2009年2月 9日
種の壁を越える愛、ナベヅルとクロヅル
もうじき、バレンタインデーですね。「この機会に想いを告白!」という方もいるでしょうか。今回は、そういう方に勇気を贈る話をしましょう。
生き物の世界では、普通、種の違うもの同士は結ばれません。種が違えば、暮らし方が違うからです。結ばれようがないのでしょう。
ところが、ごくまれに、種が違うもの同士が結ばれることがあります。人間が、無理やりそうさせたのではありません。自然にそうなった例が観察されています。
話の主役は、ナベヅル(鍋鶴)とクロヅル(黒鶴)です。どちらもツルの一種です。
ナベヅルは、冬、日本にたくさん飛来します。特に、鹿児島県の出水市【いずみし】には、多く来ます。なんと、八千羽ほどのナベヅルが、毎年、ここで冬を越します。
クロヅルも、冬、日本にやってきます。こちらは、少数しか来ません。ただし、世界的には、そんなに少ないツルではありません。ユーラシア大陸に、広く分布します。
一九七〇年頃、出水市で、ナベヅルとクロヅルのつがい(夫婦)が観察されました。ナベヅルの雌(メス)と、クロヅルの雄(オス)です。
つがいの間には、雄の子どもがいました。ナベヅルとクロヅルの混血ですね。この「ハーフくん」は、ナベクロヅルと名づけられました。
違う種の間に生まれても、ナベクロヅルは、ちゃんと成体になりました。つがいの相手もできました。お嫁さんは、ナベヅルの雌です。この二羽の間にも、子どもができました。毎年、その年に生まれた幼鳥を連れて、日本に来ているそうです。
別種の間に生まれた子には、繁殖能力がないことが多いです。けれども、ナベクロヅルは、まったく問題がないようです。他のツルと同じように、家族を作っています。
ナベクロヅルは、他にも、何羽か観察されています。ナベヅルとクロヅルのつがいが、無事に暮らしている証拠でしょう。種の壁を越えて、愛をはぐくんでいます。
ヒト同士のカップルならば、種の壁はありませんね。ほとんどの障害は、思い込みによるものではないでしょうか。カップルの仲の良さは、ツルを見習いたいですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、ナベヅルが掲載されています。
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過去の記事でも、ツルや、ツルと紛らわしいコウノトリを取り上げています。また、バレンタインデーにちなんだ生き物の話題もあります。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
八十年越しの純愛? アオキ(青木)(2008/02/04)
鶴(ツル)の舞は何のため?(2006/01/03)
コウノトリとツルの違い(2005/10/04)
などです。
松沢千鶴
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