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2017年2月14日

春は、花粉と小笠原から?

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 寒い日々が続きますね。でも、春は、もうそんなに遠くありません。今回は、ひと足早く、春を感じるイベントを紹介しましょう。国立科学博物館の、二つの企画展です。
 一つは、「花粉と花粉症の科学」です。せっかくの春でも、花粉症のために憂鬱【ゆううつ】という方も、いらっしゃるでしょう。スギ花粉症は、今や、日本の国民病といわれるほどですね。このために、「花粉」全体の印象が、悪くなってしまいました。
 本来、花粉は、ヒトにとって害になるものではありません。植物にとって、繁殖に必要な、大切なものです。花粉は、ヒトにも役に立っています。じつは、大昔から、ヒトは、花粉を食べています。蜂蜜の中に、花粉が混ざっているからです。
 近年では、花粉は、サプリメントに使われることもあります。花粉は、とても栄養バランスが良く、完全栄養食に近いからです。また、一部の植物の花粉は、薬にも使われます。例えば、ガマの花粉が、火傷に効くことは、昔から知られています。
 企画展の会場では、この他にも、花粉について、いろいろ知ることができます。
 もう一つの企画展は、「小笠原国立公園」です。東京都内にあるにもかかわらず、亜熱帯の島々ですね。真冬でも、春のようです。ここの貴重な自然を、紹介しています。
 小笠原では、ザトウクジラのホエールウォッチングが、著名な観光資源になっていますね。会場では、ザトウクジラの「ひげ」に、触ることができます。ザトウクジラの口の中に生えている「クジラひげ」です。これを使って、クジラは餌を取ります。
 ザトウクジラ以外にも、小笠原には、希少な生き物が、たくさんいます。とりわけ、小さな昆虫や無脊椎動物に、固有種が多いです。固有種にとっては、世界中で小笠原諸島だけが、すみかです。中には、野生で一株しか確認されていない植物もあります。
 固有種だけが、大事なわけではありません。本土と同じ種がいる場合でも、小笠原の個体群が、本土の同種の個体群とは、違う習性を持つことがあります。
 それは、小笠原諸島という、特殊な環境に適応した結果だと考えられます。日本が誇る小笠原の自然は、こういった種も含めて、構成されています。


 企画展「花粉と花粉症の科学」と、「小笠原国立公園」との情報は、以下のページにあります。
花粉と花粉症の科学(国立科学博物館の公式サイト内ページ)
小笠原国立公園(国立科学博物館の公式サイト内ページ) ※注:直接、pdfファイルにつながります。

図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する植物が、八百種ほど、また、小笠原諸島に分布する動植物も、十種以上
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 過去の記事でも、花粉について取り上げています。また、小笠原の生物についても、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
交流は限定的? 小笠原諸島の鳥たち(2016/5/6)
再来なるか? ニシノシマホウキガニ(2015/7/10)
いろいろと役立ちます、ガマ(蒲)(2012/8/24)
小笠原諸島のトカゲたち(2011/9/26)
ユリの仲間は、チョウと仲良し?(2011/8/5)





2016年9月25日

日本の自然を世界に開いたシーボルト

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 シーボルトの名は、おそらく、ほとんどの方が、聞いたことがあるでしょう。江戸時代に、二度にわたって来日した、ドイツの人ですね。
 当時、ヨーロッパの国で、日本と交易していたのは、オランダだけでした。このため、シーボルトはドイツ人ですが、オランダ商館の一員として、日本に来ました。
 シーボルトには、とても多くの功績があります。その中に、日本の動植物の標本を、大量に収集し、研究したことが挙げられます。シーボルトがいなければ、日本の動植物の研究は、今より、何十年も遅れていたかも知れません。
 そのシーボルトが、実際に集めた動植物の標本を、今、国立科学博物館で、見ることができます。「日本の自然を世界に開いたシーボルト」という企画展の会場に、展示されています。シーボルト没後も、標本は、ヨーロッパで、大切に保管されていました。
 シーボルトの標本は、今でも、動物学や植物学の役に立っています。例えば、現在では絶滅したとされる、ニホンカワウソの標本を、シーボルトは収集しています。ニホンカワウソを研究する手がかりは、もはや、そのような標本しかありません。
 動物や植物に詳しい方なら、ラテン語の学名を調べていて、気がついたことはありませんか? 特に、日本の植物の場合、ラテン語の学名の後ろに、「Siebold【シーボルト】」や、「Siebold & Zuccarini【シーボルト&ツッカリーニ】」と付くものが、多いです。
 例えば、タマアジサイという植物は、ラテン語の学名Hydrangea involucrataの後ろに、Sieboldと付きます。日本のクリ(栗)は、ラテン語の学名Castanea crenataの後ろに、Siebold & Zuccariniと付きます。
 Zuccariniとは、シーボルトと一緒に日本の植物を研究した、ドイツの植物学者ツッカリーニを指します。ラテン語の学名の後ろに、人名が付くのは、その学名を命名した人を示します。シーボルトとツッカリーニが、いかに多くの植物を命名したか、わかります。
 企画展の会場では、最近になって、シーボルトの標本を調べて、新たにわかったことも、紹介されています。没後150年経っても、彼の功績は、輝き続けています。

図鑑↓↓↓↓↓には、シーボルトが研究した日本の動植物が、千八百種ほどが掲載されています。
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 企画展「日本の自然を世界に開いたシーボルト」の情報は、以下のページにあります。
日本の自然を世界に開いたシーボルト(国立科学博物館の公式サイト内ページ)


 過去の記事でも、現在、開催中の、生物に関するイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ウルトラ植物博覧会2016(2016/8/17)
格好いい海のハンターたち(2016/7/12)

2016年8月25日

「動く野鳥コレクション」好評発売中!!

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世界最大、世界で唯一の動画型カードコレクションアプリが本日発売されました。


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「動く野鳥コレクション」がApp Storeのエンターテイメントカテゴリにて「ベスト新着アプリ」としてご紹介いただいております!!

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詳しい動画はこちら!




大変珍しい種、例えば日本に1度しか観察記録がない『アメリカキヅタムシクイ」、希少種「ヤツガシラ」、みんな大好き「カワセミ」、美しい国の天然記念物「タンチョウ」などなど344種、500動画が見られます。
日本語、英語、中国語版が用意されています。

世界初のこのアプリをどうぞお楽しみください。
アプリ名「動く野鳥コレクション」

APP
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●ダウンロードはこちらから


動く野鳥コレクション

※現在は、iOS版のみのリリースとなっております。(Android版も近日公開予定です。)

2016年8月24日

「動く野鳥コレクション」好評発売中!!

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2016年8月23日

動く野鳥コレクション アプリ紹介動画を公開しました。

先日発売させていただいた、究極の動画野鳥アプリ
「動く野鳥コレクション」
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圧倒的なオリジナル動画
ナレッジリンクが保有する真木広造氏の野鳥動画並びに佐藤信行氏の撮影協力により、
非常に珍しい野鳥の生態や希少な野鳥達の動画を344種、500動画を一気に搭載しております。

詳しい動画はこちら!




「動く野鳥コレクション」がApp Storeのエンターテイメントカテゴリにて「ベスト新着アプリ」としてご紹介いただいております!!
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ありがとうございます!!!!

野鳥好きな人はもちろん、日々の喧噪の中でちょっとした心の癒しを求めている方、「最近鳥の声なんてゆっくり聞いていないなー」という自然の声を求めている方、また、家に帰ると居場所がなくて肩身が狭いよー、と思っている方。会社でいつも慌ただしい毎日を過ごされている方。


癒されますよー。ぜひともダウンロードしてみてください。


そして、ぜひ追加パックを購入してくださいませ。無料で入手できるカードも全部で40枚ほどありますが、そんなレベルではこのアプリは堪能できません!!


最低でも10パック、できればもちろん全100パック購入いただき、この奥深い野鳥の世界を堪能いただければと思います。


APP
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動く野鳥コレクション
※現在は、iOS版のみのリリースとなっております。(Android版も近日公開予定です。)


鳥コレ公式Twitter:@BirdsCollection もよろしくお願いします!

2016年8月22日

動く野鳥コレクション ベスト新着にて紹介中!

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2016年8月18日

「動く野鳥コレクション」2016年8月18日発売!!

世界最大、世界で唯一の動画型カードコレクションアプリが本日発売されました。

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多数の野鳥がたくさん見られる日本は、野鳥好きの方々にとって最高のフィールドではないでしょうか。このアプリは、野鳥ムービーがカードになっていて手軽に見ていただけます。合計741枚のカードうち動画カードが501枚です。

大変珍しい種、例えば日本に1度しか観察記録がない『アメリカキヅタムシクイ」、希少種「ヤツガシラ」、みんな大好き「カワセミ」、美しい国の天然記念物「タンチョウ」などなど344種の野鳥が見られます。

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2016年8月17日

ウルトラ植物博覧会2016

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 東京は銀座のポーラミュージアムアネックスで、面白い展覧会が開かれています。「ウルトラ植物博覧会2016」です。生きている植物の展覧会です。
 昨年(二〇一五年)も、同じ会場で、「ウルトラ植物博覧会」が開かれました。それに続く第二弾です。昨年より、展示の仕方が工夫されていました。とてもおしゃれな空間に、風変わりな植物たちが、展示されています。
 展示されているのは、日本本土では、めったに見られない種がほとんどです。例外的に、イチョウなどもありますが、それも、変わった姿のイチョウです。
 バオバブの木がありました。『星の王子さま』に登場することで、知られる木ですね。バオバブの仲間は、マダガスカルと、アフリカと、オーストラリアにしか、自生しません。日本では、植物園でも、なかなか見られない木です。
 室内で展示できる程度の大きさですから、野生の大樹とは、比べものになりません。それでも、幹が太い独特の姿をしていて、風格があります。
 ある程度以上、年齢の行った方であれば、ノコギリヤシというヤシの一種が、気になるかも知れません。サプリメントの原料になる木です。サプリで聞いたことがあっても、ノコギリヤシの実物を見る機会は、少ないでしょう。日本に自生しないからです。
 私は、ライオン錦【にしき】というサボテンの一種が、気に入りました。茶色い棘と白い毛とが、ふさふさと生えるサボテンです。写真で見ると、なぜ、これが「ライオン」なのか、さっぱりわかりません。けれども、実物を見ると、納得します。
 棘と毛とが渦巻くように生える様子が、ライオンのたてがみを思わせます。かなり大きいサボテンということもあって、迫力があります。
 他にも、例えば、ラテン語の学名をDicksonia antarcticaという、シダの一種があります。恐竜が現われるよりずっと前に栄えた、木性シダの末裔です。オーストラリアに自生します。厳重に保護されているため、日本国内で見られるのは、まれなことです。
 今なら、こういった珍しい植物たちに、銀座で会うことができます。
 「ウルトラ植物博覧会2016」に関する情報は、以下のページにあります。
ウルトラ植物博覧会2016(ポーラミュージアムアネックスの公式サイト内ページ)

図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する植物が、八〇〇種以上掲載されています。
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 過去の記事でも、現在、開催中の生き物に関するイベントを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
大昆虫展 in 東京スカイツリータウン(2016/8/2)
驚異の深海生物がいっぱい!(2016/7/19)
格好いい海のハンターたち(2016/7/12)

2016年8月 2日

大昆虫展 in 東京スカイツリータウン

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 東京スカイツリーのおひざもと、ソラマチで、大昆虫展が開かれています。早速、行ってまいりました。素晴らしい昆虫標本が、たくさんありました。
 お子さん向けの企画だと思いますが、良い意味で、手を抜いていません。興味深い昆虫標本が多く、大人の鑑賞にもたえます。世界一、長い昆虫(ナナフシの一種)や、世界一、重い昆虫(ゴライアスオオツノハナムグリ)の実物標本が、見られます。
 世界一、長いナナフシなどは、長過ぎて、普通の状態では、標本箱に入りきれません。斜めに入れられています。ぜひ、その大きさを体感して下さい。
 ゴライアスオオツノハナムグリは、翅【はね】を広げて、飛んでいる状態の標本もあります。こんな大きな昆虫が、空を飛べるのかと、驚きます。
 この展覧会では、標本の展示の仕方が、面白いです。例えば、熱帯産の巨大なナナフシと、同じく熱帯に棲む爬虫類、トビトカゲとを、並べて展示しています。類縁が遠く離れた動物同士ながら、同じように、熱帯雨林の樹上に棲む、という共通点があります。
 並べて見ると、なんと、トビトカゲより、ナナフシのほうが大きいんですね。熱帯の昆虫が、いかに多様で、栄えているかが、わかります。
 会場の解説パネルには、さまざまな解説文が書かれています。この文章が、お子さんが読むには、難しいです。漢字にふりがなも付いていません。でも、大人が文章を読んで、説明してあげれば、お子さんにも、わかるでしょう。
 読まずにいるには、あまりにも、もったいない解説です。大人が読んでも、「へえ~」と思うことが、書かれています。お子さんと一緒に行った方は、ぜひとも、一緒に解説文を読んで、お子さんに説明してあげて下さい。
 会場には、生きた昆虫も、たくさんいます。有名なヘラクレスオオカブト、アトラスオオカブト、ニジイロクワガタ、ギラファノコギリクワガタなどに会えます。
 日本のカブトムシも、います。日本のカブトムシには、触って遊べるコーナーもあります。都会では、こういう経験がなかなかできませんから、貴重な機会ですね。

 「大昆虫展 in 東京スカイツリータウン」に関する情報は、以下のページにあります。
大昆虫展 in 東京スカイツリータウン 公式サイト

図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する昆虫が、四百種ほど掲載されています。
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 過去の記事でも、現在、開催中の生き物のイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
驚異の深海生物がいっぱい!(2016/7/19)
格好いい海のハンターたち(2016/7/12)
江戸の博物学(2016/7/2)



2016年7月19日

驚異の深海生物がいっぱい!

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 千葉県立中央博物館で、面白い展覧会が開かれています。「驚異の深海生物―新たなる"深"世界へ―」です。早速、行ってまいりました。とても興味深い展覧会でした。
 この展覧会では、何と言っても、実物の深海生物の標本が、たくさん見られることが、すごいです。深海関係の展覧会でも、ここまで多くの実物標本が展示されるのは、めったにありません。種としても、数が少なく、変わった姿のものが来ています。
 変わった姿の深海魚と言えば、タウマティクティスが、横綱級です。タウマティクティスとは、ラテン語の学名Thaumatichthysを、そのまま読んだ名です。奇想天外な姿のために、ビックリアンコウという日本語名も付いています。
 タウマティクティス(ビックリアンコウ)は、下顎【あご】より、上顎のほうが長いです。下顎からはみ出た上顎の部分に、発光器が付いています。この発光器で、獲物をおびき寄せるのではないかといわれます。生きた姿を見た人は、誰もいないので、本当の生態は、わかっていません。標本ですら、一般公開されるのは、まれなことです。
 魚類以外の深海生物も、充実しています。例えば、ヤドカリの仲間のキンチャクヤドカリという種がいます。普通のヤドカリは、貝類の殻を借りて、宿にしますね。ところが、キンチャクヤドカリは、イソギンチャクを宿にします。
 イソギンチャクには、骨がないため、柔らかいです。キンチャクヤドカリは、そのようなイソギンチャクを背負って、脚でぐぐーっと引っ張り上げます。ちょうど、ヒトがパンツをはくような状態で、ヤドカリの腹部に、イソギンチャクをはきます。
 こんな不思議な生態の生物たちに、会ってみたいですよね? 会場には、このような深海生物たち(の実物標本)が、まだまだ、たくさんいます。巨大な口のフクロウナギ、巨大な胃袋のオニボウズギス、鉄の鎧【よろい】を持つウロコフネタマガイ(スケイリーフット)、世界最深の深海の底に棲むカイコウオオソコエビなどです。
 甲殻類のタナイス目【もく】で最大の種、エンマノタナイスもいます。深海生物がお好きなら、このような地味な種も、お見逃しありませんように。

図鑑↓↓↓↓↓には、キアンコウ、ズワイガニ、タラバガニなど掲載されています。
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 「驚異の深海生物」展の情報は、以下のページにあります。
驚異の深海生物―新たなる"深"世界へ―(千葉県立中央博物館の公式サイト内ページ)
 過去の記事でも、現在開催中の生物関係のイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
格好いい海のハンターたち(2016/7/12)
江戸の博物学(2016/7/2)

2016年7月12日

格好いい海のハンターたち

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 国立科学博物館で、「海のハンター展」という展覧会が開かれています。海のハンター、つまり、捕食動物たちを紹介する展覧会です。早速、行ってまいりました。
 最初に、古代の海のハンターたちが紹介されています。ここでは、脊椎動物の顎【あご】の進化について、解説されています。ぜひ、この解説パネルをお読み下さい。私たち脊椎動物にとって、顎の獲得が、いかに画期的なことだったか、わかります。
 古代の次は、現代の海に棲むハンターたちが現われます。深海、極域、外洋、浅海と、四つの生息域ごとに、紹介されています。
 深海には、「これって、本当に魚なの?」と訊きたくなる、奇妙な姿の深海魚がいます。その姿は、暗く、冷たく、食べ物の乏しい深海に適応したものです。奇妙に見えても、その姿は、深海で獲物を捕え、生きるのに、都合が良い姿です。
 極域は、とてつもない寒さが、生き物を苦しめます。そんな中でも、例えばペンギンなどは、氷山の浮かぶ海に潜って、獲物を捕えています。会場では、ペンギンに小型カメラを背負ってもらって、撮影した映像を見ることができます。
 外洋は、高速で泳ぐ魚が多い世界です。外洋には、身を隠すものがないため、敵から逃れるには、速く泳ぐしかありません。そういった獲物を捕えるには、ハンターたちは、もっと速く泳がなければなりません。クロマグロなどが、高速で泳ぐ理由です。
 浅海は、私たちヒトに馴染み深い世界ですね。ここでは、マダイ、サワラ、ヒラメ、アナゴなど、食卓によくのぼる魚たちが、紹介されています。ヒトが食べるこれらの魚たちも、海中では、貪欲なハンターなのですね。
 全体を通して、最も多く展示されているのは、サメ類です。サメ類は、四億年以上も前に、地球に現われました。それ以来、絶滅の危機を乗り越えて、捕食者として進化してきました。このために、海のあらゆる領域で、多様なハンターになっています。
 会場では、サメたちの、ハンターとして研ぎ澄まされた能力が、紹介されています。格好いいです。サメが好きな方にとっては、天国のような展覧会です(笑)
図鑑↓↓↓↓↓には、日本近海に棲むサメ類など、海のハンターが何種も掲載されています。
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 海のハンター展については、以下のページに情報があります。
海のハンター展 公式サイト


 過去の記事でも、現在、開催中の、生物に関する展覧会を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
江戸の博物学(2016/7/2)

2016年7月 2日

江戸の博物学

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 うっとうしい梅雨の季節ですね。今回は、雨でも、室内で楽しめる催しを紹介しましょう。静嘉堂【せいかどう】文庫美術館で開催中の「江戸の博物学」展です。
 江戸時代は、情報の限られた鎖国の時代でした。とはいえ、文化レベルが低かったわけではありません。少ない情報の中で、世界を知ろうと、一生懸命な人たちがいました。その人たちのおかげで、博物学が発達しました。
 博物学とは、現代の植物学・動物学・医学・天文学・地質学などを、すべて一緒にした学問です。当時は、科学が発展途上だったために、まだ、分野がはっきり分かれていなかったのですね。博物学は、未熟ながらも、世界を知るための科学でした。
 博物学の成果は、書籍という形で、世に発表されました。それらの書籍が、現代にまで残っています。おかげで、現代の私たちも、江戸時代の博物学を知ることができます。
 「江戸の博物学」展の会場には、江戸時代の博物学の書籍が、たくさん展示されています。多くの書籍には、絵が付いています。例えば、『大和本草【やまとほんぞう】』、『本草図譜【ほんぞうずふ】』などの植物図鑑には、植物の絵があります。
 会場の書籍を見比べれば、同じ江戸時代でも、時代が下るにつれて、博物学が発達してゆくのが、わかります。前述の『大和本草』と『本草図譜』とを比べると、十八世紀初頭の『大和本草』のほうが、十九世紀半ばの『本草図譜』より、明らかに絵が稚拙です。
 『大和本草』と『本草図譜』との間には、百年以上の時間差があります。この間、百年以上にわたって、博物学の積み重ねがあったということです。『本草図譜』くらいになると、現代に持ってきても、遜色ないレベルの絵です。美しいです。
 会場で、特に見るべきなのは、『鱗鏡【うろこかがみ】』という書籍です。これは、江戸時代の魚類図鑑です。多くの魚、イカ、タコ、エビ、カニなど、水中に棲む生物が描かれています。本書が一般公開されるのは、これが初めてだそうです。
 『鱗鏡』は、きっと、大切に秘蔵されてきたのでしょうね。保存状態がよく、彩色が鮮やかです。江戸時代の博物学の精華を、楽しむことができます。

図鑑↓↓↓↓↓には、江戸の博物学の書籍にも載っている、日本の動植物が掲載されています。
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 「江戸の博物学」展に関する情報は、以下のページにあります。
江戸の博物学~もっと知りたい!自然の不思議~(静嘉堂文庫美術館の公式サイト内ページ)

2016年4月21日

生き物に学び、くらしに活かす

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 国立科学博物館で、小規模ながら、面白い企画展が開かれています。「生き物に学び、くらしに活かす」です。早速、見に行ってまいりました。
 企画展の内容は、題名のとおりです。厳しい自然界に、見事に適応している生き物たちに学んで、人間の暮らしに活かそうというものです。すでに実用化された技術や、これから実用化されそうな技術が、紹介されています。未来に夢が描けます。
 例えば、競泳用の水着には、サメに学んで作られたものがあります。
 サメは、海の中で、獲物を捕えるために、速く泳がなければなりませんね。なぜ、サメが速く泳げるのか、それには、さまざまな体の仕組みが、関わっています。
 その一つが、皮膚の構造にあります。サメの皮膚は、速く泳ぐために、余計な水の抵抗を減らすようにできています。この皮膚の構造を真似て、競泳用水着が作られました。実際に、余計な水の抵抗を減らして、泳げるようになったそうです。
 また、建物の外壁に使われるタイルで、「汚れのつきにくいタイル」があります。これは、なんと、カタツムリの殻の構造を研究して、作られました。
 カタツムリは、雨の中を這い回ることが多いですね。じめじめした中を行動するのに、カタツムリの殻には、コケもつかず、いつもきれいです。
 その秘密は、殻の微細な構造にありました。カタツムリの殻は、雨に当たると、汚れが流れ落ちやすい構造になっています。この構造を真似て、タイルが作られました。
 もっと身近なところでは、マジックテープ(面ファスナー)があります。マジックテープは、ある植物の構造を真似て作られたことを、御存知でしたか?「ひっつき虫」と呼ばれる植物の果実です。草むらを歩くと、衣服にくっついてくる植物の果実ですね。
 「ひっつき虫」は、一種だけの植物ではありません。たくさんの種があります。マジックテープの開発者は、直接的には、ゴボウの果実を参考にしたといわれます。
 このように、生き物に学んだ技術を活かす学問を、バイオミメティクス(生物模倣)といいます。会場では、楽しいバイオミメティクスの例を、いくつも見ることができます。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本の動植物が、千八百種ほど掲載されています。
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 「生き物に学び、くらしに活かす」の情報は、以下のページにあります。
生き物に学び、くらしに活かす(国立科学博物館の公式サイト内ページ)


 過去の記事でも、生き物に関する、現在開催中のイベントを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
江戸から昭和、平成へ、薬草の博物誌(2016/3/8)


2016年3月27日

未来をひらく、海からの贈り物

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 お子さんたちは、春休みですね。春休み向けのイベントが、各地で開かれています。そのようなイベントの一つに、行ってまいりました。東京の科学技術館のイベントです。
 科学技術館で、「海!!未来をひらく!海からの贈り物」という展覧会が開かれています。海の生物から学んだ、さまざまな科学技術が、紹介されています。
 会場の入り口には、直径約2mの「ミステリーサークル」の模型があります。これは、体長がわずか10cmほどの魚が、海底に作るものです。その魚は、アマミホシゾラフグという、フグの一種です。奄美大島付近の海に棲んでいます。
 アマミホシゾラフグが作る「ミステリーサークル」は、卵を産みつけるための場所です。この「ミステリーサークル」の形を調べると、中心に産みつけられた卵に、常に新鮮な海水が送られるようになっていることが、わかりました。
 この形を研究すれば、海の土木工事に、役立つかも知れません。魚から教わる科学技術ですね。会場では、アマミホシゾラフグがサークルを作る映像を、見ることができます。
 会場の奥へ行くと、生きたオワンクラゲがいます。下村脩さんのノーベル賞で有名になった、オワンクラゲです。このクラゲから発見されたGFPという物質が、生物学の研究に、非常に役立っています。生きたオワンクラゲは、水族館でも、見る機会が少ないです。
 会場では、海藻から作られたハンドクリームを、試すこともできます。アカモクという海藻から、作られたクリームです。アカモクは、ワカメやコンブと同じ褐藻【かっそう】というグループに属します。秋田県や新潟県では、昔から、食用にされていました。
 アカモクに限りませんが、海藻には、ぬめりがありますよね。このぬめりには、ヒトの体に良い作用をもたらす物質が含まれています。例えば、保湿作用などです。これを利用して、ハンドクリームが作られました。塗ってみたら、さらりとした感触でした。
 会場では、他にも、生きたヌタウナギ(深海魚の一種)や、サメの皮膚を研究して作られたテニスラケットなどが、見られます。規模は、小さな展覧会です。説明員の方から、いろいろとお話を聞くことができます。ぜひ、話しかけてみて下さい。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本の海に分布する魚類や、無脊椎動物掲載されています。
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 過去の記事でも、現在、開催中の生物関係のイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
江戸から昭和、平成へ、薬草の博物誌(2016/3/8)
エミール・ガレの愛した植物たち(2016/1/31)

2016年3月 8日

江戸から昭和、平成へ、薬草の博物誌

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 東京のLIXIL【リクシル】ギャラリーで、面白い展覧会が開かれています。「薬草の博物誌」というテーマで、薬草の絵が、たくさん展示されています。
 薬草は、人間にとって、とても役立つものですね。そのために、古くから研究されてきました。薬草研究の第一歩は、「きちんと、種類を見極めること」です。間違った種類の薬草を処方してしまったら、人を殺してしまいかねませんからね。
 日本は、伝統的に、中国から、薬草の知識を学んできました。もとは日本になかった薬草でも、中国から導入されたものが、多くあります。しかし、中国と日本とでは、やはり、自生する植物が違います。中国の知識を、そのまま使うわけには、ゆきません。
 江戸時代頃から、日本独自の薬草研究が進みました。それにともなって、薬草の姿を絵図にして紹介する書物が、出版されるようになりました。こんにちの植物図鑑の、直系の祖先と言えるものです。江戸時代の知見でも、現代に通ずるものもあります。
 「薬草の博物誌」の会場には、江戸時代の「植物図鑑」の絵が並んでいます。『松山本草【まつやまほんぞう】』、『本草綱目【ほんぞうこうもく】』、『大和本草【やまとほんぞう】』、『畫本野山草【えほんのやまぐさ】』、『花彙【かい】』などの書物の絵です。
 これらのうち、『本草綱目』だけは、中国で出版されたものです。日本に輸入されて、薬草の本として、たいへん重用されました。『本草綱目』をお手本に、日本でも、『大和本草』などの植物の本が、出版されるようになりました。
 会場にある中で、『松山本草』は、これまで、一般公開されることが、ほとんどありませんでした。個人のお宅で、門外不出品として、大切にされてきたためです。この展覧会で、『松山本草』が見られるのは、貴重な機会です。
 江戸時代に、薬草を研究する学問は、本草学【ほんぞうがく】と呼ばれました。「薬草の博物誌」展は、本草学の展覧会といえます。展示された絵を見てゆくと、時代が下るにつれて、絵が精密になってゆくのが、わかります。本草学が、発達していったからですね。やがて、本草学は、現代科学の植物学を育てることとなりました。


 「薬草の博物誌」展の情報は、以下のページにあります。
薬草の博物誌(LIXILギャラリーの公式サイト内ページ)


 過去の記事でも、現在開催中の生物に関するイベントを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
エミール・ガレの愛した植物たち(2016/1/31)
憧れのイングリッシュ・ガーデン(2016/1/17)
などです。



2016年1月31日

エミール・ガレの愛した植物たち

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 芸術品の中には、自然の動物や植物をモチーフにするものがありますね。優れた芸術家ならば、動植物の命の輝きを、作品に写し取るすべを知っています。
 エミール・ガレは、そのような、優れた芸術家の一人でした。フランスのガラス工芸家として、著名な人ですね。彼の作品を紹介する展覧会が、現在、日本で開かれています。会場は、東京都庭園美術館です。「ガレの庭」という展覧会です。
 会場では、主に、ガレの植物モチーフの作品が、展示されています。春の空気のような、白っぽいガラス地に、淡紅色のモクレンが浮かぶ水差し。細長い鶴首に、さらりと藤色のフジがしなだれかかる花瓶。イヌサフランのふっくりと開きかけたつぼみを、そのまま形にした高脚杯。一見、アラジンのランプかと見まごう、スミレの形をした脚付杯。
 ガレが注目したのは、花ばかりではありません。果実や野菜も、作品にされています。ナスの果実の形を写し取った長頸瓶。色も形も、タマネギにそっくりな花瓶。ルバーブの葉脈の力強さを再現した脚付杯。ストローブマツの細長い松ぼっくりが、立体的に貼りついた花瓶。こういったものも作品にできるのは、植物をよく観察したからでしょう。
 実際、ガレは、およそ2ヘクタールもある庭に、三千種近い植物を育てていたといいます。庭というより、まるで植物園ですね。のちに構えたガラス工場の庭にも、多種の植物を植えて、職人たちが、常に身近にモチーフを観察できるようにしたそうです。
 ガレの観察力は、作品によく生かされています。例えば、セリ科のオンベルと呼ばれる草をモチーフにした作品群が、それを表わします。
 《オンベル文筒型花瓶》は、オンベルのすっくと伸びた緑色の茎を、ガラスの花瓶にしたものです。花でも果実でもなく、何ということもない茎をモチーフにするとは、着眼点が、素晴らしいですね。しかも、しっかりと、オンベルの特徴をとらえています。
 フランス語でオンベルと呼ばれる植物には、何種も含まれます。ガレが作品のモチーフにしたのは、ラテン語の学名を、Heracleum mantegazzianum(日本語名なし)という種らしいです。コーカサス原産のこの種を、わざわざ庭に植えていたようです。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する植物が、八百種ほど掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-


 展覧会「ガレの庭」については、以下のページに情報が載っています。
ガレの庭(東京都庭園美術館の公式サイト内ページ)


 過去の記事でも、動物や植物を紹介した展覧会を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
憧れのイングリッシュ・ガーデン(2016/1/17)
縄文時代の生き物とは?(2016/1/9)
日本のスゲ、勢ぞろい(2015/12/19)
ブドウから生まれる奇跡、ワイン展(2015/11/7)
などです。

2016年1月17日

憧れのイングリッシュ・ガーデン

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 寒々しい日が続きますね。今回は、こんな冬の日々でも、花が咲き誇る場所を紹介しましょう。パナソニック汐留ミュージアムです。現在、この美術館で、植物画の展覧会が開かれています。イングリッシュ・ガーデン―英国に集う花々―展です。
 日本では、最近、イングリッシュ・ガーデンの人気が上がっていますね。英国の庭が、世界の多くの人々に憧れられるようになったのは、偶然ではありません。
 英国は、何百年にもわたって、計画的に、世界の植物を集めてきました。それらを品種改良して、観賞用に優れたものとすることも、してきました。この展覧会を見れば、そのことが、よくわかります。描かれた植物は、世界中に原産地が散らばっています。
 西アジアが原産で、オランダで品種改良が進んだチューリップ。南アフリカが原産地のゴクラクチョウカ。メキシコ原産のダリア。東アジアが原産地で、日本人にはお馴染みのツバキ。ヒマラヤの高嶺に咲くシャクナゲなど、みんな、会場で見ることができます。
 単に美しいのではなく、ユニークな形の植物もあります。果実の粒々が美味しそうなザクロ、団扇【うちわ】のような葉を広げたヤシの一種、いくつもの口があるように見えるバンクシアの果実、種名の的確さにうなずいてしまうセンコウハナビなどです。
 会場の作品を見ていると、「科学的な正確さと、芸術性とは、相反するものではない」ことに、納得できます。科学性と芸術性とを、見事に両立させた作品ばかりなのです。
 そのような植物画は、十七世紀ごろから発達してきました。その頃から、科学が芽生えてきたからです。植物画と植物学とは、まさに二人三脚で、レベルを上げてきました。
 二十一世紀の現代でも、植物画は、植物学に欠かせません。これだけ写真やネットが発達した時代だというのに、なぜでしょうか? 植物画は、写真には写りにくい細かい部分や、花期や果期のちょうどいい瞬間を、描くことができるからです。
 会場で、特に印象に残ったのが、『マメ科の種子を用いた作画』という作品でした。大きな画面に、びっしりと、多種のマメ科植物の種子が描かれています。植物の多様性を、一枚の画面で見られます。こんな作品に会えるのも、植物画展の楽しみです。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する植物が、八百種ほど掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 イングリッシュ・ガーデン展の情報は、以下のページにあります。
イングリッシュ・ガーデン展(汐留ミュージアムの公式サイト内ページ)
 過去の記事でも、現在、開催中の生き物に関する展覧会を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
縄文時代の生き物とは?(2016/1/9)
日本のスゲ、勢ぞろい(2015/12/19)
ブドウから生まれる奇跡、ワイン展(2015/11/7)
などです。



2016年1月 9日

縄文時代の生き物とは?

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 神奈川県立歴史博物館で、ちょっと面白い展覧会が開かれています。「縄文の海 縄文の森」です。主に、縄文時代の動植物について、取り上げられています。
 縄文時代の遺跡、貝塚からは、動植物の遺骸が、大量に出土します。当時の人々が、食べた後に捨てたものです。特に、貝殻が多いために、貝塚と呼ばれます。
 貝塚の貝には、どんな種があるのでしょうか? 二枚貝では、アサリ、ハマグリ、ヤマトシジミ、サルボウ、マガキなどが多いです。現代でも、食用にされる貝たちですね。
 巻貝では、アカニシ、ダンベイキサゴ、スガイ、コシダカガンガラ、ツメタガイなどの種が、貝塚から見つかります。こちらも、現代でも食用にされる貝ばかりです。
 貝塚からは、魚の骨も、よく出土します。スズキ、ボラ、クロダイなどが多いです。これらの種も、現代の食用魚たちですね。沿岸の海に棲む魚たちです。
 中には、不思議な遺物もあります。例えば、マグロの骨です。マグロは、外洋に棲む魚です。しかも、大型魚で、猛スピードで泳ぎます。縄文人は、どうやってマグロを捕ったのでしょうか? 縄文時代には、エンジンもソナーもGPSもありませんのに。
 マグロの骨は、それなりの量が見つかります。縄文人が、恒常的にマグロを捕る技術を持っていたのは、確実です。その技術がどんなものだったのかは、まだ謎です。
 貝塚からは、陸上の鳥や獣の骨も出土します。獣(哺乳類)の骨では、ニホンジカとイノシシとの骨が、圧倒的に多いです。縄文人が、この二種の哺乳類を、よく食べていたことがわかります。釣り針などに加工された、シカの角も出てきます。
 縄文時代の遺跡からは、現代には見られない動物の骨も、見つかります。ニホンアシカ、ニホンオオカミ、ニホンカワウソ、オオヤマネコなどの骨です。どの種も、日本では絶滅してしまいました。オオヤマネコだけは、歴史時代に入る前に、絶滅したようです。
 植物では、クルミ、トチノキ、ミズキなどの果実が出土しています。やはり、食用になる植物ばかりです。面白いことに、クルミの果実を模した土器も、見つかっています。縄文人は、食用になる動植物を、大切に思い、扱っていたのでしょう。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する動植物が、千八百種以上掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 「縄文の海 縄文の森」に関する情報は、以下のページにあります。
縄文の森 縄文の海(神奈川県埋蔵文化財センターの公式サイト内ページ)
神奈川県立歴史博物館の公式サイト
 過去の記事でも、動植物を扱った展覧会を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
日本のスゲ、勢ぞろい(2015/12/19)
ブドウから生まれる奇跡、ワイン展(2015/11/7)

2015年12月19日

日本のスゲ、勢ぞろい

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 冬は、生物の活動が鈍くなる時期ですね。野外で生物観察をしたくても、寒さのために、億劫【おっくう】になりがちでもあります。そんな時期でも、屋内で生物観察ができるなら、楽しいですよね。というわけで、屋内の生物イベントに行ってまいりました。
 会場は、神奈川県立 生命の星・地球博物館です。ここで、「日本のスゲ 勢ぞろい ―撮って 集めた 269種―」という企画展が、開かれています。
 スゲという植物の名は、どなたでも、どこかで聞いたことがあるでしょう。けれども、その実態は、知られていません。地味で、目立たない植物だからです。
 スゲとは、カヤツリグサ科スゲ属に属する種の総称です。この仲間には、たいてい、「○○スゲ」という種名が付きます。むろん、例外はあります。
 スゲ属の植物は、美しい花が咲くわけでもなく、食べられる果実が実るわけでもなく、紅葉が見事なわけでもありません。普通の人には、雑草としか、見られないでしょう。けれども、それぞれの地域の生態系では、重要な役割を果たしています。
 その証拠に、スゲ属には、約二千もの種が含まれます。これは、植物の属の中では、最大級の種の多さです。スゲ属が、たいへん栄えていることが、わかりますね。それぞれの地域の生態系に、うまくはまっているのでなければ、こんなに繁栄はできないでしょう。
 約二千のスゲ属の種のうち、日本には、二百六十九種が分布するとされています。狭い国土にもかかわらず、スゲ属の十分の一以上の種が、分布するわけです。世界的には、スゲ属に恵まれた国といえますね。会場では、日本産のほぼ全種を見ることができます。
 スゲ属には、二十一世紀になってから発見された種も、多いです。中には、劇的な再発見をされた種もあります。例えば、ダイセンアシボソスゲです。
 ダイセンアシボソスゲは、世界じゅうで、鳥取県の大山【だいせん】にだけ分布するスゲです。あまりにも分布域が狭いため、早々に生息地が荒らされて、絶滅したと考えられていました。ところが、二〇一二年に、七十六年ぶりに、再発見されました。
 会場では、ダイセンアシボソスゲなどの、珍しいスゲの標本も、見ることができます。

図鑑↓↓↓↓↓には、カンスゲ、マスクサなど、日本に分布するスゲ属の植物が、四種掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 企画展「日本のスゲ 勢ぞろい」の情報は、以下のページにあります。
日本のスゲ 勢ぞろい ―撮って 集めた 269種―(生命の星・地球博物館の公式サイト内ページ)
 過去の記事でも、生物に関するイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ブドウから生まれる奇跡、ワイン展(2015/11/7)

2015年11月 7日

ブドウから生まれる奇跡、ワイン展

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 国立科学博物館で、面白い催しが開かれています。ワインに関する展覧会、ワイン展です。ワインの原料であるブドウについても、たっぷり展示されています。
 ワインは、別名、葡萄酒【ぶどうしゅ】とも呼ばれますね。ブドウの果実を発酵させて作られるお酒が、ワインです。当然、ブドウの良し悪しは、ワインの良し悪しに直結します。このために、展覧会の会場では、まず、ブドウについて、解説されています。
 ワインに関する用語で、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ、ピノ・ノワールなどという言葉を、聞いたことがありませんか? これらは、みな、ブドウの品種の名前です。生食用ではなく、ワイン作り専用のブドウ品種です。
 今、挙げたブドウの品種は、すべて、ヨーロッパが原産地です。日本での栽培には、あまり向いていません。それでも、近年は、これらのヨーロッパ産品種のブドウも、日本の各地で、栽培されています。栽培技術が向上したためです。
 日本向きのブドウの品種も、開発されています。「甲州」や、「マスカット・ベーリーA」などが、そうです。「甲州」は、生食用にもされているので、御存知の方が、多いでしょう。
 これらのブドウ品種の模型を、会場で、見ることができます。ブドウの農場で、どのようにブドウが育てられ、収穫されているかを、映像で見ることもできます。
 ヨーロッパでは、何千年にもわたって、ワイン用ブドウの生産が続いてきました。それが、壊滅の危機に瀕したことがあります。ブドウネアブラムシ(通称、フィロキセラ)という害虫が、蔓延【まんえん】したためです。十九世紀の半ばのことです。
 おおぜいの人々の努力により、フィロキセラの被害は、食い止められました。どのように食い止められたかは、ぜひ、会場の展示で、御覧下さい。
 展示を見て、改めて感じたのが、ブドウ作りには、とても手間がかかることです。日本のワイン用ブドウは、大部分が、機械ではなく、手で収穫されていることに、驚きました。一房一房、人間の目で確かめて、悪い部分を取り去りながら、収穫されます。私たちが、美味しいワインを飲めるのは、ブドウ農家の人たちが、手をかけてくれたおかげですね。

図鑑↓↓↓↓↓には、ワインの原料になるヨーロッパブドウが掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 ワイン展に関する情報は、以下のサイトにあります。
ワイン展 公式サイト
ワイン展(国立科学博物館の公式サイト内特集ページ)
 過去の記事でも、生物に関する催しについて、取り上げています。ワイン展と同じ、国立科学博物館が会場の催しなど、紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
秋でも、蝉(セミ)類博物館(2015/10/22)
人類の原器、ヒョウタン(瓢箪)(2015/9/17)

2015年10月22日

秋でも、蝉(セミ)類博物館

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 もう、すっかり秋ですね。セミの声も、聞こえなくなりました。そんな時期に、セミの展覧会が開かれています。セミの研究は、一年中、行なわれていますからね。
 その展覧会とは、石神井【しゃくじい】公園ふるさと文化館で開催中の『蝉類博物館』です。たくさんのセミの標本が、展示されています。
 これらの標本は、もと、加藤正世さんという昆虫の研究者が所蔵していたものです。加藤さんは、大正時代から、昭和の初期にかけて活躍された方です。特に、セミの研究で有名でした。クマゼミやエゾゼミの、種の基準となる標本を作った方です。
 クマゼミも、エゾゼミも、現在の日本で、平凡なセミですね。とりわけ、西日本にお住まいなら、クマゼミを知らない方は、いないでしょう。「シャーシャー」という鳴き声がうるさいセミです(笑) 日本一鳴き声が大きく、体も大きいセミです。
 こんなに目立つセミでも、加藤さんが生きた時代には、まだ、正式な種名が決まっていなかったのですね。加藤さんは、日本のセミ学の基礎を作った方といえます。
 会場には、セミ以外の昆虫の標本も、たくさん展示されています。その多くが、加藤さんがお元気だった当時、都内の石神井公園付近で採集したものだそうです。現在の東京では、見られなくなってしまった種も、多いです。かつて、都内に、これほど豊かな昆虫たちがいたことに、驚かされます。研究史上、貴重な標本ばかりです。
 会場にあるのは、昆虫の標本ばかりではありません。鳥類、植物、魚類、昆虫以外の無脊椎動物などの標本もあります。どれも、加藤さんが、自ら採集したものです。
 加藤さんは、昆虫が御専門なのに、なぜ、昆虫以外の生物も、採集したのでしょうか? ある生物を知るには、その生物が生きている環境を、まるごと知ることが、有効だからです。そのためには、直接の研究対象以外の生物も、観察することが必要です。
 会場では、まるでタイムカプセルのように、かつての武蔵野の自然を見ることができます。また、戦前の台湾や、朝鮮半島で採集された昆虫標本も、見られます。どれも、変わりゆく自然環境を知る、よすがとなるものばかりです。
『蝉(セミ)類博物館』の情報は、以下のページにあります。
蝉類博物館(石神井公園ふるさと文化館の公式サイト内ページ)

図鑑↓↓↓↓↓には、エゾゼミ、クマゼミをはじめ、日本に分布するセミが、八種ほど掲載されています。ban_zukan.net.jpg
インターネット生物図鑑-zukan.net-


 過去の記事でも、現在、開催中の生物に関する展覧会を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
人類の原器、ヒョウタン(瓢箪)(2015/9/17)
生き物を描く(2015/8/12)

2015年9月17日

人類の原器、ヒョウタン(瓢箪)

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 国立科学博物館で、面白い企画展が開かれています。「世界のヒョウタン展」です。植物のヒョウタンを集めた展覧会です。早速、行ってまいりました。
 ヒョウタンといえば、日本人は、真ん中がくびれた、いわゆるヒョウタン形を思い浮かべますよね。ところが、あの形のヒョウタンが、世界のどこにでもあるかと言えば、そうではありません。もっと、いろいろな形のヒョウタンがあります。
 会場では、世界各国の、さまざまな形のヒョウタンを見られます。ヘチマのように細長い形、カボチャのように丸い形、ねじれたキュウリのような形、丸い部分にツルの首のような細長い部分が付いた形、などがあります。
 表面も、すべすべしたものばかりではありません。たくさんのイボが付いていたり、筋状の模様が入っていたりします。大きさも、同じヒョウタンとは思えないほど、違います。ヒトの指先くらいの小さい物から、子供が一人、すっぽり入りそうなほど、大きい物まであります。品種によって、バリエーションがあるのですね。
 こんなにバラエティ豊かなヒョウタンの品種は、なぜ、生まれたのでしょうか? 人類が、とても古くから栽培して、品種改良をしてきたからです。なんと、一万年以上前から、人類は、ヒョウタンを栽培してきました。人類最古の栽培植物の一つとされます。
 ヒョウタンは、ごく一部を除いて、食べられません。なのに、最古というほど昔から栽培されてきたのは、なぜでしょう? それは、ヒョウタンが、良い容器になるからです。
 土器が作られる前、水が漏れない容器として、初めて人類が使ったのが、ヒョウタンではないかといわれます。ヒョウタンは、乾燥させて中身を抜けば、簡単に容器になります。しかも、軽くて、持ち運びやすいです。
 「中身が空洞」というヒョウタンの性質は、楽器の共鳴用として、ぴったりでした。このために、世界各国で、ヒョウタンを使った楽器が作られました。
 会場内では、ヒョウタンで作られたスピーカーから、ヒョウタンの楽器で演奏した音楽が流れています。ぶらぶらしているヒョウタンを見て、笑顔になれる展覧会です。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ヒョウタンは載っていません。かわりに、ヒョウタンと同じウリ科植物が、七種ほど掲載されています。ban_zukan.net.jpg
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 世界のヒョウタン展については、以下のページに情報があります。
世界のヒョウタン展(国立科学博物館の公式サイト内ページ)
 過去の記事でも、生物に関する展覧会を取り上げています。現在、開催中のものです。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
生き物を描く(2015/8/12)
などです。


2015年8月30日

品川の福猫

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品川の福猫 ノネコ  画像
和名:ノネコ
学名:Felis catus
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東京 品川区【2015.08.19】


2015年8月25日

ウニのない人生なんて!?

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 ちょっと変わった展覧会へ、行ってまいりました。ウニの展覧会です。海に棲んで、棘だらけの、あのウニです。「あんなものが、展覧会になるの!?」と、驚きますね。
 会場は、東京の渋谷にあります。(PLACE)by methodという、おしゃれな空間です。規模は、大きくありません。どなたでも、無料で見られます。「自然の造形美展2 ウニのない人生なんて」という題名が付いています。
 会場には、たくさんのウニの標本や、標本を大写しにした写真パネルが、並んでいます。「ウニの展覧会だから、棘ばっかりか」と思うかも知れませんね。ところが、実際には、そうではありません。棘のないウニの標本のほうが、多いです。
 その理由は、ウニの標本の作り方にあります。死んでしまったウニは、棘が折れたり、外れたりしやすくなります。そのままの状態で標本にするのは、難しいです。このために、棘を全部取った状態で、標本にすることが、多いのですね。
 棘がなくなったウニとは、どんなものでしょう? 棘の下には、固い球状の殻があります(種によっては、そういう殻がないものもあります)。その殻には、棘が付いていた跡が、小さな円い突起になって、残っています。生きていた時には、想像できない姿です。
 この殻の形が、幾何学的なオブジェのようです。何の予備知識もなく、これらのウニの殻を見たら、ほとんどの方は、「現代美術の作品か」と思うのではないでしょうか。
 けれども、これらは、間違いなく、自然が作り出したものです。かつては、命が宿っていたものです。ベンテンウニ、パイプウニ、トゲザオウニ、アカオニガゼ、トックリガンガゼモドキ、タコノマクラ、スカシカシパンなどのウニの種が、紹介されています。
 多くのウニの殻を見比べると、五本の帯状の模様があることに、気づくでしょう。これは、ウニを含む、棘皮動物【きょくひどうぶつ】の特徴です。体の構造が、五という数を基本にして、できています。これが、私たちに、幾何学的な美を感じさせるようです。
 ウニの中には、球状ではなくて、円盤状や、ハート型の殻を持つ種もあります。バリエーション豊かな自然の芸術品を、愛でてみてはいかがでしょうか。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本近海に分布するウニが、十種ほど掲載されています。ban_zukan.net.jpg
インターネット生物図鑑-zukan.net-


「自然の造形美展2 ウニのない人生なんて」は、以下に案内があります。
自然の造形美展2 ウニのない人生なんて(ウサギノネドコの公式サイト内ページ)
 過去の記事でも、生物に関わるイベントを取り上げています。また、ウニについて取り上げた記事もあります。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
生き物を描く(2015/8/12)
スカイツリーの大昆虫展(2015/7/22)
ラッコとウニとコンブとの関係は?(2013/4/29)
謎の生物、ブンブクチャガマ(2011/7/11)
海の毒まんじゅう? イイジマフクロウニ(2010/8/23)
などです。


2015年8月12日

生き物を描く

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 神奈川県立 生命の星・地球博物館へ、行ってまいりました。特別展「生き物を描く サイエンスのための細密描画」を、見てまいりました。
 この展覧会では、「芸術としての生物の絵」ではなく、「自然科学としての生物の絵」が、取り上げられています。生物図鑑に載っている絵、といえば、わかっていただけるでしょうか。図鑑の絵は、普通、美術館にある絵とは、違いますよね?
 生物図鑑の生物の絵は、何よりも、正確さが求められます。芸術的な美しさは、二の次です。けれども、機械的に正確に描けばいいわけではありません。ヒトの目で見た時に、その生物種の特徴が、わかりやすくなくてはいけません。
 でなければ、図鑑の絵を見ても、どの種なのか、わからないことになってしまいます。それでは、図鑑の役割を果たせませんね。
 これだけ、デジタル写真が発達した時代になっても、多くの図鑑で、写真のみならず、絵が多用されています。それは、なぜでしょうか?
 この展覧会の絵を見ていただけば、その答えが、わかります。機械的に正確な写真よりも、絵のほうが、細かい部分がわかりやすいのです。また、写真では、生態の「決定的瞬間」を撮るのが、難しいですね。絵なら、自由に描くことができます。
 不思議なことに、生物学的な正確さを追求した絵は、芸術的な美しさをも、そなえるようになります。優れた図鑑の絵は、決して、無味乾燥ではありません。
 例えば、展覧会の会場にある、杉浦千里さんの作品を御覧下さい。エビ・カニなどの、甲殻類を描いたものです。入ってすぐのコーナーにあります。
 多くの方は、杉浦さんの作品に、衝撃を受けるでしょう。精密無比にして、色彩は鮮明だからです。本物以上に本物の甲殻類が、そこにいます。画面から飛び出して、ごそごそと動きだしそうです。生命感にあふれた絵は、芸術の高みに達しています。
 他にも、田淵行男さんの蝶類の絵、今関六也さんの菌類(キノコ類)の絵など、素晴らしい生物画が見られます。絵を描く手順についても、紹介されています。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する無脊椎動物、昆虫、植物などが、二千種ほど掲載されています。ban_zukan.net.jpg
インターネット生物図鑑-zukan.net-


 特別展「生き物を描く サイエンスのための細密描画」の情報は、以下のページにあります。
特別展「生き物を描く サイエンスのための細密描画」(生命の星・地球博物館の公式サイト内ページ)


 過去の記事でも、夏休み中の生物に関するイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
スカイツリーの大昆虫展(2015/7/22)


2015年7月22日

スカイツリーの大昆虫展

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 いよいよ夏休みですね。今回は、夏休みに、天気が悪くても楽しめる催しを紹介しましょう。東京スカイツリーの足もと、ソラマチで開かれている「大昆虫展」です。
 「大昆虫展」の素晴らしいところは、何と言っても、圧倒的な昆虫標本の数です。全部で、一万五千匹以上(!)の標本があるそうです。日本の昆虫の標本も、外国の昆虫の標本もあります。これだけ、数がそろった昆虫標本を見る機会は、なかなかありません。
 入口を入ってすぐ、日本の湘南地域で採集された昆虫標本が、展示されています。小さい種も、地味な種も、丹念に集められています。今では、もう、湘南地域では、見られない種の標本もあります。環境が変わって、絶滅してしまったのですね。
 小さくても、地味でも、どの種の昆虫も、自然環境の中で、大切な役割を果たしています。ある地域の自然環境を知るには、このように、あらゆる種の標本を集めることが、重要です。渡辺康生さんという方が、長年かけて、こつこつと集めたコレクションです。
 外国の昆虫標本のコーナーでは、珍しい昆虫を、たくさん見られます。熱帯に棲む昆虫には、びっくりするほど大きい種や、きらびやかな色彩の種が、多いです。
 例えば、熱帯に分布するナナフシの仲間には、全長が20cm以上になるものがいます。会場の標本の中に、そのようなナナフシを見つけました。私の手を広げて比べてみたところ、私の手首から中指の先端までの長さより、ナナフシのほうが、長かったです。
 昆虫標本は、生きている時に比べれば、どうしても、色が褪せてしまいます。そんな中でも、光沢のある甲虫類は、生前と変わらない光沢を保つものが、多いです。コガネムシの仲間、タマムシの仲間、カタゾウムシの仲間などが、ぴかぴか光っています。
 変わったところでは、ドクゼミの標本がありました。名のとおり、毒を持つセミの仲間です。日本には、分布しないグループです。タイ、ベトナム、インドネシア、中国南部などに分布します。日本のセミと違って、美しい体色を持ちます。
 昆虫関係の催しでも、ドクゼミの標本が見られることは、少ないです。日本にはいない美しいセミ、ぜひ、この機会に、御覧下さい。

 スカイツリーの大昆虫展の情報は、以下のページにあります。
大昆虫展 in 東京スカイツリータウン 公式サイト

 過去の記事でも、夏休みの楽しいイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ウルトラ植物博覧会(2015/07/21)
などです。



2015年7月21日

ウルトラ植物博覧会

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 東京の銀座で、面白い催しが開かれています。その名も「ウルトラ植物博覧会」です。世界中の珍しい植物が、展示されています。中には、日本初公開の植物もあります。
 この「ウルトラ植物博覧会」には、園芸用に作られた品種は、ほとんどありません。野生植物の展覧会です。野生であるがゆえに、珍妙な形や、驚くべき生態を持つ植物たちが、はるばる世界中から、集まってくれました。
 例えば、巨大なウツボカズラがあります。ラテン語の学名を、Nepenthes truncataという種です。日本語名は、ありません。フィリピンからやってきた種です。
 最近は、日本の園芸店でも、ウツボカズラが売られるようになりました。食虫植物は、面白いからでしょう。中でも、Nepenthes truncataは、捕虫葉(虫を捕える、つぼ状の葉)が、異様に大きいです。昆虫どころか、リスくらい入ってしまいそうです。
 実際、このウツボカズラは、小型哺乳類をも捕って食べるそうです。
 ライオンゴロシという、物騒な種名の植物も、あります。これは、果実だけが展示されています。物騒な種名は、この果実の形から、付けられました。先端が鉤【かぎ】状になった棘が、いくつも付いています。見るからに、恐ろしげです。
 ライオンゴロシは、南アフリカが原産地です。アフリカのライオンが、この果実を、誤って踏むと、足に果実が刺さります。ライオンは、口でもって、果実を取ろうとします。すると、今度は、口に果実が刺さります。鉤状になった棘は、もう抜けません。
 果実が刺さった口は、腫れ上がります、ライオンは、餌を食べられなくなってしまいます。そうして、ライオンが餓死するために、ライオンゴロシの名が付きました。
 というのが、一般に言われる説です。けれども、本当に、ライオンゴロシに殺されたライオンがいるのかどうかは、おそらく、誰も確かめていません。
 他にも、会場では、盆栽仕立てにされたバオバブや、幹が螺旋状になったサボテンや、世界一、臭い花が咲く(?)植物などが見られます。臭い花の植物は、花の咲いていない状態での展示ですので、御安心下さい。

 「ウルトラ植物博覧会」は、以下の、ポーラミュージアムアネックスで開催されています。
ウルトラ植物博覧会(ポーラミュージアムアネックスの公式サイト内ページ)

 過去の記事でも、日本に自生しない、変わった植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
サボテンと多肉植物とは、違う? 同じ?(2014/7/25)
サボテンは、いつから日本にあった?(2013/12/6)
イトランは、ランの仲間か?(2010/12/27)
聖書に登場? アロエ(2010/12/24)
などです。



2015年4月29日

ルドゥーテの『美花選』

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 外遊びが楽しい季節になってきましたね。植物の花や緑も、美しいです。今回は、外遊びに疲れた時や、天気が悪い時に、楽しめるイベントを紹介しましょう。
 それは、「ルドゥーテ『美花選』展」です。日比谷図書文化館(もとの日比谷図書館)で、開催中です。花の画家として有名な、ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテの展覧会です。
 ルドゥーテは、十八世紀から十九世紀のフランスで活躍しました。この時代のフランスと言えば、大革命の時代ですね。その中にあって、ルドゥーテは、ルイ十六世の王妃マリー・アントワネットの蒐集室付【しゅうしゅうしつつき】画家になったり、ナポレオン皇妃ジョゼフィーヌの庇護を受けたりしました。
 大革命のさなかでも、党派を問わずに、彼を使ってくれる人がいたわけです。それだけ、彼の画家としての腕前が、優れていたのでしょう。
 それは、彼の作品を見れば、すぐにわかります。彼の絵は、花々の微妙な色合いや、葉のつや、バラの棘の痛そうな様子まで、見事に再現しています。科学的に正確であり、芸術的に美しい、植物画の理想です。とりわけ、彼は、バラの絵が得意だったようです。
 『美花選』は、ルドゥーテの集大成といえる画集です。バラをはじめ、アネモネ、ヒヤシンス、スイセン、チューリップ、アジサイ、ツバキ、ムクゲ、パンジーなど、たくさんの花々が描かれています。今回の展覧会で、この『美花選』の絵を見ることができます。
 中には、果実も描かれています。リンゴ、モモ、ブドウ、セイヨウハシバミなどです。ぷっくりしたモモの絵など、モモの果皮のざらついた感触まで、伝わるようです。
 個人的には、『美花選』の中で、ヨウラクユリの変種ルテアの絵が、気に入りました。黄色い花が、輝く王冠のように見えます。豪華なヨウラクユリとは対照的に、シンプルなサフランの絵も、好きですね。上品な花の立ち姿です。
 この展覧会は、5月18日(月)に、展示替えがあります。この日を挟んで、前期と後期とで、作品が入れ替わります。前期・後期の両方を見れば、『美花選』のすべての絵を見ることができるそうです。計画的に、御覧になってはいかがでしょうか。
図鑑↓↓↓↓↓には、、日本に分布する植物が八百種以上掲載されています。ban_zukan.net.jpg
インターネット生物図鑑-zukan.net-


 ルドゥーテの『美花選』展については、以下のページに情報があります。
ルドゥーテ「美花選」展(日比谷図書文化館の公式サイト内ページ)
 過去の記事でも、現在、楽しめる生物関係のイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
わくわく! 大アマゾン展(2015/3/24)

2015年3月24日

わくわく! 大アマゾン展

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 国立科学博物館で、楽しい展覧会が開かれています。大アマゾン展です。早速、行ってまいりました。アマゾンの動物・植物・菌類に、たっぷり会えます。
 会場の最初のコーナーには、化石がたくさんあります。古生物のコーナーなのですね。ここでの見どころは、大きな翼竜の化石や、保存状態の良い昆虫の化石です。トンボやキリギリスなど、現代の昆虫によく似た姿の化石が、見られます。
 次のコーナーからは、現生の生物たちが、紹介されています。剥製【はくせい】標本と、骨格標本とが多いです。哺乳類のコーナーでは、ぜひ、南米独自の哺乳類グループに、注目して欲しいですね。アリクイ、ナマケモノ、アルマジロたちです。
 アリクイと、ナマケモノと、アルマジロとは、かつて、貧歯目【ひんしもく】という一つのグループに、まとめられていました。現在では、二つの目【もく】に分けられています。アルマジロが被甲目【ひこうもく】、ナマケモノとアリクイとが有毛目【ゆうもうもく】です。被甲目と有毛目とは、南米大陸で独自に進化したと考えられています。
 鳥類のコーナーは、きらびやかです。インコ、ハチドリ、オオハシ、マイコドリ、タイランチョウなど、派手な種の鳥が多いからです。ここでも、南米独自のグループを、見逃さないで欲しいです。ツメバケイ、ジャノメドリ、ラッパチョウなどの鳥たちです。
 爬虫類のコーナーでは、何よりも、巨大なアナコンダに驚きます。長さ5m以上もある大蛇を、目の当たりにできる機会なんて、そうはありません。こんな大きさの生きた大蛇は、ヒトを食べることもできます。会場にあるのは、標本ですから、安心です。
 水生生物のコーナーでは、アマゾンカワイルカと、ガンジスカワイルカとの頭骨を、比較できます。同じように河に棲むイルカなのに、まるで頭骨が違います。
 植物のコーナーでは、水草が特集されています。アマゾン川の水草は、激しい水位の変動に、どのように対応するかという問題を抱えています。中には、驚くべき方法で、対応している種があります。その方法は、会場の解説を読んでみて下さい。
 御家族連れでも、カップルでも、お一人でも、春のお出かけに良い展覧会でしょう。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、アマゾン川流域の生物は載っていません。かわりに、日本に分布する生物が、千種以上掲載されています。ban_zukan.net.jpg
インターネット生物図鑑-zukan.net-


 大アマゾン展の情報は、以下のウェブサイトにあります。
大アマゾン展 公式サイト
 過去の記事でも、南米の動植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
じつは食べられる? カンナ(2014/9/12)
ピーマンとトウガラシとは、同じ? 違う?(2014/8/8)
白鷺だけど、白くない? アマサギ(2014/4/21)
トケイソウの果実が、パッションフルーツ?(2013/8/16)
人を殺せるカエルがいる?(2013/6/3)
などです。


2014年12月30日

南半球のふしぎな植物たちへ、大航海

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 毎日、寒いですね。こう寒いと、屋外へ出かける気力がなくなります。今回は、屋内の生物関係のイベントを紹介しましょう。東京・渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開かれている「キャプテン・クック探検航海と『バンクス花譜集』展」です。
 この展覧会では、南半球の植物画が、たくさん見られます。キャプテン・クックを船長とする探検隊が、南半球で発見した植物の絵です。フランス領ポリネシア(ソシエテ諸島)、ニュージーランド、オーストラリア、ジャワ島に産する植物たちです。
 クックの探検隊が航海をしたのは、十八世紀のことです。当時、南半球の植物は、ヨーロッパ人に、ほとんど知られていませんでした。探検隊は、多くの素晴らしい植物画を描いて、世界の人々に、南半球の植物を知らせることになりました。
 もちろん、植物の標本も、たくさん、ヨーロッパに持ち帰られました。それらの標本に基づいて、正式な種名(ラテン語の学名)が付けられました。
 例えば、バンクシア属の植物は、この航海で発見されました。現在では、バンクシア属は、オーストラリアを代表する植物となっています。
 展覧会の会場では、バンクシア・セルラータ、バンクシア・インテグリフォリアなど、複数のバンクシアの絵を見ることができます。もさもさした花と、不思議な形をした果実とが、一緒に描かれています。この果実の形に、意味があります。
 絵には、ぱっくりと口を開いたような形の果実が、いくつも付いています。この口から、種子が放出されます。ところが、ある条件が揃わないと、果実は口を開きません。したがって、種子も放出されません。その条件とは、山火事に遭うことです(!)
 じつは、オーストラリアには、山火事がとても多いのですね。乾燥した気候のためです。山火事に耐える力がない植物は、焼け死ぬしかありません。バンクシア属の植物は、その条件を逆手にとって、山火事のあとに、種子が芽吹くようにしました。
 不思議で、見事な環境への適応ですね。会場では、バンクシア属以外にも、ちょっと不思議な形の植物画を見ることができます。ぜひ、足をお運び下さい。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する植物が、八百種以上が掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-


 キャプテン・クック探検航海と『バンクス花譜集』展に関する情報は、以下のページにあります。
キャプテン・クック探検航海と『バンクス花譜集』展(Bunkamuraの公式サイト内ページ)
 過去の記事でも、南半球の植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
最も背の高い樹木とは?(2014/2/28)
地球の歴史の謎を解く? ドクウツギ(2013/11/8)
バナナは、最古の栽培植物?(2013/1/18)
マタタビは、ヒトも食べられる?(2012/3/9)
縄文杉に「姉妹」ができる? カウリコーパルノキ(2009/4/21)
などです。



2014年11月16日

国立科学博物館の生物たち

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 この秋、国立科学博物館で、面白い催しが、いくつも開かれています。生物に関わる展示も、多いです。早速、行ってまいりました。
 まずは、特別展「ヒカリ展」です。この特別展は、光に関わることすべてを紹介しています。その中に、光る生物の紹介があります。光る生物には、自然に光るものと、人工的に光らせるようにしたものとがあります。両方が展示されています。
 自然に光る生物では、光るサンゴが、美しいです。生きたサンゴが、水槽に入っているのを、見ることができます。光る深海魚も、自然に光る生物ですね。会場には、光る深海魚として、ヒカリキンメダイと、マツカサウオとがいます。
 人工的に光らせた生物としては、「光る花」や、「光るカイコ」がいます。もともとは光らない植物やカイコに、光るための遺伝子を入れて、光らせるようにしました。この光を、不自然だと嫌うのか、美しいと好きになるかは、人によるでしょう。
 次に、企画展「ヨシモトコレクションの世界」です。この会場では、たくさんの哺乳類の剥製【はくせい】標本に、迎えられます。どの標本も、とてもよくできています。まるで生きているようです。これらは、もと、ヨシモトさんという日系人の持ち物でした。
 ヨシモトさんのコレクションが、なぜ、科学博物館にあるのでしょう? なぜ、こんなに多くの剥製標本を、ヨシモトさんは集めたのでしょう? これらの答えは、会場にあります。答えを知れば、ヨシモトさんの志に、心を打たれるでしょう。
 最後に、NEWS展示「昭和天皇のヒドロ虫類ご研究を通した国際交流」です。昭和天皇は、海洋生物の研究者でもありました。中でも、ヒドロ虫【ちゅう】というグループの専門家でした。ヒドロ虫の研究は、地味な分野で、やっている人が少ないです。
 このため、昭和天皇は、外国のヒドロ虫研究家とも、よく連絡を取り合い、研究に励まれました。その足跡が、ベルギーの博物館に残っていました。遠いベルギーで、昭和天皇が、自ら採集された生物の標本が、見つかったのです。会場では、それらの標本や、昭和天皇がご研究に使われた顕微鏡などを、見ることができます。
図鑑↓↓↓↓↓には、ホタル、ウミホタル、オワンクラゲなどの光る生物や、ヒドロ虫類のカツオノエボシ、ハナガサクラゲ、ハネウミヒドラなどが掲載されています。
ban_zukan.net.jpgインターネット生物図鑑-zukan.net-


 国立科学博物館の催しについては、以下のページに案内があります。
ヒカリ展 公式サイト
ヨシモトコレクションの世界(国立科学博物館の公式サイト内ページ)
昭和天皇のヒドロ虫類ご研究を通した国際交流(※注:直接、pdfにつながります)
などです。


2014年8月26日

知の地層、インターメディアテク

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 夏休みも、そろそろ、終わりですね。宿題が片付かなくて、焦っている方も多いのではないでしょうか?(笑) 今回は、夏休みの自由研究に役立ちそうな博物館を紹介しましょう。インターメディアテクという博物館です。
 ここは、新しい博物館です。開館して、まだ一年しか経ちません。なのに、展示物や、展示の仕方が、古めかしいです。それは、わざとそうしているのですね。ヨーロッパの歴史ある博物館を、イメージしているそうです。
 とはいえ、標本に古い物が多いのは、本当です。ここにあるのは、明治時代から、東京大学によって、集められてきた標本だからです。東京大学の総合研究博物館のコレクションが、ここで公開されています。むろん、最近の新しい標本もあります。
 展示室内では、大型の骨格標本が、目立ちます。クジラ、イルカ、オットセイ、キリン、ウマなどの骨格標本に、見下ろされます。もう少し小さいところでは、イヌ、ネコ、カピバラなどの骨格標本もあります。もっとずっと小さい、モグラ、コウモリ、ハツカネズミなどの骨格標本も、見ることができます。
 哺乳類ばかりでなく、鳥類、爬虫類、両生類、魚類の骨格標本もあります。哺乳類と鳥類と爬虫類については、剥製【はくせい】の標本も、展示されています。
 特に、鳥類の剥製標本は、充実しています。ちょうど今、「アヴェス・ヤポニカエ――日本の鳥」という特別展示が、行なわれています。この企画では、鳥の剥製標本の隣に、同種の鳥の博物画を並べて、展示しています。見比べることができるのですね。
 博物画とは、主に、十九世紀以前の時代に描かれた絵です。動物や、植物や、鉱物といった自然の産物を、可能な限り、事物に即して、正確に描きました。なぜなら、それは、自然を分類し、体系づけるための絵だったからです。科学の芽生えですね。
 日本では、明治時代になってから、本格的に科学が始まりました。でも、江戸時代以前の日本に、科学の芽がなかったわけではありません。会場にある博物画が、それを示しています。日本の科学は、長い時間に積み重ねられた、知の地層の上にあるのですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本に生息する野生生物が、二千種近くも掲載されています。ban_zukan.net.jpgインターネット生物図鑑-zukan.net-


 インターメディアテクの情報は、以下の公式サイトにあります。
インターメディアテク 公式サイト


 過去の記事でも、夏休みの自由研究に役立つ博物館を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
どうする? どうなる! 外来生物(2014/7/23)
古代から現生へ、哺乳類たち(2014/7/22)
毒毒毒毒毒毒毒毒毒展【もうどくてん】(2014/7/17)
などです。


2014年7月23日

どうする? どうなる! 外来生物

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 最近、ニュースで、外来生物が取り上げられることが多いですね。アライグマ、カミツキガメ、ブラックバス(オオクチバスなどの総称)といった名前を、聞いたことがおありでしょう。これらは、みな、ここ数十年の間に、日本にやってきた外来生物です。
 今、外来生物が問題になっているのは、人間の手によって、急速に、大量に、生物が運ばれるからです。あまりにも急速かつ大量なので、在来の生物たちが、それに対応できません。その結果、自然環境が荒れてしまいます。人間にも、被害が出ます。
 このような外来生物の実態が、よくわかる展覧会が、開かれています。特別展「どうする? どうなる! 外来生物」です。会場は、神奈川県立生命の星・地球博物館です。
 この展覧会では、外来生物の思わぬ害についても、知ることができます。例えば、外来生物は、必ずしも、外国から来たものではないことは、御存知ですか?
 国内であっても、本来の生息地ではない場所にやってきたのなら、それは、外来生物です。北海道の生き物を九州に運んだりしては、ダメということですね。
 会場では、新たな外来生物が、次々に現われている例が、報告されています。例えば、リュウキュウベニイトトンボです。この種は、細長いイトトンボの一種です。
 リュキュウベニイトトンボは、本来、九州南部から南西諸島にかけて分布します。ところが、二〇〇六年に、突然、神奈川県で、この種が確認されました。どこから、どのようにして侵入したのかは、まだ、解明されていません。
 九州北部以北には、リュウキュウベニイトトンボと似た別種の、ベニイトトンボが分布します。ベニイトトンボは、絶滅危惧種です。もし、関東に、リュウキュウベニイトトンボが定着してしまったら、それでなくても少ないベニイトトンボの生息地が、奪われるかも知れません。リュウキュウのほうが、繁殖力が強いため、その可能性は高いです。
 ベニイトトンボとリュウキュウベニイトトンボとは、よく似ています。神奈川県以外の地方でも、「希少なベニイトトンボがいると思って喜んでいたら、リュウキュウベニイトトンボだった」ことが、あるかも知れません。身近な自然の破壊は、恐ろしいですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本の在来生物が、一〇〇〇種以上掲載されています。ban_zukan.net.jpgインターネット生物図鑑-zukan.net-


 「どうする? どうなる! 外来生物」の情報は、以下のページにあります。
どうする? どうなる! 外来生物(生命の星・地球博物館の公式サイト内ページ)
 過去の記事でも、生き物関係の催しを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
毒毒毒毒毒毒毒毒毒展【もうどくてん】(2014/7/17)

2014年7月22日

古代から現生へ、哺乳類たち

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 上野の国立科学博物館で、「太古の哺乳類展」という展覧会が開催されています。題名のとおり、主役は、古代の絶滅した哺乳類です。けれども、最後のコーナーには、現在、日本で生きている哺乳類が、紹介されています。
 哺乳類は、地球の歴史の中では、最近に現われた動物です。このために、化石種であっても、現生種とつながりが深いものが多いです。現生種に近縁だったり、直接の祖先だったりするわけですね。中には、現生種と同種の場合もあります。
 例えば、ナウマンゾウは、現生のアジアゾウやアフリカゾウと近縁です。現代の日本には、野生のゾウはいませんが、すぐ隣のアジア大陸には、アジアゾウがいますね。約二万年前までは、日本にも、ナウマンゾウが栄えていました。
 日本からは、トラの化石も出ています。これは、現生種のトラと、まったく同じものだと考えられています。日本にも、トラがいたんですね。歴史時代に入る前、旧石器時代のヒトと、トラとは、同じ日本列島で暮らしていました。
 会場では、絶滅した哺乳類の化石と、現生の哺乳類の標本とを、見比べることができます。トラは、隣のアジア大陸では、今でも生きているのに、なぜ、日本列島では、滅びてしまったのでしょうか? この謎は、解けていません。
 ナウマンゾウのように、滅びた原因が、ある程度、推測されている種もいます。ナウマンゾウは、気候変動のために滅びたと考えられています。しかし、トラのように、絶滅原因がはっきりしない種も、多いのです。
 現代の日本の本土には、トラなどのネコ科の肉食獣は、いませんね。イヌ科の肉食獣なら、キツネやタヌキがいます。ニホンオオカミも、つい最近、ヒトによって滅ぼされるまでは、日本の肉食獣の頂点に立っていました。
 日本本土で、イヌ科が生き残って、ネコ科が滅びたのは、なぜでしょうか? イリオモテヤマネコや、ツシマヤマネコのように、離島に生きるネコ科がいるだけに、不思議ですね。太古の哺乳類展は、現生の哺乳類についても、考えさせてくれます。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本に生きる哺乳類が、八十種ほど掲載されています。ban_zukan.net.jpgインターネット生物図鑑-zukan.net-


 太古の哺乳類展は、以下に公式サイトがあります。
太古の哺乳類展
 過去の記事でも、生き物に関する催しを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
毒毒毒毒毒毒毒毒毒展【もうどくてん】(2014/7/17)
毒毒毒毒毒毒毒毒毒展【もうどくてん】(2014/7/17)

2014年7月17日

毒毒毒毒毒毒毒毒毒展【もうどくてん】

 東京、池袋のサンシャイン水族館で、面白い催しをやっています。「毒」という字を九つ並べて、「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展」です。これで、【もうどくてん】と読むそうです。
 毒のある生物ばかりを集めて、展示しているのですね。さっそく、行ってみました。
 入ると、すぐに、ハナミノカサゴがいます。毒がある魚です。全身が縞模様で、大きな鰭【ひれ】があり、ゆったりと優雅に泳いでいます。
 ハナミノカサゴが美しいのも、ゆったり泳ぐのも、毒があるからです。派手な模様は、「毒があるぞ」と警告するためです。毒のおかげで、敵に襲われることはまずないので、速く泳ぐ必要がありません。有毒生物に、動きが遅いものが多いのは、このためです。
 会場内で、動かない点では、オニダルマオコゼが、横綱級でしょう。やはり、毒のある魚です。ハナミノカサゴと違って、華やかな外見ではありません。むしろ、ごつごつして、岩のようです。じっとしていると、海底の岩にしか見えません。
 オニダルマオコゼは、他の魚を襲って食べる肉食魚です。自分を岩のように見せるのは、獲物に気づかれないためです。毒があっても、地味な種もいるわけです。
 他に、動きの遅い毒生物としては、スローロリスがいます。これは、サルの一種です。哺乳類ですね。哺乳類で有毒なものは、少ないです。スローロリスは、肘【ひじ】の内側に、毒を出す腺を持ちます。この毒をなめ取って、全身に広げるのだそうです。
 魚類や哺乳類以外にも、たくさんの毒生物を、会場で見ることができます。アカクラゲ、ムラサキハナギンチャク(以上、刺胞【しほう】動物)、タガヤサンミナシ、ヒョウモンダコ(以上、軟体動物)、ラッパウニ、アデヤカキンコ(以上、棘皮【きょくひ】動物)、ベトナムオオムカデ、ゴライアスバードイーター(以上、節足【せっそく】動物)、ジュウジメドクアマガエル(両生類)、アメリカドクトカゲ(爬虫類)などです。
 少ないながら、有毒の植物も、展示されています。伝説的な毒植物、マンドラゴラが見られますよ。実在する植物ですが、日本で見られるのは、珍しいです。
 小規模な展示なので、サンシャイン水族館本体と合わせて見るのが、お勧めです。

図鑑↓↓↓↓↓には、ムラサキハナギンチャク、ヒョウモンダコ、ラッパウニなど日本に棲む有毒生物が掲載されています。ban_zukan.net.jpgインターネット生物図鑑-zukan.net-


 毒毒毒毒毒毒毒毒毒展【もうどくてん】については、以下のサンシャイン水族館のサイトに、案内が載っています。
 また、休日などは、混雑することもあるようです。お出かけ前に、サンシャイン水族館のツイッターを確認すると、混雑状況がわかって、便利です。

毒毒毒毒毒毒毒毒毒展【もうどくてん】~毒を持つ生き物~
サンシャイン水族館のツイッター

2014年4月28日

深海生物に会える、たまがわ深海大図鑑展

 ゴールデンウィークですね。連休中に楽しめそうな展覧会に、行ってまいりました。玉川高島屋で開かれている「たまがわ深海大図鑑展」です。
 小規模ながら、見どころが多い展覧会です。まず、必見なのは、シアターで見られる深海の映像です。大画面で見られるので、迫力があります。透明で見えにくい生物の姿も、ハイビジョン映像で、くっきり見られます。
 会場には、たくさんの深海生物の標本があります。普通、標本というと、色も形も崩れてしまって、何だかよくわからないものが多いですね? ところが、この会場には、そうではない標本があります。プラスチックに封入された標本です。
 これらのプラスチック標本は、体色も、形も、美しいままです。例えば、クリガニの甲羅の棘も、ハダカイワシの銀色の鱗【うろこ】も、そのまま残っています。
 じつは、このプラスチック標本の中に、新種らしい深海魚がいるそうです。会場の係員さんから、お話を聴くことができました。それは、「チヒロホシエソ属の一種」というラベルが付いた標本です。世界初の新種(?)を、見られるチャンスですね。
 会場には、生きた深海生物も、展示されています。オウムガイ、ヤマトトックリウミグモ、ヌタウナギ、ボタンエビ、チゴダラ、ウチワエビ、ヨコスジヤドカリなどが、見られます。特に、生きたチゴダラが見られるのは、奇跡的なほど、珍しいです。
 生きた深海生物の中には、触れるものもいます。オオグソクムシに触れます。最近、絶食することで有名になった、ダイオウグソクムシの近縁種です。
 他にも、何種か、触れる深海生物が、待機しています。私が行った時には、オオグソクムシと同時に、タカアシガニにも触らせてもらえました。
 触れる標本としては、ホンフサアンコウ、ヌタウナギ、ヨロイザメの表皮もあります。触ってみると、感触の違いがわかって、面白いです。
 会場では、他にも、ダイオウイカのカラー魚拓や、タスマニアキングクラブの剥製【はくせい】、サクラエビの透明標本など、とても貴重なものに、会うことができます。
図鑑↓↓↓↓↓には、キアンコウ、ズワイガニ、タカアシガニなど、日本付近の深海に棲む生物が掲載されています。
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 たまがわ深海大図鑑展の情報は、以下のページにあります。
たまがわ深海大図鑑展(玉川高島屋ショッピングセンターの公式サイト内ページ)

 過去の記事でも、連休のお出かけによいイベントを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
華麗な花の饗宴『フローラの神殿』大公開(2014/4/17)
などです。



2014年4月17日

華麗な花の饗宴『フローラの神殿』大公開

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 春ですね。お出かけしたくなる季節です。今回は、素敵なお出かけ先を紹介しますね。町田市立国際版画美術館です。ここでは、現在、植物画の展示が行なわれています。
 展示されているのは、『フローラの神殿』という植物図鑑の図版です。『フローラの神殿』は、一七九八年から一八〇七年にかけて、ロンドンで刊行されました。
 図鑑の絵というと、背景が真っ白な中に描かれた、無味乾燥なものを想像されるかも知れませんね。ところが、『フローラの神殿』の絵は、そうではありません。植物の背景に、趣【おもむき】のある風景が描かれています。植物学的なことを除いても、美しい絵です。
 背景が描かれているのには、理由があります。植物の生息地や、生態を表わす役割があるのです。例えば、「夜の女王」というサボテンの一種の絵は、背景が暗く、月が出ています。これは、夜に花が咲く種であることを、表わしています。
 「ベニゴウカン」という種の絵には、ハチドリ(蜂鳥)が一緒に描かれています。これは、ハチドリが、ベニゴウカンの花の蜜を吸って、花粉を媒介することを、表わしています。ベニゴウカンは、日本のネムノキに近縁な種です。マメ科に属する一種です。
 会場には、『フローラの神殿』以外の植物図鑑の図版もあります。『健康の庭』という図鑑のものです。これは、十五世紀末から十六世紀の初めにかけて、ヨーロッパでベストセラーになりました。『フローラの神殿』より、三百年ほど前の図鑑です。
 見比べると、この三百年の間に、植物画の技術が、非常に進歩したことがわかります。『健康の庭』の絵は、素朴すぎて、種が何なのか、判別しがたいものが多いです。『フローラの神殿』のほうは、種の判別が容易なうえに、芸術的にも優れています。
 植物画を見た後には、ぜひ、美術館の周囲を散策されることを、お勧めします。国際版画美術館は、緑豊かな環境にあり、本物の植物を、たくさん見ることができるからです。ちょうど、館外のフラワーポットに、春の花が咲いています。
 国際版画美術館では、『フローラの神殿』公開と同時期に、ピカソの展覧会も開かれます。ピカソのほうは、有料ですが、『フローラの神殿』のほうは、無料で見られます。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本の植物が、800種以上が掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-


 町田市立国際版画美術館の公式サイトは、以下にあります。
国際版画美術館
 過去の記事でも、上記の展覧会で展示されている植物画の植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
シュウカイドウとベゴニアとは、同じ? 違う?(2013/9/13)
トケイソウの果実が、パッションフルーツ?(2013/8/16)
咲いた、咲いた、チューリップ(2009/4/13)
スイレンとハスはどう違う?(2006/7/13)
などです。


2014年2月18日

ダーウィンフィンチの展覧会

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 国立科学博物館で、ミニ企画展「ダーウィンフィンチ」が開かれています。これを見に行ってまいりました。ミニ企画展なので、ごく小さな展覧会です。常設展と一緒に見るのが、良いと思います。常設展と同じチケットで、見られます。
 小さくても、見る価値がある展覧会でした。何といっても、ダーウィンフィンチの実物標本を見られるのが、素晴らしいです。これまで、日本では、生きたダーウィンフィンチどころか、標本を見ることさえ、ほぼ不可能だったからです。
 ダーウィンフィンチとは、世界中で、ガラパゴス諸島と、ココ島にだけ分布する小鳥の一グループです。全部で十五種います。ダーウィンという名は、進化論を提唱した学者のダーウィンにちなんでいます。その名のとおり、進化論を示唆する鳥たちです。
 ガラパゴス諸島に、ダーウィンフィンチの祖先がやってきた時には、一種の小鳥だったと考えられています。それが、ガラパゴス諸島の多様な環境に適応して、十四もの種に分化しました。残りの一種は、ココ島のものです。
 他のガラパゴス諸島の生き物と同じように、ダーウィンフィンチも、厳重に保護されています。標本でさえ、特別な許可を得なければ、移動することができません。このために、日本では、ダーウィンフィンチの標本すら、見られなかったわけです。
 展覧会では、標本以外に、精密な模型や、博物画を見ることもできます。模型は、バードカービングと呼ばれるものです。木で作った鳥の彫刻です。日本のバードカービングの第一人者、内山春雄さんの作品です。
 内山さんのバードカービングは、「彫刻」というイメージを超えています。生きた鳥が、目の前にいるかのようです。博物館の展示に使われるのも、当然だと感じます。
 最近の研究により、ダーウィンフィンチのそれぞれの種が、どのように分化してきたのか、わかってきました。展覧会で、その成果も、披露されています。
 ダーウィンフィンチの中には、驚くべき食べ物を、常食している種もいます。その食べ物とは? ぜひ、展覧会で、確かめて下さい。


図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ダーウィンフィンチは、載っていません。かわりに、日本の鳥が、二百種以上が掲載されています。
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 ミニ企画展「ダーウィンフィンチ」については、以下のページに載っています。
ダーウィンフィンチ(国立科学博物館の公式サイト内ページ)


 過去の記事でも、さまざまな鳥類について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
新種発見、その時、歴史が動いた?(2014/2/3)
オオセッカの画像(2014/1/5)
夏鳥と冬鳥と、どちらが多い?(2013/9/30)
アカゲラ? いえ、オオアカゲラです(2013/8/19)
ヤマバト(山鳩)とは、どんなハト?(2013/5/6)
などです。


2013年12月14日

海の森のふしぎ

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 生き物の名前には、名づけた人のセンスが表われますね。以下のような種名を付けた人は、みやびやかなセンスを持っていたと思います。ハゴロモ(羽衣)、アヤギヌ(綾絹)、アヤニシキ(綾錦)、イチメガサ(市女笠)、ユカリ(紫)などです。
 さて、これらは、何の種名でしょうか? すべて、海藻の種名です。どれも、正式な日本語名(標準和名)です。それぞれの海藻の色や形から、ふさわしい名が付けられています。例えば、ユカリは、名のとおり、赤紫色をしていることが多いです。
 もっとわかりやすい種名の海藻もあります。ウミウチワ(海団扇)、フクロノリ(袋海苔)、ケヤリ(毛槍)、フクロツナギ(袋つなぎ)などです。
 ウミウチワなら、「海に生える、うちわ状のもの」と、見当がつきますね。フクロノリは、文字どおり、袋型の海藻です。ケヤリは、先端がふさふさして、毛槍のようです。フクロツナギは、細長い袋がつながった形をしています。
 中には、笑ってしまう種名もあります。ツルツル、ガラガラなどという海藻があるのです。これらも、正式な日本語名(標準和名)です。どちらも、海藻の手触りから名づけられました。つるつるだからツルツル、がらがらしているからガラガラです(笑)
 こんな種名を知れば、「実際の海藻は、どんなだろう?」と思いますよね。ここに挙げた海藻は、今、東京のLIXIL【リクシル】ギャラリーで見ることができます。このギャラリーで開催中の「海藻 海の森のふしぎ」展に、たくさんの海藻が展示されています。
 会場には、実物の海藻を、押し葉標本にしたものが、ずらりと並んでいます。どの標本も、単純な形なのに、美しいです。無心の美に惹かれます。
 会場のモニターでは、海藻の生態写真が流されています。また、海藻の細密画も展示されています。「これを描くのに、いったい、どれだけの時間と根気が必要なのかしら?」と思うくらい、精密な絵です。科学的に正確で、芸術性をも備えています。
 小規模な展覧会です。入場無料で、交通が便利な所にありますので、都心にお出かけの際に、ふらりと立ち寄ってみると、よいと思います。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、海藻は載っていません。海藻と同じように、海に生える海草のアマモが掲載されています。
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 「海藻 海の森のふしぎ」展の情報は、以下のページにあります。
海藻 海の森のふしぎ(LIXILギャラリーの公式サイト内ページ)
 過去の記事でも、現在、開催中の、生物に関する展覧会を紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
砂漠に生きるものたちの展覧会(2013/11/28)




2013年11月28日

砂漠に生きるものたちの展覧会

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 国立科学博物館へ、行ってまいりました。話題の大恐竜展......も面白いのですが、今回、紹介するのは、別の展覧会です。「砂漠を生き抜く」という小企画展を、見てきました。
 この企画展では、砂漠に生きるヒトと、ヒト以外の動物と、植物とを紹介しています。砂漠は、御存知のとおり、ヒトが生きるには、厳しい環境ですね。とはいえ、現にそこに住む人たちは、おおぜいいます。どうやって、砂漠で生き抜いているのでしょうか?
 砂漠には、砂漠に適応した動物や植物がいます。ヒトは、それらの力を利用して生きています。動植物の力を借りなくては、ヒトは、砂漠で生きることはできません。
 砂漠の動物で、最も有名なのは、ラクダでしょう。企画展の会場には、入口に、大きなヒトコブラクダの剥製【はくせい】標本があります。ヒトコブラクダは、北アフリカから西アジアにかけて、砂漠で使われているラクダの一種です。
 会場では、ヒトコブラクダが、砂漠でどれほど役立つ動物なのか、紹介されています。砂漠と隣接した海でも、ラクダが使われることがあります。「海にラクダ」なんて、想像がつかない組み合わせですね? どのように使われるのかは、ぜひ、会場で見て下さい。
 砂漠の植物で、有名なのは、サボテンでしょう。けれども、この会場には、サボテンは登場しません。サボテンは、南北アメリカ大陸の植物だからです。この企画展で取り上げられるのは、アルジェリア、エジプト、スーダンなどの、北アフリカの国々です。
 北アフリカから西アジアにかけての地域で、砂漠で役立つ植物といえば、何と言ってもナツメヤシです。非常に古くから--五千年以上前から--栽培されています。
 ナツメヤシは、果実も、葉も、繊維も、木材も、すべて人間に役立ちます。ナツメヤシという種名は、「ナツメのような形の果実が実るヤシ」という意味です。主に、この果実が、食用にされます。果実の違いによって、何千もの品種があります。
 会場では、この他にも、何種もの動植物が紹介されています。ハムスター、ガゼル、トゲオアガマ、モロコシ(ソルガム)、メスキートなどです。日本人には、馴染みのない動植物が多いですね。どんな動植物なのか、会場で確かめてみて下さい。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、砂漠の生き物は、載っていません。かわりに、日本の動植物が、何百種もが掲載されています。
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 企画展「砂漠を生き抜く」については、以下のページに情報があります。
砂漠を生き抜く --人間・動物・植物の知恵--(国立科学博物館の公式サイト内ページ)

2013年9月21日

日本のアザミの秘密

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 国立科学博物館へ行ってまいりました。現在、ここでは、小企画展「日本のアザミの秘密」を開催しています。それを見てまいりました。
 小規模で、地味な展覧会です。けれども、じっくり見ると、新しい発見が、たくさんあります。パネルの解説を、ていねいに読んでみましょう。
 アザミという植物は、おそらく、誰もが御存知でしょう。棘だらけで、赤紫の花が咲く植物ですね。専門的には、キク科アザミ属に属する種を、アザミと総称します。
 日本には、アザミの種は、どれくらいあると思いますか? なんと、百五十種以上もあります! しかも、まだ、発見されていない種があると考えられています。
 例えば、会場には、テシオアザミという一種の標本が展示されています。これは、二〇一三年九月、つまり今月に記載されたばかりの種です。発見されたて、ほやほやです。
 三十年ほど前には、日本のアザミは、六十種ほどだとされていました。それが、百五十種以上にも急増したのは、近年、研究が進んだからです。国立科学博物館が、いろいろな人たちと協力しながら、研究を進めてきました。その成果が、会場で見られます。
 狭い国土に、なぜ、百五十以上もの種があるのでしょうか? その答えは、会場にあります。ちなみに、日本よりずっと広いユーラシア大陸では、そんなにたくさんの種は、確認されていません。不思議ですよね? ぜひ、会場で、答えを確かめて下さい。
 発見されて間もない一種に、ハッタチアザミがあります。変わった種名ですね。福島県いわき市の波立【はったち】海岸という所で発見されたため、この種名になりました。
 ハッタチアザミは、世界中のうち、福島県いわき市にしか、分布が確認されていません。そんなハッタチアザミを、東日本大震災の津波が襲いました。
 津波により、海岸のハッタチアザミは、消えてしまいました。幸いなことに、内陸に生えているものは、被害をまぬがれました。今、ハッタチアザミは、地元の人々の手厚い保護を受けています。このようなハッタチアザミの様子も、会場で紹介されています。
 展覧会を見れば、日本が、世界に誇る「アザミの王国」であると、わかるでしょう。



 企画展「日本のアザミの秘密」の情報は、以下のページにあります。
日本のアザミの秘密(国立科学博物館の公式サイト内ページ)

図鑑↓↓↓↓↓には、キク科アザミ属の植物が、五種ほどが掲載されています。
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過去の記事でも、現在見られる生き物関係の展覧会を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
魚類図鑑の革命を起こした人とは?(2013/8/21)
日本の誇るべき『大日本魚類画集』(2013/8/15)
特別展「深海」には、深海生物がいっぱい!(2013/7/11)などです。


2013年8月21日

魚類図鑑の革命を起こした人とは?

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 神奈川県立 生命の星・地球博物館へ行ってまいりました。特別展「益田 一【ますだ はじめ】と日本の魚類学」を見るためです。
 益田一さんの名は、ダイビングをやる方なら、一度は耳にしたことがあるでしょう。日本の職業ダイバーの草分けといえる方です。水中写真家の草分けでもありました。
 現在、日本の優れた魚類図鑑の中で、益田さんの影響を受けていないものは、ありません。それほど、日本の魚類学に、大きな貢献をした方です。
 スキューバダイビングというものが実用化されるまで、人類は、水中の世界を、ほとんど見たことがありませんでした。生きている魚の姿を見ることも、少なかったわけです。ましてや、水中で魚の写真を撮るなど、思いもよらぬことでした。
 このために、魚類図鑑といえば、魚の絵が描いてあるものでした。それが常識だったのです。「生きている魚を撮った写真で、図鑑を作る」のは、長い間の夢でした。
 その夢は、日本では、事実上、益田一さんにより、かなえられました。益田さんが協力して作られた魚類図鑑は、枚挙にいとまがありません。現在では、写真の載った魚類図鑑のほうが、普通ですね。それまでの常識を壊して、魚類図鑑に、革命を起こしました。
 益田さんは、いくつもの魚の新種も発見しています。新種の発見には、多くの人が関わるので、益田さん一人の業績とは言えないかも知れません。とはいえ、益田さんの力がなければ、発見できなかった種があるのは、事実です。
 展覧会の会場には、益田さんが発見に関わった魚の標本や、写真が、展示されています。益田さん御自身が撮影した写真も、多いです。中には、ラテン語の学名に、「masudai」と付いた種もあります。むろん、益田さんにちなんで名づけられたものです。
 会場には、益田さんが製作に関わった魚類図鑑も、展示されています。私自身、見覚えがある図鑑が、いくつもありました。日本で、魚好きの方なら、これらの図鑑のどれかに、お世話になっているはずです。間接的に、益田さんにお世話になっていますね。
 魚好きの方、ダイビングをやる方は、行って損はない展覧会だと思います。

図鑑↓↓↓↓↓には、日本産の魚類が、五十種ほど掲載されています。
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特別展「益田 一【ますだ はじめ】と日本の魚類学」に関する情報は、以下のサイトにあります。
特別展「益田 一【ますだ はじめ】と日本の魚類学」(神奈川県立 生命の星・地球博物館の公式サイト内ページ)


過去の記事でも、現在、開催中の生き物に関する展覧会を取り上げています。夏休みの自由研究に役立ちそうな展覧会が多いです。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
日本の誇るべき『大日本魚類画集』(2013/8/15)
じつは先進国だった? 江戸の園芸文化(2013/7/31)
大昆虫展 in 東京タワー(2013/7/23)
マンモスYUKAと、現生のゾウとの関係は?(2013/7/20) 
特別展「深海」には、深海生物がいっぱい!(2013/7/11)などです。



2013年8月15日

日本の誇るべき『大日本魚類画集』

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 今年の夏は、暑いですね。暑さ除けになる展覧会に行ってまいりました。東京ステーションギャラリーで開かれている「大野麥風【おおの ばくふう】展」です。
 大野麥風は、明治から昭和にかけて活躍した画家です。一般には、ほとんど名が知られていませんね。しかし、今回、実物の作品を見たことで、「この人は、今後、何百年も名を残すべき画家だ」と、確信しました。見ておいて、損はありません。
 麥風の業績は、いくつもあります。ここでは、生き物に関することに絞って紹介しましょう。特に大きな業績は、『大日本魚類画集』の原画を担当したことです。
 『大日本魚類画集』は、美しい木版画で、日本の魚類を紹介した本です。淡水魚も、海水魚も、載っています。この木版画が、芸術と科学との融合のお手本になっています。生物学的に正確な生態を表わしつつ、芸術的な美しさに到達しています。
 例えば、フナのような、地味な魚でも、麥風の手にかかれば、精緻【せいち】な美しさを表わします。同じく、地味なマイワシも、流れるような群れで描かれています。今にも、ぴちぴちと、画面から跳ね出してきそうです。写真以上の迫真性です。
 南西諸島など、一部の海域を除いて、日本産の魚には、派手さがありません。そんな魚たちを、「これほど美しく描く手段があったのか」と、驚嘆させられます。
 麥風の魚たちは、群れをなすものは、群れで描かれています。また、魚が暮らす周囲の環境も、適確に描かれています。例えば、「海の岩礁で、フジツボやイソギンチャクと一緒にいる」、「砂の海底にじっとしている」、「藻が生えた淡水にいる」などです。
 『大日本魚類画集』は、解説文も、格調高く、面白いです。けれども、絵を見るだけでも、自然に、魚の生態がわかるように作られています。
 麥風の画業は、一朝一夕になされたものではありません。麥風以前の人々の、博物画【はくぶつが】の伝統を受け継いでいます。会場には、江戸時代に描かれた、魚類や、海産無脊椎動物の絵もあります。麥風以後の博物画も、展示されています。
 涼やかな水中の絵を見ると、暑さが引きます。暑気払いに、いかがですか?


図鑑↓↓↓↓↓には、日本産の魚類が、五十種ほど掲載されています。
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 大野麥風【おおの ばくふう】展の情報は、以下のサイトにあります。
大野麥風展(東京ステーションギャラリーの公式サイト内ページ)


 過去の記事でも、現在、開催中の生物に関する展覧会を紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
じつは先進国だった? 江戸の園芸文化(2013/7/31)
大昆虫展 in 東京タワー(2013/7/23)
マンモスYUKAと、現生のゾウとの関係は?(2013/7/20) 
特別展「深海」には、深海生物がいっぱい!(2013/7/11)などです。


2013年7月31日

じつは先進国だった? 江戸の園芸文化

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 夏の朝は、早起きが気持ちいいですね。早く起きれば、アサガオ(朝顔)の花を見ることができます。アサガオは、日本の夏を代表する花ですね。
 アサガオは、日本原産の種ではありません。けれども、園芸植物として発達したのは、日本です。とりわけ、江戸時代に、アサガオは、もてはやされました。
 変化朝顔【へんげあさがお】と呼ばれるアサガオを、御存知でしょうか? 花の形が、特に変わったアサガオの品種を指します。八重咲きのもの、花びらが細かく切れたもの、花が二段重ねのようになったものなどがあります。
 「そんなアサガオは、見たことがない」方が、大部分でしょう。私も、実物の変化朝顔は、見たことがありません。絵で見る限り、あまりにもファンタスティックな形です。普通のアサガオとは、違いすぎます。これらが実在したとは、信じがたいです。
 しかし、それらは、江戸時代に実在しました。変化朝顔を記録した絵図が、いくつも残されています。当時、世界のどこにも、そんなアサガオはありませんでした。江戸時代の人々が、独自の品種改良により、作りだしたのです。
 江戸の人々が栽培して、たくさんの品種を作った植物は、アサガオだけではありません。ハナショウブ(花菖蒲)や、キク(菊)なども、そうです。さらには、花を楽しむのではない植物でも、品種改良が行なわれました。葉や茎の美しさを楽しむためです。
 オモト(万年青)やマツバラン(松葉蘭)といった種は、もっぱら、葉の模様や、植物全体の形を楽しむために、栽培されました。マツバランに至っては、そもそも、花が咲かず、葉さえもありません。こんな地味な植物を、よくぞ栽培しようと思ったものです。
 江戸時代の人々は、独自の審美眼を持って、多くの植物を栽培し、楽しんでいたのですね。当時の日本は、鎖国はしていても、園芸文化の先進国でした。
 そんな江戸の園芸文化を紹介する催しが、開かれています。江戸東京博物館の「花開く 江戸の園芸」という展覧会です。前記の変化朝顔や、ハナショウブの品種、マツバランの品種などを、美しい絵図で見ることができます。夏のお出かけに、いかがですか?


図鑑↓↓↓↓↓には、アサガオ、オモト、マツバラン、フクジュソウ、ウメ、サクラソウなど、江戸時代に広く栽培された植物が掲載されています。
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 展覧会「花開く 江戸の園芸」に関する情報は、以下に掲載されています。
花開く 江戸の園芸(江戸東京博物館の公式サイト内ページ)


 過去の記事でも、夏のお出かけに楽しい催しを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
大昆虫展 in 東京タワー(2013/7/23)
マンモスYUKAと、現生のゾウとの関係は?(2013/7/20) 
特別展「深海」には、深海生物がいっぱい!(2013/7/11)などです。



2013年7月24日

キリ

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キリ 画像
和名:キリ
学名:Paulownia tomentosa (Thunb. ex Murray) Steud.
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東京 品川【2013.07.21】

図鑑↓↓↓↓↓には、キリ掲載されています。
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2013年7月23日

大昆虫展 in 東京タワー

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 夏休み企画として、東京タワーで、大昆虫展が開かれています。早速、行ってみました。
 会場に入ると、たくさんの昆虫標本に迎えられます。日本の昆虫も、世界の昆虫もいます。たくさんい過ぎて、目移りするほどです。
 やはり、目立つのは、美しいチョウ(蝶)の仲間ですね。モルフォチョウ、トリバネアゲハ、アポロウスバシロチョウ、シジミタテハなどの類が見られます。
 青く輝くモルフォチョウと、緑に輝くトリバネアゲハとは、「世界で最も美しいチョウ」の座を争います。これらに負けないほど美しいのは、ツバメガの仲間です。名のとおり、ガ(蛾)の仲間ですが、普通にいるチョウより、よほどあでやかです。
 モルフォチョウも、トリバネアゲハも、ツバメガも、残念ながら、日本には分布しません。この会場では、これらの外国産の種が見られるのが、魅力ですね。
 甲虫の仲間にも、美しいものがいます。タマムシの仲間や、コガネムシの仲間には、金属光沢がある種が多いですね。クワガタの仲間にも、ニジイロクワガタのように、虹色に輝く種がいます。ハムシの仲間にも、コガネムシと見まがう、光り輝く種がいます。
 会場にいるのは、美しい種ばかりではありません。奇妙な形をした昆虫もいます。例えば、バイオリンムシや、コノハムシ、カレハカマキリの仲間などです。
 バイオリンムシは、楽器のバイオリンの形にそっくりです。コノハムシと、カレハカマキリとは、植物の葉に似ています。森の中にいたら、とても見つけられないでしょう。
 コノハムシは、草食性のおとなしい昆虫です。敵に見つからないように、木の葉に似せていると考えられます。逆に、カレハカマキリは、肉食性の昆虫です。獲物に忍び寄る時、気づかれないように、枯れ葉に似ているのではと考えられます。
 会場には、ところどころに、昆虫の生態の解説文があります。やさしい文章で書いてあるので、お子さんでも読みやすいと思います。農業環境技術研究所のコーナーだけは、ちょっと難しいです。お子さんには、大人が読んであげるといいですね。
 会場には、生きた昆虫と触れ合えるコーナーもあります。楽しいですよ。

図鑑↓↓↓↓↓には、日本の昆虫が、四百種ほど掲載されています。
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 大昆虫展in東京タワーについては、以下に情報があります。
大昆虫展in東京タワー(東京タワーの公式サイト内ページ)
 過去の記事でも、タマムシやコガネムシなど、美しい昆虫を取り上げています。また、奇妙な形をした昆虫も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
チョウ(蝶)には、秋型や夏型がある?(2012/9/3)
小さいコガネムシ? いえ、ハムシです(2011/4/25)
コガネムシは、自然体験の宝物(2008/7/14)
謎の円盤UFO? いえ、カメノコハムシです(2008/3/10)
玉虫色【たまむしいろ】とはどんな色?(2006/9/1)

などです。

2013年7月20日

マンモスYUKAと、現生のゾウとの関係は?

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 マンモスは、誰もが知っている絶滅動物ですね。ゾウ(象)の仲間です。現在も生きているアフリカゾウや、アジアゾウと近縁です。生きていた時の想像図を見ると、毛が長いだけで、アフリカゾウやアジアゾウと似ていますね。
 では、昔のマンモスが進化して、今のゾウになったのでしょうか?
 違います。マンモスは、アフリカゾウやアジアゾウの、直接の祖先ではありません。
 そもそも、マンモスと呼ばれるゾウの種は、何種もいます。専門的には、長鼻目【ちょうびもく】ゾウ科マンモス属に属する種を、まとめてマンモスと呼びます。
 普通、マンモスと呼ばれて、古代の想像図などに描かれるのは、マンモス属の中の、ケナガマンモスという種です。ケマンモスなどと呼ばれることもあります。
 ケナガマンモスが、現在のゾウと違うのは、毛の長さだけではありません。耳の大きさ、頭骨の形、鼻先の形など、いくつもの違いがあります。
 ケナガマンモスは、一万年ほど前に絶滅しました。そんな昔の生き物なのに、なぜ、鼻先の形―鼻には、骨がありません―のような、細かい部分まで、わかるのでしょうか?
 それは、ケナガマンモスの、非常に保存状態がいい遺骸が、発見されているからです。北極圏の永久凍土の中から、冷凍された状態で、見つかります。
 そのようなケナガマンモスの遺骸を、今、日本で見ることができます。横浜市のパシフィコ横浜で、公開されています。「特別展マンモスYUKA【ユカ】」という展覧会です。
 私は、この展覧会を、見に行ってまいりました。ケナガマンモスと、現生のアフリカゾウやアジアゾウとを、並べて展示しています。このために、違いが、よくわかります。
 会場には、ケナガマンモスと同時代に、ロシアに生きた動物たちが、展示されています。それらの動物たちは、ケブカサイ(ケサイ)、ステップバイソンのように絶滅したものと、オオカミ、サイガ(レイヨウの一種)のように、現在も生きているものとに分かれます。
 彼らの命運を分けたものは、何でしょうか? 展覧会を見て、考えてみるのは、面白いです。今、生きている動物たちを知ることにも、つながります。

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ゾウの仲間は載っていません。代わりに、日本の哺乳類が、八十種以上が掲載されています。
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 特別展マンモスYUKAの情報は、以下の公式サイトにあります。
特別展マンモスYUKA 公式サイト


 過去の記事でも、ゾウの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ゾウやサイには、なぜ、漢字名がある?(2013/1/28)


2013年7月11日

特別展「深海」には、深海生物がいっぱい!

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 国立科学博物館で開催中の特別展「深海-挑戦の歩みと驚異の生きものたち-」に、行ってまいりました。話題のダイオウイカなど、見てまいりました。
 何と言っても、「深海生物図鑑」のコーナーが、圧巻です。めったに見られない深海生物の標本が、三百点以上も、並んでいます。どれも、貴重なものです。
 深海には、大型の生物が多いと思っている方が、いるかも知れませんね。最近、話題になった、ダイオウイカや、ダイオウグソクムシの印象が強いせいでしょう。
 けれども、実際には、小型の生物のほうが、ずっと多いです。実物の標本を見ると、「こんなものなの?」と、がっかりされるかも知れません。
 そんな印象を引っくり返してくれるのが、映像資料です。会場に流されている映像では、生き生きとした深海生物の姿を、見ることができます。
 中で、必見なのは、フウセンクラゲ目【もく】の一種の映像です。透明な体が、虹のように輝いて、本当に美しいです。有櫛動物門【ゆうしつどうぶつもん】に属する生物です。
 もちろん、ダイオウイカの実物標本もあります。近づいて、じっくり見られます。触手に付いた吸盤も、普通のイカより、ずっと大きいです。でも、普通のイカと同じように、ぎざぎざのリングが付いているのが、わかります。
 ダイオウイカほど目立たなくても、見るべき標本が、いくつもあります。私のお勧めは、ダイオウホウズキイカですね。ダイオウイカと同じくらい、大きくなるイカです。
 会場にあるのは、ダイオウホウズキイカの幼体です。普通のイカより、小さいくらいです。うっかりすると見逃しそうです。が、これを見逃すのは、もったいないです。
 ダイオウホウズキイカは、南極海の深海に棲みます。南極の深海とは、二重に行きにくい所ですね。このため、ダイオウホウズキイカの標本を得るのは、非常に難しいです。ダイオウイカ以上に、この標本が見られるのは、幸運です。
 その他、たくさんの深海生物に、会場で会うことができます。ここには、とても書ききれません。ぜひ、会場で、御自分の目で、確かめて下さい。

図鑑↓↓↓↓↓には、タカアシガニ、ズワイガニ、キアンコウなどの深海生物が掲載されています。
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特別展「深海」については、以下のサイトに、情報があります。
特別展「深海」(国立科学博物館の公式サイト内ページ)
特別展「深海」公式サイト


 過去の記事でも、深海の生物について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
タカアシガニは、世界最大のカニ?(2009/1/30)
マッコウクジラは人間を襲うか?(2007/3/19)
世界最大のイカは、ダイオウイカではない?(2007/2/23)
深海のイカ、続々と生態を解明中(2007/2/23)
ダイオウイカは食べられない。残念!(2005/10/20)

などです。

2013年5月 1日

富士山、世界遺産登録決定!

2013年2月 2日

サトイモとタロイモとは、同じ? 違う?

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 東京農業大学の「食と農」の博物館へ、行ってまいりました。現在、ここでは、「タロイモは語る」展が開かれています。
 タロイモ(タロ芋)という名を、聞いたことがおありでしょうか? この名は、英語名のtaroに由来します。さらに語源をたどると、ポリネシア語に行き着きます。もともと、ポリネシアで、タロtaroと呼ばれていたのが、そのまま英語になりました。
 タロイモは、日本人にも、馴染みのある植物です。じつは、タロイモとは、日本にもあるサトイモ(里芋)のことです。サトイモの別名が、タロイモです。
 日本の野菜として呼ぶ場合には、普通、サトイモといいますね。世界的に栽培される植物として呼ぶ場合には、タロイモとすることが多いです。
 サトイモは、ずっと昔から、日本の野菜の仲間入りをしています。けれども、日本固有の野菜ではありません。世界の広い地域で、栽培されています。ポリネシア語の名前があることから、ポリネシアでも栽培されていることが、わかりますね。
 タロイモは、非常に古い時代から、人類に栽培され始めました。古すぎるために、起源地がどこなのか、わかっていません。現在は、アフリカ、東アジア、東南アジア、パプアニューギニア、インド、熱帯アメリカなど、たいへん広い地域で栽培されています。
 栽培地の広さに応じて、品種も多いです。日本のサトイモにも、赤芽【あかめ】、土垂【どだれ】、八つ頭【やつがしら】などの品種がありますね。世界には、もっと多くの品種があります。品種により、イモの形や大きさは、さまざまです。
 「食と農」の博物館では、タロイモの多様な品種の実物を、見ることができます。不思議なことに、株や葉の大きさは違うのに、葉の形は、みな似ています。大きなハート形ですね。日本の普通のサトイモと、同じです。
 「タロイモは語る」の展示は、小さいものです。すぐに見終わると思います。この博物館には、他に、お酒造りや、ニワトリの品種に関する展示があります。これらの展示は、以前来た時より、充実していました。こちらも、お勧めです。

図鑑↓↓↓↓↓には、サトイモが掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net
ぜひご利用下さい。

「タロイモは語る」展について、詳しくは、以下のページにあります。
「タロイモは語る」展(「食と農」の博物館の公式サイト内ページ)

過去の記事でも、サトイモについて取り上げています。また、「食と農」の博物館を取り上げたこともあります。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。

忙中に「食」と「農」あり、博物館へ(2008/12/06)
昔は主食だった? サトイモ(里芋)(2008/06/27)
などです。

2013年1月28日

博物館の標本は、どうやってできる?

 神奈川県立 生命の星・地球博物館へ、行ってまいりました。「博物館の標本工房」という展覧会を見るためです。とても、ためになる展覧会でした。
 博物館には、たくさんの標本がありますね。例えば、生命の星・地球博物館には、哺乳類や鳥類の?製【はくせい】、骨格などが、展示されています。あれらは、みな、標本です。標本は、博物館で展示されたり、研究の対象になったりします。
 あのような標本は、どのようにして作られるのでしょうか? なぜ、博物館には、あれほど多くの標本があるのでしょうか? こういった疑問に、答えてくれる展覧会です。
 会場には、哺乳類と鳥類の標本が、いっぱいです。骨格標本と、毛皮の標本が多いです。中には、ボンゴ、アノア、ガウア(ガウル)、ヒクイドリなど、世界的に珍しい哺乳類や鳥類の標本もあります。まるで生きているような、珍獣(珍鳥)の?製が見られます。
 海の哺乳類の標本もあります。ツチクジラの骨格標本、オウギハクジラの骨格標本、ザトウクジラの骨格標本、カマイルカの骨格標本などを、見ることができます。
 会場にあるのは、珍獣や珍鳥の標本ばかりではありません。タヌキ、イノシシ、ネズミの仲間など、平凡な種の標本も、多くあります。同じ「イノシシ」という種の頭骨が、いくつも並べられています。なぜ、平凡な種の標本を、多数、集めるのでしょうか?
 博物館は、珍しいものだけを集めるのが、仕事ではありません。平凡なものにも、珍しいものと同じくらい、価値があります。なぜなら、それらこそが、「普通のこと」を知らせてくれるからです。平凡な種の標本は、「普通の生き物の暮らし」を伝えてくれます。
 日本の野山には、昔から、タヌキやイノシシやネズミが、暮らしてきました。ですから、自然界は、これらの動物がいて、成り立っています。もし、何かの異変があって、これらの種が激減したりしたら、私たちの生活にも、影響があるかも知れません。
 異変を知るには、異変がない、普通の状態を知らなければなりませんよね。正確な状態を知るには、できるだけ多くの標本を調べるほうが、いいはずです。このために、博物館には、平凡な種の標本も、たくさん集められています。

図鑑↓↓↓↓↓には、日本の哺乳類が、八十種以上載っています。日本の鳥類も、二百種以上が掲載されています。
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 神奈川県立 生命の星・地球博物館の公式サイトは、以下にあります。
今回の企画展「博物館の標本工房」だけを見るぶんには、無料です。

2012年11月22日

鳥人ジョン・グールドとは?

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 芸術の秋ですね。芸術と科学と、両方を楽しめる催しに行ってまいりました。玉川大学教育博物館の「石に描かれた鳥たち―ジョン・グールドの鳥類図譜」展です。
 ジョン・グールドは、十九世紀のイギリスの人です。豪華で美しい鳥類図鑑を、何冊も出版したことで、有名です。今回の企画展では、彼の作った鳥類図鑑の実物を、見ることができます。こんな機会は、めったにありません。図鑑の部数が少ないからです。
 実際に見に行って、その迫力に、圧倒されました。まず、本の大きさが、とても大きいです。「できるだけ、実物大で、鳥を描けるように」という配慮からだそうです。
 絵の質にも、妥協していません。石版画で、精密に描かれています。そこに、一枚一枚、手で彩色しています。「費用対効果」などという言葉とは、無縁の世界ですね。
 現代の世界では、もう、これほど豪華な鳥類図鑑は、作れないでしょう。技術的には可能でも、経済的なことを考えれば、製作費用を出す人がいるとは思えません。
 十九世紀、博物学が盛んだったイギリスならばこそ、生まれた鳥類図鑑です。宝石のように輝くハチドリや、キジの仲間、細かい模様が見事なウズラたち、奇妙な繁殖の習性を持つニワシドリの仲間などが、ほぼ実物大で、目前に展開されます。
 どの絵も、生物学的に正確であり、かつ、芸術的な美をそなえています。芸術と科学とが、対立ではなく、融合しています。「科学的なことは苦手」な方でも、これらの鳥類図鑑を楽しむことができます。絵の迫真性が、優れているからです。
 「現代なら、写真で、同じくらい優れた鳥類図鑑が作れるのでは?」と思う方が、いらっしゃるでしょう。確かに、できるかも知れません。しかし、それには、途方もない労力と費用とが、かかることでしょう。主に経済的な理由で、難しいと思います。
 写真ではなく、絵だからできることもあります。例えば、先に述べた、ニワシドリの繁殖の習性などは、具体的に、繁殖の様子をとらえなければなりません。野生の鳥の、決定的な瞬間を撮影するのは、困難ですよね。絵なら、観察した様子から、再現できます。
 博物学の時代の、素晴らしい遺産を、どうぞ御覧下さい。入館無料です。

 玉川大学教育博物館は、基本的に、土・日・祝日が休館日です。けれども、時おり、土・日・祝日の開館日があります。代わりに、平日に休館していることもあります。休館日が不規則なので、必ず、以下のサイトで開館日を確かめてから、お出かけ下さい。
石に描かれた鳥たち―ジョン・グールドの鳥類図譜(玉川大学教育博物館 公式サイト)
図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布する鳥が、二百種以上掲載されています。
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過去の記事でも、鳥類に関する展覧会を紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
鳥たちの多様性がわかる! 展覧会(2012/10/11)

2012年10月11日

鳥たちの多様性がわかる! 展覧会

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 国立科学博物館で、鳥類に関する展覧会が開かれています。日本鳥学会が、今年で百周年を迎えたことを記念する展覧会です。早速、行ってまいりました。
 会場には、たくさんの鳥の?製【はくせい】標本や、骨格標本があります。中には、世界でたった一つしかない標本もあります。ミヤコショウビンという種の標本です。
 ミヤコショウビンは、一八八七年に、日本の宮古島で、一体の標本が採集されたといわれます。それより前にも後にも、採集されたことはありません。目撃情報さえ、ありません。「似た別種と混同したのでは?」ともいわれます。一応、幻の絶滅種とされています。
 会場には、もう一種、幻の絶滅種が来ています。カンムリツクシガモです。
 カンムリツクシガモのほうは、昔は、確かに実在した種だと認められています。けれども、生態が調べられる前に、絶滅してしまいました。現在、世界に三体しか標本がありません。そのうちの二体が、展示されています。
 会場にいるのは、絶滅種ばかりではありません。現在も、元気に生息している種が、ほとんどです。興味深い鳥たちの生態が、いくつも紹介されています。
 例えば、イワヒバリという種がいます。日本の高山に棲む小鳥です。この鳥の夫婦関係は、一夫一妻制ならぬ、多夫多妻制です。さて、それは、どういう夫婦関係でしょうか?
 また、ジュウイチという種がいます。カッコウ科に属します。カッコウといえば、托卵【たくらん】で知られますね。別種の鳥に、卵を托して、自分の子供を育てさせる習性です。ジュウイチも、カッコウなどと同じく、この習性を持っています。
 ジュウイチの雛【ひな】は、たった一羽で、一つの巣を独占します。ところが、一羽しか雛がいないと、仮の親は、少ない餌しか運んできません。ジュウイチの雛は、それでは足りないのですね。仮の親より、体が大きいためです。では、どうするのでしょうか?
 じつは、ジュウイチの雛は、多くの餌を運んでこさせる「秘策」を持っています。
 イワヒバリの夫婦関係や、ジュウイチの秘策について、知りたい方は、ぜひ、国立科学博物館の「鳥類の多様性」展まで、お運び下さい。鳥たちが待っています。

図鑑↓↓↓↓↓には、イワヒバリ、ジュウイチなど、日本に分布する鳥が、200種以上載っています。
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国立科学博物館の「鳥類の多様性」展は、以下に案内があります。

「鳥類の多様性」展(国立科学博物館の公式サイト内ページ)
過去の記事でも、現在、開催中の展覧会を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。

大空の覇者、トンボの展覧会(2012/07/28)

2012年9月11日

幻のカンムリツクシガモに会える!

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カンムリツクシガモという鳥を、御存知でしょうか? 名のとおり、カモの一種です。かつて、朝鮮半島付近に分布していたと考えられています。
 かつてということは、今は? 絶滅した、と推定されています。
 カンムリツクシガモは、美しい鳥です。このために、昔は、観賞用に飼われることがありました。日本の江戸時代に、この種を描いた絵が、いくつも残っています。
 その美しい姿は、今は、標本でしか見ることができません。しかも、その標本は、世界中で、たった三個体しか残されていません。まさに、幻の鳥です。
 この標本は、普段は、公開されていません。それが、現在、三十年ぶりに、公開されています。雄と雌、一羽ずつです。誰でも、無料で、見ることができます。
 その会場は、東京大学総合研究博物館です。会期は、9/21(金)までです。「日本鳥学会の百年」という催しで、公開されています。日曜・祝日休館ですので、御注意下さい。
 カンムリツクシガモには、謎が多いです。第一の謎は、「どこに分布していたのか?」です。朝鮮半島以外に、ロシアの沿海州や、日本の北海道にも、飛来することがあったようです。けれども、日本では、いたとしても、数が少なかったと考えられています。
 第二の謎は、絶滅した原因です。いつ頃、なぜ、絶滅したのか、わかっていません。乱獲されたとか、生息地が破壊されたといった、明確な記録が、残っていないからです。
 日本の江戸時代には、朝鮮半島から、カンムリツクシガモが輸入されていたようです。観賞用に飼うためです。とはいえ、絶滅するほど乱獲されたとは思えません。当時、「観賞用の鳥を輸入して、飼う」などという贅沢ができたのは、ごく一部の人だからです。
 江戸時代の日本では、カンムリツクシガモは、「朝鮮おしどり」と呼ばれていました。のちに、日本人が、朝鮮半島から標本を手に入れて、「カンムリツクシガモ」という標準和名(正式な日本語名)を付けました。ツクシガモという種に近縁だからでしょう。
 今、公開されている標本は、保存状態が良く、まるで生きているようです。それだけに、本当に生きている姿が見られないのが、悲しいですね。
図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、カンムリツクシガモは載っていません。かわりに、日本に分布する鳥が、二百種以上が掲載されています。
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「日本鳥学会の百年」については、以下のページに紹介があります。
日本鳥学会の百年(東京大学総合研究博物館の公式サイト内ページ)
カンムリツクシガモなど、絶滅した(とされる)生き物については、以前の記事でも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
幻のニホンカワウソ(2012/08/13)
日本の本土にも、ヤマネコがいた?(2011/04/04)
奇跡の復活! クニマス(2010/12/18)

絶滅種に、再発見の可能性はあるか?(2010/03/22)
ミフウズラは、ウズラじゃない?(2009/03/24)
などです。

2012年7月28日

大空の覇者、トンボの展覧会

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 トンボの展覧会が開かれています。その名も、「大トンボ展」です。会場は、小田原市の、神奈川県立 生命の星・地球博物館です。
 実際に、行ってまいりました。会場は、トンボでいっぱいです。
 実物のトンボの標本が、たくさんあります。生態写真も、たくさんあります。標本と写真とを合わせると、なんと、日本で見つかっているトンボ全種が、網羅されています。
 これだけでも、すごいことですね。これに加えて、世界のトンボの標本もあります。こちらは、日本では、ほとんどお目にかかれません。日本では、想像もつかない大きなトンボや、変わった色をしたトンボがいます。
 標本は素晴らしいのですが、どうしても、生きている時の色は、褪【あ】せてしまいます。それを補ってくれるのが、生態写真です。どの写真も、生きているトンボの、輝く瞬間をとらえています。とりわけ、あの複眼の輝きは、宝石にも勝りますね。
 トンボの化石も、展示されています。トンボは、起源の古い昆虫です。恐竜より古くから、地球に現われました。そのような大昔のトンボには、信じられないほど大きな種もいました。その一端を、化石に見ることができます。
 トンボは、幼虫も成虫も、強力な肉食性昆虫です。他の昆虫などを襲って食べます。
 幼虫(ヤゴ)の場合は、魚や、おたまじゃくしも襲って食べます。会場では、生きたトンボの幼虫が展示されています。水槽の中をのぞいてみましょう。
 成虫の場合、他の昆虫などを捕まえられるのは、巧みな飛行能力のおかげです。地上に現われた最初の頃から、その能力があったようです。化石のトンボは、すでに、今のトンボと似た姿です。鳥類が生まれるまでは、トンボは、大空の覇者といえる存在でした。
 この展覧会には、トンボをモチーフにした美術品や、工芸品も展示されています。日本には、トンボを模様にした生活用品が、とても多いのがわかります。昔の武士の兜【かぶと】や刀から、現代のシャツや装身具に至るまで、トンボが付いています。
 日本人に身近な昆虫、トンボを知るために、展覧会へ行ってはいかがでしょうか。
図鑑↓↓↓↓↓には、日本に分布するトンボが、三十種以上が掲載されています。
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 大トンボ展は、以下のページに案内があります。
大空の覇者 ―大トンボ展―(神奈川県立 生命の星・地球博物館の公式サイト内ページ)
大空の覇者 ―大トンボ展―(神奈川県立 生命の星・地球博物館の公式サイト内ページ)
過去の記事でも、トンボについて取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ハラボソトンボの画像(2012/07/10))
アオモンイトトンボの画像(2012/05/22)
エミール・ガレの愛したトンボとは?(2011/09/12)
リュウキュウルリモントンボの画像(2009/06/09)
リュウキュウハグロトンボ オスの画像(2009/05/26)
リュウキュウハグロトンボ メスの画像(2009/05/24)
などです。

2012年7月26日

世界で愛されるハス――蓮の展覧会

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 ハスの花の季節ですね。水の中から咲く花が、風に揺れる様子は、涼しげです。そんなハスに関する展覧会に行ってまいりました。
 それは、「蓮―Lotus Land」という展覧会です。東京の町田市立博物館で開催中です。こぢんまりとした展覧会です。30分もあれば、全部見られます。
 展覧会では、まず、ハスの植物学的な面について、紹介されます。日本で、普通、ハスと呼ばれるのは、ハス科ハス属に属する一種です。この種は、今や、ほぼ世界中で、観賞用に栽培されます。あの大きな花は、誰が見ても、美しいと思うのでしょう。
 ハスの自生の北限地は、ロシアのアムール川流域だそうです。南限がどこかは、展示にありませんでした。けれども、温暖な地域に、広く分布しているのがわかります。意外なところでは、世界一大きな湖のカスピ海や、オーストラリアにも、生えているそうです。
 特にハスが多いのは、ユーラシア大陸の熱帯域です。インドや東南アジアですね。このあたりのどこかが、ハスの原産地だろうとされています。正確な原産地については、諸説があり、決定的な説はないようです。
 観賞用になる以外に、ハスは、食用になることが知られますね。レンコン(蓮根)や、ハスの実が、食用になります。また、ハスの茎からは、繊維を取ることもできます。他に、ハスの葉や花をお茶にしたり、食べ物を包むのに葉を使ったりします。
 このように、ハスは、とても人間の役に立つ植物です。このため、ハスは、世界各地で愛されています。さまざまな美術や、工芸品に、ハスの姿が現われます。そういった美術品や工芸品が、展覧会に出品されています。やはり、アジアの作品が多いです。
 中で、中国の切り紙細工は、見事です。大きな紙を、どうやって、精巧に切ったのだろうと、不思議に思います。ハスの花の形は、難しいでしょうに。
 欧米から見ると、ハスは、東洋を代表する神秘的な花でした。かつて日本が「東洋の神秘の国」だった頃、そのイメージを表わす花として、ハスが挙げられたことがありました。展覧会では、その頃の書籍も展示されています。
図鑑↓↓↓↓↓には、ハスが掲載されています。
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町田市立博物館の「蓮―Lotus Land」展の案内は、以下にあります。
蓮―Lotus Land(町田市の公式サイト内ページ)
 町田市立博物館は、閑静な住宅街にあり、散歩がてら行くには、良い所です。ただ、場所がわかりにくいです。以下に、博物館のページも紹介しておきますね。
町田市立博物館
 過去の記事でも、ハスを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
スイレンとハスはどう違う?(2006/07/13)

2012年1月31日

カメラマンは鳥!? バイオロギング展

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 東京の上野にある、国立科学博物館に、行ってまいりました。現在、ここでは、「動物目線の行動学 バイオロギング」という企画展が開かれています。
 バイオロギングとは、聞き慣れない言葉ですね。これは、最近、作られた言葉です。バイオbio=生き物、ロギングlogging=記録すること、という意味です。ヒト以外の生き物が、自分の行動を、自ら記録することです。なぜ、そんなことができるんでしょうか?
 もちろん、これには、人間が関わっています。生き物を研究する手段の一つとして、出てきました。具体的な例を挙げてみましょう。
 マユグロアホウドリという鳥がいます。名のとおり、アホウドリの一種の海鳥です。
 マユグロアホウドリには、謎がありました。それは、彼らの食べ物のことです。
 海鳥の彼らは、当然、海の魚などを食べています。これまでの調査で、彼らの食べ物には、深海魚が含まれることがわかっていました。
 ところが、マユグロアホウドリは、深海魚が獲れるほど、深く潜ることはできません。なのに、なぜ、深海魚を得られるのでしょうか?
 この謎を解くために、バイオロギングが使われました。マユグロアホウドリの背中に、小型のカメラを取り付けたのです。このカメラは、自動的に、写真を撮り続けられるようになっていました。つまり、「鳥目線」で見た世界を、写した写真です。
 数日後、カメラが回収されました。撮られた写真を調べると、中に、複数のマユグロアホウドリが、シャチを追って飛んでいる写真がありました。
 これにより、マユグロアホウドリが食べ物を得るのに、シャチを利用しているらしいことが、わかりました。シャチは、深海まで潜ることができます。そこで、深海魚を捕まえます。獲物を食べるのは、海面近くに浮上してからです。
 シャチが、海面近くで食べ散らかした深海魚を、マユグロアホウドリが取ってゆくのだろうと考えられています。バイオロギングのおかげで、初めてわかったことです。バイオロギング展に行くと、このような興味深い例を、いくつも見ることができます。

図鑑↓↓↓↓↓には、バイオロギング展で紹介されているシャチ、マンボウ、カブトガニなどが掲載されています。
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ぜひご利用下さい。

国立科学博物館のバイオロギング展のページ


過去の記事でも、生き物に関する博物館の展示を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
世界のクジラ模型展(2012/1/18)


2012年1月18日

世界のクジラ模型展

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 何かと気ぜわしい季節ですね。こんな時期でも、手軽に安らげるところへ、行ってまいりました。東京海洋大学の水産資料館と、鯨ギャラリーです。
 水産資料館のほうは、小さな博物館です。でも、無料で見られる割には、充実しています。アザラシなどの海の哺乳類や、カモメなどの海鳥、ウミガメなどの海の爬虫類、魚類、貝類などの無脊椎動物の標本が、たくさんあります。
 中でも、貝類のコレクションは、量がありますね。多くの種がそろっています。貝類の貝殻は、形も色も模様も、多様ですね。見ていて、飽きません。
 今、水産資料館では、「世界のクジラ模型展」が、開かれています。これは、現在、生きているクジラの全種が、模型で見られるという企画です。これらの模型は、野生動物彫刻家の、高橋俊男さんという方が、作りました。
 クジラは大きいですから、さすがに、実物大模型ではありません。ミニチュアです。
 とはいえ、その姿は生き生きしていて、迫真的です。もちろん、科学的にも正確です。
 現生のクジラ全種の模型は、世界じゅうで、他に類がないそうです。今のところ、「世界のクジラ模型展」でしか、この威容を見ることはできません。
 クジラ類のうち、シロナガスクジラ、シャチ、ハンドウイルカ(バンドウイルカ)といった種は、多くの人に知られていますね。けれども、ほとんど人に知られない種も、多いです。コガシラネズミイルカ、コシャチイルカ、イチョウハクジラなどです。
 人に知られない種とは、たいてい、目撃が難しい種です。例えば、前記のイチョウハクジラの生きた姿を見られたら、その人は、非常に運が良いです。こんな様子ですから、クジラ全種の生きた姿を見るのは、普通の人には、叶わぬ夢ですね。
 「世界のクジラ模型展」では、模型とはいえ、その夢が叶います。前記の珍しいクジラたちも、まるで海中で暮らしているかのような姿を見せてくれます。
 東京海洋大学では、鯨ギャラリーで、クジラの実物骨格標本を見ることもできます。水産資料館と合わせて、見に行かれるとよいでしょう。

図鑑↓↓↓↓↓には、日本近海に分布するクジラ類が、九種ほど掲載されています。
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ぜひご利用下さい。

東京海洋大学の水産資料館の公式サイトは、以下にあります。休日・開館時間などを確認して、お出かけ下さい。
東京海洋大学 海洋科学部 附属 水産資料館
「世界のクジラ模型展」の告知ページは、以下にあります(東京海洋大学の公式サイト内ページ)。

過去の記事でも、クジラ類について取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
二十世紀末に新種発見、クジラの事情(2011/11/14)
水族館にいないイルカとは?(2010/03/26)
アカボウクジラの歯の謎が、解ける?(2008/12/25)
タスマニアで、座礁したクジラの救出作戦(2008/12/02)
哺乳類で、最も長生きなのは、クジラ?(2008/08/01)

2011年9月15日

インカとアンデス原産植物の写真展

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 文化の秋らしい催しに、行ってまいりました。「高野潤写真展 インカとアンデス原産植物」です。渋谷の「たばこと塩の博物館」で、開催中です。
 日ごろ、私たちが利用している植物に、南米のアンデス地方原産のものが多いと、御存知ですか? ジャガイモ、カボチャ、トウモロコシ、トマト、インゲン豆、トウガラシ、ピーマン、パパイアなどが、アンデス地方で生まれた農作物です。
 もし、私たちの食卓に、前記の植物がなかったら、どうでしょう? ずいぶんと、貧しい食卓だと思いませんか? 私たちは、アンデスの人々に、感謝すべきですね。
 前記の植物の中には、正確な原産地がわかっていないものもあります。アンデス地方ではなく、中南米の他の地域が、原産地かも知れません。
 とはいえ、どの植物も、アンデス地方で広く栽培されています。品種の数も、たいへん多いです。アンデス地方で品種改良が進められたことは、明らかです。
 この写真展では、日本ではなかなか見られない、アンデスの植物たちを見ることができます。お馴染みの植物のはずなのに、想像もつかない色や形のものがあります。
 例えば、ジャガイモです。イモの表面の色だけでも、赤、黄、紫、白、黒、橙【だいだい】と、さまざまな色があります。二色以上の色が、まだら模様になったイモもあります。
 形も、イモムシのように細長いもの、とげとげしい形のもの、ヒトの手のような形のもの、などがあります。普通の日本人が持つ「ジャガイモ」の常識が、吹き飛ばされます。
 会場には、こんなジャガイモの写真だけでも、百点以上あります。これに、他の野菜も加わって、とても色鮮やかです。まるで、アンデス地方の市場にいるようです。
 アンデスと言えば、インカ文明の地ですね。インカの遺跡や、今なお、その周辺で暮らす人々の生活も、写真に撮られています。前記の植物が、どんなふうに栽培されているのか、どんなふうに利用されているのかも、見ることができます。
 かつてのインカ帝国の時代から、前記の植物の品種改良が進められたことが、わかっています。私たちは、インカの遺産の上で、生活しているのですね。

図鑑↓↓↓↓↓には、アンデス原産植物のジャガイモ、セイヨウカボチャ、トウモロコシ、トマト、トウガラシ、パパイアが掲載されています。
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ぜひご利用下さい。

「高野潤写真展 インカとアンデス原産植物」の案内は、以下の「たばこと塩の博物館」のページにあります。
高野潤【たかの じゅん】写真展 インカとアンデス原産植物

過去の記事でも、生き物にかかわる展覧会の案内を載せています。現在も、開催中のものです。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
博物館で、水生昆虫の世界へ(2011/07/28)
ウナギとアルパカがお出迎え、東大の総合研究博物館(2011/07/27)
などです。

2011年7月28日

博物館で、水生昆虫の世界へ

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 各地の博物館で、夏休みの企画が催されていますね。その一つに行ってまいりました。神奈川県立生命の星・地球博物館の「およげ! ゲンゴロウくん」です。
 これは、水生昆虫の展覧会です。ゲンゴロウをはじめ、ガムシ、タガメ、ミズカマキリ、タイコウチ、アメンボ、ミズスマシなど、さまざまな水生昆虫が紹介されています。
 少し前までの日本は、水生昆虫天国といえる状態でした。水田が多かったからです。
 水田と、そこにつながる側溝やため池は、多様な水の環境を用意します。止水や流水、浅い水や深い水、植物が生い茂って暗い水辺や、逆に開けた明るい水辺などです。いろいろな環境があれば、それぞれの場所に適応した水生昆虫が棲めます。
 おかげで、昔の日本では、水生昆虫は、平凡なものでした。子どもの頃、池などで、ゲンゴロウやタガメを取ったことを、覚えている方もいらっしゃるでしょう。
 現在の日本では、多くの水生昆虫が、絶滅寸前です。例えば、東京都や神奈川県では、ゲンゴロウは絶滅してしまいました。なぜ、そんなことになったのでしょうか? この展覧会で、その理由が、いくつか挙げられています。
 この展覧会では、生きたゲンゴロウやタガメを、見ることができます。ゲンゴロウの近縁種が多いのに、驚きます。ガムシ、マツモムシ、ミズカマキリ、タイコウチなども、生きたものが展示されています。
 中で、私が興味を引かれたのは、ヒメタイコウチでした。生きたヒメタイコウチが見られるのは、とても珍しいことです。これは、タイコウチに近縁な種です。
 ヒメタイコウチの姿は、タイコウチにそっくりです。ただ、タイコウチのお尻にあるような、長い呼吸管がありません。彼らは、ほとんどの時間を、陸で過ごすからです。タイコウチが、水中生活に適応する前の姿を、とどめているといわれます。
 生きた昆虫以外に、標本も展示されています。日本では絶滅したとされるスジゲンゴロウなどの、貴重な標本も出品されています。外国の水生昆虫の標本もあります。
 夏休みの自由研究に、役立つ展覧会ですね。ぜひ、お出かけ下さい。

図鑑↓↓↓↓↓には、ゲンゴロウ、コオイムシ、タガメ、タイコウチ、ミズカマキリなどの水生昆虫が掲載されています。
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ぜひご利用下さい。

展覧会「およげ! ゲンゴロウくん」については、以下のページに載っています。
特別展「およげ! ゲンゴロウくん」(神奈川県立生命の星・地球博物館の公式サイト内ページ)
過去の記事でも、水生昆虫を取り上げています。また、他の博物館の、夏休み向けの展覧会も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ウナギとアルパカがお出迎え、東大の総合研究博物館(2011/07/21)
肉食の背泳選手? マツモムシ(2010/5/31)
泳ぎが苦手な水生昆虫? ガムシ(2009/9/7)
昆虫一のアクアラング王者? ゲンゴロウ(2009/3/27)
アメンボは、水上のスケーター?(2008/1/28)
などです。

2011年7月27日

ウナギとアルパカがお出迎え、東大の総合研究博物館

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 夏にふさわしい展覧会が、東京大学の総合研究博物館
で開かれています。「鰻【うなぎ】博覧会」と、「アルパカ×ワタ」の、二つの展覧会です。
 ウナギは、日本の夏に欠かせませんね。縄文時代の遺跡からも、ウナギの骨が発掘されています。北海道から沖縄まで、各地の遺跡から出ています。「鰻博覧会」の会場には、日本のどこの縄文遺跡から、ウナギの骨が出たのかを、展示してあります。
 ウナギの繁殖の謎は、有名ですね。二〇〇九年になるまで、天然のニホンウナギの卵は、誰も見たことがありませんでした。どこの海域で産卵するのかも、知られませんでした。
 二〇〇九年、ついに、長年の謎が解かれます。日本のはるか南東、マリアナ諸島の西側の海域で、ニホンウナギの卵が発見されました。「鰻博覧会」の会場で、その卵を見ることができます。ニホンウナギの産卵海域を、具体的に示した模型もあります。
 ウナギの完全養殖の試みも、進んでいます。完全養殖とは、飼育しているウナギを繁殖させて、次々に世代を重ねてゆかせることです。実験室では、完全養殖ができるようになりました。会場で、養殖されたウナギの幼生を見ることができます。
 生きているウナギの幼生は、必見です! ウナギの幼生は、普通の魚の形をしていません。細長い木の葉のような形で、透き通っています。神秘的で、美しいです。
 この形の幼生は、レプトセファルスと呼ばれます。ニホンウナギのレプトセファルスが、生きた姿で、一般に公開されるのは、極めて珍しいことです。
 「アルパカ×ワタ」のほうは、博物館の二階が会場です。こちらは、南米アンデスの織物の文化を紹介しています。アンデスの織物は、動物のアルパカや、植物のワタからできています。展覧会の題名は、そこから取られています。
 こちらの会場には、アルパカの剥製【はくせい】標本があります。また、ワタの標本や、織物を染める染料植物の標本もあります。こちらの会場は、狭いために、それほど多くの展示物はありません。会場入口がわかりにくいので、御注意下さい。
 今年の夏は、二つの展覧会で、自然と古代文化の神秘に触れるのは、いかがでしょう?

図鑑↓↓↓↓↓には、ウナギが掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net
ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、ウナギについて取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
フクロウナギは、ウナギの仲間か?(2011/02/21)
ウナギとオオウナギとは、違う? 同じ?(2010/05/21)
ウナギの繁殖の謎は解けたか?(2006/07/21)※この記事を書いた当時は、野生のニホンウナギの卵は、発見されていませんでした。
などです。
「鰻【うなぎ】博覧会」と、「アルパカ×ワタ」については、以下のページに案内があります。
鰻博覧会(東京大学総合研究博物館の公式サイト内ページ)
アルパカ×ワタ(東京大学総合研究博物館の公式サイト内ページ)

2011年6月 2日

植物たちがきらめく、ルドゥーテ展

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 二〇一一年は、五月のうちに、梅雨入りしてしまいましたね。雨の日が続くと、憂鬱になりそうです。今回は、そんな憂鬱を吹き飛ばせるイベントを紹介しましょう。
 それは、渋谷の東急文化村ザ・ミュージアムで開催中の「ルドゥーテ展」です。屋内でのイベントですから、雨の日でも、大丈夫ですね。
 ルドゥーテとは、十八世紀から十九世紀のヨーロッパで活躍した画家です。活躍の舞台は、フランスが主です。植物画を得意にしていました。特に、バラの絵で有名です。
 今回の展覧会は、彼の晩年の植物画集『美花選』を中心に取り上げています。
 『美花選』は、彼の仕事の集大成といえるものです。ルドゥーテの円熟の技を、味わうことができます。「芸術と科学の融合」とは、まさに、彼の画業を指すのでしょう。
 彼の絵は、植物学的な正確さと、芸術的な美しさとが、完璧に融合しています。例えば、普段、芸術に興味がない植物学者が見たとしても、感動できると思います。
 では、科学にも芸術にも縁遠い人が、見たとしたら? そういう人でも、その美しさには、心打たれるのではないでしょうか。彼の絵には、それだけの力があります。
 ルドゥーテは、ロサ・ケンティフォリアRosa centifoliaという種のバラを、ことのほか愛したようです。展覧会には、このバラの絵が、いくつもあります。幾重にも重なる花弁と、その微妙な色合いを再現した絵を、お楽しみ下さい。
 バラ以外の植物の絵も、展示されています。スイセン、パンジー、ユリ、ヒヤシンス、スイートピーなど、会場は、花いっぱいです。花の香りも流されています。二種類のバラの香りを、再現したものです。嗅覚でも楽しめる展覧会です。
 素晴らしいのは、描かれた植物の種が、きちんと同定されていることです。これは、簡単なようで、難しいことです。ルドゥーテの存命当時と、現在とでは、名が変わっている種が多いからです。基本をおろそかにしない、良い展覧会ですね。
 展示品は、版画がほとんどです。数点、貴重な肉筆画があります。ヴェラム(動物の皮の紙)に描かれたものです。ルドゥーテの細密な筆使いを、御堪能下さい。

図鑑↓↓↓↓↓には、園芸品種のバラは載っていませんが、野生種のノイバラとハマナスが掲載されています。
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ぜひご利用下さい。

展覧会について、詳しくは、以下の公式ページを御覧下さい。
花の画家 ルドゥーテ『美花選』展(文化村の公式サイト内ページ)
過去の記事で、バラについて取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
すべてのバラ(薔薇)は雑種?(2006/05/02)

2011年4月23日

深海の宝物、宝石サンゴ展

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 上野の国立科学博物館に行ってまいりました。『宝石サンゴ展』を見るためです。
 宝石サンゴとは、何でしょうか? 文字どおり、宝石になるサンゴを指します。じつは、熱帯の海で普通に見られるサンゴは、宝石になりません。このことは、以前、このブログで取り上げましたね(宝石の珊瑚【さんご】はサンゴ礁のサンゴか?(2007/3/5))。
 宝石になるサンゴは、種が限られています。ほとんどが、深海に棲む種です。このために、宝石サンゴの生きた姿を見るのは、難しいです。展覧会では、その貴重な映像を見ることができます。深海探査艇【しんかいたんさてい】が撮ったものです。
 宝石サンゴの中で、ほぼ唯一、浅い海に棲む種があります。ベニサンゴという種です。この種は、地中海の浅い海に分布します。このため、古くから人間に利用されてきました。十八世紀以前の宝飾品に使われたサンゴは、ほぼすべて、この種です。
 ベニサンゴが使われたアンティークジュエリーが、この展覧会に展示されています。
 十九世紀になると、日本の近海で、宝石サンゴが発見されました。その時から、現在に至るまで、日本は、宝石サンゴの大産地です。展覧会では、深海にある宝石サンゴを、どのようにして採ってきたのか、その歴史が紹介されています。
 会場は、全体的に照明が落とされていて、深海のイメージです。その中で見る実物のサンゴの標本や、映像は、神秘的です。深海生物が好きな方に、お勧めです。
 多くの宝石サンゴは、白か、ピンクか、赤色です。けれども、黒色や金色の宝石サンゴもあります。これらの宝石サンゴは、白~ピンク~赤系の宝石サンゴとは、分類が違います。遠縁なのに、不思議と同じく宝石になり、同じように深海に棲みます。
 展覧会では、これらの珍しい黒サンゴや金サンゴも、標本を展示しています。
 また、会場では、素晴らしい珊瑚の宝飾品が、たくさん見られます。名工が作った超絶的な技巧の作品や、ジュエリーデザインを学ぶ学生さんたちが作った、清新な作品です。宝飾品が好きな方も、観に行って損はありません。
 宝石サンゴは、深海で、何百年もかけて育ちます。竜宮城の宝物のようですね(笑)


図鑑↓↓↓↓↓には、アオサンゴ、イボヤギ、ハナヤサイサンゴ、ミドリイシなどのサンゴの仲間がたくさん載っています。
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宝石サンゴ展は、以下に公式のページがあります。
宝石サンゴ展(国立科学博物館の公式サイト内)
過去の記事でも、サンゴの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
世界最長寿のサンゴが発見される(2009/04/04)※黒サンゴと金サンゴが取り上げられています。
白保のサンゴは普通と違う? アオサンゴ(2008/11/17)
国際サンゴ礁年とは、どんなもの?(2007/12/24)
などです。

2011年4月 9日

海の生き物と遊ぼう、よしもとおもしろ水族館

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 水族館へ行ってまいりました。横浜中華街にある、よしもとおもしろ水族館です。
 ここは、あのお笑いのよしもとが経営しています。ですから、普通の水族館とは、一味、違います。「魚博士」のタレント、さかなクンが、解説板に登場しています。
 面積は、そんなに広くありません。そのかわり、水槽ごとに、工夫が凝らされています。中華街の散策ついでに、ぶらりと寄るのに、いいですね。
 多くの水槽には、クイズが付いています。クイズには、正解を答えたいですよね? それには、水槽の生き物たちを、よく観察しなければいけません。そうしているうちに、生き物の知識が付いてしまいます。楽しいお勉強です。
 サンゴ礁に棲む、きれいな魚が、たくさんいます。映画で有名になったカクレクマノミや、ナンヨウハギなどです。サンゴの仲間も、何種もいます。
 ヒトにとって御馳走になる、イセエビや、アワビや、サザエもいます。ヒラメとカレイとが、一緒に入っている水槽もあります。どちらがどうなのか、比べることができますね。
 変わった姿の魚もいます。例えば、オニダルマオコゼは、海底の岩にそっくりです。水槽の中には、置き物の「にせオニダルマオコゼ」もあります。どれが生きている魚で、どれが置き物か、見分けられるでしょうか?(笑)
 クラゲたちの水槽もあります。ふわふわと漂うように泳ぐクラゲには、癒されますね。
 個人的には、カブトクラゲの水槽と、ケヤリムシの水槽が気に入りました。
 カブトクラゲは、クラゲと付いても、普通のクラゲとは、遠縁のグループです。泳ぐ時、体の一部が、虹のように光ります。この種を飼う水族館は、珍しいです。
 ケヤリムシは、釣り餌にするゴカイの仲間です。頭部に、ふさふさした鰓冠【さいかん】というものが付いています。それが、水中で、花のように開きます。とても美しいです。
 現在、ここの水族館では、「NO UMA【ノーユーマ】展」という企画もやっています。UMAとは、未確認動物のことです。例えば、人魚や、ドラゴンも、UMAといえます。そんな不思議な生き物が、水族館に!? どんなものかは、観に行ってみて下さい(笑)


図鑑↓↓↓↓↓には、日本の近海に分布する魚類や、無脊椎動物がたくさん載っています。
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よしもとおもしろ水族館の公式サイトは、以下にあります。
よしもとおもしろ水族館

2010年12月18日

奇跡の復活! クニマス

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 とても嬉しいニュースが、飛び込んできました。「絶滅したと思われたクニマスという魚が、生きていた」というのです。
 クニマスは、サケ科の魚です。世界中で、日本の秋田県の田沢湖にだけ分布していました。最後に田沢湖でクニマスが確認されたのは、1940年ころです。それ以来、約70年が経ちました。世界からクニマスは消えてしまったと思われました。
 ところで、再発見された場所は、田沢湖ではありません。山梨県の西湖【さいこ】です。富士五湖の一つですね。なぜ、こんな離れた場所に、クニマスがいるのでしょうか?
 じつは、1935年ころ、田沢湖から西湖へ、クニマスの卵が持ち込まれたことがあるそうです。その時の子孫が、生き残っていたと考えられます。
 クニマスについては、詳しいことがわかっていません。調査が進む前に、絶滅した(と思われた)からです。「サケ科の中で、どの位置に分類されるのか」という、基本的なことさえ不明です。以前から、「クニマスは、独立種なのか?」という議論がありました。
 クニマスは、同じサケ科の中の、ヒメマスという種に似ています。このため、「クニマスは独立した『種』ではなく、ヒメマスの『亜種』だ」という意見があります。
 いっぽう、「クニマスはヒメマスに似るが、伝承によれば、生態が違う。独立種だ」という意見もあります。ヒメマスの亜種とすれば、クニマスのラテン語の学名は、Oncorhynchus nerka kawamuraeです。独立種ならば、Oncorhynchus kawamuraeです。
 この議論には、永遠に決着がつかなと考えられました。クニマスの生きた個体が、もはや見られなかったからです。しかし、再発見のおかげで調査が進むでしょう。
 なお、ニュースによっては、「クニマスは、ベニザケの亜種」と説明しています。これは、間違いではありません。ヒメマスとベニザケとは、同じ種だからです。正確には、ベニザケのうち、海へ下らずにずっと淡水で過ごすものをヒメマスと呼びます。
 再発見されても、クニマスの将来は、安心できません。おそらく、個体数は、とても少ないはずです。早急に、彼らを保護する手だてが進んで欲しいですね。


クニマス再発見のニュースは、以下に載っています。
絶滅種クニマス、70年ぶり確認=秋田・田沢湖の固有種、山梨・西湖で-京大教授ら(時事通信、2010/12/15)


図鑑↓↓↓↓↓には、日本のサケ科の魚が、五種ほど掲載されています。
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過去の記事でも、「絶滅か?」と思われた生き物の再発見を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ミフウズラは、ウズラじゃない?(2009/03/24)
ヒヨケザルの新発見、メガネザルの再発見(2008/11/20)
絶滅種?のシカとカエルが、再発見される(2008/10/14)
新種・珍種がざっくざく、南硫黄島【みなみいおうとう】(2008/06/10)
ダイトウウグイス復活!(2008/05/29)

2010年9月16日

昆虫展と火星展

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 東京大学の本郷キャンパスへ行ってまいりました。東大総合研究博物館の展示を見てまいりました。
 この博物館では、現在、三種類の展示をしています。一つは、常設展。これは、日本の考古学に関するものです。二つめは、昆虫の展示。三つめは、火星の展示です。
 どの展示も、面白かったです。三つとも、生き物に関係しています。特に、昆虫の展示と火星の展示は、ヒト以外の生き物と関係していますね。
 昆虫の展示は、「昆虫標本の世界」というものです。博物館の二階が、会場です。
 「昆虫標本の世界」では、たくさんの昆虫標本が見られます。珍しい種の標本も、平凡な種の標本もあります。平凡な種でも、標本は貴重です。なぜなら、ある地域のある時代の生態系を、反映しているからです。
 例えば、ゲンゴロウという種がいますね。昔は、平凡な昆虫でした。けれども、つい最近、「東京都では絶滅した」宣言が出されました。今では、「ゲンゴロウがいた時代の東京」に、どんな生態系があったのか、知ることは難しいです。
 地球の生き物は、どんな種も一種だけでは、生きていけません。たくさんの生き物が、いろいろなつながりの中で、生きています。それこそが、「生態系」です。それは、おそらく、他の惑星の生き物であっても同じでしょう。
 火星は、昔から、「生き物がいるか?いないか?」と、議論の的になってきました。この議論には、いまだ、決着がついていません。いるとしたら、「火星人」といえるレベルではなく、微生物だろうといわれていますね。
 東大総合研究博物館の火星展では、四つの火星探査の案が提示されています。その中の一つは、生命探査の案です。とても夢がある案ですね。でも、他の三つの案も、魅力的です。どのような案なのかは、ぜひ、会場で確かめてみて下さい。
 会場では、四つの探査案のどれがいいか、投票することもできます。私も、投票してきました。どの案に投票したのかは、内緒にしておきますね(笑)


東大総合研究博物館の展示については、以下のページに載っています。
昆虫標本の世界―採集から収蔵、多様性保全まで(東大総合研究博物館のサイト内ページ)
火星―ウソカラデタマコト(東大総合研究博物館のサイト内ページ)

2010年7月24日

大哺乳類展 ―海のなかまたち

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 東京・上野の国立科学博物館へ行ってまいりました。『大哺乳類展 ―海のなかまたち』を観るためです。
 これは、海生哺乳類を取り上げた展覧会です。クジラ、イルカ、アシカ、アザラシ、セイウチ、ジュゴン、ラッコなどですね。彼らの祖先は、もとは、陸で暮らしていました。それが、どういう理由でか海で暮らすようになったのですね。
 なぜ、彼らが海へと戻ったのか、その理由は、はっきりしていません。けれども、「どのような進化の道筋をたどったのか」は次第にわかってきています。
 特に、哺乳類のクジラが、どのようにして魚類そっくりの姿になったのかは、長い間謎でした。最近、少しずつ、解明されています。この展覧会では、その研究の成果を観られます。クジラの祖先の化石が展示されています。
 この展覧会の白眉は、何と言ってもクジラとイルカですね。これまで、クジラとイルカについて、これほど詳しい展覧会はなかったのではないでしょうか? 進化の道筋、体のつくり、生態などについて、広くわかりやすく紹介されています。
 もちろん、他の海生哺乳類についてもわかりやすく解説されています。例えば、「アシカとアザラシの違いは?」と訊かれたら、多くの人は困るでしょう。この展覧会を観れば、この質問に答えられるようになります。
 標本も、素晴らしいものが展示されています。全長20m以上もあるシロナガスクジラの骨格やクジラの祖先のバシロサウルス―サウルスという名でも、哺乳類です―の骨格には目を奪われます。ヒゲクジラのヒゲやハクジラの歯に触ることもできます。ザトウクジラやシャチの鳴き声を聞くこともできます。
 現在、多くの海生哺乳類は、絶滅の危機にさらされています。この展覧会では、その現状にも触れています。沖縄のジュゴンなどは、本当に危機的な状態です。
 この展覧会は、夏休みの自由研究にもぴったりです。でも、お子さんに独占させるのは、もったいないです。ぜひ、大人の皆さんも、観て、知って、楽しんで下さい。
図鑑↓↓↓↓↓には、クジラやイルカなど海に棲む哺乳類が、15種掲載されています。
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ぜひご利用下さい。

大哺乳類展 ―海のなかまたち(国立科学博物館のサイト内ページ)

過去の記事でも、生き物に関する展覧会を取り上げています。どれも、夏休み中に開催しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
虫好き集まれ! 大昆虫博【だいこんちゅうはく】(2010/06/25)
草原の五畜とは? 横浜ユーラシア文化館へ(2010/05/28)

2010年6月25日

虫好き集まれ! 大昆虫博【だいこんちゅうはく】

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 江戸東京博物館へ行ってまいりました。大昆虫博という展覧会を観るためです。
 大昆虫博は、名のとおり、昆虫がいっぱい展示されています。日本ではなかなか見られない、貴重な昆虫の標本が目白押しです。
 特に、熱帯の昆虫の標本には驚かされます。並はずれて美しい種や変わった形の種がいるからです。「人間が作ったのではないか?」と、疑いたくなるほどです。
 例として、クワガタムシの仲間を挙げてみましょう。
 ディディエールシカクワガタは、枝分かれした「クワガタ」(大あご)を持ちます。まるで、シカ(鹿)の角のようです。だから、ディディエール「シカ」クワガタです。
 ギラファノコギリクワガタは、とても長い「クワガタ」の持ち主です。体のほうも大きくて、世界最大のクワガタといわれます。(大きさには、個体差があります)
 ニジイロクワガタは、虹色に輝くクワガタムシです。生きている宝石、という表現が、ぴったりです。こんなに派手でも、熱帯雨林では、保護色になるのだそうです。
 逆に、真黒に輝くクワガタムシもいます。タランドスオオツヤクワガタです。まるで、漆【うるし】を塗られたようです。渋くて格好いいです。
 他の昆虫たちも、負けていません。例えば、チョウ(蝶)の仲間では、有名なモルフォチョウの仲間や、トリバネアゲハの仲間が展示されています。コバルトブルーに輝くモルフォチョウは、何度見ても、不思議です。見る角度により、色が変わります。
 チョウなのに、透き通った翅【はね】の種もいます。スカシマダラやスカシジャノメの仲間です。ガラス細工のように繊細な美しさです。
 まだまだ、他にもいます。木の枝にそっくりなナナフシの仲間、バイオリンに似た形のバイオリンムシなどです。ここには、とても全部は書ききれません。
 子供たちに、喜んでもらえそうな展覧会ですね。でも、こんな見事な自然の造形を、大人も楽しまなくては損です。観に行けば、きっと、知的な話題も増えますよ。


図鑑↓↓↓↓↓には、日本の昆虫が400種ほど掲載されています。
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ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、現在、開催中の展覧会を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
草原の五畜【ごちく】とは? 横浜ユーラシア文化館へ(2010/05/28)※会期は09/05(日)までです。

2010年5月28日

草原の五畜【ごちく】とは? 横浜ユーラシア文化館へ



 「草原の五畜」という言葉を御存知でしょうか? 大概の方は、御存知ないでしょう。これは、ユーラシア大陸の草原の遊牧民について使われる言葉です。遊牧民が、主に飼う五種類の家畜を指します。五種類とも、草を食べるもの(草食獣)です。
 その五種類とは、ウマ(馬)・ウシ(牛)・ラクダ(駱駝)・ヤギ(山羊)・ヒツジ(羊)です。どれも、遊牧民にとって大切な家畜です。
 とはいえ、どの遊牧民もこれら五種類を、すべて飼っているとは限りません。地域や民族により、飼う種類や飼い方が違います。
 ラクダを、例に挙げてみましょう。ラクダは、砂漠に適応した生き物です。逆に言えば、砂漠でないところには、適していません。ですから、砂漠といえるほど乾燥していない地域では、ラクダが飼われることは少ないです。
 現在、生きているラクダには二種います。ヒトコブラクダとフタコブラクダです。名のとおり、背中のこぶが一つなのが、ヒトコブラクダです。二つなのが、フタコブラクダです。どちらの種も砂漠の遊牧民に飼われます。
 ヒトコブラクダと、フタコブラクダとでは、飼われる地域が違います。それは、なぜでしょうか? この答えは、以下の博物館にあります。
 横浜ユーラシア文化館で、現在『遊牧世界の造形―人と暮らす動物たち―』という展覧会を開催中です。これは、前記の「草原の五畜」を紹介する展覧会です。遊牧民の家財道具や装飾品の中で、どのように「五畜」が表現されてきたかに、焦点が当てられています。
 家畜について、詳細な説明が欲しい方には、やや、もの足りないかも知れません。けれども、日常の道具に、ひんぱんに「五畜」が造形されてきたことはわかると思います。それは、遊牧民の生活が、「五畜」と密着していることを示します。
 日本には、遊牧の文化がありませんね。この展覧会は、日本で遊牧の文化に触れられる、珍しい機会です。解説板をしっかり読むと、「五畜」について、理解しやすくなります。

 展覧会『遊牧世界の造形―人と暮らす動物たち―』については、以下のページに載っています。
『遊牧世界の造形―人と暮らす動物たち―』(横浜ユーラシア文化館の公式サイト内)

 過去の記事でも、現在、開催中の、生き物に関する展覧会を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
英国ボタニカル・アート 美しき植物の記録(2010/05/13)※会期は5/30(日)までです。
大哺乳類展【だいほにゅうるいてん】 ―陸のなかまたち(2010/03/25) ※会期は6/13(日)までです。

2010年5月13日

英国ボタニカル・アート 美しき植物の記録



 今年の春は、天候不順ですね。お出かけするにも、天気が悪いと、二の足を踏んでしまいますよね。そんな時でも、楽しめる催しを紹介しましょう。
 東京の千代田区に、ニューオータニ美術館があります。ホテル・ニューオータニの中にある美術館です。ここで、すてきな展覧会を開催しています。
 『英国ボタニカル・アート 美しき植物の記録』という展覧会です。植物画の展覧会ですね。植物だけでなく、鳥類の絵も展示されています。
 十八世紀から十九世紀にかけて、英国では、動植物を描いた絵がはやりました。単に、観賞用に描かれたのではありません。科学的な記録でもありました。当時は、写真が未発達でしたから、記録として絵画が重要でした。
 記録用ですから、科学的に正確でなければなりません。それは、動植物にひそむ自然の美を、見出すことともなりました。科学と芸術とは、相反するものではありません。動植物の絵は、科学的な正確さと芸術的な美とを兼ねるものとなりました。
 このような動植物画は、博物画【はくぶつが】と呼ばれます。
 この展覧会は、植物と鳥類の博物画を紹介しています。どの種【しゅ】も、綿密に描きこまれています。地味な種であっても、その美しさが引き出されています。
 例えば、セイヨウチャヒキという植物の絵があります。イネ科の種です。とても地味な花しか咲きません。でも、絵には、この種の形の面白さが存分に表わされています。
 鳥類画では、イエスズメの絵があります。ヨーロッパで、普通に見られるスズメの一種です。日本のスズメと同じく、地味な色合いです。けれども、絵には、細かい羽毛の風合いまで表わされています。派手でなくとも味があります。
 もちろん、ぱっと見て美しい植物や鳥類の絵もあります。
 例えば、植物画では、野生バラの仲間やスイセンの仲間、ヒルガオの仲間、ハスの仲間などの絵があります。鳥類画では、すんなりと立ったフラミンゴや愛らしい小鳥のアカマシコなどの絵があります。会場で、お好みの博物画を、探してはいかがでしょうか。
 展覧会『英国ボタニカル・アート 美しき植物の記録』は、以下のページに紹介されています。
ニューオータニ美術館

図鑑↓↓↓↓↓には、この展覧会の絵にあるポインセチア、カワラナデシコなどが掲載されています。また、鳥類では、この展覧会の絵にコガモ、ヒドリガモ、ゴイサギ、アカゲラなどが掲載されています。
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 過去の記事でも、生き物に関する展覧会を紹介しています。まだ会期がありますから、お休みに出かけてみてはいかがでしょうか。
大哺乳類展【だいほにゅうるいてん】― 陸のなかまたち(2010/03/25)

2010年3月25日

大哺乳類展【だいほにゅうるいてん】 ―陸のなかまたち



 東京・上野の国立科学博物館へ、行ってまいりました。「大哺乳類展 ―陸のなかまたち」という展覧会を観てきました。
 この展覧会は、哺乳類の歴史をたどることから始まります。とても貴重な初期の哺乳類の化石が観られます。
 また、現生の哺乳類のうち、原始的なものの骨格と、進化が進んだものの骨格と、爬虫類【はちゅうるい】の骨格とが並んで展示されています。比べることで、爬虫類からどのように哺乳類が進化してきたのか、わかりやすくなっています。
 他にも、哺乳類の骨格標本がたっぷりです。「普段、見ている哺乳類の骨格が、こんなふうなのか」と、驚きがあります。骨格を見ると「コウモリの翼とは手なんだ」とか「アリクイの口には歯がない」といったことが納得できます。
 骨ばかりでは面白くないですか? そういう方も安心です。まるで生きているような、剥製【はくせい】標本もたっぷり観られます。
 剥製には、悪い印象を持つ方も多いですね。つやのない毛並みや「死んだ眼」などが、不気味だからでしょう。この展覧会の剥製は、そういった物とは、明らかに違います。ぱっと見ただけでは、生きているものと区別が付かないほどです。
 この展覧会は、視るだけではありません。触ったり、匂いをかいだりして楽しむこともできます。例えば、何種もの哺乳類の毛皮に触れるコーナーがあります。「寒いところの哺乳類が毛が厚い」ことを実感できます。トナカイの角やサイの角にも触ることができます。こんな機会でもなければ、一生、触れませんよね。
 匂いは? なんと、さまざまな哺乳類の糞の匂いを、かぎ比べることができます!
 ちなみに、会場は、臭【くさ】くありません。糞の標本には、蓋【ふた】がされているからです。私も、実際にかいでみました。思ったよりどの糞も、臭くありません。
 ただ、一種だけ臭いと思った糞がありました。どの種でしょうか? これは、ぜひ、会場で確かめて下さい(笑)

図鑑↓↓↓↓↓には、日本の哺乳類が、八十種以上掲載されています。
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2009年10月20日

行ってきました、浜名湖立体花博

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 静岡県の浜松市で開催中の、浜名湖立体花博【はまなこりったいはなはく】という博覧会に行ってきました。この博覧会は、浜松モザイカルチャー世界博とも呼ばれます。
 さて、モザイカルチャーとは何でしょうか? ごく簡単に言ってしまえば、「立体的に植物を植え込んだもの」です。詳しくは、公式サイトの説明をお読み下さい。
 モザイカルチャーは、「植物で作った彫刻」と言えるかも知れません。会場では、さまざまな「植物の芸術作品」を見ることができます。
 私のつたない言葉では、作品の魅力を伝えきれません。そこで、皆さんに画像を見てもらうことにしました。
 例えば、カメやシカといった動物を表現するのには、それにふさわしい植物を選ばなければいけません。間違えたら、「カメが、クマに見える」などということが、起こりかねませんよね。簡単そうに見えて、難しいことです。
 そのうえ、植物は生きています。世話をしなければ、枯れてしまいます。
 また、生きている限り植物は成長します。日々状態が変わってゆきます。成長した時のことまで考えて作品を作る必要があります。手間がかかる芸術ですね。
 会場の浜松フラワーパークは、広くて気持ちの良いところです。大温室もあります。モザイカルチャーばかりでなく、この大温室もお勧めです。珍しい熱帯植物や砂漠の植物が見られます。ここは見ないと損ですよ。
 会場は、バリアフリーの配慮がされています。お年寄りも、小さいお子さんも、体の不自由な方も、楽しめると思います。私が行った時も、御家族そろって芝生でお弁当を広げる姿があちこちにありました。
 今度のお休みにこの博覧会へピクニックなどいかがでしょうか。
浜名湖立体花博公式サイト

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アフリカ ガボンのリーブルヴィル市出品。『リクガメ』

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中国の北京市出品。『中国原産の珍しいシカ、シフゾウ(四不像)』

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浜松市のボランティア団体の出品。『遠州の浜に産卵に来るアカウミガメ』

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静岡県湖西市の出品。『白砂青松の風景』

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大温室内
月下美人(ゲッカビジン)
浜松フラワーパークでは、月下美人に昼夜逆転の生活をさせて、昼間に花が見られるようにしているそうです。

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大温室内 
和名:タキノシライト(滝の白糸) 
学名:Agave schidigera

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スイスのジュネーブ市の出品。
スイスの産業といえば時計ですね。そのものずばり、「時計のモザイカルチャー」を出してきました。もちろんこの時計ちゃんと動きます!!正確な時刻を指していました。
花時計ならぬ「植物時計」です。

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『木を植えた男』。同名の名作童話にちなんでいます。カナダのモントリオール市の出品。

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『木を植えた男』男が飼う羊の群れ
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『木を植えた男』男の背後に走る馬
静岡県 浜名湖 

2009年9月30日

楽しい樹洞【じゅどう】の展覧会

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 秋の行楽シーズンですね。たとえ天気が悪くても、楽しめる催しがあります。神奈川県小田原市で開催中の『木の洞【うろ】をのぞいてみたら』も、その一つです。
 これは、生命の星・地球博物館で開催されている特別展です。『樹洞の生きものたち』という副題が付いています。
 樹洞【じゅどう】とは、木に開いた穴のことです。木が病気になったり、動物に掘られたりして開いたものです。木の洞【うろ】とも呼ばれます。
 樹洞には、思われている以上に、たくさんの生き物が棲みます。この展覧会では、その様子を、わかりやすく紹介しています。
 まず、博物館の入口に、大きな材木が置かれています。会場の真ん中にも、大きい材木があります。これは、本物の樹洞そのものを展示しています。
 会場内の材木には、触ることができます。実物の樹洞を、覗【のぞ】きこむこともできます。ぜひ、触って、覗いて、樹洞がどんなものか実感して下さい。
 会場の展示ケースは、なんと、多くの部分が覆われていて見えません(!)少しだけ、ガラスケースが見える部分があります。ちょうど、樹洞を覗くように、展示ケースを覗くためです。樹洞で暮らす生き物を、覗いている気分になれます。
 樹洞を利用する生き物のうち、あまり知られないものも紹介されています。
 例えば、アイフィンガーガエルというカエルです。このカエルは、樹洞にたまった水たまりにしか、産卵しません。幼生(おたまじゃくし)は、みな樹洞で育ちます。
 また、コブナシコブスジコガネという、昆虫の一種がいます。「コブナシ(瘤無し)」なのに「コブスジ(瘤筋)」の「コガネ」ムシという、名前からしておかしいですね。コブスジコガネ科の一種で、瘤【こぶ】がないことから、こんな種名が付きました。
 コブナシコブスジコガネは、つい最近まで、どこに棲むのかわかっていませんでした。じつは、「ある条件の樹洞に棲む」とわかったそうです。その樹洞とは......ぜひ、展覧会へ行って、確かめてみて下さい。

 特別展『木の洞【うろ】をのぞいてみたら』の情報は、以下のページに載っています。
木の洞をのぞいてみたら―樹洞のいきものたち―(生命の星・地球博物館のサイト内)


図鑑↓↓↓↓↓には、リスの仲間、キツツキの仲間など樹洞に棲む生き物が掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net
ぜひご利用下さい。

2009年8月20日

地球と宇宙の環境科学展、お知らせ

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 夏休みの催しを、また一つ、見に行ってきました。『消えた生き物の謎と秘密』というものです。『地球と宇宙の環境科学展』という副題が付いています。東京のお台場近くの、日本科学未来館で、開催中です。
 この展覧会は、まず、地球の歴史をざっと振り返ります。その過程で、これまで地球に繁栄した生き物をいくつか紹介しています。
 古いところでは、今から六億年ほども昔の生物が解説されています。エディアカラ生物群と呼ばれる生物たちです。これの少し後に、有名なバージェス動物群が登場します。カンブリア紀(約五億四千五百万年前~約五億五百万年前)最強の動物とされるアノマロカリスが、巨大なロボットになって再現されています。
 その後には、海にしかいなかった生物が陸に上がったことが解説されています。そして、恐竜の登場と絶滅です。恐竜の代表として、ヴェロキラプトルとティラノサウルスのロボットが、迫力ある姿を見せてくれます。触れる化石もあります。
 現代に生きる生物たちも、たくさん紹介されています。アマミノクロウサギやツシマヤマネコの剥製【はくせい】標本があります。これらは、生きた姿を見るのが難しいですね。標本でも見られるのは幸運です。
 会場には、たくさんの解説板があります。すべての解説を読むと、かなり時間がかかります。解説をじっくり読みたい方は、時間に余裕を持って行きましょう。
 また、会場では、映像も多用されています。どれも興味深いので、つい、足を止めてしまいます。でも、これらの映像は、一つ一つが長いです。こちらも、うっかりすると時間が足りなくなります。「解説は苦手、映像だけ見たい」という方も、やはり時間には余裕を持ちましょう。
 個人的には、ヒトが滅ぼした生物の紹介に心を打たれました。「もう、彼らには会えないのか」と思うと、悲しくなります。絶滅鳥のドードーの模型など、よくできているだけに悲劇が際立ちます。「こんな悲劇を繰り返してはいけない」と、考えさせられました。

 展覧会『消えた生き物の謎と秘密』は、以下に公式サイトがあります。
~地球と宇宙の環境科学展~ 消えた生き物の謎と秘密

 過去の記事でも、夏休みのイベントを紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
写真展、昆虫4億年の旅(2009/07/22)

図鑑↓↓↓↓↓には、日本の生き物が、千八百種以上掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-
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ぜひご利用下さい。

2009年7月25日

生物学五輪で、金メダル!

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 先日、日本で初の、国際生物学オリンピックが開かれる」今年は、オリンピックの年?(2009/07/07)というニュースを、お伝えしましたね。この催しで、日本人が、初の金メダルを受賞しました!
 国際生物学オリンピック(略称IBO)は、一つの国から四人が一組となって参加します。今回、日本のチームは四人のうち、金メダルが一人、銀メダルが三人という快挙をなしとげました。以下に、四人の皆さんの氏名と高校名、成績を挙げますね。

金メダル 大月 亮太さん 千葉県立船橋高等学校(千葉県)三年
銀メダル 中山 敦仁さん 私立灘【なだ】高等学校(兵庫県)二年
銀メダル 谷中 綾子さん 私立桜蔭【おういん】高等学校(東京都)二年
銀メダル 山川 眞以さん 私立桜蔭【おういん】高等学校(東京都)二年

 四名の皆さん、おめでとうございます! 金メダルばかりでなく、銀メダルであっても立派な成績ですよね。世界の五十六カ国・地域の中の二百二十一名に混じって、この成績ですから。金メダルは、上位一割の成績を上げた人に与えられます。
 来年以降も、前記の四名に続く人が出て欲しいです。来年のIBOは、七月に、韓国で行なわれます。IBOは、スポーツの五輪と違い毎年開催されます。
 現在、高校二年生以下で生物が好きな方は将来、IBOに参加してみませんか? IBOに参加できるのは、高校生だけです。「生物学に賭ける青春」も、素敵だと思いますよ。
 今年のIBOの様子や来年以降のIBOに参加する方法については、国際生物学オリンピック日本委員会の公式ホームページを、御覧下さい。
国際生物学オリンピック日本委員会公式HP


2009年7月22日

写真展、昆虫4億年の旅

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 夏休みは、生き物関係のイベントがいっぱいですね。そんなイベントの一つに、行ってまいりました。写真家の今森光彦さんの写真展です。静岡市の静岡アートギャラリーで開催中の、『昆虫4億年の旅』です。
 今森さんは、昆虫の写真を撮らせたら、世界でも五指に入る写真家ではないでしょうか。
 今森光彦というお名前を知らなくても、日本人なら、今森さんのフンコロガシ(タマオシコガネ)の写真を、一度は見ていると思います。たいへん克明に、わかりやすく、生態を写した写真だからです。今森さんの写真集『スカラベ』は、衝撃的でした。
 他にも、今森さんは、多くの写真集を発表してらっしゃいます。今回の展覧会では、主に、『昆虫記』と『世界昆虫記』と二つの写真集からの作品を紹介しています。
 展覧会で見る写真は、写真集で見るものとは一味違います。何しろ、大きさが違います。普通は、縦横の長さが1mを越える写真なんて、見る機会がありませんよね?
 大画面で見る昆虫たちは、大迫力です。昆虫たちが、いかに巧みに自然環境に溶け込んでいるかよくわかります。私のお気に入りの作品を、いくつか挙げてみますね。
 一つは、ラフレシアという花の内側から撮った写真です。自分が昆虫になって、花の内側から外を覗いているかのようです。ラフレシアは、世界最大の花といわれる植物です。が、それでも、花の内側に入った視点は、写真ならではですね。
 もう一つは、鳥のハチドリと昆虫のアシナガバチが、並んで飛んでいる写真です。これは、花の蜜を取り合っている状態なのだそうです。ヘリコニアという花の蜜です。
 ハチドリは、最小の鳥類といわれますね。とはいえ、アシナガバチよりは、一回り大きいです。でも、花の蜜という食物は、同じです。まったく類縁の離れた生き物同士が、同じ場所で、同じ食物を争っています。その様子に、自然の妙味を感じました。
 そのほか、奇妙な姿をしたクモの写真や背景に紛れて見つけるのに苦労するバッタなど、面白い写真がたくさんあります。大人が見ても、子供が見ても、楽しめる展覧会です。お近くの方は、ぜひお運び下さい。


図鑑↓↓↓↓↓には、日本の昆虫が、四百種ほど掲載されています。
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ぜひご利用下さい。

 展覧会の様子は、以下のページに載っています。
今森光彦写真展 昆虫4億年の旅(静岡アートギャラリーのサイト内)

 今森さんの公式ウェブサイトもあります。
今森光彦ワールド

2009年7月 7日

今年は、オリンピックの年?

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 今年、日本でオリンピックが開かれます。と言えば、皆さんは「そんなはず、ないよ」と応えるでしょう。けれども、本当です。国際生物学オリンピックが開かれます。
 国際生物学オリンピックとは何でしょう? これは、世界中の高校生が集まって、生物学の知識や理解力を競うものです。いわば、「国際的な高レベル生物学試験」です。スポーツのオリンピックと違い、毎年、開催されています。開催地は、各国持ち回りです。
 今年は、国際生物学オリンピック(略称IBO)が生まれて、二十年目です。記念すべき第二十回のIBOが、日本のつくば市で行なわれます。日本での開催は、初めてです。開催期間は、7月12日(日)~19日(日)です。
 このオリンピックに参加できるのは、選抜された高校生たちです。一国四人のチームです。いずれ劣らぬ、生物学の猛者(笑)のはずです。参加を高校生に限るのは、「若い才能を、早く発見して、より良く伸ばしてあげたい」という主旨からだそうです。
 日本は、二〇〇五年から、IBOに参加しています。最初の年は、どんな状態なのか、わからないままの参加だったそうです。なのに、銅メダル二個を獲得しました。参加を重ねるにつれ、メダルが増え、銅メダルに加えて、銀メダルも取れるようになりました。
 残念ながら、まだ、金メダルの獲得は、ありません。自国開催の今年は、期待がかかりますね。あまりプレッシャーをかけるのは、気の毒でしょうか。
 IBOの日本開催は、明るいニュースですね。若い才能を応援する行事だからです。そのうえ、選手たちの活躍を知ることで、参加しない人も、元気になれるでしょう。スポーツのオリンピックと、同じ作用があると思います。
 それにしては、報道が少ないですね。こういうニュースは、もっと広めたいです。
 現在、高校二年生以下の方は、来年以降、IBOに参加できるチャンスがあります。IBOの選手になる道は、日本全国の中学・高校生に開かれています。
 IBOの選手になるには、「生物チャレンジ」という試験を受ける必要があります。詳しくは、以下の、国際生物学オリンピック日本委員会のサイトを、御覧下さい。

国際生物学オリンピック日本委員会公式HP

今年の国際生物学オリンピックの選手決定の様子は、以下に載っています。
「生物五輪」代表に高校生4人 来年7月つくばで開催(47ニュース 2008/12/08)

2009年7月 4日

カワゴンドウの危機と、コウモリの新種

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 哺乳類について、二つのニュースがありました。良いニュースと悪いニュースです。

 先に、悪いニュースを片付けてしまいましょう。カワゴンドウというイルカの一種が、東南アジアのメコン川で絶滅の危機にあります。
 カワゴンドウは、河川の河口付近や海岸近くの海に棲みます。日本には、分布しません。インドや東南アジアに分布します。名前に「河」と付きますが、カワイルカの仲間(カワイルカ上科【じょうか】)ではありません。マイルカ科に属します。
 河川や海岸近くの海は、人間の活動が盛んですね。カワゴンドウにとっては、これが不運でした。人間による環境汚染が進んだのです。このため、生まれたばかりの子イルカが、次々に病死しています。子どもが育たなければ、種が絶滅するのは、明らかですね。
 カワゴンドウは、メコン川以外にも、広く分布します。けれども、メコン川以外でも、絶滅の危機にあるところが多いです。根本的な対策としては、汚染を除去するしかないでしょう。対策が取られる前に、絶滅しないことを祈ります。

 メコン川のカワゴンドウのニュースは、以下にあります。
メコン川のイルカ、絶滅寸前 70頭前後とWWF(北海道新聞 2009/06/18)
メコン川の淡水イルカ、水質汚染で絶滅寸前 WWF(AFPBBニュース 2009/06/18)
 過去の記事でも、絶滅に瀕したイルカや、淡水に棲むイルカを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
揚子江【ようすこう】に、イルカはいるか?(2008/06/24)
イルカは淡水で暮らせない?(2007/09/05)
伊勢湾のスナメリが危機に?(2007/06/12)
などです。

 もう一つは、良いニュースです。インド洋のコモロ諸島で、新種のコウモリが発見されました。日本語名は、「アレンユビナガコウモリ」となりそうです。ラテン語の学名は、Miniopterus aelleniです。これらの名は、まだ正式なものではないかも知れません。
 「アレンユビナガコウモリ」は、ヒナコウモリ科ユビナガコウモリ属に属します。この新種は、日本にはいませんが、近縁な種が日本に分布します。ユビナガコウモリなどの種です。同じユビナガコウモリ属に属します。
 この新種の特徴は、とても小さいことです。体重が5gしかありません。5kgではありませんよ。「5グラム」です。ヒトの親指ほどの大きさです。
 こんなに小さいのに、「アレンユビナガコウモリ」は、世界最小のコウモリではありません。世界最小と言われるのは、キティブタバナコウモリという種です。この種の体重は、1.5g(!)です。タイに分布する種です。
 今回の新種は、マダガスカルにも分布するそうです。今後のニュースにも、注目ですね。

 「アレンユビナガコウモリ」のニュースは、以下に載っています。
親指大のコウモリ、新種と判明(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/6/30)
シーラカンスの島に、新種の小さなコウモリ(Cryptomundo 2009/6/25)※英文ですが、新種コウモリの画像が、いくつか見られます。

図鑑↓↓↓↓↓には、「アレンユビナガコウモリ」と近縁なユビナガコウモリが掲載されています。
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 過去の記事でも、新種のコウモリや、今回の新種と近縁なユビナガコウモリなどを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
メコン川の流域で、千種以上の新種を発見(2008/12/18)
米国で、コウモリが、謎の大量死(2008/05/12)
コウモリと共存しよう、引越し大作戦(2008/04/28)
などです。

2009年6月13日

コウノトリと共存、絶滅危惧のコガネムシ

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 兵庫県のコウノトリの里から、嬉しいニュースが届きました。コウノトリの巣で、絶滅しそうな昆虫の一種が発見されました。
 それは、アカマダラコガネという甲虫です。コガネムシの一種ですね。甲虫目【こうちゅうもく】コガネムシ科ハナムグリ亜科に属します。種名は、アカマダラハナムグリとされることもあります。
 アカマダラコガネの成虫は、赤地に黒いまだら模様があります。美しいコガネムシです。日本をはじめ、東アジアに広く分布します。けれども、数は少ないです。地域ごとに見ると、絶滅した地域が多いです。兵庫県でも、絶滅したと思われていました。
 なぜ、アカマダラコガネは、数が少ないのでしょう? 生態がわかるにつれ、その原因がわかってきました。この種は、幼虫の生育環境が、特殊なのです。
 この種の幼虫は、主に、鳥の巣で育つようです。それも、大型の鳥の巣です。これまでの例では、サシバやハチクマなど、猛禽類【もうきんるい】の巣から見つかっています。コウノトリの巣から見つかったのは、初めての例だそうです。
 鳥の巣で、何を食べているのでしょうか? 巣の材料の木材です。鳥の排泄物【はいせつぶつ】が付いて、朽ちた巣材が、彼らには良い食べ物になるようです。直接、排泄物を食べるという報道もありますが、それはどうやら間違いです。
 アカマダラコガネは、「大型で、巣に木材を使う、肉食性か魚食性の鳥」がいなければ、繁殖できないわけですね。これでは、数が少ないはずです。そもそも、大型の鳥は、数が少ないからです。
 大きい生き物は、豊かな自然があるところでなければ生きられません。たくさんの食べ物が必要なためです。日本で、野生のコウノトリが絶滅してしまったのも―今は復活しましたが―、彼らが生きられるだけの自然がなくなったからでしょう。
 コウノトリが復活したおかげで、アカマダラコガネも、助かりました。生き物同士は、つながっているのですね。そのつながりにはヒトも含まれるでしょう。
 「コウノトリの巣にアカマダラコガネ」のニュースは、以下に載っています。



図鑑↓↓↓↓↓には、コウノトリが掲載されています。アカマダラコガネがその巣に棲むハチクマや、サシバも、載っています。
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絶滅種とコウノトリ共存 人工巣塔にアカマダラコガネ(神戸新聞 2009/06/10)

2009年5月21日

コモドオオトカゲは、有毒だった?

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 コモドオオトカゲについて、興味深い研究結果が発表されました。このオオトカゲには、毒があるというのです。
 コモドオオトカゲといえば、世界最大級のトカゲとして知られますね。全長が3mに達することもあります。これほど大きくなるのは、コモドオオトカゲ以外ではハナブトオオトカゲだけといわれます。
 コモドオオトカゲは、体が大きいだけに力が強いです。ヤギほどの大きさの哺乳類でも、倒すことができます。こんなに強い生き物が、毒を持つのは珍しいことです。
 ふつう、毒があるのは、体が小さかったり動きが鈍かったりするものです。弱いからこそ、毒を持つのですね。強ければ、毒を持つ必要はありません。逆に言うなら、毒があれば、他の部分を強くしなくても大丈夫です。毒は、弱者の武器といえます。
 現在、生きているものの中では、コモドオオトカゲは、最大の有毒生物かも知れません。なぜ、こんなに強いものが有毒なのでしょうか?
 この理由は、まだ解明されていません。「コモドオオトカゲは、見た目ほど強くないのでは?」という研究結果があります。大きさの割に、顎【あご】の力が弱いようです。咬む力が弱いので、毒に頼っているのかも知れません。
 これまで、「コモドオオトカゲには、毒はない」と信じられてきました。毒を持つトカゲは、ドクトカゲ科の二種(メキシコドクトカゲと、アメリカドクトカゲ)だけと思われてきました。じつは、他にも、多くのトカゲが、毒を持つようです。この分野は、まだ、研究が進んでいません。
 日本のトカゲには、有毒なものはいません。御安心下さい。コモドオオトカゲが属するオオトカゲ科が、毒を持つのではないかと考えられています。
 オオトカゲ科のトカゲは、すべて、熱帯や砂漠地帯に分布します。トカゲの中では、原始的なほうだとされます。トカゲの進化を探るうえで、重要なグループです。今後も、きっと興味深い研究結果が出るでしょう。楽しみですね。
 「コモドオオトカゲに毒」のニュースは、以下のページにあります。
毒で獲物を仕留めるコモドオオトカゲ(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/05/19)


図鑑↓↓↓↓↓には、オオトカゲは載っていませんが、日本のトカゲが九種ほど掲載されています。
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 過去の記事でも、オオトカゲの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ナイルオオトカゲ(2008/05/20)
雌(メス)しかいないトカゲがいる?(2007/03/06)
オオトカゲは危険生物?(2006/08/22)
などです。

2009年4月21日

縄文杉に「姉妹」ができる? カウリコーパルノキ

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 2009年の4月、明るいニュースがありました。ニュージーランド政府が始めた、樹齢1000年を超す世界中の木々を結ぶ「古代木ファミリープロジェクト」の第1弾として、鹿児島県屋久島の縄文杉【じょうもんすぎ】とニュージーランドの別の木が、「姉妹」になるというのです。
 縄文杉は、樹齢が二千年を越えるといわれますね。
 「姉妹」になるニュージーランドの木は、日本語の種名を、カウリコーパルノキ(カウリコーパルの木)といいます。カウリマツ(カウリ松)という別の種名もあります。これらの種名は、ニュージーランド先住民(マオリの人々)の呼び名「カウリ」に由来します。ラテン語の学名は、Agathis australisです。
 中でも、縄文杉の姉妹になるのは、タネ・マフタと呼ばれる巨木です。現存するカウリコーパルノキとしては、最大級です。樹齢は、少なく見積もっても、1200年を越えます。タネ・マフタとは、マオリの言葉で、「森の神」を意味します。
 このような高貴な名前の木と、縄文杉とが「姉妹」になるなんて嬉しいですね。縄文杉が、世界でも有数の長寿木であること、カウリコーパルノキと同じ針葉樹であること、などから選ばれたようです。
 なお、「縄文杉」というのはむろん個体名です。縄文杉の種名は、普通の「スギ」です。スギのラテン語の学名は、Cryptomeria japonicaです。
 同じ針葉樹とはいえ、スギとカウリコーパルノキとでは、やや縁が遠いです。スギは、マツ目【もく】スギ科スギ属に属します。カウリコーパルノキは、同じマツ目【もく】ですが、ナンヨウスギ科ナギモドキ属に属します。
 日本のスギは、花粉症のために、悪者扱いされていますね。けれども、野生で、樹齢1000年を越えるスギは、ほとんどありません。伐採されたからです。カウリコーパルノキも、同じです。良質の樹脂(コーパル)を利用するために、大量に伐られました。
 今、生き残る大木は、スギでもカウリコーパルノキでも貴重な存在です。人類は、彼らをきっかけに、自分たちと環境の将来を考えることができるでしょう。


 縄文杉とタネ・マフタの「姉妹」関係については、以下のニュースにあります。
国境越え「姉妹木」23日締結へ 縄文杉とNZの巨木(西日本新聞 2009/04/18)



図鑑↓↓↓↓↓には、縄文杉と同種のスギやカウリコーパルノキと近縁なナンヨウスギが掲載されています。
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 過去の記事でも、並はずれた巨木や、ニュージーランドの生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
がんばれ! ムカシトカゲ(2009/02/03)
世界で最長寿の樹木を発見!(2008/04/23)
世界最大のイカは、ダイオウイカではない?(2007/02/23)などです。

2009年4月 4日

世界最長寿のサンゴが発見される

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 海中生物のびっくりニュースが届きました。ハワイの深海からです。そこに棲むサンゴの一種が、四千年以上も生きているらしい、とわかりました。
 そこは、約366mの深さです。この深さでは、太陽の光は、あまり届きません。ですから、そこに棲むサンゴは、明るい浅海に棲むのとは、違う種です。
 調査チームは、そのサンゴの一部を、研究のために引き揚げました。引き揚げられたのは、レイオパテスLeiopathes属の一種と、ゲラルディアGerardia属の一種です。
 調査チームが、両種の年齢を調べました。その結果、レイオパテス属のほうは、なんと4265歳だと判明しました。ゲラルディア属のほうは、2742歳だそうです。
 レイオパテス属のほうは、海中生物としては、知られる限り、最長寿です。ただし、サンゴは、一個体ではなく、たくさんの個体がつながった群体生物です。このため、一個体として最長寿とは、言えません。「群体として最長寿」です。
 レイオパテス属も、ゲラルディア属も、研究があまり進んでいません。どのグループに分類されるのかにも、議論があります。
 レイオパテス属のほうは、刺胞動物門【しほうどうぶつもん】花虫綱【はなむしこう】六放サンゴ亜綱【ろっぽうさんごあこう】ツノサンゴ目【もく】に属するようです。ゲラルディア属のほうは、六放サンゴ亜綱までは、レイオパテス属と同じです。しかし、目【もく】以下の分類は、違います。スナギンチャク目【もく】というのが、有力な説です。
 厳密に言えば、ゲラルディア属は、サンゴではありません。かといって、イソギンチャクでもありません。「スナギンチャク」という、独自のグループです。
 レイオパテス属と、ゲラルディア属は、どちらも、宝石のサンゴとして使われることがあります。レイオパテス属のほうは、通称、黒サンゴと呼ばれます。ゲラルディア属のほうは、通称、金サンゴです。両方とも、ハワイの深海から、捕られています。
 ということは、数千年も生き延びたものが、宝石にされた可能性もありますね。人間は、少し、欲を控えたほうが、いいかも知れません。

 「最長寿のサンゴ」のニュースは、以下にあります。載っている画像は、通称gold coralと呼ばれるゲラルディア属のものです。 
調べてみたらなんと4000歳、ハワイで長寿世界一の海中生物を発見(technobahn 2009/03/30)
 より詳しいニュース記事が、以下にあります。ただし、英文です。
Oldest Sea Creatures Have Been Alive 4,000 Years(LiveScience 2009/ 3/23)

2009年3月12日

女装するトカゲと、男装するサル




 興味深いニュースが、二つ、飛び込んできました。生き物の性差について、考えさせられるニュースです。一つは爬虫類の話で、もう一つは、哺乳類の話です。
 爬虫類のほうは、トカゲのニュースです。南アフリカに分布するトカゲの一種が、「女装」することがわかりました。若い雄【オス】が、雌【メス】のふりをするのです。
 この種には、日本語名がありません。ラテン語の学名は、Platysaurus broadleyiです。ヨロイトカゲ科ヒラタトカゲ属に属します。「ヒラタトカゲの一種」といえます。
 この種の成熟した雄は、鮮やかな体色になります。たいへん美しいので、ぜひ、ニュースのリンク先の画像を御覧下さい。雌は、地味な薄茶色っぽい体色です。
 このトカゲは、雌を得るために、雄同士で闘争します。闘いでは、未熟な雄より、成熟した雄のほうが有利です。体が大きいからです。下手をすると、未熟な雄は、殺される可能性があります。
 そこで、未熟な雄は、「女装」します。雌と同じ、地味な体色になります。こうすれば、成熟した雄に、雌だと勘違いしてもらえるからです。
 これと似たニュースが、哺乳類についても、ありました。こちらは、サルの一種です。原猿類【げんえんるい】と呼ばれる、原始的なサルの仲間です。
 この種の日本語名は、アカビタイキツネザルです。霊長目【れいちょうもく】キツネザル科キツネザル属に属します。アフリカの東の島国、マダガスカルに分布します。
 アカビタイキツネザルは、若い雌が、雄のふりをします。前記のヒラタトカゲと逆ですね。これは、雄と雌の役割が、逆だからです。
 アカビタイキツネザルでは、雌【メス】同士が、雄をめぐって争います。未熟な雌は、やはり、成熟した雌より不利です。このため、未熟な雌は、雄と同じ体色になります。「男装」するわけです。これで、成熟した雌の攻撃を避けられる、とわかりました。
 生き物の世界には、面白い生態が、たくさんありますね。


 「女装」するトカゲのニュースは、以下にあります。
 攻撃を避けるため「女装」するトカゲ、南アフリカ(AFPBBニュース 2009/03/04)


 「男装」するサルのニュースは、以下にあります。
 "男装"して争いを避けるキツネザルのメス(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース、2008/07/24)
 過去の記事で、雄と雌の体色が極端に違ったり、雄と雌の役割が逆転したりしている生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 キジのお父さんも楽じゃない?(2007/04/16)
 子育てに張り切るお父さん、タマシギ(20060/6/17)
 鴛鴦(オシドリ)は本当におしどり夫婦か?(2006/03/06)などです。

2009年2月11日

スズメ(雀)が、絶滅の危機に?

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 驚くべきニュースです。なんと、「スズメの数が激減している」というのです。五十年前と比べると、10分の1になっているのでは、といいます。立教大学理学部の研究員の調査で、明らかになりました。
 スズメは、ほぼ、日本じゅうで見られます。小笠原諸島にだけは分布しません。誰でも知っている鳥ですね。そんなに減っているなんて本当でしょうか?
 どのくらい減っているかには、議論があります。けれども「減っている」ことは、間違いなさそうです。農作物の被害面積や捕獲数から、推定されました。
 スズメは、穀物を食べることから、害鳥として駆除されます。しかし、一方的に、害鳥とはいえません。穀物ばかりでなく、農作物の害虫も食べるからです。害鳥や益鳥というのは、人間の勝手な思惑でしょう。
 スズメが減ったのはなぜでしょうか? いくつかの原因が考えられています。
 一つには、人家の構造が変わったから、というのがあります。昔は、瓦屋根の家が多かったですね。あの屋根は、スズメが巣を作るのに、ちょうど良いものでした。瓦の隙間は、スズメにとって、安全で便利な場所のようです。
 もう一つは、地方の過疎化と関係しています。「そんなことが関係あるのか?」と思いますよね。じつは、スズメは、人間がいないところには棲めない鳥なのです。
 スズメは、ヒトに近づくことで生き延びてきました。ヒトは、他の動物にとっては、恐ろしい存在でしょう。スズメは、それを利用しました。「恐ろしいもののそばにいれば、他の敵は来ない」わけです。おまけに、ヒトのそばには食べ物がたくさんあります。
 過疎化の進んだ地域では、人間の数が減ります。すると、スズメも減ります。石川県の 白山自然保護センターの調査などで、具体的な結果が出されています。
 スズメは、最も人間に身近な鳥です。それだけに、私たちの生活ぶりをよく反映するのでしょう。スズメに、私たちの生活を問われている気がします。

 「スズメの数が激減」のニュースは、以下にあります。
 スズメ 国内生息数、半世紀前の1割に 全国調査で判明(毎日新聞 2009/02/03)
 スズメの焼き鳥:100年の名物ピンチ 退治、御利益ありすぎた? 京都・伏見(毎日新聞 2009/01/19)

 「過疎化とスズメの関係」の研究は、以下に、要約があります。
 「石川県白山自然保護センター研究報告」(第23集)要約(白山自然保護センターのサイト内)

図鑑↓↓↓↓↓には、スズメと、近縁種のニュウナイスズメが掲載されています。
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2009年2月10日

クマノミの危機、タナゴの復活

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 魚類に関するニュースが二つありました。良いニュースと悪いニュースです。
 先に、悪いニュースを、やっつけてしまいましょう。熱帯の海の魚が、危機になるかも知れません。大気のCO2(二酸化炭素)が増加すると、魚の鼻が利かなくなるというのです。映画『ファインディング・ニモ』で有名な、クマノミの仲間で実験されました。
 この仕組みは、以下のとおりです。大気のCO2が増えると、海中のCO2も増えます。そうなった海中では、クマノミの嗅覚が障害を起こします。匂いがわからなくなるのですね。これは、野生の生き物には致命的なことです。危険を察知できないからです。
 CO2の増加による地球温暖化説には、異論もあります。けれども、CO2の増えすぎが良くないことは、確かですね。私たちには、ある程度、地球環境に対する責任があります。
 CO2でニモもピンチに?海水酸性化、嗅覚損なう(共同通信 2009/02/03)
 次は、良いニュースです。日本固有種の魚に復活の兆しがあります。
 日本の淡水魚には、固有種が多いです。代表として、タナゴの仲間があります。コイ科タナゴ亜科に属する種をタナゴと総称します。ややこしいことに、この中に、単に「タナゴ」という種名の魚もいます。日本には、元来、十七種ほどが分布していました。
 近年、タナゴの仲間は、激減しました。環境汚染と、外来種の移入のためです。
 特に、外来種の移入は、深刻です。外来魚は、タナゴ類のすみかを奪ったり、直接、彼らを食べたりするからです。ブラックバスと、ブルーギルが、有名な外来魚ですね。
 タナゴ類の敵は、日本にもともといました。そこへ、新しい敵が増えてしまったわけです。ブラックバスやブルーギルは、肉食魚です。どんどん、タナゴ類を食べてしまいました。新しい敵への対処は、そう簡単には、できません。
 琵琶湖など、固有種が多い水域では、外来魚の駆除が始まっています。その成果を確かめるため、二〇〇八年の十一月、滋賀県の野田沼で、魚類調査が行なわれました。
 この調査で、日本の固有種が増えていると、確認されました。イチモンジタナゴ、カネヒラ、ヤリタナゴなどです。外来魚の駆除は、固有種の保護に、とても効果があるとわかりました。このような成果は、全国に広がって欲しいですね。
 絶滅危機のイチモンジタナゴ復活 湖北の野田沼 外来魚駆除が効果(京都新聞 2009/02/03)


図鑑↓↓↓↓↓には、クマノミ、ハマクマノミ、正式種名タナゴ、ニッポンバラタナゴ、ミヤコタナゴなどが掲載されています。

 過去の記事でも、クマノミや、タナゴの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 死滅回遊魚【しめつかいゆうぎょ】とは、どんな魚?(2007/11/05)
 貝に卵を産む? 不思議な魚たち(2007/03/30)
 クマノミの親子関係(2005/10/31)
 ニモのお父さんはお母さんだった?(2005/10/28)
などです。


2009年2月 3日

がんばれ! ムカシトカゲ




 爬虫類のニュースが、届きました。
 そのニュースは、南半球の国、ニュージーランドからです。世界でニュージーランドにしかいない爬虫類、ムカシトカゲの繁殖に、成功したということです。
 ムカシトカゲは、ムカシトカゲ目【もく】ムカシトカゲ科ムカシトカゲ属に属します。ムカシトカゲ目の起源は、恐竜時代にあります。現在、この目【もく】に属するのは、ムカシトカゲと、ギュンタームカシトカゲの二種だけです。ギュンタームカシトカゲも、ニュージーランドにしかいません。たった二種の「生きている化石」仲間です。
 今回、繁殖したのは、ヘンリーという名の、雄のムカシトカゲです。彼は、これまで、雌に関心を示しませんでした。それが、腫瘍【しゅよう】の手術を受けた後、なぜか心変わりしたようです。このほど、彼の子供が、無事に卵から生まれました。
 驚くのは、ヘンリーの年齢です。なんと、百十一歳だそうです。こんな年齢で、繁殖能力があるのですね。生きている化石の神秘性を感じます。
 111歳で初めて父親に、恐竜時代の生き残りムカシトカゲ(AFPBBニュース 2009/01/28)
 ムカシトカゲ(Wikipediaの解説)



2009年1月29日

複数の科が、一つの科に? 魚の分類が変わる

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 先日、深海魚に関して、興味深いニュースがありました。これまで、違うグループに分類されていた魚が、同じグループだと判明したのです。
 それは、クジラウオ目【もく】と呼ばれるグループの魚たちです。クジラウオ目は、カンムリキンメダイ目【もく】とも呼ばれます。このグループは、いま、分類が見直されている最中です。今回は、目【もく】の下の、科【か】という分類単位が、変わりました。
 クジラウオ目には、いくつかの科が含まれます。中に、クジラウオ科、ソコクジラウオ科、リボンイワシ科という三つの科がありました。リボンイワシ科は、トクビレイワシ科とも呼ばれます。この三つの科が、一つの科にまとめられると、判明しました。
 たとえて言えば、これは、「ネコとイヌが、同種の雄と雌でした」という感じです。ネコとイヌとは、同じ食肉目【しょくにくもく】に属します。けれども、科のレベルでは、ネコは食肉目のネコ科に、イヌは食肉目のイヌ科に属します。
 深海魚は、研究が進んでいません。このような分類の見直しは、これからもありそうです。詳しい経緯は、以下のリンク先記事をお読み下さい。
 深海魚の3科、実は1つだった=DNA解析で判明・国際チーム(時事ドットコム2009/0/26)
 前記と似た別のニュースも、ありました。こちらは、魚類の新種のニュースです。
 南米のベネズエラで、ナマズの新種が、発見されました。ラテン語の学名を、Lithogenes wahariと付けられています。日本語名は、ありません。
 ナマズというのは、ナマズ目【もく】に属する魚の総称です。ナマズ目の中には、たくさんの科が含まれます。今回の新種は、ナマズ目のうちの、二つの科の特徴を持ちます。アストロブレプス科と、ロリカリア科です。
 この二つの科も、一つの科になるのでしょうか? そうなるかも知れませんし、ならないかも知れません。今回の新種のため、新しい科ができる可能性もあります。
 もともと、アストロブレプス科と、ロリカリア科とは、近縁だといわれてきました。今回の新種は、その証拠といえます。この二つの科の、共通の祖先の姿を残しているのではないか、と推測されています。詳しくは、以下のリンク先記事をお読み下さい。
 岩に登る奇妙なナマズ、新種に認定(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/01/22)
  


図鑑↓↓↓↓↓には、日本のナマズ四種を含む魚類が、五十種以上掲載されています。
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  過去の記事でも、深海魚や、ナマズの仲間を取り上げています。今回のニュースにあるように、雄と雌とが極端に違う深海魚のチョウチンアンコウも、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 超深海でも活発なのは、シンカイクサウオ?(2008/11/11)
 鮟鱇(アンコウ)鍋にはならないチョウチンアンコウ(2006/02/03)
 しゃべるナマズがいる?(2006/08/11)


2009年1月28日

長生きの渡り鳥たち、二題

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 野鳥の寿命は、どれくらいでしょうか? これを知るのは、難しいです。野生の生き物は、追跡するのが、困難だからです。
 けれども、近年、ヒントになる事例が、いくつかありました。野生のセグロカモメとオオワシとで、同一個体が長く観察されています。以下に紹介しますね。
 セグロカモメのほうは、和歌山県のみなべ町での例です。一羽のセグロカモメが、十六年にわたり、渡ってきているのが観察されています。
 なぜ、同一個体とわかるのでしょう? それは、このカモメに、変わった特徴があるからです。頭頂部の羽毛が、とさかのように逆立っています。通称「とさかカモメ」と呼ばれています。この特徴のおかげで、個体識別できるのですね。
 推定では、このカモメの年齢は、十九歳以上だそうです。この年齢をヒトに換算すると、どのくらいになるのかはわかりません。写真を見る限りでは、年寄りらしくなく、元気そうです。カモメがこんなに長生きとは、私も思いませんでした。
 オオワシのほうは、長野県の諏訪湖【すわこ】で、観察されています。二〇〇九年で、十年連続、同一個体が飛来しています。
 こちらのワシは、なぜ、同じ個体とわかるのでしょうか? 体の模様で、判別できるそうです。オオワシには、尾や翼に、白い模様があります。それが、一羽一羽、違います。
 このオオワシには、「グル」という名が付いています。野鳥なのに、なぜかといえば、一時期、人間に保護されたことがあるからです。
 一九九九年の一月、諏訪湖で、衰弱したオオワシが保護されました。日本野鳥の会の人が、四十九日間、世話をしたといいます。その時に、名が付けられたようです。こちらの現在の年齢は、十四歳で、雌だそうです。
 オオワシの多くは、北海道に飛来します。本州に来るもの自体、少ないです。生息地の南限に近いところで、こんな長期間、観察できているのは素晴らしいですね。
 どちらの鳥も、長く生きて、長く観察されて欲しいものです。

 「とさか」のあるセグロカモメのニュースは、以下にあります。
 今年も来ました 「とさかカモメ」(紀伊民報 2008/12/24)
 諏訪湖のオオワシ「グル」のニュースは、以下にあります。
 オオワシ:保護して放鳥の「グル」、10年連続で諏訪湖飛来 /長野(毎日新聞 2009/01/05)  


図鑑↓↓↓↓↓には、セグロカモメもオオワシも掲載されています。
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 過去の記事でも、セグロカモメやオオワシを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 オオワシとオジロワシには、流氷が似合う(2008/02/08)
 カモメは冬にしかいない?(2006/10/23)


2009年1月27日

ガラパゴスより、ゾウガメとイグアナの報告

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 南米エクアドル領のガラパゴス諸島より、貴重な生き物のニュースがありました。
 一つは、ガラパゴスゾウガメに関するものです。「孤独なジョージ」と呼ばれるガラパゴスゾウガメを覚えていますか? 以前、このブログで報告しましたね【「ひとりぼっちのジョージ」が、独りから脱出?(2008/7/025)】。これの続報です。
 二〇〇八年、ジョージと「お見合い」した雌が、卵を産みました。けれども、卵は、すべて無精卵だったようです。一つも孵化【ふか】しませんでした。
 今回は、残念な結果でした。来年以降に希望をつなぎましょう。
 もう一つは、新種のニュースです。ガラパゴスのイグアナのうち、陸に棲むもので、新種が確認されました。
 ガラパゴスには、海と陸とにそれぞれ別種のイグアナがいます。海に棲むのは、ウミイグアナという一種だけです。陸には、ガラパゴスリクイグアナとサンタフェリクイグアナ(バリントンリクイグアナ)の二種が棲みます。
 それが、第三の「陸のイグアナ」が確認されたのですね。じつは、この種のことは、一九八六年から、存在が知られていました。ただ、新種かどうか、疑問が持たれていました。このたび、イタリアの大学の研究で、新種と確認されました。
 この新種はラテン語の学名を、Conolophus rosadaと付けられました。日本語名は、まだありません。英語ではその体色から、Pink Iguanaと呼ばれています。
 このピンクのイグアナは、とても数が少ないです。生息する場所も、限られます。ガラパゴス諸島の中でも、イサベラ島という島のウォルフ火山にしかいないそうです。
 ガラパゴスでは、どの種のイグアナも、保護されています。とはいえ、今回の新種やサンタフェリクイグアナは、絶滅が心配されています。特に数が少ないためです。
 今回の新種は、ガラパゴスのイグアナの研究に、重要な成果をもたらすかも知れません。ガラパゴスのイグアナが、いつ、現在のような種に分化したのか、大きな手がかりを秘めているからです。そんな貴重な彼らは、将来安泰であって欲しいですね。

 ガラパゴスゾウガメの「ひとりぼっちのジョージ」のニュースは、以下にあります。
 「孤独なジョージ」卵、8個ふ化せず ガラパゴスの雄ゾウガメ(産経ニュース 2008/12/04)
 絶滅危機種の卵ふ化せず ガラパゴスのゾウガメ(産経ニュース 2009/01/23)

 ガラパゴスの陸生イグアナの新種のニュースは、以下にあります。
 新種のピンクイグアナ発見(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2009/01/05)
 ガラパゴス諸島でピンクの新種イグアナ発見される(AFPBBニュース 2009/01/06)


2009年1月 9日

版画の宝石、『アメリカの鳥類』展へ




 寒いと、外に出るのが嫌になりますね。今回は、室内で楽しめる「自然観察」を紹介しましょう。鳥類の版画の展示です。
 「自然の賜物・鳥の王国」という展示がされています。場所は、東京都の町田市にある国際版画美術館です。オーデュボンという米国人が描いた版画が展示されています。これは、『アメリカの鳥類』という版画の本から複製されたものです。
 『アメリカの鳥類』は、史上まれに見る豪華な本です。銅版で印刷した絵に、一点一点、手で彩色した(!)そうです。こんな手間のかかる本は、現代では出せないでしょう。
 今回、展示されているのはその複製です。とはいえ、その豪華さは、原本と変わりません。しかも、ほとんどの鳥が、実物大で描かれています。ハクチョウのような大型の鳥でもそうです。精密な絵が、大迫力で見られます。
 どの絵も、素晴らしいです。中で、私のお勧めをいくつか挙げてみますね。
 第一は、カロライナインコです。インコの一種です。この種は、北米大陸に野生で分布する、唯一のインコでした。けれども、二十世紀の初めに絶滅しました。
 もはや、カロライナインコの生きた姿も生態写真も見ることができません。オーデュボンの絵は、往時のカロライナインコの姿を生き生きと伝えています。
 第二は、カリフォルニアコンドルです。大型の、コンドルの一種です。翼を広げれば、2mを越えます。そんな鳥が実物大で見られます。圧倒されますよ。
 カリフォルニアコンドルも、絶滅寸前の種です。野生では、六十羽くらいしかいません。生きた姿を見るのは極めて難しいです。この機会に、細密な絵を御覧下さい。
 第三は、ツバメトビです。トビ、いわゆるトンビの一種です。ツバメのような尾を持ちます。スマートで格好いいです。この種も、北米では、絶滅の危機にあります。南米にも分布しますが、だからといって北米のものを滅ぼしてはいけませんね。
 嬉しいことにこの展示は、無料で観られます。会場の美術館は、緑豊かな公園にあります。お散歩にも良いです。手軽なお出かけに、いかがでしょうか。
  


図鑑↓↓↓↓↓には、二百種以上の日本の鳥が掲載されています。
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 会場の国際版画美術館のページは、以下にあります。
 国際版画美術館(町田市のサイト内)
 国際版画美術館 常設展 自然の賜物・鳥の王国-オーデュボン「アメリカの鳥類」(町田市のサイト内) 
 

2008年12月25日

アカボウクジラの歯の謎が、解ける?

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 クジラに関するニュースです。アカボウクジラというクジラの謎が、一つ、解けたかも知れません。
 アカボウクジラは、クジラの中でも謎が多いグループです。専門的にいえば、鯨偶蹄目【げいぐうていもく】の中の、アカボウクジラ科に属するクジラたちのことです。
 クジラの仲間を、大きく分けると、ハクジラとヒゲクジラとに分かれます。ハクジラとは、文字どおり、「歯のあるクジラ」です。ヒゲクジラは、歯の代わりに、「クジラヒゲ」という器官を持ちます。
 アカボウクジラ科は、ハクジラに属します。けれども、一部の種を除いて、歯の数が少ないです。多くのアカボウクジラ科の種では、雌【めす】は歯を持ちません。雄【おす】だけが、大きく発達した歯を一対、持つことが多いです。
 なぜ、雄だけに、このような歯があるのでしょうか? 餌を食べるのに、歯が必要でないことは明らかです。歯のない雌たちが、まったく問題なく生きているからです。
 アカボウクジラ科の種は、あまり陸に近づきません。そのうえ、食事は深い海底で行ないます。このため、彼らを観察することはとても難しいです。生態が、謎だらけになるわけですね。謎の中で、最も大きなものが雄の歯のことでした。
 このたび、「アカボウクジラ科の雄の歯は、雌に対するアピールのために発達した」という説が提出されました。クジャクの雄が、雌にアピールするために大きな羽根を発達させたのと同じです。
 この説には、反論もあります。確定したわけではありません。でも、興味深い説ですね。
 一部の報道では、ハクジラの仲間全体にこのような「謎の歯」があるように書かれています。が、それは間違いです。雄だけに大きな歯があるのは、アカボウクジラ科の種とイッカク科のイッカクだけです。
 今回の説を発表したチームは、二〇〇二年に、アカボウクジラ科の新種を発表しています。ペリンオウギハクジラという種です。今後も、研究の成果が楽しみですね。


 アカボウクジラの歯の謎に関するニュースは、以下にあります。
 ハクジラの種の分化、性選択的進化か(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース、2008/12/19)
 


図鑑↓↓↓↓↓には、が掲載されています。
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2008年12月 6日

忙中に「食」と「農」あり、博物館へ

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 師走ですね。誰もが忙しそうです。こんな時だからこそ心を養うことを忘れたくありませんね。そう思って、博物館へ行ってまいりました。
 行ったのは、東京農業大学の付属博物館です。「食と農」の博物館という名です。
 お酒や食べ物が好きな方は、行って損はありません。全国の日本酒の蔵元のうち、多くが東京農大の卒業生が経営するところだそうです。
 ニワトリの資料も充実しています。日本在来品種のニワトリは今では珍しいですね。それらの立派な剥製【はくせい】標本が多くあります。
 死んだ標本が苦手な方は、博物館の隣のバイオリウムがお勧めです。バイオリウムとは、生きた動植物がたくさん見られる温室です。
 ここの目玉は、何といってもキツネザルでしょう。原猿類【げんえんるい】という、原始的なサルの仲間です。ラテン語の学名で、レムールlemurとも呼ばれます。
 生きたレムールが見られるところは、動物園でも、少ないです。ここでは、何十頭ものレムールが、元気に跳ね回るのを見られます。
 爬虫類のマダガスカルヒルヤモリや、ケヅメリクガメも、見られます。ヒルヤモリは、レムールと同じく、アフリカ沖の島国マダガスカルに棲むヤモリです。ケヅメリクガメは、アフリカ大陸の、陸上に棲むカメです。
 植物も、熱帯の珍しい種が、いろいろ見られます。熱帯の中でも、乾燥地の種が多いですね。サボテンや、アロエの仲間などです。バオバブの木もあります。小さいながらも、幹が太い特徴が、よく現われています。
 他に、熱帯魚のベタなどもいます。熱帯魚は、売っていますので、家に連れて帰れます。
 嬉しいことに、ここは、入場無料です。手軽なお出かけに、いかがでしょうか。
 場所がちょっとわかりにくいのが、欠点ですね。住宅街の中に、埋もれるようにあります。入口の、大きなニワトリの置物が、目印になります。
 開館時間は、季節により変わります。博物館のウェブサイトで、お調べ下さい。


 東京農業大学「食と農」の博物館のウェブサイトは、以下にあります。
 東京農業大学「食と農」の博物館



図鑑↓↓↓↓↓には、動物、植物、合わせて1800種以上が掲載されています。
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 過去の記事でも、お出かけにぴったりな博物館を紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 動物? 植物? 「菌類のふしぎ」がわかる(2008/10/22)
馬肥ゆる秋に、馬の博物館へ(2007/10/6 
などです。


2008年12月 2日

タスマニアで、座礁したクジラの救出作戦

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 オーストラリアのタスマニア島から、クジラのニュースが届きました。陸に乗り上げたゴンドウクジラの一種を、救出する作戦が、実行されました。
 二〇〇八年の11月22日、タスマニア島の浜辺に、64頭ものクジラが、乗り上がってしまいました。そのうち、52頭は、死にました。発見された時には、手遅れだったようです。残りの12頭を救おうと、人々が、手を尽くしました。
 12頭のうち、1頭は、救出途中で、死んだそうです。残る11頭は、無事に、海へ帰されました。
 このニュースのクジラは、「パイロットクジラ」と報道されています。これは、おそらく、英語のPilot Whaleの直訳でしょう。ややこしいことに、Pilot Whale(ゴンドウクジラ)と呼ばれるクジラには、二種います。ヒレナガゴンドウと、コビレゴンドウです。
 今回、救われたのが、ヒレナガゴンドウなのか、コビレゴンドウなのかは、わかりません。この二種は、外見が似ます。区別するには、胸びれを見るのが、最も簡単な方法です。胸びれが、背びれの後端に届くほど長ければ、ヒレナガゴンドウです。
 公表された写真には、胸びれが、はっきり写っていません。比較的、小型のクジラだとわかるだけです。ヒレナガゴンドウも、コビレゴンドウも、クジラとしては、小型なほうです。それでも、両種の成体は、5mを越えるほどになります。
 ヒレナガゴンドウと、コビレゴンドウは、大きな群れを作ります。100頭を越える群れのこともあります。座礁する時には、群れ全体が座礁してしまうようです。
 一度に多数のクジラやイルカが座礁することを、マス・ストランディングと呼びます。ヒレナガゴンドウと、コビレゴンドウは、最もマス・ストランディングが多い種だといわれます。そうなる理由は、わかっていません。
 クジラやイルカの座礁原因には、さまざまな説があります。確定した説は、ありません。私たちヒトは、まだまだ、自然のことを、知らないのですね。もっと知って、多くの生き物を救えればいいな、と思います。


 タスマニアで座礁したゴンドウクジラのニュースは、以下にあります。
 浜辺に乗り上げたクジラ12頭、陸路による決死の救出作戦 タスマニア(AFPBBニュース 2008/11/25)


図鑑↓↓↓↓↓には、九種のクジラやイルカが掲載されています。
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2008年11月11日

超深海でも活発なのは、シンカイクサウオ?

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 二〇〇八年の十月、日本のそばの海で、新たな発見がありました。水深が約7700mもある超深海で、活発に動く魚の姿が撮影されました。場所は、日本の茨城県沖です。日本海溝【にほんかいこう】という、世界中でもきわだって深い海です。
 撮影されたのは、シンカイクサウオという魚だろうといわれます。正確な種名は、わかりません。もしかしたら、シンカイクサウオに似た別種かも知れません。
 このニュースで、驚くべきことはいくつかあります。まず、約7700mもの超深海で、生きた魚の動画が撮れたことです。もう一つは、これほどの深海に、17尾もの魚が集まってきたことです。さらに、超深海の魚が意外に活発なことです。
 深海の中でも、6000mを越える海は、特に変わった世界です。この深さでは、水圧が600気圧を越えます。こんな圧力のもとでは、普通の生き物の細胞は壊れてしまいます。細胞どころか、それを作る蛋白質【たんぱくしつ】自体が壊れます。
 シンカイクサウオは、そんな超深海で生きられる数少ない魚です。今のところ「世界で最も深い海に棲む魚」の一種です。8000m近い海に棲めます。同じくらいの深さに棲めるのは、ヨミノアシロ、カイコウビクニンなどごく限られた種の魚です。
 ちなみに、甲殻類(エビやカニの仲間)などは一万mの深さにも棲んでいます。
 シンカイクサウオは、6000mより浅い海に現われることはないそうです。完全に、超深海に適応しているのでしょう。蛋白質さえ壊れる世界に、どのように適応しているのかはよくわかっていません。鰾【うきぶくろ】がないのは知られています。
 一部で、シンカイクサウオはカサゴの一種と報道されています。これは、間違いとは言いきれませんが正確とも言えません。広い意味では、シンカイクサウオはカサゴの仲間です。カサゴ目【もく】クサウオ科に属するからです。
 けれども、シンカイクサウオは、食用魚のカサゴとはずいぶん違います。超深海に適応しているからです。カサゴの一種というよりは、クサウオ科の一種としたほうがよいでしょう。こういう特殊な生き物は、どのように説明したらいいのか悩みます。



 約7700mの超深海で撮影された魚のニュースは、以下にあります。
 超深海で生きた魚類の撮影に成功(産経ニュース 2008/10/21) 
 



図鑑↓↓↓↓↓には、今回、撮影されたのと同じカサゴ目【もく】の魚が何種か掲載されています。
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 過去の記事でも、深海の生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 タスマニア沖で、二百以上の新種を発見(2008/10/14) 
 ウミユリ(海百合)は、海底に咲く花?(2008/08/25)
本当にあった不思議なカレイの話(2008/01/25) 
 新種のクシクラゲ?発見(2007/06/13)
などです。



2008年10月22日

動物? 植物? 「菌類のふしぎ」がわかる

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 東京の国立科学博物館で、「菌類のふしぎ」という展覧会が開催中です。観に行ってきましたので報告しますね。
 菌類は、生き物です。私たちヒトとは、非常に違いますが、生き物なのは同じです。菌類は、動物でも植物でもありません。菌(真菌)という独自の生き物です。
 菌というと、「病気の原因になる、嫌なもの」と思う人もいるようですね。たしかに、そのような菌もいます。けれども、それ以上に、菌は人の役に立っています。
 どんなふうに役に立つのでしょう? それを、この展覧会ではわかりやすく教えてくれます。貴重な標本もたくさん見られます。
 圧巻なのは、キノコの標本です。土の中や木の中で暮らす菌類がキノコになります。「これもキノコ?」と、驚くような形のキノコも展示されています。
 キノコは、菌類が繁殖するために作ります。植物でいえば、花に当たるものです。
 多くのキノコが、食用になるのは御存知ですね。キノコ以外にも多くの菌類が、ヒトの食べ物を作っています。いわゆる発酵食品ですね。
 例えば、酒、味噌、醤油【しょうゆ】、酢【す】、パン、チーズなどです。これらの食品がない世界なんて、想像できませんね。ヒトの食生活は、どんなに貧しいものだったでしょう? 人類は、こんなに栄えられなかったに違いありません。
 また、菌類は、植物と大きく関わっています。植物のうち、九割以上が菌類と共生しているといいます。植物の根に、菌が棲んでいるのですね。
 菌がいないと植物は、うまく栄養を取れないようです。つまり、菌類がいなければ大部分の植物が育ちません。そんなことになったら、地球の生き物の危機ですね。菌類は、地球の生き物の命運を握っています。
 この展覧会には、かわいい菌のキャラクターがあちこちに登場します。これらは、『もやしもん』という漫画に登場する菌たちです。この漫画も、読んでみました。面白いですよ。ミュージアムショップにありますので、手に取ってみてはいかがでしょうか。


 「菌類のふしぎ」展の詳しい案内は、以下にあります。
 特別展:菌類のふしぎ(国立科学博物館内のページ)
 菌類のふしぎ(主催のTBSのページ)
  

図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、菌類は載っていません。そのかわり、菌類と共生する植物が800種以上掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net
ぜひご利用下さい。

もやしもん―TALES OF AGRICULTURE (1)、石川 雅之著、2005年、イブニングKC、本体価格560円【もやしもん、6巻まで発売中】




2008年9月25日

コウノトリの続報、アホウドリの続報

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 2008年の9月25日に、いよいよ、トキの放鳥が行なわれます。日本の空に野生のトキが飛ぶのは、1981年以来、27年ぶりです。

 野生で絶滅した鳥が、よみがえった例としては、コウノトリがありますね。コウノトリの放鳥も、ニュースになりました。その後、コウノトリは、どうしているでしょうか?
 2008年の夏、放鳥されたコウノトリの二世が、8羽、巣立ちました。彼らを入れて、日本の野生コウノトリは、30羽ほどになりました。
 二世たちは、それぞれ、生息範囲を広げようとしています。生まれ故郷の兵庫県豊岡市から、離れるものも出てきました。同じコウノトリでも、個性があります。
 2008年の9月現在、二世たちは、以下の地方で、飛来が確認されています。兵庫県篠山市【ささやまし】、兵庫県三田市【さんだし】、淡路島の南あわじ市、奈良県安堵町【あんどちょう】、長崎県佐世保市、広島県東広島市などです。

 他の例では、アホウドリの移住計画が、記憶に新しいですね。2008年の2月、アホウドリの雛【ひな】10羽を、人間が、引越しさせました。生まれ故郷の鳥島に、火山噴火のおそれがあるからです。新たなすみかは、小笠原諸島の聟島【むこじま】です。
 これらの移住アホウドリは、どうなったでしょうか? 5月の下旬までに、全員、無事に巣立ちました。今は、聟島を離れて、海で暮らしています。人工衛星を使って、追跡調査がされています。
 2008年、鳥島からは、270羽の雛が、巣立ったことがわかっています。2008年の6月現在で、アホウドリの数は、約2140羽と推計されています。
 数が増えるにつれ、アホウドリも、生息範囲を広げているようです。2007年と、2008年の夏に、北海道の知床半島沖で、アホウドリが目撃されました。2008年の6月には、宗谷岬の沖でも、目撃されています。これらからすれば、オホーツク海も、アホウドリの生息範囲に、入ったのでしょう。
 こういった嬉しいニュースを、ぜひ、トキについても、聞きたいですね。


 トキ、コウノトリ、アホウドリの現状は、以下のサイトで、逐次、報告されています。よろしければ、以下のページも御覧下さい。
 はばたけトキ(新潟日報社内のページ)
 コウノトリ野生復帰(神戸新聞社内のページ)
 アホウドリ復活への軌跡(東邦大学メディアネットセンター内のページ)
などです。
  


図鑑↓↓↓↓↓には、トキ、コウノトリ、アホウドリが掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net
ぜひご利用下さい。


 過去の記事でも、トキ、コウノトリ、アホウドリを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 トキ、再び日本の空へ?(2008/07/11)
 クロツラヘラサギとアホウドリ、未来へ羽ばたく(2008/02/21)
 コウノトリとトキ、未来への一歩(2007/05/24)



2008年9月 2日

コツブムシの続報、ウンピョウの続報

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 以前、ここのブログでお伝えした生き物の、続報が届きました。二種の生物について、続報をお伝えします。

 一つめは、ナナツバコツブムシです。「島を食い荒らす虫」として、有名になりましたね。この虫のために、広島県東広島市のホボロ島【じま】が、消えようとしています。 「虫が島を壊す? ナナツバコツブムシ」(2007/06/28)で、お知らせしました。
 ナナツバコツブムシにより、島が崩壊するのは、やむをえないことです。自然の摂理ですから、ヒトが止める必要は、ありません。
 ところが、最近、虫以外の要因で、島の崩壊が進んでいます。ホボロ島に、勝手に上陸して、島を傷める人がいるのです。
 ホボロ島は、生きた教科書といえます。生物による土地の浸食【しんしょく】が、実際に見られるからです。そのような島は、公共の財産でしょう。個人の好奇心で、傷めてよいものではありません。
 条例か何かで、「基本的に、島への上陸は禁止」としたほうが良いのかな、と考えます。けれども、それは、情けないですね。皆さんの良心に、期待したいです。

 二つめは、ボルネオウンピョウです。2007年に、新種として、発表されたヒョウ(豹)ですね。ウンピョウ(雲豹)というヒョウに近縁な種です。「ボルネオ(カリマンタン)島で、新種の豹(ヒョウ)を発見」(2007/03/17)で、お知らせしました。
 ボルネオウンピョウについて、わかっていることは、ほとんどありません。発見されたばかりのうえ、森林で、ひっそり暮らしているからです。
 ここへ来て、生息範囲について、ヒントが得られました。中部カリマンタン州の国立公園(インドネシア領内)で、ボルネオウンピョウの姿が、撮影されたのです。
 その国立公園は、かつて、森林が破壊されていた地域でした。そこにウンピョウがいるのは、森林の生態系が、復活したことを示します。嬉しいですね。こういうニュースを、たくさんお伝えしたいものです。

 ナナツバコツブムシの続報は、以下にあります。
虫が食う島、上陸者が崩す(中国新聞 2008/08/13)

 ボルネオウンピョウの続報は、以下にあります。
希少種ボルネオウンピョウ、新たに発見(AFPBBニュース 2008/08/22)

2008年8月 6日

世界最小のヘビ?を発見




 カリブ海に浮かぶ島国、バルバドスから、興味深いニュースが届きました。「おそらく、世界最小と思われるヘビ(蛇)が、見つかった」というのです。
 そのヘビは、長さが10cmほどしかありません。太さは、細めのスパゲティくらいです。ヘビというより、黒っぽいミミズに見えます。無毒のヘビです。
 このヘビは、これまでに知られない新種です。ラテン語の学名を、Leptotyphlops carlaeと付けられました。日本語名は、付けられていません。ホソメクラヘビ科に属します。
 この新種は、石の下や、土の中に棲むようです。「シロアリの成虫や、幼虫を食べる」と推定されています。ホソメクラヘビ科の種は、みな、そのような生活だからです。
 日本には、ホソメクラヘビ科のヘビは、分布しません。よく似たメクラヘビ科の種が、分布します。ブラーミニメクラヘビという種です。ただし、この種は、近年になってから、日本に来ました。外来種ですね。いつ、どこから来たのかは、わかっていません。
 今回の新種ヘビは、二〇〇六年に、発見されていました。けれども、新種かどうか、確認するのに、時間がかかりました。やっと、二〇〇八年になって、発表できました。
 じつは、この新種の標本らしきものが、以前から、博物館にあったようです。英国のロンドン自然史博物館に一つ、マルティニーク島の博物館に二つです。マルティニーク島は、バルバドスと同じく、カリブ海に浮かぶ島です。フランスの領土です。
 前記のとおり、生物の研究には、時間がかかります。採集されたものの、研究が進んでいない標本が、少なくありません。特に、小さな生物は、そうなりやすいです。研究が、困難だからです。小さいものは、解剖するのも、大変ですよね。
 カリブ海の島々には、同じような小型のヘビが、分布しています。例えば、マルティニーク島には、今回の新種より5mmほど長いだけの種が、分布します。また、セントルシアという島国でも、今回の新種と似た別種が、発見されました。
 これらのヘビは、どの種も、絶滅の危機にあります。人間により、生息地の森林が、切り開かれているからです。貴重なヘビたちを、保護して欲しいですね。


 「世界最小のヘビ」のニュースは、以下にあります。
 世界最小のヘビを発見(ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2008/08/03) 
 長さ10センチ、太さはめんほど??世界最小、新種のヘビ(47ニュース 2008/08/04)
 世界最小のヘビが発見される(BBC News 2008/08/03)  ※英語の解説です。
 スパゲティほど細い、世界最小のヘビ(ロイターUK 2008/08/03)※英語の解説です。



図鑑↓↓↓↓↓には、日本のヘビが、十五種ほど掲載されています。ban_zukan.net.jpg
インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net



 過去の記事でも、いろいろなヘビを取り上げています。今回の新種の食べ物と考えられる、シロアリの記事もあります。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ベトナムで、新種の発見ラッシュ(2007/09/27) 
 春と秋しか行動しない? ジムグリ(2007/09/17)
 迷子のヘビが無事に故郷へ、サキシマバイカダ(2007/06/12) 
 シロアリとアリとは、どう違う?(2007/06/11)
 「三すくみ」は嘘だった? 蛇はナメクジも平気(2007/02/15)
などです。



2008年7月25日

「ひとりぼっちのジョージ」が、独りから脱出?




 ガラパゴス諸島(南米のエクアドルに所属)から、ニュースです。絶滅寸前のガラパゴスゾウガメに、子孫ができるかも知れません。
 ガラパゴスゾウガメは、とても大きなカメ(亀)です。世界中で、ガラパゴス諸島にしかいません。状況は、危機的です。いくつかの島では、ゾウガメは、絶滅しました。
 今回のニュースの主役は、ガラパゴスゾウガメの中の、ピンタゾウガメという亜種です。亜種とは、同種の中でも、違いがある個体群を指します。ピンタゾウガメは、ガラパゴス諸島の、ピンタ島に分布していた亜種です。「亜種ではなく、種のレベルで、他のガラパゴスゾウガメとは違う」という意見もあります。
 現在、確認されているピンタゾウガメは、たった一頭です。英語で、ロンサム・ジョージLonesome Georgeと呼ばれます。「孤独なジョージ」という意味ですね。
 ジョージは、30年以上前から、独りぼっちです。「彼に、お嫁さんを見つけよう」という努力が続けられてきました。けれども、これまでは、うまく行きませんでした。
 理由は、二つあります。一つは、彼以外に、ピンタゾウガメが見つからないことです。もう一つは、ジョージが、雌(メス)に関心を示さないことです。これは、彼が高齢なため、と考えられてきました。彼の年齢は、推定で60歳~90歳です。
 ところが、ニュースによれば、この二つの原因が、解消されたようです。
 まず、2007年の4月に、「ジョージに近縁なカメが、見つかった」と発表されました。純粋なピンタゾウガメではなくとも、ピンタゾウガメの血を引く個体が、見つかったようです。そのような個体と、ジョージをつがいにすることが、計画されています。
 さらに、今回、「ジョージと『お見合い』している雌が、産卵した」と発表されました。ただし、その卵の父親が、ジョージなのかどうかは、未確認です。また、お相手の雌が、ピンタゾウガメの血を引くのかどうか、ニュースでは、言及されていません。
 カメの仲間は、高齢でも、繁殖能力があることが多いです。今回、産まれた卵が、本当に、ジョージの子どもだといいですね。


 孤独なゾウガメ「ひとりぼっちのジョージ」のニュースは、以下にあります。
 ゾウガメの「ロンサム・ジョージ」、40年間の独身生活にピリオド?(AFPBBニュース 2008/07/23)
 絶滅危ぐのガラパゴスゾウガメ「ロンサム・ジョージ」に近縁種見つかる - 米国(AFPBBニュース 2007/05/01)
 40年前から一人ぼっちのゾウガメ、「ロンサム・ジョージ」 - エクアドル(AFPBBニュース 2006/06/28)
  


図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ガラパゴスゾウガメは載っていません。そのかわり、日本のカメが9種が掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net
ぜひご利用下さい。

 
 過去の記事でも、珍しいカメを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 鼈甲【べっこう】になるだけじゃない、タイマイ(2008/06/20)
 絶滅からよみがえる? シャンハイハナスッポン(2008/04/22)
 イシガメが絶滅寸前?(2007/11/19)
 アオウミガメは、どこが青いか?(2007/05/11)
 世界最大の亀(カメ)はどこにいる?(2006/04/03)
などです。



2008年7月23日

マイナス18度で眠る、種子の貯蔵庫




 日本全国、一斉に梅雨が明けました。各地で、猛暑が続いています。今回は、涼しくなる話をしましょう。北欧のノルウェイからのニュースです。
 ノルウェイは、寒い国ですね。国土の一部が、北極圏にあります。それを利用して、植物の種子の倉庫が、作られました。北極圏の永久凍土(一年中、凍った土)の中で、低温で、種子が貯蔵されます。多様な植物の種を、保存するためです。
 地球の多くの生き物が、危機にあることは、皆さん御存知でしょう。植物も、例外ではありません。人間の開発などにより、たくさんの植物が、絶滅しそうになっています。
 私たちは、次の世代に、今ある植物の種を、残さなければいけません。植物の種を減らすことは、人類の危機にも、つながるからです。多くの食物や薬が、植物から作られますね。次世代の食糧不足や、病気を救うものが、植物の中にあるはずです。
 考えたくないことですが、今後、世界戦争や、大規模な気候変動が、起こるかも知れません。ヒトは、とんでもない力を、持ってしまいましたからね。万が一、大災害が起こっても、多様な植物の種が保存されていれば、人類は、滅びないで済むでしょう。
 そこで、ノルウェイ政府は、植物の種子の貯蔵庫を、作りました。自国の寒さを、生かしたのですね。この貯蔵庫は、北極海のスバールバル諸島にあります。なんと、海抜130mもの高地です。温暖化で、北極などの氷が溶けても、水没しない高さだそうです。
 二〇〇八年二月二十六日、この貯蔵庫が、正式に開設されました。その時点で、「26万8000種」の種子が、収蔵されたそうです。たぶん、これは、「栽培品種」を含む数でしょう。例えば、イネ(稲)の中の、「コシヒカリ」や「あきたこまち」が、「栽培品種」です。「種」としては、「コシヒカリ」も、「あきたこまち」も、同じ「イネ」です。
 このような種子の貯蔵庫は、ここだけではありません。世界中に、1400もあるそうです。ただし、すべての貯蔵庫が、このように大規模なのではありません。一種の種子しか、保存していないところもあります。
 このような貯蔵庫は、研究目的以外では、役立つ時が、来ないで欲しいですね。


 ノルウェイの種子の貯蔵庫のニュースは、以下にあります。
 現代の「ノアの箱舟」無事出航、北極の永久凍土層に種子バンク開設(AFPBBニュース 2008/02/27)
 数字で見る、スバルバルの世界種子貯蔵庫(AFPBBニュース 2008/02/27)
 【図解】スバルバルの種子保存施設の概要(AFPBBニュース 2008/02/26)
  


図鑑↓↓↓↓↓には、800種以上の植物が掲載されています。
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 過去の記事でも、北極圏や、そこに近い地域の生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 世界で最長寿の樹木を発見!(2008/04/23)
 ホッキョクグマが絶滅する?(2007/09/12)
 白鳥(ハクチョウ)は冬の使者(2006/01/11)
 トナカイはサンタクロースの友達(2005/12/21)
などです。


2008年7月18日

灯台もと暗し。自然史博物館の庭に、新種?の昆虫




 英国から、興味深いニュースが届きました。ロンドン自然史博物館の庭で、新種らしい昆虫が見つかった、というのです。
 新種の発見自体は、珍しくありません。毎年、多くの新種が、発見されています。今回のニュースが珍しいのは、発見された場所が、大都会ロンドンの真ん中であることです。しかも、そこは、自然史博物館の庭でした。
 ロンドン自然史博物館は、決して、小さな博物館ではありません。昆虫の標本だけでも、2800万ほど収蔵されている、といいます。生物の研究では、世界有数の権威を持つところです。そんな博物館の庭先に、新種がいるとは、誰も思わなかったでしょう。
 見つかった新種?は、カメムシの仲間です。カメムシ目ナガカメムシ科に属するようです。博物館で調べた結果、ラテン語の学名でArocatus roeseliiという種に近縁ではないか、とされました。この種は、ヨーロッパ中央部に分布します。
 Arocatus roeseliiは、日本には分布しません。そのため、日本語名は付いていません。この種に近縁なものとしては、セスジナガカメムシという種が、日本に分布します。
 日本のセスジナガカメムシは、赤と黒の、美しい体色をしています。今回の新種も、体色は、赤と黒だとされます。ただし、発表された写真では、地味に見えますね。この写真は、幼虫を写したもののようです。成虫は、美しくなるのかも知れません。
 今回、見つかったカメムシは、「新種」と決まったわけではありません。今のところ、外見の特徴しか、調べていないからです。それだけでは、新種かどうか、決めることはできません。例えば、普通にいる種の中に、たまたま、色変わりをした個体がいて、その子孫が増えた、という可能性もあります。
 博物館では、明確な結果を出すために、DNAの調査をするそうです。こういった調査には、時間がかかります。新種が「新種である」とわかるには、たいてい、年単位の時間が必要です。学術調査とは、気長に、地道に、行なうものなのですね。私たちも、気長に結果を待ちましょう。

 「ロンドンの真ん中で新種?」のニュースは、以下にあります。
 ロンドンのど真ん中で新種の昆虫? 専門家も正体がつかめず(technobahn 2008/07/15)
  


図鑑↓↓↓↓↓には、今回の新種?と同じナガカメムシ科のオオメカメムシ、オオモンシロナガカメムシが掲載されています。
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ぜひご利用下さい。


 過去の記事でも、昆虫の新種の発見や、再発見を取り上げています。また、カメムシの仲間も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 新種・珍種がざっくざく、南硫黄島【みなみいおうとう】(2008/06/10)
 ガーナの宝冠:西アフリカの希少な生き物たち(2008/05/16)
 イネクロカメムシは福田【ふくだ】の虫?(2007/10/08)
 腸内細菌が進化の決め手? マルカメムシ(2007/06/21)
 カメムシはなぜ臭【くさ】い?(2006/11/03)
などです。


UK-JAPAN2008 WEBサイトに記事掲載!

2008年7月 5日

生物の多様性とは? 日本のサンショウウオの場合

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 近年の環境問題で、キーワードの一つが、「生物多様性」です。七月七日からの洞爺湖【とうやこ】サミットでも、おそらく、この言葉が飛び交うでしょう。
 「生物多様性」には、いくつもの意味があります。ここでは、「生物の種の多様性」について、説明しましょう。ごく簡単に言えば、「どれだけ多くの種がいるか」です。
 具体例を、挙げてみましょうか。日本のサンショウウオ(山椒魚)です。
 サンショウウオは、両生類の仲間ですね。日本には、二十種近くのサンショウウオが、分布します。中で、サンショウウオ科サンショウウオ属の種が、十五種ほどを占めます。
 小さな島国なのに、種が多い、と思いませんか? しかも、大部分が、日本の固有種です。これは、「種の多様性が高い」状態です。豊かな自然があることを、示します。
 サンショウウオといえば、オオサンショウウオが有名ですね。けれども、ほとんどのサンショウウオは、あんなに大きくなりません。小型で、目立たない生き物です。
 日本では、互いに、外見が似た種が多いです。写真では、種の区別に困るほどです。
 なぜ、狭い範囲に、似た種が、いくつも分布するのでしょうか?
 サンショウウオが、移動しにくい生き物だからです。彼らは、空を飛べません。歩く速度も、ゆっくりです。そのうえ、水から離れて生きられません。
 ほんの数kmでも、水がない陸に隔てられたら、彼らは、仲間と会えません。このため、地域ごとに、別々の種が、進化しました。
 例えば、アベサンショウウオという種がいます。京都府・兵庫県・福井県の、ごく一部にしか分布しません。また、オオイタサンショウウオという種がいます。大分県・熊本県・宮崎県、そしてなぜか離れて、高知県の一部に分布します。
 前記のとおり、日本のサンショウウオには、不思議な分布をする種がいます。この謎は、解けていません。解ける前に、絶滅しそうな種もいます。
 地域ごとの個体数は、どの種も少ないです。うっかり開発が進んだら、たちまち絶滅するでしょう。仮にも「先進国」ならば、そんな事態には、したくありませんね。



図鑑↓↓↓↓↓には、日本のサンショウウオが、十種ほど掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net
ぜひご利用下さい。


 最近、アベサンショウウオについて、悲しいニュースがありました。詳しくは、以下を御覧下さい。こんなことが、起こらない社会にしたいですね。
 兵庫・豊岡のサンショウウオ保護区近辺に産廃(産経ニュース 2008/06/10)


 過去の記事でも、サンショウウオを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 今が見ごろ? 日本の山椒魚【さんしょううお】たち(2008/03/17)
 2008カエル年【amphibian ark 2008/YEAR OF THE FROG】(2008/02/29)
 真冬が恋の季節? サンショウウオ(2007/12/07)
 氷河期の生き残りキタサンショウウオ(2005/11/07)
 などです。



2008年6月24日

揚子江【ようすこう】に、イルカはいるか?




 2006年に、ヨウスコウカワイルカの絶滅宣言が出たのを、覚えていますか? ところが、その後、「ヨウスコウカワイルカが、再発見された」ニュースが流れました。
 この再発見は、確認されていません。つまり、「ヨウスコウカワイルカが、まだ、生息しているかどうかは、わからない」状態です。
 けれども、今でも、「揚子江に棲むイルカ」のニュースが、流れることがあります。これらのニュースは、何かの間違いなのでしょうか?
 すべてが間違い、というわけでは、ありません。じつは、中国の淡水域には、ヨウスコウカワイルカ以外のイルカも、分布するのです。
 そのイルカとは、スナメリという種です。普通は、海に棲む種です。日本の近海にも、分布します。例外的に、中国の長江【ちょうこう】にも、分布します。揚子江というのは、長江の別名です。主に、長江の下流域を指します。
 長江のスナメリが、「長江淡水イルカ」・「揚子江カワイルカ」などと、呼ばれることがあります。紛らわしいですね。以下に、見分け方を書いておきましょう。
 日本では、「生物の正式な日本語名は、カタカナで書く」と決まっています。カタカナで「ヨウスコウカワイルカ」とあれば、本物のヨウスコウカワイルカの可能性が高いです。
 ニュース記事に、写真があれば、写真を見ましょう。本物のヨウスコウカワイルカは、口が細長く、尖ります。スナメリは、口が尖りません。また、背びれの有無でも、二種のイルカを、見分けられます。スナメリならば、背びれがありません。
 しかし、さらに、ややこしいことがあります。中国の南部では、河口に、別の種のイルカが、現われることがあります。シナウスイロイルカという種です。
 シナウスイロイルカは、南方系の種です。長江には、まず、来ません。「中国で、長江以外の河のイルカ」ならば、この種の可能性が高いです。本来は、海に棲む種です。外見は、ヨウスコウカワイルカに似て、口が尖ります。背びれも、あります。
 三種のイルカは、どれも、貴重な種です。彼らの安泰を、願っています。

 「ヨウスコウカワイルカ再発見か?」のニュースは、以下にあります。
 「絶滅?生息?」論が再燃!ビデオに写った揚子江カワイルカ、4日かけても確認できず(レコードチャイナ 2007/09/16)
 揚子江カワイルカ、ビデオが捕らえる!(レコードチャイナ 2007/08/30)

 ヨウスコウカワイルカと紛らわしい「スナメリ」のニュースは、以下にあります。
 今年3頭目、長江淡水イルカの死骸発見(レコードチャイナ 2007/12/11)
 史上2頭目!人工飼育中の揚子江カワイルカが出産(レコードチャイナ 2007/06/04)

 中国南部の河口に来ることがある「シナウスイロイルカ」のニュースは、以下にあります。
 絶滅危惧種のピンク・ドルフィン死体で発見、全身に傷跡(レコードチャイナ 2008/06/18)
 イルカが帰ってきた!貴重種の保護に警察おおわらわ(レコードチャイナ 2008/01/27)


図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ヨウスコウカワイルカは載っていません。そのかわり、日本付近に分布するイルカが、四種ほど掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net
ぜひご利用下さい。


 過去の記事でも、ヨウスコウカワイルカや、スナメリなどのイルカを、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 イルカは淡水で暮らせない?(2007/09/05)
 伊勢湾のスナメリが危機に?(2007/06/12)
 ヨウスコウカワイルカは絶滅したか?(2006/12/18)
などです。



2008年6月20日

ヒトの祖先は、ナメクジウオ?




 先日、「脊椎動物【せきついどうぶつ】の祖先が、ナメクジウオだと判明した」ニュースがありました。ナメクジウオが、どんな生き物なのか、知る人は、少ないでしょう。
 ナメクジウオは、魚ではありません。「魚類の、一歩手前の動物」といえます。水中に棲むのは、魚と同じです。泳ぐより、海底の砂に潜っていることが、多いです。
 分類学的には、脊索動物門【せきさくどうぶつもん】頭索動物亜門【とうさくどうぶつあもん】頭索綱【とうさくこう】に属します。頭索綱は、ナメクジウオ綱【こう】とも呼ばれます。小型で、細長く、柔らかい体を持つグループです。
 脊椎動物【せきついどうぶつ】と、脊索動物【せきさくどうぶつ】とは、紛らわしいですね。この二つは、近いけれども、違うものです。脊索動物門【せきさくどうぶつもん】の中に、脊椎動物亜門【せきついどうぶつあもん】が含まれます。魚類も、両生類も、爬虫類、鳥類、哺乳類も、みな、脊索動物門の中の、脊椎動物亜門に属します。
 脊椎動物【せきついどうぶつ】が、何から進化したのかは、以前から、議論の的でした。ナメクジウオは、有力な候補でした。でも、他にも、候補がいたのです。
 脊索動物門の中で、脊椎動物亜門以外のグループとして、頭索動物亜門(ナメクジウオの仲間)以外に、尾索動物亜門【びさくどうぶつあもん】があります。尾索動物亜門には、サルパや、ホヤが属します。サルパやホヤと、ナメクジウオとでは、どちらが脊椎動物に近いのか、わかっていませんでした。それが、はっきりしたわけです。
 今回のニュースの意味は、「サルパやホヤより、ナメクジウオのほうが、脊椎動物に近い」ということです。ナメクジウオは、脊椎動物が生まれた頃の遺伝子を、よく残しています。彼らの遺伝子を調べれば、五億年以上も昔の、生き物の情報が、わかるそうです。
 この研究に使われたのは、フロリダナメクジウオという種です。北米のフロリダに分布します。日本にも、「ナメクジウオ」という種名のものが、分布します。
 ナメクジウオは、きれいな海水にしか、棲めません。そのため、世界各地で、環境汚染に追いつめられています。「進化の生き証人」を、絶滅させてはいけませんね。


 「ナメクジウオの全遺伝情報(ゲノム)を解読した」ニュースは、以下にあります。
 脊椎動物:祖先はナメクジウオ ヒトと遺伝子6割共通(毎日新聞 2008/06/19)
 国際チームがナメクジウオゲノムの解読に成功(日経プレスリリース 2008/06/19)

 今回の研究に使われた「フロリダナメクジウオ」を採集する様子が、以下のブログに載っています。
 ウォルナット・クリーク通信(2006/08/04)


図鑑↓↓↓↓↓には、日本産のナメクジウオが掲載されています。
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 過去の記事でも、ナメクジウオと同じ脊索動物【せきさくどうぶつ】を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 海中のイルミネーション? ヒカリボヤ(2007/12/10)
 ホヤは脊索【せきさく】動物? 原索【げんさく】動物?(2007/08/28)
 サルパとは、どんな生き物?(2007/05/31)
などです。


2008年6月17日

箱根で自然と芸術にひたる、花と美術の展覧会

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 とても素敵な展覧会へ、行ってまいりました。神奈川県の箱根町で、開催中のものです。会場は、箱根ラリック美術館と、箱根湿性花園【はこねしっせいかえん】です。
 美術館と、花園(植物園)との組み合わせは、意外ですか? 実際に観ると、そうでもありません。美術のモチーフの植物が、丁寧【ていねい】に解説されています。
 その展覧会は、「ラリックに咲いたシーボルトの『和の花』」といいます。ルネ・ラリックという人の作品を、取り上げています。美術館と湿性花園の、共同企画です。
 ラリックは、宝飾品と、ガラス工芸の分野で、活躍しました。彼は、作品のモチーフに、主に、動植物を使いました。ユリ(百合)のブローチ、キヅタ(木蔦)のネックレス、シダレウメ(枝垂れ梅)の香水瓶などです。どれも、ため息が出そうな美しさです。
 彼が活躍したのは、十九世紀末から二十世紀初頭のフランスです。この時代、ヨーロッパでは、ジャポニスム(日本趣味)が、流行しました。日本に根づく植物や、それを利用した園芸文化なども、ヨーロッパの人々にとって、魅力的でした。
 ここに、シーボルトが登場します。シーボルトは、江戸時代末に来日したヨーロッパ人ですね。彼は、日本の植物を、たくさん、ヨーロッパに持ち帰りました。
 日本の植物は、ヨーロッパで評判になります。特に、ユリは、好まれました。明治時代の日本のユリの、豪華な絵入りカタログが、残っています。
 ラリックも、大いに、日本の植物に、触発されました。フジ(藤)のペンダント、キク(菊)の蓋物【ふたもの】、アサガオ(朝顔)のガラス鉢などを、作っています。どの作品も、日本の植物ならではの、繊細【せんさい】さが宿ります。
 地味なものも、ラリックにかかれば、夢幻的に美しくなります。例えば、マツ(松)の指輪なんて、普通には、考えつくでしょうか? あるいは、カラスを屏風【びょうぶ】の絵にするなんて? ラリックは、両方とも、見事な芸術品に、仕立てました。
 ラリック美術館の会場には、花の香りが、流されています。スズラン(鈴蘭)、バラ(薔薇)、ユリ、フジ、ウメの香りだそうです。鼻でも、花を、楽しんで下さい。


 展覧会「ラリックに咲いたシーボルトの『和の花』」の案内は、以下にあります。
 企画展 ラリックに咲いたシーボルトの「和の花」(箱根ラリック美術館)
 箱根ラリック美術館トップページ
 箱根町立 箱根湿性花園【はこねしっせいかえん】公式ページ

 この展覧会の出品物の、モチーフにされている動植物を、過去の記事で、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ザクロが人肉の味というのは、本当?(2007/09/28)
 藤(フジ)のつるは右巻き?左巻き?(2007/04/19)
 ツタ(蔦)は落葉する?しない?(2006/12/01)

 他にも、生き物にかかわる面白い展覧会が、各地で開かれています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 生物学を楽しく学べる? ダーウィン展(2008/03/20) ※東京会場は6/22(日)まで、大阪会場で7/19(土)から
 「ファーブルにまなぶ」、虫の声の聴き方?(2007/10/11) ※現在の会場は、滋賀県立琵琶湖博物館
などです。


2008年5月29日

ダイトウウグイス復活!

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 先日、嬉しいニュースがありました。「絶滅したかも知れない」といわれていた鳥が、再発見されたのです。その鳥の名は、ダイトウウグイスといいます。
 ダイトウウグイスは、ウグイス(鶯)の仲間です。普通のウグイスの亜種【あしゅ】です。亜種とは、「同じ種【しゅ】の中で、種を分けるほどではないけれども、特定の特徴を持つグループ」のことです。ダイトウウグイスは、「普通のウグイスと同種で、少しだけ、違う特徴を持つグループ」といえます。
 ダイトウウグイスの外見は、普通のウグイスにそっくりです。とても、区別が付けにくいです。いったい、どこが、普通のウグイスと違うのでしょう?
 まず、体色が違います。普通のウグイスは、くすんだ緑色ですね。ダイトウウグイスは、もう少し赤みが強いです。赤褐色に近い色です。
 もう一つ、嘴【くちばし】が違います。ダイトウウグイスのほうが、嘴が長いとされます。ハシナガウグイスという亜種と、紛らわしいですが、別亜種のようです。
 他にも、いくつか、細かい差があります。詳しいことは、研究途上です。
 最初に、ダイトウウグイスが発見されたのは、一九二二年です。場所は、南大東島【みなみだいとうじま】(現在は沖縄県に所属)でした。この地名より、ダイトウウグイス(大東鶯)と名づけられました。その後、ダイトウウグイスの消息は、途絶えてしまいます。
 一九八〇年代に、南大東島の隣の北大東島【きただいとうじま】で、ダイトウウグイスらしき鳥が、目撃されました。けれども、この時は、ダイトウウグイスであると、確認できませんでした。そのため、ダイトウウグイスは、「絶滅亜種」とされていました。
 それが、二〇〇八年になって、再発見されたのですね。ただし、場所は、喜界島【きかいしま】です。鹿児島県の奄美諸島【あまみしょとう】に属する島です。
 約八十年もの歳月を経て、再発見されるなんて、劇的ですね。これに関しては、いろいろとドラマがあるようです。詳しくは、以下のリンク先を御覧下さい。


 ダイトウウグイス再発見のニュースは、以下のページに載っています。
 <ダイトウウグイス>絶滅と思われていた鳥を喜界島で発見 1922年以降見つからず(Yahoo!ニュース 2008/05/21) 
 ダイトウウグイス:巣と卵を喜界島で発見 一時は絶滅説も(毎日新聞 2008/05/21)
絶滅鳥ダイトウウグイスが復活?(山階【やましな】鳥類研究所) ※二〇〇四年に開かれたワークショップの報告です。 
 絶滅ウグイス、沖縄で生きていたダイトウウグイス(野鳥ニュースNo.608 2001/11/21) ※二〇〇一年にも、「再発見」の報告がありました。


 過去の記事でも、「絶滅と思われた生き物が、再発見された」ことや、「野生で絶滅していた生き物が、復活した」ことを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ちょっと待って! メダカの放流(2008/04/25) 
 絶滅からよみがえる? シャンハイハナスッポン(2008/04/22)
 再発見! オキナワトゲネズミ(2008/03/07) 
 コウノトリとトキ、未来への一歩(2007/05/24)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、ダイトウウグイスは載っていませんが、普通種のウグイスが掲載されています。亜種ハシナガウグイスの画像もあります。
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2008年5月23日

ばら色の人生になりそう? 薔薇空間【ばらくうかん】




 お出かけに良い季節ですね。でも、今年は、どうも雨が多いです。今回は、雨でも平気なお出かけ先を紹介しましょう。それは、美術館です。バラの展覧会です。
 東京の渋谷にあるBunkamuraザ・ミュージアムで、「薔薇空間」展を、開催中です。
 「薔薇空間」展には、バラの絵画が、展示されています。植物画(ボタニカル・アート)と呼ばれるものですね。主に、ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテという人の作品です。
 ルドゥーテは、十八世紀から十九世紀に生きた画家です。主な活躍の舞台は、フランスです。彼は、「バラのラファエロ」と呼ばれました。ルネサンスの巨匠ラファエロに譬えられるほど、バラを描くのが、巧みでした。まるで、絵に「バラの魂」が宿るようです。
 彼の作品は、まさに、科学と芸術の融合です。植物学的に正確であることと、芸術的な美しさが、同居しています。科学と芸術とは、対立するものでは、ありません。
 ルドゥーテの生きた時代は、バラの品種改良が、進んだ時代でした。彼のおかげで、今なお、古いバラの姿を、見ることができます。現在のようなバラになるまでに、試行錯誤があったことが、わかります。現在とは、違う名で呼ばれる品種が、多いです。
 例えば、現在、ロサ・キネンシスRosa chinensisと呼ばれるバラがあります。中国産のバラです。ルドゥーテの時代には、このバラは、ロサ・インディカRosa Indica(インドのバラ)と呼ばれました。このバラが、インド経由で、ヨーロッパへ輸入されたからです。
 また、現在、ロサ・フォエティダRosa foetidaと呼ばれるバラがあります。明るい黄色のバラです。ルドゥーテの時代、このバラは、ロサ・エグランテリアRosa Eglanteriaと呼ばれました。ロサ・フォエティダは、ロサ・フェティダとも呼ばれます。
 「薔薇空間」展の会場では、バラの香りも、楽しめます。四種のバラの香りが、会場に流されています。同じバラでも、香りが違うのですね。比べるのが、面白いです。
 目に美しく、鼻に心地よい展覧会です。日常の合間に、優雅な気分にひたって下さい。
 お出かけの際には、ぜひ、バラ模様の服や、装身具を付けてゆきましょう。バラ模様の物を付けてゆくと、入館料が百円引きになります。


 「薔薇空間」展は、以下のサイトに、詳しく紹介されています。
 「薔薇空間」展公式ページ 
 会場のBunkamura(文化村)ザ・ミュージアムのページ


 過去の記事でも、バラやユリなど、園芸植物を取り上げています。また、現在、開催中の、面白い展覧会も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 サクラソウとプリムラは、同じ? 違う?(2008/04/07)
 聖母マリアと白百合【しらゆり】の関係(2006/05/18)
 すべてのバラ(薔薇)は雑種?(2006/05/02)


 東京にエイリアン襲来? 科学館でエイリアン展(2008/04/15) ※6/16(月)まで 
 生物学を楽しく学べる? ダーウィン展(2008/03/20) ※東京会場は6/22(日)まで
 「ファーブルにまなぶ」、虫の声の聴き方?(2007/10/11) ※現在の会場は、滋賀県立琵琶湖博物館
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、日本在来のバラであるノイバラとハマナスが掲載されています。
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2008年5月16日

ガーナの宝冠:西アフリカの希少な生き物たち




 今、横浜市が、アフリカに染まっています。第四回アフリカ開発会議が、横浜で開かれるからです。このブログも、便乗しますね(笑) アフリカの生物を、紹介しましょう。
 昨年(二〇〇七年)十二月に、西アフリカのガーナから、「多くの新種がいる」と発表されました。新種の発見場所は、アテワ自然保護区です。新種ばかりでは、ありません。これまで知られている種でも、希少なものの生息が、確認されました。
 例えば、カエルです。ラテン語の学名を、Conraua derooiという種がいます。日本語名は、ありません。アカガエル科ゴリアテガエル(ゴライアスガエル)属に属します。
 Conraua derooiは、「世界で最も絶滅に近いカエル」といわれます。今後、生き残る可能性があるのは、アテワに棲むものだけだ、と考えられています。
 鳥類では、モモグロサイチョウや、リベリアクロヒタキなどの生息が、確認されました。モモグロサイチョウは、サイチョウ科ナキサイチョウ属の鳥です。リベリアクロヒタキは、ヒタキ科クロヒタキ属に属します。どちらも、数が少ない種です。
 哺乳類では、霊長類(サルの仲間)で、絶滅に近い種が、確認されました。オリーブコロブスや、ラテン語の学名をColobus vellerosusという種(日本語名なし)などです。
 昆虫では、八種の新種が発見されました。すべて、キリギリスの仲間です。アテワでしか、生息が確認されていません。また、希少なチョウ(蝶)も、確認されました。ラテン語の学名を、Mylothris atewaという種です。日本語名は、ありません。シロチョウ科シロチョウ亜科に属します。モンシロチョウの類縁ですね。
 昆虫以外の節足動物でも、新種が発見されました。クモ綱【こう】クツコムシ目【もく】クツコムシ科の種です。クモとダニの中間のような姿をしています。ラテン語の学名を、Ricinoides atewaと名づけられたようです。
 魚類や植物でも、珍しい種が、確認されています。中でも、シダ植物のCyathea manniana(ラテン語の学名、日本語名はなし)は、興味深いです。この種は、ヘゴ科ヘゴ属に属します。木生シダといって、樹木になるシダです。Cyathea mannianaと似た種は、ブラジルとマダガスカルにしか、分布していないそうです。
 たった一つの自然保護区で、この様子です。アフリカ全体では、どれほどの生き物がいるのでしょう? この多様性を、保ち続けたいですね。


 西アフリカのガーナで発見/確認された生き物については、以下に載っています。
 ガーナの熱帯林で、キリギリスや節足動物など9種の新種、 希少な生物種を発見(コンサベーション・インターナショナル・ジャパン 2007/12/06)
 ガーナで、新種、希少種、絶滅危惧種【ぜつめつきぐしゅ】などを発見(コンサベーション・インターナショナル 2007/12/06) ※英語の解説です。
 新種動物をガーナで発見(OCCULuTION 2007/12/08) ※新種の節足動物(クツコムシ)などの写真が載っています。


 前記の、発見/確認された生き物の情報や、写真は、以下にもあります。
 最も絶滅に近いカエル、Conraua derooiの写真(Arkive) ※解説は英語です。
 アフリカ最大の蝶といわれるドルーリーオオアゲハの写真(ぷてろんワールド)
 シロチョウの一種Mylothris atewaの写真(ガーナの蝶たち) ※解説は英語です。

 クツコムシ目の解説(Wikipedia日本語版)

 シダ植物のCyathea mannianaの写真、全体像(metafro)
 シダ植物のCyathea mannianaの写真、ゼンマイ状の若葉(metafro)
 シダ植物のCyathea mannianaの写真、葉(metafro)

 横浜の、第四回アフリカ開発会議のサイト
 横浜の「アフリカ月間」の案内

2008年5月12日

米国で、コウモリが、謎の大量死




 心配なニュースが届きました。北米大陸の北東部からです。「コウモリが大量に死んでいる」というのです。死因は、まだ不明です。
 死んだコウモリの一部には、鼻に、白いカビが生えているそうです。何らかの感染症だと考えられています。
 けれども、この感染症が、大量死の「原因」なのかどうかは、わかりません。別の原因で弱ったところに、感染症にかかったのかも知れないからです。
 このコウモリの集団死は、とりあえず、「白い鼻症候群」と呼ばれています。
 「コウモリが死ぬのは、そんなに騒ぐようなことなのか?」と、思う方がいるでしょう。どんな生き物でも、自然界では、何かの役割を果たしています。特定の生き物が、突然、大量に死んだら、影響が出ないはずはありません。
 多くのコウモリは、昆虫食です。一晩のうちに、驚くほど大量の昆虫を食べます。「夏の間なら、一夜に、三千匹もの昆虫を食べる」という報告があります。食べられる中には、カ(蚊)・ハエ(蝿)・ガ(蛾)など、人間の害虫とされるものも、多く含まれます。
 コウモリたちは、優秀な害虫退治屋さんなのですね。彼らがいなくなったら、その分、膨大な害虫が、発生するでしょう。想像するだけで、恐ろしいですね。
 今のところ、ホオヒゲコウモリ属の四種――インディアナホオヒゲコウモリ、トビイロホオヒゲコウモリ、ヒメコアシホオヒゲコウモリ、ラテン語の学名Myotis septentrionalis(日本語名がありません)――や、アメリカトウブアブラコウモリなどの種で、集団死が確認されています。
 インディアナホオヒゲコウモリや、ヒメコアシホオヒゲコウモリは、数が少ない種です。今回の集団死のため、絶滅するのではないかと、案じられます。
 日本では、このような集団死は、報告されていません。でも、いつ、日本でも起こるか、わかりませんね。もし、野外で死んだコウモリを見つけたら、触らないで下さい。現場をそのままにして、保健所などに連絡するのが、良いそうです。


 コウモリ集団死のニュースは、以下にあります。
 カビだらけになりコウモリ衰弱死、米北東部で奇病広がる(読売新聞 2008/05/10)
 白い鼻症候群の謎:何かがコウモリを殺している(米国魚類野生生物局 2008/05/09)※英語の解説です


 過去の記事でも、コウモリを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 コウモリと共存しよう、引越し大作戦(2008/04/28)
 虚々実々の駆け引き、ガ(蛾)対コウモリ(2007/07/13)
 不細工なんて言わないで、キクガシラコウモリ(菊頭蝙蝠)(2007/06/25)
 人間の役に立つコウモリ(2006/08/18)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、ホオヒゲコウモリ属のクロホオヒゲコウモリ、ノレンコウモリ、モモジロコウモリなど、十六種のコウモリが掲載されています。
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2008年5月 3日

ブラジルで、14もの新種を発見

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 またもや、新種発見のニュースです。今度の舞台は、南米のブラジルです。なんと、一挙に、十四種が発見されました。
 種の内訳は、魚類が八種、両生類が一種、爬虫類が三種、鳥類が一種、哺乳類が一種です。うち、いくつかの種を、紹介しましょう。
 爬虫類三種のうちの一種は、脚【あし】がないトカゲです。ピグミーテグー科バキア【Bachia】属の一種、と考えられています。この仲間は、日本には分布しません。
 「脚がないトカゲとは、ヘビ(蛇)ではないのか?」と思う方がいるでしょう。トカゲとヘビの違いは、脚の有無だけではありません。他に、いくつもの違いがあります。
 大きな差の一つは、トカゲには、瞼【まぶた】があることです。ヘビには、瞼がありません。ですから、ヘビは、まばたきをしません。
 今回の新種「脚がないトカゲ」にも、瞼があります。バキア属の特徴として、透明な瞼を持つはずです。このため、バキア属のトカゲは、目を閉じても、見ることができます。
 鳥類の新種は、とても小さなキツツキです。キツツキ科ヒメキツツキ属の一種、とされています。ヒメキツツキの仲間も、日本には分布しません。
 両生類の新種は、一見、ヒキガエルに似ています。英語名を、「角のあるヒキガエルhorned toad」というほどです。けれども、ヒキガエル科ではありません。ユビナガガエル科ツノガエルモドキ属の一種、とされます。ツノガエルモドキも、日本には、分布しません。
 これらの種が発見されたのは、ブラジルのセラードと呼ばれる地域です。ここは、自然の宝庫です。前記の新種以外にも、たくさんの貴重な種がいます。
 例えば、鳥類のスミレコンゴウインコや、クロアイサや、マメシギダチョウ、および、哺乳類のアメリカヌマジカや、ミツオビアルマジロなどです。みな、絶滅の危機にある種です。彼らにとって、セラードは、最後の楽園かも知れません。
 残念ながら、この楽園が、おびやかされています。人間による開発が、進んでいるからです。何とか、この野生の王国を、残したいですね。


 ブラジルの新種のニュースは、以下に載っています。
 ブラジルの草原で、「脚がないトカゲ」などの新種が発見される(コンサベーション・インターナショナル 2008/04/29) ※英語の解説です。
 ブラジルの草原で発見された新種たちの写真(コンサベーション・インターナショナル、2008/04/29) ※英語ですが、写真集ですので、観るだけで楽しめます。


 過去の記事でも、新種の発見を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 両生類は、肺がなくても生きられる?(2008/05/01)
 タンザニアで、新種の哺乳類を発見!(2008/04/16)
 再発見! オキナワトゲネズミ(2008/03/07)
 インドネシアのパプアで、新種の哺乳類を発見(2007/12/19)
 霊長類【れいちょうるい】が絶滅の危機に?(2007/11/01)
 ベトナムで、新種の発見ラッシュ(2007/09/27)
 新種のクシクラゲ? 発見(2007/6/13)
などです。


2008年5月 1日

両生類は、肺がなくても生きられる?

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 先日、インドネシアのボルネオ島(カリマンタン島)で、新種のカエルが発見されたというニュースがありましたね。なんと、「肺がないカエル」です。このカエルは、どうやって、呼吸するのでしょうか?
 じつは、普通のカエルも、「肺だけ」で呼吸するわけではありません。皮膚でも呼吸します。しかも、皮膚呼吸の割合が、かなり高いです。どのくらいの割合かは、種によって違います。「肺呼吸より、皮膚呼吸のほうが主」という種もいます。
 カエルは、もともと、皮膚呼吸が盛んなのですね。今回、発見された新種は、その延長線上にいます。何らかの理由で、肺を捨てたほうが、有利になったのでしょう。すべての呼吸を、皮膚へと、集中させたわけです。
 皮膚呼吸が盛んなのは、カエルだけではありません。すべての両生類が、皮膚呼吸をします。両生類は、皮膚呼吸に頼る割合が、高いです。
 カエル以外の両生類では、成体でも、「肺がない」種が、なん種もいます。サンショウウオや、イモリの仲間に多いですね。両生類の中の、有尾目【ゆうびもく】というグループです。カエルは、無尾目【むびもく】というグループに属します。
 例えば、有尾目の中に、ムハイサラマンダー科というグループがあります。ムハイサラマンダーの「ムハイ」とは、「無肺」です。このグループの両生類には、肺がありません。成体は、皮膚呼吸だけで、生きています。
 ムハイサラマンダー科の種は、日本には分布しません。けれども、日本にも、「肺がない」両生類がいます。ハコネサンショウウオという種です。
 ハコネサンショウウオは、有尾目のサンショウウオ科に属します。ムハイサラマンダー科以外でも、肺がない種がいるのですね。一部では、「肺のない両生類」が、たいへん珍しいように報道されています。が、本当は、そうでもありません。
 カエル(無尾目)で「肺がない種」が見つかったのは、今回が初めてです。でも、他にもいるかも知れません。見つかっていないだけで、いるのではないか、と思います。


 新たに発見された「肺のないカエル」のニュースは、以下に載っています。
 インドネシアで発見の「肺のないカエル」、進化論に新たな光(AFPBBニュース 2008/04/11)
 ボルネオのジャングルで肺のない成体のカエルが発見(Technobahn 2008/04/08)


 過去の記事でも、「肺がない種」など、さまざまな両生類について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ボルネオ島に肺【はい】のないカエルが発見される?!(2008/04/10)
 2008カエル年【amphibian ark 2008/YEAR OF THE FROG】(2008/02/29)
 真冬が恋の季節? サンショウウオ(2007/12/07))
 カエル・ツボカビ症のその後(2007/12/03)
 陸に棲むのに肺がないハコネサンショウウオ(2005/10/10)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、肺のないハコネサンショウウオなど、多くの両生類が掲載されています。
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2008年4月23日

世界で最長寿の樹木を発見!

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 スウェーデンから、びっくりニュースです。なんと、樹齢が九千年を越える樹木が、発見されました。発見したのは、スウェーデンのウーメオ大学の研究チームです。
 その樹木は、スウェーデンの西部、ノルウェイとの国境に近いほうにあります。マツ科トウヒ属の一種とされます。おそらく、ドイツトウヒでしょう。
 ドイツトウヒは、ヨーロッパトウヒ、オウシュウトウヒなどとも呼ばれます。クリスマスツリーにされる樹ですね。日本でも、防雪林として、北海道などに植えられています。
 トウヒ属の樹木は、多くが、寒い地域に生えます。なのに、常緑です。冬でも緑の姿を、昔の人は、生命力の象徴と見たのでしょう。最長寿の樹に、ふさわしいですね。
 今回、発見されたトウヒは、約9550歳といわれます。ほぼ一万歳です(!)
 これまで「最高齢の樹」とされたのは、北米大陸にある樹でした。二〇〇八年現在で、約4845歳という樹です。同じマツ科ですが、トウヒ属ではなく、マツ属の種です。日本語の種名は、確定していません。ラテン語の学名で、Pinus longaevaという種です。
 今回のニュースの樹は、なぜ、こんなに長生きできたのでしょう? その秘密は、「合体木」にあります。合体木とは、複数の樹がくっついて、一本の樹のようになったものです。巨木には、よく見られます。こうなると、丈夫になるのですね。
 今回のトウヒは、純粋に一本の樹ではなく、合体木だといいます。約9550年という樹齢は、合体しているうちの、一本の樹のもののようです。
 「ずるい、それじゃ『最長寿の樹木』じゃない」と思う方が、いるかも知れませんね。けれども、少なくとも、樹の一部は、九千年以上、生きてきました。
 この樹が最初に芽を出した頃には、まだ、マンモスがいました。ヒトは、石器時代でした。それから、ネット時代の今まで、生き延びたのです。これほどの年月に敬意を表して、「最長寿の樹木」という称号をあげても、いいでしょう。
 この樹の隣にも、樹齢五千年を越える樹が、生きているそうです。何千年も、身を寄せ合って、生き永らえたのでしょう。末永く、共に生きて欲しいですね。


 世界最高齢の樹木のニュースは、以下にあります。
 スウェーデンで世界最古の木発見、樹齢約1万年(AFPBBニュース 2008/04/18)
 樹齢8000年、世界最古の生きた樹木がスウェーデンで発見(technobahn 2008/04/12)


 過去の記事でも、ドイツトウヒを取り上げています。また、なみ外れて長寿の生き物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 クリスマスツリーはモミではない?(2005/11/28)
 四百年、生きた貝がいる?(2007/11/01)
 亀(カメ)は本当に長生きか?(2006/01/02)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ドイツトウヒは載っていません。そのかわり、同じトウヒ属のエゾマツと、ヤツガタケトウヒが掲載されています。
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2008年4月22日

絶滅からよみがえる? シャンハイハナスッポン

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 ベトナムから、嬉しいニュースが届きました。「野生では、絶滅したのでは?」といわれていたカメ(亀)の一種で、野生の個体が発見されました。
 そのカメは、シャンハイハナスッポンという種です。スッポン(鼈)の仲間ですね。スッポン科ハナスッポン属に属します。ラテン語の学名は、Rafetus swinhoeiです。
 確認される限り、シャンハイハナスッポンは、2008年現在で、三頭しかいませんでした。中国に二頭、ベトナムに一頭です。どれも、飼育されています。
 ただし、ベトナムの飼育個体は、新種のRafetus leloii(ラテン語の学名)だ、ともいわれます。Rafetus leloiiという種は、まだ、正式には、認められていません。
 確認個体のうち、雌(メス)は、中国の動物園にいる一頭だけでした。しかも、その個体は、百歳を越えています。これでは、絶滅が確定したようなものですね。
 それが、新たな個体が見つかったのです。場所は、ベトナム北部の沼です。
 シャンハイハナスッポンは、非常に大きくなるカメです。体長は、1mに達し、体重は、100kgを越えることもあります。寿命は、100年を越えます。
 ベトナムには、「国の危機を救ったカメ」の伝説があります。大きな金色のカメだそうです。その伝説のカメは、シャンハイハナスッポン、もしくは、近縁のRafetus leloiiだと、いわれます。ベトナムの人にとって、今回のニュースは、ことに嬉しいでしょう。
 ハナスッポン属のカメは、どの種も、危機にあります。ひどく数が減っています。シャンハナスッポンと別に、Rafetus leloiiという種がいたとしても、絶滅同然です。西アジアでは、メソポタミアハナスッポンが、「野生絶滅したのでは?」といわれています。
 シャンハイハナスッポンについては、現在、緊急の繁殖プロジェクトが、進んでいます。幸いなことに、たった一頭の雌に、繁殖能力がある、とわかりました。百歳の「お婆さん」なのに、驚きですね。この雌に、お婿さんを迎える計画です。
 この計画が、成功するといいですね。でも、野生の個体が増えるのが、理想です。今回見つかった個体は、野生で長生きして、子孫を増やして欲しいですね。


 シャンハイハナスッポンのニュースは、以下にあります。
 伝説の巨大スッポン、ベトナムで米チームが野生の個体を発見(AFPBBニュース 2008/4/19)
 鶴は千年亀は万年と言うけれど絶滅の危機100歳スッポン花婿を急募―湖南省長沙市(レコードチャイナ 2007/05/23)
 一九六八年に捕らえられたシャンハイハナスッポン、または、近縁種のRafetus leloiiの剥製【はくせい】写真があります

 驚いたことに、以前、日本で、シャンハイハナスッポンが見つかったことがあります。食用のスッポンに混じって、輸入されたものが、放たれたようです。奈良県の猿沢池というところです。
 猿沢池の外来カメの詳細  ※直接、pdfファイルにつながります。


 過去の記事で、スッポンなど、淡水に棲むカメを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 イシガメが絶滅寸前?(2007/11/19)
 スッポン(鼈)の故郷はどこ?(2007/02/23)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、スッポンなど、九種のカメが掲載されています。
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2008年4月16日

タンザニアで、新種の哺乳類を発見

 

先日、アフリカのタンザニアで、新種の哺乳類が発見されました。ハネジネズミ(跳ね地鼠)というグループの一種です。聞き慣れない名前ですね。
 ハネジネズミは、名前も姿も、ネズミに似ています。けれども、ネズミの仲間ではありません。長脚目【ちょうきゃくもく】(ハネジネズミ目【もく】ともいいます)というグループに属します。ネズミは、齧歯目【げっしもく】に属しますね。
 ハネジネズミは、まるでゾウ(象)のように、細長い鼻を持ちます。このために、ゾウトガリネズミという別名があります。今回見つかった種も、鼻が細長いです。
 トガリネズミ(尖鼠)とは、かつて、ハネジネズミと近縁だとされた哺乳類のグループです。そのため、ハネジネズミに、「ゾウトガリネズミ」という別名が付きました。
 近年、「トガリネズミとハネジネズミとは、縁が遠い」とわかりました。トガリネズミは、トガリネズミ目【もく】に属します。
 前記のとおり、ハネジネズミの分類は、何回も、組み直されました。生物学が、進歩しているのですね。科学は、より正しいものを求めて、変わってゆきます。
 しかし、おかげで、図鑑などの表記が混乱しています。書物やウェブサイトによっては、ハネジネズミを「食虫目」、「モグラ目」、「トガリネズミ目」などに分類しています。現在は、「ハネジネズミは、長脚目」ということで、ほぼ、意見が一致しています。
 ハネジネズミの仲間は、アフリカにしか分布しません。日本人には、馴染みがないわけです。全種で、十五種ほどしかいません。世界的に、珍しい生き物です。
 広い意味では、長脚目は、アフリカ起源の哺乳類と、類縁があります。アフリカ獣上目というグループに属します。上目【じょうもく】とは、分類学で、目の一つ上の段階です。
 アフリカ獣上目には、長鼻目【ちょうびもく】(ゾウの仲間)、海牛目【かいぎゅうもく】(ジュゴンの仲間)などが属します。こんなに違うものと類縁とは、驚きますね。
 今回の新種には、日本語名は付いていません。ラテン語の学名で、Rhynchocyon udzungwensisと名付けられています。


 新種のハネジネズミのニュースは、以下のサイトにあります。
 タンザニアの奥地で新種の小型哺乳類を発見(AFPBBニュース 2008/02/02)


 過去の記事で、ハネジネズミと同じく、「ネズミでないネズミ」を取り上げています。また、他の新種のニュースも取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ネズミでないネズミがいる?(2007/12/21)
 インドネシアのパプアで、新種の哺乳類を発見(2007/12/19)
 シーラカンスの新種?発見(2007/11/15)
 霊長類【れいちょうるい】が絶滅の危機に?(2007/11/01)
などです。


2008年4月15日

東京にエイリアン襲来? 科学館でエイリアン展

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 東京のお台場で、エイリアン展という展覧会が開催されています。会場は、日本科学未来館です。これを観に行ってきたので、報告しますね。
 なぜ、ここのブログで、エイリアン展の報告をするのか、不思議に思う方がいるでしょう。この展覧会は、単に「宇宙人」を紹介しているのではないからです。地球以外の生き物を、科学的に、考察しています。異星の生き物を考えるのに、地球の生き物が、参考にされています。想像力が刺激されて、楽しいですよ。
 例えば、深海の生き物です。深海は、とても厳しい環境ですね。どの要素を見ても、暮らしやすいとは思えません。高い水圧、届かない光、乏しい食べ物などです。
 そんなところでも、生きているものがいます。私たちが「棲める」と思う環境でなくても、生きられるわけです。ということは、地球の深海のような環境が、他の星にあったら? そこにも、生き物(エイリアン)が、いるかも知れません。
 エイリアン展では、深海の生き物が、多く紹介されています。コウモリダコ、ウミグモ、ダイオウグソクムシ、オニキンメ、フクロウナギなどが、展示されています。
 他にも、奇妙な生き物が、何種も紹介されています。「奇妙」というのは、あくまで、ヒトから見た視点です。彼ら自身にすれば、それが「普通」でしょう。
 例えば、身近な昆虫です。彼らも、「奇妙」な特徴を持ちます。
 ハエは、脚【あし】で味を見ます。バッタは、脚で音を聞きます。異星の生き物も、こういった特徴を持つかも知れません。環境の中で有利であれば、地球の生き物と、同じ特徴を持つ可能性があります。
 展覧会には、「科学的に想像されたエイリアン」の展示もあります。二つの惑星が仮定され、そこに棲む生き物たちが紹介されています。私としては、「地球より、ずっと濃い大気を持つ惑星」の生き物が、面白かったです。空を飛ぶ生き物が多いのですね。「地球の大気もこんなに濃かったら、クジラが空を飛んだかも?」と、想像してしまいました。
 『へんないきもの』が好きな人に、お勧めの展覧会です。


 エイリアン展の案内は、以下にあります。
 エイリアン展(日本科学未来館内のページ)
 日本科学未来館のサイト(トップページ)


 生き物に関する展覧会は、他にも、開催中です。連休に向け、間もなく開催される展覧会もあります。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 春休みは、東大でお勉強? 鳥のビオソフィア展(2008/03/26)
 生物学を楽しく学べる、ダーウィン展(2008/03/20)
 「ファーブルにまなぶ」、虫の声の聴き方?(2007/10/11) ※滋賀県立琵琶湖博物館が会場【2008年4月29日(火・祝日)~8月31日(日)】



図鑑↓↓↓↓↓には、動物・植物約1,800種が掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net
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UK-JAPAN2008 WEBサイトに記事掲載!


2008年4月10日

ボルネオ島に肺【はい】のないカエルが発見される?!




 ボルネオ島に成体のカエルにもかかわらず、肺がない個体が発見された。呼吸は、どのようにして行われているのでしょうか?
 発見した博士によると「皮膚呼吸で補っているのではないか」とのことでした。詳しくは、以下のページをご参照ください
 ボルネオのジャングルで肺のない成体のカエルが発見(Technobahn 2008/04/10)
 ボルネオで肺を持たないカエル発見、皮膚から酸素吸収か(ロイター 2008/04/10)


 過去の記事でも、カエルの危機や、カエルの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 2008カエル年【amphibian ark 2008/YEAR OF THE FROG】(2008/02/29)
 指の数が違うカエルがいる?(2008/02/22)
 カエル・ツボカビ症のその後(2007/12/03)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、シュレーゲルアオガエル、ニホンアマガエルなど、十種以上のカエルが掲載されています。
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2008年4月 3日

ゾウのようなネズミ?!タンザニアで新種のネズミを発見!!




 先日、またまた新種の哺乳類が、アフリカのタンザニアで発見されました。
 詳しくは、以下のニュース記事をご覧ください。
 タンザニアの奥地で新種の小型哺乳類を発見(AFPBBニュース 2008/02/02)

2008年3月15日

イルカがクジラを救助した!?

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 南半球の国、ニュージーランドから、驚くべきニュースが届きました。海岸に座礁したクジラを、別種のイルカが助けた、というのです。
 報道によれば、助けられたのは、コマッコウという種のクジラです。助けたのは、ハンドウイルカです。よく水族館にいる種ですね。バンドウイルカとも呼ばれます。
 詳しい内容は、下記のニュースのリンク先をお読み下さい。感動的な実話です。
 ここでは、助けたイルカと、助けられたクジラの種について、取り上げましょう。
 助けたイルカは、報道では「ハンドウイルカ」となっていますね。でも、もしかしたら、違う種かも知れません。ハンドウイルカには、よく似た別の種がいるからです。ニュージーランドという場所を考えますと、ミナミハンドウイルカかも知れません。
 助けられたほうのクジラ、コマッコウは、あまり知られていない種ですね。生態も、ほとんどわかっていません。小型で目立たないため、目撃情報が少ないのですね。幸いなことに、絶滅寸前ではないようです。
 名のとおり、コマッコウは、マッコウクジラに形が似ています。けれども、似ているのは、形だけです。大きさは、まったく違います。
 コマッコウは、小さなクジラです。成体でも、せいぜい3.4mほどにしかなりません。ハンドウイルカの大型の個体と、同じくらいです。クジラというより、イルカと呼ぶのがふさわしい種でしょう。
 ですから、「イルカがクジラを助けた」といっても、「小さなイルカが、大きなクジラを助けた」わけではありません。実際には、「イルカが、別種のイルカを助けた」ように見えたでしょう。言葉だけで、現場の状況を伝えるのは、難しいですね。
 このような事件があると、ヒト以外の生き物の能力について、考えさせられますね。生き物を、やたらに擬人化するのは、いけません。しかし、彼らの能力を過小評価するのも、科学的な態度とは言えないでしょう。
 イルカでもヒトでも、他者の命を救うのは、尊いことだと思います。


 「クジラを救ったイルカ」のニュースは、以下にあります。
 座礁したクジラをイルカが救う、ニュージーランド(AFPBBニュース 2008/03/12)
 迷って浜に近づくクジラ親子、1頭のイルカが救助 NZ(CNN.co.jp 2008/03/12)


 過去の記事でも、イルカやクジラについて取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 伊勢湾のスナメリが危機に?(2007/06/12)
 マッコウクジラは人間を襲うか?(2007/03/19)
 「腹びれのあるイルカ」はどうなった?(2007/02/06)

 ザトウクジラはホエールウォッチングの人気者(2006/03/13)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、コマッコウは載っていませんが、マッコウクジラ、ハンドウイルカ(バンドウイルカ)が掲載されています。
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2008年3月 8日

六本脚【あし】のタコ(蛸)がいる?

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 英国から、びっくりニュースが届きました。「脚が六本しかないタコ」が見つかったそうです。西北イングランドにある、ブラックプール海洋生物センターでのことです。
 タコといえば、普通は「八本脚」ですよね。俗に「タコの脚(足)」と呼ばれるのは、専門的には、「腕【うで】」と呼ばれます。タコの腕は、簡単に、数が変わるのでしょうか?
 そんなことはありません。先の海洋生物センターによれば、「こんな例は、これまで、世界のどこでも確認されていない」そうです。少なくとも、確認された範囲では、世界初の「六本腕のタコ」です。この個体には、ヘンリーHenryという愛称が付けられました。
 このタコは、六本腕の新種なのでしょうか? 今のところ、そうではなさそうです。普通のタコの一種なのに、生まれつき、腕の数が少ないとのことです。
 このタコが、何という種なのか、知りたいですね。残念ながら、現時点では、このタコの種が何なのか、発表されていません。仮に「ヘクサパスhexapus」と呼ばれています。
 じつは、「普通のタコが、なぜ、八本腕なのか?」は、わかっていません。六本腕のタコが、元気そうなところを見ると、八本でなければならない理由は、なさそうです。
 タコの祖先は、八本より、ずっと腕の数が多かったことが、わかっています。「生きている化石」オウムガイを御存知ですか? オウムガイは、タコの祖先の形に近いです。普通のタコより、はるかに腕が多いです。
 オウムガイの「腕」は、タコよりも、ずっと細いです。「腕」というより、「触手」ですね。その数は、なんと、九十本ほどもあります。大昔のタコの祖先も、同じように、細い触手を、たくさん持っていました。進化するにつれ、数が減ったのですね。
 「進化」とは、どんどん複雑になることだ、と思う方がいるようです。それは、違います。簡単な構造の生物が、複雑な構造になることばかりが、進化ではありません。複雑な構造の生物が、簡単な構造になることもあります。
 今回の発見は、タコが、六本腕でも生きられることを示しました。もしかしたら、私たちは、「タコの進化の瞬間」を、目撃しているのかも知れませんね。


 「六本腕のタコ」のニュースは、以下にあります。
 珍しい6本足のタコが見つかる=英国(時事通信 2008/03/04)
 世界初の六本脚の「ヘクサパス」【英語です】(Discovery News 2008/03/03) 
 「六本腕のタコ」が飼育されている「ブラックプール海洋生物センター」のサイトです。英語が読める方は、見に行くと興味深いでしょう。
 ブラックプール海洋生物センター


 過去の記事でも、タコや、その仲間のオウムガイを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 シマダコは、縞ダコか島ダコか?(2008/003/3)
 タコ(蛸)の旬【しゅん】は冬か夏か?(2007/02/19)
 四億年前からの生き残り? オウムガイ(2006/10/26)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、マダコなど、タコの仲間が六種、オウムガイが掲載されています。
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2008年3月 7日

再発見! オキナワトゲネズミ




 南西諸島から、嬉しいニュースです。沖縄県で、「絶滅したかも知れない」と言われていた生き物が、再発見されました。ネズミの一種、オキナワトゲネズミです。生存が確認されたのは、なんと、約三十年ぶりだそうです。
 オキナワトゲネズミは、世界中で、日本の沖縄本島にしかいません。近縁種のアマミトゲネズミが奄美大島に、トクノシマトゲネズミが徳之島に、分布します。どの種も、ヒトの害にはなりません。森林に、ひっそり棲んでいます。
 トゲネズミの仲間は、全部で、この三種だけです。どの種も、数が減っています。その原因は、いくつかあると考えられています。
 特に、深刻なのは、外来種の存在です。主に、ジャワマングースと、ノネコ(家畜の猫が、野生化したもの)が、トゲネズミをおびやかしています。
 ジャワマングースは、ハブを退治するために、南西諸島に移入されました。ところが、ハブよりも、トゲネズミのような弱い生き物を食べています。捕るのが楽な生き物を捕るのですね。考えてみれば、当然です。
 ノネコの問題は、より深刻かも知れません。ネコは、ペットとして、可愛がられているからです。確かに、人間から見れば、ネコは可愛いですね。
 けれども、ネコは、肉食獣です。それを忘れてはいけません。ネズミなどの小動物から見れば、恐ろしい生き物です。ちょうど、ヒトから見たトラ(虎)のようなものです。
 例えば、ヒトが平和に暮らす街に、トラが放たれたら? どんな恐ろしいことになるか、想像できますよね。
 人間に飼われているネコは、おとなしいです。自分で、食べ物を捕る必要がないからですね。でも、野生化したネコは、そうではありません。トゲネズミの棲む森に、ノネコが来たら、人の街にトラが来たのと同じです。
 ネコを飼うな、というのではありません。「きちんと管理して飼おう」ということです。
正しくペットを飼うことが、トゲネズミなど、貴重な種を守ることになりますね。


 オキナワトゲネズミ再発見のニュースは、以下に載っています。
 幻ネズミ生きていた オキナワトゲネズミ(沖縄タイムス 2008/03/06)
 絶滅危機種オキナワトゲネズミの捕獲成功!(WWFジャパン 2008/03/05)


 過去の記事でも、トゲネズミなど、南西諸島の貴重な生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 新種発見! トゲネズミ(2006/07/10)
 指の数が違うカエルがいる?(2008/02/22)
 イグアナ? いえ、キノボリトカゲです(2008/02/11)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、トゲネズミが掲載されています。
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2008年2月29日

2008カエル年【amphibian ark 2008/YEAR OF THE FROG】

 

 今年は、国際自然保護連合(IUCN)と世界動物園水族館協会(WAZA)が、提唱する「2008カエル年」です。
 東京都では、上野動物園、多摩動物公園、井の頭自然文化園、葛西臨海水族園が参加、協力し、「2008カエル年」の活動を行います。
 その中に、こんな活動があります。
 上野動物園、多摩動物公園、井の頭自然文化園、葛西臨海水族園に用意されている「東京でカエルを見かけたヨ!マップ」へ、カエルを見かけた場所の印をつけて提出するというものです。
 東京で、どのくらいのカエルやサンショウウオが実際にみられるのか?統計をとりたいのですね。
 この目撃された場所などは、集計されて「東京ズーネット」で公開されます。皆さんも、参加してみませんか。

 詳しくは以下の通りです。
 4園同時開催 国際カエル年イベントのお知らせ
 国際カエル年イベントのお知らせ、ですケロ(2008/02/22 催し物ページ)
 参加している他の多摩動物公園、井の頭自然文化園、葛西臨海水族園にも、それぞれこの催し物のトピックが載っています。トップページ催し物からご覧ください。

 上野動物園公式ホームページ トップページ
 多摩動物公園公式ホームページ トップページ
 井の頭自然文化園公式ホームページ トップページ
 葛西臨海水族園公式ホームページ トップページ

 その他「2008カエル年」に関するページは以下の通りです。
 両生類箱舟計画:2008カエル年のスタート(2008/01/17 国際自然保護連合(IUCN)日本委員会)
 国際自然保護連合(IUCN)日本委員会 トップページ
 世界動物園水族館協会(WAZA)トップページ【英語版】


図鑑↓↓↓↓↓には、20数種のサンショウウオやカエルが掲載されています。
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2008年2月26日

へんしーん! アゲハの幼虫の秘密

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 チョウ(蝶)の幼虫が、イモムシ(芋虫)やケムシ(毛虫)なのは、知られていますね。のたのたと這う幼虫が、華麗なチョウに変身するのは、自然の驚異そのものです。
 チョウの中には、同じ幼虫なのに、途中で姿を変えるものもいます。例えば、アゲハチョウの幼虫です。
 普通、アゲハチョウと呼ばれるのは、ナミアゲハという種のチョウです。アゲハチョウ科に属します。日本では、アゲハチョウ科を代表する種といえますね。
 ナミアゲハの幼虫は、最初のうちは、白黒まだら模様です。体の表面は、ざらざらしています。それが、終齢幼虫【しゅうれいようちゅう】になると、全身が緑色に変わります。体の表面も、なめらかになります。終齢幼虫とは、蛹【さなぎ】になる直前の幼虫です。
 なぜ、こんなふうに変わるのでしょう? 理由は、敵の目をごまかすためのようです。
 白黒まだらの幼虫は、鳥の糞【ふん】にそっくりです。敵に見つかっても、鳥の糞だと思われれば、つかまらずに済みますね。けれども、終齢幼虫では、この手が通じにくくなります。体が大きすぎるからです。鳥の糞として、不自然に見えてしまいます。
 そこで、終齢幼虫は、緑色になります。植物の緑に、紛【まぎ】れるためでしょう。
 変身する「理由」はわかっても、「仕組み」は、わかっていませんでした。このほど、「その仕組みが解明された」というニュースがありました。
 ナミアゲハ幼虫の変身には、「幼若【ようじゃく】ホルモン」という物質が、関わります。幼若ホルモンは、幼虫自身が、分泌するものです。ものすごく簡単に言えば、「蛹になることは、防ぐ。幼虫が、幼虫のまま、大きくなるようにする」物質です。
 ナミアゲハの幼虫では、「幼若ホルモンがたくさんあるうちは、白黒まだらの体になる」と判明しました。「小さいうちは、鳥の糞のふりをしていよう」ということでしょう。
 幼虫が、途中で変身するのは、ナミアゲハだけではありません。多くのアゲハチョウ科の種が、同じように変身します。クロアゲハ、モンキアゲハなどの幼虫が、そうです。
 他種のチョウも、ナミアゲハと同じ仕組みなのでしょうか? 研究が待たれますね。


 アゲハチョウ(ナミアゲハ)の幼虫のニュースは、以下にあります。
 ホルモン切れて緑の美肌 アゲハチョウ幼虫(産経新聞、2008/02/22)


 過去の記事でも、アゲハチョウの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 お菊虫の正体は、ジャコウアゲハ?(2007/08/13)
 クロアゲハ(2007/07/27)
 こんにちは…またね!(カラスアゲハの画像)(2006/09/02)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、
ナミアゲハ、クロアゲハなどのアゲハチョウの仲間が掲載されています。
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2008年2月21日

クロツラヘラサギとアホウドリ、未来へ羽ばたく




 二〇〇七年の十二月に、釣り糸がからまったクロツラヘラサギのニュースがありましたね。この鳥は、衰弱して、人間に保護されました。二〇〇八年一月のことです。
 嬉しいことに、この鳥は、順調に回復しました。沖縄県の動物園で、リハビリをしていたそうです。そして、二〇〇八年二月二十日、野生に戻されました。
 放たれたクロツラヘラサギには、左脚に、黄色と白の二色の足環【あしわ】が付けられました。行動を調べられるように、です。クロツラヘラサギのことは、まだ、よくわかっていません。少しでも、研究の手がかりが欲しい状態です。
 もし、このような足環のクロツラヘラサギを目撃したら、お近くの自然保護団体などにお知らせ下さい。「日本野鳥の会」など、良いと思います。役所に自然保護課などがあれば、そこでもいいでしょう。皆さんの情報が、クロツラヘラサギの研究に役立ちます。

 もう一つ、嬉しいニュースがありました。アホウドリについてです。
 アホウドリは、とても希少な鳥ですね。現在、安定した繁殖地としては、日本の鳥島【とりしま】があります。けれども、鳥島では、火山活動が活発です。噴火が起こったら、アホウドリの繁殖地が、まるごとなくなるかも知れません。
 そこで、新たに、安全な繁殖地を作る計画が立てられました。候補地は、小笠原諸島の聟島【むこじま】です。ここは、火山活動の心配がありません。そのうえ、明治時代以前に、アホウドリの繁殖地があったようです。おそらく、アホウドリの繁殖に適した場所でしょう。ここへ、アホウドリの雛【ひな】を移すことになりました。
 先日、この雛の移送作戦が、成功したというニュースがありました。まずは、十羽の雛が、鳥島から聟島へ移されました。
 アホウドリは、繁殖する時、育った場所へ戻る習性があります。雛を移送したのは、子どものうちに、「ここが故郷」と認識させるためです。

 今回のクロツラヘラサギや、アホウドリの例は、人間が、野生の生き物を助けられる証拠ですね。このような明るいニュースが、増えて欲しいものです。


 自然に帰されたクロツラヘラサギのニュースは、以下にあります。
 体力回復しヘラサギを放鳥 ??沖縄、釣り糸絡まり保護(47ニュース 2008/02/20)
 クロツラヘラサギ野生へ/釣り糸で被害(沖縄タイムス2008/02/20)


 アホウドリ移送作戦のニュースは、以下にあります。
 移住作戦 伊豆諸島・鳥島から小笠原へ--山階研究所など(毎日新聞 2008/02/20)
 小笠原諸島で新繁殖地作り、アホウドリの引っ越し終了(読売新聞 2008/02/19)


 過去の記事でも、クロツラヘラサギや、アホウドリを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 保護されたクロツラヘラサギは、どうなった?(2008/01/17)
 アホウドリの熱愛度は鳥類一?(2007/02/12)



図鑑↓↓↓↓↓には、
クロツラヘラサギも、アホウドリも掲載されています。
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2008年2月14日

シマフクロウは、羽音のするフクロウ?

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 シマフクロウは、北海道の貴重な鳥として、知られていますね。このたび、この鳥について、嬉しいニュースがありました。何年も、この鳥がいなかった地域に、シマフクロウのつがい(夫婦)が棲みついた、というのです。
 「かつて、シマフクロウは、北海道全域にいた」と考えられています。けれども、その生息域は、どんどん狭まってゆきました。食べ物や、すみかになる森が、なくなったためです。近年では、道東(北海道の東部)でしか、生息が確認されていませんでした。
 それが、道北(北海道の北部)でも、生息が確認されました。一羽の雌(メス)でした。嬉しいことですが、このままでは、つがいになる相手がいません。そこで、人の手による「お見合い」が計画されました。この「お見合い」が、うまく行ったのですね。
 しかし、赤ちゃんフクロウが誕生するには、まだ障害があります。食べ物と、巣になる場所が、必要です。具体的には、「魚がいる水場と、その近くの大木」が必要です。
 シマフクロウは、魚を主食にします。ですから、川や湖が近いところに、巣がなければなりません。そして、彼らの巣は、大木の穴(樹洞【じゅどう】)に作られます。
 魚が豊富な水場も、大木も、今では、ほとんどありませんね。ある程度、人間が手伝わなければ、繁殖できない状況です。巣箱かけなどが、行なわれています。
 シマフクロウは、ウオミミズク属に属します。(異説もあります)ウオミミズク属は、魚を主食にするフクロウの仲間です。他のフクロウは、多くが、ネズミを主食にします。シマフクロウも、ネズミなどを食べることがあります。水が凍る冬に多いようです。
 ウオミミズク属には、フクロウらしからぬ特徴があります。
 フクロウは、飛ぶ時に、羽音がしないことで、有名ですね。ところが、シマフクロウは、少し羽音がするといいます。これは、魚を主食にすることと、関係があります。魚は、空中の音をあまり聞けません。羽音がしても、逃げられる可能性が少ないわけです。
 シマフクロウは、生態の点でも、珍しいのですね。今の日本には、彼らが百羽ほどしかいません。絶滅の淵【ふち】から、救いたいですね。


 シマフクロウの新カップルのニュースは、以下のページにあります。
 シマフクロウ 環境省が「お見合い」に成功 北海道(毎日新聞 2008/02/11)
 シマフクロウつがい形成 環境省分科会が釧路で報告 道北で初の成功(北海道新聞 2008/02/09)


 過去の記事でも、フクロウの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ハリー・ポッターのフクロウ紹介(2007/10/26)
 フクロウとミミズクは、どう違う?(2007/07/02)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、
シマフクロウが掲載されています。
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2008年2月12日

救助されたオットセイ、死亡

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 またもや、残念なニュースです。
 先日、新潟県で、「迷子のキタオットセイが保護された」と、お知らせしましたね。このオットセイが、収容先の水族館で、死亡しました。
 死因は、『全体的な循環器【じゅんかんき】機能不全』と考えられるそうです。「循環器=心臓や血管」ですから、それらの器官が、うまく働かなかった、ということですね。
 水族館(マリンピア日本海)の人を、責めることはできません。保護された時点で、オットセイは、すでに衰弱していました。おそらく、水族館の人たちが、一番、悔しく感じているでしょう。手を尽くしたのに、救えなかったからです。
 偶然ですが、同時期に、青森県でも、オットセイの子どもが保護されました。青森県の階上町【はしかみちょう】でのことです。こちらの個体も衰弱していたため、青森県の浅虫【あさむし】水族館に収容されました。
 こちらのオットセイも、やはり、死んでしまったそうです。野生生物を救うのは、難しいのですね。浅虫水族館をはじめ、保護に協力した人たちは、残念がっています。
 同時期に、キタオットセイの子どもが、二頭、日本の海岸に漂着したことには、何か意味があるのでしょうか?
 現時点では、「ある」とも「ない」とも言えません。なぜなら、キタオットセイの生態が、よくわかっていないからです。キタオットセイの子どもが、親からはぐれ、弱って死ぬのは、「普通にあること」なのかも知れません。
 生態が不明なのは、キタオットセイだけではありません。日本の野生生物に限っても、詳しい生態が知られるのは、ごく一部です。保護したくても、どうやったら保護できるのかさえ、わからないのが現状です。
 せめて、このたびのオットセイの遺体が、「オットセイの研究に役立ってくれたら」と思います。オットセイの研究が進めば、有効な保護の方法が、わかるかも知れません。そうなれば、彼らの死は、無駄にならないでしょう。


 新潟県で保護されたオットセイのニュースは、以下のページに載っています。
 保護・治療中のオットセイが死亡しました(マリンピア日本海ニュース 2008/01/22~02/06)
 新潟市水族館 マリンピア日本海(トップページ)


 青森県で保護されたオットセイのニュースは、以下のページに載っています。
 階上【はしかみ】で保護のオットセイ 浅虫水族館で死亡(デーリー東北、2008/02/04)
 衰弱したオットセイ保護 早く元気になって(デーリー東北、2008/01/30)


  過去の記事で、このオットセイのニュースを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 新潟県の迷いオットセイ、保護される(2008/01/30)
 野生のオットセイやアザラシに、触ってもいい?(2008/01/24)



図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、オットセイは載っていませんが、オットセイに近縁なトドが掲載されています。
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2008年2月 9日

華南虎【かなんとら】の再発見は、偽造だった?

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 残念なお知らせです。
 昨年(二〇〇七年)の十月に、「野生では絶滅したはずの華南トラ(アモイトラ)が、再発見された」というニュースがありましたね。どうやら、これは、誤報だったようです。
 「再発見」の発表をしたのは、中国、陝西省【せんせいしょう】の林業庁でした。「野生のアモイトラ」と称される写真も、公表されましたね。
 今回は、陝西省の同庁が「野生アモイトラの再発見には、充分な証拠がなかった」と発表しました。事実上、「写真が偽造だった」と認めている状況です。
 これで、振り出しに戻りましたね。「野生のアモイトラは、絶滅が確定的」です。
 幸いなことに、アモイトラは、完全に絶滅してはいません。まだ、飼育されているものがいます。けれども、その数は、わずか数十頭です。このままでは、十年経たないうちに、完全に絶滅してしまうでしょう。
 今、アモイトラを飼う施設では、懸命な努力が続けられています。たくさん繁殖させて、野生へ返そうという努力です。この努力が、実って欲しいですね。
 かつて、アモイトラは、害獣として駆除されました。急激に減ったのは、このためだといわれます。
 確かに、トラは、危険な肉食獣ですね。ヒトを襲うことがあります。地元の人にしてみれば、害獣と言いたくなるでしょう。
 しかし、最近では、肉食獣の役割が、見直されています。肉食獣がいなくなると、草食獣が増え過ぎる、などの害があります。結局、人間にとって、得になりません。
 中国では、いったん、野生で絶滅した生き物を、野生に復帰させたことがあります。シフゾウ(四不像)というシカ(鹿)の一種です。水辺に棲む、珍しいシカです。
 シフゾウの野生復帰は、簡単ではありませんでした。大型の動物を繁殖させたり、野生で暮らす場所を確保したりするのは、大変なことです。でも、やり遂げられました。
 実績があるのですから、アモイトラでもできる、と信じたいですね。


 「アモイトラ再発見は誤報」のニュースは、以下のページにあります。
 <華南トラ>発見の発表は「時期尚早だった」、陝西省林野庁が国民に謝罪!―中国(レコードチャイナ、2008/02/05)
 中国またか!「絶滅トラ発見」実は…偽スクープ写真(スポーツ報知、2008/02/06)


 過去の記事で、「アモイトラ再発見か?」というニュースをお伝えしています。ジャガーやヒョウ(豹)など、他の大型肉食獣も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 野生の華南虎【かなんとら】、二十四年ぶりに発見?(2007/10/22)
 ジャガーについて(2007/08/01)
 ボルネオ(カリマンタン)島で、新種の豹(ヒョウ)を発見(2007/03/17)
などです。

2008年1月30日

新潟県の迷いオットセイ、保護される

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 先日、新潟県の村上市に、迷子のオットセイが現われたというニュースがありましたね。このオットセイが、水族館に保護されました。
 本来、野生の生き物は、野生のままにしておくべきです。けれども、このオットセイは、衰弱していました。「このままだと死んでしまう」と判断されたため、水族館に保護されることになりました。
 オットセイは、法律で捕獲が禁止されています。普通は、捕獲することはできません。今回は、特別に許可を得て、捕獲されました。
 新潟県内の水族館(マリンピア日本海)で、とりあえず、オットセイは落ち着いたそうです。血液検査をしたところ、何らかの中毒になっているらしい、という結果が出ました。何の中毒なのかは、わかっていません。解毒の治療がされています。
 また、このオットセイには、寄生虫がいることも、判明しました。フィラリアという寄生虫です。心臓や、血管の中に寄生します。
 野生の生き物には、何らかの寄生虫がいるのが、普通です。「極めて多数いる」とか、「普通には付かない種の寄生虫が付いている」などでなければ、異常とは言えません。今回のオットセイについては、正常の範囲内なのかどうか、不明です。
 普通に寄生虫がいるだけなら、生き物は、そんなに弱りません。しかし、体力が減るのは確かです。寄生虫がいるところに、中毒を起こせば、衰弱するでしょう。オットセイが衰弱したのは、「中毒と寄生虫の両方が重なったため」と考えられています。
 保護されたオットセイは、回復しだい、野生に戻される予定です。無事、自然の中に帰れるといいですね。


 迷子のオットセイが保護されたニュースは、以下にあります。また、オットセイが保護された水族館のサイトには、詳しい経過が載っています。
 マリンピアがオットセイを保護(新潟日報 2008/01/22)
 オットセイ:村上で捕獲、体力回復図り治療--新潟水族館、経過観察 /新潟(毎日新聞 2008/01/26)
 オットセイを保護しました(マリンピアのサイト内ニュース 2008/01/26)
 新潟市水族館 マリンピア日本海(トップページ)


 過去の記事で、このオットセイのニュースを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 野生のオットセイやアザラシに、触ってもいい?(2008/01/24)



図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、オットセイは載っていませんが、オットセイに近縁なトドが掲載されています。
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2008年1月25日

本当にあった不思議なカレイの話




 奇跡としか言いようのないニュースが、飛び込んできました。千葉県銚子市【ちょうしし】の沖で捕れた魚に、人が書いた手紙が付いていた、というのです。その手紙は、十五年も前に、小学生の女の子が、風船に付けて飛ばしたものでした。
 驚くことに、その手紙の文字は、ちゃんと読める状態でした。おかげで、手紙を書いた人の身元が、判明しました。小学生だった女の子は、現在、大学生で、健在だそうです。当時、神奈川県川崎市内の小学校から、手紙を飛ばしたとのことです。
 報道によれば、手紙を運んだのは、サメガレイという魚です。カレイ(鰈)の一種です。あの、目が片側に寄った、平たい魚の仲間ですね。食用になることで、有名です。
 サメガレイも、食用になる魚です。今回、見つかったものも、食べるために漁獲されました。漁師さんが、魚の仕分け中に、手紙が付いているのに気づいたそうです。
 カレイの中でも、サメガレイは、深い海に棲みます。主に、クモヒトデを食べているようです。クモヒトデは、深海に多い生物だからでしょう。「郵便屋さん」になったカレイは、おそらく、水深千m付近にいたはず、といいます。
 手紙の保存状態が良かったのも、奇跡ですね。他の魚でなく、サメガレイだからこそ、こんなことが起こった、と推測できます。
 サメガレイには、「鱗【うろこ】がない」という特徴があります。そのかわり、表側の皮膚が、ざらざらしています。鮫肌【さめはだ】だから、サメガレイと名づけられました。この鮫肌は、たっぷりの粘液に覆われています。
 たぶん、手紙は、サメガレイの鮫肌に、うまく引っかかったのでしょう。そのうえ、粘液に覆われれば、保護されますね。長い間、海中にあったのに、きれいに保存されたのは、このためだと思われます。
 人間の活動は、深海にまで、影響しているのですね。今回の事件で、改めて、わかりました。例えば、うっかり毒物を流したら、深海魚が絶滅するかも知れません。
 今回のように、小学生の手紙ならば、微笑ましくて、いいですね。


 手紙を運んだカレイのニュースは、以下にあります。
 <手紙>風船で飛ばして15年…カレイが届ける?(毎日新聞 2008/01/24)
 14年前の風船手紙、底引き網漁で水揚げのカレイがお届け(読売新聞 2008/01/24)



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残念ながら、サメガレイは載っていませんが、同じカレイの仲間のメイタガレイが掲載されています。
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2008年1月24日

野生のオットセイやアザラシに、触ってもいい?

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 新潟県から、オットセイのニュースが届きました。村上市の砂浜に、迷子のキタオットセイが現われたそうです。普通、日本海では、野生のオットセイは見られません。
 オットセイやアザラシは、人気がありますね。私も可愛いと思います。つい、触ったり、餌をあげたりしたくなりますね。けれども、それは、彼らのためになりません。
 野生の生き物は、用心深いです。たまに、人馴れしているものもいますが、そういうものは例外です。彼らにとって、ヒトは恐ろしいものです。接近されるだけで、ストレスになります。触られたら、もっとストレスが強くなります。
 ストレスのために、彼らが病気になってしまったら、気の毒ですね。野生の生き物には、触らないことです。そもそも、触れるほどの距離に近づかないのが、マナーです。
 フラッシュをたいて撮影するのも、控えましょう。彼らをおびえさせてしまいます。
 餌をあげるのも、良くありません。自分で餌を取ることを、忘れてしまうからです。自然の中で生きる力を、失わせてしまいます。
 野生の生き物は、基本的に、そっと見守るべきでしょう。ただし、以下のような場合は、近くの動物園や水族館に連絡して、指示を受けて下さい。
1)明らかに、致命的な怪我【けが】をしている。
2)交通量の多いところにいて、事故にあいそうだ。
3)岩に挟まれるなどして、動けない状態だ。
4)ひどく痩【や】せて、元気がない。
 前記のような状態でなければ、放っておいて大丈夫です。「海の生き物が川にいる」など、不適切な場所にいるようでも、元気そうならば、そのまま様子を見ましょう。
 人間が思う以上に、野生の生き物は、たくましいです。ちょっとした怪我や病気なら、治ります。二、三日食べなくても、たいていは平気です。子どもが親とはぐれているように見えても、多くの場合は、親が近くにいます。
 マナーを守れば、野生の生き物の観察は、楽しいですよ。


新潟県に現われたオットセイのニュースは、以下にあります。
 メスのオットセイ、新潟県村上市の砂浜に(毎日新聞、2008/01/22)


 過去の記事でも、オットセイを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 保護されたオットセイ、海へ(2007/03/16)

 保護されたオットセイ、鴨川シーワールドへ(2007/01/17)
 オットセイは日本にいるか?(2006/09/11)

 アシカとアザラシはどう違う?(2006/11/04)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、オットセイは載っていませんが、オットセイに近縁なトドが掲載されています。
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2008年1月19日

水辺の巨大な鼠【ねずみ】の正体は?

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 先日、このブログを読んで下さった方から、質問をいただきました。「近所の水辺で、巨大なネズミを目撃した。自分で調べたが、どうしても種がわからない」というものです。
 じつは、以前にも、同じような質問が、寄せられました。このネズミについては、時々、マスコミにも登場します。けれども、一般には、あまり知られていないようですね。そこで、「謎の巨大ネズミ」について、まとめて説明しましょう。
 日本の水辺では、しばしば、巨大なネズミが目撃されます。ネコ(猫)ほどの大きさに見えることも、あります。器用に、水の中を泳ぎます。
 このネズミの正体は、次の二種のどちらかです。ヌートリアか、マスクラットです。
 ほとんどの場合は、ヌートリアです。マスクラットは、数が少ないからです。
 ヌートリアは、本来、日本にいたネズミではありません。二十世紀の初めに、南米から、日本へ持ち込まれました。もと、養殖されていたものが、野生化しました。
 ヌートリアは、中国地方や近畿地方、中部地方など、本州の西側に多いです。東京都や千葉県などの関東、また、四国でも記録があります。今のところ、北海道や九州では、見つかっていません。が、確認されていないだけで、いないとは言い切れません。
 西日本で目撃される「巨大ネズミ」は、まず、ヌートリアだと思っていいでしょう。
 もう一種の巨大ネズミ、マスクラットも、外来生物です。マスクラットの原産地は、北米です。第二次世界大戦の頃、日本に移入されました。それが、野生化しました。
 マスクラットは、ヌートリアより、だいぶ小さいです。「大きめのドブネズミ」くらいに見えます。日本では、東京都、埼玉県、千葉県でしか、生息が確認されていません。
 ヌートリアと、マスクラットは、生態も外見も似ています。確かに、同じネズミの仲間(齧歯目【げっしもく】)です。しかし、意外に遠縁です。ヌートリアは、齧歯目の中のヌートリア科に属します。マスクラットは、同じ齧歯目でも、キヌゲネズミ科に属します。
 これら二種は、毛皮用に、日本へ持ち込まれました。なのに、今は、外来生物として、駆除されています。人間の身勝手さに、彼らは怒っているのではないでしょうか。


 最近のニュースでも、巨大ネズミのヌートリアが取り上げられています。
 ヌートリア:県東部にも 袋川で目撃、1匹を捕獲--鳥取駅東1キロ /鳥取(毎日新聞 2008/01/16)


 過去の記事でも、ネズミの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 大黒鼠【だいこくねずみ】とは、どんなネズミ?(2008/01/11)
 ネズミでないネズミがいる?(2007/12/21)
 インドネシアのパプアで、新種の哺乳類を発見(2007/12/19)
 天井裏で騒ぐのは、何というネズミ(鼠)?(2007/11/23)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、ヌートリアとマスクラットは載っていません。そのかわり日本に分布するネズミの仲間が、十種以上掲載されています。
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2008年1月17日

保護されたクロツラヘラサギは、どうなった?

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 先日、クロツラヘラサギという鳥のニュースがありましたね。「嘴【くちばし】に釣り糸がからまって、弱っている」と報道されました。
 幸いなことに、このクロツラヘラサギは、人間に保護されました。沖縄県の豊見城【とみぐすく】市でのことです。さっそく、動物病院で手当てを受けました。
 クロツラヘラサギは、とても数が少ない鳥です。世界中で、二千羽に満たないといわれます。一羽でも、貴重な命を救えたことは、良かったですね。
 けれども、いつも、こんなふうにうまく行くとは、限りません。
 今回のように、釣り糸にからまってしまう鳥は、たくさんいます。でも、たいていは、人間に気づいてもらえません。人知れず、衰弱死してしまいます。
 つい先日も、釣り糸にからまったアオサギが、報道されました。場所は、同じ沖縄県豊見城市です。写真を見ると、嘴や首に、何重にも糸がからみついています。とても苦しそうです。何とか、このアオサギも、助けてあげたいですね。
 野生の生き物を救うのは、簡単ではありません。警戒心が強いためです。捕獲どころか、近づくことさえ、難しいです。
 罠【わな】を仕掛けても、野生の生き物は、かかりにくいです。それだけ、用心深いのですね。麻酔銃【ますいじゅう】も、使うのは危険です。麻酔薬の量は、調整が難しいからです。量が多すぎれば、生き物が死んでしまいます。
 今回のクロツラヘラサギは、とても運が良いのですね。人間に気づいてもらえた上に、保護にも成功しました。たまたま、広く報道されたからでしょう。
 救われた命のかげに、多くの救われなかった命があります。大切なのは、危機になってから救うのではなく、危機にならないようにすることですね。
 釣り人の皆さん、ぜひ、マナーを守って下さい。釣り針、釣り糸、浮き、錘【おもり】などは、野生生物には、凶器です。それらの物を放置したら、せっかくの釣り場が、荒れてしまいます。釣りができなくなっては、元も子もありませんね。


 釣り糸にからまれたクロツラヘラサギの記事は、以下のページにあります。また、同じように釣り糸にからまれた鳥のニュースも、以下にあります。
 餌食べ回復の傾向/保護のクロツラヘラサギ(沖縄タイムス)(2008/01/15)
 クロツラヘラサギ救助/くちばしに釣り糸(沖縄タイムス)(2008/01/14)
 今度はアオサギ、サビキのみ込む 豊見城(琉球新報)(2008/01/10)
 ウミネコに釣り針/うるま市(沖縄タイムス)(2008/01/6)



図鑑↓↓↓↓↓には、クロツラヘラサギ、アオサギやウミネコが掲載されています。
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2008年1月10日

突然の人気者? スカシカシパン

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 生き物の中には、奇妙な名前を持つものがいます。私の感覚では、海の生き物に、多い気がしますね。スベスベマンジュウガニ、などというカニが、実在しますから。
 そんな「珍名さん」生き物の一種に、スカシカシパンがいます。漢字で書けば、「透かし菓子パン」です。ウニの一種で、海の砂地に棲みます。
 冗談みたいな名前ですよね。けれども、正式な日本語名です。(国際的に通じる学名は、ラテン語で、Astriclypeus manniです)なぜ、こんな名前が付いたのでしょう?
 実物を見れば、納得できます。平たい円形で、菓子パンにそっくりです。体には、五ヶ所、スリットのような穴があります。だから「透かし」カシパンなのですね。
 カシパンと呼ばれるウニは、他にもいます。ヨツアナカシパン、ハスノハカシパンなどです。それぞれ、「四つ穴菓子パン」、「蓮の葉菓子パン」の意味です。ヨツアナカシパンは、生殖孔【せいしょくこう】が四つあることから、名づけられました。ハスノハカシパンは、形が蓮の葉に似ていることから、名づけられました。
 ウニといえば、普通は、球形ですね。そして、全身、棘だらけです。
 しかし、中に、平たい円形の種がいます。そういうウニは、みな棘が短いです。ウニには見えません。そういった種は、たいてい、「○○カシパン」と名づけられています。
 「珍名さん」ウニとしては、他に、タコノマクラという種がいます。漢字で書けば、「蛸の枕」です。あの、八本脚のタコの枕、という意味です。
 タコノマクラは、カシパンの仲間と近縁です。どちらも、ウニ綱【こう】タコノマクラ目【もく】に属します。そのため、形が似ています。平たい円形で、棘が短いです。
 普通のウニは、棘で身を守ります。でも、タコノマクラやカシパンの仲間は、棘が発達していません。どうやって、身を守るのでしょう?
 カシパンの仲間は、海底の砂に潜ります。タコノマクラは、貝殻や小石を身に付けます。こうすることで、敵の目から逃れています。スカシカシパンの「透かし穴」は、砂の中で、動きやすくする役割があるようです。


 最近、芸能人の中川翔子さん(愛称:しょこたん)のブログをきっかけに、スカシカシパンは、人気が出ました。スカシカシパンにちなんだ、本物の「菓子パン」が発売されるそうです。
 「しょこたんぶろぐ」から菓子パン誕生 「スカシカシパン」ローソンで発売へ


 静岡県の西伊豆町で、スカシカシパンについて、面白い調査が行なわれています。なんと、「スカシカシパンの里親制度」があります。普通の人でも、スカシカシパンの里親になれます。ぜひ、以下のページを見に行ってみて下さい。
 西伊豆 安良里ダイビングセンター(トップページ)
 スカシカシパンプロジェクトのページ


 過去の記事でも、カシパンと同じウニの仲間を取り上げています。また、日本語名と学名の違いについても取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 海中のオブジェ? パイプウニ(2007/11/16)
 棘だけでは足りない? ウニの防御作戦(2007/8/11)
 神津島からのレポート(2007/7/30) ※タコノマクラの写真があります。
 学名ってなんですか?(2005/9/30)



図鑑↓↓↓↓↓には、スカシカシパン、タコノマクラ、スベスベマンジュウガニなど、「珍名さん」の生き物が、何種か掲載されています。
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2007年12月19日

インドネシアのパプアで、新種の哺乳類を発見

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 東南アジアから、新種発見のニュースです。インドネシアのパプア州で、新たに、フクロヤマネの仲間と、ネズミの仲間が、発見されました。二〇〇七年の自然調査の結果です。
 フクロヤマネとは、「フクロ」の名が付くとおり、有袋類【ゆうたいるい】の一種です。カンガルーやコアラと、同じグループですね。カンガルー目クスクス亜目ブーラミス科に属します。ラテン語の学名は、Cercartetus nanusです。
 今回、発見された新種も、フクロヤマネと同じCercartetus属だと考えられています。正式な名は、まだ付いていません。樹上で、リスに似た生活をしているようです。
 もう一つの新種は、ネズミと同じ齧歯目【げっしもく】に属します。日本のハツカネズミなどと同じく、齧歯目の中の、ネズミ科ネズミ亜科に属します。ただし、ハツカネズミより、ずっと大きいです。なんと、体重1.4kgもあるそうです。
 ネズミの新種にも、まだ、正式な名は付いていません。Mallomys属の一種だと考えられています。Mallomys属のネズミは、今のところ、インドネシアとパプア・ニューギニアでしか見つかっていません。とても珍しいネズミの仲間です。
 前記の二種が発見されたのは、パプア州のフォジャ山脈です。ここでは、二〇〇五年にも、自然調査が行なわれました。その時も、数多い新種が発見されました。鳥類、両生類、昆虫類、植物など、数十種もの新種です。
 じつは、生物の新種は、毎年、たくさん発見されています。けれども、そのほとんどが、昆虫などの小さな生き物です。哺乳類の新種は、非常に珍しいです。大型のネズミさえ、見つからずにいたことを考えると、フォジャ山脈に、いかに人手が入っていないかわかりますね。世界有数の、自然の宝庫です。
 最近では、アフリカのガーナからも、「新種がまとめて発見された」報告がありました。中には、恐竜時代に起源がある、貴重な種も含まれます。
 このような地域は、世界には、ほとんど残っていません。わずかに残った自然の宝庫は、ぜひ、後世に引き継ぎたいですね。


 インドネシアの新種のニュースは、以下のページに載っています。二〇〇五年のインドネシア調査のニュースや、ガーナでの新種発見のニュースもあります。
 インドネシアの熱帯林で二種の新種とみられる哺乳類を発見(コンサベーション・インターナショナル 2007/12/17)
 インドネシア・パプア州で多くの新種が発見される(コンサベーション・インターナショナル 2006/02/07)
 ガーナの熱帯林で、希少な生物種を発見(コンサベーション・インターナショナル 2007/12/06)


 過去の記事でも、さまざまな新種発見のニュースを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ベトナムで、新種の発見ラッシュ(2007/09/27)
 ボルネオ(カリマンタン)島で、新種の豹(ヒョウ)を発見(2007/03/17)
 新種発見! トゲネズミ(2006/07/10)
 楽園の鳥の楽園? インドネシアのパプア州とパプア・ニューギニア(2006/02/09)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、今回の新種と同じ日本で見られる齧歯目【げっしもく】ネズミ科のネズミが、十種以上が掲載されています。
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2007年12月13日

ペンギンが絶滅する? 南極の危機

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 現在、インドネシアのバリ島で、国連の気候変動枠組み条約の会議(COP13)が開かれていますね。もちろん、日本も参加しています。先進国の一員として、大量の二酸化炭素を排出していますから、それなりの責任があります。
 この会議で、深刻な報告がされました。南極で、気候変動が急速に進んでいるというのです。このために、南極の生き物が、絶滅の危機にさらされています。
 南極の生き物としては、ペンギンが有名ですね。どんなペンギンが、どのような危機に陥っているのでしょうか?
 じつは、南極に分布するペンギンの種は、あまり多くありません。
 ペンギンは、全部で十六種ほどいます。そのうち、明確な南極圏で繁殖するのは、五種だけです。コウテイペンギン、アデリーペンギン、ジェンツーペンギン、ヒゲペンギン、マカロニペンギンです。南極生まれの種は、三分の一もいないことになりますね。
 COP13での報告では、前記の種のうち、マカロニペンギンを除く四種が、特に危機だとされています。これらの種は、南極圏で繁殖する率が、高いからです。
 気候変動のため、南極では、海の生物相が変わっています。これまでペンギンたちが食べていたものが、いなくなりつつあります。これは、成体のペンギンより、雛【ひな】にひどい影響を及ぼします。食べ物が足りないため、死ぬ雛が増えています。雛が育たなければ、遠からず、ペンギンは、絶滅してしまうでしょう。
 中でも、コウテイペンギンとアデリーペンギンは、南極の気候変動の影響を、強く受けるはずです。この二種は、主な繁殖地が、南極大陸にあるからです。南極が温暖化してしまったら、彼らの繁殖地の環境は、すべて激変するでしょう。
 すでに、コウテイペンギンの繁殖地などで、異変が起きています。温暖化のために、海氷が早く溶けてしまうのです。育つ前の雛や卵が、海に流されています。
 地球の気候が急激に変動すれば、ヒトも暮らせなくなります。気候変動の恐ろしさを、ペンギンたちが、身をもって教えてくれている、と言えますね。


 国連の気候変動枠組み条約の会議(COP13)のニュースは、以下のページにあります。ペンギンの危機について、詳しく知りたい方は、ぜひ、以下のページを御覧下さい。
 気候変動で危機にさらされるペンギン(WWFジャパン 2007/12/11)
 ペンギンが温暖化の犠牲に=WWF(時事通信 2007/12/12)
 南極からのSOS! ペンギン・パンフレットを作成(WWFジャパン 2007/12/11)


 過去の記事でも、ペンギンなどの南極の生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 世界最大のイカは、ダイオウイカではない?(2007/02/23)
 北半球で一番ペンギンが(2006/11/30)
 南極にペンギンがいて、北極にいないのはどうしてですか?(2006/06/22)
 北極にはホッキョクグマが…(2006/05/09)


2007年12月 7日

太り過ぎで飛べないカモがいる?




 各地で、冬鳥の便りが聞かれますね。冬鳥とは、夏に日本におらず、冬を日本で過ごす渡り鳥のことです。冬鳥としては、ハクチョウやカモの仲間が有名です。
 カモの仲間は、一般の人にも、馴染み深いですね。住宅地の水場にも、飛来することが多いからです。マガモ、コガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、キンクロハジロなどが、よく見られます。彼らは、比較的、ヒトを恐れません。
 パンくずなどを投げると、彼らは、喜んで寄ってきます。そういう様子は、かわいいですね。つい、たくさんの餌をやりたくなります。
 ところが、これが問題になっています。ヒトから餌をもらい過ぎて、肥満になってしまうカモがいるのです。決して、見過ごせる問題ではありません。
 太り過ぎれば、動きがにぶくなります。ネコなどの敵に、襲われる率が高くなります。無残なカモの遺骸が見つかることが、珍しくありません。冬の間、毎日、そんな遺骸が見つかる場所もあるそうです。東京・上野の不忍池【しのばずのいけ】などが、そうです。
 もっと深刻な問題もあります。太り過ぎたカモが、飛びにくくなることです。春、生まれ故郷へ、飛んでいけなくなるかも知れません。そうなったら、自然のサイクルを乱すことになります。カモだけではなく、他の生き物にも、影響があるでしょう。
 生き物をかわいがるのは、良いことです。けれども、やり方を間違えたら、虐待になってしまいます。「餌をやり過ぎて肥満にする」のは、明らかに、虐待の部類です。
 野生の生き物には、基本的に、餌をやるべきではありません。ただ、杓子定規に考えるのも、良くないと思います。野生の生き物と触れ合うことは、人間に、良い影響をもたらすからです。生命や、私たちの住む環境について、考える機会が得られます。
 要するに、「やり過ぎることは悪い」ということでしょう。野生生活に支障をきたさない程度なら、餌をやることを大目に見る社会であって欲しいです。
 しかし、都会の池などでは、カモに餌をやる人が、あまりに多いのでしょう。人口の多い地域では、カモへの餌やり禁止にしたほうが、カモのためになりそうです。


 肥満したカモの問題は、以下のページで報道されています。
 肥満 飛べないカモ 野良ネコの餌食 渡りにも影響か(東京新聞、2007/12/05) 


 過去の記事でも、カモの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 カモ、カモ、カモ……(2006/12/13) 
 カモは水に潜るか?(2006/11/27) 
 鴛鴦(オシドリ)は本当におしどり夫婦か?(2006/03/06) 
などです。
 


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2007年12月 3日

カエル・ツボカビ症のその後




 今年の一月に、ツボカビ症のニュースが流れたのを、覚えておいででしょうか? カエルなどの両生類に、致命的な病気です。感染症ですが、ヒトには感染しません。
 ツボカビ症は、世界の各地で、深刻な影響をもたらしています。「両生類が、一つの地域から、まるごと消えてしまった」などと報告されました。そんな恐ろしい病気が、日本に上陸したというニュースでしたね。その後、どうなったのでしょうか?
 ツボカビ症の原因は、ツボカビという病原体です。残念なことに、ツボカビは、日本でも広がっています。各地で、ツボカビに感染した両生類が、発見されています。
 二〇〇七年一月の段階では、感染が確認されたのは、飼育個体だけでした。この年の三月には、ペットショップで販売されているカエルで、ツボカビが確認されました。六月には、日本で飼育・販売されているカエルに、広くツボカビが感染しているとわかってきました。目に見えて病気でなくても、感染している個体がいます。
 同じ六月、日本の野生のウシガエルから、ツボカビが検出されています。神奈川県の個体です。十月には、野生のアフリカツメガエルから、ツボカビが検出されました。これは、和歌山県でのことです。すでに、日本の自然の中にも、ツボカビがいるのですね。
 ウシガエルと、アフリカツメガエルは、外来種です。人間が、日本に持ち込みました。彼らは、ツボカビに感染しても、症状が出にくいです。元気なまま、ツボカビをまきちらしてしまいます。そんな彼らを野生化させたのは、人間の責任です。
 十一月には、日本の野生のイモリに、ツボカビ感染の疑いが出ました。イモリは、カエルと同じ両生類です。感染が疑われているのは、シリケンイモリという種です。
 シリケンイモリは、世界のうち、日本の南西諸島にしか分布しません。貴重な種です。もし、ツボカビ症のために、シリケンイモリが絶滅してしまったら、日本と世界の損失です。そんなことには、したくありませんね。
 ツボカビの感染は、人間の活動によって広まりました。人間がやったことなら、人間が責任を取るべきですね。まずは、やたらに生き物を移動させることをやめましょう。


 ツボカビ症について、より詳しくは、以下のページを御覧下さい。
 カエルツボカビ症について(WWFジャパン)

 二〇〇七年のツボカビ症に関するニュースには、以下のようなものがあります。
  県内ペット店 カエル販売自粛(沖縄タイムス 2007/5/1)
 野生カエルで初確認??高率で感染死のツボカビ(47ニュース 2007/6/11)
 ツボカビ菌 陽性反応 田辺で繁殖の外来カエル(紀伊民報 2007/10/26)
 「野生イモリにツボカビ 感染経路は不明(琉球新報 2007/11/28)

 過去の記事でも、両生類のツボカビ症について取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 世界のカエルが絶滅する? ツボカビ症を防ぐには(2007/1/14
 <カエル・ツボカビ症>国内で初確認 両生類絶滅の危険性も(2007/1/12)



図鑑↓↓↓↓↓には、日本の両生類が、二十種以上掲載されています。
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2007年11月29日

生物は地下で誕生した? 地下展

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 「地下展」という展覧会へ行ってまいりました。東京の、日本科学未来館で開催中の催しです。名のとおり、地下のこと全般を取り上げている展覧会です。
 「おや? ここは生き物系のブログじゃなかった?」という声が聞こえそうです。もちろん、そのとおりです。「地下展」では、地下に棲む生き物についても取り上げています。その内容が、たいへん興味深かったため、ここで紹介することにしました。
 地下の生き物には、どんなものがいるでしょう? モグラ、ミミズ、アリ、セミの幼虫。普通の人が思いつくのは、それくらいではないでしょうか。大した数は、いなさそうですね。ところが、実際は、大違いです。地下には、膨大な数の生き物がいます。
 けれども、土を掘っても、生き物の姿は、あまり見えませんね。それは、地下の生き物は、大部分が、とても小さいからです。ほとんどが、顕微鏡を使わないと見えません。
 地下展では、そういった地下の生き物たちを、たくさん紹介しています。地下の生き物には、バクテリア、菌類(キノコの仲間)、始原菌【しげんきん】などが多いです。どれも、微小なものです。彼らは、ヒトの常識からは、考えられない生活をしています。
 例えば、アルカリフィルス・トランスバーレンシスAlkaliphillus transvaalensisという細菌がいます。この細菌は、なんと、地下3200mから発見されました。今のところ、生物の世界最深記録です。彼らは、「世界一アルカリ性に強い生物」でもあります。pH12.4の強アルカリ環境でも、平然と生きています。ヒトの皮膚や爪なら、溶けてしまうほどの環境です。彼らのいる地下には、このような環境があるのでしょう。
 地下展では、「生物の生まれ故郷=地下説」も紹介されています。地中の粘土の中で、地球最初の蛋白質【たんぱくしつ】が生まれた可能性がある、というのです。
 蛋白質は、生物の体の基礎となる物質です。これができれば、生物までは、あと一歩です。ただし、この一歩が進むのが、容易ではない、と考えられています。
 地下展では、解説員の方々が、とても親切です。丁寧に説明してくれます。ぜひ、解説員の方から、お話を聴いて下さい。頭が良くなった気がすること、請け合いです。


 地下展には、特設サイトがあります。日本科学未来館のサイト内です。興味がおありの方は、以下のページを覗いてみて下さい。
 地下展(日本科学未来館 2008/01/28迄)
 日本科学未来館(トップページ)


 過去の記事でも、生物系の博物館の情報を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 生命の星・地球をまるごと体感!博物館へ(2007/10/17)
 「ファーブルにまなぶ」、虫の声の聴き方?(2007/10/11)
 馬肥ゆる秋に、馬の博物館へ(2007/10/06)
などです。



2007年11月26日

植物? いえ動物です。ウミシダ(海羊歯)




 海中には、陸では見られない生き物が、たくさんいますね。陸の生き物にそっくりでも、まったく類縁が遠い生き物も、多いです。ウミシダは、そんな生き物の一つです。
 シダ(羊歯)という名のとおり、ウミシダは、陸上植物のシダにそっくりです。けれども、ウミシダは、植物ではありません。動物です。棘皮動物【きょくひどうぶつ】というグループに分類されます。ヒトデやウニやナマコが属するグループです。
 植物のシダには、切れ込みが多くて、長い葉が付いていますね。ウミシダには、この葉に似た部分があります。ウミシダのこの部分は、葉ではなく、腕です。この腕で、食べ物を取ります。腕を広げて、海中の細かい有機物を捕らえ、食べます。
 ウミシダには、葉に似た部分だけでなく、根に似た部分もあります。巻枝という部分です。普段は、巻枝で、海底の岩や、サンゴなどにしがみついています。
 しがみつきっぱなしではありません。ウミシダは、移動できます。すべての種が、巻枝を動かして、歩きます。種によっては、腕を振り動かして、泳ぐこともできます。
 同種のウミシダでも、個体により、色や模様の差が激しいです。このため、種を同定するのが困難です。例として、ニッポンウミシダを挙げてみましょう。日本近海に多い種です。この種の色は、赤紫が多いです。が、黄色っぽかったり、真っ黒に近かったりするものもいます。外見だけで、ウミシダの種を決めるのは、ほぼ不可能です。
 ウミシダは、棘皮動物の中でも、原始的なグループです。ウミシダの直接の祖先は、ウミユリ(海百合)という棘皮動物です。ウミユリは、五億年ほども昔に、地球上に現われました。ウミユリの原始的な性質を受け継いだのが、ウミシダです。生きている化石といえますね。生物進化の謎の一部を、ウミシダが握っているかも知れません。
 ウミシダは、注目されることが少ない生き物です。けれども、近年では、前記の理由などから、注目されつつあります。飼育技術なども、少しずつ進んできました。
 先日、東京大学の臨海実験所が、ウミシダの継続飼育に成功しました。世界初の成果です。遅れていた研究が、これで進みそうです。今後の報告が楽しみですね。


 ウミシダの継続飼育のニュースは、以下のページに載っています。また、飼育に成功した東大臨海実験所のサイトもあります。
 海藻みたいでも脳がある動物=「ニッポンウミシダ」を継続飼育-東大臨海実験所(時事ドットコム)2007/11/24)
 東京大学三崎臨海実験所


 過去の記事でも、ウミシダの仲間の棘皮動物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 海中のオブジェ? パイプウニ(2007/11/16)
 棘だけでは足りない? ウニの防御作戦(2007/08/11)
 貝と付いても貝じゃない? モミジガイ(2007/04/27)
 食用ナマコはどんなナマコか?(2007/01/22)
 サンゴ礁の海を守るナマコ(2006/07/22)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、ニッポンウミシダが掲載されています。
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2007年11月23日

天井裏で騒ぐのは、何というネズミ(鼠)?




 昔の日本家屋では、天井裏でネズミが騒いだといいますね。私自身は、そのような経験はありません。親などから、「昔は、そういうことがよくあった」と聞きます。
 今は、昔ながらの日本家屋は少ないですね。コンクリート製のマンションなどが増えました。もう、ネズミが活躍する余地はなさそうです。
 ところが、最近、マンションやオフィスビルで、ネズミの被害が増えています。衛生面での被害だけではありません。どういうわけか、ネズミは、電線などのケーブルをかじるのが好きなのですね。停電したり、コンピュータネットワークが使えなくなったりといった被害が、報告されています。
 マンションやオフィスビルで騒ぐのは、昔、日本家屋の天井裏で騒いだのと、同じネズミです。クマネズミという種です。下水にいるドブネズミとは、違う種です。
 クマネズミは、かつて、東南アジアの樹上で生活していたと考えられています。そのため、高所に上るのが得意です。ドブネズミは、体が重いので、高所が苦手です。
 高層マンションやオフィスビルは、クマネズミにとって、遠い故郷の森林に似ているのでしょう。ビル内の狭い隙間には、ライバルのドブネズミも、天敵のネコ(猫)も、入れません。クマネズミの天下ですね。
 クマネズミは、世界中に分布しています。ヒトの移動に付いて、分布を広げたと考えられます。主食が植物のため、農作物に被害を及ぼすこともあります。
 クマネズミは、ヒトに害をなすだけではありません。植物や昆虫などの、在来の生き物が、脅かされています。小笠原諸島など、離島での害が、深刻です。
 離島には、そこにしかいない固有種が、多いです。島の固有種は、敵が少なく、食べ物やすみかが限られた環境で、進化しました。そこへ、クマネズミのような外来種が現われたら? 直接襲われなくても、食べ物やすみかを奪われる可能性が、高いですね。
 クマネズミが暴れているのは、人間の自業自得です。何も考えずに行動すると、自然に仕返しされる、ということでしょう。節度ある行動が必要ですね。


 小笠原諸島のクマネズミについて、最近、取り上げられたニュースがあります。詳しくは、以下のページを御覧下さい。
 小笠原ニュース:小笠原の東島で海鳥が大量死、原因はクマネズミか?(2006/12/11)
 小笠原ニュース:小笠原の西島でクマネズミ根絶に成功(2007/09/15)

 過去の記事でも、ネズミの仲間を取り上げています。また、いろいろな外来種についても取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
  人類に貢献するハツカネズミ(2007/9/14)
 セアカゴケグモは猛毒グモ?(2006/9/15)
 新種発見! トゲネズミ(2006/7/10)
などです。
   


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2007年11月15日

シーラカンスの新種?発見

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 生きている化石のシーラカンスは、話題に事欠きませんね。近年、「インドネシアのスラウェシ島近海で、シーラカンスの新種が見つかった」というニュースがありました。
 それまで、「シーラカンスは、アフリカ南東部のコモロ諸島近海にしかいない」と考えられていました。ラテン語の学名を、ラティメリア・カルムナエLatimeria chalumnaeという種です。インドネシアのシーラカンスは、これとは違う新種だと判断されました。ラティメリア・メナドエンシスLatimeria menadoensisという学名が付いています。
 最近、さらに、第三の生息域が発見されました。東アフリカのタンザニア沖です。ここで、続々とシーラカンスが捕獲されました。漁師さんたちが、普通の魚を捕ろうとしていたのに、シーラカンスが捕れてしまった、といいます。
 はじめ、タンザニアのシーラカンスは、「本来の生息域であるコモロ近海から、流されてきたのでは?」と考えられました。けれども、二〇〇七年に行なわれた調査により、「タンザニア沖に、シーラカンスの生息域がある」と確認されました。なんと、日本の調査隊による成果です。福島県にある水族館「アクアマリンふくしま」の調査隊でした。
 タンザニアのシーラカンスは、第三の種なのでしょうか? これは、まだわかっていません。現在までの調査では、新種の可能性があるようです。
 新種でなくとも、新しい生息域が判明したのは、嬉しいですね。しかし、喜んでばかりはいられません。判明した理由が、問題だからです。なぜ、今になって、タンザニア沖で、シーラカンスが捕れるようになったのでしょうか?
 その理由は、タンザニア沿岸の海で、魚が減ったためです。漁師さんたちは、困ってしまいました。魚を求めて、より沖の海へ行ったのですね。そこが、シーラカンスの生息域でした。漁業資源の枯渇という、深刻な問題が、根底にあります。
 このままでは、シーラカンスの生存も、危うくなりかねません。海全体が健全でないのに、一種だけ無事なことは、あり得ないからです。シーラカンスを含めた魚も、漁師さんたちも、豊かに暮らせる海にしたいですね。


 タンザニア沖シーラカンスのニュースは、以下にあります。
 【科学】生きた化石シーラカンスの謎を追え(Yahoo!ニュース・産経新聞 2007/11/05)
 シーラカンス続々捕獲/タンザニア沖で30匹以上(東奥日報 2007/09/21)


 タンザニア沖で、シーラカンスの撮影に成功した「アクアマリンふくしま」のウェブサイトは、以下にあります。また、東京工業大学、国立科学博物館などでも、シーラカンスの研究が進められています。
 アクアマリンふくしま(日本語トップページ)
 東京工業大学 岡田研究室(右上にシーラカンスのページ入口があります)
 国立科学博物館(トップページ)



 二〇〇七年の11月24日(土)に、シーラカンスのシンポジウムが開かれます。会場は、福島県にある「 いわき明星大学」です。一般の人でも、参加費を払えば、参加できるようです。興味がおありの方は、以下のページを御覧下さい。
 ザ・シーラカンス シーラカンスの謎に迫る!2007(アクアマリンふくしまのサイト内ページ)


 過去の記事でも、シーラカンスを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 えっ シーラカンスを捕まえた?!(2007/5/22)
 シーラカンスの動画撮影に成功! その後は?(2007/1/20)
 シーラカンスはなぜ「生きている化石」か?(2006/6/1)

などです。


2007年11月 8日

琵琶湖で発見された「エンツイ」とは、どんな魚?

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 また、悲しいニュースがありました。「琵琶湖で、新たな外来種の魚が発見された」と報道されましたね。「エンツイ」と呼ばれる魚です。
 「エンツイ」とは、魚の原産地の、中国での名です。日本語の名は、ありません。日本には、本来、分布しないからですね。
 もとの中国語からすれば、「エンツイ」とは、だいぶ「なまった」発音です。「エンツュイ」、「エンツユイ」、「エンチュイ」などとも呼ばれます。
 より正確には、「イェン・ツー・ユイ」という感じに発音します。漢字で書けば、「臙脂魚」です。まれに、成魚が臙脂【えんじ】色になるため、このように名づけられたのでしょう。ラテン語の学名を、Myxocyprinus asiaticusといいます。
 エンツイ改めイェンツーユイは、コイ目に属します。広い意味では、コイの仲間ですね。けれども、コイと違って、コイ科ではありません。コイ目サッカー科に属します。サッカーとは、球技のサッカーsoccerではありませんよ(笑)サッカーsuckerという名の魚がいるのです。主に、北米に分布する魚のグループです。
 イェンツーユイは、中国の長江流域に分布します。サッカー科の中で、唯一、北米以外に分布する種です。なぜ、一種だけこんなに離れているのかは、わかっていません。
 今回見つかったイェンツーユイを、写真で見ると、奇妙な形をしていますね。背中が高く盛り上がっています。そこに、大きな背びれが付いています。これは、幼魚の姿です。成魚は、スマートな形です。普通の魚と変わりません。
 イェンツーユイは、観賞魚として、日本に輸入されています。確かに、幼魚の形は、面白いですね。しかし、成魚が、1mを越えるほど大きくなることを、忘れてはいけません。「それほどの大型魚を飼う」と覚悟ができなければ、飼うべきではありません。
 外来種自身には、罪はありません。いつも、ここのブログに書いているとおりですね。ペットを売る人、買う人、管理する人など、みんなの責任が、問われています。


 琵琶湖で発見された「エンツイ」改め「イェンツーユイ」のニュースは、以下にあります。
 琵琶湖で中国産外来魚を捕獲 「エンツイ」を初確認(京都新聞 2007/11/05)


 「エンツイ」こと「イェンツーユイ」のニュースは、他にも、以下のようなものがあります。レコードチャイナの写真を見ますと、「臙脂魚」(臙脂【えんじ】色の魚)や「美人魚」の名が納得できますね。
 獅子顔の巨大怪魚、出現―四川省ろう中市(レコードチャイナ 2007/05/08)
 安徽:15万尾の「臙脂魚」を長江に放流(livedoorニュース 2007/04/23)
 漁師が長江で未知の魚を捕獲、俗称は「アジア美人魚」―重慶市(レコードチャイナ 2006/12/13)


 過去の記事でも、外来種について取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ワニに見えてもワニじゃない、ガーパイク(2006/09/16)
 オオトカゲは危険生物?(2006/08/22)
 飼う前によく考えましょう、カミツキガメとワニガメ(2006/04/5)
 ミドリガメ(アカミミガメ)から病気がうつるのは本当?(2006/03/13)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、コイ、タナゴ、ドジョウなど、コイ目の魚が十種以上掲載されています。
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2007年11月 1日

霊長類【れいちょうるい】が絶滅の危機に?




 先日、深刻なニュースがありました。今、生息している霊長類の三割が、絶滅するかも知れない、というのです。
 霊長類とは、サル(猿)の仲間ですね。生物学的には、哺乳綱【ほにゅうこう】霊長目【れいちょうもく】に属する生き物を指します。ヒトも、この仲間ですね。
 ヒトは、こんなに栄えています。なのに、なぜ、他のサルには、絶滅しそうなものが多いのでしょうか? いくつかの原因があると、考えられています。
 中で、有力な原因として、熱帯の環境破壊が挙げられます。サルの仲間は、大部分が、熱帯に分布するからです。逆に言えば、熱帯以外に分布するサルは、とても少ないです。
 私たちヒトは、熱帯から寒帯まで、広く分布しますね。ですから、「サル類が、圧倒的に熱帯にいる」ことを忘れがちです。寒い地域に棲むサルとしては、ニホンザル、アカゲザル、キンシコウ(金絲猴)などがいます。これらの種は、珍しい例外なのですね。
 有名なサルの種を、並べてみましょう。チンパンジーやゴリラは、アフリカの熱帯地域にいますね。リスザルやオマキザル――どちらも、ペットや実験動物として人気です――は、中米から南米の熱帯地域にいます。歌で知られるアイアイは、アフリカ沖のマダガスカル島に棲みます。確かに、ほとんどの種が、熱帯のものですね。
 そんなわけで、熱帯の環境破壊は、サル類に、重大な影響を及ぼします。棲む場所がなくなれば、どんな生き物でも、絶滅せざるを得ません。
 二十一世紀になってからも、熱帯では、サルの新種が発見されています。キプンジや、ブロンドオマキザルなどです。キプンジは、二〇〇五年に、アフリカのタンザニアで発見されました。ブロンドオマキザルは、二〇〇六年に、南米のブラジルで発見されました。
 続々と新種が発見されるのは、熱帯の環境が、豊かな証拠です。熱帯の環境を壊すと、膨大な生き物のすみかを、奪うことになります。
 今の状況では、キプンジやブロンドオマキザルは、発見された早々に、絶滅しかねません。サルたちに、数多い絶滅種のあとを、たどらせたくありませんね。
 「霊長類が絶滅の危機」というニュースは、以下にあります。
 霊長類の3割、絶滅の危機(読売新聞 2007/10/29)
 脅威にさらされる霊長類(コンサベーション・インターナショナル・ジャパン 2007/10/26) 


 二十一世紀に発見された新種のサル、キプンジとブロンドオマキザルについては、以下に解説があります。
 キプンジ(Wikipedia日本版) 
 新種ブロンドオマキザル(どうぶつのこころ)
 ブロンドオマキザルの写真つき論文(Zootaxa【英語】)※ご注意 pdfファイルにいきなりつながります。 


 過去の記事でも、サルの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 チンパンジーの贈り物はパパイア?(2007/9/13)
 ニホンザルは世界北限のサル(2005/11/14)
などです。
 


図鑑↓↓↓↓↓には、ニホンザルが掲載されています。
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四百年、生きた貝がいる?

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 イギリスから、びっくりニュースです。なんと、四百年以上も生きた貝が、発見されたとのことです。二枚貝の仲間です。
 この貝は、北大西洋のアイスランド沖にいたところを、採集されました。残念ながら、採集直後に、死んでしまったそうです。けれども、貴重な標本が残されました。
 外見は、これといった特徴がありません。白っぽい二枚貝です。報道では、ハマグリに近縁だとされていますね。それは、間違いではありません。ハマグリと同じ、マルスダレガイ目に属します。ただし、目【もく】より下の分類は、ハマグリと違います。
 この貝は、マルスダレガイ目アイスランドガイ科に属します。この科に属する、ただ一つの種です。北大西洋に分布します。日本近海には、いません。
 ラテン語の学名では、この貝は、Arctica islandicaといいます。日本語名は、アイスランドガイとされています。ハマグリなどと同じく、海底の砂や泥に潜って、生活します。カナダやアイスランドでは、食用に漁獲されています。
 今回見つかった貝が、なぜ、四百年以上も生きているとわかったのでしょうか? その理由は、貝殻にあります。アイスランドガイは、貝殻にある筋を数えることで、年齢を知ることができます。木の年輪を数えるのと、同じ原理ですね。
 このように、動物の体の一部(主に、貝殻など硬い部分)から、年齢を決める方法があります。英語でsclerochronologyといいます。日本語では、適当な言葉がありません。
 以前から、アイスランドガイは、二百年以上も生きることが知られていました。長生きの秘密は、体のエネルギー消費を、少なくすることにあります。
 アイスランドガイは、心拍数を、通常の10分の1にまで減らせるといいます。(貝にも心臓があります)こうすることにより、体のエネルギー消費を減らします。すると、成長が遅くなります。当然、老化も遅くなります。長生きするわけですね。
 四百年以上も生きたものを、死なせてしまったのは、惜しいことです。そのかわりに、生命の神秘を解く研究が、発達するといいですね。


 四百年生きた貝のニュースは、以下のページに載っています。
 <400歳の貝>アイスランド沖海底で発見 最長寿の動物?(毎日新聞 2007/10/31) 
 四百歳の貝を発見(バンゴー大学【英文】)


 現在、日本近海には、アイスランドガイの仲間はいません。しかし、大昔は、日本近海にも、近縁種がいたようです。岩手県の大船渡【おおふなと】市立博物館や、富山県の八尾【やつお】化石資料館で、アイスランドガイの近縁種「イソシプリナIsocyprina」の化石が見られます。
 大船渡市立博物館【トップページ】 
 イソシプリナなど展示資料の追加【お知らせページ【大船渡市立博物館】)
 八尾化石資料館 海韻館【かいいんかん】トップページ 
 イソシプリナ化石写真ページ(八尾化石資料館 海韻館【化石アーカイブ】)

 アイスランドガイの長寿の秘密については、以下のページに、少し詳しく載っています。
 酸素は諸刃の剣

 過去の記事でも、多くの二枚貝を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 魚と持ちつ持たれつ? イシガイ科の二枚貝たち(2007/4/2) 
 真珠貝【しんじゅがい】の秘密(2006/6/16)
 潮干狩りの主役、アサリ(2006/4/27) 
などです。
 


図鑑↓↓↓↓↓には、アサリ、チョウセンハマグリなど、マルスダレガイ目の二枚貝が掲載されています。
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2007年10月22日

野生の華南虎【かなんとら】、二十四年ぶりに発見?




 中国から、嬉しいニュースが届きました。野生では絶滅したと思われたトラが、発見されたそうです。中国南部のトラの亜種、アモイトラです。華南トラとも呼びます。
 トラは、多くの動物園で見られますよね。しかし、「動物園にいるから安心」ではありません。じつは、トラは、「絶滅する可能性が、非常に高い」と、心配されています。
 トラは、どこの地域でも、最強の肉食獣です。それが、なぜ、絶滅寸前なのでしょう?
 人間の活動のためです。人間が、森を切り開いたり、過度に狩猟したりしたために、ひどく数が減ってしまいました。
 例えば、中東にいたトラの亜種、カスピトラは、二十世紀の半ばに絶滅しました。かつてのペルシャ帝国で、尊敬された生き物です。別名、ペルシャトラとも呼ばれます。
 インドネシアのジャワ島の亜種、ジャワトラは、二十世紀の終わり頃、絶滅しました。同じインドネシアのバリ島にいたバリトラは、二十世紀の前半に絶滅しました。
 バリトラは、トラの亜種の中で、体の大きさが最小でした。その他にも、いくつか、変わった特徴を持っていました。絶滅が、とても惜しまれます。
 残るトラの亜種も、安泰なものはいません。例えば、アムールトラは、本来の分布地のうち、朝鮮半島では絶滅したようです。別名を、チョウセントラというくらいですのに。他に、シベリアトラ、ウスリートラ、マンシュウトラなどとも呼ばれます。
 トラの亜種としては、他に、インドシナトラ(別名マレートラ)、ベンガルトラ(別名インドトラ)、スマトラトラがいます。どの亜種も、人間の開発によって、すみかを奪われています。今や、トラは保護動物なのに、いまだに密猟もなくなりません。
 アモイトラは、「最も絶滅に近いトラの亜種」と呼ばれます。確認される限りでは、七十頭未満が、動物園にいるだけです。今回、本当に、野生個体が発見されたのだとしても、安心どころではありません。
 大切なものを、「虎の子」といいますよね。トラが、子どもを大切にすることから、こう言うそうです。すべてのトラが、そんなふうに大切にされるといいですね。


 再発見された野生のアモイトラについては、以下のページに載っています。
 絶滅危機の野生の「華南トラ」、子供の生存を確認 中国(CNN 2007/10/13)
 華南トラ、24年ぶりに目撃(産経ニュース 2007/10/13)
 ※追記【その1】
 その後、撮影された華南トラの写真は、ねつ造か?というニュースが報じられています。 以下のページに載っています。行方を見守りたいと思います。
  華南トラ写真の偽造疑惑、省当局はとりあわず―中国(Record China 2007/10/24)
  「華南トラ」写真 真偽めぐり中国で大論争(IZA 2007/10/23)
 ※追記【その2】
 残念ながらねつ造だったようですね。以下にまとめました。
  華南虎【かなんとら】の再発見は、偽造だった?(2008/02/09)


 トラの危機については、WWFジャパン(世界野生生物保護基金 日本委員会)のページに、詳しく載っています。
 トラについて(WWFジャパン)
 ウィキペディアの英語版に「アモイトラ」が紹介されています。「アモイトラ」の項を紹介しておきますね。英語版ですがご興味ある方はご覧ください。
 アモイトラについて(Wikipedia・英語版)


 過去の記事でも、絶滅が危惧される生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ホッキョクグマが絶滅する?(2007/09/12)
 人食いザメより、サメ食い人のほうが多い?(2007/05/31)
 ツシマヤマネコの撮影に成功、対馬の下島【しもじま】にて(2007/05/10)
 ボルネオ(カリマンタン)島で、新種の豹(ヒョウ)を発見(2007/03/17)
などです。
   

2007年10月17日

生命の星・地球をまるごと体感!博物館へ

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 文化の秋にちなんで、また、博物館へ行ってまいりました。神奈川県立の、生命の星・地球博物館です。神奈川県の小田原市にあります。
 名のとおり、地球のことを、すべて扱っている博物館です。鉱物・植物・動物のコレクションが、充実しています。生き物の化石も、たくさんあります。
 ここの博物館で、素晴らしいと思ったのは、「さわれる」展示が多いことです。
 例えば、オーストラリアにしかいない、珍しい動物の、ハリモグラやカモノハシ。南米のアルマジロやカピバラ。インドのインドサイ。これらの剥製【はくせい】標本に、全部、さわれます。アンモナイトや、古代の巨木の化石にも、さわれます。
 「ハリモグラの体毛は、本当に針みたいなのか」とか、「アルマジロの皮膚は、本当に鎧【よろい】みたいなのか」とか、さわらなければ、わかりませんよね。実際にさわれたおかげで、いちだんと深く、ものごとを知った感じです。
 目の不自由な人にとって、ここは、とても面白いでしょう。普通の博物館では、標本にさわることは、ほとんどできませんものね。それでは、あまり楽しめないでしょう。ここは、点字の解説も付いています。誰でも、体感して、楽しめますね。
 残念なことに、一部、壊れた標本がありました。カンガルーの剥製【はくせい】標本が、さわれない状態でした。誰かが、乱暴にさわったために、壊れてしまったようです。
 剥製【はくせい】標本は、たいへん壊れやすいものです。不特定多数の人にさわらせるなんて、普通は、考えられません。でも、「より多くの人に、より多くのことを知ってもらいたい」と、博物館の人たちが考えたのでしょう。その気持ちに応えたいですよね。標本は、壊さないように、そっとさわりましょう。
 博物館では、今、特別展「ナウマンゾウがいた!」を開催中です。この会場に、「匂いを嗅げる」展示がありました。本物の、アジアゾウの糞【ふん】です。透明なカプセルに包まれています。カプセルの蓋を開けると……臭かったです(笑) しっかり体感させてもらいました。ゾウだけに、大きな「ウン(運)」がつくかも知れません。


 神奈川県立 生命の星・地球博物館のサイトは、以下にあります。開催中の特別展「ナウマンゾウがいた!」のページもあります。この特別展は、11/4(日)までです。
 神奈川県立 生命の星・地球博物館
 特別展「ナウマンゾウがいた!」


 過去の記事でも、いろいろな博物館を紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 「ファーブルにまなぶ」、虫の声の聴き方?(2007/10/11)
 馬肥ゆる秋に、馬の博物館へ(2007/10/6)
 夏休みの宿題の参考に、東京大学へ? 東大総合研究博物館(2007/8/9)
 「腹びれのあるイルカ」はどうなった?(2007/2/6)
などです。


2007年10月11日

「ファーブルにまなぶ」、虫の声の聴き方?

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 子どもの頃、「『ファーブル昆虫記』を夢中で読んだ」方は、多いでしょう。私も、その一人です。ファーブルは、フランス人なのに、日本で著名な昆虫研究者です。
 今、日本で、ファーブルを記念する展覧会が開かれています。「ファーブルにまなぶ」展です。東京の国立科学博物館で、開催中です。
 地方にお住まいの方、「また東京?」と、がっかりしないで下さい。この展覧会は、各地を巡回します。東京の後は、福岡・滋賀・兵庫を回ります。
 私は、東京で、この展覧会を観てきました。小規模ながら、とても内容が濃いです。
 会場は、第一会場と第二会場に分かれていました。第一会場では、ファーブルの人生と、彼が研究した昆虫たちが、紹介されています。第二会場では、現在の昆虫学の成果が、紹介されています。ファーブルに触発されて、発展したものです。
 第一会場では、ファーブルの博学ぶりに驚きました。昆虫ではありませんが、彼の描いたキノコの絵は、必見です。精妙で、美しいです。立派なプロの画家ですね。
 『昆虫記』でお馴染みのフンコロガシ(タマオシコガネ)など、たくさんの昆虫の標本があります。ファーブルにはわからなかった、昆虫の秘密も、解き明かされています。
 例えば、ファーブルは、オオクジャクガというガ(蛾)の一種を研究しました。このガの雌(メス)が、何かの匂いを出して、雄(オス)を引き寄せることを発見しました。けれども、彼には、「その匂い物質が何か」までは、わかりませんでした。
 現在では、フェロモンと呼ばれる物質であることが、わかっています。フェロモンの詳しい構造は、まだ解明できていません。
 第二会場では、日本のハチ(蜂)学の紹介が、面白かったですね。単独生活だったハチが、なぜ、ミツバチのような集団生活になったのか、解明されつつあります。
 日本のハチ学は、三人の学者によって、大きく発展しました。三人とも、『ファーブル昆虫記』に感銘して、ハチ学を志したそうです。ファーブルは、「日本の昆虫学の父」かも知れません。彼は、「虫の語る虫の生活」を聴き取った人なのでしょう。

 「ファーブルにまなぶ」展には、専用のウェブページがあります。詳しい情報は、以下のページからどうぞ。
 ファーブルにまなぶ(国立科学博物館のサイト内)

 「ファーブルにまなぶ」展の会場となる各博物館のウェブサイトは、以下にあります。残念ながら、北海道での会期は、すでに終了しています。が、会場だった北海道大学総合博物館のサイト内に、展覧会の記録があります。
 北海道大学総合博物館
 国立科学博物館
 北九州市立いのちのたび博物館
 滋賀県立琵琶湖博物館
 兵庫県立人と自然の博物館



2007年10月 6日

馬肥ゆる秋に、馬の博物館へ

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 「天高く馬肥ゆる秋」という言葉がありますね。これにちなんで、「馬の博物館」というところへ行ってきました。横浜市中区にある博物館です。
 名のとおり、馬のことを何でも扱っています。大まかに分けると、「生物としてのウマ」のコーナーと、「人との関わりにおける馬」のコーナーとがあります。
 生物としてのウマは、主に、第四展示室で扱われています。最初のウマの祖先は、柴犬くらいの大きさしかありませんでした。肢【あし】の趾【ゆび】も、一本ではなく、三本や四本でした。それが、進化するにつれ、体は大きくなり、趾【ゆび】の数は減ってゆきます。模型や化石で、この様子が、わかりやすく説明されています。
 原始時代、初めてヒトとウマが出会った頃の説明もあります。最初、ヒトは、食べるために、ウマを狩りました。やがて、ヒトは、ウマを使役することを考えます。けれども、すんなり馬を乗りこなせたのではありません。乗馬ができるようになったのは、道具の発明によるところが大きいです。馬銜【はみ】・鞍【くら】・鐙【あぶみ】といったものです。これらの道具の実物が、展示されています。時代や地域により、道具が違います。例えば、ヨーロッパと日本とでは、馬の扱い方が違った、とわかります。
 第一展示室や第二展示室では、特別展や企画展が催されることが多いです。私が行った時には、第一展示室で「馬と日本人」展が、第二展示室で「馬の幻獣」展が開催中でした。もうじき、秋季特別展として、「馬のシルクロード」展が開催されます。馬がいなければ、シルクロードは、こんなに栄えなかったでしょう。面白そうな展覧会ですね。
 馬の博物館は、根岸森林公園の中にあります。緑が豊かで、とても気持ちが良いところです。博物館の隣には、ポニーセンターがあります。ポニーセンターには、実物の馬がいます。土日には、ポニーセンターで、馬と触れ合う催しが開かれます。
 嬉しいことに、馬の博物館は、入館料が安いです。大人でも、たった百円です。特別展の時でも、二百円くらいです。今どき、こんなお値段で楽しめるところなど、そうはないでしょう。手軽な行楽地として、お勧めです。 

 馬の博物館やポニーセンターのウェブサイトが、以下にあります。お出かけの際には、休館日・開館時間などをお確かめ下さい。
 馬の博物館
 ポニーセンター

  今年は、10月14日(日)に、ポニーセンターで、「馬とのつどい」という催しがあるそうです。長野県に伝わる「花馬祭り」の実演や、馬の試乗会があるようです。よろしければ、お出かけ下さい。
 馬とのつどい2007 

2007年10月 2日

米国で、ミツバチ失踪【しっそう】の原因を解明か?

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 二〇〇七年の春、「米国で、ミツバチが集団で失踪」というニュースが話題になりましたね。養蜂場のミツバチが、突然いなくなり、群れが崩壊するという現象が、相次ぎました。
 この現象は、英語で、「colony collapse disorder」と名づけられました。略称で「CCD」です。日本語では、「蜂群崩壊症候群【ほうぐんほうかいしょうこうぐん】」と訳されています。「ミツバチいないいない病」などという呼び方もあります。
 原因究明は、なかなか進みませんでした。「伝染病説」・「携帯電話などの電磁波により、体調や方向感覚がおかしくなった説」・「人間に、蜜を取られ過ぎたことによるストレス(あるいは過労)説」などが、取り沙汰されました。どれも、決め手に欠けていました。
 が、このほど、有力な説が現われたようです。それは、「ウイルス病説」です。
 病気の原因は、英語名を「Israel acute paralysis virus」というウイルスです。略称で、「IAPV」と呼ばれます。日本語では、「イスラエル急性麻痺【きゅうせいまひ】ウイルス」です。これに感染すると、ミツバチは、最終的に、全身が麻痺して死亡します。この病気の蔓延【まんえん】が、蜂群崩壊症候群(CCD)の原因と推測されます。
 けれども、ウイルスだけが原因ではなさそうです。ウイルスに感染しただけでは、ミツバチは発病しません。何らかの原因で、ミツバチが弱っている時のみ、発病します。根本的には、ミツバチが弱っていることが、問題ですね。
 寄生虫や、食料不足が、ミツバチを弱らせているのでは?と推測されています。寄生虫として、ミツバチヘギイタダニ(学名Varroa jacobsoni)というダニが、疑われています。
 このダニは、セイヨウミツバチの、重大な病気の原因になります。バロア病(varroasis)という病気です。バロア病は、セイヨウミツバチに、重い発育障害を起こします。
 世界的に、養蜂に使われるのは、セイヨウミツバチです。セイヨウミツバチに、致命的な病気が蔓延したら、農業が破綻しかねません。農作物の受粉は、セイヨウミツバチに、大いに頼っているからです。ミツバチの危機は、人類の危機ですね。
 危機は、考える機会です。生き物との付き合い方を、再考する時かも知れません。


 ミツバチ失踪事件の原因に関しては、以下のページに載っています。
 ミツバチが消える「蜂群崩壊症候群」の原因にウイルス説浮上(国際ニュース2007/09/23) 
 バロア病(動物衛生研究所)
 【大変だ!】米ミツバチ大量失踪 原因はウイルスか(産経新聞 2007/09/11)

 似たような失踪事件は、日本でも発生しているようです。
 椎葉村 椎葉の養蜂が絶滅-ミツバチに異変か?(夕刊デイリー新聞 2007/02/04)

 過去の記事でも、ミツバチを取り上げています、よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ミツバチが消えた?!(2007/03/02)
 地域によって暮らしが違う蜜蜂(ミツバチ)(2006/05/12)
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、セイヨウミツバチと、ニホンミツバチが掲載されています。
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2007年9月27日

ベトナムで、新種の発見ラッシュ

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 東南アジアのベトナムで、新種の生き物が、相次いで発見されています。つい先日も、ベトナム中部で、十一種もの新種が見つかった、というニュースがありました。
 発見された新種は、爬虫類のヘビが一種、昆虫のチョウが二種、植物が八種だそうです。これらの中には、近縁な種が、日本に分布するものもいます。
 例えば、新種のヘビです。このヘビは、通称「白ひげ」と呼ばれるようです。口の周囲が白いからです。「白ひげ」は、日本のヒバカリというヘビに、とても近縁です。同じナミヘビ科ヒバァ属に属します。「白ひげ」とヒバカリとを、写真で見比べると、横顔が似ています。ヒバカリも、少しですが、口の周囲が白っぽくなっています。
 新種のチョウのうち、一種は、セセリチョウ科に属します。セセリチョウの仲間は、日本にもたくさん分布します。おおむね、小型で、茶色っぽいチョウです。写真で見る限り、新種のチョウも、同じ特徴を持っていますね。ただし、同じセセリチョウでも、日本には、同じ属の種はいないようです。
 新種の植物の中には、何種かのランが含まれています。ラン科の植物は、日本にもたくさんありますね。けれども、ランの仲間は、形態がとても多様です。同じ科なのに、似ても似つかない種が多いです。
 今回、見つかったランの中には、まったく葉がない種があります。葉どころか、葉緑素もありません。全体が、ほぼ真っ白です。これでは、光合成ができませんね。どうやって、エネルギーを得るのでしょう?
 このランは、腐った落ち葉などから、エネルギーを得ます。このような生活の植物を、腐生植物と呼びます。腐生植物は、日本にもあります。ギンリョウソウなどがそうです。ギンリョウソウも、外見がほぼ真っ白です。今回の新種に似ています。でも、ギンリョウソウは、イチヤクソウ科に属します。ラン科の新種とは、遠縁です。
 ベトナムで、新種の発見が多いのは、自然が豊かな証拠でしょう。これほどの豊かさは、末永く維持したいですね。


 ベトナムの新種のニュースは、以下のページに載っています。
 ヘビなど11の新種動植物=ベトナムの森林で発見-WWF(時事通信 2007/09/26)
 新種の動植物、ベトナムで発見される(WWF)※英語です
 ベールをはがされたベトナム、写真ニュース(BBC News) ※英語です。発表された種の画像がいくつか見られます。

 過去の記事で、新種のヘビに近縁なヒバカリを取り上げています。また、近年、アジアで発見された生き物も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 毒がないのに毒蛇? ヒバカリ(2007/7/15)
 新種発見!! 体色が変わるカエル(2007/5/24)
 ボルネオ(カリマンタン)島で、新種の豹(ヒョウ)を発見(2007/3/17)
などです。


図鑑↓↓↓↓↓には、ヒバカリ、セセリチョウ科のチョウ、ラン科の植物、ギンリョウソウが掲載されています。
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2007年9月26日

イラクサは「進化」して、棘ができた?

 イラクサという植物を御存知ですか? 日本の本州以南に、普通に生える草です。棘があることで有名です。刺されると痛いので、刺草(イラクサ)と名付けられました。
 イラクサに限らず、棘のある植物は多いですね。その理由は、いくつかあると考えられています。主な理由に、「動物に食べられないため」というのが、あります。
 草食動物でも、できるなら、棘のない草を、選んで食べるようです。棘は、進化の過程で、植物が身に付けた「武器」というわけです。
 このほど、この進化の過程が、目に見える形で示されました。奈良公園のイラクサが、よそのイラクサより、棘が多いというのです。シカの食害を避けるためです。
 奈良公園には、たくさんのシカが棲みます。植物にしてみれば、食べられるおそれが高いですね。強い防御が必要です。
 どのイラクサにも、もともと、棘はあります。ただ、個体によって、棘の数が違います。棘の少ないイラクサは、奈良公園では、食べられてしまいます。棘の多いイラクサだけが、残ります。棘のないイラクサに、いきなり棘ができたのではありません。
 この研究結果は、別の研究をほうふつとさせます。十九世紀に行なわれた、非常に有名な研究です。オオシモフリエダシャクという、ガの一種が研究されました。
 オオシモフリエダシャクは、個体ごとに、体色の変異が激しいです。白っぽいものから、黒っぽいものまでいます。周囲の環境に、白っぽい場所が多ければ、白っぽい個体のほうが、敵に見つかりにくいですね。逆に、黒っぽい場所が多ければ、黒っぽい個体のほうが、敵に見つかりにくいです。十九世紀には、黒っぽい場所が多い環境に、黒っぽいガが多いという結果が出されました。
 今回のイラクサと、似ていますね。敵の存在が、生き物の姿を変えた例です。
 こんにちでは、「オオシモフリエダシャクの研究には、間違いがある」という意見もあります。けれども、地域により、ガの体色に、偏りがあるのは確かです。イラクサや、オオシモフリエダシャクは、何らかの自然の仕組みを、人間に見せてくれているのでしょう。


 奈良公園のイラクサの変化については、以下のページに載っています。
 「イラクサ(森林総合研究所関西支所)
 とげの進化でシカを防御? 奈良公園に生えるイラクサ(中日新聞 2007/09/24)



図鑑↓↓↓↓↓には、残念ながら、イラクサは載っていません。かわりに、近縁なムカゴイラクサが掲載されています。
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世界一賢いオウム?が死亡

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 二〇〇七年の九月に、ある鳥が死亡したというニュースが、世界を駆け巡りました。アレックスAlexという名の、雄(オス)のオウムです。
 なぜ、オウムの死亡が、ニュースになったのでしょう? アレックスが、ある学者の研究に協力していたからです。オウムの「ものまね」の能力が、研究に生かされていました。
 アレックスと「共同研究」をしていたのは、アイリーン・ペッパーバーグIrene Pepperbergという女性科学者です。専門は、心理学(認知科学)だそうです。研究の舞台は、米国のマサチューセッツ州にあるブランダイス大学Brandeis Universityでした。
 ペッパーバーグ博士の研究により、オウムの言語能力が、それまでの推測以上だとわかりました。何羽かのオウムの中でも、アレックスは、特に優れた成績だったようです。
 例えば、アレックスは、「緑」や「青」や「オレンジ」が、「色というもののグループ」であることを、理解していたそうです。なんと、「言葉のグループ分け」ができるのですね。ですから、「同じ」・「違う」という概念もあったようです。また、一つの単語だけでなく、複数の単語を並べて、「僕は~したい」といった「文」を作ることもできたそうです。
 ここまで来れば、オウムとヒトとが「会話する」ことも、夢ではありませんね。まさに天才オウムです。童話の『ドリトル先生』の世界です。
 アレックスは、ヨウムという種のオウムでした。紛らわしい種名ですね。漢字で書けば、ヨウム=「洋鵡」です。オウムは「鸚鵡」ですね。ヨウムは、ものまねが得意な種です。
 ペッパーバーグ博士が、ヨウムを「共同研究者」に選んだ理由は、「ものまねが得意」だけではありません。「より多くの人々に、鳥類の知能の高さを知ってもらいたい」という理由もありました。なぜなら、人間は、知能の高い動物に愛着を持つからです。
 例えば、イルカは、知能が高いとされますね。おかげで、保護活動が盛んです。本当は、知能の高さで命を差別するなんて、おかしなことです。でも、それが現実です。
 博士は、あえて刺激的な研究をすることで、鳥類にも、目を向けて欲しい、と願ったのでしょう。絶滅の危機にある鳥は、多いです。博士の思いを受け止めたいですね。

 オウムのアレックスに関するニュースは、以下のページにあります。
 「知能は5歳児並み」世界一賢いオウム、アレックス死去(国際ニュース 2007/09/13)
 ゼロの概念を習得した「天才」オウム(Wired News 2005/07/20)


 アレックスに関しては、邦訳された研究書があります。お値段の張る専門書ですが、興味のある方は、読んでみてはいかがでしょうか。

I.M.ペッパーバーグ著、渡辺 茂・山崎由美子・遠藤清香 訳、2003年、『アレックス・スタディ―オウムは人間の言葉を理解するか―』、共立出版




 読書の秋ですので、名作童話の『ドリトル先生』シリーズも紹介しておきますね。このシリーズには、ポリネシアという名のオウムが登場します。アレックスをほうふつとさせる「会話のできるオウム」です。

ヒュー・ロフティング作・絵、井伏 鱒二【いぶせ ますじ】訳、『ドリトル先生物語全集』、岩波書店




2007年9月20日

ヤマメからニジマスが生まれる?

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 ヤマメという魚がいますね。日本の渓流に棲む魚です。食用や釣り対象として、人気がありますね。そのため、養殖もされています。
 一方、ニジマスという魚がいます。ヤマメと同じ、サケ科に属する種です。やはり、川魚として、食卓に上りますね。日本各地で、大々的に養殖されています。
 ニジマスは、もともと、北米に分布する魚でした。食用にするため、日本に移入されました。同じサケ科でも、ヤマメとは違う種です。
 ところが、先日、衝撃的なニュースがありました。人工的に、ヤマメにニジマスを生ませることに成功した、というのです。
 これは、「ヤマメの腹だけを借りて、ニジマスの卵を産ませた」わけではありません。「ヤマメに、ニジマスの卵の元になる細胞を移植した」のです。ヤマメの腹で育っても、細胞は、ヤマメの卵ではなく、ニジマスの卵になりました。
 正確には、移植されたのは、精原細胞【せいげんさいぼう】という細胞です。普通は、精子の元になる細胞です。雄(オス)のヤマメにニジマスの精原細胞を移植すると、ニジマスの精子になり、雌(メス)のヤマメに移植すると、ニジマスの卵になったそうです。
 この実験結果は、いろいろなことを示唆しています。例えば、精子になるはずの細胞でも、環境によっては卵になることがわかりました。また、ヤマメとニジマスでできるならば、同様に近縁な魚同士でも、同じことができるかも知れません。「絶滅しそうな種の細胞を、近縁な別種に移植して、数を増やす」といった可能性も、ありますね。
 このように、生命の発生を操作する研究には、賛否両論があります。けれども、研究を止めることは、得策ではないでしょう。病気を治す方法や、絶滅しそうな生き物を救う方法が、発見される可能性があるからです。
 よく言われるとおり、科学技術そのものには、罪はないと思います。善悪は、使い方次第です。生命を弄【もてあそ】ぶのは、いけませんよね。良い方向へと、研究が発展することを望みます。

 「ヤマメがニジマスを生んだ」ニュースは、以下のページに載っています。
 ニジマスしか生まない代理ヤマメ両親の作出に成功(科学技術振興機構・東京海洋大学)

 過去の記事でも、ヤマメなどのサケ科の魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 同じ種なのに名が違う? 桜鱒(サクラマス)と山女(ヤマメ)(2006/3/20)
 森を育てるサケ(2005/9/13)


図鑑↓↓↓↓↓には、ニジマスもヤマメも掲載されています。
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 国立大学法人東京海洋大学
 独立行政法人科学技術振興機構


2007年9月13日

チンパンジーの贈り物はパパイア?

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 アフリカの野生チンパンジーについて、面白いニュースが飛びこんできました。雄(オス)のチンパンジーが、雌(メス)のチンパンジーの気を惹くために、贈り物をするというのです。まるでヒトみたいですね。
 この行動が観察されたのは、西アフリカのギニアという国です。ボッソウという村の近くに棲むチンパンジーです。日本の霊長類研究所が、ここで調査をしています。
 チンパンジーが贈り物に使うのは、パパイア(パパイヤ)です。熱帯の果物の一種として、有名ですね。近年、日本でも、手に入りやすくなりました。
 多くの日本人は、アフリカにパパイアがあることを、不思議に思わないでしょう。けれども、もともと、アフリカにパパイアはありませんでした。パパイアの原産地は、中南米の熱帯地域(熱帯アメリカ)のどこかです。正確な場所は、わかっていません。
 チンパンジーは、アフリカにしかいません。ですから、チンパンジーは、パパイアを知らなかったはずです。ここに、今回のニュースを読み解く鍵【かぎ】があります。
 西アフリカのチンパンジーは、もう何十年も、観察され続けています。しかし、「パパイアを贈り物にする」行動は、二〇〇三年以降の調査で、初めて確認されました。これは、チンパンジーにとって、新しい行動だと考えられます。
 ボッソウのチンパンジーは、野生のパパイアを、贈り物にするのではありません。ヒトが、村で栽培するものを、盗んで使います。つまり、ヒトと共存する地域ゆえに、生まれた習慣です。ヒトが、パパイアを持ちこまなければ、この習慣は生まれませんでした。
 西アフリカに、パパイアが持ちこまれたのは、いつなのか不明です。東アフリカには、十八世紀以前に入ったという記録があります。入ってからは、急速に、アフリカに広まったようです。熱帯でなら、育てやすい植物だからでしょう。
 「パパイアの贈り物」は、チンパンジーとヒトとが、共同で生んだ文化、といえるかも知れません。御存知のとおり、チンパンジーとヒトは、とても近縁な生き物です。「進化の隣人」たちの行動は、とても示唆的ですね。


 「贈り物をするチンパンジー」のニュースは、以下のページに載っています。
 禁断の果実を分け合うチンパンジー(京都大学霊長類研究所) 


 過去の記事でも、チンパンジーについて取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 ヤリで狩りする!? チンパンジー…アフリカセネガル南東部(2007/2/23)
 エイズの薬になる? アフリカの植物たち(2006/12/30)



図鑑↓↓↓↓↓には、パパイアが掲載されています。
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2007年9月12日

ホッキョクグマが絶滅する?

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 先日、ホッキョクグマについて、衝撃的なニュースが流れました。「このままの調子で、地球温暖化が進むと、ホッキョクグマの数が、今の三分の一になる」というのです。
 なぜ、こんな研究結果が出たのでしょうか? それは、ホッキョクグマの食性と、関係があります。
 御存知のとおり、ホッキョクグマは、クマの仲間です。クマは、それほど珍しい生き物ではありませんね。世界のあちこちに、広く分布しています。
 けれども、数多いクマの中で、ホッキョクグマは変わり者です。どこが変わっているかといえば、食べ物です。ホッキョクグマは、ほぼ完全な肉食性です。
 と書くと、ほとんどの方が、不思議に思うでしょう。「クマは肉を食べるんじゃないの? 森でシカを襲ったり、川でサケを捕ったりするよね?」という声が、聞こえそうです。
 じつは、普通のクマは、ほぼ「菜食主義者」です。例えば、日本のツキノワグマは、明らかに、植物のほうが主食です。春は草木の若芽、夏はアリやハチなどの昆虫、秋はドングリなどの果実を、主に食べているようです。
 北海道のヒグマは、肉食の印象がありますね。「さぞ、たくさんのサケを捕るのだろう」と思われがちです。ところが、ヒグマも、植物のほうを多く食べます。
 クマの中で、ホッキョクグマだけが、ほぼ完全な「肉食獣」になりました。
 その理由は、北極には、植物がとても少ないからです。寒すぎるのですね。植物ばかり食べたのでは、クマのような大型動物は、生きられません。生きるために、ホッキョクグマは、アザラシやセイウチを主食にしました。
 ホッキョクグマは、海に氷がある時期にしか、狩りができません。アザラシなどが、氷の空気穴から顔を出したところを、狩るからです。氷がない時期は、絶食状態です。
 温暖化のために、氷がない時期が、長引いたら? 餓死するクマが増えるでしょう。
 そんなふうには、したくありませんね。人間のために、温暖化が進んでいるとしたら、やはり問題です。気候変動は、人間自身にも、悪影響があるでしょう。


 WWFでは、ホッキョクグマの生態や行動を調べるプロジェクトが進んでいます。以下のページに詳しく載っています。
 子どもたちと考えた「ホッキョクグマと温暖化のいま」(WWFジャパン) 
  WWFの「ホッキョクグマ衛星追跡プロジェクト」(WWFジャパン) 


 過去の記事でも、絶滅しそうな生き物を取り上げています。また、日本のクマについても取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。 
 人食いザメより、サメ食い人のほうが多い?(2007/5/31)  
 コウノトリとトキ、未来への一歩(2007/5/24) 
 世界のカエルが絶滅する? ツボカビ症を防ぐには(2007/1/14) 
 クマ(熊)の害を防ぐには?(2006/10/9) 
などです。



図鑑↓↓↓↓↓には、日本のツキノワグマとヒグマが掲載されています。
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インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net
ぜひご利用下さい。


2007年9月 5日

イルカは淡水で暮らせない?

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 今年(二〇〇七年)の八月、荒川に、イルカが迷い込んだというニュースがありましたね。撮影された写真によれば、カマイルカのようです。
 後に、荒川とつながった新河岸川で、それらしきイルカの死体が発見されました。死体には、衰弱した証拠がありました。川の生活に適応できずに、死んだようです。
 ところが、最近になって、「あの死体は、荒川で目撃されたイルカではなさそうだ」という意見が出てきました。死体を調べた国立科学博物館からの意見です。荒川で撮影された写真と、死体とを比べると、写真にあるフジツボや傷跡がないといいます。
 この意見が正しいなら、同時期に、同じ種のイルカが、複数、同じ川に迷い込んだことになります。とても珍しいことですね。けれども、ないとは言えません。
 イルカの仲間には、海でなく、淡水に棲む種もいます。カワイルカの類です。日本には、カワイルカは分布しません。
 カワイルカは、一生、川に棲みます。ならば、海のイルカも、川に棲めそうですよね。なぜ、新河岸川のカマイルカは、死んでしまったのでしょうか?
 淡水に棲むイルカと、海に棲むイルカとでは、体の仕組みが違うからです。同じイルカでも、普段と違う環境には、長く棲むことはできません。新河岸川のカマイルカは、何らかの理由で、海へ帰れなくなったのでしょう。具体的な理由は、不明です。
 カマイルカは、各地の水族館の人気者です。運動性能が高いうえに、人懐っこいからです。ショーに最適ですね。たくさんの水族館で飼育されています。
 なのに、カマイルカの生態は、よくわかっていません。これまで、国内の水族館で、カマイルカの子どもが育った例は、たった一つだけです。鴨川シーワールドの「キララ」です。キララは、現在も、鴨川シーワールドで元気に飼われています。
 野生生物の生態を知るのは、難しいのですね。数が多いカマイルカでさえ、こんな状況です。もし、カマイルカが絶滅しそうになったら、私たちの力では、救えないかも知れません。「数が減ってから保護」ではなく、減らさないことが大切ですね。


 荒川と新河岸川のカマイルカのニュースは、以下のサイトなどに載っています。また、水族館生まれのカマイルカ、「キララ」についても載っています。
 荒川のイルカじゃなかった 「死骸は別個体」と博物館(共同通信 2007/09/03) 
 死んだイルカ、博物館で調査=今後の扱いは未定(時事通信社 2007/08/13)
 死んだイルカ見つかる=新河岸川に浮かぶ-東京(時事通信社 2007/08/13) 
 イルカ目撃 荒川を捜索(gooニュース 2007/08/10)



図鑑↓↓↓↓↓には、カマイルカが掲載されています。
ban_zukan.net.jpg
インターネット生物図鑑-zukan.net-
http://www.zukan.net


 過去の記事でも、イルカを取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 伊勢湾のスナメリが危機に?(2007/6/12) 
 「腹びれのあるイルカ」はどうなった?(2007/2/6)
 ヨウスコウカワイルカは絶滅したか?(2006/12/18) 
 ハンドウイルカ、バンドウイルカ、どっちが本当?(2006/6/24)
などです。
 カマイルカの「キララ」飼育記録更新中(南房総とっておきニュース・鴨川シーワールド)

 国立科学博物館


 

2007年8月 9日

夏休みの宿題の参考に、東京大学へ? 東大総合研究博物館

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 八月も半ばにさしかかろうとしています。学生の皆さん、宿題は進んでいますか? 今回は、宿題の参考になりそうな場所を紹介しましょう。
 そこは、東京大学の、本郷キャンパスの中にあります。東京大学総合研究博物館です。現在、ここで、二つの展覧会が開かれています。
 一つは、「Systema Naturae ―標本は語る」展です。この展覧会には、たくさんの動物・植物・鉱物の実物標本が、出品されています。TVや図鑑でしか見たことがないものを、実際に観察できますよ。
 例えば、水族館でジャンプしているイルカは、皆さんお馴染みでしょう。けれども、イルカの骨格がどうなっているかは、わかりませんよね。この展覧会では、本物のイルカの全身骨格を見られます。イルカの隣には、他の哺乳類の骨格もあります。ですから、違う種同士で、骨格を比べることができます。イルカの骨格と、他の哺乳類の骨格とで、後ろ半分を見比べて下さい。イルカの後脚が、完全に退化しているのが、わかるでしょう。
 貝類のコーナーなどは、見ているだけで楽しいです。貝殻には、美しいものが多いですからね。形だけでなく、名前も美しい貝があります。テンシノツバサ、ペガサスノツバサなどです。これら二種は、二枚貝です。二枚を広げて並べると、確かに、翼のように見えます。ぜひ、御自身の目で、「天使の翼」や「ペガサスの翼」を御覧下さい。
 もう一つの展覧会は、「遺丘と女神 ―メソポタミア原始農村の黎明」展です。こちらは、西アジアの考古学に関する展覧会です。一部、植物の栽培化や、動物の家畜化を、扱っているコーナーがあります。
 こちらでお勧めなのは、約九千五百年前の、ネコの遺体ですね。今のところ、人に飼われたネコとして、最古のものです。これまで、飼い猫にこんなに古い歴史があるとは、誰も思っていませんでした。飼い猫の研究上、画期的なネコです。
 総合研究博物館は、8/10(金)~8/14(火)と、毎週月曜日が休館日です。今回の展示では、入館無料です。休館日にお気をつけて、お越し下さい。


 東京大学総合研究博物館の展覧会については、以下に案内があります。
 東大総合研究博物館 
 「Systema Naturae ―標本は語る」展
 「遺丘と女神 ―メソポタミア原始農村の黎明」展


 過去の記事でも、夏休みのイベントを取り上げています。ネットでの調べものに役立つ記事も載せています。
 また、展覧会に関連して、先祖返りしたイルカや、飼い猫の祖先に関する記事も載せています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
 楽しい夏休み企画、大昆虫帝国(2007/7/17) 
 ネットの上手な活用法(ネットで、知りたいことを上手に知るには? その1~その6)
 イエネコ(家猫)の祖先はリビアヤマネコ?(2007/7/2)
 「腹びれのあるイルカ」はどうなった?(2007/2/6)



図鑑↓↓↓↓↓