があることが多いです。もとは古代インドの言葉で、シャーラという名の木です。それに、娑羅【しゃら】あるいは沙羅【しゃら】という漢字を当てました。この木の下で、お釈迦さまが亡くなったといわれます。その時、四本あった木が、二本ずつ合わさって二本になり、真っ白に変じた、といいます。
ところが、日本にある「シャラの木」は、本物のシャーラとは違います。インドのシャーラは、日本では育ちません。そのため、印象の似た別種を、シャラの木に仕立てました。「シャラの木」というのは通称です。正式な日本語名を、ナツツバキという種です。
ナツツバキは、名のとおり、ツバキ科に属します。普通のツバキと違って、夏に花が咲きます。花の色は白です。冬に葉が落ちるのも、ツバキと違うところです。けれども、花の形はツバキに似ています。仏教を離れても、庭木として人気があります。
ナツツバキとは別の種が、「シャラの木」と呼ばれることもあります。正式な日本語名を、ヒメシャラという種です。ヒメシャラは、ナツツバキに近縁で、姿もそっくりです。ナツツバキよりも、花が小さいことが特徴です。ヒメシャラも庭木にされます。
本物のシャーラは、フタバガキ科に属します。ナツツバキやヒメシャラとは、遠縁です。日本語では、サラノキ、サラジュ、サラソウジュなどと呼ばれます。正式な日本語の種名は、決まっていません。漢字では、沙羅樹と書かれることが多いです。
個人的には、本物のシャーラの種名を「サラソウジュ」とするのは、良くないのではと思います。沙羅双樹とは、本来「お釈迦さまが亡くなる際に、白く変じた二本のシャーラ」を指すからです。伝説に登場する特定の木と、普通の木とが、混同されそうです。
生き物の名には、歴史や伝説がからむことが多いので、ややこしいですね。そのぶん、含蓄【がんちく】があって、面白いです。
過去の記事でも、仏教に関係する生き物を扱っています。よろしければ、以下の記事・写真も御覧下さい。
ヒガンバナ(彼岸花)は不吉な花か?(2006/9/18)
お釈迦さまも食べた? レモン(2006/8/21)
などです。このほか植物に関するコラム、Q&A、画像など盛りだくさんです。過去の記事はカテゴリーよりどうぞご覧ください。
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ナツツバキをはじめ、日本で見られる植物800種余りが掲載されています。
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松沢千鶴
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