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2009年8月28日

亜目や亜科の「亜」とは、なに?

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 以前、このブログで、生物の分類について、説明しましたね(生物分類の、目【もく】や科とは、なに?(09/08/12))。今回は、その時、説明しきれなかった部分を説明しましょう。
 生物を調べていると、時おり、亜目【あもく】や亜科【あか】といった分類単位が出てきます。下目【かもく】、上目【じょうもく】、上科【じょうか】などが、出てくることもあります。これらは、どういう分類単位でしょうか? 
 まず、「亜」を説明しましょう。例えば、亜目といった場合、「目【もく】を分けるほどの差はないけれど、複数の科を含むグループ」です。要するに、「一つ下の分類単位より、少しだけ大きい分類単位」に、「亜」が付くと思って下さい。
 次に、「下」です。例えば、「下目」は、「目【もく】を分けるほどの差はないけれど、複数の科を含んでいて、亜目より小さいグループ」です。大きさ順に並べれば、亜目>下目です。「亜」と「下」は、紛らわしいですね。正直に言えば、私も、「亜」と「下」の差は、よくわかりません(笑)
 では、「上」は? 例えば「上科」といった場合は、「複数の科をまとめたグループで、目【もく】を分けるほどの差がないもの」です。
 これだと、一つ上の分類単位と、重なりそうですね。例えば、「上科」と「下目」があったら、どちらが大きいグループでしょうか?
 答えは、「下目のほうが、上科より大きい」です。実例を挙げてみましょう。
 セミエビというエビの一種がいます。この種の分類を、詳しく書くとこうなります。

節足動物門【せっそくどうぶつもん】
 甲殻亜門【こうかくあもん】
  軟甲綱【なんこうこう】
   真軟甲亜綱【しんなんこうあこう】
    ホンエビ上目【じょうもく】
     十脚目【じっきゃくもく】
      抱卵亜目【ほうらんあもく】
       イセエビ下目【かもく】
        イセエビ上科【じょうか】
         セミエビ科
          セミエビ亜科【あか】
           セミエビ属
            セミエビ

 こんなややこしい分類なのは、節足動物門に、たいへん多様な種が含まれるためです。落語の『寿限無【じゅげむ】』みたいですね(笑)



図鑑↓↓↓↓↓では、目【もく】や科【か】などの分類単位でも、生物を検索することができます。例に挙げたセミエビも掲載されています。
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 過去の記事でも、生物の分類について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
学名で分類がわかるって、本当?(20009/08/17)
チョウ(蝶)はチョウ目【もく】? 鱗翅目【りんしもく】?(2008/07/22)
ホヤは脊索【せきさく】動物? 原索【げんさく】動物?(2007/08/28)
などです。

2009年8月24日

一つの種に、複数の学名は、あり?

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 これまで、このブログで、生物の学名について、書いてきました。ラテン語の学名を知れば、生き物がより面白くなるとわかってくださったでしょうか。
 ところが、学名を知ると、困った事態に遭うこともあります。よくあるのが、「同じ種なのに、本やウェブサイトによって学名が違う」ことです。
 これは、どういうことでしょうか? 一つの種に、二つ以上の学名が付くことがあるのでしょうか? 「あるけれど、それは本来は間違いだ」というのが答えです。
 どのような場合に、そんな間違いが起こるのでしょうか? おおむね、以下のような事態が考えられます。
 第一に、「種の分類が変わった場合」です。種の分類が変わることはよくあります。特に、属の分類などは、ひんぱんに変わります。(生物の分類法については、生物分類の、目【もく】や科とは、なに?(2009/08/12)をお読み下さい。)
 属が変われば、学名も変わりますね。学名の一部に、属名が含まれるからです。「学名で分類がわかるって、本当?」に書いたとおりです。
 けれども、変わる前の学名が、本やウェブサイトに残ってしまうことがあります。そうすると、「一つの種に、複数の学名」になるわけです。
 第二は、「研究者によって、学説が違う場合」です。ある種について、ある研究者が、「A属に属する」と考えているとします。すると、学名は「A 何とか」ですね。でも、別の研究者が、同じ種を「B属に属する」としていたら、学名は「B 何とか」になります。
 第一の事態と第二の事態は、入り混じることも多いです。実例を挙げてみましょう。
 サワギク(沢菊)という植物があります。この種には、「キオン属に属する」説と、「サワギク属に属する」説とがあります。以前は、「キオン属」説が有力でした。最近は、「キオン属から、サワギク属を分けたほうが良いのではないか」といわれます。
 サワギクをキオン属とする場合、学名は、Senecio nikoensisです。サワギク属とする場合は、Nemosenecio nikoensisです。どちらが正しいかは、決着していません。



図鑑↓↓↓↓↓は、ラテン語の学名でも、標準和名(正式な日本語名)でも、生物を検索することができます。例に挙げたサワギクは掲載されています。
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 過去の記事でも、生物の学名や、分類について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
学名の正しい読み方は?(2008/08/19)
学名で分類がわかるって、本当?(2009/08/17)
学名と標準和名とは、違う? 同じ?(2009/08/07)
などです。

2009年8月19日

学名の正しい読み方は?

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 生物の学名は、必ずラテン語で付けられると、前にお話ししましたね(学名と標準和名とは、違う? 同じ?(2009/08/07))。ラテン語の学名は、どのように読むのが、正しいのでしょうか?
 じつは、「正しい学名の読み方」というものは、ありません。学名をどのように読むのかは、決められていないのです。
 そもそも、ラテン語の読み方自体が、確定していません。同じラテン語でも、時代により、読み方が違います。同じ日本語の文章でも、平安時代と現代とでは、発音が違うようなものですね。どこの時代の読み方が正しい、とは言えません。
 とはいえ、現実問題として発音できないのは困りますね。ラテン語の読み方は、おおむね、ローマ字発音です。日本人なら、ラテン語のアルファベットをローマ字式に読んでいいと思います。
 世界的には、どのように読まれているのでしょうか? 現代では、英語が国際的な標準語になっていますね。そのため、英語式に発音されることが多いです。
 実例を挙げてみましょう。植物のヤマノイモの学名は『 Dioscorea japonica 』です。古典ラテン語ふうに読むと『ディオスコレア・ヤポニカ』となります。英語ふうに読むと『ダイオスコリア・ジャポニカ』です。
 国際会議などの場では、英語ふうに発音したほうが通じやすいでしょう。けれども、それが絶対的に正しいわけではありません。例えば、ドイツの方はドイツ語ふうに、フランスの方はフランス語ふうに、堂々と発音しています。
 学名は、人名や地名から付けられることが多いです。そのような場合「本来の人名や地名と同じ発音にすべきだ」という主張があります。
 しかし、現実には、それは無理でしょう。世界には、たくさんの言語があるからです。すべての言語について、正確に発音できる人などいませんよね。
 日本人が、学名をローマ字発音するのは、恥ずかしくありません。そのかわり、日本語由来の学名を、英語ふうに読まれても許してあげましょう(笑)


図鑑↓↓↓↓↓では、標準和名(正式な日本語名)でもラテン語の学名でも、生物を検索することができます。
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 過去の記事でも、学名について取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
トンビやオケラは、存在しない? 生き物の名前の話(2008/04/11)
新しい名前で出ています―魚類の改名(2007/2/2)
学名ってなんですか?(2005/9/30)
などです。

2009年8月17日

学名で分類がわかるって、本当?

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 以前、「生物の学名は、必ず、ラテン語」という話をしましたね(学名と標準和名は、違う? 同じ?)。今回は、学名の法則について、簡単に書きましょう。
 じつは、学名を見れば、その生物の分類が、わかるようになっています。生物の分類法については、「生物分類の、目【もく】や科とは、なに?」をお読み下さい。
 例えば、ヒトデの仲間のモミジガイの学名は、Astropecten scopariusです。Astropectenとscopariusという、二つの部分がありますね。最初のAstropecten のほうは、属の名前を表わします。scopariusのほうは、種の名前―専門的には、種小名といいます―です。
 Astropectenを、日本語に訳せば、「モミジガイ属」という意味です。これに、scopariusという種小名を付けると、「モミジガイ属の種モミジガイ」という意味になります。
 モミジガイに近縁な、トゲモミジガイも見てみましょう。トゲモミジガイの学名は、Astropecten polyacanthusです。Astropectenという部分が、モミジガイと同じですね。同じモミジガイ属だからです。Astropecten polyacanthusという学名は、「モミジガイ属の種トゲモミジガイ」という意味です。
 この仕組みは、日本人の氏名に似ていますね。日本人の氏名は、最初に氏の名前が来て、後ろに個人の名前が付きます。氏の名前は、家族で共通ですね。「山田太郎さん」といえば、「山田という一家の一員の太郎さん」だと、わかります。
 同じように、例えばトゲモミジガイならば、「モミジガイ一家の一員のトゲモミジガイさん」という具合に、覚えるといいかも知れません。
 なお、学名では、「属の名前は、先頭を大文字で書く(Astropectenのように)」と決まっています。種小名のほうは、必ず、先頭が小文字です(scopariusのように)。
 この仕組みを知ると、学名を見ただけで、ある種と別の種とが同じ属かどうか、わかります。例えば、アオヒトデの学名は、Linckia laevigataです。属名が、モミジガイとは違いますね。「同じヒトデでも、モミジガイ属ではない」とわかります。
 学名を知れば、ちょっと知ったかぶりができて、格好いいかも知れませんね(笑)


図鑑↓↓↓↓↓には、ラテン語の学名でも、標準和名(正式な日本語名)でも、生物を検索することができます。例に挙げたモミジガイ、トゲモミジガイ、アオヒトデも掲載されています。
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 過去の記事でも、生物の学名や、分類について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
生物分類の、目【もく】や科とは、なに??(2009/08/12)
学名と標準和名とは、違う? 同じ?(2009/08/07)
などです。

2009年8月12日

生物分類の、目【もく】や科とは、なに?

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 図鑑などで、生き物について調べると、分類が書いてありますね。例えば、ヒトデの仲間のアカヒトデの分類は、以下のようになっています。
 棘皮動物門【きょくひどうぶつもん】ヒトデ綱【こう】アカヒトデ目【もく】ホウキボシ科アカヒトデ属アカヒトデ
 ここにある門【もん】や綱【こう】や目【もく】とは、何でしょう?
 これらは、分類単位と呼ばれるものです。生物を分類するグループの名前です。
 アカヒトデの例ですと、棘皮動物「門」が、一番大きなグループです。最後の「アカヒトデ」が、一番小さな種【しゅ】というグループです。門>綱>目>科>属>種の順に、だんだん小さなグループになっています。
 「類【るい】がないじゃないか」と思う方がいるでしょう。じつは、「類」とは、正式な分類単位の名前ではありません。いわば、俗語です。何らかの共通点がある生物を、便宜上、まとめて呼ぶ名です。
 よく使われる「類」に、哺乳類や爬虫類がありますね。哺乳類と爬虫類を、正式な分類単位の名前で呼ぶと、哺乳綱【ほにゅうこう】、爬虫綱【はちゅうこう】となります。前記のアカヒトデでいえば、「ヒトデ綱」に当たるところです。
 「類」は、綱【こう】だけを指すのではありません。門や目【もく】や科や属を指すこともあります。どの分類単位を指すのかは、決まっていません。
 おおむね、目【もく】以上の大きなグループは、大分類と呼ばれます。大分類が違うもの同士は、縁が遠いといわれることが多いです。科以下の分類単位が同じものは、縁が近いとされます。目【もく】が同じで科が違うと、「広い意味で近縁」などといわれます。
 ただし、どの分類単位までを「近縁」とするかは、場合によって違います。
 普段、肉眼で見える生き物を分類するなら、上に挙げた「門」から「種」の分類単位を知っていれば、充分でしょう。ここに挙げたもの以外にも、分類単位は存在します。それらについては、別の項で説明しましょう。


図鑑↓↓↓↓↓には、門【もん】、綱【こう】、目【もく】、科などの分類単位で、生物を検索することができます。例に挙げたアカヒトデも掲載されています。
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 過去の記事でも、生物の分類について取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
白保【しらほ】のサンゴは普通と違う? アオサンゴ(2008/11/17)
ヒトの祖先は、ナメクジウオ?(2008/06/20)
ホヤは脊索【せきさく】動物? 原索【げんさく】動物?(2007/08/28)
などです。

2009年8月 7日

学名と標準和名とは、違う? 同じ?

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 このようなブログを書いていますと、皆さんから、質問を受けることがあります。疑問に思うことは、皆さん、だいたい同じですね。似た質問が、何回もあります。
 よくある質問の一つが、「学名と標準和名【ひょうじゅんわめい】との差」についてです。今回は、これについて書きましょう。
 学名と、標準和名とは、違うものです。これを混同してらっしゃる方が、多いです。
 学名とは、「国際的に通用する、ラテン語の生物名」です。日本語の学名というものは、ありません。同じように、英語やフランス語の学名というものも、ありません。
 例えば、生物に関する国際的な学術会議が開かれたとします。そこで生物の名前が挙げられる場合は、必ず、ラテン語の学名で挙げられるでしょう。
 だからといって、国際的な生物の会議が、ラテン語で話し合われるわけではありません。国際会議で使われるのは、たいてい、英語です。
 これは、学術論文でも、同じです。ある生物について論文を書いて、国際的に発表するとします。その場合、論文は、英語で書くことになるでしょう。けれども、論文の中で生物の名を挙げる時には、やはり、ラテン語の学名を使います。
 では、標準和名とは何でしょうか? これは、「正式な日本語の生物名」です。
 例えば、マアジ(真鯵)という魚がいますね。食用魚として有名です。このような身近な生き物は、地方により、さまざまな方言名で呼ばれることが多いです。魚屋の店先などでは、そういった方言名で、並んでいます。
 しかし、生物学の世界では、統一した呼び名がないと、不便ですね。かといって、ラテン語の学名は、日本人には覚えにくいです。そこで、日本では、「標準和名」という、日本語名が付けられます。前記のマアジは、標準和名です。
 現在では、「標準和名は、カタカナで書く」と決まっています。読みにくい場合もありますが、そういう決まりです。日本語の論文では、生物の名は、標準和名で書かれます。
 学名については、他にも、質問が多いです。今後、それらも書いてゆきますね。


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トンビやオケラは、存在しない? 生き物の名前の話(2008/04/11)
新しい名前で出ています―魚類の改名(2007/02/02)
学名ってなんですか?(2005/09/30)
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