2009年10月 7日
日本のろうそくを灯すのは、ハゼノキ?
北国や山国からは、紅葉の便りが聞かれる頃ですね。日本は、多様な紅葉が見られる国です。桜紅葉【さくらもみじ】、蔦紅葉【つたもみじ】、櫨紅葉【はぜもみじ】など、特定の種の紅葉を表わす言葉があるほどです。
櫨紅葉の櫨【はぜ】とは、ハゼノキを指します。ハゼノキは、わざわざこんな言葉が作られたほど、美しく紅葉します。日本の秋を代表する樹木の一種です。
ところが、ハゼノキは、日本の本州には、もとは、なかったようです。南西諸島には、昔からありました。けれども、本州に来たのは、桃山時代か、江戸時代といわれます。
このように書くと、古典文学に詳しい方は、「そんなはずはない」とおっしゃるでしょう。万葉集に、波自【はじ】という言葉―ハゼノキの古名―があるからです。
じつは、古代日本で、「はじ」と呼ばれたのは、現在のハゼノキではありません。現在の種名では、ヤマハゼという種か、ヤマウルシという種だったとされます。古代には、この二種をまとめて、「はじ」と呼んだようです。この二種も、美しく紅葉します。
ハゼノキには、リュウキュウハゼという別名があります。琉球【りゅうきゅう】王国―南西諸島にあった国―から、日本の内地に入れられたためです。
ハゼノキは、果実から脂肪を取るために、日本の各地に持ち込まれました。ハゼノキの脂肪は、木蝋【もくろう】と呼ばれます。木蝋は、さまざまな用途にされます。
例えば、日本の伝統的な和蝋燭【わろうそく】は、この木蝋から作られます。ハゼノキが入る前、和蝋燭は、ウルシの果実の木蝋から作られていました。どちらにせよ、和蝋燭の蝋【ろう】は、植物性です。植物性の蝋燭は、煤【すす】が少ないといわれます。
近年、普通に売っている蝋燭は、石油パラフィンから作られています。つまり、鉱物性です。このような蝋燭は、煤【すす】が多く出ます。
「蝋燭を点けると、喉【のど】がいがらっぽい」という方が、いませんか? それは、たいてい、煤のせいです。伝統的な和蝋燭なら、煤が少ないので、喉に優しいはずです。一度、ハゼノキ製の和蝋燭を、試してみてはいかがでしょうか。
図鑑↓↓↓↓↓には、ハゼノキが掲載されています。また、古代に「はじ」と呼ばれたヤマウルシも載っています。
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過去の記事でも、ハゼノキと同じように、紅葉や黄葉が美しい植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
アメリカ楓の木について(2007/11/22)
ツタ(蔦)は落葉する?しない?(2006/12/01)
街路樹は生きている化石、イチョウ(2005/11/21)
松沢千鶴
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