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2008年6月 6日

源氏物語のヒロインも嘆く? ムラサキの運命

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 2008年は、『源氏物語』千年紀とされています。少なくとも1008年には、『源氏物語』が、日本で読まれていました。みやびやかな平安時代を、表わす物語ですね。
 『源氏物語』には、おおぜいの女性が登場します。中で、主なヒロインといえるのは、「紫の上」でしょう。高貴な色とされる「紫」の印象を、よく生かした女性です。
 紫色は、本来、ムラサキという植物で染めた色です。ムラサキは、日本土着の草です。根から、紫色の染料が取れます。根の外皮が、濃い紫色をしています。
 ムラサキの花は、紫色ではありません。白です。花は、小さく、目立ちません。葉や茎にも、目立つ特徴はありません。一見、「ただの雑草」にしか、見えないでしょう。
 けれども、ムラサキは、日本文化に、大きく貢献してきました。万葉時代から、染料や薬に用いられています。そのために、古くから栽培されています。
 ムラサキがなければ、『万葉集』の額田王【ぬかたのおおきみ】などの名歌は、生まれませんでした。『源氏物語』も、今ほどの傑作には、ならなかったのではないでしょうか。天皇家の文化も、違うものになったでしょう。宮廷では、紫が、最高位の色ですから。
 ところが、現在、ムラサキは、絶滅寸前です。ムラサキが生える環境が、破壊されてしまったからです。人工的に、ムラサキを増やす努力は、されています。が、うまく行っていません。伝統の染めものに使う分さえ、事欠くありさまです。
 ムラサキの栽培は、とても難しいのですね。ゆえに、現在では、ムラサキと似た別の種が、栽培されることが多いです。どれも、外国から移入された種です。
 よく栽培されるのは、ヨーロッパに分布するセイヨウムラサキです。日本のムラサキと同じ、ムラサキ科ムラサキ属の種です。他に、中国大陸の種が、栽培されることもあります。ムラサキ科アルネビア属の種(中国語で、新彊紫草という種など)や、ムラサキ科オノスマ属の種(中国語で、西蔵紫草という種など)です。
 伝統を維持するのに、外国の植物に頼らなければならないとは、情けないですね。「自然の環境を破壊すると、つけが大きい」という見本でしょう。


 過去の記事でも、『万葉集』に登場する植物や、平安時代に利用された植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 可憐【かれん】なだけでは生きていけない、カタクリ(2008/03/24)
 ツユクサの青は、染めものに使える?(2007/08/29)
 「端午の節句に欠かせない菖蒲(ショウブ)(2006/04/21)
 ハギという植物はない?(2005/09/27)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、ムラサキが掲載されています。
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