図鑑.netブログ- zukan.net -

http://blog.zukan.net/blog/

2007年9月26日

イラクサは「進化」して、棘ができた?

 イラクサという植物を御存知ですか? 日本の本州以南に、普通に生える草です。棘があることで有名です。刺されると痛いので、刺草(イラクサ)と名付けられました。
 イラクサに限らず、棘のある植物は多いですね。その理由は、いくつかあると考えられています。主な理由に、「動物に食べられないため」というのが、あります。
 草食動物でも、できるなら、棘のない草を、選んで食べるようです。棘は、進化の過程で、植物が身に付けた「武器」というわけです。
 このほど、この進化の過程が、目に見える形で示されました。奈良公園のイラクサが、よそのイラクサより、棘が多いというのです。シカの食害を避けるためです。
 奈良公園には、たくさんのシカが棲みます。植物にしてみれば、食べられるおそれが高いですね。強い防御が必要です。
 どのイラクサにも、もともと、棘はあります。ただ、個体によって、棘の数が違います。棘の少ないイラクサは、奈良公園では、食べられてしまいます。棘の多いイラクサだけが、残ります。棘のないイラクサに、いきなり棘ができたのではありません。
 この研究結果は、別の研究をほうふつとさせます。十九世紀に行なわれた、非常に有名な研究です。オオシモフリエダシャクという、ガの一種が研究されました。
 オオシモフリエダシャクは、個体ごとに、体色の変異が激しいです。白っぽいものから、黒っぽいものまでいます。周囲の環境に、白っぽい場所が多ければ、白っぽい個体のほうが、敵に見つかりにくいですね。逆に、黒っぽい場所が多ければ、黒っぽい個体のほうが、敵に見つかりにくいです。十九世紀には、黒っぽい場所が多い環境に、黒っぽいガが多いという結果が出されました。
 今回のイラクサと、似ていますね。敵の存在が、生き物の姿を変えた例です。
 こんにちでは、「オオシモフリエダシャクの研究には、間違いがある」という意見もあります。けれども、地域により、ガの体色に、偏りがあるのは確かです。イラクサや、オオシモフリエダシャクは、何らかの自然の仕組みを、人間に見せてくれているのでしょう。


 奈良公園のイラクサの変化については、以下のページに載っています。
 「イラクサ(森林総合研究所関西支所)
 とげの進化でシカを防御? 奈良公園に生えるイラクサ(中日新聞 2007/09/24)



図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、イラクサは載っていません。かわりに、近縁なムカゴイラクサが掲載されています。
ban_zukan.net.jpg
インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net
ぜひご利用下さい。

http://blog.zukan.net/blog/2007/09/26-post_907.php
トラックバックhttp://blog.zukan.net/MovableType4/mt-tb.cgi/1165

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL
http://blog.zukan.net/MovableType4/mt-tb.cgi/1165

コメント

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)