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2010年6月23日

ニワトコは、庭の薬箱?

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 ニワトコという樹木があります。日本の野山に野生する木です。古い家の庭や田舎の道端に、よく植えられています。都市の住宅街でも、見ることがあります。
 何のために、この木は、植えられるのでしょうか? 観賞用でしょうか?
 この木の花や果実は、なかなか美しいです。初夏に、白く細かい花を咲かせます。秋には、真っ赤な果実がみのります。観賞用という面はあるでしょう。
 けれども昔は、それ以上に、重視された面がありました。薬用です。
 この木の花や葉や樹皮などは、さまざまな薬にされました。医療が発達していない時代には、重宝だったのですね。庭などに植えておけば、薬箱の代わりになりました。
 日本のニワトコと同じく、ニワトコ属に属する木が、ヨーロッパにも分布します。セイヨウニワトコという種です。セイヨウニワトコも昔は、いろいろな薬にされたそうです。このため、かつてのセイヨウニワトコは、「田舎の薬箱」と呼ばれました。
 日本でもヨーロッパでも、田舎にニワトコ属の木が多いのは昔の名残です。
 ニワトコ属と人類との付き合いは古いです。日本では、縄文時代の遺跡から、ニワトコの果実が、大量に見つかったことがあります。
 ニワトコの果実は、美味しそうです。が、そのままでは食べられません。縄文人が、ニワトコの果実をどうしたのかはわかっていません。一説では、酒を造ったといいます。
 古事記や万葉集にも、ニワトコが登場します。それらの文献では、「やまたづ」と呼ばれています。今でも、紀伊半島の一部に、ニワトコを「やまたず」と呼ぶ地方があるそうです。他に、ニワトコを、「たず」「たずのき」などと呼ぶ地方もあります。
 古代の和歌で、「やまたづ」は、「迎へ【むかえ】」という言葉の前に付けられています。これは、ニワトコの葉が、常に一対ずつ向かい合わせで付くことから、このような表現になったと考えられています。古代の人は、よく植物を観察していたのでしょう。
 「やまたづ」が登場するのは、どれも、「愛しい人を迎えに行こう」という意味の歌です。古代の人は、地味な木の葉にも想いを込めたようですね。


図鑑↓↓↓↓↓には、ニワトコが載っています。
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ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、古事記や万葉集に登場する樹木を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
万葉集の「むろのき」とは、ネズミサシ?(2010/04/23)
アカメガシワの芽は、なぜ赤い?(2010/04/12)
卯月【うづき】に咲くから、ウノハナ?(2009/05/15)
などです。

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