2007年3月30日
貝に卵を産む? 不思議な魚たち
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水ぬるむ春ですね。春が来るのは、地上だけではありません。水の中にもやってきます。
春の水中では、多くの生き物が、繁殖期を迎えます。日本の淡水では、タナゴの仲間などが、繁殖期になりますね。(秋に繁殖するタナゴ類もいます)
タナゴとは、コイ目コイ科タナゴ亜科に属する魚たちです。日本には、十六種ほどが分布します。タナゴ亜科の中に、タナゴという種もいます。ややこしいですね。おおむね、フナを小さくしたような姿をしています。日本の淡水魚では、平凡なグループでした。
『でした』というのは、このグループの多くが、絶滅の危機に瀕しているからです。淡水という環境は、人間の都合により、改変されやすいのですね。このため、タナゴたちのすみかが、奪われています。日本にいる種のうち、八種以上が、環境省のレッドリストに挙がっています。半分以上の種が危ない、ということですね。
タナゴの仲間が、特に数を減らしたのには、理由があります。彼らの繁殖方法が、特異だからです。彼らは、なんと、水中の二枚貝に、卵を産みつけます。
日本の淡水には、イシガイ科の二枚貝が棲みます。イシガイ、カラスガイ、ドブガイ、マツカサガイなどです。これらの貝が、タナゴ類の産卵場になります。種によって、好みの貝があるようです。例えば、ミヤコタナゴは、主にマツカサガイに産卵します。
タナゴの仲間は、なぜ、貝に産卵するのでしょう? おそらく、安全のためです。
卵は、身を守る術を持ちません。その時期に、貝の殻の中で守ってもらえば、安全ですね。貝にとっては、きっと迷惑でしょう。体内に卵を産まれるのですから。
この習性のため、タナゴの仲間は、二枚貝がいなければ、繁殖できません。タナゴ類だけを保護しても、意味がないのです。貝が健全に棲める環境でなければ、タナゴたちも棲めません。子どもを育てる家がなかったら、ヒトも困りますよね。魚も同じです。
前記のとおり、タナゴ類は、多くが保護の対象です。けれども、中には、捕獲や飼育が許可されている種もあります。それらの種を飼う機会があれば、ぜひ、繁殖に挑戦してみて下さい。彼らの不思議な習性は、体験してみる価値があります。
過去の記事でも、日本に分布する淡水魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
秋に美味しい鰍【かじか】(2006/11/13)
しゃべるナマズがいる?(2006/8/11)
などです。この投稿のほかにも、淡水魚や魚に関するコラム、Q&A、画像など盛りだくさんです。過去の記事は各カテゴリーよりどうぞご覧ください。
図鑑↓↓↓↓↓には、
タイリクバラタナゴ、ニッポンバラタナゴ、タナゴ、ミヤコタナゴ、タナゴ類が産卵するイシガイ、カラスガイ、ドブガイ、マツカサガイが掲載されています。
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松沢千鶴
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