2007年9月 3日
キチョウの雄(オス)が雌(メス)になる?
蝶(チョウ)と言われたら、皆さんは、どんなチョウを思い浮かべますか?
黄色いチョウを思い浮かべた方、ぜひ、どこかの図鑑で、「キチョウ」の写真を見てみて下さい。たぶん、イメージどおりだと思います。
キチョウは、日本で、最も平凡なチョウの一種です。「黄蝶」という名のとおり、全身がほぼ黄色です。モンシロチョウと同じ、シロチョウ科に属します。大きさは、モンシロチョウより小さいです。黄色い色紙がちらちらしているような、可憐なチョウです。
平凡すぎるために、普段、キチョウは、注目されません。ところが、最近、驚くべき研究結果が発表されました。「雄のはずが、雌になるキチョウがいる」というのです。
キチョウは、遺伝子によって、性が決まります。ヒトと同じです。遺伝子ですから、生まれる時に決まったら、一生変わりません。遺伝子が雄のままで変わらないのに、体が雌になるものがいます。なぜ、こんなことが起こるのでしょう?
それは、キチョウに寄生する細菌のせいです。ボルバキアWolbachia属という細菌のグループです。この細菌は、宿主の卵を通じて感染を広げます。精子には感染できません。雄に寄生したら、自分の子孫を残せないわけです。このために、ボルバキアは、「雄の宿主を、雌に変える」能力を獲得した、と考えられています。
ボルバキアが寄生するのは、キチョウだけではありません。昆虫の全種のうち、20%以上が、ボルバキア属の細菌に感染しているようです。細菌の特徴からして、他の昆虫の種でも、同じようなことが起こっているでしょう。
性別を変えられるなんて、キチョウは、ひどい目に遭っているようですね。けれども、ボルバキアを駆除すればいい、とは限りません。先祖代々、ボルバキアが感染しているキチョウから、ボルバキアを駆除すると、不都合が起こります。ほとんどの個体が、健康な成虫になれません。
キチョウとボルバキアは、寄生というより、共生関係にあるようです。不思議ですね。他の昆虫でも、そうなのでしょうか? 他の研究の成果も、見てみたいですね。
キチョウとボルバキアの研究は、日本の産業技術総合研究所(産総研)で行なわれました。以下の産総研のページに、研究の結果が詳しく載っています。
共生細菌抑制によりオスとメスの中間的なチョウができる
過去の記事でも、性転換する生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
植物も性転換する? マムシグサ(2007/6/1)
ホンソメワケベラは、他の魚と共生しあっていますよね。(2006/6/29)
牡蠣(カキ)はなぜ寒い時期が旬か?(2006/2/4)
ニモのお父さんはお母さんだった?(2005/10/28)
などです。
図鑑↓↓↓↓↓には、キチョウが掲載されています。
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http://www.zukan.net
ぜひご利用下さい。
松沢千鶴
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