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2012年11月23日

灰から錦【にしき】? ハイノキの仲間

 植物は、人間の生活に、いろいろな面で役立っています。食べ物になりますし、薬になりますし、繊維を取って、布や紙を作ることもありますね。中には、現代人の生活からは、縁遠くなってしまった用途もあります。
 今回は、そんな植物の例を挙げてみましょう。ハイノキの仲間です。
 ハイノキは、日本の近畿地方以西、屋久島以北に自生する木です。常緑樹です。春に、白い小さな花を咲かせます。秋に、黒い果実が付きます。
 ハイノキという名は、「灰の木」に由来します。この木を焼いた灰を、人間が利用したために、こんな名が付きました。灰の利用方法なんて、現代の普通の日本人には、あまり思いつきませんね。いったい、何に使ったのでしょうか?
 灰は、染め物に利用されました。布を染める時に使ったのです。といっても、この灰は、染料ではありません。媒染剤【ばいせんざい】といって、染料と一緒に使うものです。媒染剤により、染料の色がきれいに発色したり、色がうまく定着したりします。
 ハイノキと同じ、ハイノキ科ハイノキ属の種には、媒染剤や、染料に使われたものが多いです。例えば、サワフタギという種も、灰を媒染剤にします。
 サワフタギも、日本に自生する木です。北海道から九州まで分布します。初夏に、白い花を咲かせます。秋には、美しい瑠璃色【るりいろ】の果実がみのります。
 サワフタギの媒染剤は、紫染めに用いられました。ムラサキという草の根で、紫色に染める技術です。本物のムラサキを使った紫染めは、昔も今も、希少な高級品です。
 このために、サワフタギには、ニシゴリという別名があります。ニシゴリを漢字で書けば、「錦織」です。錦【にしき】を染めるのに使ったからでしょう。
 ハイノキ科の木の灰が、媒染剤にされる理由は、アルミニウムが多いからだそうです。染料には、アルミニウムイオンと反応して、発色するものがあります。昔の人には、こんな理屈はわかっていなかったはずですが、経験的に、知っていました。
 理屈がわかっても、灰から錦ができるとは意外です。自然の仕組みは面白いですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、ハイノキとサワフタギが掲載されています。
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過去の記事でも、染料などに利用される生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
万葉時代のハイカラ植物? ケイトウ(2010/08/20)
キブシ、キフジ、どちらが本当?(2009/02/27)
源氏物語のヒロインも嘆く? ムラサキの運命(2008/06/06)
ツユクサの青は、染めものに使える?(2007/08/29)
などです。

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