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2010年4月23日

万葉集の「むろのき」とは、ネズミサシ?

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 生き物の中には、複数の名前を持つものがありますね。一つしか名前がない生き物は、少ないです。国や地方により、違う名で呼ばれるのが、普通です。
 生物学の世界では、正式には、ラテン語の学名を使います。混乱を防ぐためです。学名については、「学名と標準和名とは、違う? 同じ?」(2009/08/07))を参照して下さい。
 中には、学名や標準和名が、決まっていないものもいます。困ったことですね。
 例えば、植物のネズミサシが、そうです。この植物は、標準和名(正式な日本語名)が、「ネズミサシ(鼠刺)」なのか「ネズ(杜松)」なのか、決まっていません。
 ネズとは、ネズミサシを省略した呼び名です。ネズミサシとは、面白い名ですね。これは、「葉をネズミ除けに使ったことから付いた」といわれます。ネズミサシの葉は、とげとげしく硬いです。害獣除けには、ちょうど良さそうです。
 ネズミサシには、方言名も多いです。「むろ」「むろのき」「もろ」などという名が、各地に伝わっています。「もろ」は、「むろ」のなまりでしょう。
 「むろ」という名は、起源が古いです。少なくとも奈良時代には、「むろのき」という名がありました。万葉集に「むろのき」を詠んだ歌が、いく首かあります。
 有名なのは、大伴旅人【おおとものたびと】の歌でしょう。彼は、鞆の浦【とものうら】―現在の広島県福山市にあります―で、二首の歌を詠んでいます。
 これらの歌によれば当時の鞆の浦には、大きな「むろのき」(ネズミサシ)が生えていたようです。歌に詠まれるほどですから、目立つ樹だったのでしょう。
 大伴旅人ははかない人の命と比べて、『むろの木は常世【とこよ】にあれど』と詠みました。しかし現在それらしいネズミサシは、鞆の浦にはありません。
 鞆の浦といえば、アニメ映画で有名になりましたね。『崖の上のポニョ』です。
 今鞆の浦は、景観論争で揺れています。樹木一本どころか、浦の景観全体を変える力を、現在の人間は持っています。それほどの力は、良い方向に使いたいものです。鞆の浦のシンボルとして、「むろのき」を植えるなどしてはいかがでしょうか。


図鑑↓↓↓↓↓には、ネズミサシ(ネズ)が載っています。
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ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、万葉集に登場する生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
日本のろうそくを灯すのは、ハゼノキ?(2009/10/07)
卯月【うづき】に咲くから、ウノハナ?(2009/05/15)
可憐な少女が鬼母に? ジガバチ(2008/05/09)
などです。

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