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2007年11月19日

イシガメが絶滅寸前?

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 現在、日本のカメに、危機が迫っています。特に危機的と言われるのが、ニホンイシガメという種です。日本にしかいない、固有種です。池などの淡水域に棲みます。
 ニホンイシガメの危機の原因は、いくつかあります。近年、問題にされるのは、外来種のカメです。外国から来たカメに、生息地を奪われているのですね。
 今、日本の淡水域で、最も数が多いのは、おそらく、アカミミガメです。本来は、南北のアメリカ大陸に、広く分布する種です。日本には、ペットとして持ちこまれました。
 ペットショップなどで、「ミドリガメ」が売られているのを、見たことがありませんか? あの「ミドリガメ」は、アカミミガメの幼体です。「ミドリガメ」は、想像以上に大きくなります。それを持て余し、捨ててしまう人が多いのですね。不心得なことです。
 アカミミガメと、ニホンイシガメは、生息地が重なります。つまり、同じような場所に棲みます。当然、すみかの奪い合いが起こります。
 争いになれば、アカミミガメのほうが有利です。体が大きくなるからです。そのうえ、アカミミガメのほうが、産む卵の数が多いです。ニホンイシガメは、多くても、年に十二個程度しか産卵しません。対して、アカミミガメは、年に三十個以上産卵することも、珍しくないといいます。これでは、ニホンイシガメは、まったく敵いませんね。
 外来種以上に、ニホンイシガメを脅かすものがあります。環境の悪化です。農薬がまかれた水田や、コンクリートで岸が固められた川には、カメは棲めません。
 ここ数十年の間、ニホンイシガメは、環境の悪化に追い詰められていました。そこへ、強力な競合相手が現われたのです。ますます、数が減ってしまいました。
 環境の悪化も、競合相手の登場も、人間のせいですね。なのに、現在のところ、ニホンイシガメがどれくらい危機的なのかも、わかっていません。データがなければ、彼らを救う方法も、うまく考えられません。心ある研究者が、細々と研究している状態です。
 「気づいた時には手遅れ」などという事態は、いやですね。貴重な日本固有種が、絶滅するかも知れません。そうなる前に、対策が取られることを望みます。


 過去の記事でも、カメの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 カメについての質問【夏休み自由研究】(2007/8/22)
 スッポン(鼈)の故郷はどこ?(2007/2/23)
 浦島太郎が助けたのはアカウミガメ?(2006/7/28)  
 飼う前によく考えましょう、カミツキガメとワニガメ(2006/4/5) などです。
  


図鑑↓↓↓↓↓には、ニホンイシガメが掲載されています。
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コメント

Posted by beachmollusc at 2009年2月16日 18:37

宮崎県ではニホンイシガメはレッドデータで絶滅危惧Ⅱ類とされています。実は、日向市の山中のわが家の脇を流れている渓流のよどみのところにニホンイシガメは普通にいます。

この亀は田植え時期に田んぼの周辺に山地から長距離移動してやってきて畦などに産卵するといわれています。アカミミガメとは生息域、生活圏は異なっている(多少かぶっているかも)ようです。大きさもそれほど負けていません。

市街地を流れている汚れた川にはアカミミガメがたくさんいて、イシガメは住んでいません。

外来種が在来種を締め出す、という先入観の色眼鏡で見ると、事実がゆがめられるかもしれません。

私の考えでは、ホタルやドジョウ、タニシなどの里地の生き物が減ったのと同じことで、ニホンイシガメは水田の営農の形態変化、特に乾田化で給排水のコンクリート水路も一緒に稲作時期の数ヶ月間のみ水があるようになったためでしょう。また、産卵する適当な場所もなくなっています。

人間が生息環境を壊して減らしたのであって、外来種の亀は濡れ衣を着せられているように思っています。

Posted by 松沢 千鶴 at 2009年2月28日 16:06

 いつも御指摘ありがとうございます > beachmolluscさん。


 「水田の営農の形態変化が、ニホンイシガメを減らした主な原因」という考えには、私も賛成です。このことを、もっと強調して書くべきだったかも知れません。


 ただ、「だから、外来種のカメを放流してもいい」わけではありませんよね。変な言いわけに使われては困るので、外来種問題を強調して書きました。


 誤解を招く書き方だったようで、申し訳ありません。
 また、何かありましたら、御指摘下さい。

Posted by beachmollusc at 2009年3月 7日 08:05

私は外来生物だけでなく、国内他地域・国外からの水産資源生物の「無秩序な」放流(事業)にも反対しています。効果的な放流で利益を得る場合もありますが、生態的、集団遺伝的なリスクも多々あります。検疫などの科学的なリスク管理の手順を踏まずに「試行錯誤」だけの世界だったことが今の混乱を招いたと考えられます。水産分野で放流は良いことだと思い込んでいる関係者が多いので困っています。

一方、外来種の排斥という現代の魔女狩りが、在来種の消滅や減少の根源的な原因を(結果的に)覆い隠すことになっているように思われます。つまり、都合よく悪者を造って本質的な問題から一般市民の目をそらすようなことが行政からマスコミまで一体になってやっていると見ています。

アカミミガメの場合はすでに帰化していて、人間社会の周辺では定着しているようです。在来種を守ることに関して、帰化種をどのように取り扱うべきかを総合的に考えるためには、生態的な調査研究をしっかり進めて、生態関係の実態を把握するべきでしょう。

おそらく、タンポポとセイヨウタンポポの関係のように、実態は極めて複雑であって、外来種が在来種を圧迫している、という単純でわかりやすい構図にはなっていないかもしれません。

Posted by 松沢 千鶴 at 2009年3月17日 18:44

 たびたびの御指摘、ありがとうございます > beachmolluscさん。


 お返事が遅れまして、申し訳ありません。


 おっしゃるとおり、どんな生き物に関しても、「無秩序な」放流は、避けるべきだと思います。
 また、外来種の排斥を、「現代の魔女狩り」にするつもりもありません。


 在来種を守るのに、最も良い方法は、beachmolluscさんの御指摘どおり、しっかりした生態調査を行なうことでしょう。
 できれば、国の力で、そのような調査をして欲しいですね。

Posted by beachmollusc at 2009年3月22日 09:03

たびたびうるさいことを書き込んですみませんでした。気になることを放置できない性分ですので、お許しください。と言ったそばから、追加ですが、「国の力」という言葉に引っかかりました。

環境省などが行政上の資料収集・事業展開のために行う環境調査の下請け(予算が乏しい自然環境分野ではコンサルでなく、手弁当で働く半分ボランティア状態の大学の研究室に依頼が来ることが多いのです)をたびたびやっていた経験から言えば、行政が求める調査では、本来の目的が違いますから、基礎研究となるべき、しっかりした研究を期待することは難しいでしょう。

独立した研究者の自主的な努力の積み重ねがもっとも重要なことです。しかし、そのような分野には資金が注入されません。

問題は一般市民の無関心であり、何か具体的に不都合がないと行政が動かないこと、そして動き出すときは悪者を造ってしまって、それにあわせたマスコミを使ったキャンペーンをやることなどの結果で、ゆがんでしまいやすいと思います。

Posted by 松沢 千鶴 at 2009年3月27日 15:46

 お返事ありがとうございます > beachmolluscさん。


 「国の力」と書いたのは、「企業ではない公共の力」という意味でした。誤解しやすい表現で、申し訳ありません。


 本当は、一般市民によって、豊富な資金が、自然環境の分野に注入されるのが、理想でしょう。beachmolluscさんがおっしゃるとおりです。
 「普通の人々が、少しでも自然環境に関心を持ってくだされば」という思いで、このブログを書いております。
 おこがましいことですが、このブログが「貧者の一灯」になれれば、幸いです。

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