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2017年2月10日

ダチョウは、昔、空を飛べた?

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 鳥と言えば、普通は、空を飛ぶものですね。けれども、中には、飛べない鳥もいます。有名なのは、ダチョウ、エミュー、レア、ヒクイドリなど、大型で飛べない鳥たちですね。これらの鳥たちは、まとめて走鳥類、あるいは、古顎類と呼ばれます。
 古顎類(走鳥類)の分布を調べると、あることに気づきます。現生のすべての古顎類は、南半球にだけ分布します。ダチョウはアフリカに、エミューはオーストラリアに、レアは南米に、ヒクイドリはニューギニアに、といった具合です。
 古顎類には、歴史的に、つい最近、絶滅した仲間もいます。例えば、マダガスカルには、エピオルニスという巨大な飛べない鳥がいました。ニュージーランドには、モアという、やはり飛べない鳥がいました。モア科には、大小、十種以上の種が含まれます。
 このように、古顎類の分布が南半球に限られることから、古顎類は、南半球で進化した鳥たちだと考えられてきました。かつて、南半球にあった巨大大陸ゴンドワナで、早くから飛ぶ力を失った鳥として発生し、進化したのだろうとされてきました。
 ところが、二〇一六年に、この推定を覆す研究結果が、発表されました。古顎類が発生したのは、南半球ではなく、北半球だというのです。しかも、彼らは、飛べました。新生代の初め頃にいた、リトルニスという鳥が、古顎類の原型に近いとわかってきました。
 リトルニスは、現代では、とっくに絶滅しています。とはいえ、多数の化石が見つかっており、空を飛べたことは、間違いありません。リトルニスは、現代の北米やヨーロッパに当たる地域にいました。それらの地域から、世界中に、分布を広げたようです。
 リトルニス(に近縁な古顎類の祖先)は、北半球から、南半球の大陸へ進出してゆきました。当時の古顎類の祖先は、空を飛べましたから、マダガスカルやニュージーランドのように、大陸から離れた島へも、行き着くことができました。
 その後、北半球の古顎類は、絶滅しました。原因は、わかっていません。南半球に渡った仲間たちは、栄えました。進化し、数を増やしてゆく過程で、とても大きくなる種も、現われました。古顎類には、大きくなり過ぎて、飛ぶことを放棄した種が多いです。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、古顎類(走鳥類)は載っていません。かわりに、日本に分布する鳥類が、二百種以上掲載されています。
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 過去の記事でも、飛べない鳥を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
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2017年2月 6日

ヒマラヤの青いケシは、どこに生える?

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 「ヒマラヤの青いケシ」を御存知でしょうか? ケシ科メコノプシス属に属する植物たちです。このグループには、二〇一七年現在で、五十種以上もの種が属するとされます。
 メコノプシス属のどの種にも、正式な日本語名(標準和名)が、付いていません、日本に自生する種が、一種もないからです。呼び名のとおり、ヒマラヤ山脈近くに分布する種が多いです。インド、チベット、ネパール、ブータン、中国南西部などに分布します。
 日本では、一九九〇年に、大阪で開かれた、国際花と緑の博覧会をきっかけに、有名になりました。この博覧会で、「ヒマラヤの青いケシ」が、大きく取り上げられました。
 青いケシと呼ばれても、メコノプシス属のすべての種に、青い花が咲くわけではありません。赤、ピンク、黄色などの花が咲く種もあります。とはいえ、全体的には、青い花が咲く種が多いです。ヒマラヤなどの高山では、青い花が、いっそう美しく見えます。
 一九九〇年の国際花と緑の博覧会では、ブータンの国花として、メコノプシス属の一種が紹介されました。その種にも、日本語名がありません。ラテン語の学名で、Meconopsis horridula【メコノプシス・ホリドゥラ】という種です。
 ところが、ブータンの国花とされるのは、この一種だけではないようです。Meconopsis grandis【メコノプシス・グランディス】という種も、ブータンの国花と紹介されることがあります。どちらの種も、ヒマラヤの高山地帯で、見事な青い花を咲かせます。
 こうなっているのは、メコノプシス属の分類が、いまだに流動的だからでしょう。この属の多くの種は、ヒトが行くのが難しい、高山に自生します。このために、研究が難しいのですね。新種が発見されたり、別の種だとされたものが、同種だとわかったりします。
 二〇一六年には、ブータンで、三種が発見されています。ラテン語の学名で、Meconopsis elongata【メコノプシス・エロンガタ】、Meconopsis gakyidiana【メコノプシス・ガキディアナ】、Meconopsis merakensis【メコノプシス・メラケンシス】という三種です。
 これら三種は、ともに、標高四千メートルほどの山岳地帯で発見されました。青いケシの名にふさわしく、三種ともに、青から紫色の、美しい花を咲かせます。
図鑑↓↓↓↓↓には、
残念ながら、ヒマラヤの青いケシは載っていません。かわりに、日本に分布するケシ科の植物が、七種ほどが掲載されています。



 過去の記事でも、ケシ科の植物を取り上げています。また、高山に自生する植物を、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヒナゲシの英語名は、ポピーpoppyか?(2016/5/2)
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2017年2月 3日

絶滅危機の理由は? ゴマシジミ

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 日本に分布するチョウ(蝶)の一種に、ゴマシジミがいます。シジミチョウ科ゴマシジミ属に属します。この種は、とても分布域が広く、日本国外にも分布します。朝鮮半島、中国から、中央アジアを経て、ヨーロッパ中央部に至るまでが、分布域です。
 こんなに分布が広いなら、ちょっとやそっとでは、絶滅しそうにないと感じますね? ところが、現在の日本では、ゴマシジミの数が、非常に減っています。すでに、絶滅した地域もあります。以前から、ゴマシジミの分布には、不思議な点がありました。
 それは、分布域が、不自然に不連続なことです。例えば、北海道から九州にまで分布するのに、四国には、いません。また、東北地方日本海側の秋田県・山形県では、近年まで見られましたが、二〇一七年現在では、絶滅したと考えられています。
 大都市圏ならともかく、四国や東北地方のように、比較的、自然が残る地域で見られないのは、謎でした。二〇一六年に、この謎を解く研究結果が、公表されました。
 謎を解く鍵は、ゴマシジミの幼虫の、特異な食性にありました。
 ゴマシジミの幼虫は、成育する地域により、食べ物が違います。多くの地域では、ワレモコウという植物を食べます。けれども、それは、三齢幼虫までです。その後は、アリ(蟻)の仲間、クシケアリ属の幼虫を食べます。植物食から動物食へ、大転換ですね。
 クシケアリ属のアリも、多くのアリと同じように、土の中に巣を作ります。たくさんの兵隊アリが、巣を守ります。そんな所へ、何の武器もなさそうな幼虫が、どうやって入るのでしょうか? 驚くことに、アリ自身が、ゴマシジミの幼虫を、巣に運び入れます。
 なぜ、クシケアリ属のアリたちは、そんなことをするのでしょうか? ゴマシジミの幼虫は、体から、甘い蜜を分泌します。これが、アリの大好物なのですね。アリたちは、ゴマシジミの幼虫を、敵だと認識できないようです。
 ゴマシジミの幼虫が育つには、ワレモコウと、クシケアリ属のアリと、両方が必要です。クシケアリ属のアリが減った地域では、ゴマシジミも、減ってしまいます。そういう地域が、日本各地にあるために、不自然な分布になったと考えられます。
図鑑↓↓↓↓↓には、
残念ながら、ゴマシジミは載っていません。かわりに、日本に分布するシジミチョウ科のチョウや、アリの仲間が、十種以上が掲載されています。



 過去の記事でも、チョウやアリの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
花に来ないチョウがいる?(2015/5/4)
都会派のチョウ? ヤマトシジミ(2014/2/24)
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