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2007年10月 8日

イネクロカメムシは福田【ふくだ】の虫?

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 秋、田に黄金の穂がなびく風景は、いいものですね。
 現在は、農業技術が発達しています。おかげで、作物の収穫量が上がりました。けれども、昔は、さぞかし、害虫に悩まされたことでしょう。
 日本には、イネに付く害虫がたくさんいます。イネクロカメムシは、代表的なイネの害虫です。名のとおり、イネに付く黒っぽいカメムシの一種です。
 カメムシの仲間は、みな、口がストロー状になっています。ですから、固形物は食べられません。イネクロカメムシの場合は、イネの茎に付いて、そこから液を吸います。イネは、大事な水分や栄養分を吸われてしまいます。たまったものではありませんね。
 日本人とイネクロカメムシは、長い付き合いだとわかっています。考古学的な証拠があります。なんと、弥生時代後期の遺跡から、イネクロカメムシの遺骸が発見されています。その遺跡は、大阪府八尾市【やおし】の亀井遺跡です。
 イネクロカメムシは、方言名が多い昆虫です。長い付き合いだからでしょうね。福井県でゼントクムシ(善徳虫)、ゲントクムシ、四国でシャクゼン、石川県でフクダノムシなどと呼ばれました。中でも、善徳虫という呼び名に関しては、伝説があります。
 昔、善徳という名の僧侶がいました。彼は銀を貯めこんでいました。それを狙って、誰かが彼を殺しました。亡き善徳は、恨みのために、イネを食う虫になったといいます。
 イネクロカメムシに限らず、害虫に関しては、似た伝説がいくつもあります。害虫は怨霊だというわけです。そう思いたくなるほど、昔は、虫の害がひどかったのでしょう。
 「害虫は、いないほうが良い」と、思いがちですね。しかし、まったくいなくなれば、自然のバランスを崩してしまいます。どこかで、折り合わなければなりません。
 害虫のために、昔の人は、苦労が多かったでしょう。そのかわり、虫たちと、うまく折り合おうという気持ちが強かったと思います。フクダノムシというイネクロカメムシの別名が、それを表わすようです。「虫がいるのは、福田(=豊かな田)の証拠」と考えることで、彼らの取り分を認めていたのではないでしょうか。


 過去の記事でも、カメムシの仲間を取り上げています。また、伝説に登場する昆虫も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 お菊虫の正体は、ジャコウアゲハ?(2007/8/13) 
 腸内細菌が進化の決め手? マルカメムシ(2007/6/21)
 カメムシはなぜ臭【くさ】い?(2006/11/3)  カメムシ(2006/06/07)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、イネクロカメムシが掲載されています。
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